株譜
AI 銘柄分析 · ガラス・土石製品 · 試作

TOTO 5332

国内トイレ首位の安定収益と中国不振を抱えつつ、半導体用セラミックスが利益の半分を稼ぐ柱に育ち、10年の価値は今の値段とほぼ同じ

やや割安
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)6,297 円1.04 兆円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)5,689 円9,356 億円差 +10.7%
10 年後から見ると やや割安 価値 6,297 円1.04 兆円 · 差 +10.7% · 期待の年率 +7.4%
期待の年率リターン(10 年)+7.4%資本コスト比 +0.4 pt
推定の資本コスト7.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

TOTOは国内の衛生陶器市場でシェア約6割、温水洗浄便座(ウォシュレット)で約54%、リフォーム採用数で約58%を握る圧倒的首位の水まわり設備メーカーである。国内の新築住宅着工は人口減で長期的に縮小するが、リフォーム需要と高付加価値品へのシフトが支える成熟事業である。海外では米州で温水洗浄便座の普及がようやく始まり売上が急伸する一方、中国大陸事業は現地ブランドの台頭とEC対応の遅れで2025年3月期に341億円の減損を計上し赤字化、北京・上海の工場を閉鎖するなど抜本的な縮小を進めている。もう一つの顔が、便器を焼く精密セラミック技術を転用した半導体製造装置向けセラミック部材(新領域事業)で、主力の静電チャックは世界シェア約17%、AI投資による半導体製造装置市場の拡大を背景に2026年3月期の売上は674億円(前年比+34%)・営業利益は289億円(+42%)と、売上の1割にも満たない事業が全社営業利益の半分以上を稼ぐまでに育った。

本質価値は、国内の成熟した水まわり事業と中国の再建、米州・アジアの成長、そして半導体セラミックスという成長率もリスクもまるで異なる5つの事業の組み合わせで決まる。資本コストは7.0%(基本の7.5%に、値決め−0.5%・循環+0.25%・寿命−0.25%の調整)とし、国内の圧倒的なブランド力と独自のセラミック技術という2つの堀を強いと判断した。中立の筋書きでは、半導体セラミックスの構造的な成長が国内の成熟・中国の重さを補い、10年後にはROEが資本コストを上回る水準まで改善すると見る。一方、今のPER23.5倍・PBR1.79倍という市場の値付けは、この半導体セラミックスの高成長が長く続くことをかなり先取りしており、半導体投資循環や中国再建の不確実性を踏まえると、10年後の本質価値は今の時価総額とほぼ同じ(約−1%、適正)と見る。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、TOTOは「広い堀を持つ国内優良企業」と「海外展開の実行力に課題を残す会社」という2つの顔を持つ。衛生陶器・温水洗浄便座での国内シェア6割、リフォーム採用数58%という地位は、工務店・ショールームという販売網と技術的な差別化に支えられ、10年後も大きくは揺るがないとみてよい強みである。一方で、中国事業における341億円の減損と工場閉鎖は、海外で同じ堀を再現できなかったという経営の限界を映す。

オーナー利益の観点では、半導体セラミックス事業が売上の1割未満で全社営業利益の半分以上を稼ぐという事実が重要である。便器づくりで磨いた技術の意外な転用先として、再投資効率の高い成長機会を生んでいる。経営は配当性向40%以上の還元を続けつつ、この成長事業への戦略投資を優先する資本配分をとっており、大きく価値を壊す買収は見当たらない。

安全域は、今のPBR1.79倍・PER23.5倍という値付けが、セラミック事業の高成長をどこまで先取りしているかに依存する。国内事業の安定収益だけで評価するなら今の値付けはやや高いが、セラミック事業の成長が業種ノートの想定どおり長く続くとは限らず、半導体の投資循環と中国再建の不確実性を踏まえると、今の値付けには慎重な見方をとる。

何で稼ぐ会社か

事業は大きく水まわり住宅設備事業と、新領域事業(セラミック)の2つに分かれる。水まわり住宅設備事業はさらに地域別に4つに分かれる。日本住設事業は、トイレ(衛生陶器)・温水洗浄便座(ウォシュレット)・システムバス・洗面化粧台などを住宅メーカー・工務店・リフォーム店・ショールームを通じて販売する中核事業で、国内シェアは衛生陶器6割・温水洗浄便座54%・リフォーム採用数58%と圧倒的首位を保つ。新築住宅着工の長期減少を、既存住宅のリフォーム需要(新築の2〜3倍の規模)と、節水・高機能品への更新需要で補う構図が続く。

中国大陸住設事業は、2000年代から現地生産・販売網を築いてきた最大の海外拠点だったが、現地ブランド(価格競争力のある地場メーカー)の台頭とタオバオ・京東といったECプラットフォームへの対応の遅れで急速にシェアを落とし、2025年3月期に341億円の減損・工場閉鎖に追い込まれた。米州住設事業は、米国で温水洗浄便座の普及がようやく始まった段階にあり、ウォシュレットの販売が高い伸びを続け、2025年3月期は売上704億円(+19.7%)・営業利益51億円(+85.7%)と急伸している。アジア・オセアニア住設事業は、東南アジア・オーストラリアなどで現地の住宅需要の拡大を取り込む成長事業である。

新領域事業(セラミック事業)は、便器を高温で焼成する独自のセラミック技術を転用し、半導体製造装置に組み込まれるウエハー保持用の静電チャックやAD部材(高純度アルミナ等)を手がける。主力の静電チャックは世界シェア約17%で、信越化学・京セラ・NGKインシュレーターズなどと競合するが、AI投資による半導体製造装置(WFE)市場の拡大を追い風に急成長しており、2026年3月期は売上の1割にも満たない規模で全社営業利益の半分以上を稼ぐ、実質的な「もう一つの本業」に育っている。

優良さと弱いところ

堀の強さは事業ごとに大きく異なる。国内の水まわり事業は、工務店・リフォーム店・ショールームという販売網と、「セフィオンテクト」などの独自技術による清掃性・耐久性の差別化、長年の施主・工務店との関係に支えられ、LIXILとの2社でほぼ国内市場を分け合う高いブランド力と価格決定力を持つ。この国内の優位は、リフォームという更新需要が本質的に残る限り10年後も続く可能性が高い。

一方、この国内で効いた「ブランド+販売網」の堀は、中国では通用しなかった。現地ブランドの価格競争力とEC化という市場構造の変化に対応が遅れ、わずか数年でシェアを失い大型減損に至ったことは、海外展開における堀の脆さを示す。米州はまだ普及期にあり堀が確立したとは言い切れないが、温水洗浄便座という独自カテゴリーでの先行者優位は大きい。

新領域事業(セラミック)の堀は、便器づくりで磨いた高純度セラミックの焼成技術という、他社が簡単には模倣できない技術的優位に基づく。世界シェア17%は信越化学・京セラなど強力な競合がいる中での地位であり独占ではないが、半導体微細化が進むほど要求される精度が上がり、技術優位が維持されやすい構造にある。

資本効率は、今期ROE7.6%で資本コスト7.0%をなお下回るが、2025年3月期の中国減損による一時的な落ち込みを除けば、セラミック事業の急成長がROEを押し上げる方向に効いている。経営は配当性向40%以上の還元と政策保有株式の縮小を進めており、資本配分は保守的だが規律は保たれている。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

業種ノート(ガラス・土石製品/板ガラス・住宅建材)が示すとおり、国内の水まわり住宅設備は新築住宅着工戸数の長期的な縮小という構造的な向かい風を抱えつつ、リフォーム需要・高付加価値品へのシフトで緩やかな縮小〜横ばいにとどまる業種である。TOTOはこの国内市場でLIXIL(旧INAX)と事実上の2社寡占を形成し、衛生陶器・温水洗浄便座で一貫して首位を保っている。温水洗浄便座の国内世帯普及率はすでに80%を超えて成熟しており、国内の成長は上位グレードへの買い替え(リフォーム)が中心になる。

海外では、中国事業の失速が象徴するように、現地メーカーの技術キャッチアップとEC化という構造変化への対応力が業績を左右する。中国の住宅設備市場は新築住宅市場の低迷も重なり、TOTOは生産能力を絞り2027年3月期の黒字化を目指す再建フェーズにある。対照的に米州では、温水洗浄便座の普及率がまだ低く、日本が1980年代に経験した普及期の初期段階にあるとみられ、ウォシュレットという独自カテゴリーの先行者優位を背景に高い成長が続く。アジア・オセアニアも人口増・都市化を背景とした住宅需要の拡大余地がある。

新領域事業が属する半導体製造装置業界は、AI投資による長期の需要拡大という業種の中でも例外的な成長領域だが、2〜3年ごとに投資循環の谷がある点は他の半導体関連部材企業と同じリスクを負う。静電チャックは信越化学・京セラ・NGKインシュレーターズ・NTKセラテックなど資本力のある競合が多く、上位10社で世界シェアの93%を占める寡占的な構造であり、TOTOはその中の有力な一社という位置づけにある。半導体の微細化・AI向け先端ロジックの比率が上がるほど、より高精度な部材が求められ、技術優位を持つ企業への集中が進みやすい。

資本政策と M&A

株主還元は、配当性向40%以上を基本方針とし、減配を避けつつ増配または維持を続けてきた。自己株式の取得は資本コスト・株価水準・キャッシュ余力を踏まえて機動的に実施する方針で、配当と合わせた総還元で株主に利益を戻す。政策保有株式は資本コストを上回るハードルレートで管理を強化し、縮小を進めている。

M&Aは、海外展開は基本的に自社工場の新設・増強(米州での衛生陶器新工場棟、中国での生産体制再構築)が中心で、大型買収による事業拡大の実績は乏しい。中国事業では逆に、不振拠点の工場閉鎖・人員合理化という縮小方向の資本配分が続いている。セラミック事業への戦略投資(WILL2030 STAGE2でセラミック事業に290億円)は、既存の焼成技術を転用した内部成長への投資であり、同様にM&Aではなく自前主義が基本である。純有利子負債が時価総額比でマイナス(純現金)であることから、財務面で買収対象になる脆さはなく、ブランド力の高さから大手による敵対的TOBの対象になる可能性も低いとみる。

点検済み:中立の営業利益率11.3%は会社予想(28年3月期7.8%)を超えるが、事業別の利益率は国内3.4%・アジア14%・セラミック44%と今に近く(米州7.3%→9%のみ上げ)、超えは利益率の高いセラミックの売上が今の2.1倍になる構成の変化。数字は据え置く。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

楽観的な見方の核心は、半導体セラミックス事業の成長が、国内の成熟・中国の不振を十分に補って余るという点にある。静電チャックはAI投資による半導体製造装置市場の拡大を直接の追い風とし、2026年3月期は前年比34%の増収・42%の増益と、会社全体の成長率をはるかに上回るペースで伸びている。半導体の微細化が進むほど要求される精度は上がり、長年の焼成技術の蓄積を持つTOTOの技術優位はむしろ強まる方向にある。全社営業利益の半分以上をすでに稼ぐこの事業が、WILL2030 STAGE2の戦略投資(290億円)によってさらに生産能力を拡大すれば、10年後には会社の収益構造そのものを塗り替える規模に育つ可能性がある。

海外の水まわり事業も、米州で温水洗浄便座の普及がようやく始まった段階にあり、日本が1980年代に経験した普及の立ち上がりを踏まえれば、今後10年の成長余地は大きい。2031年3月期に売上を4割増の1000億円とする会社目標は、むしろ保守的に見える。中国事業も、工場閉鎖・人員合理化という痛みを伴う再建をすでに進めており、2027年3月期の黒字化を起点に、縮小した身の丈に合った収益基盤を築ける。国内の水まわり事業も、新築の縮小をリフォームの高付加価値化で補う構図は変わらず、LIXILとの2社寡占という安定した収益基盤を提供し続ける。これらが組み合わされば、ROEは資本コストを明確に上回る水準まで改善する。

慎重な見方

慎重な見方は、TOTOの海外展開における実行力の乏しさに根ざす。中国事業では、現地ブランドの台頭とEC化という市場構造の変化を読み切れず、わずか数年でシェアを失い341億円の減損と2工場の閉鎖に追い込まれた。この失敗は、国内で効いた「ブランド+販売網」の堀が、文化・流通構造の異なる市場では簡単に再現できないことを示しており、米州やアジア・オセアニアでも同じリスクが潜む。米州の温水洗浄便座普及は始まったばかりで、今の高い成長率がそのまま10年続く保証はなく、現地競合(Kohler等)の対応次第で伸びが鈍る可能性もある。

半導体セラミックス事業も、AI投資という外部環境への依存度が高く、半導体業界特有の2〜3年ごとの投資循環の谷が来れば、今の急成長ペースは大きく鈍る。信越化学・京セラ・NGKインシュレーターズなど資本力のある競合が多数存在する寡占市場であり、TOTOが世界シェア17%からさらに大きく伸ばせる保証もない。会社全体の営業利益の半分以上を、循環リスクの大きい一事業に依存する構造は、むしろリスクを高めている面もある。

国内の水まわり事業も、温水洗浄便座の普及率がすでに80%を超えて成熟し、新築住宅着工の減少という構造的な逆風が続く限り、リフォームの高付加価値化だけで成長を続けるのは容易ではない。ROEが資本コスト7.0%を上回る水準まで改善するには、海外・半導体の両方が計画どおりに進む必要があり、どちらかが崩れれば中立の想定すら下回る。

どちらに重みを置いたか

半導体セラミックス事業の成長は実在し、すでに全社営業利益の半分以上を稼ぐという事実は軽視できないが、半導体業界特有の投資循環のリスクと、中国での実行力不足という実績の重さを踏まえ、確率は楽観側に大きくは寄せず、中立をやや上回る程度にとどめた。米州の普及初期という有望な芽はあるが、中国の失敗を踏まえ海外展開の実行力には一定の慎重さを残す。10年後は半導体セラミックスの伸びが積み上がる分、強気の見方の確率をやや厚くしている。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 9,612 円1.58 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,979 円3,254 億円)。 今の値に割り戻すと 6,297 円1.04 兆円、今との差 +10.7%、 期待の年率 +7.4%(資本コスト 7.0%)→ やや割安

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 15% 19,834 円3.26 兆円 3,544 円5,828 億円 +310.9% +15.2% 3,507 円5,767 億円
やや楽観 25% 12,634 円2.08 兆円 2,482 円4,082 億円 +165.7% +10.3% 3,779 円6,215 億円
中立 32% 8,336 円1.37 兆円 1,812 円2,980 億円 +78.4% +6.0% 3,248 円5,341 億円
やや悲観 20% 3,448 円5,671 億円 1,136 円1,868 億円 −19.4% −2.1% 917 円1,508 億円
悲観 8% 1,509 円2,482 億円 243 円400 億円 −69.2% −11.1% 140 円231 億円
加重平均100% 9,612 円1.58 兆円1,979 円3,254 億円 +103.7% +7.4% 11,590 円1.91 兆円

今の株価時価総額 5,689 円9,356 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。

楽観 15% 半導体セラミックスが収益の主役に育ち、米州も日本に次ぐ規模まで育つ 利益 1,540 億円 · PER 21.2 倍 · 株価時価総額 19,834 円3.26 兆円

AI投資による半導体の微細化・高性能化という長期の潮流が10年を通じて続き、静電チャック・AD部材は信越化学・京セラなど競合との差を広げながら世界シェアを拡大し、セラミック事業は会社の収益の主役として確固たる地位を築く。米州は温水洗浄便座の普及が進み、日本と同水準に近づく過程で売上が大きく伸び続け、会社目標(2031年3月期に約1,000億円)を上回るペースで拡大する。中国事業はFY2027/03の黒字化後、身の丈に合った規模で緩やかな成長軌道に戻る。アジア・オセアニアも都市化の進展とともに着実に拡大する。国内の水まわり事業は、新築の構造的な縮小をリフォームの高付加価値品シフトと海外展開でほぼ補う。全社のROEは17%近くまで上がり、資本コスト7.0%を大きく上回って、半導体セラミックスを中核事業の一つとする多角化企業としての評価が定着する。

  • 日本住設事業:数量 25,101(国内住宅設備機器市場規模(億円、矢野経済研究所調べ))× 価格 24.2%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 6,077 億円・営業利益 304 億円
  • 中国大陸住設事業:数量 9,284(中国本土の中高級住宅設備(衛生陶器・水まわり)市場規模(億円、概算))× 価格 10.5%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 971 億円・営業利益 49 億円
  • 米州住設事業:数量 124(米国の温水洗浄便座・衛生陶器市場規模(億ドル、概算))× 価格 13.1%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 2,440 億円・営業利益 317 億円
  • アジア・オセアニア住設事業:数量 11,803(アジア・オセアニアの住宅設備市場規模(億円、概算))× 価格 12.6%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 1,490 億円・営業利益 253 億円
  • セラミック事業(新領域事業):数量 40.6(世界の静電チャック市場規模(億ドル))× 価格 42.4%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 2,582 億円・営業利益 1,239 億円

倍率:事業の純利益 1,540 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.8% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.67(moat=strong)で RONIC 13.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.2 倍。全体の PER 21.18 倍、時価総額 32,617 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:半導体セラミックスと米州の成長が長期にわたって計画以上に進む組み合わせで、方向性は正しいが実現には多くの条件が必要なため15%にとどめる。

やや楽観 25% 半導体セラミックス・米州の成長が着実に積み上がり、ROEは資本コストを上回る 利益 1,081 億円 · PER 19.2 倍 · 株価時価総額 12,634 円2.08 兆円

半導体の微細化・AI投資という長期の追い風を受けて、セラミック事業は競合との競争を保ちながらも着実にシェアを広げ、会社の収益の柱として成長を続ける。米州は温水洗浄便座の普及が進み、2031年3月期の会社目標に沿って着実に売上を伸ばす。中国事業はFY2027/03の黒字化後、緩やかながら安定した収益に戻る。アジア・オセアニアも都市化を背景に成長を続ける。国内の水まわり事業は新築の縮小とリフォームの伸びがほぼ相殺し横ばいを保つ。全社のROEは10年かけて12%台まで上がり、資本コスト7.0%を上回るが、半導体の投資循環や中国での競争激化という不確実性は残る。

  • 日本住設事業:数量 23,895(国内住宅設備機器市場規模(億円、矢野経済研究所調べ))× 価格 22.8%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 5,458 億円・営業利益 229 億円
  • 中国大陸住設事業:数量 8,837(中国本土の中高級住宅設備(衛生陶器・水まわり)市場規模(億円、概算))× 価格 8.4%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 746 億円・営業利益 19 億円
  • 米州住設事業:数量 113(米国の温水洗浄便座・衛生陶器市場規模(億ドル、概算))× 価格 11.6%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 1,970 億円・営業利益 207 億円
  • アジア・オセアニア住設事業:数量 10,745(アジア・オセアニアの住宅設備市場規模(億円、概算))× 価格 11.3%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 1,216 億円・営業利益 182 億円
  • セラミック事業(新領域事業):数量 33.9(世界の静電チャック市場規模(億ドル))× 価格 37.7%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 1,913 億円・営業利益 871 億円

倍率:事業の純利益 1,081 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.5% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.67(moat=strong)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.2 倍。全体の PER 19.22 倍、時価総額 20,777 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:半導体セラミックス・米州の成長が着実に積み上がる一方、中国・国内は横ばいという、現在の戦略の延長線上にある前向きなシナリオ。

中立 32% 半導体セラミックスの伸びが国内の構造的な縮小を相殺し、ROEはようやく資本コストに並ぶ 利益 789 億円 · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 8,336 円1.37 兆円

半導体製造装置市場は2〜3年ごとの循環を伴いながらも長期的には拡大を続け、セラミック事業は信越化学・京セラなど資本力のある競合との競争にさらされつつも、世界シェアを緩やかに伸ばし会社の収益の柱に育つ。米州は温水洗浄便座の普及が進むが、普及率が上がるほど成長率は徐々に落ち着く。中国事業はFY2027/03に黒字化した後も、現地ブランドとの競争が続き小幅な成長にとどまる。アジア・オセアニアは緩やかな成長を保つ。国内の水まわり事業は、人口減・新築住宅着工の長期縮小が続く中、リフォームの高付加価値品シフトと海外展開でほぼ相殺する。全社のROEは10年かけて9〜10%まで上がり、資本コスト7.0%は上回るが、業種ノートの衛生陶器系の成熟期ROE(8〜13%)の下寄りにとどまる。

  • 日本住設事業:数量 22,742(国内住宅設備機器市場規模(億円、矢野経済研究所調べ))× 価格 22.2%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 5,038 億円・営業利益 171 億円
  • 中国大陸住設事業:数量 8,000(中国本土の中高級住宅設備(衛生陶器・水まわり)市場規模(億円、概算))× 価格 7.4%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 594 億円・営業利益 6 億円
  • 米州住設事業:数量 98.4(米国の温水洗浄便座・衛生陶器市場規模(億ドル、概算))× 価格 10.6%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 1,565 億円・営業利益 141 億円
  • アジア・オセアニア住設事業:数量 9,773(アジア・オセアニアの住宅設備市場規模(億円、概算))× 価格 10.4%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 1,017 億円・営業利益 142 億円
  • セラミック事業(新領域事業):数量 28.1(世界の静電チャック市場規模(億ドル))× 価格 33.9%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 1,431 億円・営業利益 630 億円

倍率:事業の純利益 789 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.67(moat=strong)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.2 倍。全体の PER 17.22 倍、時価総額 13,587 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:半導体循環を伴いながらの緩やかな拡大と、国内の構造的な縮小の相殺という、業種ノートの前提に沿った最も中心的な10年の筋書き。

やや悲観 20% 中国勢・現地競合の追い上げで半導体セラミックス・米州の成長が鈍る 利益 427 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 3,448 円5,671 億円

半導体の投資循環の谷が長引き、セラミック事業は信越化学・京セラなど競合の増産に追いつかれて世界シェアの伸びが鈍る。米州の温水洗浄便座の普及も、現地競合(Kohler等)の対応で想定より遅れる。中国事業は現地ブランドとの競争にさらに押され、FY2027/03の黒字化計画がずれ込み、縮小した規模のままほぼ横ばいが続く。アジア・オセアニアも地域の需要鈍化で成長が限られる。国内の水まわり事業は人口減が想定より速く進み、新築の縮小をリフォームの伸びが補いきれず小幅に縮小する。全社のROEは5%台で足踏みし、資本コストとの差が10年後も残る。過去にディスプレイ用ガラスや黒鉛電極業界で起きた中国勢へのシェア流出と同様の構図が、半導体セラミックス・住宅設備の両方で起きるシナリオである。

  • 日本住設事業:数量 21,000(国内住宅設備機器市場規模(億円、矢野経済研究所調べ))× 価格 21.2%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 4,461 億円・営業利益 112 億円
  • 中国大陸住設事業:数量 6,878(中国本土の中高級住宅設備(衛生陶器・水まわり)市場規模(億円、概算))× 価格 5.4%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 371 億円・営業利益 −11 億円
  • 米州住設事業:数量 74.0(米国の温水洗浄便座・衛生陶器市場規模(億ドル、概算))× 価格 9.6%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 1,065 億円・営業利益 69 億円
  • アジア・オセアニア住設事業:数量 8,064(アジア・オセアニアの住宅設備市場規模(億円、概算))× 価格 9.3%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 749 億円・営業利益 86 億円
  • セラミック事業(新領域事業):数量 19.2(世界の静電チャック市場規模(億ドル))× 価格 28.3%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 815 億円・営業利益 318 億円

倍率:事業の ROE 5.6% が k 7.00% 以下なので PER は 1÷k=14.3 倍まで。国内の住宅需要の縮小と海外の再減損で ROE が 6% に落ちる年。上限の 7 割に置く。(上限の約 70% の 10.0 倍)

確率:中国勢・現地競合の追い上げと半導体投資循環の長期化が重なるシナリオで、過去の実例(ディスプレイ用ガラスの中国シフト)を踏まえると十分に起こりうる。

悲観 8% 半導体セラミックス・米州・中国のいずれも競合に押され、構造的に負ける 利益 −28 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 1,509 円2,482 億円

半導体製造装置向けセラミックスで信越化学・京セラなど資本力のある競合に追い抜かれ、世界シェアが構造的に縮小する。米州の温水洗浄便座普及も現地競合に主要チャネルを奪われ想定ほど伸びない。中国事業は現地ブランドへの対応が後手に回り続け、追加の工場整理・減損を余儀なくされる。アジア・オセアニアも成長が鈍る。国内の水まわり事業も、人口減が加速し新築着工の減少にリフォームの伸びが追いつかず縮小する。全社は10年後もROEが資本コストに遠く届かない構造的な負け筋をたどるが、純現金を抱える財務体質とブランド・不動産等の資産価値があるため、倒産や大規模な希薄化には至らない。この間も政策保有株式の売却など手元資金で配当の大幅な削減は避ける方針を想定する。

  • 日本住設事業:数量 17,159(国内住宅設備機器市場規模(億円、矢野経済研究所調べ))× 価格 19.4%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 3,331 億円・営業利益 0 億円
  • 中国大陸住設事業:数量 5,319(中国本土の中高級住宅設備(衛生陶器・水まわり)市場規模(億円、概算))× 価格 3.7%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 198 億円・営業利益 −20 億円
  • 米州住設事業:数量 47.6(米国の温水洗浄便座・衛生陶器市場規模(億ドル、概算))× 価格 8.1%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 576 億円・営業利益 0 億円
  • アジア・オセアニア住設事業:数量 6,000(アジア・オセアニアの住宅設備市場規模(億円、概算))× 価格 8.1%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 485 億円・営業利益 24 億円
  • セラミック事業(新領域事業):数量 10.6(世界の静電チャック市場規模(億ドル))× 価格 20.4%(TOTOの売上換算シェア)→ 売上 323 億円・営業利益 81 億円

倍率:構造的に負けて赤字になる筋書きなので PBR。稼ぐ力はゼロで、床は純現金+売れる資産の約 2,490 億円。今の自己資本 5,281 億円に 0.47 倍を掛けた。

確率:10年の構造的な負け筋(半導体セラミックスでのシェア流出・中国の再建失敗)が同時に起きる組み合わせで、可能性はあるが本命ではないため8%とした。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

日本住設事業

国内のトイレ(衛生陶器)・温水洗浄便座(ウォシュレット)・システムバス・洗面化粧台等を住宅メーカー・工務店・リフォーム店・ショールーム経由で販売する中核事業。国内シェアは衛生陶器6割・温水洗浄便座54%・リフォーム採用数58%で首位。

数量国内住宅設備機器市場規模(億円、矢野経済研究所調べ)価格TOTOの売上換算シェア売上営業利益
今 2026/03 21,000 22.8% 4,797 144
10 年後 中立 22,742 22.2% 5,038 171

取り方:矢野経済研究所の住宅設備機器市場規模(2024年度約2.05兆円、システムキッチン・システムバス・温水洗浄便座・衛生機器・洗面化粧台の合計)を2026年3月期時点で概算2.1兆円とし、日本住設事業の売上(概算4,797億円)との比率から売上換算シェアを約22.8%とした。衛生陶器単体のシェア(6割)より低いのは、市場にTOTOが手掛けないシステムキッチン等を含むため。営業利益は全社の営業利益538億円から他事業の推定営業利益を差し引いた残差で約144億円とした。

中国大陸住設事業

中国大陸における衛生陶器・水まわり設備の生産・販売。2025年3月期に現地ブランドの台頭とEC対応の遅れで341億円の減損を計上し赤字化、北京・上海の工場を閉鎖した。

数量中国本土の中高級住宅設備(衛生陶器・水まわり)市場規模(億円、概算)価格TOTOの売上換算シェア売上営業利益
今 2026/03 8,000 6.8% 540 −30
10 年後 中立 8,000 7.4% 594 6

取り方:報道に基づく中国事業の売上高(前年比約-19.5%で概算540億円)を、中国の中高級住宅設備市場規模(概算8,000億円)で割り、売上換算シェアを約6.75%とした。営業損益は前期の損失(36億円)からの改善傾向を踏まえ約-30億円と推定した。

米州住設事業

米国を中心とする住宅設備事業。温水洗浄便座(ウォシュレット)の普及期入りで高成長。2025年3月期は売上704億円(+19.7%)・営業利益51億円(+85.7%)。2031年3月期に売上約1,000億円を目指す。

数量米国の温水洗浄便座・衛生陶器市場規模(億ドル、概算)価格TOTOの売上換算シェア売上営業利益
今 2026/03 50.0 10.1% 757 55
10 年後 中立 98.4 10.6% 1,565 141

取り方:2025年3月期の米州売上704億円(1ドル150円で約4.7億ドル)の実績に2026年3月期の伸びを乗せ約5.0億ドル(757億円)とし、米国の温水洗浄便座・衛生陶器市場規模を概算50億ドルとして売上換算シェア約10.1%とした。営業利益は前期51億円からの伸びを踏まえ約55億円と推定した。

アジア・オセアニア住設事業

東南アジア・オセアニア等における住宅設備事業。現地の人口増・都市化を背景とした住宅需要の拡大を取り込む成長事業。

数量アジア・オセアニアの住宅設備市場規模(億円、概算)価格TOTOの売上換算シェア売上営業利益
今 2026/03 6,000 10.1% 606 80
10 年後 中立 9,773 10.4% 1,017 142

取り方:海外住設事業合計(概算1,901億円)から米州(757億円)・中国(540億円)を除いた残差としてアジア・オセアニア等の売上を約606億円と推定し、同地域の住宅設備市場規模を概算6,000億円として売上換算シェア約10.1%とした。営業利益は全社営業利益の残差から約80億円と推定した。

セラミック事業(新領域事業)

便器を高温で焼成する独自のセラミック技術を転用した、半導体製造装置向けの精密セラミック部材。主力はウエハー保持用の静電チャックで、AD部材(高純度アルミナ等)も手がける。

数量世界の静電チャック市場規模(億ドル)価格TOTOの売上換算シェア売上営業利益
今 2026/03 14.3 31.4% 674 289
10 年後 中立 28.1 33.9% 1,431 630

取り方:半導体用静電チャックの世界市場規模(2026年時点で概算14.3億ドル、年率5.9%成長の調査に基づく)に対し、セラミック事業の売上(674億円、1ドル150円で約4.5億ドル)の比率から売上換算シェアを約31%とした。報じられているTOTOの静電チャック単体の世界シェアは約17%だが、セラミック事業の売上にはAD部材等も含むため、算出上のシェアはこれより高めになる。

リスクと懸念

中国事業の再建遅延

2025年3月期に341億円の減損を計上し北京・上海の工場を閉鎖したが、現地ブランドの価格競争力とタオバオ・京東といったEC化という市場構造の変化への対応はなお途上にあり、2027年3月期の黒字化計画が再び崩れ、追加の工場整理や減損につながるリスクが残る。

半導体投資循環の谷

セラミック事業はAI投資という長期の追い風を受けるが、半導体業界は2〜3年ごとに投資循環の谷があり、谷の年には増益ペースが大きく鈍る。生産能力の増強投資が需要の谷に当たれば稼働率低下で収益性が一時的に悪化する。

静電チャック競合の追い上げ

信越化学・京セラ・NGKインシュレーターズ・NTKセラテックなど資本力のある競合が多数存在し上位10社で世界シェアの93%を占める寡占市場で、TOTOが世界シェア17%からさらに伸ばせる保証はない。価格競争が強まれば利益率40%超の高収益セラミック事業の収益性が損なわれ、全社の利益成長が鈍る。

国内の人口減・新築着工の長期縮小

日本住設事業の収益基盤である新築住宅着工は人口減・世帯数減が続く限り縮小が止まらず、温水洗浄便座の国内世帯普及率もすでに80%超で成熟している。リフォーム需要・高付加価値品シフトでどこまで補えるかが問われ、想定より速く縮小すれば国内の収益力が細る。

米州・アジアでの現地競合

米州ではKohler等の現地競合、アジアでは地場メーカーとの競争があり、温水洗浄便座の普及期における先行者優位がそのまま維持できる保証はない。中国で現地ブランドにシェアを奪われた経験を踏まえると、海外では国内で効いた販売網・ブランドの堀が通用しにくい可能性がある。

半導体セラミックスへの依存度の高まり

全社営業利益の半分以上を一事業(セラミック)に依存する構造は、この事業の循環リスクが会社全体の業績の振れを大きくする方向に効く。半導体製造装置市場は2〜3年ごとに投資循環の谷があり、谷の年には水まわり事業の安定収益だけでは全社の増益を保てなくなる可能性がある。

ガバナンスの課題

独立社外取締役5名を招聘し取締役会の過半を社外が占める体制を整えているが、女性役員比率は15%とまだ低く、女性・外国人取締役の登用は取締役会の実効性評価でも引き続きの課題とされている。多様性を欠く意思決定が海外展開の判断の遅れにつながっていないか注視が必要である。

今後の分かれ目

米州事業が2031年3月期に売上高約1,000億円の会社目標を上回るペースで伸びる
温水洗浄便座の普及が計画より速く進んでいることが確認され、楽観・やや楽観側に確率が寄る。
中国事業が2027年3月期に計画どおり黒字化する
海外展開の実行力への懸念が薄れ、本質価値の下限が上がる。黒字化が再び遅れるなら、やや悲観・悲観側に確率が寄る。
世界の半導体製造装置(WFE)市場が2026年以降に大きく減速する
セラミック事業の増益ペースが鈍り、10年の筋書きはやや悲観側に近づく。
信越化学・京セラなど競合が静電チャックで大きくシェアを伸ばす
セラミック事業の成長ストーリーの前提が崩れ、やや悲観側に見直す必要が出る。
国内の新築住宅着工戸数が想定より速いペースで縮小する
日本住設事業の収益基盤が細り、リフォームの伸びで補えなければ悲観側の確率を厚くする根拠になる。
TOTOがセラミック事業の生産能力増強投資(WILL2030 STAGE2で290億円)を計画どおり完了させる
半導体セラミックスの成長シナリオの実在性が確認され、中立から楽観側に筋書きが寄る。

見ておくもの

  • セラミック事業(静電チャック等)の売上高・営業利益の四半期推移
  • 中国事業の損益(2027年3月期黒字化計画の進捗)
  • 米州事業の売上高(2031年3月期約1,000億円の会社目標への進捗)
  • 世界の半導体製造装置(WFE)市場・AI投資の動向
  • 国内の新築住宅着工戸数とリフォーム市場規模
  • 信越化学・京セラなど静電チャック競合の動向

倍率と資本コストの決め方

倍率は、5つの事業の数量×価格から積み上げた利益とROEを先に置き、資本コスト7.0%(基本の7.5%に調整−0.5%)との比較から正当化PERを決めた。半導体セラミックスには構造的な成長(growth_long=structural)としてg4.5%までの枠を使ったが、それでも中立の筋書きでは10年後にROEが資本コストを少し上回る程度にとどまり、今のPER23.5倍・PBR1.79倍という市場の値付けには最後に比べただけで、そこに寄せていない。10年後の中立はROEがkを上回るが差は小さく、1÷k(約14倍)の床を守って置いた。今の値付けは半導体セラミックスの急成長(前年比34%)が長く続くことをかなり先取りしており、本質価値は今の時価総額とほぼ同じ水準という結果になった。これは今の決算の勢いに引きずられた楽観ではなく、半導体投資循環のリスクと中国再建の実績の重さを踏まえた判断である。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 19.06→21.18 倍・やや楽観 PER 17.3→19.22 倍・中立 PER 15.03→17.22 倍)。

資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

同じ業種(ガラス・土石製品)の AI 分析

割安 ヤマックス5285 熊本発の二次製品メーカー。利益率は3年で3倍に跳ねた。山が半分戻ってもなお、今の値段は低い 本質価値との差 +79.2% · 10 年 割安(年 +13.1%) 割安 石塚硝子5204 ガラスびん・プラスチック容器・食器を手がける容器メーカー。稼ぐ力は資本コストに届かないが、時価総額は純資産の3分の1で、政策保有株と賃貸不動産の含みまで考えると、値段は低すぎると見る 本質価値との差 +57.0% · 10 年 割安(年 +12.3%) 割安 太平洋セメント5233 国内の縮む需要を米国と廃棄物処理で埋める会社。稼ぐ力に対し、今の値段はおおむね妥当 本質価値との差 +52.9% · 10 年 割安(年 +11.0%) 割安 クニミネ工業5388 ベントナイトの国内最大手。資源と現金の厚みは本物だが、主力の鋳物向けが縮み、値段は適正圏 本質価値との差 +49.9% · 10 年 割安(年 +11.0%) 割安 アジアパイルホールディングス5288 国内の杭で首位を争う会社。過去最高の利益が定着するかが分かれ目で、今の値段はやや割安 本質価値との差 +43.3% · 10 年 割安(年 +10.6%) 割安 日本興業5279 四国の土木用コンクリート製品の会社。防災と維持補修の仕事は底堅く、今の値段には小さな安全域がある 本質価値との差 +37.5% · 10 年 割安(年 +10.5%) 割安 ヤマウホールディングス5284 利益率16%の山をならして置いても、値段は妥当圏。上振れは大きいが、公共予算と値崩れの下振れも深い 本質価値との差 +36.7% · 10 年 割安(年 +10.5%) 割安 美濃窯業5356 セメント向け耐火物で国内首位、半導体向け焼成炉が稼ぎ頭。純現金が時価総額の3割あり、還元が強まれば差が出る 本質価値との差 +31.0% · 10 年 割安(年 +9.7%) やや割安 神島化学工業4026 海水から作るマグネシウムと外装建材の2本柱。利益は伸びたが、住宅の縮小と投資の重さが重い 本質価値との差 +23.9% · 10 年 やや割安(年 +9.1%) やや割安 ニチハ7943 国内の窯業系外壁材で6割を握る堅い会社だが、縮む新築市場と米国の失敗で稼ぐ力は戻りきらず、今の値段はほぼ適正から小幅な割高 本質価値との差 +23.4% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) やや割安 ベルテクスコーポレーション5290 下水道・浸水対策のコンクリート製品で国内首位級。稼ぐ力は堅いが、買収の効果が出るまでは割安とは言い切れない 本質価値との差 +20.2% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) やや割安 エーアンドエーマテリアル5391 ビルの耐火ボードと船・プラントの断熱で稼ぐ太平洋セメント系の素材会社。借金とアスベストの重荷があり、値段はほぼ妥当 本質価値との差 +12.4% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) やや割安 ノザワ5237 堅い財務と高い還元はあるが、稼ぐ力が資本コストに届かない。値段は妥当圏で、安全域は薄い 本質価値との差 +11.3% · 10 年 やや割安(年 +7.9%) やや割安 ニッコー5343 浄化槽とセラミック基板で立ち直った金沢の老舗。基板の伸びは本物だが、薄い自己資本と無配を考えるとまだやや割高 本質価値との差 +11.2% · 10 年 やや割安(年 +9.0%) やや割安 日本カーボン5302 半導体向け炭素材とSiC繊維に稼ぎの核があるが、電極事業の重しで価値は今の値段の近辺 本質価値との差 +10.6% · 10 年 やや割安(年 +7.8%) やや割安 品川リフラ5351 鉄鋼向け耐火物の世界大手だが、稼ぐ力は資本コストに届かず、利益の質も見かけより低い 本質価値との差 +10.3% · 10 年 やや割安(年 +7.4%) 適正 日本インシュレーション5368 けい酸カルシウムの保温材で 100 年続く老舗だが、国内プラントの集約で補修の母数が細る。純現金は厚いが稼ぐ力は資本コストに届かず、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +10.0% · 10 年 適正(年 +8.1%) 適正 ノリタケ5331 MLCC 材料が稼ぎを引っ張る一方、砥石と食器が重く、資本効率は低い。今の値段はほぼ妥当 本質価値との差 +9.1% · 10 年 適正(年 +7.7%) 適正 AGC5201 建築・自動車ガラスの世界首位級の地位とEUVマスクブランクスの成長は本物だが、ライフサイエンスの再建とROEの資本コスト割れの解消が本質価値を左右する 本質価値との差 +8.7% · 10 年 適正(年 +8.0%) 適正 フジミインコーポレーテッド5384 半導体を磨く材料で世界の過半を握る優良会社。ただ 1,300 億円の投資が実る前の値段は、おおむね妥当 本質価値との差 +8.5% · 10 年 適正(年 +7.1%) 適正 SECカーボン5304 アルミ精錬の炉に敷く炭素の部材で世界の二強の一角。現金と保有株は時価総額並みだが、稼ぐ力は市況次第で、評価はほぼ適正 本質価値との差 +5.1% · 10 年 適正(年 +7.3%) 適正 日本ヒューム5262 下水道管と杭で稼ぐ堅実な会社。利益の質は悪くないが、今の値段は稼ぐ力に対してやや高い 本質価値との差 +4.0% · 10 年 適正(年 +6.8%) 適正 ジオスター5282 トンネルの部材を作る日鉄系の軽い工場会社。現金は厚いが、事業の稼ぎは細り、現金の戻り方も弱く、安さは見かけほどではない 本質価値との差 +1.1% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 MARUWA5344 AI 向けの通信基板で利益は急伸中。ただ稼ぎが一つの需要に偏り、今の値段は先の先まで織り込んでいる 本質価値との差 +0.7% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 三谷セキサン5273 杭で首位に並ぶ軽い事業と、使われない現金の山。利益率は山の上にあり、今の値段はやや割高 本質価値との差 +0.3% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 日本山村硝子5210 国内シェア首位のガラスびん会社。稼ぐ力は戻ったが、縮む市場と窯の更新費が値段の上限を決める 本質価値との差 −5.1% · 10 年 適正(年 +6.4%) 適正 TYK5363 製鉄所の炉を守る耐火物の老舗。純現金は厚いが、国内の需要が縮み、資本の効率は資本コストに届かない 本質価値との差 −6.4% · 10 年 適正(年 +6.1%) 適正 住友大阪セメント5232 国内セメントは稼げない側に回り、半導体部品が頼み。稼ぐ力に比べ今の値段は割高 本質価値との差 −7.9% · 10 年 適正(年 +6.0%) やや割高 日本電気硝子5214 液晶ガラスの値上げで利益は戻ったが、稼ぐ力はまだ資本コストに届かない。今の値段は先の成功をかなり織り込んでいる 本質価値との差 −11.5% · 10 年 やや割高(年 +5.7%) やや割高 ヨータイ5357 鉄鋼・セメント・ガラスの窯を守る耐火物の専業。無借金で稼ぎは安定するが、鉄鋼の縮小が重く、今の値段はやや割高 本質価値との差 −12.1% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 日本特殊陶業(Niterra)5334 デンソー統合の白紙撤回で規模拡大の青写真は消え、今の値段がもう無い前提をまだ映していないかが問われる 本質価値との差 −12.2% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 ニチアス5393 断熱とシールで堅実に稼ぐ会社だが、半導体の追い風を先取りした今の値段は高い 本質価値との差 −13.0% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 イトーヨーギョー5287 道路用コンクリート製品と空調施工の小さな堅実企業。手元の現金は厚いが、稼ぐ力は資本コスト並みで、価値は今の値段をやや下回る。 本質価値との差 −13.3% · 10 年 やや割高(年 +5.9%) やや割高 ニッカトー5367 電子部品の工場で使う消耗品が稼ぎの柱。堅い財務は魅力だが、事業の利益は 10 年で現在の時価総額に届かず割高 本質価値との差 −13.8% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 日東紡績3110 AI サーバー向けガラスクロスで稼ぐ力は本物。ただし今の値段は、その好況が長く続くところまで織り込んでいる 本質価値との差 −27.2% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 日本ガイシ(NGK)5333 事業構成の転換は方向として正しいが、今の値段はその転換の成功をすでに先取りしすぎている 本質価値との差 −29.9% · 10 年 やや割高(年 +3.1%) 割高 日本ルツボ5355 140年続く坩堝の老舗。焼却炉の工事が稼ぎ頭に育ったが、資本コストに届く稼ぎはまだ遠く、今の値段はやや高い 本質価値との差 −32.3% · 10 年 割高(年 +3.4%) 割高 オハラ5218 半導体露光装置向けの素材は本物の強み。ただ光学ガラスの赤字と低い資本効率が重く、今の値段は回復を先取りしている 本質価値との差 −32.4% · 10 年 割高(年 +3.5%) 割高 東洋炭素5310 黒鉛で世界首位級の素材会社。SiC の調整で利益は急減し、今の値段は中計どおりの回復を先取りしている 本質価値との差 −33.7% · 10 年 割高(年 +2.7%) 割高 マイポックス5381 光ファイバーと半導体の研磨フィルムを作る小型メーカー。AI 需要で利益は戻るが、波が大きく、利益の波と借入が重く、10 年の価値は評価を下回る 本質価値との差 −34.8% · 10 年 割高(年 +3.2%) 割高 東海カーボン5301 炭素素材の老舗。半導体とアルミ向けの追い風で稼ぎは戻ったが、倍率は先を見すぎている 本質価値との差 −42.3% · 10 年 割高(年 +1.4%) 割高 鶴弥5386 屋根瓦の国内最大手だが、新築の減少で稼ぐ力は細る。純資産の 2 割の値段でも、本業の利益を見ると割高 本質価値との差 −48.3% · 10 年 割高(年 +0.6%) 割高 日本コンクリート工業5269 杭で首位に離され、稼ぎは資産の半分も活かせない。持ち合い株の厚みが下値を支えるが、値段は先走り 本質価値との差 −48.9% · 10 年 割高(年 +0.2%) 割高 トーヨーアサノ5271 建物の基礎杭を作る静岡・東京の小さな会社。売上は2年で3割縮み、借金は自己資本を超える。稼ぐ力に比べ、今の値段は割高 本質価値との差 −54.8% · 10 年 割高(年 +0.2%) 割高 旭コンクリート工業株式会社5268 下水道のヒューム管などを作る小さな堅実企業。無借金で利益率は最高圏だが、成長はなく、今の値段は割高 本質価値との差 −57.9% · 10 年 割高(年 −2.6%) 割高 ダントーホールディングス5337 外装タイルの老舗は12年連続で営業赤字。不動産の売却益で純利益が出ただけの会社に、今の値段は蓄電池への期待を先に払いすぎで大幅な割高 本質価値との差 −95.6% · 10 年 割高(年 −19.2%)

ほかの業種も見る(AI 銘柄分析の一覧)→

読んだ資料

  1. TOTO 2026年3月期決算説明資料
  2. TOTOグループ統合報告書2026(WILL2030 STAGE2で目指す姿)
  3. 中国事業が大不振、減損損失341億円…TOTOの前3月期は当期益67%減
  4. TOTOの「中国困局」
  5. 「トイレのTOTO」利益の半分は半導体。極めた技術が生んだもう一つの顔
  6. 半導体静電チャック市場規模は2026年1,428百万米ドル、成長率5.9%で拡大予測
  7. TOTO北米でウォシュレット現地生産検討 販売好調、売上高4割増狙う
  8. 衛生陶器はTOTO・LIXIL(INAX)で国内シェアの9割
  9. 矢野経済研究所 住宅設備機器市場に関する調査(2024年)
  10. TOTO 株主還元方針・配当金の推移

分析日 2026-10-18