結論
ホーメル・フーズは、ベーコン・ハム・ホットドッグ・スパム・ジェニーオー(七面鳥)・アップルゲート(オーガニック肉)・プランターズ(ナッツ)・スキッピーを持つ米国の加工肉・食品の大手。決算期は 10 月末で、FY2025(2025 年 10 月期)の売上は 121 億ドル、調整後営業利益 10.2 億ドル(率 8.4%)、GAAP の純利益は減損(インドネシア持分 1.64 億ドル、プランターズ商標 0.59 億ドルなど合計 2.34 億ドル)で 4.8 億ドルまで落ちた。FY2026 は調整後の 1 株利益が +6〜10% の見通しで、豚肉の原価が下がり始め、丸ごとの七面鳥・PB ナッツ・ブラジルから撤退して数量が一時的に減っている。
数量×価格で小売・外食・国際を積むと、中立の FY2035(10 年後)は売上 160 億ドル・純利益 11.0 億ドル。小売の数量は撤退と PB で縮み、価格は物価を下回り、利益率は 2024 年の水準を少し超える程度に置いた。外食は 12 四半期連続の有機成長で支えとなる。
バリュー投資の観点では、資本コストは基本 8.0% + quality +0.25% で 8.25%、式の ROE は帳簿の約 12%、g は約 3%。10 年後の中立の PER は 11.1 倍で、利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 14 倍)の 8 割から出る。今の時価総額(約 112 億ドル)は調整後純利益の約 15 倍・GAAP の約 23 倍だが、確率を慎重側に寄せた総合の価値は今を約 10% 下回り、適正の範囲。k − g が 5% 前後と薄いので、確信度は中程度。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ホーメルは『10 年後も存在する』公算は大きいが、『今より強い』かは分からない事業である。ブランドは知られ、外食のペパロニは強いが、小売の加工肉は PB・価格競争・原料の相場に弱く、堀は広がっていない。プランターズ・アップルゲートの買収は、ROE を 20% から 6〜12% に下げた(のれんが自己資本の大きな部分)。資本配分の評価は分かれる。
オーナー利益は、調整後純利益 約 7.6 億ドル(FY2025)から株式報酬を引いた 7 億ドル強、FCF は約 5 億ドル(設備投資が重い T&M の期間)。今の時価総額(約 112 億ドル)はその約 15 倍で、配当利回りは 5.6%(6.3 億ドル)。借金は軽く(純負債/EBITDA 約 2 倍)、配当の記録は 127 年。
式の値は k 8.25%・g 約 3%・ROE 約 12% で来年の利益に 14 倍前後。確信度は中程度とし、確率を悲観側に寄せ、悲観の筋書きを利益の 6 割・PER 約 10 倍(PBR 約 0.6 倍)まで下げた。安全域は、時価総額が調整後の約 15 倍と高めで、利益が 3 割落ちると今の値を割る点で、厚くない。
何で稼ぐ会社か
3 つのセグメントで稼ぐ。最大は小売(FY2025 売上 74.6 億ドル、セグメント利益 4.25 億ドル・調整後 4.96 億ドル、売上の 62%):スーパーで売るベーコン(ブラックラベル)・ハム(ナチュラルチョイス)・ソーセージ・ホットドッグ、缶詰のスパム・チリ、七面鳥のジェニーオー、オーガニック肉のアップルゲート、ナッツのプランターズ、スキッピー、メキシコ料理のアーマー・ウォルフ・ブランドなど。ウォルマートが売上の 15.6% で、上位 5 社で約 38%。次に外食(売上 39.4 億ドル、利益 5.55 億ドル、率 14.1%、33%):ピザチェーン向けのペパロニ、調理済みの肉、ベーコン、七面鳥。国際(売上 7.1 億ドル、調整後利益 0.83 億ドル、6%):スパムの輸出、フィリピン(ピュアフーズ、持分 60%)、中国(嘉興工場)、インドネシアのガルダフード(持分 30%)。
利益の仕組みは数量 × 価格 − 原料。原料は豚(ベーコンの原料の豚バラ肉)・七面鳥・牛・ナッツで、価格は肉の相場に連動して動く。同社は豚肉の原料を長期契約・オースティンでの自社調達・スポットで混ぜて買うので、相場と原価がずれる時期がある。FY2025 は豚バラの高騰で小売の利益が圧迫された。
数量は小売・外食・国際それぞれ『販売量(百万ポンド)× 1 ポンドあたり売上』で置いた(10-K に販売量が出ている)。本社費と本社の費用は −1.15 億ドル(調整後)で、持分法の利益(約 0.58 億ドル)は国際に含まれる。FY2027 は 53 週になるが筋書きでは均す。
優良さと弱いところ
堀はブランドの知名度(スパム・ブラックラベル・ジェニーオー・アップルゲート・プランターズ)と、ウォルマートなど大手小売・ピザチェーンとの長い取引、肉の加工の規模にある。ただ、肉の加工品は PB(自社ブランド)と競争しやすく、原料が相場連動なので価格を決める力は強くない。外食のペパロニは米国のピザチェーンで首位級(推定)で、競争はスミスフィールド・タイソン・フーズのヒルシャー農場にあるが、納入先の信頼と切り替えの手間で堅い。
資本効率は悪化した。営業利益率は 2016 年の 13.6% から 2025 年の 7.2% へ、自己資本利益率は 20% から 6%(GAAP)へ下がった。要因は豚肉と七面鳥の原価、プランターズ・アップルゲートなど買収した事業ののれんの重さ、インドネシア持分の減損。バランスは強い:自己資本比率 59%、純負債/EBITDA 約 2 倍、配当は 1928 年から途切れず、年 6.3 億ドル。弱みは、GAAP の純利益(FY2026 の見通し 1 株 1.06〜1.12)が配当(年 1.17)を割り、配当を利益で賄えていない点、CEO の交代期(暫定 CEO のエッティンガー → 次期 CEO ジョン・ギンゴ)に入る点。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の加工肉は、豚肉(ベーコン・ハム)が、牛肉の高騰と鶏肉の安定の中で、数量はほぼ横ばい・微減、価格は相場連動で動く成熟した市場。2026 年の食品全体は GLP-1 薬の普及(成人の 13.1%)で数量が 1.4〜3.4% 減ると見る調査があり、PB は 2025 年に 1,890 億ドル(2020 年比 +32%)。ホーメルの小売の数量は FY2025 が −1.4%、FY2026 は撤退で一時的に更に減る。
競合は事業ごとに違う。ベーコン・ハム・ホットドッグはスミスフィールド、タイソン・フーズ(ヒルシャー農場・ボール・パーク)、クラフト・ハインツ(オスカー・マイヤー)、PB。七面鳥はバターボール、カーギル。ナッツはブルーダイヤモンド、ウォンダフル、PB。スキッピーはスマッカーのジフが首位。外食のペパロニはホーメルが首位級で、競合は少ない。業界ノートの『④ 食肉:利益率 1〜8% で大きく振れる』のうち、ホーメルは加工比率が高く平均 8〜9%(FY2024 で 8.9%、FY2025 で 7.2%)で、タイソン(4〜5%)より安定している。
循環の位置:豚肉の原価は FY2026 から下がり始め(10-K と第 3 四半期の通話)、牛肉は高止まり、七面鳥は暑さで飼料効率が悪化。FY2027 は 53 週。小売の消費額は −1%(第 3 四半期)と弱いが、外食は 12 四半期連続の有機成長。
資本政策と M&A
還元は配当が中心。FY2025 は配当 6.33 億ドル(記録)、自社株買いは無し(9 か月の FY2026 も無し)。年 1.17 の配当は 1% の増配で、第 3 四半期で 392 期連続。FCF は設備投資(FY2026 は 2.6〜2.9 億ドル)の後で約 5 億ドルまで落ち、配当をほぼ使い切る。GAAP の純利益(見通し 6 億ドル前後)は配当を下回る。現金 8.4 億ドル、総借入 約 28.6 億ドル(2027 年 3 月に 5.06 億ドルの社債が満期、ほかに 2028 年 6 月・2030 年 6 月・2051 年 6 月)。支払利息は 0.78 億ドルで平均の利率は約 2.7% と低いため、借り換えで 10 年で約 0.8 億ドル増える。
M&A:アップルゲート(2015 年)、プランターズ(2021 年、33.5 億ドル)などの買収が減損の源(FY2025 にプランターズ商標を 0.59 億ドル減損)。いまは売る側に回った:ジャスティンズの 51% を 0.76 億ドルで売却、丸ごとの七面鳥を 0.61 億ドルで売却(損 0.61 億ドル)、ブラジルを売却済み。経営は暫定 CEO のジェフ・エッティンガーから次期 CEO のジョン・ギンゴ(元アップルゲート)へ。創業家系のホーメル財団が大株主とされる(持ち分の割合は未確認)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
FY2026 は底で、調整後の営業利益は +6〜10% の増益に転じた。豚肉の原価はまだ下がり始めたばかりで、第 3 四半期の損益に効いたのは半ばから(在庫の回転が遅く、効果は先送り)、FY2027 以降に大きく出る。小売の数量減の約半分は意図した撤退(丸ごとの七面鳥・PB ナッツ・受託製造)で、基礎は悪くない。ジェニーオーの地上肉・調理済みの冷蔵料理は消費が 1 桁台半ば〜後半で伸び、プランターズ・アップルゲートも伸びている。外食は 12 四半期連続の有機成長で、ペパロニと調理済みの肉が牽引し、利益率は 14% 台。
T&M(効率化)は小売・外食の製造能力を上げ、人件費・原料のインフレを吸収する。FY2027 は 53 週で売上が上積みされる。広告は第 4 四半期から増える。ブラジル・ジャスティンズ・七面鳥の整理で、利益率の低い事業が減る。借金は軽く(純負債/EBITDA 約 2 倍)、配当は 127 年の記録がある。時価総額は調整後の約 15 倍・配当利回り 5.6% で、待つ間に利益が出る。小売の利益率が 2024 年の 7.6% に戻るだけで利益は 3 割増える。
慎重な見方
数量の縮みが 3 年続く:FY2025 の小売は −1.4%、FY2026 は撤退込みで −3% 前後、第 3 四半期の小売の消費額は −1%、有機売上は −2%。値上げ(2026 年第 2 四半期から第 2 弾)で数量が減り(価格弾力性)、PB との価格差が広がれば棚を失う。GLP-1(成人の 13.1%)と SNAP の縮小が逆風で、消費は会社も『強くない』と認める。豚肉の原価が下がっても、小売は値下げと販促で吐き出し、利益率が戻らない。牛肉は高止まり、七面鳥は暑さで飼料効率が悪い。
GAAP の利益(FY2026 見通し 1 株 1.06〜1.12)は配当(年 1.17)を下回り、FCF は設備投資(2.6〜2.9 億ドル)後に約 5 億ドルまで落ちる。減損はインドネシア・プランターズ・ジャスティンズ・ブラジル・七面鳥と続き、のれんは自己資本の大きな部分で、さらに追加の減損の余地がある。CEO の交代期(暫定 → 新任)に、買収で価値を壊した過去(プランターズ 33.5 億ドル)が残る。式の値は k − g が 5% と薄いので大きく出るだけで、k が 1% 上がれば倍率は 2 割下がる。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、豚肉の原価低下・撤退の一巡・外食の連続成長・軽い借金が強い。慎重な見方は、小売の数量の縮み・GAAP が配当を割る点・減損の連続・k − g が薄い点が強い。双方を取り入れ、中立では小売の数量を FY2026 −3%・FY2027 −1%・FY2028 −0.3%(その後 −0.3%/年)、価格を年 +2.8%(物価 3.5% を 0.7 ポイント下回る)、小売の利益率を 10 年後 8.5% に置いた。確率は中立を最も厚く(10 年 38%)、悲観側(やや悲観 26%・悲観 14%)を楽観側(やや楽観 16%・楽観 6%)より厚くした。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 20.37 ドル112 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 13.69 ドル75 億ドル)。 今の値に割り戻すと 18.43 ドル101 億ドル、今との差 −13.7%、 期待の年率 +4.8%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 36.62 ドル202 億ドル | 19.07 ドル105 億ドル | +160.7% | +10.1% | 3.34 ドル18 億ドル |
| やや楽観 | 16% | 29.90 ドル165 億ドル | 16.71 ドル92 億ドル | +118.2% | +8.1% | 7.46 ドル41 億ドル |
| 中立 | 38% | 22.25 ドル123 億ドル | 14.17 ドル78 億ドル | +70.5% | +5.5% | 13.84 ドル76 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 14.64 ドル81 億ドル | 12.35 ドル68 億ドル | +26.4% | +2.4% | 7.02 ドル39 億ドル |
| 悲観 | 14% | 8.05 ドル44 億ドル | 9.08 ドル50 億ドル | −19.8% | −2.2% | 2.40 ドル13 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 20.37 ドル112 億ドル | 13.69 ドル75 億ドル | +59.4% | +4.8% | 34.06 ドル187 億ドル |
今の株価時価総額 21.36 ドル118 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 利益率が 2019 年の水準へ戻る 利益 16 億ドル · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 36.62 ドル202 億ドル
FY2035、小売は数量が横ばい(優先ブランドの伸びとベーコン・ハムの底打ち)、価格は年 +3.4%(物価並みに近い)、利益率は 10.5% まで戻る(2019 年ごろの水準)。外食は数量 年 +2.2%・価格 年 +3.4%(ペパロニの市場の伸びと新しい調理済み商品)、利益率 15.5%。国際は年 +3%・年 +3.5% で 13.5%。売上 186.1 億ドル、営業利益 21.5 億ドル、純利益 16.0 億ドル(調整後で見た今の 7.6 億ドルの約 2.1 倍)。T&M の効率化が値下げ圧力を上回り、プランターズ・アップルゲートの買収も回収される。配当は増え、純負債は小さくなり、自社株買いが入る。10 年の正味還元 約 105 億ドル。
- 小売(ベーコン・ハム・スパム・ジェニーオー・アップルゲート・プランターズ):数量 2,877(販売量(百万ポンド))× 価格 3.62(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 104 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量は今の 1.001 倍、価格は年 +3.4%(今の 1.397 倍)。営業利益率 10.5%
- 外食(業務用):数量 1,248(販売量(百万ポンド))× 価格 5.49(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 69 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量は今の 1.243 倍、価格は年 +3.4%(今の 1.397 倍)。営業利益率 15.5%
- 国際(スパム輸出・フィリピン・中国):数量 420(販売量(百万ポンド))× 価格 3.20(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量は今の 1.344 倍、価格は年 +3.5%(今の 1.411 倍)。営業利益率 13.5%
倍率:ROE 17.0%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.6%、g 3.5%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.2 倍(来年の利益に対して)。相場で利益率が振れ、小売の数量が縮むので、最良の筋書きでも上限の 8 割に置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.6 倍。時価総額 = 純利益 16 億ドル × 12.6 倍 = 202 億ドル。
確率:数量が下げ止まり、利益率が 10% 台に戻る世界。強気の見方は 10 年の物価に支えられて成り立つが、小売の基礎の肉は PB との競争が続くので 6% に抑える。
やや楽観 16% 優先ブランドと外食で利益率が 2024 年を超える 利益 14 億ドル · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 29.90 ドル165 億ドル
FY2035、小売は数量が横ばいに近い(累計 −3.0%)、価格は年 +3.1%、利益率 9.5%。外食は数量 年 +1.6%・価格 年 +3.2% で利益率 14.8%。国際は 12.5%。売上 173.2 億ドル、営業利益 18.5 億ドル、純利益 13.6 億ドル。効率化と優先ブランド(ジェニーオーの地上肉・アップルゲート・プランターズ)で、小売の利益率が 2024 年の水準を超える。PB との価格差は残るが、数量の縮みは撤退分にとどまり、占有率は 10 年でほぼ守る。ホーメルの小売の 10 年の営業利益は 9.3 億ドルで、今の約 1.9 倍。借金は返済が進み、配当は年 2% 増、後半に自社株買いが入る。10 年の正味還元 約 92 億ドル。
- 小売(ベーコン・ハム・スパム・ジェニーオー・アップルゲート・プランターズ):数量 2,788(販売量(百万ポンド))× 価格 3.52(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 98 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量は今の 0.970 倍、価格は年 +3.1%(今の 1.357 倍)。営業利益率 9.5%
- 外食(業務用):数量 1,176(販売量(百万ポンド))× 価格 5.38(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 63 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量は今の 1.172 倍、価格は年 +3.2%(今の 1.370 倍)。営業利益率 14.8%
- 国際(スパム輸出・フィリピン・中国):数量 381(販売量(百万ポンド))× 価格 3.11(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量は今の 1.219 倍、価格は年 +3.2%(今の 1.370 倍)。営業利益率 12.5%
倍率:ROE 14.6%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.4%、g 3.5%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.6 倍(来年の利益に対して)。相場で利益率が振れ、小売の数量が縮むので、上限の 8 割に置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.1 倍。時価総額 = 純利益 14 億ドル × 12.1 倍 = 165 億ドル。
確率:優先ブランドと外食の伸びで利益率が 2024 年を超える。16% に置く。
中立 38% 占有率をゆっくり失い、価格は物価を下回る 利益 11 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 22.25 ドル123 億ドル
FY2035、小売の数量は 10 年で累計 −6.3%(市場 −0.2%/年 × 占有率 −0.1%/年、撤退分を含む)、価格は年 +2.8%(物価 3.5% より 0.7 ポイント低い)。小売の利益率は 8.5%(2024 年の 7.6% を超え、2019 年の 10% 台には届かない)。外食は数量 年 +0.8%・価格 年 +3.0% で売上 57.4 億ドル、利益率 13.8%。国際は 11.0%。売上 160.0 億ドル(年 +2.8%)、営業利益 15.3 億ドル、純利益 11.0 億ドル(今の調整後 7.6 億ドルの約 1.5 倍)。借り換えで支払利息は約 0.8 億ドル増え、配当は年 2% 増(10 年で約 70 億ドル)、後半に自社株買いが入って 10 年の正味還元は約 78 億ドル。
- 小売(ベーコン・ハム・スパム・ジェニーオー・アップルゲート・プランターズ):数量 2,693(販売量(百万ポンド))× 価格 3.42(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 92 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量は今の 0.937 倍、価格は年 +2.8%(今の 1.318 倍)。営業利益率 8.5%
- 外食(業務用):数量 1,087(販売量(百万ポンド))× 価格 5.28(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 57 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量は今の 1.083 倍、価格は年 +3.0%(今の 1.344 倍)。営業利益率 13.8%
- 国際(スパム輸出・フィリピン・中国):数量 345(販売量(百万ポンド))× 価格 3.05(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量は今の 1.105 倍、価格は年 +3.0%(今の 1.344 倍)。営業利益率 11.0%
倍率:ROE 11.8%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.0%、g 3.2%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.5 倍(来年の利益に対して)。相場で利益率が振れ、小売の数量が縮み、のれんの減損が続いているので、上限の 8 割に置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.1 倍。時価総額 = 純利益 11 億ドル × 11.1 倍 = 122 億ドル。
確率:数量は撤退と PB で縮み、価格は物価を下回り、利益率は 2024 年を少し超える落としどころ。最も厚く置く。
やや悲観 26% 数量が縮み続け、利益率が戻らない 利益 8 億ドル · PER 10.1 倍 · 株価時価総額 14.64 ドル81 億ドル
FY2035、小売の数量が年 −1%(PB への移行、GLP-1 や SNAP の縮小)で 10 年累計 −12.3%、価格は年 +2.3%。小売の利益率は 7.2%、外食は数量が横ばい・価格 年 +2.5% で 12.5%、国際は 9.0%。売上 141.7 億ドル、営業利益 11.5 億ドル、純利益 8.0 億ドル。追加の減損が続き(約 2 億ドル)、配当は据え置き(年約 6.5 億ドル)で純利益の 8 割に近づく。ジェニーオーやアップルゲートの伸びも、ベーコン・ハム・スパムの縮みで相殺され、新しい CEO の下でも利益率は大きく動かない。借金は軽いので財務は崩れないが、成長の元手が無く、自社株買いは入らない。10 年の正味還元 約 68 億ドル。
- 小売(ベーコン・ハム・スパム・ジェニーオー・アップルゲート・プランターズ):数量 2,520(販売量(百万ポンド))× 価格 3.26(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 82 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量は今の 0.877 倍、価格は年 +2.3%(今の 1.255 倍)。営業利益率 7.2%
- 外食(業務用):数量 1,004(販売量(百万ポンド))× 価格 5.03(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 51 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量は今の 1.000 倍、価格は年 +2.5%(今の 1.280 倍)。営業利益率 12.5%
- 国際(スパム輸出・フィリピン・中国):数量 312(販売量(百万ポンド))× 価格 2.91(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量は今の 1.000 倍、価格は年 +2.5%(今の 1.280 倍)。営業利益率 9.0%
倍率:ROE 9.8%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 9.0%、g 1.7%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.4 倍(来年の利益に対して)。数量が縮み利益率が戻らない筋書きは g(1.7%)と利益率に入れてある。利益の質は中立と同じ 8 割に置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.1 倍。時価総額 = 純利益 8 億ドル × 10.1 倍 = 81 億ドル。
確率:GLP-1・SNAP・PB で小売の数量が縮み続け、利益率が戻らない。同社の 2022〜2025 年の傾向の延長で、中立より少し薄い 26% に置く。
悲観 14% 構造的に負け、減損と減配が続く 利益 5 億ドル · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 8.05 ドル44 億ドル
FY2035、10 年で構造的に負ける。小売の数量が累計 −25%(PB・GLP-1・超加工食品の規制・ベーコンの需要減)、価格は年 +1.8%、利益率は 5.5%。外食も数量 −14%、利益率 11.0%。国際は 6.5%。売上 115.4 億ドル、営業利益 7.3 億ドル、純利益 4.6 億ドル(今の調整後の約 6 割)。プランターズ・アップルゲートの減損が続き(約 8 億ドル)、自己資本は約 69 億ドルへ減る。配当は 2030 年ごろに据え置きから減配へ向かい、10 年の正味還元は約 50 億ドル。ここまで負けた会社は、のれんと商標の評価も大きく下がる。
- 小売(ベーコン・ハム・スパム・ジェニーオー・アップルゲート・プランターズ):数量 2,152(販売量(百万ポンド))× 価格 3.10(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 67 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量は今の 0.749 倍、価格は年 +1.8%(今の 1.195 倍)。営業利益率 5.5%
- 外食(業務用):数量 862(販売量(百万ポンド))× 価格 4.79(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 41 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量は今の 0.859 倍、価格は年 +2.0%(今の 1.219 倍)。営業利益率 11.0%
- 国際(スパム輸出・フィリピン・中国):数量 268(販売量(百万ポンド))× 価格 2.77(1 ポンドあたり平均純売上(ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量は今の 0.859 倍、価格は年 +2.0%(今の 1.219 倍)。営業利益率 6.5%
倍率:ROE が k 以下(または自己資本が薄い)で、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、g -0.7%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)。正当化 PER = 1 ÷ k = 12.1 倍(来年の利益に対して)。ROE が k を下回るので伸びは価値を生まず、式の値は 1 ÷ k になる。構造的に負けた会社の床として、その筋書きの稼ぐ力(純利益 ÷ k)の下に、利益の質は中立と同じ 8 割で置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 9.6 倍。時価総額 = 純利益 5 億ドル × 9.6 倍 = 44 億ドル。
確率:構造的な負けは、ベーコン・ハムの数量減とブランドの減損で起きる。借金は軽いが、利益が小売と一本足で、同業のクラフト・ハインツ(14%)と並ぶ 14% に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
小売(ベーコン・ハム・スパム・ジェニーオー・アップルゲート・プランターズ)
スーパーで売る冷蔵の加工肉(ベーコン・ソーセージ・ハム・ホットドッグ)、常温の缶詰(スパム・チリ)、七面鳥(ジェニーオー)、オーガニック肉(アップルゲート)、ナッツ(プランターズ)、ピーナッツバター(スキッピー)など。売上の 62%。ウォルマートが最大の顧客。
| 数量販売量(百万ポンド) | 価格1 ポンドあたり平均純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,874 | 2.59 | 75 | 5 |
| 10 年後 中立 | 2,693 | 3.42 | 92 | 8 |
取り方:FY2025(2025 年 10 月期)の 10-K:小売の売上 74.55 億ドル、販売量 28.7 億ポンド(前年比 −1.4%)、セグメント利益 4.25 億ドル(率 5.7%)。ここでは減損(プランターズ商標 0.59 億ドルなど)を戻した調整後の 4.96 億ドル(率 6.7%)を置く。1 ポンドあたり売上は売上 ÷ 販売量で 2.59 ドル(実測)。FY2026 第 3 四半期までに丸ごとの七面鳥・PB ナッツ・受託製造から撤退し、数量が約 1.5〜2.5% 減る。
外食(業務用)
レストラン・ピザチェーン・給食向けのペパロニ、調理済みの肉、ベーコン、七面鳥など。売上の 33%。12 四半期連続で有機的な売上が伸びている。
| 数量販売量(百万ポンド) | 価格1 ポンドあたり平均純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,004 | 3.93 | 39 | 6 |
| 10 年後 中立 | 1,087 | 5.28 | 57 | 8 |
取り方:FY2025 の 10-K:外食の売上 39.42 億ドル(+2.5%)、販売量 10.04 億ポンド(−5.5%、売却分を除く有機で +0.6%)、セグメント利益 5.55 億ドル(率 14.1%、前年 15.5%)。1 ポンドあたり売上は 3.93 ドル(実測)。外食は調整の対象でなく、そのまま置く。
国際(スパム輸出・フィリピン・中国)
スパムなどの輸出、フィリピン(ピュアフーズ・ホーメル、持分 60%)と中国(嘉興工場)の事業、インドネシアのガルダフードへの持分 30%(持分法)。売上の 6%。
| 数量販売量(百万ポンド) | 価格1 ポンドあたり平均純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 312 | 2.27 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 345 | 3.05 | 11 | 1 |
取り方:FY2025 の 10-K:国際の売上 7.09 億ドル、販売量 3.12 億ポンド(+0.3%)、セグメント利益は −0.80 億ドル(ガルダフードへの 1.64 億ドルの減損を含む)。減損を戻した調整後 0.83 億ドル(率 11.7%、持分法の利益 約 0.58 億ドルを含む)を置く。1 ポンドあたり売上は 2.27 ドル(実測)。
リスクと懸念
小売の数量の縮み
FY2025 の小売の数量は −1.4%、FY2026 は撤退込みで更に縮み、第 3 四半期の消費額は −1%。値上げの第 2 弾(2026 年第 2 四半期)で数量が減り、PB との価格差が広がれば棚を失う。数量が年 −1% で続く筋書きがやや悲観。
豚肉・牛肉・七面鳥の原料相場
ベーコンの豚バラ肉の高騰が FY2025 の小売の利益を圧迫した。FY2026 は豚肉の原価が下がり始めたが、牛肉は高止まり、七面鳥は暑さで飼料効率が悪い。原価の低下を小売が値下げ・販促で吐き出せば、利益率は戻らない。豚の処理場のライン速度の特例が恒久化されないと、処理能力と原価に響く。
買収した事業の減損
プランターズ(2021 年に 33.5 億ドルで買収)の商標を FY2025 に 0.59 億ドル、インドネシアのガルダフード持分を 1.64 億ドル減損した。国際ののれん(2.59 億ドル)は公正価値の余裕が小さいと開示されており、追加の減損が自己資本を削る。
配当が利益で賄えない
FY2026 の GAAP 1 株利益の見通し(1.06〜1.12)は年 1.17 の配当を下回る。FCF は設備投資の後で約 5 億ドルまで落ち、配当(年 6.3 億ドル)を使い切る。借金は軽いので減配は急がないが、不況期に利益が割ると配当 127 年の記録が試される。
経営の交代
暫定 CEO のジェフ・エッティンガー(2025 年 7 月から 15 か月)から次期 CEO のジョン・ギンゴ(元アップルゲート)へ。CFO も交代する(アッシュ・ブンブラ)。T&M の効率化を続けるか、ブランド買収に戻るか、方針が変わる可能性がある。
ウォルマート・大手小売への集中
ウォルマートが売上の 15.6%、上位 5 社で約 38%。PB(基礎食品で 2025 年に 1,890 億ドル)が伸びれば、価格交渉で押される。外食もピザチェーンなどの数社に偏る。大手小売が棚の配分や価格を変えれば、数量と利益率が同時に動く。
GLP-1・SNAP・食品規制
GLP-1 薬の普及(成人の 13.1%)で米国の加工食品の数量が 2026 年に 1.4〜3.4% 減る見通し。SNAP の縮小、超加工食品・添加物(亜硝酸塩など)の規制が広がれば、ベーコン・ホットドッグ・スパムの数量とコストに効く。
今後の分かれ目
- FY2027 の通期で小売の有機売上がプラスになり、数量の減少が 1% 以内まで縮む
- 撤退の影響が消え、価格投資が数量に効いた状態。やや楽観・楽観の確率を上げ、小売の数量を中立で −0.3% から 0% へ上げる。
- 豚肉の原価低下が小売の粗利益率に 2 四半期続けて出て、調整後の営業利益率が 9% を超える
- 原価の低下を値下げに吐き出していない証拠。中立の小売の利益率を 8% に上げ、価値は 1〜2 割上がる。
- 小売が値下げ・販促を強め、第 4 四半期から調整後の粗利益率が 15% を割る
- やや悲観・悲観の確率を上げる。小売の利益率を 6% 台に下げ、配当据え置きが利益の 8 割を超える。
- 次期 CEO が 10 億ドル規模の買収を発表する
- 買収価格と回収を式で見直す。成立するまで筋書きには入れない。過去(プランターズ)は減損になっており、値段が高ければ確率を悲観へ寄せる。
- 国際ののれん(2.59 億ドル)または他のブランドで追加の減損が出る
- 自己資本の減少を反映し、PBR 側から見直す。ROE が上がるので式の倍率は上がるが、事業の弱さを示すなら確率を慎重側へ。
- 10 年国債が 6% を超える、または物価が 5% を超えて続く
- k の 8.25% は低すぎたことになり、倍率が 2 割前後下がる。全筋書きの価値が下がる。
見ておくもの
- 小売の有機売上・数量(四半期ごと。FY2026 第 3 四半期は有機 −2%、消費額 −1%)
- 調整後の粗利益率(15.9%)と営業利益率(9.0%)、豚肉の原価の効き方
- 外食の有機成長が 13 四半期目以降も続くか(ペパロニ・調理済みの肉)
- のれん・商標の減損(プランターズ・国際)
- FCF と配当の被覆率(GAAP の 1 株利益 1.06〜1.12 vs 配当 1.17)
- 次期 CEO の方針(買収・T&M・広告)と FY2027 の見通し(53 週)
- 2027 年 3 月に満期の社債 5.06 億ドルの借り換えの利率
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額(約 112 億ドル、調整後純利益の約 15 倍)を見る前に、小売・外食・国際を販売量(10-K の実測、百万ポンド)× 1 ポンドあたり売上で積み、セグメントの利益率から営業利益を作り、本社費(−1.15 億ドル)と支払利息(借り換えで 5.75%:10 年で約 0.8 億ドル増)と税 22% で純利益を出した。倍率は式 (1 − g/RONIC) ÷ (k − g) × (1 + g) どおり(k 8.25%=基本 8.0% + quality +0.25%。中立の 10 年後で 11.1 倍)で、g は数量(市場 × 占有率)と価格から出し ROE から出していない。ROE は帳簿の自己資本 ROE(のれんを除かない)。悲観側は筋書きの稼ぐ力(純利益 ÷ k)の中に置いた。今の倍率にも他社の倍率にも寄せていない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β 0.60 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%(SCHEMA_US §1)。純負債は時価総額の 20.7% で重くないので debt は 0。事業は傾いておらず上乗せはしない。個別のリスク(数量の縮み・減損・CEO の交代・原料相場)は k に足さず、筋書きと確率(慎重側を厚く)で表した。