結論
ヤマトは、群馬県前橋市を地盤に、ビルや工場の空調・衛生設備を施工する中堅の設備工事会社だ。2026 年 3 月期は売上も利益も過去最高だった。それでも筆者は、今の値段をやや高いと見る。
稼ぎの源は、配管やダクトを自社の工場で加工し、現場では組み立てるだけにする仕組みだ。人手が足りない建設業で、これは武器になる。やり直しの率は約 1% と低く、受注の 8 割超は競争入札でなく、相手から指名された特命の仕事だ。
ただ、営業利益率の 9.9% は直近 12 年で最高の水準にある。2 年前は 3.7%、10 年前は 4% 台だった。会社の努力による改善は本物だが、追い風の分まで 10 年続くとは置きにくい。会社自身も、2027 年 3 月期は減益を見込んでいる。
財務は強い。自己資本比率は 69% あり、実質的に無借金だ。新しい中期計画では配当性向の目標を 45% に上げ、株主資本配当率(DOE)も導入した。株主への姿勢は前向きである。
中立の筋書きは、売上が 10 年で 4 割ほど伸びる一方、利益率が 8% へ戻る姿だ。その時の稼ぐ力は資本コストにほぼ並び、高い倍率は付けられない。良い会社だが、払う値段に安全域が薄い。
バリュー投資の観点から
事業の本質は、他人の建物に入る専門工事だ。土地や大きな設備を持たず、受注した仕事を人と加工の腕で仕上げる。大きな設備投資が要らないので、利益の多くを株主に返せる。この点は、バリュー投資の観点では好ましい。
一方で、10 年先に「ここは変わらず儲かる」と言い切れる事業ではない。受注は景気と顧客の投資で動き、工事ごとの採算にもばらつきがある。2 年前の 3% 台という利益率は、その怖さをよく示している。
経営の質は、堅実という一点に尽きる。派手な買収に走らず、工場の加工力を磨いて採算を上げた。前の中期計画の目標も達成した。資本の配分も、配当性向を 45% に上げ、自社株買いも織り交ぜており、素直に評価できる。
気がかりは、利益の水準だ。過去最高の利益率を前提にした値段には、安全域がない。中立の筋書きでも、10 年後に株主が受け取る価値の合計は、今の時価総額を下回る。
持ち続けたい会社ではあるが、今の値段では払いすぎだと筆者は見る。利益率が 8% に戻る前提の値段で買えるなら、話は変わる。
何で稼ぐ会社か
ヤマトの本業は、非住宅の建物の設備工事だ。企画、設計、施工、保守までを一貫して請ける。売上の約 98% は建設工事業で、種類別では空調・衛生が 6 割強を占める。次いで電気・通信、水処理プラント、冷凍・冷蔵、建築・土木の順に続く。
客は工場、倉庫、店舗、ホテル、上下水道の施設などだ。2026 年 3 月期の単体受注では、元請が約 52%、ゼネコンから受ける下請が約 48%。地域は群馬が 3 割、埼玉・東京・栃木・千葉が続き、売上の大半は北関東と首都圏にある。連結売上の 1 割を超える単独の顧客はない。
特徴は、仕事の取り方にある。空調・衛生の受注の 9 割超は特命だ。入札で価格を競う仕事が少ないので、採算を選びやすい。電気・通信と水処理プラントは入札の比率が高く、ここは競争に近い。
ほかに、道の駅「まえばし赤城」の運営がある。売上は 6 億円ほどで全体の約 1%だが、利益率は 2 割を超える。子会社は 11 社で、電気工事や鉄骨の加工、設備の保守などを分担する。2026 年 10 月には、保守を担う大和メンテナンスを本体に吸収する予定だ。
水処理プラントは、上下水道の老朽化と更新の波に乗って伸びている。2026 年 3 月期の売上は前の期より 25% 増えた。まだ小さいが、空調・衛生に次ぐ柱に育ちつつある。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、自社で作る加工の力だ。ヤマトは約 30 年前から配管の加工工場を持ち、3D の設計ソフトも自社で開発した。部材を工場でそろえるので、現場の作業は組み立てが中心になる。人手不足や猛暑の対策にもなり、やり直しの率も約 1% に収まる。
この力は、特命の多さにつながっている。発注者が「この会社なら失敗しない」と指名するからだ。価格だけで選ばれる会社とは、立ち位置が違う。
資本効率も改善した。営業利益率は 10 年ほどで 1〜2% 台から 10% 近くへ上がり、ROE は 10% 台に乗った。前の中期計画で掲げた 4 つの目標は、すべて達成している。
弱い点も 3 つある。第一に規模が小さい。連結売上は約 540 億円で、大手の空調設備会社の 10 分の 1 ほどだ。第二に地域の集中で、北関東と首都圏が大半を占める。第三に、受注の半分近くがゼネコンの下請けで、価格を自分で決めきれない。
いちばん気になるのは、利益率の水準である。2023〜24 年には資材高を価格に移せず、3% 台に沈んだ。その後の回復が構造の改善によるものか、追い風によるものかは、まだ見切れない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の空調・衛生設備工事は、人口では伸びない成熟した市場だ。全国の管工事の完成工事高は、国の統計で 5 兆円台とされる。ヤマトの空調・衛生は約 350 億円で、全国の 0.6% ほどにすぎない。大手の高砂熱学工業や大気社のような全国区の会社と、地域の会社が混在している。
需要の質は変わってきた。工場、物流施設、ホテルの新設が続き、老朽化したビルの空調更新と省エネ改修も増えている。ヤマトは中期計画で、この「工場・物流・ホテル」とリニューアルを成長分野に挙げている。
最大の制約は人手だ。2024 年からの残業規制で、施工できる量は人の数で決まる。このため業界は、取れる仕事を選び、値段を上げる方向に動いた。ヤマトも新規受注を意図的に絞っており、2027 年 3 月期の第 1 四半期は受注が前年より 15.6% 減った。
資材と労務費は物価を超えて上がる局面があった。価格に転嫁できた会社の利益率は上がり、できなかった会社は沈んだ。今は転嫁が通る時期だが、需要が落ち着けば、受注の取り合いは戻る。
水処理は別の流れだ。道路橋や上下水道などの老朽化に対して、国の強靱化計画が 2026 年度から 5 年で 20 兆円規模の事業を見込む。公共の更新工事は景気の波が小さく、ヤマトの水処理プラントの追い風になる。
資本政策と M&A
還元の方針は、新しい中期計画で強まった。連結配当性向の目標は 30% から 45% に上がり、安定配当のために DOE の 4% も導入した。2027 年 3 月期は大きな増配を予定し、配当性向と総還元性向はともに約 40% になる見込みだ。
自社株買いも使う。2025 年には 44 億円規模の取得を行い、純現金は 100 億円から 40 億円台に減った。自己株式は発行済みの約 7% ある。
投資の山は、前橋市内に 3.4ha の用地を取得して建てる「ヤマトテクノパーク」だ。鉄骨加工と設備加工を自動化する工場で、中期計画の期間中に動かす。有形固定資産はすでに 37 億円増えた。先行費用は 2027 年 3 月期の減益の一因でもある。
株主優待は、年 1 回、100 株以上でカタログなどを贈る制度だ。株主数は約 6,800 名で、費用は年 0.1 億円ほどと小さく、還元の額にはほぼ影響しない。
株主には、従業員持株会が約 6%、地銀 2 行がそれぞれ 4% 台ある。時価総額は 480 億円と小さく、自己株式と合わせた安定株主が厚い。買収される側になる可能性は、完全には消えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ヤマトの利益率は、追い風だけで上がったわけではない。配管を工場で作り、現場では組み立てるだけにする仕組みを 30 年かけて磨いた。再加工が約 1% という数字は、設計と加工の精度の高さを示している。この力は、需要が落ち着いても残る。
受注の質も良い。空調・衛生の 9 割超は特命で、価格を競う場面が少ない。連結売上の 1 割を超える顧客はなく、依存も小さい。
財務は厚く、自己資本比率は約 7 割ある。配当性向は 45% に上がり、DOE という下支えも付いた。株主への還元は今後も増えやすい。
成長の芽もある。ヤマトテクノパークが動けば、鉄骨と設備の加工量が増え、人手不足の中でも施工できる量を伸ばせる。工場・物流・ホテルの新設に、水処理の更新工事が加わる。中期計画は売上 600 億円を 3 年後に置いた。前の計画を全部超えた実績を考えれば、この計画も堅めの数字だ。
人手不足は、加工を内製する会社にとって逆風でなく、差をつける材料になる。同業の多くは、受注があっても施工する人が足りない。ヤマトは現場の作業を減らす設計になっているので、同じ人数でより多くの工事を回せる。水処理や電気の分野でも、公共の更新工事は長く続く。利益率が数ポイント下がっても、会社が傷むことはなく、株主への還元は厚いままだ。
慎重な見方
営業利益率の 9.9% は、直近 12 年の最高だ。2 年前は 3.7% だった。資材高を価格に移せなかった年に、一気に沈む。同じことは、需要が落ち着いた時にまた起きる。
会社は、2027 年 3 月期の営業利益を 11% の減益と見ている。第 1 四半期の受注は前年より 15.6% 減った。受注の抑制は施工体制のためと説明されるが、需要が細っている可能性も否定できない。
規模は小さい。受注の半分近くは、ゼネコンの下請けだ。値段を決める力は限られ、ゼネコンが工事費を抑えにかかれば採算は崩れる。地域も北関東に偏る。
テクノパークは大きな投資だ。稼働が遅れたり、加工の量が埋まらなければ、固定費だけが残る。純現金はすでに減っている。
自己資本が積み上がると、ROE は資本コストに近づく。そこでは、利益を溜めても株主の価値は増えない。還元を増やしても、利益そのものが細れば意味は小さい。
過去を見ても、好況のあとには必ず谷が来た。2007 年 3 月期は営業利益率 0.5%、2012 年 3 月期は 1.2% まで落ちた。今回だけ違うと考える根拠は、まだ数年分の実績にすぎない。会社の目標が毎回達成されたのも、目標が控えめだったからと読める。
どちらに重みを置いたか
会社の質と財務は強気の見方が優勢だが、利益率の水準は慎重な見方に分がある。筆者は、中立を利益率 8% への戻りに置いた。
確率は、やや悲観に厚く寄せた。強気は 7%、やや強気は 20%、中立は 36%。残りを、やや悲観の 25% と悲観の 12% に分けた。10 年先の利益率が今の高さで続く確率より、平常へ戻る確率のほうが高いと考えるからだ。
会社の質を高く評価することと、今の値段を高いと見ることは、矛盾しない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,641 円592 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,184 円265 億円)。 今の値に割り戻すと 2,106 円472 億円、今との差 −2.2%、 期待の年率 +5.9%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 4,988 円1,117 億円 | 1,509 円338 億円 | +201.6% | +11.7% | 455 円102 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,742 円838 億円 | 1,299 円291 億円 | +134.0% | +8.9% | 1,008 円226 億円 |
| 中立 | 36% | 3,041 円681 億円 | 1,183 円265 億円 | +96.1% | +7.0% | 1,521 円341 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,509 円338 億円 | 1,072 円240 億円 | +19.8% | +1.8% | 645 円145 億円 |
| 悲観 | 12% | 600 円134 億円 | 1,036 円232 億円 | −24.1% | −2.7% | 196 円44 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,641 円592 億円 | 1,184 円265 億円 | +77.6% | +5.9% | 3,825 円857 億円 |
今の株価時価総額 2,154 円482 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 工場加工の力が実り、利益率が高いまま続く 利益 70 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 4,988 円1,117 億円
ヤマトテクノパークが動き、鉄骨と設備の加工量が大きく増える。人手不足でも施工できる量が伸び、工場・物流・ホテルの新設と水処理の更新が途切れない。特命の比率は保たれ、値上げは物価をやや上回って通る。
水処理プラントとリニューアルの比率が上がり、景気の波が和らぐ。利益率は今の水準にほぼ並び、売上は 10 年で 6 割ほど増える。還元は配当性向 45% の上に自社株買いが乗り、自己資本の積み上がりも抑えられる。
ライバルが人手不足で受注を絞る中、ヤマトは加工の内製で案件を選び続ける。ただ、これは理想に近い姿で、10 年のどこかで資材高や顧客の投資の停滞が一度は来ると見るのが自然だ。
- 空調・衛生設備工事:数量 8,050(施工量(人年。協力会社の職人を含む稼働を、今の値段で測った実質の工事量))× 価格 0.07(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 553 億円・営業利益 54 億円。空調・衛生:工事量 8050(今の 1.15 倍)× 0.0687 億円(今の 1.38 倍)、営業利益率 9.8%
- 電気・通信、水処理プラント、冷凍・冷蔵:数量 4,550(施工量(人年・実質))× 価格 0.06(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 287 億円・営業利益 29 億円。電気・水処理ほか:工事量 4550(今の 1.30 倍)× 0.0631 億円(今の 1.36 倍)、営業利益率 10.0%
- 建築・土木と道の駅の運営:数量 880(施工量(人年・実質。道の駅は来場数に相当する稼働を人年で換算))× 価格 0.05(1 人年あたり売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 3 億円。建築・土木・道の駅:工事量 880(今の 1.10 倍)× 0.0549 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 70 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍。全体の PER 15.87 倍、時価総額 1,117 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率の高さが 10 年続くには、受注の選別、値上げ、加工の効率化がすべて当たる必要がある。過去 12 年に前例のない水準なので、確率は低く置く。
やや楽観 20% 転嫁と加工の効率で、高めの利益率が残る 利益 58 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 3,742 円838 億円
需要は工場・物流・ホテルの新設と、ビルの設備更新が支える。ヤマトは施工量を 1 割弱増やし、水処理や電気の比率も上がる。値段は物価並みに上がり、利益率は今より 1 ポイントほど低い 8% 台後半で落ち着く。
テクノパークの稼働で加工の量は増えるが、固定費も重くなり、効果は利益率を押し上げるより、下がるのを防ぐ形に出る。配当性向 45% の累進的な配当に、自社株買いが加わる。
同業との値引き競争は一部で戻るが、特命の仕事が多いので、利益への影響は限られる。会社は存続するだけでなく、地域で一番頼られる設備会社として、評価を保つ。
- 空調・衛生設備工事:数量 7,560(施工量(人年。協力会社の職人を含む稼働を、今の値段で測った実質の工事量))× 価格 0.07(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 504 億円・営業利益 44 億円。空調・衛生:工事量 7560(今の 1.08 倍)× 0.0667 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 8.8%
- 電気・通信、水処理プラント、冷凍・冷蔵:数量 4,130(施工量(人年・実質))× 価格 0.06(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 257 億円・営業利益 24 億円。電気・水処理ほか:工事量 4130(今の 1.18 倍)× 0.0621 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 9.2%
- 建築・土木と道の駅の運営:数量 800(施工量(人年・実質。道の駅は来場数に相当する稼働を人年で換算))× 価格 0.05(1 人年あたり売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。建築・土木・道の駅:工事量 800(今の 1.00 倍)× 0.0549 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 58 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍。全体の PER 14.55 倍、時価総額 838 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:特命の多さと工業化は実績があり、前の中期計画も達成した。利益率が今より少し低い水準で落ち着く姿は、十分に起こりうる。
中立 36% 利益率は平常へ戻り、普通に強い設備会社に 利益 50 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 3,041 円681 億円
新築の設備工事は人口の減少で伸びないが、工場や物流施設の新設、ビルの更新、水処理の更新が需要を下支えする。ヤマトは施工量を 1 割弱増やし、値段は物価並みに上げる。売上は 10 年で 4 割ほど伸びる。
利益率は今の 9.9% から 8% へ戻る。資材と労務費の上昇を価格に移す力は残るが、同業との競争や、ゼネコンの工事費抑制が少しずつ効く。本社費や人件費も物価で増え、削減の余地は小さい。
10 年後には、特別な超過利益は薄れ、堅実な地域の設備工事会社になる。還元は配当性向 45% に自社株買いを足した形で、純利益の半分あまりに達する。自己資本は 640 億円ほどに積み上がり、ROE は 8% 前後に落ち着く。
- 空調・衛生設備工事:数量 7,280(施工量(人年。協力会社の職人を含む稼働を、今の値段で測った実質の工事量))× 価格 0.07(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 485 億円・営業利益 39 億円。空調・衛生:工事量 7280(今の 1.04 倍)× 0.0667 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 8.0%
- 電気・通信、水処理プラント、冷凍・冷蔵:数量 3,780(施工量(人年・実質))× 価格 0.06(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 235 億円・営業利益 20 億円。電気・水処理ほか:工事量 3780(今の 1.08 倍)× 0.0621 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 8.5%
- 建築・土木と道の駅の運営:数量 800(施工量(人年・実質。道の駅は来場数に相当する稼働を人年で換算))× 価格 0.05(1 人年あたり売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。建築・土木・道の駅:工事量 800(今の 1.00 倍)× 0.0549 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 50 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.62 倍、時価総額 681 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の設備工事の需要は人口では増えないが、更新・省エネ・工場投資で底堅い。利益率は過去最高から平常に戻り、会社の強みは残るという中心の筋書き。
やや悲観 25% 競争が戻り、利益率が昔に近づく 利益 34 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 1,509 円338 億円
好況の間に同業が人員を増やし、需要が落ち着いた後に受注の取り合いが始まる。ゼネコンは工事費を抑えにかかり、価格に転嫁する力が弱まる。値段の上がりは物価を少し下回り、利益率は 6% 近くまで下がる。
施工量も増えない。人手不足で伸ばせず、新規の工場投資も一服する。水処理は伸びるが、全体を押し上げるほどではない。テクノパークの償却が重く、効率化の効果は一部しか利益に残らない。
堀が崩れたわけではないが、「今は特別に儲かる会社」という評価は外れる。還元は利益とともに細り、配当性向を保ちつつも、自社株買いは控えめになる。ROE は 6% 近くまで下がり、資本コストを下回る。
- 空調・衛生設備工事:数量 6,720(施工量(人年。協力会社の職人を含む稼働を、今の値段で測った実質の工事量))× 価格 0.06(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 435 億円・営業利益 25 億円。空調・衛生:工事量 6720(今の 0.96 倍)× 0.0647 億円(今の 1.30 倍)、営業利益率 5.8%
- 電気・通信、水処理プラント、冷凍・冷蔵:数量 3,430(施工量(人年・実質))× 価格 0.06(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 207 億円・営業利益 13 億円。電気・水処理ほか:工事量 3430(今の 0.98 倍)× 0.0603 億円(今の 1.30 倍)、営業利益率 6.2%
- 建築・土木と道の駅の運営:数量 720(施工量(人年・実質。道の駅は来場数に相当する稼働を人年で換算))× 価格 0.05(1 人年あたり売上(億円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 1 億円。建築・土木・道の駅:工事量 720(今の 0.90 倍)× 0.0525 億円(今の 1.28 倍)、営業利益率 3.5%
倍率:ROE 5.77%(純利益 33.8 億円 ÷ 自己資本 586 億円)。ROE が k 7.5% 以下なので上限は 1÷k = 12.5 倍。利益率が 6% に下がり、伸びも堀の持ちも低く見て、上限の 8 割の 10.0 倍に置いた。
確率:過去 12 年の利益率は 4〜8% が中心で、今の高さが続く保証はない。下請けの構造では、利益率が昔に近づく可能性が高いと見る。
悲観 12% 国内の仕事が細り、優良さが消える 利益 16 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 600 円134 億円
工場・物流・ホテルの新設が国内で細り、残るのは既存ビルの更新と、価格だけで競う小さな仕事になる。同業との値引き競争で、値段の上がりは物価を大きく下回り、利益率は 3% 台に沈む。2023〜24 年の谷が、長く続く形だ。
施工量も 1 割以上減る。人員を減らしにくいため、固定費の重さが利益を削る。テクノパークは投資を回収できず、償却の負担だけが残る。大型案件の採算悪化も、年に 1 件は起きる。
会社は存続し、配当も払い続ける。配当は DOE の 4% を支えに、自己資本に対して一定額を維持する。ただし、かつての高い資本効率は戻らず、ROE は 3% 台に落ちる。投資家はヤマトを、景気に翻弄される下請けの設備会社として扱う。
- 空調・衛生設備工事:数量 5,950(施工量(人年。協力会社の職人を含む稼働を、今の値段で測った実質の工事量))× 価格 0.06(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 349 億円・営業利益 12 億円。空調・衛生:工事量 5950(今の 0.85 倍)× 0.0587 億円(今の 1.18 倍)、営業利益率 3.3%
- 電気・通信、水処理プラント、冷凍・冷蔵:数量 2,975(施工量(人年・実質))× 価格 0.05(1 人年あたり完成工事高(億円・名目))→ 売上 163 億円・営業利益 6 億円。電気・水処理ほか:工事量 2975(今の 0.85 倍)× 0.0547 億円(今の 1.18 倍)、営業利益率 3.5%
- 建築・土木と道の駅の運営:数量 560(施工量(人年・実質。道の駅は来場数に相当する稼働を人年で換算))× 価格 0.05(1 人年あたり売上(億円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。建築・土木・道の駅:工事量 560(今の 0.70 倍)× 0.0471 億円(今の 1.15 倍)、営業利益率 1.0%
倍率:ROE 3.13%(純利益 15.8 億円 ÷ 自己資本 504 億円)。ROE が k 7.5% 以下なので上限は 1÷k = 12.5 倍。構造的に負けた姿で、やや悲観(10.0 倍)より高くせず、その 8 割 5 分の 8.5 倍に置いた。稼ぐ力(純利益 ÷ k = 197 億円)の約 7 割に当たる。
確率:工場や物流の投資が国内で細り、価格だけで競う仕事が残る構造的な負け筋。テクノパークの償却と、大型案件の採算悪化も重なる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
空調・衛生設備工事
ビル・工場・店舗・ホテルの空調と給排水の設備を設計し施工する本業。売上の 6 割強。
| 数量施工量(人年。協力会社の職人を含む稼働を、今の値段で測った実質の工事量) | 価格1 人年あたり完成工事高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,000 | 0.05 | 348 | 35 |
| 10 年後 中立 | 7,280 | 0.07 | 485 | 39 |
取り方:空調・衛生の売上は決算説明の種類別で 348 億円。利益はセグメント別に開示されないため、建設工事業の利益率 9.8% を基に、特命が多い空調・衛生を 10.0% と推定した(34.9 億円)。数量は施工に携わる稼働の人年(協力会社を含む推定 7,000 人年)で置き、1 人年あたり約 5,000 万円。工場加工の工業化が進むと、同じ人の稼働で捌ける工事量(人年換算)が増える。物価の分は価格に入れる。
電気・通信、水処理プラント、冷凍・冷蔵
電気・通信設備、上下水道の水処理プラント、冷凍・冷蔵倉庫の設備を施工する。売上の約 3 割。
| 数量施工量(人年・実質) | 価格1 人年あたり完成工事高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,500 | 0.05 | 162 | 17 |
| 10 年後 中立 | 3,780 | 0.06 | 235 | 20 |
取り方:電気・通信 78.7 億円、水処理 55.2 億円、冷凍・冷蔵 28.4 億円の合計 162.3 億円。入札の比率が高く競争に近いが、水処理は老朽化の更新で伸びており、利益率を 10.5% と推定した(17.0 億円)。数量は推定 3,500 人年。水処理の伸びが数量の増加に当たる。
建築・土木と道の駅の運営
小規模の建築・土木工事と、道の駅「まえばし赤城」の運営。
| 数量施工量(人年・実質。道の駅は来場数に相当する稼働を人年で換算) | 価格1 人年あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 800 | 0.04 | 33 | 2 |
| 10 年後 中立 | 800 | 0.05 | 44 | 2 |
取り方:建築・土木の売上 26.9 億円は利益率が低く(約 3% と推定、0.8 億円)、道の駅の売上 5.9 億円は利益率が 22% 前後(1.3 億円)。合計で 32.8 億円・利益 2.1 億円。全体の営業利益 54.0 億円に合わせてセグメントの合計を置いた。
リスクと懸念
利益率が平常に戻る
営業利益率の 9.9% は、直近 12 年で最高だ。2024 年 3 月期には 3.7% まで落ちた。同業の値引きやゼネコンの工事費抑制が戻れば、売上が伸びても利益は伸びない。いちばん大きな不確実性である。会社自身が 2027 年 3 月期の営業利益を 11% の減益と見ていることも、戻りの兆しとして読める。
受注の減速
2026 年 3 月期の受注は前の期より 7% 減り、2027 年 3 月期の第 1 四半期も 15.6% 減った。会社は施工体制を守るための意図的な抑制と説明する。空調・衛生の受注が減った事実は重く、受注残の約 465 億円が 1 年弱分しかない点も気になる。減速が続けば、2 年先の売上に響く。
人手不足と労務費
施工できる量は、技能者の数で決まる。2024 年からの残業規制で、人を増やさずに仕事を増やすのは難しい。賃金の上昇を価格に移せなければ、利益を削る。協力会社の職人の確保も、同業や他の建設職種との奪い合いだ。工場での加工は一定の備えになるが、人の数を超える効率化には限りがある。
テクノパークの投資の回収
前橋市内の 3.4ha に建てる加工工場は、会社の将来の収益力を支える投資だ。ただし規模は連結売上に比べて大きく、稼働が遅れる、加工の量が埋まらない、などの事態になれば、償却と人件費だけが重く残る。純現金がすでに減っていることも、余裕を小さくしている。
ゼネコン下請けと価格
単体の受注の半分近くが下請けで、元請けのゼネコンに価格を決められる場面がある。電気・通信や水処理は入札の比率も高い。ゼネコンが工事費を抑えにかかる局面では、採算の守り方が試される。協力会社への発注単価の上昇を吸収する場面も出てくる。
地域の集中と規模
売上の大半は群馬・埼玉・東京・栃木・千葉にある。群馬だけで 3 割を占め、地域の景気や公共投資の変化に左右される。連結売上は約 540 億円と小さく、大型案件の失敗が利益に響きやすい。地元の知名度と特命の関係は強みだが、同じ理由で成長の余地は限られる。
今後の分かれ目
- 受注高が 2 期連続で前の年を下回ったら
- やや悲観の筋書きに確率を寄せる。受注残が薄くなり、利益率の戻りが早まる。
- 営業利益率が 9% を超えて 2 年続いたら
- 強気側の確率を上げてよい。ただし、資材高の転嫁か、加工の効率化かを確かめる。
- ヤマトテクノパークが予定どおり動き、加工量が目に見えて増えたら
- やや強気の筋書きの確率を上げる。人手不足の中で施工できる量が伸びる証拠になる。
- 大型案件で数億円規模の損失が出たら
- 利益の質を見直す。受注時に採算を選ぶ仕組みが崩れた兆しかを確かめる。
- 水処理プラントの売上が前の期を上回り続け、利益率も保たれたら
- 中立の数量と利益率を上げる余地が出る。公共の更新工事は景気の波が小さい。
- 景気が急に冷え、企業が設備投資を凍結したら
- 10 年の悲観の筋書きが近づく。ただし財務が強く、配当は DOE を支えに保たれやすい。
見ておくもの
- 四半期ごとの受注高と受注残、空調・衛生の受注の動き
- 営業利益率の推移(9% を保てるか、2027 年 3 月期の着地)
- ヤマトテクノパークの稼働時期と、減価償却の負担
- 水処理プラントと電気・通信の売上の伸び
- 配当性向 45%・DOE 4% の運用と、自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
売上は『施工量 × 1 人年あたり完成工事高』で積み、物価 3% は価格に入れた。国内の工事量は人手不足と人口で頭打ちとし、中立の空調・衛生は 10 年で 1.04 倍、利益率は 10.0% から 8.0% へ戻る置き方にした(過去 12 年の最高は 9.9%)。倍率は k 7.5%(基本 7.5% + quality 0.5%)・g 4% の式で、中立は ROE が k を下回るため上限 1÷k = 12.5 倍の約 8 割 8 分に置き、今の PER や同業の値には寄せていない。悲観は稼ぐ力を超えない 8.5 倍で、谷の PBR は使っていない。純現金は 42 億円で時価総額の 9% にとどまり、前受金(未成工事受入金)・工事未払金・借入 39 億円と同居する運転資金なので余った現金は分けていない。工事会社で賃借は小さく、新リース会計基準(2028/03 期)の影響は小さい。数字は、家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.8→15.87 倍・やや楽観 PER 12.5→14.55 倍・中立 PER 11→13.62 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.5% = 8.0%。理由は quality_why。個別のリスク(テクノパークの稼働・大型案件の採算など)は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。