株譜
AI 銘柄分析 · 生活必需品 · 試作

ウォルマート WMT

食品の規模・通販・広告で堀は広がる。だが今の PER 43 倍は、強い堀の利益ベースの正当化 PER(約 22 倍)の 2 倍近くで、割高

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)75.09 ドル6,024 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)121.1 ドル9,716 億ドル差 −38.0%
10 年後から見ると 割高 価値 75.09 ドル6,024 億ドル · 差 −38.0% · 期待の年率 +1.7%
期待の年率リターン(10 年)+1.7%資本コスト比 −5.8 pt
推定の資本コスト7.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

ウォルマートは、米国の食料品の約 2 割を握る世界最大の小売で、ウォルマート米国(売上 4,830 億ドル)、海外(1,304 億ドル。メキシコ・カナダ・中国・インドのフリップカート)、会員制倉庫のサムズ・クラブ(930 億ドル)の 3 つを持つ。2026 年 1 月期は総収入 7,132 億ドル、営業利益 298 億ドル(営業利益率 4.2%)、純利益 219 億ドル、ROE 22%。2026 年 5〜7 月期は売上 1,879 億ドル(前年比 +5.9%)、営業利益 93.8 億ドル(+28.8%。関税の還付が押し上げ)、通販 +23%、広告 +38%、会員費 +17%で、通期の見通しも売上 +4〜5%、調整後の営業利益 +7〜8.5% に上げた。

事業の質は高い。価格を決める力は調達の規模から来て、低価格の約束と店舗網・配送網・会員が一体で働き、近年は広告(2026 年 1 月期に約 64 億ドル、前年比 +46%)と会員費(約 44 億ドル)が、利益の約 3 割を占めるまで育った。

バリュー投資の観点では、値段との釣り合いを見る。今の PER 43.5 倍・PBR 9.6 倍は高い。景気に強い事業の資本コストは 7.5%(基本 8.0% − 0.5%)で、強い堀で再投資の超過利益の 2/3 が残るとした利益ベースの正当化 PER(ROE 約 22%、長期の成長 4% で来年の利益の約 22 倍)は今の倍率の半分ほど。事業ごとに市場 × 占有率 × 価格(10 年で物価並みの約 1.4 倍)を積み上げると、10 年後の中立は営業利益が今の 2.2 倍、純利益が 469 億ドル、PER 20.5 倍で時価総額は約 9,610 億ドルと今とほぼ同じで、配当を足した年率は約 2% と資本コスト 7.5% を大きく下回る。ただし倍率は k − g が 3.5% と薄い所で決まるので、悲観に崩れた時の下げは大きい。「優良な事業だが、値段は割高(安全域は無い)」が結論である。

バリュー投資の観点から

バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。食品・日用品を最も安く最も近くで売る仕組みは複製が難しく、堀はむしろ広がる。事業の質への疑いは小さい。

次にオーナー利益を見る。純利益 219 億ドルは株式報酬を費用に含み、設備投資(266 億ドル)は減価償却を上回るが、フリーキャッシュフローは 149 億ドルで純利益の約 7 割。配当と自社株買い(合計 156 億ドル)が株主の取り分で、時価総額 9,531 億ドルに対する正味の還元利回りは約 1.4%、今のオーナー利益利回りは 1.5% 台。国債 5% は物価 3.5% に削られるが、ウォルマートの利益は物価についていくので実質で比べる必要がある。それでも 1.5% は低く、成長の多くを前払いした値段である。

安全域の議論では、中立の 10 年後(純利益 469 億ドル・PER 20.5 倍)で時価総額は今とほぼ同じ、配当込みの年率は約 2% と資本コスト 7.5% を大きく下回る。構造的に負ける悲観では 6 割下がる。事業の質は買いたいが、値段は今後の利益の伸びをほぼ払い切っているので、安全域は薄い。経営は、配当・自社株買い・設備投資の配分に規律があり、買収で価値を壊した例(海外の撤退は整理済み)は少ない。わからない部分は、広告と会員の利益率と、アマゾンとの長期の競争である。

何で稼ぐ会社か

ウォルマート米国は店舗(約 4,600 店のスーパーセンターほか)と通販の両方で、食品・日用品(売上の約 6 割)と衣料・家電などの一般商品を売る。店で受け取る・自宅へ配送する通販が成長の主力で、全社の通販売上は年 +20% 超のペースで増え、2026 年 1 月期には通販が初めて黒字になった。

海外はメキシコ(ウォルマート・デ・メヒコ)、カナダ、中国、中米、インドの通販フリップカートなど。売上の約 18% を占め、営業利益率は 4% 弱と米国より低い(2026 年 1 月期は為替・訴訟費用で営業利益が前期比 −7%)。サムズ・クラブは会員制倉庫で、営業利益 24 億ドルの大半は会員費が占め、商品の粗利益は薄い。

利益の構造は、商品の薄利で客数と取扱高を集め、その上に広告(仕入先と出品者がウォルマートの検索・店内・ビジオのテレビ広告に払う)と会員費(ウォルマート・プラス、サムズ)が乗る、というもの。広告と会員の利益は商品の利益よりはるかに率が高く、営業利益率を毎年 0.1〜0.2 ポイントずつ押し上げる。事業ごとの数字(広告は売上より利益が大きい)は開示が限られるため、広告 64 億ドルに利益率 55%、会員費 44 億ドルに 90% を置いて、全社の営業利益 298 億ドルを、米国・海外・サムズの小売と広告・会員の 4 つに分けて推定した。

優良さと弱いところ

堀は 4 つ。第 1 は調達の規模で、年 7,000 億ドルの取扱いが仕入先との交渉力と最安値の約束を支える。第 2 は店舗網で、米国人口の約 9 割が店から 10 マイル以内に住み、これが店舗受け取りと当日配送を安く速くする(アマゾンは同じ速さの配送に巨額の固定費がかかる)。第 3 は客層の広さで、年収の高い層まで客が広がり、景気後退では低価格を求めて客が増える面がある。第 4 は広告と会員で、購買の直前に出せる広告は効果が測れ、仕入先の予算がここに移る。

資本効率は高い。ROE は 22%、営業利益率は 4% 台で安定(過去 12 期の最低 4.0%、最高 5.6%)、設備投資は売上の 3.5〜4%、フリーキャッシュフローは 149 億ドル。経営は 2026 年 2 月にダグ・マクミロン氏からジョン・ファーナー氏(元サムズ・クラブ社長)へ引き継がれ、配送の自動化・広告・会員を伸ばす方針は継続している。配当は 50 年超増配を続け、自社株買いは 300 億ドルの枠を新たに設けた。

弱点は、営業利益率が 4% 台と薄く、賃金・関税・値下げがすぐ利益に響くこと、低所得層の客が多いこと(SNAP の削減やガソリン高に弱い)、海外(中国・メキシコ)の調達と政治の影響、そして株価が成長を織り込みすぎていること。事業の質は上位だが、予測のしやすさは食品の小売としては標準である。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

米国の食料品(家庭内)は年約 1 兆ドルで、数量はほぼ横ばい、名目は物価並みに伸びる。2026 年の占有率は、ウォルマートが約 20%(2024 年の 20.4% から微減)、コストコ 8.2%(上昇)、クローガー 8.3%、アマゾンとホールフーズの合計 8%(2024 年の 6.4% から上昇)。ウォルマートは規模が大きいが、食料雑貨の占有率では横ばい、アマゾンとコストコが伸ばしている。

競争は、ウォルマートが低価格と店舗網、コストコが会費と大箱、アマゾンが品ぞろえと配送、テム・シーインが中国発の低価格で挑む。AI が買い物の入口を変える可能性(検索から AI のエージェントへ)もあり、ウォルマートは OpenAI などのエージェント経由の販売と自社の AI を並行して進めている。

循環でいえば、食品は景気後退で落ちにくく、リーマンのときの業界売上の落ち込みは 0〜5%。一方、株価はウォルマートで山から谷 −21%、コストコ −40%、ターゲット −56% と、倍率の縮みで大きく動く。今の PER 43 倍はコストコ(48 倍)とともに、食品小売としては歴史的に高い。関税は 2025 年から調達価格を押し上げ、2026 年に入って一部が還付されている。価格転嫁は、ウォルマートが最も早くできる位置にいる。分かれ目は、広告・会員の伸びが小売の利益率を押し上げ続けるか、アマゾンとコストコが食品の占有率をさらに奪うかである。

資本政策と M&A

還元は配当と自社株買いの両方。2026 年 1 月期は配当 75 億ドル、自社株買い 81 億ドルで、株数は年 0.7% 減っている。株式報酬は年約 19 億ドルと小さく、正味の還元は配当 + 自社株買いから株式報酬の分を引いた約 137 億ドル。2026 年 2 月に新しい 300 億ドルの自社株買いの枠を設けた。

資本は設備投資(2026 年 1 月期 266 億ドル。倉庫の自動化・店舗の改装・データセンター)が最優先で、通期の設備投資は売上の約 4% に上がる見通し。M&A は、フリップカート(2018 年、約 160 億ドルで 77% を取得)、ビジオ(2024 年、約 23 億ドル。テレビ広告の基盤)が大型で、アスダ(英国)・ウォルマート・ジャパンなど海外の事業は売却して整理してきた。今後は小規模な買収が中心で、規制(FTC)上、大型の食品小売の買収は難しい。ウォルマート家(創業家)が株の約 45% を持つため、買われる側になる可能性もほぼない。

鍵は、設備投資の回収率が資本コスト 7.5% を十分に上回り、自動化と広告で営業利益率が上がること。今の株価は中立の価値をやや上回るので、自社株買いを急いで増やすと株主の価値を少し減らす面がある。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

ウォルマートは小売を「規模の薄利」から「広告・会員・通販の高収益事業を持つ消費の入口」へ変えつつある。2026 年 5〜7 月期は広告 +38%、会員費 +17%、通販 +23% で、広告と会員だけで営業利益の約 3 割。通販は 2026 年 1 月期に初めて黒字になった。営業利益は売上より速く伸び、通期の見通しを 2 度上げた。

店舗網(米国人口の約 9 割が 10 マイル圏内)が、店舗受け取りと当日配送を安く速くする。これはアマゾンの固定費の重い配送より低コストで、食品の通販で優位に立つ。景気後退では低価格を求めて高所得層の客も来て、占有率が上がる(リーマンのときも売上は伸びた)。自動化への投資(約 4% の設備投資)で人件費の比率が下がり、営業利益率は 5% 台に向かう。海外のフリップカート・ウォルマート・デ・メヒコも伸びる。

ファーナー体制は広告と会員を成長の核に置き、PER が高いのは、利益が 10 年にわたり年 +10% で伸びる会社への妥当な値付けだ、と見る。創業家が約 45% を持ち、長期の資本配分は安定している。

慎重な見方

ウォルマートの営業利益率は 4% 台で、過去 12 期の最高は 5.6%。賃金・関税・値下げがすぐに利益を削る構造は変わらない。2026 年 5〜7 月期の営業利益 +28.8% は関税の還付という一時的な押し上げで、利益の質を示さない。広告は仕入先の販促予算の付け替えで、景気後退と AI 検索の普及で弱まりやすく、アマゾンも同じ市場で競う。

食料雑貨の占有率は 2024 年の 20.4% から約 20% へ微減し、コストコとアマゾンが伸ばしている。低所得層はガソリン高と SNAP の削減で財布が細り、テム・シーインが衣料・日用品の価格で追う。AI のエージェントが購買の入口を握れば、検索広告と店舗網の価値が下がる。設備投資が売上の 4% に上がり、自動化の回収が遅れれば、ROE は下がる。

何より、PER 43.5 倍・PBR 9.6 倍は、資本コストを 7.5% と低めに見た成熟後の式の値(来年の利益の約 22 倍)の 2 倍近い。利益が 10 年で 2.2 倍になっても、倍率が式の値の 22 倍に戻っても株価は今とほぼ同じ。値段が全部を織り込んでいる。

どちらに重みを置いたか

事業の質と足元の勢いは強気の見方が強く、確率は中立から楽観側に寄せた(10 年の楽観・やや楽観の合計は 33%)。値段の議論は慎重な見方に分がある。強い堀の利益ベースの正当化 PER は来年の利益に約 22 倍で、中立の 10 年後(PER 20.5 倍)の配当込みの年率は約 2% と資本コストを大きく下回る。食品は崩れにくいので10 年の悲観の確率は 12% とし、倍率の縮みで決まる谷の深さを置いた。確率で重ねた本質価値は今の時価総額を約 37% 下回り、結論は「割高」(優良な事業だが、値段に安全域は無い)。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 115.64 ドル9,277 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 27.26 ドル2,186 億ドル)。 今の値に割り戻すと 75.09 ドル6,024 億ドル、今との差 −38.0%、 期待の年率 +1.7%(資本コスト 7.5%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 201.22 ドル1.61 兆ドル 36.99 ドル2,967 億ドル +96.7% +7.0% 23.82 ドル1,911 億ドル
やや楽観 23% 155.88 ドル1.25 兆ドル 32.40 ドル2,599 億ドル +55.5% +4.5% 43.30 ドル3,474 億ドル
中立 35% 119.79 ドル9,610 億ドル 28.23 ドル2,265 億ドル +22.2% +2.0% 51.81 ドル4,156 億ドル
やや悲観 20% 72.50 ドル5,816 億ドル 22.25 ドル1,785 億ドル −21.8% −2.4% 18.95 ドル1,520 億ドル
悲観 12% 26.98 ドル2,164 億ドル 14.77 ドル1,185 億ドル −65.5% −10.1% 5.01 ドル402 億ドル
加重平均100% 115.64 ドル9,277 億ドル27.26 ドル2,186 億ドル +18.0% +1.7% 142.90 ドル1.15 兆ドル

今の株価時価総額 121.12 ドル9,716 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。

楽観 10% 楽観:食品・通販・広告で「消費の入口」を握り、小売の利益率が 1 ポイント上がる 利益 700 億ドル · PER 23.1 倍 · 株価時価総額 201.22 ドル1.61 兆ドル

10 年後(2036 年 1 月期)、米国の対象市場は名目で 1.6 倍の 6.4 兆ドル、ウォルマートの占有率は 14.8%(+0.27 ポイント/年)で、ウォルマート米国の売上は 9,472 億ドル。物流と店舗の自動化で営業利益率(広告・会員を除く)は 5.3% へ。広告は +18%/年で 335 億ドル、会員費は 104 億ドルで、この 2 つの営業利益は 307 億ドル、全社の約 3 分の 1。海外はメキシコ・インド・カナダで売上 3,420 億ドル、営業利益率 5.0%。営業利益は 964 億ドル、純利益 700 億ドル(今の 3.2 倍)。ROE は 29% まで上がり、成長は名目 年 +4% に落ち着くので、式の 95% で PER 23.1 倍。自社株買いが増え、10 年の正味還元は約 2,967 億ドル。

  • ウォルマート米国(食品・日用品・一般商品。広告・会員を除く):数量 45,390(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品。億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.21(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 9,472 億ドル・営業利益 502 億ドル。シェア +0.27 ポイント/年(占有率 14.8%・物価指数 1.41)
  • ウォルマート海外:数量 67,376(対象国の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.05(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 3,420 億ドル・営業利益 171 億ドル。自動化で利益率上昇(占有率 3.6%・物価指数 1.41)
  • サムズ・クラブ(会員制倉庫。会員費を除く):数量 4,681(米国の会員制倉庫型の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.35(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,617 億ドル・営業利益 26 億ドル。会員制が育つ(占有率 24.5%・物価指数 1.41)
  • 広告・会員費:数量 14,509(全社の小売売上(億ドル))× 価格 0.03(小売売上に対する広告・会員費の比率)→ 売上 439 億ドル・営業利益 307 億ドル。広告 +18%/年

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 29.0%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 21.8%、g 4.0%(市場の数量(実質で年 +0.7% ほど)× シェア(大手は小幅に増える)× 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 23.3 倍(来年の利益に対して)。規模・配送・広告の優位が 10 年先も続くので、上限の 9.5 割(22.2 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 23.1 倍。時価総額 = 純利益 700 × 23.1 倍 = 16142 億ドル。

確率:自動化・広告・会員で営業利益率が 1.5 ポイント上がり、占有率も伸びる展開。大型の小売が 10 年これを保つ確率は 1 割。

やや楽観 23% やや楽観:占有率を伸ばし、広告と会員で営業利益率が 0.5 ポイント上がる 利益 576 億ドル · PER 21.7 倍 · 株価時価総額 155.88 ドル1.25 兆ドル

10 年後、市場は 6.15 兆ドル、占有率 14.2%。ウォルマート米国の売上は 8,733 億ドル、営業利益率(広告・会員を除く)4.8%。広告は 282 億ドル(総売上比 2.8%)、会員費 91 億ドルで、2 つの営業利益 257 億ドル。海外は売上 3,174 億ドル、営業利益率 4.6%。サムズ・クラブは売上 1,560 億ドル。営業利益 801 億ドル、純利益 576 億ドル(今の 2.6 倍)。成長は名目 +4% に落ち着き、PER 21.7 倍。物価が 10 年で 1.41 倍になる中、小売の価格は物価並みに上がり、数量の弱さを補う。

  • ウォルマート米国(食品・日用品・一般商品。広告・会員を除く):数量 43,617(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品。億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.20(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 8,733 億ドル・営業利益 419 億ドル。シェア +0.2 ポイント/年(占有率 14.2%・物価指数 1.41)
  • ウォルマート海外:数量 65,248(対象国の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.05(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 3,174 億ドル・営業利益 146 億ドル。自動化と広告で利益率上昇(占有率 3.45%・物価指数 1.41)
  • サムズ・クラブ(会員制倉庫。会員費を除く):数量 4,610(米国の会員制倉庫型の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.34(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,560 億ドル・営業利益 20 億ドル。会員制が育つ(占有率 24%・物価指数 1.41)
  • 広告・会員費:数量 13,467(全社の小売売上(億ドル))× 価格 0.03(小売売上に対する広告・会員費の比率)→ 売上 373 億ドル・営業利益 257 億ドル。広告 +16%/年

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 25.4%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.4%、g 4.0%(市場の数量(実質で年 +0.7% ほど)× シェア(大手は小幅に増える)× 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.7 倍(来年の利益に対して)。規模・配送・広告の優位が 10 年先も続くので、上限の 9.2 割(20.9 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 21.7 倍。時価総額 = 純利益 576 × 21.7 倍 = 12505 億ドル。

確率:堀(価格・品ぞろえ・配送網)が保たれ、広告が +16%/年で育つが、アマゾンとコストコが競うため伸びは限られる。

中立 35% 中立:優良な成熟量販として名目 +6% 弱で伸び、倍率は資本コスト 7.5% の式の 9 割 利益 469 億ドル · PER 20.5 倍 · 株価時価総額 119.79 ドル9,610 億ドル

10 年後、市場は名目で約 1.5 倍の 6 兆ドル(価格は物価並みの 1.41 倍、実質の数量は 1.06 倍で年 +0.6%)、ウォルマートの占有率は 13.6%(+0.15 ポイント/年)で、ウォルマート米国の売上は 8,160 億ドル、営業利益率(広告・会員を除く)4.4%。広告は +13%/年で 217 億ドル、会員費は 83 億ドル。2 つの営業利益 201 億ドルは全社の約 3 割で、ここが利益の伸びを作る。海外は市場 9 兆ドル × 占有率 3.3% で 2,970 億ドル、営業利益率 4.2%。営業利益 659 億ドル(今の 2.2 倍、年 +8%)、純利益 469 億ドル。設備投資は売上の 3.5〜4% で、自社株買いと配当が純利益の 7 割強。ROE は 22%(のれんを除くと約 25%)で、PER は資本コスト 7.5%・g 4% の式の 9 割の 20.5 倍(10 年目の利益に対して)の「普通に強い優良企業」に落ち着く。

  • ウォルマート米国(食品・日用品・一般商品。広告・会員を除く):数量 42,553(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品。億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.19(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 8,160 億ドル・営業利益 359 億ドル。シェア +0.15 ポイント/年(占有率 13.6%・物価指数 1.41)
  • ウォルマート海外:数量 63,830(対象国の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.05(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 2,970 億ドル・営業利益 125 億ドル。利益率は小幅上昇(占有率 3.3%・物価指数 1.41)
  • サムズ・クラブ(会員制倉庫。会員費を除く):数量 4,504(米国の会員制倉庫型の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.33(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,492 億ドル・営業利益 15 億ドル。会員 +6.5%/年(占有率 23.5%・物価指数 1.41)
  • 広告・会員費:数量 12,622(全社の小売売上(億ドル))× 価格 0.02(小売売上に対する広告・会員費の比率)→ 売上 300 億ドル・営業利益 201 億ドル。広告 +13%/年

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 21.9%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.1%、g 4.0%(市場の数量(実質で年 +0.7% ほど)× シェア(大手は小幅に増える)× 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 21.9 倍(来年の利益に対して)。規模・配送・広告の優位が 10 年先も続くので、上限の 9 割(19.7 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 20.5 倍。時価総額 = 純利益 469 × 20.5 倍 = 9610 億ドル。

確率:業界ノートの中立(市場 約 1.5 倍、大手は占有率 +0.2 ポイント/年未満、営業利益率横ばい〜+0.3 ポイント)に、広告・会員の伸びを織り込む。

やや悲観 20% やや悲観:アマゾン・中国系通販に価格で追われ、利益率が下がる 利益 326 億ドル · PER 17.8 倍 · 株価時価総額 72.50 ドル5,816 億ドル

10 年後、市場は 5.65 兆ドルまでしか伸びず、占有率は 12.8% で、ウォルマート米国の売上は 7,232 億ドル、営業利益率(広告・会員を除く)3.8%。アマゾンの食品配送の拡大と中国系通販が日用品・衣料のバスケットを奪い、ウォルマートは価格で応じる。広告は AI 検索やアマゾンに競合され +9%/年で 152 億ドル、会員費 72 億ドル。海外は売上 2,550 億ドル、営業利益率 3.5%。営業利益 471 億ドル、純利益 326 億ドル(今の 1.5 倍)。成長が名目 +4% 前後に落ちて ROE も 17% に下がり、PER 17.8 倍。

  • ウォルマート米国(食品・日用品・一般商品。広告・会員を除く):数量 40,071(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品。億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.18(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 7,232 億ドル・営業利益 275 億ドル。シェア +0.05 ポイント/年(占有率 12.8%・物価指数 1.41)
  • ウォルマート海外:数量 60,284(対象国の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.04(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 2,550 億ドル・営業利益 89 億ドル。アマゾン・中国系に価格で追われる(占有率 3%・物価指数 1.41)
  • サムズ・クラブ(会員制倉庫。会員費を除く):数量 4,326(米国の会員制倉庫型の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.32(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,391 億ドル・営業利益 8 億ドル。成長が鈍る(占有率 22.8%・物価指数 1.41)
  • 広告・会員費:数量 11,173(全社の小売売上(億ドル))× 価格 0.02(小売売上に対する広告・会員費の比率)→ 売上 224 億ドル・営業利益 139 億ドル。広告 +9%/年

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 16.7%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.6%、g 4.0%(市場の数量(実質で年 +0.7% ほど)× シェア(大手は小幅に増える)× 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 20.2 倍(来年の利益に対して)。アマゾンなどに押される構造の弱さが出るので、上限の 8.5 割(17.2 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.8 倍。時価総額 = 純利益 326 × 17.8 倍 = 5816 億ドル。

確率:アマゾン・コストコの占有率拡大と、テム・シーインの価格攻勢で、ウォルマートの占有率の伸びが止まり、価格投資が利益率を削る展開。

悲観 12% 悲観:構造的に負ける(占有率を失い、広告も縮み、優良企業でなくなる) 利益 170 億ドル · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 26.98 ドル2,164 億ドル

10 年後、買い物の入口が AI のエージェントとアマゾンに移り、ウォルマートの占有率は 11.0% に下がる。ウォルマート米国の売上は 5,940 億ドル(今より 23% 増、物価上昇の 4 割にとどまる)、営業利益率(広告・会員を除く)3.0%。広告は仕入先の予算が検索の AI に移り +4%/年で 95 億ドル、会員費 59 億ドル。海外は売上 1,950 億ドル、営業利益率 2.5%。サムズ・クラブは損益ゼロ。営業利益は 266 億ドル(今の約 9 割)、純利益 170 億ドル(今の約 8 割)。ROE は 10% に落ち、成長もほぼ止まって PER 12.7 倍。自己資本 1,721 億ドルに対して PBR 1.3 倍で、店舗・物流網と純資産が床になる。

  • ウォルマート米国(食品・日用品・一般商品。広告・会員を除く):数量 38,298(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品。億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.16(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 5,940 億ドル・営業利益 178 億ドル。占有率を失う(占有率 11%・物価指数 1.41)
  • ウォルマート海外:数量 53,192(対象国の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.04(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,950 億ドル・営業利益 49 億ドル。価格競争で利益率 3%(占有率 2.6%・物価指数 1.41)
  • サムズ・クラブ(会員制倉庫。会員費を除く):数量 3,901(米国の会員制倉庫型の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.30(ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,182 億ドル・営業利益 0 億ドル。会員の伸び悩み(占有率 21.5%・物価指数 1.41)
  • 広告・会員費:数量 9,072(全社の小売売上(億ドル))× 価格 0.02(小売売上に対する広告・会員費の比率)→ 売上 154 億ドル・営業利益 77 億ドル。広告 +4%/年

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 9.9%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 9.1%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.7% ほど)× シェア(大手は小幅に増える)× 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.4 倍(来年の利益に対して)。アマゾンなどに押される構造の弱さが出るので、上限の 8 割(12.3 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.7 倍。時価総額 = 純利益 170 × 12.7 倍 = 2164 億ドル。

確率:リーマン級の不況に加え、10 年のうちに、AI のエージェント・アマゾン・中国系通販が購買の入口を奪い、価格だけで勝負する普通の小売に変わる。確率 1 割強。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

ウォルマート米国(食品・日用品・一般商品。広告・会員を除く)

店舗と通販の小売。食品・日用品が売上の約 6 割。広告・会員の利益は別の枠に分けた。

数量米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品。億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定)価格ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41)売上営業利益
今 2025/12 40,000 0.12 4,830 208
10 年後 中立 42,553 0.19 8,160 359

取り方:米国の食品・日用品・一般商品の対象市場を約 4 兆ドルと推定(自動車・ガソリン・外食を除く小売の約 9 割)。ウォルマート米国の 2026 年 1 月期売上 4,830 億ドル(営業利益 252 億ドル)から占有率 12.1%。営業利益は、広告・会員の取り分 44 億ドルを引いた 208 億ドル(率 4.3%)。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。食料雑貨ではウォルマートが約 2 割、コストコ・クローガー・アマゾンが各 1 割前後で追う(推定)。市場の名目の伸びのうち物価分(10 年 1.41 倍)は価格に、残り(実質 年 0.5% 前後)を数量に置いた。

ウォルマート海外

メキシコ・カナダ・中国・中米・インド(フリップカート)の小売と通販。

数量対象国の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定)価格ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41)売上営業利益
今 2025/12 50,000 0.03 1,304 42
10 年後 中立 63,830 0.05 2,970 125

取り方:対象国(メキシコ・カナダ・中国・インド・中米)の食品・日用品・一般商品の小売市場を約 5 兆ドルと推定(国ごとの積み上げでなく概算)。売上 1,304 億ドル(営業利益 51 億ドル)から占有率 2.6%。営業利益は広告・会員の取り分 9 億ドルを引いた 42 億ドル(率 3.2%)。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。メキシコではウォルマート・デ・メヒコが近代小売の首位、インドの通販ではフリップカートがアマゾンと首位を争う。

サムズ・クラブ(会員制倉庫。会員費を除く)

米国の会員制倉庫型の小売。商品の粗利益は薄く、利益の大半は会員費。

数量米国の会員制倉庫型の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定)価格ウォルマートの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41)売上営業利益
今 2025/12 4,100 0.23 930 2
10 年後 中立 4,504 0.33 1,492 15

取り方:会員制倉庫型市場(コストコ 2,752 億ドル、サムズ 930 億ドル、BJ's ほか約 400 億ドル)を約 4,100 億ドルと置く。サムズの営業利益 24 億ドルから会員費・広告の取り分 22 億ドルを引いた 2 億ドル。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。コストコが約 3 分の 2 を握り、サムズは約 2 割台前半。

広告・会員費

ウォルマート・コネクト、ビジオ、会員費(ウォルマート・プラス、サムズ)。営業利益率が高い。

数量全社の小売売上(億ドル)価格小売売上に対する広告・会員費の比率売上営業利益
今 2025/12 7,064 0.02 108 75
10 年後 中立 12,622 0.02 300 201

取り方:広告 約 64 億ドル(世界、ビジオ込み、前年比 +46%)と会員費 約 44 億ドルを足した 108 億ドルを、小売売上 7,064 億ドルに対する比率(1.5%)で置く。広告の一部は売上原価の控除として計上されるため売上は重複しうる(推定)。営業利益は広告 55%・会員費 90% の推定で約 75 億ドル(全社の営業利益 298 億ドルの 25%)。数量は名目の小売売上なので、物価の上昇は数量の側に入っている(比率は物価で動かない)。

リスクと懸念

値段(倍率の縮み)

今の PER 43.5 倍・PBR 9.6 倍は、資本コスト 7.5% の成熟後の式の値(来年の利益の約 22 倍)の 2 倍近い。k − g が 3.5% と薄く、k が 1% 上がれば理論の倍率は 3 割下がる。事業が計画どおりに伸びても、倍率が平常に戻ればリターンは利益の伸びより小さくなる。リーマンで −21%、2022 年の利上げで −20% と、倍率で動いた過去がある。

営業利益率の薄さと関税

営業利益率は 4% 台で、賃金・関税・値下げが 1 ポイント動くと営業利益が 2 割動く。2025 年の関税は調達価格を押し上げ、2026 年に還付が入って営業利益を一時的に押し上げた。還付が剥がれ、価格に転嫁できない期間が長引くと、利益が想定より減る。

アマゾンとコストコの占有率拡大

2026 年の食料雑貨の占有率は、ウォルマートが約 20%(微減)、コストコ 8.2%、アマゾン+ホールフーズ 8% と、競合が上がる。アマゾンの食品の当日配送が広がると、ウォルマートの通販の優位が縮み、価格投資で利益率を削る展開もありうる。

低所得層の財布

低所得層の客が多く、SNAP の削減・ガソリン高・失業率の上昇に弱い。数量が減り、自社ブランドや安い店へ移ると、粗利益率が下がる。一方、景気後退では高所得層の客が流れ込むため、全体では相殺されやすいが、両方が同時に弱ると数量が減る。

広告・会員の伸びの鈍化

広告は +38%、会員費は +17% で、全社の営業利益の約 3 割を担う。広告は仕入先の販促予算の付け替えで、景気後退と AI 検索・アマゾンとの競争で伸びが落ちやすい。伸びが年 +10% を下回ると、営業利益の伸びを支える柱が弱くなり、倍率の根拠が崩れる。

AI と購買の入口の変化

AI のエージェントが買い物を代行すると、検索結果の上位枠(広告)と店のブランドの価値が下がり、価格と配送だけの競争になりうる。ウォルマートは AI エージェントとの連携と自前の AI を進めているが、入口を握るのが他社になる可能性は残る。

海外事業と政治

海外は売上の約 18%。メキシコの規制と税、中国の景気、インドの通販のブームの継続(フリップカートの赤字)が利益を揺らす。2026 年 1 月期は海外の営業利益が前期比 −7% で、為替と訴訟費用で振れた。米中の関税・調達の混乱も響く。

今後の分かれ目

広告の伸びが 2028 年まで年 +25% を保ち、広告・会員の営業利益が全社の 35% を超えたら
営業利益率が 5% 台に向かい、楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし倍率は成長の減速を先に映すので、時価総額が追いつく前に利益が伸びる保証はない。
関税の還付が終わり、営業利益の伸びが売上の伸びを下回ったら
押し上げが一時的だったとわかり、やや悲観の確率を上げる。倍率も 2〜3 倍下げて見る。
アマゾンの食品の占有率が 10% を超え、ウォルマートが 19% を割ったら
集約型の勝者がウォルマートでなくなる。10 年の悲観の確率を上げ、占有率の伸びを 0 にして見る。
失業率が上がり、SNAP の削減が続いて数量が 2 四半期連続で落ちたら
一般商品の値下げ・在庫評価損で利益が減る。10 年の悲観の確率を上げ、稼ぐ力(純利益 ÷ k)で床を見る。
設備投資が売上の 3.5% 以下に戻り、自動化で人件費の比率が下がって営業利益率が 4.8% を超えたら
オーナー利益の質が改善し、倍率を 2〜3 倍上げてよい。
通販の営業利益率が 3% を超え、フリップカートが黒字になったら
通販と海外の収益性が 10 年の中立を上回り、楽観寄りに確率をずらす。

見ておくもの

  • 米国の既存店売上(客数と客単価)と占有率(Numerator の食料雑貨)
  • 広告売上の伸びと、広告・会員が占める営業利益の割合
  • 通販の営業利益率とフリップカートの損益
  • 営業利益率(広告・会員を除く)と関税の費用・還付
  • 低所得層の指標(SNAP・ガソリン価格・失業率)
  • 設備投資の売上比(約 4%)と自動化の効果(人件費の比率)
  • アマゾンとコストコの食品の占有率

倍率と資本コストの決め方

先に米国・海外・サムズ・広告と会員の 4 つを、市場(実質)× 占有率 × 物価指数で積み、営業利益率で利益を置いた。倍率は今の株価や過去の PER を見ず、のれんを除いた ROE・g 4%(市場の数量 +0.7%・価格 +3.3% から出した値で、ROE からは出していない)・k 7.5%(基本 8.0% − 0.5%)の式から出した。強い堀(残る割合 2/3)なので上限の 8〜9.5 割に置き、堀の分は k の下げを −0.5% にとどめて二重に使っていない(10 年目の利益に掛けるので ×(1+g))。結果は中立でも還元込みの年率が約 2% で、資本コストに届かず割高になる。倍率を今の値段へ寄せない限り避けられない。

資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。

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適正 クロロックスCLX 漂白剤・猫砂・ごみ袋・ピュレルの必需品ブランド。ERP 移行の傷・CEO 交代・借入増が重なり利益が谷にあるが、k 8.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +8.2% · 10 年 適正(年 +8.1%) 適正 マコーミックMKC 調味料で世界首位の安定事業。米国の数量は弱いが、k 8.25% の利益ベースの正当化 PER(その 8.5 割)で測った値は今の時価総額を上回り、ユニリーバ統合を除いた単体ではやや割安 本質価値との差 +6.8% · 10 年 適正(年 +7.2%) 適正 ペプシコPEP 飲料とスナックの二本柱だが、値下げと原料高で北米の利益が痩せている。利益ベースの正当化 PER(その 8.5 割)で測ると、本質価値は今の値段とほぼ同じで適正 本質価値との差 −4.7% · 10 年 適正(年 +6.1%) 適正 クローガーKR 米国最大の伝統的な食品スーパー。占有率を毎年失う薄利の成熟事業だが、食料品は落ちにくく、利益ベースの正当化 PER(その 8 割)で見ると今の値段は適正 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +5.8%) 適正 ターゲットTGT 縮んだ総合量販が立て直しに投資する局面。成功すれば倍率以上に利益が戻り、競合に負ければ構造的に縮む。利益ベースの正当化 PER で測ると、今の値段は適正 本質価値との差 −6.9% · 10 年 適正(年 +5.9%) 適正 ゼネラル・ミルズGIS 数量が縮み利益が 2 期続けて落ちた大手ブランド。価格投資は一巡したが、借金の重さを k に入れて確率を慎重側に厚くすると、本質価値は今の時価総額とほぼ同じで適正 本質価値との差 −9.7% · 10 年 適正(年 +5.6%) やや割高 タイソン・フーズTSN 牛肉の赤字を鶏肉と加工食品が支える食肉大手。k 9.75% の正当化 PER(弱い堀で下限の 1 ÷ k に近い)で測ると、中立の価値は今を上回るが、期待の年率は k を下回り、適正 本質価値との差 −10.1% · 10 年 やや割高(年 +6.6%) やや割高 キンバリークラークKMB ハギーズ・クリネックスの北米首位と、IFP 売却後の身軽な形。北米の価格投資と中国の失速はあるが、k 8.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 15 倍)は今の PER 17 倍と近く、値段は適正 本質価値との差 −13.2% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 ホーメル・フーズHRL 豚肉の原価高と撤退で利益が落ちた、配当 127 年の加工肉・外食の会社。借金は軽いが、利益ベースの正当化 PER(その 8 割)で測ると今の時価総額をやや下回り、適正 本質価値との差 −13.7% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 モルソン・クアーズ・ビバレッジTAP 米国ビールの縮小とシェア低下で利益が減る最中。それでも伸びのない会社の式(PER = 1 ÷ k = 10.5 倍)で測ると中立の 10 年後は今とほぼ同じで、確率を重ねるとやや割高 本質価値との差 −14.6% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 ダラー・ツリーDLTR 裁量品が約半分の均一価格店が、多価格化と客層の広がりで利益率 9% 前後に乗せた局面。利益ベースの正当化 PER で測るとやや割高で、関税還付の一過性と客数の弱さから確率も慎重側に厚く置いた 本質価値との差 −18.0% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ブンゲ・グローバルBG 世界最大級の油糧種子の圧搾・穀物商社。2026 年は圧搾利幅が山で、ならした利益に弱い堀の正当化 PER(下限の 1 ÷ k = 10.0 倍)を当てると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +6.0%) やや割高 アルトリア・グループMO 数量が毎年 5% 減る紙巻きを値上げで支える高配当の縮む事業。名目の利益は横ばいで、伸びのない会社の正当化 PER(1 ÷ k)で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 コンステレーション・ブランズSTZ モデロ・コロナの輸入ビール一本足。数量が縮む産業で純負債も重いが、伸びのない会社の正当化 PER(1 ÷ k)で測ると、中立の 10 年後は今の 0.94 倍で、還元を足しても資本コストに届かず、やや割高 本質価値との差 −19.0% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 クラフト・ハインツKHC ブランドは強いが数量が毎年縮む会社。k 9.0% の稼ぐ力(純利益 ÷ k)で測ると中立の価値は今の時価総額とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −19.2% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ダラー・ゼネラルDG 農村の小型店の密度で食品の来店頻度を握る会社が、盛り損の削減と改装で利益率を戻す局面。今の値段はやや割高で、利益率の戻りが続くかが価値を分ける 本質価値との差 −20.3% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 モンデリーズ・インターナショナルMDLZ 世界首位のビスケットと世界 2 位のチョコを持ち、カカオ高で利益が削られた谷にある。k 8.0% の利益ベースの正当化 PER で測ると、今の値段は中立の価値とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −21.6% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 ハーシーHSY チョコレート首位のブランドが、カカオ高の谷を価格改定で抜けた直後。k 7.5% の利益ベースの正当化 PER で測ると、値段はやや割高 本質価値との差 −22.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 コルゲート・パルモリブCL 歯磨きで世界首位とペット用療法食を持つ超安定企業。北米の数量減は重く、k 7.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 20 倍)で見ると今の PER 25 倍はやや高く、利益の質は高いがやや割高 本質価値との差 −23.3% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) やや割高 コカ・コーラKO 世界最強のブランド原液事業。強い堀の利益ベースの正当化 PER で測っても、k 7.5% では中立の 10 年後が今の約 1.1 倍にとどまり、今の値段はやや割高 本質価値との差 −25.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 プロクター・アンド・ギャンブルPG 世界最強の日用品ブランド群だが、PER 24 倍は k 7.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 19 倍)を上回る。数量の弱さを長期の成長に入れると、値段はやや割高 本質価値との差 −26.2% · 10 年 やや割高(年 +3.0%) やや割高 キューリグ・ドクターペッパーKDP JDE ピーツの買収で純負債が時価総額の 6 割になった飲料・コーヒー複合。強い飲料と縮むポッドの綱引きで、借金の重さを k に入れると 10 年の中立は今の約 0.93 倍にとどまり、今の値段はやや割高 本質価値との差 −26.2% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) 割高 JM スマッカーSJM コーヒーの値付けと借金返済で利益の底が見えたが、ブランドの堀は広がらず、k 8.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると中立の価値は今とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −30.6% · 10 年 割高(年 +3.2%) 割高 シスコSYY 米国最大の外食向け食品卸。薄利の物流業で価格を決める力は弱いが、規模の経済と AI 効率化で利益は着実に伸びる。利益ベースの正当化 PER で見ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −30.7% · 10 年 割高(年 +3.7%) 割高 ケンビューKVUE タイレノール・リステリン・ニュートロジーナを持つが、数量は縮み、訴訟が再燃。買収条件に連動する株価に安全域は見えず、単体の本質価値はやや下 本質価値との差 −32.1% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 フィリップ モリス インターナショナルPM 紙巻きの減りを煙の出ない製品で埋める成長株。強い堀の利益ベースの正当化 PER でも、資本コスト 7.5% に対して今の値段は割高 本質価値との差 −33.8% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 ブラウン・フォーマンBF-B ジャックダニエルを軸にした酒類の老舗。米国の飲酒減・関税・カナダの棚外しが重いが、財務は軽く、利益ベースの正当化 PER(下限の 1 ÷ k)で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −35.8% · 10 年 割高(年 +1.8%) 割高 アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドADM 価格を決める力のない農産物加工の循環株。バイオ燃料の追い風で 2026 年は利益の山。ならした利益に k 9.5% の稼ぐ力(弱い堀の下限 1 ÷ k = 10.5 倍)を当てると、値段は割高 本質価値との差 −36.0% · 10 年 割高(年 +2.7%) 割高 チャーチ・アンド・ドワイトCHD 猫砂・洗濯・オーラルケアの強いブランドを買い足して伸びる必需品の中堅。ウォルマート依存と買収の失敗が影で、k 7.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −44.3% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 モンスタービバレッジMNST エナジー専業の高採算ブランド。利益ベースの正当化 PER で測っても、中立の 10 年後は今の時価総額の約 0.87 倍にとどまり、今の値段は割高 本質価値との差 −48.0% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 エスティ ローダーEL 高級美容の名門が再建の途中。利益率は戻るが、利益ベースの正当化 PER(k 9.25%・ROE 25% 台で来年の利益に約 14 倍)では今の約 380 億ドルは回復を先取りしており、割高 本質価値との差 −51.4% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 コストコ・ホールセールCOST 会費が利益の半分を生む堀は本物だが、PER 47.6 倍は成熟後の約 2 倍。10 年の年率は資本コスト 7.5% に届かず割高 本質価値との差 −52.4% · 10 年 割高(年 −0.9%) 割高 ケーシーズ・ゼネラル・ストアーズCASY 米国 3 位のコンビニ。小さな町の寡占と調理品で伸びる良質な事業だが、燃料粗利が高止まりの今、GAAP の約 36 倍は利益ベースの正当化 PER(約 15 倍)の倍以上で割高 本質価値との差 −62.1% · 10 年 割高(年 −3.1%)

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読んだ資料

  1. Walmart FY26 第 4 四半期・通期決算(8-K)
  2. Walmart FY27 第 1 四半期決算(5〜7 月期の前期)
  3. Walmart 2026 年 5〜7 月期の決算の要約(Dukascopy)
  4. Walmart 広告売上 約 64 億ドル(PPC Land)
  5. Walmart 第 2 四半期(Canadian Grocer)
  6. 米国の食料雑貨の占有率(Numerator・Supermarket News)

分析日 2026-10-16