結論
ダントーホールディングスは、兵庫県の淡路島でタイルをつくる老舗だ。外壁や床の陶磁器質タイルが売上の8割を占め、不動産、LPガス発電機、系統用蓄電池も手がける。筆者の結論は、大幅な割高である。10年で測った価値は、今の時価総額の1割に届かない。
2025年12月期の純利益は7億円だが、土地などの売却益18億円が押し上げたもので、本業は営業赤字6.6億円だった。営業赤字は2014年12月期から12年続いている。有価証券報告書には、事業を続けられるかに重要な疑義があると明記されている。今期は純損失8億円の予想で、無配が続く。
自己資本比率は77%、現金は17億円あり、すぐに資金が尽きる形ではない。ただ、稼ぎを生まない資産は、帳簿どおりの価値にならない。蓄電池などの新しい事業は小さく、株価の期待に見合う利益はまだ見えない。
中立の10年後は、営業利益3億円台、純利益3.7億円と置く。稼ぐ力は不動産が支え、タイルは赤字を残す。割り戻すと、今の時価総額を大きく下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、手を出さない会社だ。事業の本質は、需要が縮む市場で価格競争にさらされるタイルの製造であり、12年続けて営業赤字を出している。長く持ちたい事業の条件を満たさない。
資本の使い方にも不安がある。資産を売って赤字を埋める経営は、一時の現金を作れても、株主の価値を高めはしない。新しい事業への賭けは、本業の失敗を補う動きに見える。
安全域はない。純利益が黒字に見える年があっても、売却益を除けば営業赤字だ。自己資本84億円の大半は、稼げない設備と在庫、現金だ。時価総額225億円は、その帳簿の2.7倍で、蓄電池への期待を先に払っている。筆者は、稼ぐ力の証拠が出るまで評価を上げられないと見る。
経営が示す『資産売却と新事業で再建する』筋書きは、投資家が経営者に求める資本配分の規律とは逆の動きだ。筆者は、実績が示されるまで、この会社の将来の稼ぎに高い値段を払う理由はないと見る。
何で稼ぐ会社か
事業は大きく4つに分かれる。主力は建設用陶磁器等で、2025年12月期の売上は42億円。マンションや商業施設の外壁、床に使うタイルを、淡路島の工場でつくる。ブランドは自社の『A.a.Danto』が中心で、2025年11月に新製品『NOU』『FBR』を発表した。
不動産事業は売上5億円ほどだが、営業利益は2.6億円と、全社の利益を支える。自社の土地と建物の賃貸、アセットマネジメント(他人の資産の運用)による手数料が柱だ。2025年にも保有資産の一部を売却し、現金25億円を得た。
新事業として、LPガス発電機の販売と系統用蓄電池に取り組む。蓄電池の子会社ダントー・ネオエナジーは2025年3月に設立され、2026年1月に完全子会社になる予定だ。太陽光の子会社は2025年12月に譲渡した。住宅金融は前期に子会社株を譲渡して撤退した。
連結の従業員は165人で、うち151人がタイルだ。工場は淡路島(阿万・福良)に集中している。宇都宮工場は2011年に閉じた。
売上の構成は、タイルが8割台、不動産が1割、新エネルギーが数%。利益は、不動産が稼ぎ、タイルが食う構図が続いている。
優良さと弱いところ
優良とは言えない。堀、つまり他社が真似できない強みは、国内に残る数少ない総合タイルメーカーとしての技術と、点字タイルなど特殊品の実績にある。ただしマンション向け外壁タイルの需要は細り、輸入品や大手メーカーとの価格競争で、値段を自分で決める力は弱い。
数字は厳しい。営業利益率は直近12年で一度も黒字になっていない。最良の年でも2016年12月期の−5.5%だ。売上は10年で年率1.7%縮み、2023年12月期には第三者割当(TAT Capital Fund)で株を増やして資金を入れた。
財務は、自己資本比率77%と厚いのが救いだ。ただし厚い理由は、土地や設備を売って現金を作り、赤字を埋めてきたためだ。営業キャッシュフローも2.9億円のマイナスで、資産を売り続けられる期間には限りがある。
その他の関係会社の大建エンタープライズが議決権の30%台を持つ。経営の裁量は大株主に近く、少数株主が資本の使い方に口を出す余地は小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のタイル市場は、新築マンションの外壁需要と、商業施設の内装で支えられてきた。ところがマンションの着工は人口減少と建築費の高騰で細り、外壁を軽い素材やサイディングに替える動きも進んでいる。タイルの出荷額の全国統計は確かめられなかったが、国内の需要が長く縮んできたことは各社の売上からも読める。
競合は、LIXIL、名古屋モザイク工業、平田タイル、多治見の中堅メーカー、海外からの輸入品だ。大手は輸入と国内生産を組み合わせて価格を作る。ダントーは国内生産に絞り、製造コストの高さで価格競争に弱い。
物価3%と円安150円の世界では、燃料(ガス・電気)、原料、人件費が上がる。タイルは窯で焼くため、エネルギーコストの影響が大きい。値上げが通るかは需要次第で、需要が細る中では通りにくい。
蓄電池は、再生可能エネルギーの拡大で系統の調整需要が増える成長分野だが、参入企業が多く、立地や接続権の確保が勝負になる。小さな会社が資金面で戦えるかは未知数だ。
同じ領域の会社の中で、ダントーは売上が最も小さく、国内生産に絞った点で独特だ。輸入品との価格差が広がるほど、国内生産の理由を新ブランドの価値で説明する必要がある。
資本政策と M&A
配当は2025年12月期が無配で、次期も見送る予定。方針は『安定配当が第一』だが、赤字が続く間は出せない。自社株買いの実績もない。株主優待も確かめられなかった。
資本政策は、資産売却と第三者割当で資金を作り、赤字を埋める形が続いた。2025年は固定資産の売却益が18.5億円あり、これが純利益を黒字にした。今期の特別利益は小さく、純損失8億円の予想だ。
M&Aでは、住宅金融の子会社と太陽光の子会社を相次いで手放し、蓄電池の子会社を新設した。事業の入れ替えを進めているが、新事業の収益はまだ立っていない。
外部の推計では、10年以内にTOBなどで買われる確率は17.9%。大株主の大建エンタープライズが議決権の30%台を持つため、完全子会社化の可能性はある。ただし本質価値は買収の期待では上げない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ダントーは12年続いた赤字の底を打ちつつある。会社の来期の予想は営業損失が2億円台まで縮み、新ブランドの『NOU』『FBR』が商業施設の需要を取れば、工場の稼働率が上がって原価が下がる。固定費の重い工場は、売上が1割増えるだけで利益が大きく動く構造だ。
不動産事業は営業利益2.6億円と安定し、アセットマネジメントの残高が積み上がれば手数料が増える。系統用蓄電池は、再エネの拡大で国が支援する成長分野で、蓄電所の権利を押さえた企業は大きな資産になる。ダントー・ネオエナジーが数か所の蓄電所を動かせば、売却益や運用収益が期待できる。
自己資本比率は77%で、借入はほとんどない。大株主の大建エンタープライズが背後にいて、資金面の支えも期待できる。事業を入れ替える動きが奏功すれば、10年後は営業黒字の会社になる。
なお、赤字の12年の中でも、売上が下げ止まった年や、原価率が改善した年はある。底を打ったという見方にも、数字の根拠が全くないわけではない。大株主の親会社が資金を出す意思を示せば、資金繰りの不安は和らぐ。
慎重な見方
営業赤字は2014年12月期から12年続いている。会社の再建策は何度も出されたが、利益は出ていない。今期は純損失8億円の予想で、有価証券報告書は事業の継続に重要な疑義があると記す。営業キャッシュフローもマイナスで、資産の売却で穴を埋める経営だ。
タイルの需要は細り続け、大手や輸入品との競争で値上げが通らない。売上は10年で年率1.7%縮んだ。エネルギーと人件費の上昇で、原価が先に上がる。淡路島の工場1か所に集中しており、事故や災害で止まれば全てが止まる。
蓄電池は参入が多く、小さな会社が接続権や資金で勝てる保証はない。発電機は売上1700万円に対し営業損失1.5億円と、まだ赤字の芽だ。新事業で本業の赤字を埋めるのは、規模から見て無理が大きい。売却できる資産が尽きれば、増資や身売りが避けられない。
なお、会社が掲げる新ブランドや蓄電池は、これまでの再建策と同じく、数年後に成果が出る前提の話にとどまる。過去に何度も繰り返された再建の構図から、慎重に見る根拠は十分にある。
どちらに重みを置いたか
事業の立て直しの芽はあるが、12年の赤字と継続企業の疑義は重い。慎重な見方の指摘が上回り、確率は中立とやや悲観・悲観に厚く置いた。楽観の筋書きでも、営業利益率は10%に届かせず、今の時価総額には遠く及ばない。資産の売却で純利益が黒字になる年があっても、本業の赤字が続くかぎり、本質価値の評価は変えない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 82 円26 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 32 円10 億円、今との差 −95.6%、 期待の年率 −19.2%(資本コスト 10.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 3% | 336 円108 億円 | 31 円10 億円 | −48.6% | −6.4% | 11 円4 億円 |
| やや楽観 | 10% | 208 円67 億円 | 12 円4 億円 | −69.2% | −11.1% | 22 円7 億円 |
| 中立 | 30% | 110 円35 億円 | 0 円0 億円 | −84.6% | −17.1% | 33 円11 億円 |
| やや悲観 | 32% | 37 円12 億円 | 0 円0 億円 | −94.8% | −25.5% | 12 円4 億円 |
| 悲観 | 25% | 25 円8 億円 | 0 円0 億円 | −96.5% | −28.5% | 6 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 82 円26 億円 | 2 円1 億円 | −88.2% | −19.2% | 84 円27 億円 |
今の株価時価総額 714 円229 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.5% を下回るほど割高。
楽観 3% 新ブランドと蓄電池が当たり、小さな黒字企業へ 利益 11 億円 · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 336 円108 億円
新ブランドが商業施設向けに定着し、工場の稼働率が上がる。タイルの出荷面積は110万平方メートルに増え、営業利益率は8%に乗る。系統用蓄電池は複数の蓄電所が稼働し、新エネルギー事業が黒字になる。不動産の運用残高も積み上がる。会社は借入を使わず、純利益は9億円ほど。配当は小さく再開する。それでも営業利益率は、1990年代の10%台には届かない。
配当の再開は小さいが、事業の自立を示す象徴になる。大株主との関係も安定し、資金面の不安が消える。
淡路島の工場は稼働率が上がり、固定費の負担が軽くなる。大株主との関係も良好に保たれる。
- 建設用陶磁器等(タイル):数量 110(タイル出荷面積(万平方メートル・推定))× 価格 0.74(1万平方メートル当たり売上(億円))→ 売上 81 億円・営業利益 7 億円。営業利益率8.0%
- 不動産事業:数量 12.0(賃貸・運用の案件数(推定))× 価格 1.16(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 6 億円。営業利益率45.0%
- 新エネルギー(発電機・蓄電池・再エネ):数量 12.0(案件数(推定))× 価格 0.66(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。営業利益率20.0%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 10.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 9.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.8 倍。全体の PER 9.78 倍、時価総額 108 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:12年の赤字からの本格回復と、新事業の成功が両方必要。10年でも利益率は10%に届かない。実現は難しいと見て5%未満に置いた。
やや楽観 10% 赤字を脱し小さな黒字が定着 利益 7 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 208 円67 億円
タイルの需要の底打ちとコスト改善で、営業利益は小さな黒字になる。出荷面積は95万平方メートル、営業利益率は3%。不動産は安定し、蓄電池は1〜2か所が動き始める。純利益は5億円で、資本コスト11.75%を超えない。配当は再開するが小さい。大株主の資金面の支えは続く。
黒字は定着しても、資本コスト11.75%を上回る水準には届かない。事業への再投資は小さく抑えられ、現金は少しずつ積み上がる。
新ブランドの受注が商業施設向けに積み上がり、淡路島の工場は稼働率が少し上がる。ただし国内の外壁需要は戻らない。
- 建設用陶磁器等(タイル):数量 95.0(タイル出荷面積(万平方メートル・推定))× 価格 0.70(1万平方メートル当たり売上(億円))→ 売上 67 億円・営業利益 2 億円。営業利益率3.0%
- 不動産事業:数量 10.0(賃貸・運用の案件数(推定))× 価格 1.16(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 5 億円。営業利益率45.0%
- 新エネルギー(発電機・蓄電池・再エネ):数量 8.0(案件数(推定))× 価格 0.66(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。営業利益率5.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 10.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 9.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.5 倍。全体の PER 9.52 倍、時価総額 67 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の来期予想(営業損失2億円台)が実現し、その後も改善が続く場合。コスト改善の実績は乏しいが、不動産が下支えする。
中立 30% 赤字はほぼ解消し小さな黒字に落ち着く 利益 4 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 110 円35 億円
タイルの需要は縮むが、新ブランドとコスト削減で赤字は縮小する。出荷面積は85万平方メートル、営業利益率は−2%。来期の会社予想はタイルで約−9%まで縮む見込みで、そこから10年かけて稼働率の改善と原価の削減が進み、−2%まで戻る。住宅金融と太陽光の撤退を実行した実績が裏づけだが、過去12年の最良(−5.5%)を超えるため確度は高くない。不動産の利益が全社を支え、営業利益は3億円台。純利益は受取利息を含めて3.7億円。配当はなく、自己資本は今期の赤字で一時目減りする。
タイルの赤字は縮小するが残り、不動産が穴を埋める。蓄電池は小さな案件にとどまり、利益への寄与は限られる。会社は資金に困らないが、成長もしない。
- 建設用陶磁器等(タイル):数量 85.0(タイル出荷面積(万平方メートル・推定))× 価格 0.70(1万平方メートル当たり売上(億円))→ 売上 60 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率-2.0%
- 不動産事業:数量 9.0(賃貸・運用の案件数(推定))× 価格 1.16(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 5 億円。営業利益率45.0%
- 新エネルギー(発電機・蓄電池・再エネ):数量 6.0(案件数(推定))× 価格 0.66(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 10.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 9.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.5 倍。全体の PER 9.52 倍、時価総額 35 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:来期予想の営業損失(約2億円)が数年かけて解消に向かい、不動産の利益で全社は小さな黒字になる。需要の縮小で伸びは無い。中心に置く筋書き。
やや悲観 32% 需要の縮小で赤字が戻り資産を食う 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 37 円12 億円
タイルの需要が構造的に細り、出荷面積は70万平方メートルまで減る。値引きでしか売れず、営業利益率は−12%に悪化する。不動産の利益は賃貸の縮小で減る。蓄電池は資金が続かず小さな規模にとどまる。毎年3億円台の純損失で、自己資本は34億円まで細る。売却できる資産が減り、増資か大株主の支援が必要になる。
工場の稼働率が下がり、固定費が重くのしかかる。不動産の収入は減らないが、全体の赤字を埋めるには足りない。
新ブランドも需要を取り込めず、在庫の評価損が出る。大株主に頼る資金調達の可能性が高まる。
景気の悪化でマンション着工がさらに落ち込めば、赤字の幅は広がる。
- 建設用陶磁器等(タイル):数量 70.0(タイル出荷面積(万平方メートル・推定))× 価格 0.67(1万平方メートル当たり売上(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 −6 億円。営業利益率-12.0%
- 不動産事業:数量 5.0(賃貸・運用の案件数(推定))× 価格 1.16(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。営業利益率40.0%
- 新エネルギー(発電機・蓄電池・再エネ):数量 3.0(案件数(推定))× 価格 0.66(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率-30.0%
倍率:赤字で稼ぐ力がないので、売れる資産の床で測る。売れる資産の税後(約12億円)を、今の自己資本84億円に掛けたPBRに直すと約0.14倍。
確率:売上の10年年率−1.7%の縮小、営業赤字12年の実績から、赤字が続く筋書きを厚く置いた。
悲観 25% 継続企業の疑義が現実になり希薄化 利益 −7 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 25 円8 億円
継続企業の疑義が現実になる。タイルの出荷は50万平方メートルに落ち、工場の一部を閉鎖して減損が出る。不動産の資産も売却して穴を埋める。新事業は撤退する。純損失が毎年6億円規模で続き、自己資本は19億円まで減る。最後は大株主による完全子会社化や、第三者割当による大幅な希薄化で、少数株主の価値は残った資産の売却価値に近づく。
事業の整理が進めば、不動産とエネルギーの小さな事業だけが残る可能性もある。そのとき株主に残る価値は、売却できる資産の価値にほぼ等しい。
株主への配当は再開できず、上場の維持にも影響が出る可能性がある。
- 建設用陶磁器等(タイル):数量 50.0(タイル出荷面積(万平方メートル・推定))× 価格 0.63(1万平方メートル当たり売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 −8 億円。営業利益率-25.0%
- 不動産事業:数量 3.0(賃貸・運用の案件数(推定))× 価格 1.16(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。営業利益率30.0%
- 新エネルギー(発電機・蓄電池・再エネ):数量 0.0(案件数(推定))× 価格 0.66(1案件当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。営業利益率-50.0%
倍率:赤字で稼ぐ力がなく、純利益×PERでは測れない。売れる資産の税後(約8億円)を床とし、今の自己資本84億円に掛けたPBRに直すと約0.10倍。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.095 倍・時価総額 8 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:有価証券報告書に継続企業の前提の疑義があり、営業キャッシュフローもマイナス。資産の売却が尽きた時に起きる最悪の筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設用陶磁器等(タイル)
外壁・床・内装向けの陶磁器質タイル。淡路島の工場でつくる。
| 数量タイル出荷面積(万平方メートル・推定) | 価格1万平方メートル当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 80.0 | 0.53 | 42 | −8 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 0.70 | 60 | −1 |
取り方:2025年12月期のタイル売上42.0億円を、平均単価を1平方メートル当たり約5千円台と推定して出荷面積約80万平方メートルに直した(開示では面積を確かめられず推定)。営業損失は開示の7.67億円。数量は面積で、需要が減る筋書きは面積を減らして表し、価格は物価3%(10年1.34倍)の名目に値引きの度合いを掛けた。
不動産事業
自社の土地・建物の賃貸とアセットマネジメントの手数料。
| 数量賃貸・運用の案件数(推定) | 価格1案件当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.0 | 0.87 | 5 | 3 |
| 10 年後 中立 | 9.0 | 1.16 | 10 | 5 |
取り方:2025年12月期の不動産売上は6.24億円(セグメント表)と5.19億円(販売実績表)で食い違う。連結売上との整合から5.19億円を採り、案件数は開示がなく推定6で割った。営業利益は開示の2.57億円。
新エネルギー(発電機・蓄電池・再エネ)
LPガス発電機の販売、系統用蓄電池の開発、太陽光(2025年12月に子会社を譲渡)。
| 数量案件数(推定) | 価格1案件当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.0 | 0.49 | 2 | −2 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 0.66 | 4 | 0 |
取り方:発電機の売上0.17億円と再生可能エネルギーの売上1.80億円(計約2.0億円)を、案件数の推定4で割った。営業損失は発電機1.48億円と再エネ0.05億円の合計。開示に案件数がなく推定。
リスクと懸念
継続企業の前提の疑義
有価証券報告書は、営業損失6.6億円と営業キャッシュフローのマイナス2.9億円を理由に、事業の継続に重要な疑義があると記す。資産の売却で埋めるのは限りがある。
12年続く営業赤字
営業赤字は2014年12月期から12年続いた。2025年12月期の純利益7億円は土地などの売却益18.5億円のおかげで、本業は赤字のままだ。今期は純損失8億円を見込む。
需要の縮小と価格競争
マンション向けの外壁タイルは着工の減少と軽量素材への切り替えで細る。大手と輸入品に対し、国内生産のコスト高が重い。
淡路島の工場への集中
生産は淡路島の工場に集中している。災害や設備の故障で止まれば、売上のほぼ全てが止まる。窯のエネルギー費の上昇も利益を削る。
新事業の資金と実行
蓄電池は接続権と資金が勝負で、小さな会社が勝つのは難しい。発電機は売上1700万円に営業損失1.5億円と、まだ赤字の芽だ。
大株主と希薄化
大建エンタープライズが議決権の30%台を持つ。2023年にも第三者割当で希薄化した。資金が尽きれば再び大幅な増資や完全子会社化で、少数株主の価値が薄まる。
今後の分かれ目
- 営業損益が2期連続で黒字になったら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。12年の赤字の底を打った証拠になる。ただし売却益や補助金の押し上げを除いて確認する。
- 継続企業の前提の注記が解消されたら
- 悲観の確率を下げる。資金繰りの不安が後退する。
- 蓄電池の蓄電所が稼働し、営業利益に貢献し始めたら
- 新エネルギー事業の前提を上げる。接続権や補助金の確保が条件。
- 純現金が10億円を割ったら
- 悲観側へ重みを移す。増資や支援を受ける可能性が高まる。
- 大建エンタープライズがTOBや完全子会社化を表明したら
- 価値は買収価格に左右される。本質価値は買収の期待では上げない。
- 淡路島の工場で生産が止まる事故が起きたら
- 売上の大半が止まる。悲観側の確率を大きく上げる。
見ておくもの
- 営業損益(売却益を除いた本業の黒字化)
- 営業キャッシュフローと純現金
- タイルの受注・出荷面積と工場の稼働率
- 蓄電池・発電機事業の売上と損益
- 継続企業の前提に関する注記の有無
倍率と資本コストの決め方
セグメントごとに、数量(出荷面積・案件数)×価格(名目)で積み、需要の減は面積を減らして表したので価格に物価を掛けても二重がけにならない。営業利益率は過去12年の山(2016年12月期の−5.5%)を中立でも上回らせず、全体のゼロ近くは不動産の利益で説明した。本社費は物価で増やした。資本コストは基本7.5%にquality +2.25%、事業が傾いている会社への上乗せ+2.0%を足した11.75%。稼ぐ力が小さい中立〜楽観はPERの上限1÷k(8.5倍)の7〜9割に置いた。今の株価・PBR(約2.7倍)や過去の高値は見ていない。悲観は売れる資産の税後の床で置き、過去のPBRの底は使っていない。2025年12月期の純利益は売却益で押し上げられたため、流れの起点には経常損益(約−6.5億円)を使った。配当はなく、赤字の累計で自己資本が減る。減価償却は物価で増やさず、新しい設備の分だけ新しい値段で足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 7.3→9.78 倍・やや楽観 PER 6.8→9.52 倍・中立 PER 6.5→9.52 倍)。
資本コスト 10.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 2.0%。基本 7.5% に quality +2.25% と、事業が傾いている会社への上乗せ +2.0% を足した(決まり v2)。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 11.75% → 11.00%。