結論
クロロックスは、クロロックス(漂白剤・消毒ワイプ)、パインソル、グラッド(ごみ袋・ラップ)、フレッシュステップ(猫砂)、キングスフォード(木炭)、ヒドゥンバレー(ドレッシング)、ブリタ(浄水ポット)、バーツビーズ(天然パーソナルケア)、2026 年 4 月に買ったピュレル(手指消毒の GOJO)を持つ米国の日用品会社である。2026 年 6 月期の売上は 67 億ドル、ウォルマートが 26%、売上の 8 割超が占有率 1〜2 位のブランドから来る。
ただし足元は谷にある。2025〜26 年の基幹システム(ERP)の移行で小売の在庫が乱れ、2026 年 6 月期の有機的売上は −8%、調整後の営業利益は 10.3 億ドル(2025 年 6 月期は 13.2 億ドル)まで落ちた。GOJO の買収(実質約 19 億ドル)と Glad の P&G 持ち分の買い取りで借入は約 51 億ドルに倍増し、純負債は約 54 億ドルと時価総額の約半分、CEO のリンダ・レンドルは 2026 年 5 月に健康上の理由で退任を表明している。
バリュー投資の観点では、資本コスト 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)、長期の名目成長 3.3%(市場の数量 +0.3% + シェア −0.2% + 価格・ミックス +3.2%)、ROIC から出した ROE 約 53% で、利益ベースの正当化 PER は来年の利益に約 16.4 倍。利益の谷と立て直しの不確かさでその 8.5 割を使い、10 年目の利益に約 14.4 倍。5 事業を数量 × 価格で積むと、中立の 10 年後は純利益 13.2 億ドル、時価総額は約 190 億ドルで、今の約 1.8 倍。確率で重みづけした本質価値は今の時価総額を約 10% 上回り、期待の年率 8.3% は資本コスト 8.75% にほぼ届く、「やや割安」と出る。ただし、利益の回復と借入の返済が前提で、安全域は事業の質より借入の重さで削られる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「10 年後もこの事業が存在し、今より強いか」は、存在はほぼ確実、強さは条件付きである。漂白剤・猫砂・ごみ袋・ドレッシングは毎日の必需で、新技術で置き換わる危険は小さい。堀は広いが、プライベートブランドと小売の集約で少しずつ狭まる方向にある。強さが戻るかは、猫砂とごみ袋の占有率と、2025〜26 年の ERP の傷から実行力が戻るかにかかる。
オーナー利益は、2026 年 6 月期の調整後の純利益 約 6.8 億ドル(GAAP は 5.9 億ドル)から、設備投資(売上の約 3%)を引いた額で、2027 年 6 月期は約 7 億ドル弱。株式報酬は年約 0.7 億ドルで、費用として扱った。資本配分は評価が分かれる:ブランドの買い足し(GOJO)は割高気味で、純負債が EBITDA の約 3.5 倍、自己資本はほぼゼロ。借入を返す 2〜3 年は株主への還元が配当に絞られる。
値段は、ならした利益に対して低めで、中立の 10 年後の時価総額は今の約 1.8 倍。確率で重みづけした 10 年後の年率は約 8% と資本コスト(8.75%)にほぼ並ぶが、利益が谷にあるうえに借入が重いので、安全域は見かけほど厚くない。悲観の筋書き(プライベートブランドへの移行と GOJO の失敗)では元本が欠ける。確信度は中程度。やや割安と判断するが、買い増しは借入の返済が見えてから。
何で稼ぐ会社か
売上は 4 つの部門と、新しく加わった GOJO に分かれる(2026 年 6 月期の売上と調整後の事業利益)。健康・衛生(27.0 億ドル・6.8)は、クロロックスの漂白剤と消毒ワイプ、パインソル、ティルクス、リキッド・プラマー、409、病院・施設向けのクロロックスプロ、そして GOJO(ピュレル)。家庭用品(17.9 億ドル・1.9)は、グラッドのごみ袋・ラップ、フレッシュステップとスクープアウェイの猫砂、キングスフォードの木炭。ライフスタイル(11.2 億ドル・2.1)は、ヒドゥンバレーのドレッシング、ブリタの浄水ポットとフィルター、バーツビーズ。国際(11.1 億ドル・1.1)は、中南米(ポエット・ピンソル)、カナダ、豪州などで売る同じ系統の商品。
収益の仕組みは「数量 × 価格・ミックス」。必需品なので数量は景気で落ちにくい一方、増えにくく、利益は値上げ(物価と原料の転嫁)と費用の効率化で決まる。広告・販促は売上の約 10%、設備投資は売上の約 3%。
本分析では GOJO を別の事業に切り出した。GOJO は 2026 年 4 月 1 日に完了した買収で、2026 年 6 月期の売上 2.0 億ドルは 1 四半期分にすぎず、通年では約 8.5 億ドル(会社の見通しの「GOJO 約 9.5 ポイント」から逆算)。事業別の営業利益率は会社の開示が粗いため、健康・衛生の中での GOJO の利益(約 0.2 億ドル、利益率 10%)を推定で切り出した。事業別の数量・市場・シェアは開示が無く、市場の大きさ × シェアからの推定である。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 はブランドと習慣:漂白剤は消毒の代名詞で、売上の 8 割超が占有率 1〜2 位のブランド(会社の開示)。木炭のキングスフォード、浄水ポットのブリタ、ドレッシングのヒドゥンバレーは各カテゴリーの首位級。第 2 は小売との棚:ウォルマートに 26% を依存するのは弱みだが、棚に置かれる必需品としての地位は強い。第 3 は軽い資本:設備投資は売上の約 3% で、FCF は売上の 11〜13% 出る。
弱みも明確。(1) 顧客の集中:ウォルマート 26%、上位 5 社で約半分。(2) 実行力:2023 年 8 月のサイバー攻撃、2025〜26 年の ERP 移行の失敗で、出荷と小売の在庫が乱れた。猫砂は 3 年たってなお占有率を戻しきっていない。(3) 財務:自己資本が 0.9 億ドルしかなく(自社株買いと配当の累積)、純負債が EBITDA の約 3.5 倍。配当性向が 100% 近い(会社は「一時的」と説明)。(4) 経営:CEO が退任を表明し、後任探しが続く(2026 年 6 月に COO にクリス・ハイダー、最高成長・戦略責任者にニーナ・バートンを昇格)。
プロクター・アンド・ギャンブルの営業利益率 24〜25%、コルゲート・パルモリブの約 21% に比べ、クロロックスの 2025 年 6 月期(18.5%)は低い。2026 年 6 月期は ERP の反動と原料高で 15% 台まで落ちた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
家庭用洗浄・ごみ袋・猫砂・ドレッシングは大手と自社ブランドの競争で、数量が伸びない成熟市場。名目の売上は物価に連動して伸び、数量は横ばい〜微減。2026 年は米国のカテゴリー数量がマイナスで、プロクター・アンド・ギャンブルは有機的 +1%、コルゲート・パルモリブは +1〜4% の見通し。
競争相手はカテゴリーごとに違う。家庭用洗浄・消毒はレキット(ライゾル)とプロクター・アンド・ギャンブル、そしてウォルマート(グレート・バリュー)やコストコ(カークランド)などのプライベートブランド。ごみ袋はレイノルズ(ヘフティ)。猫砂はネスレ(ピュリナのタイディ・キャッツ)、チャーチ・アンド・ドワイト(アーム・アンド・ハンマー)。浄水ポットはヘレン・オブ・トロイ(PUR)。業務用の手指衛生(GOJO)はエコラボ、キンバリークラーク・プロフェッショナル、ディバーシー。
循環のどこにいるか:ERP 移行の反動が 2026 年 6 月期の第 4 四半期(有機的 −13%)で終わり、2027 年 6 月期は前年比で戻る年。ただし原料・物流のインフレは 2 億ドル超(通常の 0.75〜1.0 億ドルの 2 倍超)、原油は 1 バレル 90 ドルを前提にしている。プライベートブランド(基礎消費財で 2025 年に 1,890 億ドル、2020 年比 +32%)は小売の規模の大きい会社に有利に働き、ブランドの価格を決める力を削る方向。リーマン期の株価の下げは約 −22%、2022 年の利上げ期は約 −25%。
資本政策と M&A
資本配分は、(1) 配当(2026 年 6 月期は 6.0 億ドル、約 10 年連続の増配。会社は「高い配当性向は一時的」と説明)、(2) 借入の返済(短期借入・コマーシャルペーパーは 12〜18 か月で FCF から返す。来年に借入の構成を見直す)、(3) 買収、(4) 自社株買い(当面は止める)の順になる。
2025〜26 年の資本の動きは大きい。2026 年 1 月末に Glad ベンチャーが期限を迎え、P&G の 20% 持ち分を公正価値(2025 年 6 月時点の推定 4.76 億ドル)で買い取って 100% にした。2026 年 4 月には GOJO を取引額 22.5 億ドル(税の恩恵 約 3.3 億ドルを引くと実質約 19.2 億ドル、調整後 EBITDA の約 11.9 倍、相乗効果込みで約 9.1 倍)で買収し、12.5 億ドルのタームローンなど借入で払った。これで純負債は約 28 億ドル(2025 年 6 月)から約 54 億ドルに増え、利息は 2026 年 6 月期の 1.3 億ドルから 2027 年 6 月期は約 2.1 億ドルへ上がる。
本分析では、純負債 約 54 億ドルを 3 年で約 42 億ドル、10 年で約 38 億ドルへ減らす前提にした(FCF 約 9〜11 億ドル − 配当 約 6 億ドル)。借り換えは 5.75%(10 年国債 5% + 0.75%)。payout_oku は配当と自社株買いの合計から株式報酬による株の増加分(年約 0.7 億ドル)を引いた正味。時価総額約 106 億ドル、純負債込みの企業価値約 160 億ドルは、TOB の対象になりうる規模だが、可能性は筋書きに入れていない。未成立の買収は無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
クロロックスの利益は人為的な谷にある。2026 年 6 月期の有機的売上 −8% のうち約 7.5 ポイントは ERP 移行前の小売の在庫の反動で、需要そのものの落ちではない。2027 年 6 月期は有機的 +3.5〜4.5% に戻り、会社の見通しの調整後 EPS は 2026 年度比 +3〜8%(GAAP は +12〜19%)。家庭用洗浄は 8 四半期続けて占有率が上がり、グラッドも回復、ヒドゥンバレーは反転し、配送はサイバー攻撃前を超えた。
GOJO(ピュレル)は買収額が EBITDA の約 11.9 倍(相乗効果込み 9.1 倍)で、年 5,000 万ドル超のコスト相乗効果と中位の 1 桁成長が EPS を押し上げる。必需品の中でも占有率 1〜2 位が売上の 8 割超という地位は変わらず、2025 年 6 月期の粗利益率 45% と営業利益率 18.5% は現実的に戻れる水準。FCF が売上の 11〜13% 出るので、借入は 2〜3 年で約 12 億ドル減る。10 年の中立では数量がほぼ横ばい、価格は物価並みで、純利益 13.2 億ドル、倍率は式の 8.5 割の 14.4 倍。今の PER(GAAP の 2026 年度で約 18 倍、2027 年の会社見通しで約 15 倍)は、中立の倍率(14.4 倍)と同じ水準で、利益が戻れば時価総額が増える。
慎重な見方
谷は人為的ではなく、構造かもしれない。ウォルマートが売上の 26%、上位 5 社で約半分で、棚も価格も小売が握る。猫砂は 2023 年のサイバー攻撃から 3 年たってなお占有率が戻らず、木炭は天候と陳列に振られ、ブリタは需要が細る。2027 年のインフレは 2 億ドル超(通常の 2 倍超)で、値上げはプライベートブランド(グレート・バリュー、カークランド)に阻まれやすい。広告・販促は売上の 10〜11% で、販促は新型コロナ前の水準まで上がる見通し。
財務の余裕は薄い。純負債は EBITDA の約 3.5 倍、自己資本は 0.9 億ドル、配当性向は 100% 近い。短期借入の返済に 12〜18 か月かかり、その間は自社株買いも買収もできない。GOJO は買収後 1 四半期で営業利益率が約 10% にとどまり、コスト相乗効果の実現はこれから。CEO が退任し、後任が決まっていない。k − g は 5.45 ポイントで、k が 1 ポイント上がれば式の倍率は約 14 倍に下がる。2027 年に利益が戻っても、粗利益率は 42% で据え置きの見通しで、2025 年度の 45% には届かない可能性が高い。
どちらに重みを置いたか
強気の核は、利益が ERP の反動で谷にあり、2027 年に戻る点(会社の見通しと 8 四半期続く家庭用洗浄の占有率上昇)。慎重の核は、プライベートブランド・顧客の集中・猫砂の遅れ・借入の重さ・CEO 交代。前者は数量を洗浄・消毒で年 +0.3%、価格を物価並み、粗利益率を 2025 年度に届かない水準に置いて、後者は家庭用品の数量を年 −0.3%、悲観の確率を厚く(10 年 13%、やや悲観 27%)、k を負債補正で 7.25% に上げて反映した。確率は中立を最も厚く(10 年 37%)、下側 40% を上側 23% より厚くした。今の値段は利益ベースの正当化 PER(10 年目の利益に約 14.4 倍)に対して、確率で重みづけすると約 10% 低い。総合の差は約 +10% で「やや割安」と出る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 137.95 ドル168 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 55.26 ドル67 億ドル)。 今の値に割り戻すと 95.95 ドル117 億ドル、今との差 +8.2%、 期待の年率 +8.1%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 266.35 ドル325 億ドル | 72.05 ドル88 億ドル | +281.7% | +14.3% | 16.92 ドル21 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 208.30 ドル254 億ドル | 65.50 ドル80 億ドル | +208.8% | +11.9% | 49.28 ドル60 億ドル |
| 中立 | 37% | 155.16 ドル190 億ドル | 58.13 ドル71 億ドル | +140.6% | +9.2% | 78.92 ドル96 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 90.31 ドル110 億ドル | 47.49 ドル58 億ドル | +55.4% | +4.5% | 37.21 ドル45 億ドル |
| 悲観 | 13% | 41.10 ドル50 億ドル | 42.58 ドル52 億ドル | −5.6% | −0.6% | 10.88 ドル13 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 137.95 ドル168 億ドル | 55.26 ドル67 億ドル | +117.9% | +8.1% | 193.21 ドル236 億ドル |
今の株価時価総額 88.66 ドル108 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:占有率を取り戻し、GOJO が育って営業利益率 20% 台へ 利益 18 億ドル · PER 17.7 倍 · 株価時価総額 266.35 ドル325 億ドル
2036 年 6 月期、売上は 127.4 億ドル(2026 年 6 月期の 1.90 倍。GOJO の通年化を含む)、調整後営業利益 25.8 億ドル(営業利益率 20.2%)、純利益 18.4 億ドル。猫砂・ごみ袋・木炭の占有率を取り戻し、洗浄・消毒は 8 四半期続く占有率の上昇を続けて、国際は中南米の中間層で数量が年 +2.7%。GOJO はピュレルの手指衛生と皮膚ケアで病院・学校・食品業の需要を取り込み、数量が通年換算で 10 年に約 1.6 倍、相乗効果で利益率 22%。価格は物価並み(洗浄・消毒 1.43 倍)で通る。ブランドの 8 割が占有率 1〜2 位という優位が広がり、営業利益率は 20% 台に乗る。借入は 32 億ドルまで減り、自社株買いと配当で純利益の約 7 割を返す。
- 洗浄・消毒(GOJO を除く健康・衛生):数量 7.8(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.15(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 40 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量 +1.1%/年・価格 1.43 倍・利益率 31.5%
- 家庭用品(グラッド・猫砂・キングスフォード):数量 4.4(販売単位数(億個、推定))× 価格 6.21(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 28 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量 +1.1%/年・価格 1.38 倍・利益率 17.0%
- ライフスタイル(ヒドゥンバレー・ブリタ・バーツビーズ):数量 3.5(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.43(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量 +1.7%/年・価格 1.43 倍・利益率 22.5%
- 国際:数量 4.8(販売単位数(億個、推定))× 価格 4.50(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 22 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 +2.7%/年・価格 1.50 倍・利益率 13.5%
- GOJO(ピュレル):数量 3.3(販売単位数(億個、推定。今の値は買収後の 1 四半期分、筋書きは通年))× 価格 5.80(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量は買収後の 1 四半期分から通年に換算(×4.25)した上で年 +4.5%・価格 1.45 倍・利益率 22.0%
倍率:自己資本がほぼ 0 のため、ROIC から出した ROE を使う。ROE 69.1%、k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.8%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 38.9%、g 4.0%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.9 倍(来年の利益に対して)。ERP 移行の傷が癒え猫砂が戻る筋書きだが、上限の 9 割に置いた。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.7 倍。時価総額 = 純利益 18 億ドル × 17.7 倍 = 325 億ドル。
確率:猫砂・ごみ袋・GOJO の全部がうまくいく筋書き。2023 年のサイバー攻撃と 2025〜26 年の ERP 移行で小売の信頼を落とした後で、5%。
やや楽観 18% やや楽観:洗浄・消毒と国際・GOJO が伸び、営業利益率 19% 近く 利益 16 億ドル · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 208.30 ドル254 億ドル
2036 年 6 月期、売上は 118.6 億ドル(2026 年 6 月期の 1.77 倍。GOJO の通年化を含む)、調整後営業利益 22.5 億ドル(営業利益率 18.9%)、純利益 15.7 億ドル。猫砂が戻りきらないまでも、洗浄・消毒(数量 年 +0.8%)、ライフスタイル(ヒドゥンバレーの占有率の反転、ブリタ)、国際(年 +2.2%)、GOJO(年 +3.6%)が伸びる。価格は洗浄・消毒 1.41 倍と物価並み、家庭用品は 1.35 倍にとどまる。営業利益率は 19% 近く(2025 年度の 18.5% を超える)。買収は GOJO の次の中型案件を 1 件ほどこなすが、のれんの減損は小さい。
- 洗浄・消毒(GOJO を除く健康・衛生):数量 7.5(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.08(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 38 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量 +0.8%/年・価格 1.41 倍・利益率 30.0%
- 家庭用品(グラッド・猫砂・キングスフォード):数量 4.2(販売単位数(億個、推定))× 価格 6.08(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量 +0.6%/年・価格 1.35 倍・利益率 16.0%
- ライフスタイル(ヒドゥンバレー・ブリタ・バーツビーズ):数量 3.3(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.32(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 18 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量 +1.1%/年・価格 1.40 倍・利益率 21.0%
- 国際:数量 4.6(販売単位数(億個、推定))× 価格 4.41(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 20 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 +2.2%/年・価格 1.47 倍・利益率 12.5%
- GOJO(ピュレル):数量 3.0(販売単位数(億個、推定。今の値は買収後の 1 四半期分、筋書きは通年))× 価格 5.68(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 17 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量は買収後の 1 四半期分から通年に換算(×4.25)した上で年 +3.6%・価格 1.42 倍・利益率 20.5%
倍率:自己資本がほぼ 0 のため、ROIC から出した ROE を使う。ROE 60.8%、k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.8%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 34.8%、g 3.7%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.7 倍(来年の利益に対して)。ERP 移行の傷と猫砂の遅れを残して上限の 8.8 割に置いた。上限の 8.8 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 16.1 倍。時価総額 = 純利益 16 億ドル × 16.1 倍 = 254 億ドル。
確率:家庭用洗浄の占有率上昇が続き、GOJO が育つ筋書き。18%。
中立 37% 中立:数量は横ばい圏、価格は物価並み、営業利益率 17〜18% 利益 13 億ドル · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 155.16 ドル190 億ドル
2036 年 6 月期、売上は 109.3 億ドル(2026 年 6 月期の 1.63 倍。GOJO の通年化を含む)、調整後営業利益 19.2 億ドル(営業利益率 17.6%)、純利益 13.2 億ドル。数量は洗浄・消毒が年 +0.3%、家庭用品が年 −0.3%(猫砂の遅れとプライベートブランドが木炭・ごみ袋の伸びを打ち消す)、ライフスタイルが年 +0.6%、国際が年 +1.7%、GOJO が通年換算で年 +2.7%。価格は洗浄・消毒 1.38 倍・ライフスタイル 1.37 倍・国際 1.45 倍(中南米の物価)、家庭用品は 1.33 倍(物価 1.41 倍より低い。プライベートブランドと小売の値上げ抵抗)、GOJO 1.39 倍。営業利益率は 17〜18% で、2025 年度(18.5%)に届かない。GOJO の相乗効果は年 5,000 万ドルがほぼ出る。純負債は 38 億ドルへ減り(EBITDA の約 1.7 倍)、2030 年以降は配当(年 2〜3% の増配)に自社株買いを足して純利益の約 7 割を返す。
- 洗浄・消毒(GOJO を除く健康・衛生):数量 7.1(販売単位数(億個、推定))× 価格 4.97(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 36 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量 +0.3%/年・価格 1.38 倍・利益率 28.5%
- 家庭用品(グラッド・猫砂・キングスフォード):数量 3.9(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.99(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 -0.3%/年・価格 1.33 倍・利益率 14.5%
- ライフスタイル(ヒドゥンバレー・ブリタ・バーツビーズ):数量 3.1(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.21(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 +0.6%/年・価格 1.37 倍・利益率 20.0%
- 国際:数量 4.4(販売単位数(億個、推定))× 価格 4.35(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量 +1.7%/年・価格 1.45 倍・利益率 12.0%
- GOJO(ピュレル):数量 2.8(販売単位数(億個、推定。今の値は買収後の 1 四半期分、筋書きは通年))× 価格 5.56(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量は買収後の 1 四半期分から通年に換算(×4.25)した上で年 +2.7%・価格 1.39 倍・利益率 19.0%
倍率:自己資本がほぼ 0 のため、ROIC から出した ROE を使う。ROE 52.5%、k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.8%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 30.6%、g 3.3%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.4 倍(来年の利益に対して)。実行力の傷と借入の重さで上限の 8.5 割に置いた。上限の 8.5 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.4 倍。時価総額 = 純利益 13 億ドル × 14.4 倍 = 190 億ドル。
確率:占有率 1〜2 位のブランドが多く、必需で数量が落ちにくい。数量は横ばい・価格は物価並みという落としどころで最も厚く 37%。
やや悲観 27% やや悲観:プライベートブランドに押され、営業利益率 15% 台 利益 10 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 90.31 ドル110 億ドル
2036 年 6 月期、売上は 98.5 億ドル(2026 年 6 月期の 1.47 倍。GOJO の通年化を含む)、調整後営業利益 15.3 億ドル(営業利益率 15.5%)、純利益 9.9 億ドル。プライベートブランド(ウォルマートのグレート・バリュー、コストコのカークランド)が漂白剤・ごみ袋・猫砂で占有率を 2〜3 ポイント取り、家庭用品の数量が年 −0.7%、洗浄・消毒が年 −0.2%。値上げは物価の 9 割に届かず、粗利益率は 42〜43% のまま。広告・販促の費用が下がらず営業利益率は 15% 台。GOJO は病院・施設向けでエコラボなど大手と競合して相乗効果が遅れる。純負債は 43 億ドルで下がりにくく、配当は据え置き。
- 洗浄・消毒(GOJO を除く健康・衛生):数量 6.8(販売単位数(億個、推定))× 価格 4.82(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 33 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量 -0.2%/年・価格 1.34 倍・利益率 26.5%
- 家庭用品(グラッド・猫砂・キングスフォード):数量 3.7(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.76(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 21 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 -0.7%/年・価格 1.28 倍・利益率 12.0%
- ライフスタイル(ヒドゥンバレー・ブリタ・バーツビーズ):数量 2.9(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.02(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 -0.2%/年・価格 1.32 倍・利益率 18.0%
- 国際:数量 4.1(販売単位数(億個、推定))× 価格 4.20(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 17 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量 +1.0%/年・価格 1.40 倍・利益率 11.0%
- GOJO(ピュレル):数量 2.4(販売単位数(億個、推定。今の値は買収後の 1 四半期分、筋書きは通年))× 価格 5.36(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量は買収後の 1 四半期分から通年に換算(×4.25)した上で年 +1.1%・価格 1.34 倍・利益率 17.0%
倍率:自己資本がほぼ 0 のため、ROIC から出した ROE を使う。ROE 41.0%、k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.8%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 24.9%、g 2.5%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.4 倍(来年の利益に対して)。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値の 9.5 割に置き、ROE が高くても式の上乗せは見ない。市場の倍率は使わない。上限の 7.5 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.1 倍。時価総額 = 純利益 10 億ドル × 11.1 倍 = 110 億ドル。
確率:ウォルマート 26%・上位 5 社で約半分という顧客の集中と、プライベートブランドの拡大(基礎消費財で 2020 年比 +32%)を重く見て、やや楽観より厚い 27%。
悲観 13% 悲観:構造的に負ける(プライベートブランドと GOJO の失敗) 利益 5 億ドル · PER 9.9 倍 · 株価時価総額 41.10 ドル50 億ドル
2036 年 6 月期、売上は 83.8 億ドル(2026 年 6 月期の 1.25 倍。GOJO の通年化を含む)、調整後営業利益 9.5 億ドル(営業利益率 11.3%)、純利益 5.1 億ドル。構造的に負ける筋書き。ウォルマートとアマゾンのプライベートブランドが家庭用洗浄・ごみ袋・猫砂の占有率を 5 ポイント以上奪い、猫砂は回復せず、ブリタは水道水質の不安が収まって需要が細る。GOJO は手指消毒の需要の反動と値下げ競争で買収額(実質約 19 億ドル)を回収できず、のれん・無形資産の減損(約 4 億ドル)が出るが、必需の核の利益で自己資本は 7 億ドル前後に残る。営業利益率は 11% に下がり、純負債は 47 億ドルで格付けが投資適格の下限へ。配当は増配を止め、一時的に引き下げて借入を返す。それでも漂白剤・ごみ袋・猫砂という必需の核は残り、事業は存続する。
- 洗浄・消毒(GOJO を除く健康・衛生):数量 6.2(販売単位数(億個、推定))× 価格 4.61(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 29 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量 -1.0%/年・価格 1.28 倍・利益率 22.0%
- 家庭用品(グラッド・猫砂・キングスフォード):数量 3.3(販売単位数(億個、推定))× 価格 5.40(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 18 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量 -2.0%/年・価格 1.20 倍・利益率 7.5%
- ライフスタイル(ヒドゥンバレー・ブリタ・バーツビーズ):数量 2.7(販売単位数(億個、推定))× 価格 4.75(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量 -1.0%/年・価格 1.25 倍・利益率 15.0%
- 国際:数量 3.7(販売単位数(億個、推定))× 価格 3.96(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量 +0.0%/年・価格 1.32 倍・利益率 8.5%
- GOJO(ピュレル):数量 2.0(販売単位数(億個、推定。今の値は買収後の 1 四半期分、筋書きは通年))× 価格 5.00(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量は買収後の 1 四半期分から通年に換算(×4.25)した上で年 -0.5%・価格 1.25 倍・利益率 12.0%
倍率:自己資本がほぼ 0 のため、ROIC から出した ROE を使う。ROE 24.3%、k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.8%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 16.5%、g 1.5%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.5 倍(来年の利益に対して)。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値の 8.5 割に置いた(構造的に負け、占有率の流出が 2036 年以降も続くため)。市場の倍率は使わない。上限の 7.7 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 9.9 倍。時価総額 = 純利益 5 億ドル × 9.9 倍 = 50 億ドル。
確率:構造的に負ける確率。顧客の集中・プライベートブランド・純負債の重さ・CEO 交代期・GOJO の高値買収を合わせ、通常(10% 前後)より厚い 13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
洗浄・消毒(GOJO を除く健康・衛生)
クロロックスの漂白剤・消毒ワイプ・スプレー、パインソル、ティルクス、リキッド・プラマー、409、病院・施設向けのクロロックスプロ。
| 数量販売単位数(億個、推定) | 価格1 個あたり平均単価(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 6.9 | 3.60 | 25 | 7 |
| 10 年後 中立 | 7.1 | 4.97 | 36 | 10 |
取り方:健康・衛生の売上 26.97 億ドルから GOJO の 1 四半期分 2.0 億ドルを除いた 24.97 億ドル。米国の家庭用洗浄・消毒・業務用洗浄の市場 約 110 億ドル × 当社シェア 約 23%(いずれも推定、開示なし)と、平均 3.6 ドル前後で約 6.9 億個と置いた推定。営業利益 6.59 億ドルは健康・衛生の事業利益 6.78 億ドル(調整後)から GOJO の推定 0.2 億ドルを引いた値で、利益率 26.4%(2025 年 6 月期の約 31% から ERP の反動と原料高で下がった)。
家庭用品(グラッド・猫砂・キングスフォード)
ごみ袋・ラップ(グラッド)、猫砂(フレッシュステップ・スクープアウェイ)、木炭(キングスフォード)。
| 数量販売単位数(億個、推定) | 価格1 個あたり平均単価(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 4.0 | 4.50 | 18 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3.9 | 5.99 | 23 | 3 |
取り方:家庭用品の売上 17.87 億ドル(−11%)。ごみ袋・ラップ、猫砂、木炭の米国市場の合計 約 150 億ドル × 加重平均シェア 約 12%(推定)と、平均 4.5 ドル前後で約 4.0 億個と置いた推定。事業利益 1.92 億ドル(調整後、−41%)で利益率 10.7%(2025 年 6 月期は約 16%)。猫砂の占有率の遅れ、木炭の天候、樹脂高が重なった谷の年。
ライフスタイル(ヒドゥンバレー・ブリタ・バーツビーズ)
ヒドゥンバレーのドレッシング・ソース、ブリタの浄水ポットとフィルター、バーツビーズの天然パーソナルケア。
| 数量販売単位数(億個、推定) | 価格1 個あたり平均単価(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 3.0 | 3.80 | 11 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3.1 | 5.21 | 16 | 3 |
取り方:ライフスタイルの売上 11.23 億ドル(−14%)。ドレッシング・浄水フィルター・天然パーソナルケアの米国市場の合計 約 110 億ドル × 当社シェア 約 10%(推定)と、平均 3.8 ドル前後で約 3.0 億個と置いた推定。事業利益 2.08 億ドル(調整後、−28%)で利益率 18.5%(2025 年 6 月期は約 22%)。
国際
中南米(ポエット・ピンソル)、カナダ、豪州などで売るクロロックス・パインソル・グラッド・フレッシュステップ・ブリタなど。
| 数量販売単位数(億個、推定) | 価格1 個あたり平均単価(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 3.7 | 3.00 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.4 | 4.35 | 19 | 2 |
取り方:国際の売上 11.13 億ドル(+5%、2026 年 6 月期第 4 四半期は有機的 +1%)。平均 3.0 ドル前後で約 3.7 億個と置いた推定。事業利益 1.13 億ドル(+3%)で利益率 10.2%。為替は動かさないので、価格は現地の物価(中南米は米国より高い)をドルで置く。
GOJO(ピュレル)
2026 年 4 月 1 日に買収した手指消毒(ピュレル)と皮膚ケアの GOJO。病院・学校・食品・オフィス向けの業務用が中心。
| 数量販売単位数(億個、推定。今の値は買収後の 1 四半期分、筋書きは通年) | 価格1 個あたり平均単価(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 0.5 | 4.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.8 | 5.56 | 15 | 3 |
取り方:2026 年 6 月期は買収後の 1 四半期分だけで売上 約 2.0 億ドル(第 4 四半期の売上への寄与 約 10 ポイントから逆算)。通年では約 8.5 億ドル(2027 年 6 月期の見通し「GOJO 約 9.5 ポイント」から逆算)。業務用・医療用の手指衛生と皮膚ケアの市場 約 70 億ドル × 当社シェア 約 12%(推定)と置いた。数量 0.5 億個は 1 四半期分(通年換算 約 2.0 億個)、筋書きでは ×4.25 して通年に直す。利益 0.2 億ドル(利益率 10%)は在庫の評価増などを含む 1 四半期の推定。
リスクと懸念
ウォルマート・上位顧客への集中
ウォルマートが売上の 26%(前年 27%)、上位 5 社で約半分。棚の配置・価格・販促の条件を一方的に変えられると、数量と利益率が傷む。自社ブランド(グレート・バリュー)を漂白剤・ごみ袋・猫砂の隣に置かれるリスクが常にある。ERP の移行失敗で、小売の在庫と信頼も揺らいだ。
プライベートブランドと価格を決める力の低下
基礎消費財のプライベートブランドは 2025 年に 1,890 億ドル、2020 年比 +32%。コストコ・ウォルマート・アマゾンの占有率が伸び、メーカーの値上げが通りにくい。2027 年度のインフレは 2 億ドル超で、転嫁が遅れる間は粗利益率が 42% に据え置かれる。
猫砂・木炭など弱いカテゴリー
猫砂は 2023 年のサイバー攻撃の後、3 年たっても占有率が戻らず、フレッシュステップの刷新は「まだ始まったばかり」(会社の説明)。木炭は天候と小売の陳列で数量が振れる。家庭用品は 2026 年 6 月期の利益が 41% 減り、事業利益率は約 11%。ここが戻らないと全社の 18% 台の利益率は回復しない。
借入の重さと配当
純負債は約 54 億ドルで EBITDA の約 3.5 倍、自己資本は 0.9 億ドル。利息は 2026 年 6 月期の 1.3 億ドルから 2027 年 6 月期は約 2.1 億ドルへ上がる。配当性向は 100% 近く(会社は「一時的」と説明)。不況や原料高が重なると、返済が止まり、格付けの引き下げや増配の停止がありうる。
GOJO の高値買収と統合
取引額 22.5 億ドル(実質約 19.2 億ドル)は調整後 EBITDA の約 11.9 倍。買収後 1 四半期の利益率は約 10% で、年 5,000 万ドル以上のコスト相乗効果と中位の 1 桁成長が前提。手指消毒はコロナ後に需要が落ち着いており、エコラボなど大手との競争もある。のれんと無形資産は既に約 35 億ドルに増え、減損のたびに資本配分への評価が下がる。
CEO の交代
リンダ・レンドルは 2026 年 5 月 28 日、健康上の理由で退任の意向を表明し、後任探しが続く(2026 年 10 月時点で後任は未確認)。2026 年 6 月に COO にクリス・ハイダー、最高成長・戦略責任者にニーナ・バートンを昇格。ERP とサイバー攻撃の後始末と、GOJO の統合を同時に進める時期の交代で、戦略の連続性が試される。
倍率の縮み(資本コスト)
式の倍率(来年の利益に約 16 倍)は、k が 1 ポイント上がれば約 14 倍へ下がる。10 年国債が 5% を超えて上がれば、割安の度合いは縮む。2022 年の利上げ期に株価は約 25% 下がった。
今後の分かれ目
- 2027 年 6 月期に有機的売上 +3.5〜4.5% と粗利益率 約 42% を達成し、下期に粗利益率が前年を上回る
- ERP の反動からの戻りと見て、10 年でやや楽観・楽観の確率を合わせて 5〜8 ポイント厚くする。
- 猫砂(フレッシュステップ)と木炭の占有率が 2 四半期続けて前年を上回る
- 家庭用品の数量を横ばいから上へ直し、事業利益率 13% 台の置き方を上げる。
- ウォルマートの売上比率が 28% を超える、またはプライベートブランドが漂白剤・ごみ袋で占有率を 2 ポイント以上取る
- 家庭用品と洗浄・消毒の数量と価格を下げた悲観側へ確率を寄せる。
- 短期借入の返済が予定(12〜18 か月)より遅れる、または格付けが引き下げられる
- 純負債の置き方を上げ、利息を増やし、配当の据え置き・引き下げを含むやや悲観・悲観の確率を厚くする。
- GOJO の売上が 2 年続けて中位の 1 桁成長を下回る、または減損が出る
- 買収の評価を下げ、GOJO の数量と利益率を下げる。資本配分への信頼も落とす。
- 後任 CEO が決まる(外部の経験者か内部昇格か)
- 戦略の連続性と実行力を見て、確率を 1 段階動かす。外部から小売と消費財の経験者が来れば上、実行力の欠ける人事なら下。
- 米国の 10 年国債が 5.5% 以上へ上がる
- k が上がり、式の倍率が約 16 倍から約 14 倍へ下がる。割安の度合いは縮む。
見ておくもの
- 有機的売上(数量・価格・ミックス)と占有率(家庭用洗浄・猫砂・ごみ袋・木炭・ドレッシング、四半期)
- 粗利益率(2027 年 6 月期の見通し 約 42%)と広告・販促比率(約 10%)
- GOJO の売上成長・利益率・相乗効果の実現額
- 純負債と EBITDA の比率、短期借入の返済、利息
- ウォルマートへの売上比率とプライベートブランドの占有率
- CEO の後任発表と経営体制
- 原料(樹脂・パルプ・原油)と関税・物流のコスト
- 配当の方針と自社株買いの再開
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER を見る前に、5 事業(洗浄・消毒、家庭用品、ライフスタイル、国際、GOJO)を販売単位数 × 平均単価で積み、事業別の利益率、本社費(調整)、利息(借り換え 5.75%、純負債の返済)、税率 23% で純利益を出した。倍率は k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)の式 (1 − g/RONIC) ÷ (k − g) × (1 + g) で置き、上限の 8.5〜9 割に置いた(中立の 10 年後で 14.4 倍)。ROE は自己資本がほぼゼロのため ROIC から出し、成長 g は市場・シェア・価格から出した。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に g を乗せた値の 8.5〜9.5 割で、過去の PER や中央値には寄せていない。割安の度合いは利益が ERP の反動で谷にあるためで、利益の回復と借入の返済が前提。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β 0.85 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%。必需品で需要は落ちにくいが借入が重い。個別のリスク(ウォルマート集中・猫砂の遅れ・GOJO の高値買収・CEO 交代)は k に足さず、筋書きと確率で表した。