結論
日本コンクリート工業は、電柱のコンクリートポールと建物の基礎杭(パイル)を作る老舗だ。杭では首位二社に大きく離された 3 番手。筆者の結論は「割高」である。事業の稼ぐ力が資産に比べて細く、今の値段はそこを見ていない。
2026 年 3 月期の営業利益は 3 億円だった。売上は 492 億円。利益率は 0.7% しかない。ポールは 8% の利益率を出すが、本部費の約 19 億円がほぼ全部を食う。杭の基礎事業は赤字だった。
ただ資産は厚い。投資有価証券は約 170 億円で、時価総額に近い。純資産は 457 億円、時価総額の 2 倍を超える。この厚さが悲観の沈みを浅くしている。しかし ROE は 1.5% で、資本コストを大きく割る。厚い資産が、稼ぐ力に変わっていない。
会社は 27 年 3 月期に営業利益 19 億円を見込む。第 1 四半期は黒字に戻った。それでも中計の目標は外し、基礎事業のシェア低下を認めている。
中立の 10 年後は営業利益 17 億円、時価総額 86 億円。確率で重みをつけた本質価値は、今より 6 割ほど低い。
バリュー投資の観点から
この会社を、長く持ちたいか。筆者の答えは「いまの値段では持たない」だ。
事業は存続する。ポールは電力・通信の設備に使われ、10 年後も必要だ。ただ、資本を預けて殖やしてくれる会社ではない。ROE は 10 年の中央値で 2.0%、最良の年でも 5.0%だ。経営者に預けた資金が、10 年で元本を殖やせない。
いちばん気になるのは、ためた資産の使われ方だ。投資有価証券は約 170 億円、時価総額の 9 割に近い。中でも日本電設工業の 130 億円が大半を占める。これは事業に使う資産ではない。株主に戻って初めて値打ちになる。縮減の計画は 20 億円で、10 年に延べて足りるか疑わしい。
本部費の約 19 億円は、セグメントの稼ぎのほとんどを消す。利益が出る年にも、この費用が先に出ていく。
安全域はあるのか。悲観の床は、持ち合い株の税引き後と純負債の差、約 63 億円だ。今の時価総額の 3 分の 1 にすぎない。倒産は遠いが、今の値段に安全域はない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は 3 本ある。基礎事業、コンクリート二次製品事業、不動産・太陽光発電だ。売上の 55% が二次製品、45% が基礎で、不動産は 1% に満たない。
基礎事業は杭の製造・販売と、杭打ち・地盤改良の工事だ。杭は建物の重さを硬い地盤へ伝える部材で、遠心力でコンクリートを固めて工場で作る。2026 年 3 月期の売上は 220 億円、セグメント損益は 1.9 億円の赤字だった。大型案件を競合に取られ、生産量が減って、生産子会社の収支が悪化した。
二次製品事業は、電柱などのポール、携帯基地局向けポール、トンネルの部材(セグメント)が柱だ。売上は 269 億円、利益は 22 億円で、利益率は 8% を超える。「NC 式」と呼ぶ鋼線コンクリートポールを発明した会社で、製造技術を全国の製造会社に供与し、グループで供給する。2022 年 3 月期の赤字は、基地局向けポールの急減と原材料高への対応の遅れが原因だった。
不動産・太陽光は、売上 3 億円で利益 1.9 億円。小さいが安定している。
見落とせないのが本部費だ。全社の費用として約 19 億円かかる。セグメント利益の合計 22 億円のほとんどを消す。2026 年 3 月期は基幹システムの刷新で 2 億円増え、27 年 3 月期は約 20 億円を見込む。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、ポールにある。杭には弱い。
ポールは、電力・通信会社向けに長年の実績がある。「NC 式」の特許と全国の製造網が参入を阻む。ただし市場は縮んでいる。ポールの全国出荷は減り続け、基地局向けが戻り始めたところだ。
杭は別の話だ。国内の出荷の約 6 割を首位のアジアパイルと三谷セキサンが握る。当社は 8% 前後と見られる。大型物件は入札で、価格を決めるのは顧客だ。会社自身が、中計の未達の理由に杭のシェア低下を挙げた。
資本の効率はほぼ最下位だ。ROE は過去 10 年の中央値で 2.0%。最良の年(2021 年 3 月期)でも 5.0% だった。資本コスト 7〜9% は、会社自身も認めている。
弱点は 3 つある。第 1 は、本部費が重いこと。第 2 は、生産子会社の稼働が落ちると、固定費で利益が飛ぶこと。第 3 は、資産の厚みが稼ぎにつながらないことだ。
筆者は事業の質を「ポールは普通以上、杭は普通以下、全体の資本効率は低い」と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
杭の需要は、ビルや工場の着工で決まる。全国の出荷は約 200 万トンだ。ピークの 2005 年は 373 万トンで、ほぼ半分に細った。人口減で新築が減る流れは変わらず、筆者は年 1.5% の緩やかな縮みを中心に置く。
競争は、首位のアジアパイル、三谷セキサンの二強の勝負だ。当社と日本ヒュームが 8〜9% ずつで続く。需要が縮む中で工場を持ち続けるため、稼働率を守る値引きが起きやすい。当社は大型案件を競合に取られた。
ポールは電力・通信の設備更新が需要だ。電柱の新設は減り、全国出荷は下がり続ける。一方、携帯基地局向けは出荷が戻り始め、材工一式(部材と施工をまとめて受ける)の事業を会社は伸ばそうとしている。
土木製品は、リニア中央新幹線向けの大型部材の検収が後ろへずれた。ピークアウトで、27 年 3 月期は若干の減収だ。インフラの補修は長期の底堅い需要になる。
環境の規制も効く。コンクリートは製造時に CO2 を出す。当社は CO2 を固定化する技術「カルカーボ」を滋賀のパイロットプラントで動かし、出光興産と合成炭酸カルシウムの事業化も進める。高砂工場は建築部材に転換中、笠岡工場は生産休止の予定だ。需要に合わせた整理は始まっている。
資本政策と M&A
資本の使い方は、守りで、変わるのが遅い。
配当性向は 40% 以上が方針だ。2026 年 3 月期の配当は、前期から増額した。27 年 3 月期はさらに増やす計画だ。自社株買いは機動的にやるとしているが、近年の実績は目立たない。株主優待(QUO カード)も、導入が説明された。
お金の使い道は 3 年間(2024〜26 年度)の営業 CF 約 90 億円の想定だった。成長投資 20 億円、基盤投資 60 億円、株主還元 25 億円。実際は営業 CF が 25 億円にとどまり、計画に届かなかった。
持ち合い株は厚い。上場株 18 銘柄で約 170 億円、うち日本電設工業が約 130 億円を占める。中計は 20 億円ほどの縮減を掲げ、10.5 億円を売った。残りは約 9.5 億円で、時価総額の 1 割にも満たない。
大株主には日本製鉄の名が見える(持株比率 12% 台とする集計があり、出典で再確認が要る)。M&A は、周辺の工事会社の取り込みにとどまる。TOB の可能性は、PBR が 0.4 倍と低い分だけ、他社よりやや高い(kabufu の試算で 10 年以内に 22%)。株主優待の費用は年 0.3 億円ほどと推定し、10 年の還元に 3 億円足した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
底は過ぎた。27 年 3 月期の営業利益は 19 億円と、前期の 6 倍になる見通しだ。第 1 四半期は黒字に戻り、基礎事業の売上は 4 割近く伸びた。3 月末・4 月末の受注残は前年から大幅に増えている。杭が戻れば、生産子会社の稼働が上がり、固定費が薄まって利益は一気に増える。
ポールの出荷は、携帯基地局向けが再開した。材工一式のエンジニアリング事業は伸びており、土木製品はインフラ補修という長い需要を持つ。全国の製造網と「NC 式」の特許は、参入しにくい堀だ。
資産もある。PBR は 0.4 倍で、時価総額の 9 割近い持ち合い株を抱える。会社は PBR 1 倍を明言し、政策保有株の縮減を進めている。10.5 億円はすでに売った。東証の要請も効く。市場の圧力が強まれば、日本電設工業の約 130 億円が現金に変わり、自社株買いや配当に回る。
10 年後の経常 100 億円というビジョンも掲げている。シェアを取り戻し、本部費が頭打ちになれば、利益は桁が変わる。TOB の可能性も、PBR の低さを考えれば低くない。
慎重な見方
利益は何度も約束を破っている。中期経営計画は、最終年度の経常 36 億円に対し、予想は 24 億円と 3 分の 2 だ。売上は 122 億円足りない。会社自身が、基礎事業のシェア低下を理由に挙げている。期初に好調と言いながら、期ずれと下期の修正を繰り返してきた。質問者もそこを突いた。
本部費は 19 億円で、セグメント利益 22 億円のほとんどを消す。27 年 3 月期は約 20 億円に増える。システムの刷新費は一過性でなく、償却が続く。杭が戻っても、利益は本部費の手前で止まる。
杭の需要は構造的に細る。全国の出荷は 2005 年の半分だ。首位二社が 6 割を握り、当社は 8% 前後。大型物件を取れなければ、生産子会社の固定費が重くなる。
ROE は 1.5% だ。10 年の中央値でも 2.0%で、資本コストを大きく割る。厚い資産は、稼ぎにつながっていない。持ち合い株の縮減は 20 億円の計画で、時価総額の 1 割にも満たない。大半は残り、株主に戻らない。
営業 CF の計画は 90 億円だったが、25 億円にとどまった。借入の返済と還元は、計画を下回りそうだ。
どちらに重みを置いたか
数字の勝負では、慎重な見方が強い。利益は何度も予想を割り、ROE は資本コストを大きく下回り、資産の戻り方も細い。一方で、受注残の増加は事実で、27 年 3 月期の黒字化は見える。そこで、中立に 4 割弱を置き、やや悲観に 3 割を寄せた。楽観は 5%、悲観は 12%にとどめた。確率は、慎重な側の合計(4 割強)が強気の側(2 割)の 2 倍になる形だ。強気の見方の中で最も強い、資産が現金に変わる動きは、20 億円の縮減計画で小さく見積もっている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 259 円140 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 96 円52 億円)。 今の値に割り戻すと 178 円97 億円、今との差 −48.9%、 期待の年率 +0.2%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 715 円388 億円 | 240 円130 億円 | +173.5% | +10.6% | 48 円26 億円 |
| やや楽観 | 15% | 488 円265 億円 | 147 円80 億円 | +81.9% | +6.2% | 95 円52 億円 |
| 中立 | 38% | 282 円153 億円 | 105 円57 億円 | +10.8% | +1.0% | 147 円80 億円 |
| やや悲観 | 30% | 120 円65 億円 | 64 円35 億円 | −47.2% | −6.2% | 55 円30 億円 |
| 悲観 | 12% | 55 円30 億円 | 22 円12 億円 | −77.8% | −14.0% | 9 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 259 円140 億円 | 96 円52 億円 | +1.6% | +0.2% | 355 円192 億円 |
今の株価時価総額 349 円189 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 受注残が実り、持ち合いも動いて、杭が三強に戻る 利益 33 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 715 円388 億円
27 年 3 月期に積み上がった杭の受注残が実になる。基礎事業はシェアを 8% から 10.5% へ戻し、大型案件の取りこぼしが止まる。全国の杭は年 0.6% の減にとどまり、10 年後は 188 万トンだ。
価格は物価を上回り、10 年で 1.45 倍になる。生産子会社の稼働が上がり、杭のセグメント利益率は 8.5% に届く。ポールは基地局向けの回復と、材工一式のエンジニアリング事業の拡大で、利益率が 9.5% になる。
本部費は基幹システムの償却が進んで頭打ちになる。全社の営業利益は 46 億円、純利益は 33 億円だ。会社が掲げる 2033 年度の経常 100 億円にはなお遠い。
中期計画の方針どおり持ち合い株の縮減が進み、売却益が自社株買いと配当に回る。ROE は 6% 近くまで上がる。
- 基礎事業(コンクリートパイルの製造・販売、杭打ち・地盤改良工事):数量 19.7(国内パイル需要(万トン/年)× シェア)× 価格 20(1 万トンあたりの売上(億円)。杭打ち・地盤改良の工事売上を含む)→ 売上 393 億円・営業利益 33 億円。全国 188 万 t × シェア 10.5% = 19.7 万 t(今の 1.23 倍)× 価格 1.45 倍、セグメント利益率 8.5%
- コンクリート二次製品事業(ポール・土木製品):数量 100(出荷・施工の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.42(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 382 億円・営業利益 36 億円。活動量 100(今 100)× 価格 1.42 倍、利益率 9.5%
- 不動産・太陽光発電事業:数量 105(賃貸・発電の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 4 億円・営業利益 3 億円。賃貸・発電の活動量 105 × 価格 1.34 倍、利益率 62%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 388 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:杭のシェア回復、ポールの値上げ定着、持ち合い株の大きな現金化が 10 年のあいだにそろう形。どれも当社の過去の実績では出ていないので、5% にとどめる。
やや楽観 15% 杭が回復し、ポールが下支えする 利益 23 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 488 円265 億円
杭の受注残が売上に変わり、基礎事業は赤字を脱する。シェアは 9.5% まで戻り、全国の杭は年 1% ずつ減って 180 万トンになる。価格は物価並みの上のほう、10 年で 1.40 倍だ。
セグメント利益率は 7% に上がる。生産子会社の稼働が戻り、固定費が薄まるためだ。ポールは出荷の減少を値上げで補い、利益率は 8.5% を保つ。
全社の営業利益は 31 億円、純利益は 22 億円になる。会社の今期予想(営業利益 19 億円)の延長線上で、中計の経常 36 億円には届かない。
還元は純利益の 5 割に近い。持ち合い株の縮減は進むが、売却額は限られる。
- 基礎事業(コンクリートパイルの製造・販売、杭打ち・地盤改良工事):数量 17.1(国内パイル需要(万トン/年)× シェア)× 価格 19(1 万トンあたりの売上(億円)。杭打ち・地盤改良の工事売上を含む)→ 売上 329 億円・営業利益 23 億円。全国 180 万 t × シェア 9.5% = 17.1 万 t(今の 1.07 倍)× 価格 1.40 倍、セグメント利益率 7.0%
- コンクリート二次製品事業(ポール・土木製品):数量 97.0(出荷・施工の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.38(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 360 億円・営業利益 31 億円。活動量 97(今 100)× 価格 1.38 倍、利益率 8.5%
- 不動産・太陽光発電事業:数量 100(賃貸・発電の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 4 億円・営業利益 3 億円。賃貸・発電の活動量 100 × 価格 1.34 倍、利益率 60%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.2% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 265 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社が見込む杭の回復(受注残の大幅増)が、シェアの完全な回復までは行かずに続く形。中計の目標は外してきたので、楽観には寄せず、中立の半分以下に置く。
中立 38% 杭は赤字を脱するが、本部費が利益を食い続ける 利益 13 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 282 円153 億円
杭の受注は戻るが、全国の需要は年 1.5% ずつ細り、10 年後は 172 万トンになる。当社のシェアは 8.5% で、首位二社との差は埋まらない。価格は物価並みの 1.34 倍にとどまる。
基礎事業のセグメント利益率は 4.5% だ。今期予想の約 5.5% より低い。生産子会社の稼働が上がっても、大型案件は入札で、値引きで落札することが多いためだ。ポールは出荷が緩やかに減り、利益率は 7.8% を保つ。
本部費は 23 億円と、売上の約 4% を占め続ける。物価で増えるうえ、基幹システムの償却がのしかかる。全社の営業利益は 17 億円、純利益は 13 億円。ROE は 2.5% にとどまる。
配当性向 40% 以上の方針は守られ、持ち合い株は計画どおり少しずつ売られる。
- 基礎事業(コンクリートパイルの製造・販売、杭打ち・地盤改良工事):数量 14.6(国内パイル需要(万トン/年)× シェア)× 価格 18(1 万トンあたりの売上(億円)。杭打ち・地盤改良の工事売上を含む)→ 売上 269 億円・営業利益 12 億円。全国 172 万 t × シェア 8.5% = 14.6 万 t(今の 0.91 倍)× 価格 1.34 倍、セグメント利益率 4.5%
- コンクリート二次製品事業(ポール・土木製品):数量 92.0(出荷・施工の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 332 億円・営業利益 26 億円。活動量 92(今 100)× 価格 1.34 倍、利益率 7.8%
- 不動産・太陽光発電事業:数量 95.0(賃貸・発電の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。賃貸・発電の活動量 95 × 価格 1.34 倍、利益率 60%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 153 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:27 年 3 月期の会社予想(営業利益 19 億円)を出発点に、中期計画の未達が続いてきた実績を織り込み、10 年後の利益を予想より低めに置く形。最も厚く置く。
やや悲観 30% 杭のシェアが落ち続け、本部費だけが残る 利益 2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 120 円65 億円
大型案件で競合に負け続ける。シェアは 7.5% に下がり、全国の杭は年 2% ずつ減って 160 万トンになる。価格は物価に届かず、10 年で 1.25 倍だ。
基礎事業のセグメント利益率は 2% にとどまり、生産子会社の固定費が重い。ポールは出荷が 15% 減り、利益率は 6% に下がる。
本部費は 22 億円で、人員を減らしても物価で戻る。営業利益は 1 億円強、純利益は 2 億円と、26 年 3 月期の水準が 10 年続く形だ。
配当は水準を保とうとして、純利益より多く払う年が出る。工場の休止と集約が続き、持ち合い株の売却が配当の原資になる。
- 基礎事業(コンクリートパイルの製造・販売、杭打ち・地盤改良工事):数量 12.0(国内パイル需要(万トン/年)× シェア)× 価格 17(1 万トンあたりの売上(億円)。杭打ち・地盤改良の工事売上を含む)→ 売上 206 億円・営業利益 4 億円。全国 160 万 t × シェア 7.5% = 12.0 万 t(今の 0.75 倍)× 価格 1.25 倍、セグメント利益率 2.0%
- コンクリート二次製品事業(ポール・土木製品):数量 85.0(出荷・施工の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.25(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 286 億円・営業利益 17 億円。活動量 85(今 100)× 価格 1.25 倍、利益率 6.0%
- 不動産・太陽光発電事業:数量 90.0(賃貸・発電の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.25(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。賃貸・発電の活動量 90 × 価格 1.25 倍、利益率 55%
倍率:悲観側は稼ぐ力でなく資産から置く。事業の純利益は 2 億円、ROE 0.4% で、稼ぐ力は 1÷k(11.4 倍)を掛けても約 23 億円。持ち合い株の売却と純負債の差、約 63 億円の資産のほうが大きい。今の自己資本 457 億円に PBR 0.138 を掛けた。市場の倍率ではなく、売れる資産の税後を床にした。EV÷営業利益は 100 倍と高く見えるが、営業利益が 1 億円強しかない谷の年で、利益の倍率では測れない筋書きだ。
確率:会社自身が、中計の未達の理由に杭のシェア低下を挙げている。大型案件で競合に負けた事実があり、赤字の年も過去 12 年で 3 回ある。中立に次ぐ厚さで置く。
悲観 12% 杭から撤退し、工場を畳んで資産だけが残る 利益 −10 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 55 円30 億円
構造的な負けになる。全国の杭は年 3.5% ずつ細って 140 万トンになる。当社はシェアを 6.5% まで落とし、価格は 10 年で 1.10 倍にとどまる。鋼材・人件費の上昇を転嫁できず、杭は恒常的な赤字になる。
生産子会社の整理と工場の閉鎖で、減損と閉鎖費用が 40 億円出る。ポールも出荷が 3 割近く減り、利益率は 3.5% に落ちる。
営業損益は 14 億円の赤字になる。配当は大きく削られる。それでも、持ち合い株は売れば現金になる。有利子負債の返済と配当の原資に回り、財務の存続は保たれる。
株主が手にするのは、事業の稼ぎでなく、売れる資産の残りだけだ。
- 基礎事業(コンクリートパイルの製造・販売、杭打ち・地盤改良工事):数量 9.1(国内パイル需要(万トン/年)× シェア)× 価格 15(1 万トンあたりの売上(億円)。杭打ち・地盤改良の工事売上を含む)→ 売上 138 億円・営業利益 −3 億円。全国 140 万 t × シェア 6.5% = 9.1 万 t(今の 0.57 倍)× 価格 1.10 倍、セグメント利益率 -2.0%
- コンクリート二次製品事業(ポール・土木製品):数量 72.0(出荷・施工の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.10(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 213 億円・営業利益 8 億円。活動量 72(今 100)× 価格 1.10 倍、利益率 3.5%
- 不動産・太陽光発電事業:数量 80.0(賃貸・発電の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.10(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。賃貸・発電の活動量 80 × 価格 1.10 倍、利益率 50%
倍率:赤字の筋書きなので PBR で置く。今の自己資本 457 億円ではなく、売れる資産の約 30 億円を床にした。投資有価証券を 8 割で売り、閉鎖費用と純負債を引いた残りを、今の自己資本の 0.066 倍とみて、PBR を 375 億円に対して 0.08 とした。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.08 倍・時価総額 30 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:杭の需要が 2005 年からの縮小ペースに戻り、価格競争に負けて撤退に近い再編をする形。純負債と持ち合い株の厚みが歯止めで、大きな倒産リスクは見ないが、有利子負債 133 億円があり 1 割強に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
基礎事業(コンクリートパイルの製造・販売、杭打ち・地盤改良工事)
ビルや工場の基礎に使うコンクリート杭(パイル)を作って売り、打ち込む工事まで手がける。
| 数量国内パイル需要(万トン/年)× シェア | 価格1 万トンあたりの売上(億円)。杭打ち・地盤改良の工事売上を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 16.0 | 14 | 220 | −2 |
| 10 年後 中立 | 14.6 | 18 | 269 | 12 |
取り方:全国のパイル出荷は約 200 万トン(協会統計、三谷セキサンのノートと同じ)。当社のシェアは 8% 前後と推定し 16 万トン。部門売上 220 億円を割った。工事売上を含むので 1 トンの値段より高い。シェアは推定である。
コンクリート二次製品事業(ポール・土木製品)
電柱などのコンクリートポール、携帯基地局向けポール、トンネルの部材(セグメント)などを作り、施工も請け負う。
| 数量出荷・施工の活動量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 269 | 22 |
| 10 年後 中立 | 92.0 | 1.34 | 332 | 26 |
取り方:ポール・土木製品の売上 269 億円。本数やトンの開示が無く、品目も多いため指数で置く。ポールの全国出荷は減り続け、基地局向けは再開しつつある。土木はリニア向けの検収が遅れた。
不動産・太陽光発電事業
不動産の賃貸と太陽光発電。小さいが利益率は高い。
| 数量賃貸・発電の活動量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 3 | 2 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 1.34 | 4 | 2 |
取り方:売上 3.1 億円、セグメント利益 1.9 億円(利益率 59%)。小さく、指数で置く。
リスクと懸念
基礎事業の赤字が続く
基礎事業は 2026 年 3 月期に 1.9 億円の赤字だった。大型案件を競合に取られ、生産量が減って、生産子会社の収支が悪化した。受注残は増えたが、期ずれと下期の修正を繰り返してきた。杭のセグメントが黒字に戻らなければ、全社の利益は本部費で消える。
本部費が利益を食う
本部費は約 19 億円で、セグメント利益 22 億円のほとんどを消す。27 年 3 月期は約 20 億円になる。基幹システムの刷新で償却が増える。売上が伸びなくても費用は物価で増える。杭とポールの利益がぶれると、営業利益は簡単に赤字になる。
中期計画の未達が続く
中計の最終年度の経常 36 億円に対し、予想は 24 億円。ROE 5.5% の目標も 2.8% の予想で、PBR 1 倍の目標は遠い。計画を外す経営は、市場の信頼を失う。次の中計が現実的でなければ、同じことが繰り返される。
ポールの縮小と買い手の集中
ポールの全国出荷は減り続け、電力・通信という少数の買い手に依存する。基地局向けは再開したが、一時の動きに終わる恐れもある。2022 年 3 月期は基地局向けポールの急減で赤字になった。
持ち合い株の下落と戻らない資産
投資有価証券は約 170 億円で、日本電設工業の 1 銘柄が約 130 億円を占める。株価が下がれば自己資本が減る。縮減は計画の 20 億円どまりで、大半は株主に戻らない。資産の厚みを、稼ぎに換える手段が乏しい。
杭の需要の構造的な縮小
全国の杭の出荷は 2005 年の 373 万トンから約 200 万トンに半減した。人口減と新築の減少は続く。首位二社が 6 割を握る市場で、当社のシェアは 8% 前後。需要が縮むと、工場の固定費が重くなり、値引き競争が強まる。
脱炭素と工場の整理の費用
コンクリートは製造時に CO2 を出す。炭素税や環境基準が厳しくなると費用が増える。工場の休止・集約には、減損や撤去の費用がかかる。基盤投資は 3 年で 60 億円の計画で、更新の投資は建築費の上昇で膨らむ。
今後の分かれ目
- 27 年 3 月期の基礎事業が黒字(セグメント利益 10 億円以上)に着地し、受注残が実になったら
- やや楽観の確率を上げる。生産子会社の稼働が戻った証拠になる。
- 基礎事業が再び赤字になり、中計の目標をさらに下げたら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。シェア低下が構造的になったことを意味する。
- 日本電設工業株など持ち合い株の売却が 20 億円を超える規模で発表されたら
- 余り資産の足し込みを検討し、戻り方を上げて見直す。自社株買いが同時に出れば確度が高い。
- 次の中期経営計画で、本部費の削減と ROE の目標が数字で示されたら
- 本部費を 20 億円台前半に抑えるなら、中立の利益を上に直す。
- ポールの全国出荷が下げ止まり、基地局向けが需要の柱に育ったら
- 二次製品の数量を上に直す。ポールの縮小が緩やかになる筋書きだ。
- TOB や資本提携が発表されたら
- 事業の値打ちでなく資産の価値が評価される。楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 基礎事業のセグメント損益(四半期)と受注残
- 杭の全国出荷と、当社のシェア(協会統計)
- 本部費の水準と、基幹システムの償却
- 日本電設工業株など持ち合い株の売却額と、自社株買い
- ポールの全国出荷と、基地局向けの出荷
倍率と資本コストの決め方
今の株価から逆算せず、先に杭の全国需要 × シェア × 1 万トンあたりの売上、ポールと土木の活動量 × 価格でセグメントを積み、本部費を引いた。倍率は事業の ROE(中立で 2.5%、k を下回る)から式で出し、持ち合い株の配当は純利益に残して余り資産に足さなかった。悲観の床は、持ち合い株の税引き後と純負債の差から出し、過去の PBR の底は使っていない。今の時価総額と比べたのは最後で、市場の PBR 0.4 倍に寄せていない。リース(小松工場など)は小さく、新リース会計の影響は大きくない。形は今と同じ家賃を費用に入れた形でそろえた。中立の償却は、既存設備を据え置き、更新分だけ新しい値段で足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.6→11.76 倍・やや楽観 PER 6.8→11.76 倍・中立 PER 6.6→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。