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プロクター・アンド・ギャンブル PG

世界最強の日用品ブランド群だが、PER 24 倍は k 7.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 19 倍)を上回る。数量の弱さを長期の成長に入れると、値段はやや割高

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)122.27 ドル2,845 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)165.6 ドル3,853 億ドル差 −26.2%
10 年後から見ると やや割高 価値 122.27 ドル2,845 億ドル · 差 −26.2% · 期待の年率 +3.0%
期待の年率リターン(10 年)+3.0%資本コスト比 −4.5 pt
推定の資本コスト7.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、タイド・パンパース・ジレット・オレイ・クレストなど 65 のブランドを 180 か国で売る、世界最大の家庭用品・パーソナルケア企業である。2026 年 6 月期(FY2026)は売上 870 億ドル、営業利益 197 億ドル、純利益 161 億ドル、ROE 約 30%。ただし有機的売上は +1%(価格 +1・数量ミックス 0)、第 4 四半期は 0% にとどまり、2027 年 6 月期の見通しも有機的売上 +1〜3%、調整後 EPS は横ばい〜+3%と、原材料・輸送費の高騰(税引後で約 10 億ドル)が利益を押し下げる。

事業の質は最高位に近い。複数の大きなカテゴリーで首位、研究開発と広告に毎年巨額を投じられる規模、小売との交渉力は 10 年後も簡単には崩れない。営業利益率は 2015 年の 21% から 24% 台へ上がり、配当を 69 年続けてきた。一方で、数量はこの 5 年ほぼ横ばいで、成長は値上げとミックスに頼ってきた。米国の消費者は値上げに疲れ、コストコのカークランドやアマゾンの自社ブランドへ移っている。

バリュー投資の観点では、値段は事業の質に比べてやや高い。資本コスト 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)、長期の名目成長 3%、ROE 約 26% で、強い堀の利益ベースの正当化 PER は来年の利益に約 19 倍、その 9 割を使い 10 年目の利益に約 17.5 倍で、今の PER 24.1 倍はその上にある。事業ごとに数量 × 単価を積み上げると、10 年後の中立は純利益 224 億ドル(今の約 1.4 倍)、PER 17.5 倍で時価総額約 3,909 億ドルと今の約 1.05 倍。配当を足した年率は 3〜4% で資本コストに届かない。数量が伸びない弱さと PB の侵食は、倍率を割り引くのでなく長期の g を物価より低い 3% に置いて式に入れた。安全域は無く、確率で重みづけした価値は今の時価総額を約 26% 下回り、やや割高である。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、P&G は「10 年後も存在し、今と同じ強さを保つ」公算が最も大きい事業の 1 つである。洗剤・おむつ・歯磨きは毎日使う必需品で、新技術に置き換わりにくく、ブランドが何十年も続いている。堀は広くて深いが、広がっているとは言えない:PB の上昇で価格を決める力が少しずつ削られている。

オーナー利益は、純利益 161 億ドルから、成長に必要な再投資(設備投資は減価償却をやや上回る程度)を差し引いても約 150 億ドル。株式報酬は小さく、配当と自社株買いが利益のほぼ全部を返している。経営は資本配分で価値を壊さないが、数量の成長という最大の課題をまだ解けていない。

値段は、事業の質から見て妥当な範囲にある。今の時価総額 3,860 億ドルはオーナー利益の約 26 倍、PER 24.1 倍。資本コストを 7.5%、長期の名目成長を 3% と置くと、ROE 約 26% の式の値は来年の利益に約 19 倍で、今はその上にある。数量が伸びず、価格を決める力も物価に追いつかない現状は、倍率を割り引かずに長期の g を 3% に置いて式に入れ、中立の 10 年後は PER 17.5 倍とした。中立の 10 年後の年率は 3〜4% で資本コストに届かず、楽観で約 6%、やや悲観で約 0% と、見返りは薄い。確信度は高いが、k が 1% 上がれば倍率は 1 割強下がる点で、安全域は無い。

何で稼ぐ会社か

P&G は 5 つの事業で稼ぐ。最大はファブリック・ホームケア(FY2026 売上 303 億ドル、税引前利益率 24.0%)で、洗濯洗剤タイド・アリエール、柔軟剤ダウニー、食器洗いドーンなどの日常の買い物を握る。次にベビー・フェミニン・ファミリーケア(204 億ドル、25.2%)で、おむつのパンパース、生理用品のオールウェイズ、ティッシュ・キッチンペーパーのシャーミン・バウンティを含む。美容(160 億ドル、21.7%)はヘアケアのパンテーン・ヘッド&ショルダーズ、スキンケアのオレイ・SK-II で、売上 +7%と最も速く伸びる。ヘルスケア(125 億ドル、25.4%)は口腔ケアのオーラルB・クレストと胃腸薬ペプト・ビズモル。グルーミング(69 億ドル、28.4%)はジレットとブラウンで、利益率が最も高い。

収益の仕組みは、数量 × 単価。数量は人口・世帯数・新興国の所得で緩やかに増え、単価は値上げと高価格品への切り替え(ミックス)で上がる。FY2026 は為替 +2・価格 +1・数量ミックス 0 の合計 +3%で、数量は伸びなかった。売上のおよそ 6 割が北米・欧州で、最大の顧客はウォルマート。製造は自社工場とパートナー委託の併用で、設備投資は売上の 4.5〜5.5%、フリーキャッシュフローは純利益とほぼ同じ約 100% を生む。

会社は 2025 年 6 月に、2 年間で非製造部門の約 7,000 人(約 15%)の削減とブランド・市場の整理を発表した(費用は税引前で 10〜16 億ドル)。FY2027 の見通しにはブランド・形態の整理による有機的売上の逆風(0.3〜0.5 ポイント)が入っている。事業別の営業利益は開示されないため、ここでは税引前利益で代用し、本社費・金利などを調整欄に置いた。

優良さと弱いところ

堀は 4 つ。第 1 にブランド:タイド・パンパース・ジレットのように、消費者が値段を見ずに選ぶ指名買いの商品が多く、価格を決める力がある。第 2 に規模:広告と研究開発に毎年巨額を投じられ、PB や中堅ブランドが追いつけない店頭での存在感を生む。第 3 に流通:ウォルマート・コストコ・アマゾンのいずれでも棚の上位を持つ。第 4 に製品の革新:洗剤のポッド、おむつの吸収材、電動歯ブラシなど、特許つきの改良で単価を引き上げ続けてきた。

資本効率は高い。ROE は 30% 前後、営業利益率は 22〜25%、設備投資は売上の 5% 前後と軽く、純利益の約 100% がキャッシュで残る。経営は保守的で、配当を 69 年続け、減配しない前提で自社株買いを調整する。2026 年 1 月にジェジュリカー氏が CEO に就き、前任のモラー氏は executive chair に残る継承で、戦略は変わらない(「消費者第一」へ立ち戻ると説明)。

弱みは 3 つある。(1) 数量が伸びない:過去数年の成長は価格とミックスで、FY2026 の数量ミックスは 0%。(2) PB の上昇:カテゴリー首位でも、低所得層は安い PB に動く。(3) 値上げの限界:FY2026 の価格寄与は +1% にとどまり、物価 3.5% を下回った。価格を決める力が、インフレと同じ速さでは働かなくなったことを示す。それでも、洗剤・おむつ・歯磨きは景気で需要が崩れにくく、2008〜09 年にも売上は大きく減らなかった。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

家庭用品・パーソナルケアは、大手寡占(P&G、ユニリーバ、コルゲート・パルモリブ、キンバリークラーク、ヘンケル、クロロックス)の成熟した業界である。数量は世界全体でほぼ横ばい〜微増、成長は新興国の中間層(中国・インド・東南アジア)と、高価格品への切り替えから来る。米国のカテゴリー数量は 2025〜26 年にマイナスで、値上げの限界が出た。

構造の変化は 4 つある。第 1 に PB(自社ブランド):基礎食品の PB は 2025 年に 1,890 億ドルと 2020 年比 +32%、洗剤・紙製品でもコストコのカークランド、アマゾンのブランドが占有率を伸ばす。第 2 に販売の集約:ウォルマート・コストコ・アマゾンが占有率を伸ばし、メーカーの交渉力は弱まる方向。第 3 に原材料・関税:石油由来の素材、パルプ、輸送費は数年単位で粗利益率を揺らす(FY2027 は原材料等で税引後約 10 億ドルの逆風)。第 4 に規制:PFAS・ベンゼンなど化学物質、タルク関連の訴訟。

循環のどこにいるか:数量が弱く、価格の寄与も縮んだ「踊り場」にある。同業ではエスティ ローダーが中国と旅行小売で苦しみ、コルゲートは 2026 年の有機的売上 +1〜4% と減速、クロロックスは基幹システム移行の反動で売上が落ちた。P&G は同業の中で数量の落ち込みが小さく、占有率を保っている。業界ノートの置き方(家庭用品・紙:数量 年 +0.3%・単価 年 +3.0%、口腔:名目 年 +4.0%、美容:名目 年 +4.0%)に沿い、P&G は直近の価格の弱さを踏まえて当面は単価を年 +2.5% 前後に低く置いた。

資本政策と M&A

還元は大きく、予測しやすい。FY2026 は配当 102 億ドルと自社株買い 50 億ドル(計 152 億ドル、純利益の約 95%)で、FY2027 も配当約 100 億ドル・自社株買い約 50 億ドルの計画。配当は純利益の約 63% で、増配を 69 年続けている。ただし株式報酬で増える株を打ち消す分があり、株数の減少は年 0.4〜0.7% にとどまる。このため payout_oku は配当と自社株買いの合計から、増えた株の分(年 20〜25 億ドル)を引いた正味の還元(純利益の約 83%)で置いた。

買収は小さく、整理が中心。2000 年代にジレット(約 570 億ドル)を買ったのが最後の大型案件で、その後は不採算ブランドの売却(2016 年に約 40 ブランドをコティへ)を進めた。2025 年 6 月からの 2 年計画で、人員 7,000 人の削減とブランド・市場の整理を進め、費用は税引前 10〜16 億ドル。TOB の対象になる規模ではなく、大型買収の可能性も低く、資本配分で価値を壊す不安は小さい。借金は純負債 251 億ドル(時価総額の 6.5%)と軽く、FY2027 は利払い増が税引後約 1.5 億ドル。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

P&G の強みは、10 年間で何度も試された。2008〜09 年のリーマンでも売上は大きく崩れず、2022 年の原材料高でも値上げを通して利益を守った。営業利益率は 2015 年の 21% から 2025 年の 24.6% へ、ほぼ一貫して上がっている。ブランド・規模・革新の 3 つがそろう会社は他にない。

成長の余地もある。美容は FY2026 に売上 +7%(第 4 四半期の有機的売上 +4%)で、オレイ・SK-II・ヘアケアの高価格品が伸びている。ヘルスケアの口腔・OTC は米国の高齢化と電動歯ブラシで +4%。ジェジュリカー新 CEO は「消費者第一」へ立ち戻り、数量を取り戻す方針を明確にした。7,000 人の削減とブランド整理で、FY2027 以降は固定費が 10 億ドル近く減り、営業利益率が 25% 台へ上がる余地がある。

数量が年 +1% 戻るだけで、10 年後の純利益は 270 億ドル近くになる。資本コスト 7.5% でも、ROE 30% の事業は成熟後に PER 20 倍前後が理論値で、今の 24 倍は優良さへの上乗せとして許容できる範囲との見方がある。必需品の安定した利益は、金利が高くても実質では 2% 前後の資本コストで評価されるべきだ。

慎重な見方

事業は強いが、伸びが止まっている。FY2026 の有機的売上は +1% で、価格 +1%・数量ミックス 0%。第 4 四半期は 0%、ベビー・フェミニン・ファミリーケアは −2%(ファミリーケアは中位単桁減)。FY2027 の調整後 EPS は横ばい〜+3% で、原材料等の逆風が約 10 億ドル。物価 3.5% の世界で売上の伸びが +1〜3% では実質のマイナス成長である。

カークランド・アマゾンの PB が洗剤・紙製品で占有率を取り、ウォルマートも自社ブランドを広げる。価格を決める力が衰えれば、営業利益率は今の 24% から 21〜22% へ下がり、PER も 13〜17 倍へ縮む。今の PER 24.1 倍は、k 7.5% の式の値(来年の利益に約 19 倍)より高い。数量が増えない会社に、成長株並みの倍率を払う理由は薄い。

理論値の約 19 倍は、長期の成長 3% が永久に続く前提で、ROE 26〜30% が保たれて初めて成り立つ。ROE が 22% へ下がれば理論値も約 19 倍から 18 倍へ下がる。配当 69 年の実績は美しいが、それは過去の話。数量が 10 年で 5% 減る PB の侵食が現実になれば、バリュー投資の安全域はない。

どちらに重みを置いたか

強気の主張は事業の質(10 年後も存在し、強さを保つ)と、資本コスト 7.5% でも利益ベースの正当化 PER が約 19 倍と、事業の質に見合う値が出る点で強い。慎重な見方は数量の弱さと PB の侵食で、長期の g を物価より低い 3% に置く根拠になる。双方を取り入れ、倍率は利益ベースの正当化 PER の 9 割(中立の 10 年後で 17.5 倍)、確率は中立を最も厚く(38%)置き、悲観を 10% と薄めた。楽観と悲観は上下ほぼ対称(楽観 9% 対 悲観 10%)。結果として、年率は資本コストを 4% ほど下回り、値段はやや割高になる。 点検(2026-10-19):basis の株数が年次の古い 24.23 億株だったので、brief の写す値(直近四半期の 23.27 億株)に直した(今の時価総額 3860→3708 億ドル)。起点は 2026 年 6 月期末で、そのあとの買い戻しは今の株数と重ならない。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)

確率で加重した株価時価総額 154.24 ドル3,589 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 68.10 ドル1,585 億ドル)。 今の値に割り戻すと 122.27 ドル2,845 億ドル、今との差 −26.2%、 期待の年率 +3.0%(資本コスト 7.5%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 9% 226.59 ドル5,272 億ドル 78.48 ドル1,826 億ドル +84.2% +6.3% 27.46 ドル639 億ドル
やや楽観 22% 186.49 ドル4,339 億ドル 73.96 ドル1,721 億ドル +57.3% +4.6% 57.30 ドル1,333 億ドル
中立 38% 167.99 ドル3,909 億ドル 69.62 ドル1,620 億ドル +43.5% +3.7% 90.29 ドル2,101 億ドル
やや悲観 21% 102.80 ドル2,392 億ドル 61.80 ドル1,438 億ドル −0.6% −0.1% 34.57 ドル804 億ドル
悲観 10% 73.93 ドル1,720 億ドル 53.33 ドル1,241 億ドル −23.1% −2.6% 12.73 ドル296 億ドル
加重平均100% 154.24 ドル3,589 億ドル68.10 ドル1,585 億ドル +34.3% +3.0% 222.34 ドル5,174 億ドル

今の株価時価総額 165.59 ドル3,853 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。

楽観 9% 楽観:数量が年 +1% 超で戻り、利益率 25% 台 利益 269 億ドル · PER 19.6 倍 · 株価時価総額 226.59 ドル5,272 億ドル

2036 年 6 月期、販売単位数は 1.05〜1.28 倍(美容 1.28 倍、ヘルスケア 1.22 倍、ファブリック 1.06 倍、ファミリー 1.05 倍)、単価は物価並みの 1.41 倍。売上は 1,366 億ドル(今の約 1.6 倍)、営業利益 340 億ドル(営業利益率 24.9%)、純利益 269 億ドル(今の 1.7 倍)。美容はオレイ・SK-II の高価格品が中国・インドで伸び、ヘルスケアはオーラルB・OTC が高齢化で伸びる。PB への移行は洗剤・紙製品で止まる。PER 19.6 倍は、ROE 約 29%・g 3.5%・k 7.5% の式の 9 割の値。10 年の正味還元は約 1,826 億ドル。

  • ファブリック・ホームケア:数量 53.1(洗剤・家庭用洗剤の販売単位数(億個、推定))× 価格 8.55(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 454 億ドル・営業利益 116 億ドル。数量 +0.6%/年・単価 +3.5%/年
  • ベビー・フェミニン・ファミリーケア:数量 42.1(おむつ・生理用品・紙製品の販売単位数(億個、推定))× 価格 7.19(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 303 億ドル・営業利益 80 億ドル。数量 +0.5%/年・単価 +3.5%/年
  • 美容:数量 25.6(美容品の販売単位数(億個、推定))× 価格 11(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 281 億ドル・営業利益 70 億ドル。数量 +2.5%/年・単価 +3.2%/年
  • グルーミング:数量 11.4(カミソリ・替刃・シェーバーの販売単位数(億個、推定))× 価格 9.87(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 113 億ドル・営業利益 33 億ドル。数量 +1.5%/年・単価 +3.5%/年
  • ヘルスケア:数量 30.5(口腔・ヘルスケア品の販売単位数(億個、推定))× 価格 7.05(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 215 億ドル・営業利益 58 億ドル。数量 +2%/年・単価 +3.5%/年

倍率:ROE 29.4%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 強い堀 2/3、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 22.1%、g 3.5%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 21.0 倍(来年の利益に対して)。数量の弱さが直り価格・ミックスが通る筋書きだが、上限の 9 割に置いた。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 19.6 倍。時価総額 = 純利益 269 億ドル × 19.6 倍 = 5272 億ドル。

確率:PB への移行が止まり、新興国・美容・ヘルスケアで数量が伸びる筋書き。10 年全部がうまくいく確率は 1 割弱。

やや楽観 22% やや楽観:数量が年 +0.5〜2%、利益率 24% 台後半 利益 246 億ドル · PER 17.6 倍 · 株価時価総額 186.49 ドル4,339 億ドル

2036 年 6 月期、販売単位数は 1.03〜1.22 倍、単価は 1.37 倍(物価をやや下回る)。売上は 1,285 億ドル、営業利益 311 億ドル(営業利益率 24.2%)、純利益 246 億ドル(今の 1.5 倍)。美容とヘルスケアが数量を伸ばし、ファブリック・ホームは横ばい。価格を決める力は保たれるが、物価 3.5% に全額は転嫁できない。PB への移行は洗剤・紙製品で 1 ポイント程度にとどまり、7,000 人削減とブランド整理の効果が物価による費用増を一部吸収する。大型の買収も大きな失敗もなく、配当と自社株買いが純利益の約 83% を返し続ける。PER 17.6 倍は、ROE 約 28%・g 3%・k 7.5% の式の 9 割の値。

  • ファブリック・ホームケア:数量 52.0(洗剤・家庭用洗剤の販売単位数(億個、推定))× 価格 8.30(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 432 億ドル・営業利益 108 億ドル。数量 +0.4%/年・単価 +3.2%/年
  • ベビー・フェミニン・ファミリーケア:数量 41.2(おむつ・生理用品・紙製品の販売単位数(億個、推定))× 価格 6.99(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 288 億ドル・営業利益 74 億ドル。数量 +0.3%/年・単価 +3.2%/年
  • 美容:数量 24.4(美容品の販売単位数(億個、推定))× 価格 11(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 262 億ドル・営業利益 63 億ドル。数量 +2%/年・単価 +3%/年
  • グルーミング:数量 10.9(カミソリ・替刃・シェーバーの販売単位数(億個、推定))× 価格 9.59(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 104 億ドル・営業利益 30 億ドル。数量 +1%/年・単価 +3.2%/年
  • ヘルスケア:数量 29.0(口腔・ヘルスケア品の販売単位数(億個、推定))× 価格 6.85(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 199 億ドル・営業利益 53 億ドル。数量 +1.5%/年・単価 +3.2%/年

倍率:ROE 27.5%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 強い堀 2/3、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 20.9%、g 3.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 19.0 倍(来年の利益に対して)。数量の弱さを長期の g に入れた上で、上限の 9 割に置いた。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.6 倍。時価総額 = 純利益 246 億ドル × 17.6 倍 = 4339 億ドル。

確率:会社が目指す「数量を伴う成長」が実現するが、PB の侵食も一部続く筋書き。

中立 38% 中立:良好な成熟ブランドとして純利益は年 +3.4%、倍率は式どおり 利益 224 億ドル · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 167.99 ドル3,909 億ドル

2036 年 6 月期、販売単位数は 1.0〜1.16 倍(美容 1.16 倍、ヘルスケア 1.10 倍、ファブリック 1.02 倍、ファミリー 1.0 倍)、単価は 1.34 倍(物価 1.41 倍よりやや低い)。売上は 1,217 億ドル(年 +3.5%)、営業利益 284 億ドル(営業利益率 23.3%)、純利益 224 億ドル(今の 1.4 倍、年 +3.4%)。PB への移行は洗剤と紙製品で 1〜2 ポイントの占有率を取るが、ブランドの価格を決める力は残る。7,000 人削減の効果は物価で吸収される。PER 17.5 倍は、ROE 約 26%・g 3%・k 7.5% の式の 9 割の値。10 年の正味還元は約 1,620 億ドル。

  • ファブリック・ホームケア:数量 51.0(洗剤・家庭用洗剤の販売単位数(億個、推定))× 価格 8.14(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 415 億ドル・営業利益 101 億ドル。数量 +0.2%/年・単価 +3%/年
  • ベビー・フェミニン・ファミリーケア:数量 40.0(おむつ・生理用品・紙製品の販売単位数(億個、推定))× 価格 6.85(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 274 億ドル・営業利益 69 億ドル。数量 +0%/年・単価 +3%/年
  • 美容:数量 23.2(美容品の販売単位数(億個、推定))× 価格 11(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 245 億ドル・営業利益 56 億ドル。数量 +1.5%/年・単価 +2.8%/年
  • グルーミング:数量 10.4(カミソリ・替刃・シェーバーの販売単位数(億個、推定))× 価格 9.41(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 97 億ドル・営業利益 27 億ドル。数量 +0.5%/年・単価 +3%/年
  • ヘルスケア:数量 27.6(口腔・ヘルスケア品の販売単位数(億個、推定))× 価格 6.72(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 186 億ドル・営業利益 48 億ドル。数量 +1%/年・単価 +3%/年

倍率:ROE 25.7%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 強い堀 2/3、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.6%、g 3.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.8 倍(来年の利益に対して)。数量の弱さを長期の g に入れた上で、上限の 9 割に置いた。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.4 倍。時価総額 = 純利益 224 億ドル × 17.4 倍 = 3909 億ドル。

確率:業界ノートの置き方(家庭用品:数量 年 +0.3%・単価 年 +3.0%)に合わせた。議論で最も厚い。

やや悲観 21% やや悲観:数量が減り続け、利益率 22〜23% へ 利益 184 億ドル · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 102.80 ドル2,392 億ドル

2036 年 6 月期、販売単位数は 0.95〜1.08 倍(洗剤・紙製品は減り、美容だけ 1.08 倍)、単価は 1.28 倍。売上は 1,085 億ドル、営業利益 234 億ドル(営業利益率 21.6%)、純利益 184 億ドル(今の 1.15 倍)。コストコ・アマゾンの PB が洗剤・紙製品・ベビーケアで 3〜4 ポイントの占有率を取り、値上げが物価に届かない。ブランドは強いが、「成長する優良企業」ではなく「成熟した耐久企業」と見られる。PER 13.0 倍は、ブランドの価格決定力の低下を長期の g 2.5% に入れ、稼ぐ力(純利益 ÷ k)に g を乗せた値の 9.5 割。

  • ファブリック・ホームケア:数量 47.6(洗剤・家庭用洗剤の販売単位数(億個、推定))× 価格 7.76(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 369 億ドル・営業利益 84 億ドル。数量 -0.5%/年・単価 +2.5%/年
  • ベビー・フェミニン・ファミリーケア:数量 37.3(おむつ・生理用品・紙製品の販売単位数(億個、推定))× 価格 6.53(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 243 億ドル・営業利益 57 億ドル。数量 -0.7%/年・単価 +2.5%/年
  • 美容:数量 21.7(美容品の販売単位数(億個、推定))× 価格 10(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 222 億ドル・営業利益 47 億ドル。数量 +0.8%/年・単価 +2.5%/年
  • グルーミング:数量 9.6(カミソリ・替刃・シェーバーの販売単位数(億個、推定))× 価格 8.96(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 86 億ドル・営業利益 23 億ドル。数量 -0.3%/年・単価 +2.5%/年
  • ヘルスケア:数量 25.8(口腔・ヘルスケア品の販売単位数(億個、推定))× 価格 6.40(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 165 億ドル・営業利益 40 億ドル。数量 +0.3%/年・単価 +2.5%/年

倍率:ROE 22.0%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 強い堀 2/3、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.2%、g 2.5%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.1 倍(来年の利益に対して)。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値(1 ÷ k × (1+g))の 9.5 割に置き、ROE が高くても式の上乗せは見ない。市場の倍率は使わない。上限の 7.4 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 13.0 倍。時価総額 = 純利益 184 億ドル × 13.0 倍 = 2392 億ドル。

確率:PB への移行が進み、ブランドの価格を決める力が衰えるが、堀は残る筋書き。

悲観 10% 悲観:PB に占有率を失い、営業利益率 20% 台前半へ 利益 141 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 73.93 ドル1,720 億ドル

2036 年 6 月期、販売単位数は 0.85〜1.0 倍(ファブリック・ファミリー 0.85 倍)、単価は 1.22 倍。売上は 948 億ドルと今の約 1.1 倍にとどまり、営業利益 180 億ドル(営業利益率 19%)、純利益 141 億ドル(今の約 0.9 倍)。PB が洗剤・紙製品・おむつで 5 ポイント以上の占有率を取り、ブランドの価格決定力が衰える。値引き販促が増え、粗利益率が下がる。化学物質の訴訟(PFAS・ベンゼン等)が費用になる。PER 12.2 倍は、g 2% で稼ぐ力(純利益 ÷ k)に g を乗せた値の 9 割。PBR は約 2.2 倍(時価総額 1,720 億ドル ÷ 自己資本 795 億ドル)。

  • ファブリック・ホームケア:数量 43.0(洗剤・家庭用洗剤の販売単位数(億個、推定))× 価格 7.39(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 318 億ドル・営業利益 65 億ドル。数量 -1.5%/年・単価 +2%/年
  • ベビー・フェミニン・ファミリーケア:数量 34.4(おむつ・生理用品・紙製品の販売単位数(億個、推定))× 価格 6.22(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 214 億ドル・営業利益 46 億ドル。数量 -1.5%/年・単価 +2%/年
  • 美容:数量 20.0(美容品の販売単位数(億個、推定))× 価格 9.75(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 195 億ドル・営業利益 36 億ドル。数量 +0%/年・単価 +2%/年
  • グルーミング:数量 8.9(カミソリ・替刃・シェーバーの販売単位数(億個、推定))× 価格 8.53(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 76 億ドル・営業利益 18 億ドル。数量 -1%/年・単価 +2%/年
  • ヘルスケア:数量 23.8(口腔・ヘルスケア品の販売単位数(億個、推定))× 価格 6.10(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 145 億ドル・営業利益 32 億ドル。数量 -0.5%/年・単価 +2%/年

倍率:ROE 17.7%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 強い堀 2/3、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.3%、g 2.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.6 倍(来年の利益に対して)。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値の 9 割に置いた(PB の侵食と価格の弱さが続くため)。市場の倍率は使わない。上限の 7.6 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.2 倍。時価総額 = 純利益 141 億ドル × 12.2 倍 = 1720 億ドル。

確率:10 年で構造的に負ける筋書き(PB の拡大・訴訟・化学物質規制・数量の減少)。確率は 1 割。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

ファブリック・ホームケア

洗濯洗剤(タイド・アリエール)、食器洗い(ドーン・フェアリー)、柔軟剤、家庭用洗剤。会社最大の事業で、売上の約 35%。

数量洗剤・家庭用洗剤の販売単位数(億個、推定)価格1 個あたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2026/12 50.0 6.06 303 73
10 年後 中立 51.0 8.14 415 101

取り方:FY2026(2026 年 6 月期)の売上 303 億ドルを、1 個あたり平均 6 ドル前後の商品で約 50 億個と置いた推定(市場規模 × シェアの代わり)。税引前利益 73 億ドル(利益率 24.0%)はそのまま営業利益に写した。事業別の営業利益は開示されないので、税引前利益で代用する。

ベビー・フェミニン・ファミリーケア

おむつ(パンパース)、生理用品(オールウェイズ・タンパックス)、ティッシュ・キッチンペーパー・トイレットペーパー(シャーミン・バウンティ)。

数量おむつ・生理用品・紙製品の販売単位数(億個、推定)価格1 個あたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2026/12 40.0 5.10 204 51
10 年後 中立 40.0 6.85 274 69

取り方:FY2026 売上 204 億ドルを、平均 5.1 ドル前後 × 約 40 億個と置いた推定。税引前利益 51 億ドル(25.2%)。第 4 四半期は有機的売上 −2%(ファミリーケア中位単桁減)と最も弱い。

美容

ヘアケア(パンテーン・ヘッド&ショルダーズ)、スキンケア(オレイ・SK-II)、パーソナルクレンジング。成長が最も速い。

数量美容品の販売単位数(億個、推定)価格1 個あたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2026/12 20.0 8.00 160 35
10 年後 中立 23.2 11 245 56

取り方:FY2026 売上 160 億ドルを、平均 8 ドル × 約 20 億個と置いた推定。税引前利益 35 億ドル(21.7%)。売上 +7%(為替含む)、第 4 四半期の有機的売上は +4%。

グルーミング

カミソリ(ジレット・ベンザ)、電動シェーバー(ブラウン)。利益率が最も高い。

数量カミソリ・替刃・シェーバーの販売単位数(億個、推定)価格1 個あたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2026/12 9.9 7.00 69 20
10 年後 中立 10.4 9.41 97 27

取り方:FY2026 売上 69 億ドルを、平均 7 ドル × 約 9.9 億個と置いた推定。税引前利益 20 億ドル(28.4%)。売上 +4%、有機的売上は横ばい。

ヘルスケア

口腔ケア(オーラルB・クレスト)、胃腸薬・風邪薬(ペプト・ビズモル・ヴィックス)。

数量口腔・ヘルスケア品の販売単位数(億個、推定)価格1 個あたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2026/12 25.0 5.00 125 32
10 年後 中立 27.6 6.72 186 48

取り方:FY2026 売上 125 億ドルを、平均 5 ドル × 約 25 億個と置いた推定。税引前利益 32 億ドル(25.4%)。売上 +4%、有機的売上は −1%。

リスクと懸念

価格(倍率の縮み)

今の PER 24.1 倍・PBR 7.1 倍は、式の値(資本コスト 7.5%・ROE 約 26%・成長 3% で来年の利益に約 19 倍)を上回り、k の前提が 1 ポイント上がれば式の値は約 15 倍へ下がる。リーマンで −34%、2022 年の利上げで −22% と、倍率の下落で下がった過去がある。

数量の弱さと価格の限界

FY2026 の有機的売上は +1%(価格 +1・数量ミックス 0)、第 4 四半期は 0%。物価 3.5% の世界で +1〜3% では実質のマイナス成長。値上げに疲れた消費者は安い商品へ移り、数量は戻りにくい。FY2027 の見通しも有機的売上 +1〜3%、調整後 EPS 横ばい〜+3% と控えめ。

PB(自社ブランド)の拡大

基礎食品の PB は 2025 年に 1,890 億ドル(2020 年比 +32%)。コストコのカークランド、アマゾンのブランド、ウォルマートのブランドが洗剤・紙製品・おむつで占有率を伸ばす。最大の顧客ウォルマートは同時に最大の競合にもなりうる。

原材料・関税・輸送費

FY2027 は原材料・エネルギー・輸送費の上昇で税引後約 10 億ドルの逆風(調整後 EPS に約 8 ポイント)。石油由来の素材とパルプは数年単位で揺れる。関税は FY2026 に税引前約 6 億ドルの費用で、FY2027 の見通しには示されていない。値上げで転嫁できなければ利益率が下がる。

構造改革の実行

2025 年 6 月に発表した非製造部門の約 7,000 人削減とブランド・市場の整理(費用は税引前 10〜16 億ドル)の効果が、売上の逆風(0.3〜0.5 ポイント)を上回るか。新 CEO(2026 年 1 月就任)の下で戦略が「消費者第一」へ立ち戻るため、移行の混乱がありうる。

訴訟・化学物質・規制

PFAS・ベンゼンなどの化学物質、タルク、洗剤ポッドの安全性など、消費財特有の訴訟と規制が積み上がる。1 件ごとの金額は小さくても、ブランドへの信頼を傷つけると価格を決める力を弱める。消費者向けの集団訴訟は、和解金より評判への影響が大きい。

新興国・中国の鈍化

ベビーケアは中国で数量が伸びたが、中国の出生数の減少は構造的。新興国の通貨安と所得の伸び悩みは、北米以外の成長を弱める。為替は筋書きで動かさないが、現地通貨の弱さは数量に効く。売上の約 4 割が北米以外にあり、成長の源の地域でもある。

今後の分かれ目

数量ミックスが 2 四半期連続でプラスに戻り(有機的売上 +3% 超)
価格に頼らない成長への転換が見えた。楽観・やや楽観の確率を上げてよい。倍率は式の値(19 倍前後)の 9 割を保てる。
ファブリック・ホームとファミリーケアの有機的売上がマイナスのまま 4 四半期続く
PB の侵食が数量に出ている。やや悲観の確率を上げ、長期の g を 2.5% に下げ、10 年の倍率を 16 倍前後へ下げて見直す。
原材料・輸送費が FY2027 の想定より 5 億ドル以上悪化する
営業利益率が 1 ポイント下がり、純利益は約 4% 減る。やや悲観の確率を上げる。
関税が洗剤・紙製品へ広がり、価格転嫁が数量を落とす
価格を上げても数量が減る。粗利益率が 1〜2 ポイント下がる悲観寄り。
人員削減とブランド整理で営業利益率が 25% を超える
構造改革の効果が価格決定力の低下を上回った。10 年の営業利益率を 1 ポイント上げ、楽観の確率を上げてよい。
最大の顧客(ウォルマート)が PB を主要カテゴリーで大きく広げる
棚の取り合いの交渉力が小売へ傾く。やや悲観・悲観の確率を上げる。

見ておくもの

  • 有機的売上の内訳(価格・数量ミックス・為替)と事業別の数量
  • ファミリーケア・ファブリックの有機的売上と PB の占有率
  • 営業利益率(調整後)と原材料・関税の逆風の大きさ
  • 美容・ヘルスケアの有機的売上と中国・インドの数量
  • 7,000 人削減の費用と効果(FY2027 まで)
  • 配当・自社株買いの計画(約 100 億ドル・約 50 億ドル)と株数の減り方
  • ウォルマート・アマゾンの PB の拡大と店頭での棚の割合

倍率と資本コストの決め方

今の PER 24.1 倍を見る前に、5 つの事業を販売単位数 × 平均単価で積み、事業別の税引前利益率から営業利益を作り、純利益に 20% の税と利払い増(年 −4 億ドル程度)を入れた。倍率は k 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)の式 (1 − g/RONIC) ÷ (k − g) × (1 + g) で置き、上限の 9 割に置いた(中立の 10 年後で 17.5 倍)。数量の弱さと PB の圧力は長期の g 3% に入れ、ROE は帳簿の自己資本の ROE(約 26%)、純負債は 1 ドルずつ引く。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に g を乗せた値の 9〜9.5 割で、今の PER や過去の中央値には寄せていない。結果が割高に出たのは今の PER が式の値より高いためで、合わせにいったものではない。

資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β 0.60 × 5%。k = 基本 8.0% + quality −0.5% = 7.5%。必需品で景気に左右されにくい。個別のリスク(PB・訴訟・数量の弱さ)は k に足さず、筋書きと確率で表した。

同じ業種(生活必需品)の AI 分析

適正 クロロックスCLX 漂白剤・猫砂・ごみ袋・ピュレルの必需品ブランド。ERP 移行の傷・CEO 交代・借入増が重なり利益が谷にあるが、k 8.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +8.2% · 10 年 適正(年 +8.1%) 適正 マコーミックMKC 調味料で世界首位の安定事業。米国の数量は弱いが、k 8.25% の利益ベースの正当化 PER(その 8.5 割)で測った値は今の時価総額を上回り、ユニリーバ統合を除いた単体ではやや割安 本質価値との差 +6.8% · 10 年 適正(年 +7.2%) 適正 ペプシコPEP 飲料とスナックの二本柱だが、値下げと原料高で北米の利益が痩せている。利益ベースの正当化 PER(その 8.5 割)で測ると、本質価値は今の値段とほぼ同じで適正 本質価値との差 −4.7% · 10 年 適正(年 +6.1%) 適正 クローガーKR 米国最大の伝統的な食品スーパー。占有率を毎年失う薄利の成熟事業だが、食料品は落ちにくく、利益ベースの正当化 PER(その 8 割)で見ると今の値段は適正 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +5.8%) 適正 ターゲットTGT 縮んだ総合量販が立て直しに投資する局面。成功すれば倍率以上に利益が戻り、競合に負ければ構造的に縮む。利益ベースの正当化 PER で測ると、今の値段は適正 本質価値との差 −6.9% · 10 年 適正(年 +5.9%) 適正 ゼネラル・ミルズGIS 数量が縮み利益が 2 期続けて落ちた大手ブランド。価格投資は一巡したが、借金の重さを k に入れて確率を慎重側に厚くすると、本質価値は今の時価総額とほぼ同じで適正 本質価値との差 −9.7% · 10 年 適正(年 +5.6%) やや割高 タイソン・フーズTSN 牛肉の赤字を鶏肉と加工食品が支える食肉大手。k 9.75% の正当化 PER(弱い堀で下限の 1 ÷ k に近い)で測ると、中立の価値は今を上回るが、期待の年率は k を下回り、適正 本質価値との差 −10.1% · 10 年 やや割高(年 +6.6%) やや割高 キンバリークラークKMB ハギーズ・クリネックスの北米首位と、IFP 売却後の身軽な形。北米の価格投資と中国の失速はあるが、k 8.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 15 倍)は今の PER 17 倍と近く、値段は適正 本質価値との差 −13.2% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 ホーメル・フーズHRL 豚肉の原価高と撤退で利益が落ちた、配当 127 年の加工肉・外食の会社。借金は軽いが、利益ベースの正当化 PER(その 8 割)で測ると今の時価総額をやや下回り、適正 本質価値との差 −13.7% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 モルソン・クアーズ・ビバレッジTAP 米国ビールの縮小とシェア低下で利益が減る最中。それでも伸びのない会社の式(PER = 1 ÷ k = 10.5 倍)で測ると中立の 10 年後は今とほぼ同じで、確率を重ねるとやや割高 本質価値との差 −14.6% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 ダラー・ツリーDLTR 裁量品が約半分の均一価格店が、多価格化と客層の広がりで利益率 9% 前後に乗せた局面。利益ベースの正当化 PER で測るとやや割高で、関税還付の一過性と客数の弱さから確率も慎重側に厚く置いた 本質価値との差 −18.0% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ブンゲ・グローバルBG 世界最大級の油糧種子の圧搾・穀物商社。2026 年は圧搾利幅が山で、ならした利益に弱い堀の正当化 PER(下限の 1 ÷ k = 10.0 倍)を当てると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +6.0%) やや割高 アルトリア・グループMO 数量が毎年 5% 減る紙巻きを値上げで支える高配当の縮む事業。名目の利益は横ばいで、伸びのない会社の正当化 PER(1 ÷ k)で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 コンステレーション・ブランズSTZ モデロ・コロナの輸入ビール一本足。数量が縮む産業で純負債も重いが、伸びのない会社の正当化 PER(1 ÷ k)で測ると、中立の 10 年後は今の 0.94 倍で、還元を足しても資本コストに届かず、やや割高 本質価値との差 −19.0% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 クラフト・ハインツKHC ブランドは強いが数量が毎年縮む会社。k 9.0% の稼ぐ力(純利益 ÷ k)で測ると中立の価値は今の時価総額とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −19.2% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ダラー・ゼネラルDG 農村の小型店の密度で食品の来店頻度を握る会社が、盛り損の削減と改装で利益率を戻す局面。今の値段はやや割高で、利益率の戻りが続くかが価値を分ける 本質価値との差 −20.3% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 モンデリーズ・インターナショナルMDLZ 世界首位のビスケットと世界 2 位のチョコを持ち、カカオ高で利益が削られた谷にある。k 8.0% の利益ベースの正当化 PER で測ると、今の値段は中立の価値とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −21.6% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 ハーシーHSY チョコレート首位のブランドが、カカオ高の谷を価格改定で抜けた直後。k 7.5% の利益ベースの正当化 PER で測ると、値段はやや割高 本質価値との差 −22.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 コルゲート・パルモリブCL 歯磨きで世界首位とペット用療法食を持つ超安定企業。北米の数量減は重く、k 7.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 20 倍)で見ると今の PER 25 倍はやや高く、利益の質は高いがやや割高 本質価値との差 −23.3% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) やや割高 コカ・コーラKO 世界最強のブランド原液事業。強い堀の利益ベースの正当化 PER で測っても、k 7.5% では中立の 10 年後が今の約 1.1 倍にとどまり、今の値段はやや割高 本質価値との差 −25.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 キューリグ・ドクターペッパーKDP JDE ピーツの買収で純負債が時価総額の 6 割になった飲料・コーヒー複合。強い飲料と縮むポッドの綱引きで、借金の重さを k に入れると 10 年の中立は今の約 0.93 倍にとどまり、今の値段はやや割高 本質価値との差 −26.2% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) 割高 JM スマッカーSJM コーヒーの値付けと借金返済で利益の底が見えたが、ブランドの堀は広がらず、k 8.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると中立の価値は今とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −30.6% · 10 年 割高(年 +3.2%) 割高 シスコSYY 米国最大の外食向け食品卸。薄利の物流業で価格を決める力は弱いが、規模の経済と AI 効率化で利益は着実に伸びる。利益ベースの正当化 PER で見ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −30.7% · 10 年 割高(年 +3.7%) 割高 ケンビューKVUE タイレノール・リステリン・ニュートロジーナを持つが、数量は縮み、訴訟が再燃。買収条件に連動する株価に安全域は見えず、単体の本質価値はやや下 本質価値との差 −32.1% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 フィリップ モリス インターナショナルPM 紙巻きの減りを煙の出ない製品で埋める成長株。強い堀の利益ベースの正当化 PER でも、資本コスト 7.5% に対して今の値段は割高 本質価値との差 −33.8% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 ブラウン・フォーマンBF-B ジャックダニエルを軸にした酒類の老舗。米国の飲酒減・関税・カナダの棚外しが重いが、財務は軽く、利益ベースの正当化 PER(下限の 1 ÷ k)で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −35.8% · 10 年 割高(年 +1.8%) 割高 アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドADM 価格を決める力のない農産物加工の循環株。バイオ燃料の追い風で 2026 年は利益の山。ならした利益に k 9.5% の稼ぐ力(弱い堀の下限 1 ÷ k = 10.5 倍)を当てると、値段は割高 本質価値との差 −36.0% · 10 年 割高(年 +2.7%) 割高 ウォルマートWMT 食品の規模・通販・広告で堀は広がる。だが今の PER 43 倍は、強い堀の利益ベースの正当化 PER(約 22 倍)の 2 倍近くで、割高 本質価値との差 −38.0% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 チャーチ・アンド・ドワイトCHD 猫砂・洗濯・オーラルケアの強いブランドを買い足して伸びる必需品の中堅。ウォルマート依存と買収の失敗が影で、k 7.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −44.3% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 モンスタービバレッジMNST エナジー専業の高採算ブランド。利益ベースの正当化 PER で測っても、中立の 10 年後は今の時価総額の約 0.87 倍にとどまり、今の値段は割高 本質価値との差 −48.0% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 エスティ ローダーEL 高級美容の名門が再建の途中。利益率は戻るが、利益ベースの正当化 PER(k 9.25%・ROE 25% 台で来年の利益に約 14 倍)では今の約 380 億ドルは回復を先取りしており、割高 本質価値との差 −51.4% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 コストコ・ホールセールCOST 会費が利益の半分を生む堀は本物だが、PER 47.6 倍は成熟後の約 2 倍。10 年の年率は資本コスト 7.5% に届かず割高 本質価値との差 −52.4% · 10 年 割高(年 −0.9%) 割高 ケーシーズ・ゼネラル・ストアーズCASY 米国 3 位のコンビニ。小さな町の寡占と調理品で伸びる良質な事業だが、燃料粗利が高止まりの今、GAAP の約 36 倍は利益ベースの正当化 PER(約 15 倍)の倍以上で割高 本質価値との差 −62.1% · 10 年 割高(年 −3.1%)

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読んだ資料

  1. P&G 2026 年 6 月期(FY2026)第 4 四半期決算(FY2027 見通し・事業別を含む)
  2. P&G earnings fourth quarter 2026(ブログ)
  3. P&G announces fourth quarter and fiscal year 2026 results(Barchart)
  4. Procter & Gamble to cut 7,000 jobs over the next two years(Al Jazeera)
  5. P&G Rallies Under New CEO but Lags Rivals, Faces Tariff Challenges(Yahoo Finance)

分析日 2026-10-16