結論
日本山村硝子は、ビールや清酒、調味料、飲料のびんを作る国内首位のガラスびん会社だ。売上の6割強がびんで、残りはプラスチック容器、物流、電子部品向けガラス。創業は明治の老舗である。
筆者の結論は「やや割高」だ。構造改革で赤字体質は抜けた。ただ、10年で見ても、びんの数量は減り、窯を建て替える費用は物価とともに膨らむ。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を2割弱下回る。
この会社の強みは、びんの国内シェア首位と、物流・プラスチック・ニューガラスという、びんに頼らない足場だ。尼崎の土地を売って財務を軽くし、2024年3月期から黒字が続く。配当は純利益の半分を目安にし、減益の年も据え置く方針である。
弱みは三つある。びんの出荷が毎年少しずつ減ること。窯の燃料と炭素のコストを、値上げで取り戻せるか分からないこと。もう一つは資本効率で、自己資本利益率は5%台と、資本コストに届かない。届かない会社の純資産は、帳簿どおりの値打ちにならない。
足元は、びんの出荷減と窯の定期修繕で今期は減益の見通しだ。10年の間に窯の更新を乗り切り、利益を物価並みに伸ばせるか。そこが本質だと筆者は見ている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社の本質価値をどう見るか。
事業の経済性は平凡だ。びんは数量が減り、窯は10年ごとに巨額の建て替えが要る。稼いだ利益の多くが設備の維持に消え、株主が自由に使えるお金は、見かけの純利益よりかなり小さい。物価が上がると、建て替えの費用はそのぶん膨らむ。一方、すでにある窯の償却は取得時の値段のままなので、会計上の利益はふくらんで見える。現金は逆に細る。この二面を、筆者はいつも意識して読む。
堀は、近くの客に届く規模と、飲料メーカーとの付き合いだ。ただ、10年先を自信を持って予想できる事業ではない。確信度は下げる。
経営の資本配分は、最近は筋がよい。土地を売って財務を整え、持ち合い株を減らし、配当の下限を決めた。無理な買収に走っていない点を評価する。
安全域は、今の値段にはほぼない。純資産の半分の値段は割安に見える。だが、自己資本利益率が資本コストに届かない会社の純資産は、帳簿より低く見るべきだ。この会社に安全域を与えるのは、土地や持ち合い株といった売れる資産と、びん以外の三つの事業の成長である。今の値段は、それをほぼ織り込んでいる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は四つある。
いちばん大きいのがガラスびん関連で、売上のおよそ64%を占める。ビール、清酒、焼酎、調味料、清涼飲料、食品、薬、化粧品のびんを作り、飲料メーカーや食品メーカーに納める。ガラスは、原料の珪砂やソーダ灰、カレット(ガラスくずを溶かし直した原料)を窯で1,500度近くまで熱して作る。窯は一度火を入れると止められず、10年前後で建て替える。だから固定費が重い。
二つ目はプラスチック容器で、飲料用キャップや容器を作る。中国の子会社と、台湾の宏全国際集団との提携が伸びしろだ。三つ目は物流で、全国に約40の拠点を持ち、びんメーカーの物流部門が母体の3PL(荷主に代わって保管と輸送を請け負う事業)である。びん以外の荷主も増やしている。四つ目のニューガラスは、電子部品用の封着ガラスや燃料電池用ガラスなど、数量は小さいが利益率が高い事業だ。
2022年に事業構造改革を公表し、採算の悪い設備を整理した。尼崎の土地約1万7千平方メートルを売り、約50億円の譲渡益を得て、2024年3月期に黒字へ戻した。2026年3月期の売上は722億円、営業利益は約38億円。中期計画では、2029年3月期に売上760億円、経常利益45億円を掲げる。
優良さと弱いところ
国内首位のびんメーカーだが、堀は深くない。
強みは規模と近さだ。びんは軽いわりに運ぶと高く、工場から遠い客には売りにくい。全国に窯を持つ同社は、近い客を押さえやすい。飲料メーカーとの長い付き合いと、カレットを回収して使う体制も、新規参入を許さない。協会の正会員が6社10拠点しかないことが、この業界の寡占を物語る。
一方で、値段を自分で決める力は弱い。客は大手の酒類・飲料メーカーで、交渉力が強い。エネルギー価格が上がっても、値上げの合意まで数か月かかる。2025年3月期は、単価を上げても出荷減と燃料高で減益だった。
資本効率も低い。過去10年の自己資本利益率の中央値は1%に満たず、直近でも5%台である。2020年代前半は5期のうち赤字が続いた。原因は、窯の償却と燃料費が売上に対して重いことと、数量が細ることだ。経営はそれを自覚し、有利子負債を使って配当を保ち、純資産をふくらませない方針に転じた。方向は正しい。ただ、利益の水準そのものを上げない限り、資本コストは超えにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のびん市場は、ゆっくり縮んでいる。日本ガラスびん協会によると、生産量は2018年度に106万8千トンと、予想より2年早く110万トンを割った。2030年は100万トン前後が見込みだ。市場規模は金額で1,000億円強、正会員は6社10拠点にとどまる。缶やペットボトル、紙パックへの置き換えが長く続いてきた。
縮む理由は人口と習慣にある。日本酒や焼酎の消費は細り、家庭で飲むびん飲料も減った。一方で、クラフトビールやワイン、高級調味料、化粧品、機能性飲料では、びんの質感が選ばれる。数量は落ちても、びんの単価は上がる傾向がある。同業の石塚硝子も、2025年3月期は単価が上がり出荷が減る同じ形だった。
構造的なコスト高も続く。窯の燃料は天然ガスと重油、電気もある。2026年度に国内の排出量取引制度が始まり、炭素のコストが新しく乗る。業界はリサイクルと水素燃焼で対応を探るが、設備更新に金がかかる。軽量化は進み、びん1本あたりのガラスの量は減っている。つまり、1本あたりの売上は下がりやすい。
競合は東洋ガラス、石塚硝子など。業界の再編や窯の停止が、10年のうちに起きても不思議はない。
資本政策と M&A
還元は、配当性向50%を目安にする方針である。1株の配当には下限を設けており、減益の2027年3月期でも据え置く。中期計画の3年間で、株主還元に約50億円を見込む。
特徴的なのは、有利子負債を使って配当を保つ点だ。自己資本比率は58%と高い。経営は、純資産を積み上げず、自己資本利益率を8%へ引き上げたいと説明する。筆者は、この考え方に一理あると見る。ただし、借金で配当を出すと、金利が3.5%前後に上がる世界では利払いが重くなる。
投資は3年で約170億円。窯などの維持更新に84億円、生産性向上に36億円、成長に50億円を充てる。原資は営業キャッシュフロー約200億円と借入、そして政策保有株の売却36億円である。持ち合い株を手放す方針は、資本効率の面で前向きだ。
2026年2月に株主優待を新設した。300株以上を1年以上持つ株主に、年三千円相当のグループ商品か寄付を選ばせる。費用は年1億円に届かないと見られ、価値への影響は小さい。
大株主は取引先持株会(約7%)、個人、三井住友銀行、従業員向けの信託などで、親会社や筆頭の支配株主はいない。TOBの確率は、市場の推計で10年に約27%とされる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
びんは減るが、その減り方は緩やかで、市場の6社10拠点という寡占は崩れない。日本山村硝子は国内首位として、値上げの先頭に立てる。2025年3月期は単価が上がった。クラフト飲料や化粧品、高級調味料のびんは単価が高く、数量が減っても売上は保てる。
構造改革は終わり、2024年3月期から黒字が続く。窯の更新が済めば償却は安定し、燃料も水素や電気溶融で下げられる。プラスチック容器は台湾の宏全国際集団との提携で拡大し、物流は全国約40拠点で荷主を増やす。ニューガラスは半導体・AI・センサーの需要で、数量が倍増してもおかしくない。
資本政策も変わった。配当に下限を設け、持ち合い株を36億円売り、有利子負債を使って自己資本利益率を8%へ引き上げる。純資産の半分という値段は、遊休の資産を売るだけで見直される余地がある。尼崎の土地の譲渡で約50億円の益が出たことが、その実例だ。大株主に支配者がなく、TOBや再編の確率も市場は約27%と見ている。
慎重な見方
びんは構造的に縮む産業だ。生産量は2018年度の106万8千トンから2030年は100万トンを見込むが、実際は予想を上回る早さで減ってきた。数量が減れば、窯の稼働率が落ち、固定費が重くなる。窯は一度止めると再開に大金がかかる。
値上げは交渉に時間がかかり、エネルギーと人件費の上昇に追いつかない。2026年度から炭素のコストも乗る。過去12年のうち5期が赤字で、自己資本利益率は10年の中央値で1%に満たない。2027年3月期も窯の修繕と出荷減で減益だ。
プラスチックと物流は儲けが薄く、ニューガラスは小さすぎる。中期計画は、売上も設備投資も前回は計画を下回った。借金で配当を出す方針は、金利が上がる世界では利払いを重くする。尼崎のような大きな売れる資産は、すでに手放した。
純資産の半分という値段は、安く見えるだけだ。稼ぐ力が資本コストに届かない会社の純資産は、帳簿どおりの値打ちにならない。窯を一本閉じるたびに、減損が自己資本を削る。
どちらに重みを置いたか
事業の足場は、強気の見方が言うほど脆くなく、慎重な見方が言うほど強くもない。びんの数量が減るのは構造で、否定できない。一方、構造改革で赤字は抜け、配当と持ち合い株の方針は筋がよい。中立の筋書きでは、利益が物価並みに伸びても、自己資本利益率は5%台で資本コストに届かない。そのため倍率は低く、中立の10年後の時価総額は、今の1.2倍ほどにとどまる。確率は、やや悲観に厚めの0.30、悲観に0.15を置き、楽観側は小さくした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,520 円360 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,596 円163 億円)。 今の値に割り戻すと 2,618 円267 億円、今との差 −5.1%、 期待の年率 +6.4%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 7,483 円764 億円 | 2,584 円264 億円 | +264.8% | +13.8% | 503 円51 億円 |
| やや楽観 | 15% | 6,102 円623 億円 | 2,183 円223 億円 | +200.2% | +11.6% | 1,243 円127 億円 |
| 中立 | 35% | 4,605 円470 億円 | 1,811 円185 億円 | +132.5% | +8.8% | 2,246 円229 億円 |
| やや悲観 | 30% | 1,799 円184 億円 | 1,390 円142 億円 | +15.5% | +1.5% | 957 円98 億円 |
| 悲観 | 15% | 529 円54 億円 | 587 円60 億円 | −59.6% | −8.7% | 167 円17 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,520 円360 億円 | 1,596 円163 億円 | +85.4% | +6.4% | 5,116 円523 億円 |
今の株価時価総額 2,760 円282 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 5% びんが踏みとどまり、新規事業が育つ 利益 65 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 7,483 円764 億円
びんの国内生産は100万トンを割り込まず、クラフト飲料、ワイン、化粧品、高級調味料の高単価びんが伸びる。国内首位の同社は、東洋ガラス、石塚硝子との値上げ交渉でも先頭に立ち、エネルギーと炭素のコストを通す。窯の更新は、電気溶融や水素燃焼の導入で燃料コストを下げる形に変わり、営業利益率はびんで6.5%まで戻る。
プラスチックは台湾の宏全国際集団との提携で数量が1.6倍に伸び、物流は全国約40拠点の3PLで荷主を増やす。ニューガラスは半導体・AI・センサー向けで数量が2.5倍になり、利益率15%に達する。
政策保有株の売却と配当の下限は守られ、有利子負債を使った資本政策で自己資本利益率は8%台に上がる。全社の営業利益率は7%近くと、過去12年の山を超えるが、それは構造改革の完了と、ニューガラスの構成比が上がる効果による。
- ガラスびん:数量 34.9(出荷量(万トン・年、推定))× 価格 18(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 611 億円・営業利益 40 億円。ガラスびん:数量34.92、単価17.5、営業利益率6.5%
- プラスチック容器:数量 30.4(樹脂換算の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 5.99(1千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 182 億円・営業利益 12 億円。プラスチック:数量30.4、単価5.9947、営業利益率6.5%
- 物流:数量 132(取扱物量(万トン相当・年、推定))× 価格 2.08(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 276 億円・営業利益 16 億円。物流:数量132.3、単価2.0841、営業利益率5.8%
- ニューガラス・その他:数量 1,125(出荷量(トン・年、推定))× 価格 0.12(1トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 136 億円・営業利益 20 億円。ニューガラス他:数量1125.0、単価0.1213、営業利益率15.0%
倍率:事業の純利益 65 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 764 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:びんの数量が緩やかな減少に収まり、値上げが定着し、ニューガラスが倍以上に育つという好条件の重なりが必要。過去12年で一度も営業利益率6%を超えていないため、確率は5%にとどめた。
やや楽観 15% 値上げが通り、窯の更新を乗り切る 利益 53 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 6,102 円623 億円
びんの数量は10年で0.94倍に収まる。値上げが物価並みに通り、窯の更新も計画どおり進み、びんの営業利益率は6%を保つ。2029年3月期の経常利益45億円という中期計画が、概ね実現する形だ。
プラスチックは台湾の宏全国際集団との提携と中国の展誠の成長で数量が1.45倍に伸びる。物流は40拠点で荷主を増やし、数量は1.27倍。ニューガラスは数量が2倍になり、利益率13%を保つ。
全社の営業利益率は6.3%で、過去12年の山と同じ水準だ。配当は性向53%程度を続け、自己資本利益率は7%近くに上がる。それでも資本コストには届かず、倍率は低い。窯の更新のたびに、設備投資の負担が物価で膨らむ点は変わらない。
- ガラスびん:数量 33.8(出荷量(万トン・年、推定))× 価格 17(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 580 億円・営業利益 35 億円。ガラスびん:数量33.84、単価17.125、営業利益率6.0%
- プラスチック容器:数量 27.6(樹脂換算の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 5.99(1千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 165 億円・営業利益 10 億円。プラスチック:数量27.55、単価5.9947、営業利益率6.0%
- 物流:数量 124(取扱物量(万トン相当・年、推定))× 価格 2.05(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 256 億円・営業利益 14 億円。物流:数量124.46、単価2.0539、営業利益率5.6%
- ニューガラス・その他:数量 900(出荷量(トン・年、推定))× 価格 0.12(1トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 107 億円・営業利益 14 億円。ニューガラス他:数量900.0、単価0.1187、営業利益率13.0%
倍率:事業の純利益 53 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 623 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:構造改革後の利益水準が窯の更新を乗り切って保たれる想定。中期計画(2029年3月期に経常45億円)が概ね実現する形で、会社の計画達成の実績は乏しいため0.15にとどめた。
中立 35% びんは細り、他の三事業が埋める 利益 40 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 4,605 円470 億円
びんの数量は10年で0.9倍になる。人口と習慣が細る中、高単価びんの伸びでは補いきれない。価格は物価並みに1.34倍上がるが、人件費と燃料費も同じ速さで上がり、びんの営業利益率は5%にとどまる。
プラスチックは数量1.3倍、物流は1.2倍、ニューガラスは1.7倍に伸びる。台湾の宏全国際集団との提携は一部しか実を結ばず、中期計画の2029年3月期の数字には届かない。
全社の売上は約1,020億円、営業利益は約53億円(利益率5.2%)。今とほぼ同じ利益率を保ち、物価分だけ利益がふくらむ。窯の償却は取得時の値段のままで、建て替えが済むたびにゆっくり増える。償却は10年で2割ほど増え、売上の伸びより遅いぶん、会計の利益は有利になる。ただ、建て替えの投資は物価で膨らむため、現金は細る。配当性向は52%を保ち、自己資本利益率は5%台で資本コストを下回る。
- ガラスびん:数量 32.4(出荷量(万トン・年、推定))× 価格 17(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 543 億円・営業利益 27 億円。ガラスびん:数量32.4、単価16.75、営業利益率5.0%
- プラスチック容器:数量 24.7(樹脂換算の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 5.99(1千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 148 億円・営業利益 7 億円。プラスチック:数量24.7、単価5.9947、営業利益率5.0%
- 物流:数量 118(取扱物量(万トン相当・年、推定))× 価格 2.02(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 238 億円・営業利益 12 億円。物流:数量117.6、単価2.0237、営業利益率5.2%
- ニューガラス・その他:数量 765(出荷量(トン・年、推定))× 価格 0.12(1トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 89 億円・営業利益 10 億円。ニューガラス他:数量765.0、単価0.1161、営業利益率11.0%
倍率:事業の純利益 40 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 470 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:びんの数量は緩やかに減り、値上げは物価並みに通り、他の三事業が成長を支える中心の筋書き。業界団体の予測(2030年100万トン)と中期計画を中心値にした。
やや悲観 30% エネルギー高を転嫁しきれない 利益 26 億円 · PER 6.8 倍 · 株価時価総額 1,799 円184 億円
エネルギーの高止まりと炭素のコストを、値上げで取り戻しきれない。びんの数量は10年で0.84倍に減り、価格は1.30倍と物価に届かず、営業利益率は3.6%に落ちる。窯の稼働率が下がり、固定費が重くなる。
石塚硝子が2025年3月期に見せた、単価は上がるが出荷減と燃料高で減益という形が、そのまま続く。プラスチックは数量1.15倍、物流は1.1倍、ニューガラスは1.2倍にとどまる。
全社の営業利益率は3.9%、営業利益は約35億円。配当は性向の下限に近い50%を守るが、利益が薄いため金額は伸びない。自己資本利益率は4%を下回り、倍率は低い。窯を一本閉じる判断をするが、減損は小さく抑える。
- ガラスびん:数量 30.2(出荷量(万トン・年、推定))× 価格 16(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 491 億円・営業利益 18 億円。ガラスびん:数量30.24、単価16.25、営業利益率3.6%
- プラスチック容器:数量 21.9(樹脂換算の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 5.82(1千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 127 億円・営業利益 5 億円。プラスチック:数量21.85、単価5.8158、営業利益率4.0%
- 物流:数量 108(取扱物量(万トン相当・年、推定))× 価格 1.96(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 212 億円・営業利益 10 億円。物流:数量107.8、単価1.9633、営業利益率4.5%
- ニューガラス・その他:数量 540(出荷量(トン・年、推定))× 価格 0.11(1トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 61 億円・営業利益 5 億円。ニューガラス他:数量540.0、単価0.1127、営業利益率8.0%
倍率:ROE約3.7%、k8.5%。RONICは約6.1%、g2.5%から正当化PERは約9倍だが、稼ぐ力が弱く、窯の稼働率低下で利益が不安定。やや悲観は構造的な負けを織り込んで、上限の7割台の6.8倍に置いた。
確率:エネルギーと炭素のコストを十分に転嫁できず、びんの数量も予測以上に減る想定。石塚硝子も出荷減と燃料高で減益で、同業共通の圧力が続くため重く0.30を置いた。
悲観 15% びんが構造的に縮み、窯を閉じ続ける 利益 9 億円 · PER 6.0 倍 · 株価時価総額 529 円54 億円
缶やペットボトル、紙パックへの置き換えが速まり、酒類の消費も細る。びんの数量は10年で0.7倍まで減り、窯を3本ほど閉じる。減損が重なり、自己資本は大きく削られる。価格は物価を下回る1.2倍で、びんの営業利益率は1%まで落ちる。
固定費の重さが利益を直撃する。窯は止めれば再開に大金がかかり、稼働率の低下が止まらない。プラスチックと物流は微増にとどまり、ニューガラスも伸びない。全社の営業利益は約13億円に落ちる。
配当は下限の水準まで縮み、10年で60億円程度になる。有利子負債は借り換えで3.5%に上がり、利払いも重い。同業の再編に巻き込まれるか、自力で縮小均衡に向かうか、どちらにせよ、優良な会社ではなくなっている。
- ガラスびん:数量 25.2(出荷量(万トン・年、推定))× 価格 15(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 378 億円・営業利益 4 億円。ガラスびん:数量25.2、単価15.0、営業利益率1.0%
- プラスチック容器:数量 19.0(樹脂換算の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 5.37(1千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 102 億円・営業利益 2 億円。プラスチック:数量19.0、単価5.3684、営業利益率2.2%
- 物流:数量 98.0(取扱物量(万トン相当・年、推定))× 価格 1.89(1万トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 185 億円・営業利益 7 億円。物流:数量98.0、単価1.8878、営業利益率4.0%
- ニューガラス・その他:数量 450(出荷量(トン・年、推定))× 価格 0.10(1トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 3 億円。ニューガラス他:数量450.0、単価0.104、営業利益率7.0%
倍率:ROE約1.7%がk8.5%を大きく下回るので、ためた利益は額面未満。稼ぐ力(純利益÷k)から値付けし、伸びを織り込まない。窯の閉鎖が続く構造的な負けを前提に、6倍に置いた。
確率:缶・ペットなどへの置き換えが加速し、窯を閉じ続けて減損を重ねる。過去12年で5期赤字だった実績と、固定費の重い構造から、5%を超える確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ガラスびん
酒・調味料・飲料・食品・薬・化粧品のびん。国内首位。窯の固定費が重い。
| 数量出荷量(万トン・年、推定) | 価格1万トンあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 36.0 | 13 | 450 | 24 |
| 10 年後 中立 | 32.4 | 17 | 543 | 27 |
取り方:売上の約64%=450億円と推定(セグメント別の実績は未確認)。市場規模は協会の2021年度で約1,082億円、国内シェア首位の同社は4割弱とみて、業界生産約95万トンの38%=36万トン、1万トンあたり約12.5億円と置いた(推定)。営業利益24億円は全社38億円の配分の推定。数量は実質、物価は価格に入れる。
プラスチック容器
飲料用キャップ・容器。中国の子会社と台湾の宏全国際集団との提携が伸びしろ。
| 数量樹脂換算の出荷量(千トン・年、推定) | 価格1千トンあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 19.0 | 4.47 | 85 | 3 |
| 10 年後 中立 | 24.7 | 5.99 | 148 | 7 |
取り方:飲料用キャップ・容器の売上を85億円と推定。樹脂1トンあたり売上約45万円で樹脂換算約1.9千トン(推定)。営業利益3億円は計画の経常利益の水準からの推定。
物流
全国約40拠点の3PL(保管・輸送の請け負い)。びん以外の荷主を増やす。
| 数量取扱物量(万トン相当・年、推定) | 価格1万トンあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 98.0 | 1.51 | 148 | 8 |
| 10 年後 中立 | 118 | 2.02 | 238 | 12 |
取り方:物流の売上を148億円と推定(計画は2027年3月期に150億円)。取扱物量は1トンあたり約1.5万円の売上として約98万トン相当(推定)。営業利益8億円は計画の水準。
ニューガラス・その他
電子部品用の封着ガラス、燃料電池用ガラスなど。数量は小さいが利益率が高い。
| 数量出荷量(トン・年、推定) | 価格1トンあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 450 | 0.09 | 39 | 5 |
| 10 年後 中立 | 765 | 0.12 | 89 | 10 |
取り方:ニューガラスと農産物などその他を合わせて39億円と推定。特殊ガラス粉末など1トンあたり約870万円の高付加価値品として約450トン(推定)。営業利益5億円は計画の水準。
リスクと懸念
びんの数量が予測より早く減る
協会の見通しは2030年に100万トンだが、2018年度は予測を2年早く割り込んだ。窯は止めにくく、数量が減ると稼働率が落ち、固定費が利益を直撃する。
エネルギーと炭素のコストを転嫁しきれない
窯の燃料は天然ガスと重油で、2026年度からは排出量取引の炭素コストも乗る。値上げは大手飲料メーカーとの交渉に数か月かかり、同業の石塚硝子も燃料高で減益だった。
窯の更新費が物価で膨らむ
窯は10年前後で建て替え、費用は建築費の上昇で膨らむ。償却は取得時の値段のままで利益は見かけ上伸びるが、現金は細り、借入なら利払いが増える。3年の更新投資は維持更新だけで84億円。
資本効率が資本コストに届かない
自己資本利益率は5%台で、過去10年の中央値は1%に満たない。借金で配当を保つ方針は、金利が3.5%前後に上がる世界では利払いを重くする。
中期計画が達成されない
売上と設備投資は前の中期計画を下回った。2029年3月期の経常利益45億円が届かなければ、配当性向50%の裏づけも弱くなる。
他容器・他社への置き換えと業界再編
缶やペットボトル、紙パックへの置き換えは続く。6社10拠点の寡占の中で、同業の窯の停止や再編が起きれば、取引先との力関係が変わる。
今後の分かれ目
- びんの出荷量が前年比で3%以上減る年が続いたら
- 数量0.84倍のやや悲観に重みを移す。窯の稼働率が分かれ目になる。
- びんの値上げが燃料・炭素の上昇分を上回って決まったら
- びんの営業利益率6%の見方に近づく。中立より上の筋書きの確率を上げる。
- 窯を閉じる、または減損を出す発表があったら
- 悲観の筋書きが近づいた合図。自己資本の削れ方を見る。
- 政策保有株の売却が計画(36億円)を上回って進んだら
- 財務と資本効率は改善する。ただし受取配当の減る分を利益から引いて見る。
- 台湾の宏全国際集団との提携が具体的な増産・買収に進んだら
- プラスチックの数量1.45倍以上の筋書きを検討する。
- 同業の統合・TOBが出たら
- 市場は約27%と見るTOBの確率が現実になる。ただし本質価値の計算は変えず、動いた値段は別に見る。
見ておくもの
- びんの出荷量と単価の四半期の動き(決算説明資料)
- 窯の更新・修繕の時期と費用、減損の有無
- 国内排出量取引の価格と、転嫁の交渉結果
- 政策保有株の売却額と有利子負債
- ニューガラスの受注(半導体・センサー向け)
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト8.5%と、数量が細り価格は物価並みという成長(g 2〜3.5%)から、利益ベースの正当化PERで決めた。ROEが資本コスト以下なので上限は1÷k。今の株価の倍率や、純資産の半値という値段は見ていない。悲観は稼ぐ力から値付けし、谷の倍率は使っていない。リース会計の変更で、2028年3月期から物流のリース負債が貸借対照表に載り得るが、10年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.76 倍・やや楽観 PER 9.4→11.76 倍・中立 PER 8.8→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に、品質の合計1.0%を足した。