結論
石塚硝子は、飲料や食品、化粧品の容器をつくる会社だ。ガラスびんで知られるが、いまの稼ぎ頭はプラスチック容器で、営業利益の4割を出す。ほかに紙容器、食器・調理器具(ハウスウェア)、産業用素材、パウチ飲料の充填を持つ。2026年3月期の売上は595億円、営業利益は42億円だった。
筆者の結論は、割安である。時価総額は126億円で、純資産393億円の3分の1にとどまる。稼ぐ力は資本コストに届かず、純有利子負債は営業利益の約5倍と重い。それでも、71億円の政策保有株と、16億円の含みがある賃貸不動産が、財布の中で眠っている。
今期の会社予想は、営業利益35億円と16%の減益だ。ガラスびんの出荷量が業界全体で5.5%減り、ハウスウェアも伸びない。ただ、中期計画はROE8%以上を2027年度に前倒しし、設備投資のピークも越えた。
10年先の中立は、営業利益が48億円まで緩やかに増える姿で、利益率は6%台に戻る。配当性向が1割台の低さが続く限り、利益は会社に積もる。この積もる現金の価値を、筆者はどの筋書きにも入れた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安全域は広いが、稼ぐ力は弱い」という型だ。時価総額は純資産の3分の1で、純資産の中には政策保有株71億円と、含みのある賃貸不動産が入っている。この2つだけで時価総額の約6割に相当する。
ただし、安いことと良い会社であることは別だ。営業利益率は過去10年のうち7年が4%以下で、ROEの中央値は6.9%、資本コストの9%を下回る。事業の経済性は、資本を食う割に稼ぎが小さい。さらに、ガラスびんの溶解炉は数年おきに大きな更新費用がかかり、利益が出ても現金が残りにくい。
経営はこの数年、設備更新と借入の削減を進め、ROE8%を掲げた。ただ、配当性向は1割台のままで、株主に報いる姿勢は弱い。筆者は、この株を持つなら、稼ぎ力の回復を待つのではなく、資産の価値が見直される場面(政策保有株の売却、賃貸不動産の売却、株主還元の強化)に賭けることになると見る。
払う値段に対する余裕は、広い。ただし、その余裕は事業の質ではなく、資産の厚みから来ている点を忘れてはならない。10年持つ株主には、積もる現金が使われる先を見守る忍耐が要る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、容器の製造と販売だ。2026年3月期の売上595億円のうち、包装容器が363億円、ハウスウェアが132億円、産業マテリアルが47億円、その他が53億円を占める。包装容器の中身は、ガラスびん113億円、プラスチック容器159億円、紙容器92億円である。
営業利益は、プラスチック容器が16.8億円と最大で、利益率は10.6%と高い。ハウスウェアが8.8億円、ガラスびんが7.3億円、紙容器が4.2億円、産業マテリアルが5.0億円で、その他は0.5億円の赤字だった。ガラスびんは、ビール、清酒、焼酎、ドリンク、調味料向けに、溶解炉で1,500度近くまで熱して作る。炉は一度火を入れると止めにくく、十数年で建て替える。
2026年3月期は、増収効果、ガラスびんの設備更新による生産性の向上、販売価格の見直しで営業利益が8%増えた。純利益は税金費用の増加で15%減った。設備投資は55億円で、プラスチック容器に25億円、パウチ飲料の充填に19億円、ガラスびんに6億円を投じた。
従業員は連結で1,880人。国内が中心で、茨城、愛知、兵庫などに工場や賃貸用の工業施設がある。親会社はなく、明治安田生命(5.3%)、みずほ銀行(4.2%)、三菱UFJ銀行(3.2%)、第一生命(2.9%)などの金融機関が上位に並ぶ。創業家の石塚芳三氏は2.1%を持つ。
優良さと弱いところ
強みは、顧客と長く組んで作る容器のノウハウと、複数の素材を持つ広がりだ。ガラスびん、プラスチック、紙のどれでも提案でき、飲料メーカーや食品メーカーの切り替え需要に応じやすい。プラスチック容器は営業利益率が10%を超え、会社の中で最も稼ぎが強い。パウチ飲料の充填は、受託で工場を持つ形に近く、設備を持たない顧客の取り込みに向く。
弱みは3つある。1つは財務で、純有利子負債が198億円と営業利益の約5倍に達する。営業利益が支払利息の約10倍まで払える一方、赤字の期は過去に4回(2009年、2011年、2012年、2021年の各3月期)あった。2つ目はガラスびんの縮小で、2025年の業界の出荷重量は前年比94.5%まで落ちた。3つ目は株主への戻しの薄さで、配当性向は5〜17%にとどまる。
筆者は、堀を弱めに見る。容器は顧客の仕様に合わせた作りが多く、乗り換えは難しいが、価格を決める力はない。エネルギー費や原料の上昇を価格に通すのに時間差があり、その間の利益が削られる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ガラスびんは、国内の成熟した市場だ。ビールの缶・樽へのシフト、清酒・焼酎の消費減、軽量化(薄肉化)で、出荷重量は長期で縮小してきた。2025年は前年比94.5%と、減りが加速した。一方、栄養ドリンクや調味料、化粧品向けなど、高付加価値のびんは底堅い。ガラスびんの溶解炉は、電気やガスの高騰を直接受ける。業界は寡占的で、価格の改定は各社が同じ時期に進めやすいが、遅れは出る。
プラスチック容器は、食品・日用品・化粧品向けに裾野が広く、軽さと割れにくさで伸びてきた。環境規制(再生材や植物由来樹脂の使用)の動きは、コストと提案の機会の両面で効く。紙容器は、牛乳やジュースのカートンが中心で、少子化の影響を受けやすい。
ハウスウェアは、食器・調理器具が中心だ。国内の婚礼・贈答の減少と輸入品との競争で、量は細る。業務用や海外向けで補う形になる。パウチ飲料の充填は、ゼリー飲料などの伸びる分野で、設備の稼働率が利益を左右する。
競争の形は、ガラスびんは国内数社の寡占、プラスチック容器は大手から中堅まで多数の分散、紙容器は大手が中心だ。今後の鍵は、エネルギー費の転嫁、溶解炉更新の費用、環境規制への対応の3つである。石塚硝子の相対的な位置は、規模で劣るが、素材をまたぐ総合力で勝負する中堅だ。
資本政策と M&A
資本政策は、借入を減らしながら設備更新を終えた段階だ。設備投資は2024年3月期に99億円、2025年3月期に101億円と膨らんだが、2026年3月期は55億円に減った。営業キャッシュフローは83億円で、純有利子負債は218億円から198億円に20億円減った。
2026年1月に、中期経営計画の目標を見直した。ROE8%以上の達成を2030年度から2027年度に前倒しした一方、営業利益50億円の目標は据え置いた。優先は収益の安定化と財務の健全性で、積極的な株主還元ではない。
配当は2026年3月期が総額約2.9億円で、配当性向は11.2%、総還元性向は16.5%だった。2027年3月期の予想も総額約3億円、配当性向14.0%と低い。自社株買いは1.4億円にとどまる。過去10期で配当性向が15%を超えたのは、2023年3月期(利益が小さい年)だけである。
筆者が注意するのは、株主への戻しの薄さだ。利益は会社に積もるが、積もった現金が株主の価値になるには、借金の返済か事業への再投資、または還元が必要になる。この点は、戻り方を0.5として、どの筋書きでも半分に割り引いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
値段が低すぎる。時価総額は126億円で、純資産393億円の3分の1だ。政策保有株71億円は、売れば借金の返済に回せる。賃貸用の工業施設は、簿価55億円に対し時価が71億円と、16億円の含みがある。この2つで87億円、時価総額の約7割に達する。
事業の回復も見える。2026年3月期の営業利益は42億円と8%増え、2028年3月期の会社予想は45億円だ。プラスチック容器は利益率が10%を超え、パウチ飲料の充填は新しい稼ぎ口になる。設備投資は2年続けた100億円から55億円に減り、投資の負担が軽くなる。営業キャッシュフローが83億円ある以上、借入は減り続ける。
中期計画はROE8%を2027年度に前倒しした。ROEの目標を公に掲げた会社は、資産の見直しや還元の強化に動く例が多い。東証の資本効率改善の要請も追い風になる。PBRが3分の1の会社は、株主からの圧力も受けやすい。株価が純資産の3分の1しかない会社は、増配や自社株買いを求められ、持ち合い株の見直しも迫られやすい。
慎重な見方
稼ぐ力が資本コストに届かない。営業利益率は、過去10年のうち7年が4%以下で、ROEの中央値は6.9%と資本コストの9%を下回る。純資産の3分の1という値段は、割安ではなく、稼げない会社への妥当な割引にすぎない。
ガラスびんは、業界の出荷が前年比94.5%まで減った。2027年3月期の営業利益は35億円と16%の減益予想で、1〜6月期の営業利益も16%減っている。ハウスウェアは国内の需要が細り、輸入品との競争も続く。溶解炉の更新には巨額の資金がかかり、営業キャッシュフローは設備投資に消える。
純有利子負債は198億円と、営業利益の約5倍。金利が上がれば、利益はさらに削られる。政策保有株や賃貸不動産は、売るかどうかを会社が決めるもので、株主が自由に取り出せない。配当性向が1割台の会社に、積もる現金が還元される保証はない。この会社は何年も、利益を積み上げても株価が上がらない「割安のまま」の会社だった。
どちらに重みを置いたか
強い方は慎重な見方だ。資産の厚みは事実だが、稼ぐ力の弱さと還元の薄さも事実である。中立は、営業利益が48億円まで増える姿で、利益率は6%台に置いた。2028年3月期の会社予想45億円を、緩やかに超える程度だ。
確率は、中立を最も厚く、やや悲観にも2割台半ばを置いた。楽観は、プラスチック容器とパウチの拡大が実り、利益率が8%に迫る展開で、1割に満たない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 8,062 円338 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,250 円52 億円)。 今の値に割り戻すと 4,585 円192 億円、今との差 +57.0%、 期待の年率 +12.3%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 15,729 円659 億円 | 2,626 円110 億円 | +528.6% | +20.2% | 1,285 円54 億円 |
| やや楽観 | 20% | 12,425 円521 億円 | 1,910 円80 億円 | +390.9% | +17.2% | 2,867 円120 億円 |
| 中立 | 36% | 9,742 円408 億円 | 1,241 円52 億円 | +276.1% | +14.2% | 3,954 円166 億円 |
| やや悲観 | 25% | 3,547 円149 億円 | 859 円36 億円 | +50.9% | +4.2% | 1,102 円46 億円 |
| 悲観 | 12% | 687 円29 億円 | 191 円8 億円 | −69.9% | −11.3% | 105 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 8,062 円338 億円 | 1,250 円52 億円 | +218.9% | +12.3% | 9,313 円390 億円 |
今の株価時価総額 2,920 円122 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% プラスチック容器とパウチが伸び、利益率が8%に迫る 利益 49 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 15,729 円659 億円
プラスチック容器は食品・化粧品向けの提案が実り、使用量が今の1.35倍に増え、利益率は11.5%に届く。パウチ飲料の充填は、ゼリー飲料や機能性飲料の伸びを取り込み、産業・その他の取扱量が今の1.35倍まで増える。
ガラスびんは、高付加価値のびんが底堅く、縮小は10年で7%にとどまる。エネルギー費の上昇は、値上げで通る。値上げは物価を少し上回る1.40倍に達する。
営業利益は73億円に増え、営業利益率は7.8%に達する。純利益は48億円で、純有利子負債は返済が進み、100億円を下回る。政策保有株は売却して借入の返済に回り、配当性向も3割近くまで高まる。ROEは事業の分で約9%に達し、資本コストに届く。
- ガラスびん:数量 10.2(出荷量(万トン、推定))× 価格 14(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 147 億円・営業利益 10 億円。数量-7%・価格1.40倍
- 紙容器:数量 3.5(使用量(万トン、推定))× 価格 36(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 127 億円・営業利益 7 億円。数量+0%・価格1.38倍
- プラスチック容器:数量 7.4(樹脂使用量(万トン、推定))× 価格 40(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 301 億円・営業利益 35 億円。数量+35%・価格1.40倍
- ハウスウェア:数量 1.9(出荷個数(億個、推定))× 価格 91(1個あたり売上(億円/億個=円、名目))→ 売上 177 億円・営業利益 13 億円。数量-3%・価格1.38倍
- 産業マテリアル・その他:数量 4.1(取扱量(万トン換算、推定))× 価格 46(1万トン換算あたり売上(億円、名目))→ 売上 187 億円・営業利益 11 億円。数量+35%・価格1.40倍
倍率:事業の純利益 48 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.1% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)62 億円。全体の PER 12.61 倍、時価総額 659 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:プラスチック容器とパウチ充填が大きく伸び、びんの縮小も緩やかになる姿。強気が当たる部分に限り、1割未満とした。
やや楽観 20% プラスチックとパウチが支え、利益率が6〜7%に戻る 利益 38 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 12,425 円521 億円
プラスチック容器の使用量は、10年で2割強増える。パウチ飲料の充填も増え、産業・その他の取扱量は2割増える。値上げは物価並みの1.37倍で、エネルギー費の上昇をおおむね通す。
ガラスびんは、出荷量が10年で1割減る。ハウスウェアも5%減るが、業務用と海外で下支えする。
営業利益は59億円に増え、営業利益率は6.8%になる。純利益は38億円。設備投資は溶解炉の更新を挟みながらも、営業キャッシュフローの範囲に収まる。純有利子負債は150億円ほどまで減る。配当性向は2割台に上がり、2027年度のROE8%はおおむね達成する。
- ガラスびん:数量 9.9(出荷量(万トン、推定))× 価格 14(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 139 億円・営業利益 9 億円。数量-10%・価格1.37倍
- 紙容器:数量 3.4(使用量(万トン、推定))× 価格 36(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 123 億円・営業利益 6 億円。数量-2%・価格1.36倍
- プラスチック容器:数量 6.7(樹脂使用量(万トン、推定))× 価格 40(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 266 億円・営業利益 28 億円。数量+22%・価格1.37倍
- ハウスウェア:数量 1.9(出荷個数(億個、推定))× 価格 88(1個あたり売上(億円/億個=円、名目))→ 売上 168 億円・営業利益 10 億円。数量-5%・価格1.34倍
- 産業マテリアル・その他:数量 3.6(取扱量(万トン換算、推定))× 価格 45(1万トン換算あたり売上(億円、名目))→ 売上 163 億円・営業利益 9 億円。数量+20%・価格1.37倍
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)62 億円。全体の PER 12.55 倍、時価総額 520 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:プラスチック容器とパウチ充填が伸び、びんの縮小は続くが、全体では利益が増える姿。強気の根拠が半分当たる場合として2割に置いた。
中立 36% 利益は緩やかに増えるが、利益率は6%どまり 利益 29 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 9,742 円408 億円
プラスチック容器の使用量は、10年で1割増える。産業・その他は8%増える。ガラスびんは14%減り、ハウスウェアも8%減る。紙容器は5%減る。
値上げは物価並みの1.34倍だが、ハウスウェアは輸入品との競争で1.30倍にとどまる。溶解炉の更新費用がかさみ、償却費が増えるため、営業利益率は6%台前半に落ち着く。
営業利益は48億円に増え、2028年3月期の会社予想45億円を緩やかに超える。純利益は29億円、ROEは事業の分で約7%。純有利子負債は少しずつ減るが、配当性向が1割台のため、利益の多くは会社に積もる。積もる現金は、返済と再投資に使われる。政策保有株や賃貸不動産の売却は、必要な時に進む。
- ガラスびん:数量 9.5(出荷量(万トン、推定))× 価格 14(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 130 億円・営業利益 7 億円。数量-14%・価格1.34倍
- 紙容器:数量 3.3(使用量(万トン、推定))× 価格 35(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 117 億円・営業利益 5 億円。数量-5%・価格1.34倍
- プラスチック容器:数量 6.1(樹脂使用量(万トン、推定))× 価格 39(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 234 億円・営業利益 22 億円。数量+10%・価格1.34倍
- ハウスウェア:数量 1.8(出荷個数(億個、推定))× 価格 86(1個あたり売上(億円/億個=円、名目))→ 売上 158 億円・営業利益 9 億円。数量-8%・価格1.30倍
- 産業マテリアル・その他:数量 3.2(取扱量(万トン換算、推定))× 価格 44(1万トン換算あたり売上(億円、名目))→ 売上 143 億円・営業利益 6 億円。数量+8%・価格1.34倍
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)62 億円。全体の PER 12.57 倍、時価総額 408 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:プラスチックと産業向けが増える一方、びんとハウスウェアが縮み、利益率は戻りきらない姿。2つの見方の落としどころで、最も厚い3割台に置いた。
やや悲観 25% びんとハウスウェアが縮み、価格を通せない 利益 16 億円 · PER 6.8 倍 · 株価時価総額 3,547 円149 億円
ガラスびんの出荷量が10年で2割減り、ハウスウェアは15%減る。値上げは物価に届かず、びんは1.28倍、ハウスウェアは1.25倍にとどまる。エネルギー費の上昇を、全額は転嫁できない。
プラスチック容器は、市場の価格競争で利益率が7.5%まで下がる。
営業利益は29億円まで落ち、営業利益率は4.2%。純利益は16億円、ROEは3%台。純有利子負債は200億円前後から減らない。溶解炉の更新費用が営業キャッシュフローを食い、配当は据え置きになる。金利の上昇は、利益をさらに削る。政策保有株の売却は進むが、借入の返済に消える。
- ガラスびん:数量 8.8(出荷量(万トン、推定))× 価格 13(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 116 億円・営業利益 4 億円。数量-20%・価格1.28倍
- 紙容器:数量 3.2(使用量(万トン、推定))× 価格 34(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 108 億円・営業利益 3 億円。数量-10%・価格1.30倍
- プラスチック容器:数量 5.4(樹脂使用量(万トン、推定))× 価格 38(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 203 億円・営業利益 15 億円。数量-2%・価格1.30倍
- ハウスウェア:数量 1.7(出荷個数(億個、推定))× 価格 83(1個あたり売上(億円/億個=円、名目))→ 売上 140 億円・営業利益 5 億円。数量-15%・価格1.25倍
- 産業マテリアル・その他:数量 2.9(取扱量(万トン換算、推定))× 価格 42(1万トン換算あたり売上(億円、名目))→ 売上 120 億円・営業利益 4 億円。数量-5%・価格1.28倍
倍率:事業の ROE は約3.5%で k 8%を大きく下回る。ROE が k 以下なので上限は 1÷k の約11.1倍。稼ぐ力が資本コストの半分以下で、上限の約6割の6.8倍に置いた。
確率:ガラスびんの縮小が加速し、エネルギー費の転嫁が遅れる姿。成熟市場の素材メーカーの本流として2割台半ばに置いた。
悲観 12% エネルギー費の高騰を転嫁できず、赤字と減損が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 687 円29 億円
ガラスびんの出荷が10年で3割減り、値上げは1.18倍にとどまる。ハウスウェアは国内需要が細り、赤字になる。溶解炉の更新を先送りできず、設備の減損も出る。
プラスチック容器の利益率も4.5%まで下がる。営業利益は7億円ほどで、金利を払うと赤字になる。純損失が出る年が続き、減損も重なって自己資本は370億円台まで減る。配当は止まる。
借入の借り換えは厳しくなり、金利は上がる。財務上の条件に触れて、政策保有株や賃貸不動産を急いで売る展開になる。売却価格は帳簿を割り込む。事業としての稼ぎは残らず、残るのは売れる資産の額だけになる。株主に回るのは、債務を払った後の残りでしかない。
- ガラスびん:数量 7.7(出荷量(万トン、推定))× 価格 12(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 93 億円・営業利益 0 億円。数量-30%・価格1.18倍
- 紙容器:数量 2.8(使用量(万トン、推定))× 価格 32(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 88 億円・営業利益 1 億円。数量-20%・価格1.20倍
- プラスチック容器:数量 5.0(樹脂使用量(万トン、推定))× 価格 35(1万トンあたり売上(億円、名目))→ 売上 172 億円・営業利益 8 億円。数量-10%・価格1.20倍
- ハウスウェア:数量 1.4(出荷個数(億個、推定))× 価格 76(1個あたり売上(億円/億個=円、名目))→ 売上 106 億円・営業利益 0 億円。数量-30%・価格1.15倍
- 産業マテリアル・その他:数量 2.6(取扱量(万トン換算、推定))× 価格 39(1万トン換算あたり売上(億円、名目))→ 売上 99 億円・営業利益 1 億円。数量-15%・価格1.18倍
倍率:赤字で稼ぐ力はほぼゼロ。残るのは売掛金・棚卸資産などの現金化できる資産と、政策保有株や賃貸不動産の売却額だ。債務を差し引いた清算価値に近く、今の自己資本378億円の約8%にあたる29億円に置いた。EV ÷ 営業利益(EVは時価総額に純有利子負債198億円を足した値)で見ると32倍と高く見えるが、これは営業利益が7億円と小さいためで、利益の倍率では測れない筋書きである。
確率:電力・ガスの高騰を価格に通せず、びんの縮小も重なって赤字が続く姿。過去に赤字の期が4回あった会社として、10年で起きる確率を1割強とみた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ガラスびん
ビール・清酒・焼酎・ドリンク・調味料向けのガラスびん。溶解炉で作る。
| 数量出荷量(万トン、推定) | 価格1万トンあたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 11.0 | 10 | 113 | 7 |
| 10 年後 中立 | 9.5 | 14 | 130 | 7 |
取り方:売上113億円と営業利益7.3億円は開示(セグメント)。出荷量は、1万トンあたり約10億円という国内のびんの値段感から11万トンと置いた推定。
紙容器
牛乳・ジュース・飲料向けの紙パック・カートン。
| 数量使用量(万トン、推定) | 価格1万トンあたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.5 | 26 | 92 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3.3 | 35 | 117 | 5 |
取り方:売上92.1億円と営業利益4.2億円は開示。使用量は、紙容器の1万トンあたり約26億円という値段感から3.5万トンと置いた推定。
プラスチック容器
食品・飲料・化粧品・日用品向けのプラスチック容器。最大の稼ぎ頭。
| 数量樹脂使用量(万トン、推定) | 価格1万トンあたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5.5 | 29 | 159 | 17 |
| 10 年後 中立 | 6.1 | 39 | 234 | 22 |
取り方:売上159億円と営業利益16.8億円は開示。使用量は、容器の1万トンあたり約29億円という値段感から5.5万トンと置いた推定。
ハウスウェア
食器・調理器具・ガラス製品。国内の贈答・業務用と輸入品との競争。
| 数量出荷個数(億個、推定) | 価格1個あたり売上(億円/億個=円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2.0 | 66 | 132 | 9 |
| 10 年後 中立 | 1.8 | 86 | 158 | 9 |
取り方:売上132億円と営業利益8.8億円は開示。個数は、1億個あたり約66億円という食器・調理器具の平均的な値段感から2億個と置いた推定。
産業マテリアル・その他
産業用ガラス素材、パウチ飲料の充填、物流など。パウチ充填は設備投資が続く成長枠。
| 数量取扱量(万トン換算、推定) | 価格1万トン換算あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.0 | 33 | 99 | 5 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 44 | 143 | 6 |
取り方:産業マテリアル46.6億円とその他52.9億円の合計約99億円と、営業利益5.0億円とマイナス0.5億円の合計4.5億円は開示。取扱量は、1万トン換算あたり33億円と置いた推定(受託・加工が混ざるため粗い換算)。
リスクと懸念
ガラスびんの出荷縮小
2025年の業界出荷重量は前年比94.5%。ビールの缶・樽への移行、清酒・焼酎の消費減、軽量化で長期に縮む。縮小が加速すると、固定費の重い溶解炉の稼働率が下がり、利益率が崩れる。
エネルギー費の転嫁の遅れ
ガラスびんの溶解炉は電力・ガスを大量に使う。燃料費が急騰した時に、価格改定が遅れる期間の利益が削られる。2022年3月期から2023年3月期にかけて、純利益が22億円から2.5億円へ落ちた。
純有利子負債と金利
純有利子負債は198億円で、営業利益の約5倍、自己資本の約0.5倍。金利が上がると、利益が削られる。借り換えが3.5%になれば、10年で純利益が約5億円減る(brief の推定)。
溶解炉の更新費用
ガラスびんの炉は十数年で建て替える。設備投資は2024年3月期に99億円、2025年3月期に101億円と膨らんだ。次の更新期に、営業キャッシュフローを超える投資が必要になる恐れがある。
株主還元の薄さ
配当性向は過去10期で5〜17%(2023年3月期のみ58%)。自社株買いは1.4億円。利益が積もっても、株主に戻る保証はなく、PBRが低いまま放置される恐れがある。
ハウスウェアの縮小と輸入品との競争
食器・調理器具は、国内の贈答・婚礼の減少と輸入品の安さで量が細る。営業利益率は6.7%と高めだが、価格を守れなければ、赤字の部門に近づく。
買収・資本異動の可能性
PBRが3分の1で、親会社がなく、持ち合いの金融機関が上位に並ぶ。kabufu のモンテカルロでは、10年以内の買収の確率が約33%と出る。買収が起きれば値段は大きく動くが、起きない前提で筋書きを組んだ。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が会社予想35億円を上回る
- 価格転嫁と設備更新の効果が出ており、中立の営業利益率を上げる根拠になる。やや楽観の重みが増す。
- 政策保有株や賃貸不動産の売却を発表し、借入の返済や自社株買いに充てる
- 積もる現金の戻り方を0.5から上げる根拠になり、割安の度合いが縮む方向に働く。
- 配当性向を30%以上に引き上げる方針を出す
- 戻り方が改善し、PBR0.3倍台の割安が解消に向かう。やや楽観に近づく。
- 電力・ガスの高騰が続き、価格改定が遅れる
- ガラスびんの利益が削られ、やや悲観から悲観に近づく。
- ガラスびんの業界出荷が2年続けて前年比5%超減る
- 炉の稼働率が下がり、固定費が重くなる。びんの縮小の置き方を深くする。
見ておくもの
- 四半期ごとの営業利益(2027年3月期1〜6月期は前年同期比16%減)
- ガラスびんの業界出荷重量(ガラスびん協会の月次)
- 電力・ガス・原料樹脂の価格と、価格改定の実施時期
- 純有利子負債の推移と、営業キャッシュフローに対する設備投資の比
- 政策保有株・賃貸不動産の売却と、配当性向・自社株買いの発表
- プラスチック容器とパウチ充填の営業利益の伸び
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業の ROE(ならした純利益と自己資本から約3〜9%)、k 8%、g 3.5〜4% の式から出した正当化 PER を土台にした。ROE が k 以下の中立とやや悲観は、上限 1÷k の約11.1倍に対し約6〜7割で、今の PER(約4.8倍)や同業の倍率は見ていない。PBR 0.33 という足元の値段は、結果を比べただけで倍率の根拠にしていない。5210(日本山村硝子)の中立 PER 8.8倍と比べると、k が0.5ポイント高い分と借金の重さで8倍に置いた。新リース会計基準は、今の形でそろえた。減価償却は取得時の値段のままで、溶解炉の更新だけが建築費の上昇で膨らむ点は、中立の利益率を6%台前半に抑えた理由の一部である。減価償却費は開示の抜粋で確認できず、営業キャッシュフローと設備投資から約43億円と推定した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.61 倍・やや楽観 PER 9→12.55 倍・中立 PER 8→12.57 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に quality+1.5%を足して9.0%。個別の懸念は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.00%。