結論
ダラー・ゼネラルは米国 21,148 店(2026 年 7 月)の小型ディスカウント店で、2026 年 1 月期の売上は 427 億ドル(前期比 +5.2%)、その 82% が消耗品(食品・日用品・たばこ・ペット用品)、残りが季節品・ホーム用品・衣料。営業利益率は 5.2%、純利益は 15.1 億ドル。店の約 4 分の 3 は人口 2 万人以下の町にあり、ウォルマートも出ていない商圏で、年収 4 万ドル前後の低所得層の「近所の食料品店」になっている。
2023〜24 年に営業利益率が 6.3% から 4% 台へ落ちたのは、盛り損(万引き・在庫ずれ)、人手不足、店の乱雑さ、低所得層の財布の悪化が重なったため。2025 年から盛り損の削減(年 80bp 前後)、店の整理、改装(2025 年度に約 4,300 店)で粗利益率が 29.6% から 30.7%、2026 年 5〜7 月期は 32.6%(関税還付 81bp を含む)へ戻り、通期見通しを上方修正した(売上 +4.0〜4.3%、既存店 +2.5〜2.9%、利益は前回の見通しから 約 1 割上方)。会社の長期目標は営業利益率 6〜7%(2028〜29 年から)。
バリュー投資の観点では、10 年後も店は存在する(食品は不況で落ちず、農村の店の密度は複製しにくい)が、堀は農村の立地であって、価格を決める力は弱い。資本コスト 8.0%・ROE 約 17%・g 3.5% の利益ベースの正当化 PER は来年の利益に約 16 倍で、低所得層の財布に左右される利益なのでその 85% を使い、10 年目の利益に約 14 倍。中立の 10 年後の時価総額は約 357 億ドルで今の約 1.2 倍、配当込みの年率は約 5%で資本コストに届かず、確率で重ねた本質価値は今の時価総額を約 18% 下回る「やや割高」。価値は、利益率が 6% に届くか・競合にシェアを取られないかに懸かる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後も事業があるかを問う。ある。食品・日用品の来店頻度は不況でも落ちず、農村の小型店の密度は新規参入者が複製しにくい。ただし堀は「立地」であって「ブランド」や「価格を決める力」ではなく、ウォルマートの配送・アマゾン・アルディ・リドルが農村にも届けば、近所の便利さの価値は薄まる。堀は今は保たれているが、広がるとは言えない。
次にオーナー利益を見る。純利益 15.1 億ドルは GAAP で株式報酬を費用に含む。設備投資は D&A(約 10 億ドル)を上回って 14〜15 億ドルへ上がり、フリーキャッシュフローは 2025 年度の 24 億ドルから 2026 年度は薄くなり、配当 5 億ドルと自社株買い 7 億ドルをほぼ賄う。時価総額 297 億ドルに対する PER は 19.6 倍、オーナー利益の利回りは 約 5%。営業利益率が 4% 台と最悪に近い水準から戻っている途中なので、PER はそう高くはないが、中立の 10 年後を資本コストで割り引くと、今の値段にはやや先払いの分がある。
経営は 2022〜23 年に盛り損・人手・在庫の運営の失点があり、いま取り戻している。資本配分は自社株買いを止めて改装に回した判断は堅実。安全域は薄い。10 年の悲観(不況と構造的負け)では、時価総額と還元の合計が今の約 0.6 倍まで下がる。わからない部分は、盛り損の改善がどこまで持続するか、低所得層の財布、アルディ・リドルとウォルマートの農村進出。
何で稼ぐ会社か
売上は 4 つの品目で開示され、消耗品 350.5 億ドル(82%)、季節品 43.3 億ドル(10%)、ホーム用品 22.1 億ドル(5%)、衣料 11.3 億ドル(3%)。事業ごとの利益は開示されないので、ここでは消耗品と、季節品・ホーム・衣料(裁量品)の 2 つに分けて数量 × 価格で見る。消耗品は来店頻度を作る事業で、粗利益率は低く(食品・たばこ・日用品)、裁量品は粗利益率が高い(推定で消耗品 4.3%、裁量品 9.0% の営業利益率、全社 5.2%)。
店の平均は約 7,500 平方フィート(約 700 平方メートル)と小さく、品ぞろえを絞って低価格に集中するので、人口の少ない町でも採算が合う(家賃・人件費が低い)。物流は自前の配送センターから店への配送で、店の約 4 分の 3 は農村。2026 年度は新店 約 450(米国)・メキシコ 約 10、改装 約 4,250(全面改装 Renovate 約 2,000、部分改装 Elevate 約 2,250)、設備投資 14〜15 億ドルを計画する。
会員制や広告はまだ小さい(広告、即時配達の提携、店頭受け取り)。伸びは、新店(年 約 2%)、既存店(客数 +2% と客単価 +1.5%、2026 年 5〜7 月期)、改装の押し上げ、の順。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は農村・小さな町の店の密度(15〜20 マイル圏に大型店も食料品店も無い商圏が多い)で、近所の便利さが理由で来店する。第 2 は低価格の値頃品を集めた品ぞろえと規模による仕入れ。第 3 は店への配送網(全米に張った配送センターの網)。価格を決める力は弱く、客は 1 点ずつ値段を見る低所得層で、ウォルマートと価格で比べられる。
資本効率は ROE 17.8%(2020 年は 40% 近く、自社株買いで自己資本が縮んでいた。2023 年は 25%、2024 年は 15%)、営業利益率は 2020 年 10.5%、2023 年 6.3%、2024 年 4.8%(kabufu)と、盛り損・人手・在庫の運営で大きく振れる。経営は、2015 年から 2022 年まで率いたトッド・ヴァソス氏が 2023 年 10 月に復帰し、運営(盛り損・人手・店の整理)の立て直しを軸にした。2025 年度は自社株買いを止めて改装と新店に投資を寄せた。
弱点は、第 1 に低所得層の財布(SNAP の縮小、ガソリン高、賃金)に利益が左右されること。第 2 に、盛り損と店の運営の失点が過去 2 年の利益を 3 割削った実績で、運営の質に再現性があるかは 2 年の戻りだけでは判断しにくい。第 3 に、ウォルマートの配送・ダラー・ツリーのリニューアル・アルディ・リドルの出店が農村にも広がること。事業の質は中位で、食品の来店頻度は強いが、利益の質(予測のしやすさ)は食品スーパーより低い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の食料品(家庭内)は年 約 1 兆ドルで、数量は横ばい〜微増、価格は物価並みに伸びる。業界の見通し(消耗品の小売市場は名目 年 +4%、大手が毎年 0.2〜0.4 ポイントの占有率を取る)の中で、DG は低所得層の「近所の店」という小型店の塊にいる。2026 年に DG は消耗品の占有率を金額・点数の両方で伸ばした(会社の説明)。ダラー・ツリーは売上 194 億ドル(営業利益率 8.3%)で、ファミリー・ダラーを分離・縮小中(約 400 店を閉鎖)、同じ客層を狙う競合が減る側にいる。
競争は、ウォルマート(農村にも広い店と当日配送。低所得層の客が DG と共有する)、アルディ・リドル(生鮮の低価格、出店を拡大)、アマゾン(日用品の通販と配達)、ダラー・ツリー(1 ドル台の値頃品)、ファイブ・ビロウ(別の客層)。DG の優位は、近隣 15 マイルに他の店が無い商圏の数で、農村の人口が減る・店の需要が減る方向(人口の都市への移動)が逆風。
循環では、低所得層向けの小売は、不況で食品の需要は落ちにくいが、失業・SNAP 削減・ガソリン高で購買力が落ち、DG の利益は 2022〜24 年のように在庫・値引き・盛り損で崩れる。足元では SNAP の縮小が財布を圧迫し、農村の客の方が圧力が強い(2026 年 1〜3 月期の会社の説明)。一方、不況期は中所得層が DG に来る面もある(トレードダウン)。分かれ目は、客数が増え続けるか、盛り損と物流費の改善が利益に残るか、改装店の売上の伸びが投資を上回るか。
資本政策と M&A
還元は配当が中心(2025 年度に 5.2 億ドル、増配を長く続ける)。自社株買いは 2025 年度はゼロで、2026 年度は最大 7 億ドルを後半に実施する計画(承認枠は 14 億ドル残る)。株式報酬は年 約 1 億ドル前後と小さく、正味の還元は配当 + 自社株買い − 株式報酬の分とした。
資本の優先順位は、第 1 に既存店への投資(改装)と高い収益の新店、第 2 に配当、第 3 に自社株買い。設備投資は 2025 年度の 12.4 億ドルから 2026 年度に 14〜15 億ドルへ(改装 約 4,250 店、新店 約 450、配送センター)。有利子負債は 45.8 億ドル、現金 11.4 億ドル(2026 年 1 月末)、投資適格の格付けの維持を重視し、借金の返済は短期から長期へ借り換える(brief の推定で、金利の上がりによる利払いの増加は 3 年で約 2 億ドル、10 年で約 3 億ドル)。
M&A は過去に大型がなく、買う側にも買われる側にもなりにくい。鍵は、改装・新店の回収率(Renovate で既存店売上 約 6% 増の目標)が資本コスト 8.0% を上回り、営業利益率が戻ること。自社株買いは利益が戻ってからの方が割高で買わずに済む。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
DG の落ち込みは事業の劣化ではなく、運営の失点(盛り損・人手・店の乱雑さ)だった。2025 年に盛り損が年 80bp 改善し、粗利益率は 29.6% から 30.7%、2026 年 5〜7 月期に 32.6%(関税還付 81bp を除いても約 31.8%)へ戻り、既存店は +3.5%(客数 +2%、客単価 +1.5%)と客数の増加がはっきりした。会社は消耗品の占有率が金額・点数とも伸びたと言い、非消耗品(季節品・ホーム・衣料)も消耗品より速く伸びる。
利益率の天井は高い。2019〜22 年の営業利益率は 8.5〜10.5%(コロナ特需を含む)で、会社の長期目標は 6〜7%(2028〜29 年から)。盛り損の削減だけで 80bp 以上、改装は全面改装で既存店売上 約 6% 増の目標、新店は年 約 2% 増を 2028 年まで続ける。農村で近隣 15 マイルに食料品店が無い商圏が多く、ウォルマートも採算の合わない小さい町から撤退した例がある。ファミリー・ダラーは約 400 店を閉鎖し、競争が減る。
PER 19.6 倍は、利益率が最悪に近い水準にあるので、6% に戻れば PER は実質 15 倍台まで下がる。式どおりの倍率で見ても、利益率が 6% に戻れば価値は今より大きい。
慎重な見方
DG の営業利益率が 4% 台まで落ちたのは、盛り損や人手だけでなく、低所得層の財布が根本から弱い構造のせいだ。SNAP の縮小、ガソリン高、賃金の伸び悩みで、客は 1 点ずつ値段を見る。2026 年 5〜7 月期の営業利益率 6.8% には関税還付(66bp)が入っており、還付を除くと 6.1%、通期の見通しでは 5.4% 前後で、会社の目標 6〜7% にはまだ 0.6〜1.6 ポイント届かない。賃金は物価で上がる一方、価格は低所得層の財布で上げにくい。
競争は農村にも広がる。ウォルマートは配送と当日配達で農村の客を取りに行き、アマゾンは日用品の配達を拡大し、アルディ・リドルは生鮮の低価格で出店を増やす。DG の堀は立地だけで、価格もブランドも持たない。新店は年 約 2% 増で飽和に近く、農村の人口が減ると、既存店の伸びは物価並みにとどまる。
設備投資は D&A を 4〜5 億ドル上回り、改装の回収が遅れれば ROE が下がる。2022〜24 年に営業利益が 35% 減った実績がある。利益率の戻りが止まれば、利益の伸びは物価並みにとどまり、中立の PER 14 倍でも高すぎる。
どちらに重みを置いたか
運営の立て直しは強気の見方が強い(盛り損の削減・客数の増加は数字に出ている)が、利益率が 6% を超えて維持できるかは、低所得層の財布と競合の農村進出に左右され、慎重な見方が強い。会社の目標 6〜7% の達成は 10 年の楽観・やや楽観の合計で 3 割とし、中立を最大にし、悲観側を厚くした(やや悲観・悲観の合計 35%)。10 年の中立に利益ベースの正当化 PER の 85% にあたる 14 倍を置くと、還元込みの年率は約 5%で資本コストに届かず、結論は「やや割高」。残る上積みも『利益率が 6% 前後で保たれる』ことへの依存が大きい。関税の還付は一度きりなので利益率の起点に入れていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 152.67 ドル337 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 59.04 ドル130 億ドル)。 今の値に割り戻すと 110.90 ドル245 億ドル、今との差 −20.3%、 期待の年率 +4.3%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 260.17 ドル575 億ドル | 76.54 ドル169 億ドル | +142.0% | +9.2% | 26.94 ドル59 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 210.36 ドル465 億ドル | 69.29 ドル153 億ドル | +101.0% | +7.2% | 61.52 ドル136 億ドル |
| 中立 | 35% | 161.67 ドル357 億ドル | 62.95 ドル139 億ドル | +61.5% | +4.9% | 78.62 ドル174 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 100.81 ドル223 億ドル | 50.27 ドル111 億ドル | +8.6% | +0.8% | 34.75 ドル77 億ドル |
| 悲観 | 12% | 48.41 ドル107 億ドル | 33.97 ドル75 億ドル | −40.8% | −5.1% | 9.89 ドル22 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 152.67 ドル337 億ドル | 59.04 ドル130 億ドル | +52.2% | +4.3% | 211.71 ドル467 億ドル |
今の株価時価総額 139.11 ドル307 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:農村の密度に生鮮・広告が乗り、営業利益率 7.1% 利益 35 億ドル · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 260.17 ドル575 億ドル
10 年後(2035 年度=2036 年 1 月期)、DG は農村の「歩いて行ける食料品店」として複製できない位置を保つ。店数は 約 2 万 4,000 店へ、消耗品のシェアは 2.15%、裁量品は 0.90%。生鮮・冷凍の拡充で来店頻度が上がり、広告(DG メディアネットワーク)や即時配達の手数料も育つ。売上は 730 億ドル(年 +5.5%)、営業利益率は消耗品 6.2%・裁量品 11% で全社 7.1%、純利益 35 億ドル、ROE は のれんを除いて 26%。価格は物価並みに上げられ(指数 1.41)、アルディ・リドルとウォルマートの攻勢を店の密度で防ぐ。
- 消耗品(食品・日用品・たばこ・ペット用品):数量 19,692(米国の食品(家庭内)・日用品・健康と美容・ペット用品・たばこの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 3.0%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 597 億ドル・営業利益 37 億ドル。消耗品:シェア 2.150%・物価指数 1.41
- 季節品・ホーム用品・衣料:数量 10,500(米国の季節品・家庭用品・衣料の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.3%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 133 億ドル・営業利益 15 億ドル。季節品・ホーム・衣料:シェア 0.900%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 19.7%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.8%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(店が飽和してほぼ横ばい)× 価格(値頃を守るので物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.6 倍(来年の利益に対して)。低所得層の財布に左右される利益なので、上限の 9.5 割(15.8 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 16.3 倍。時価総額 = 純利益 35 × 16.3 倍 = 574 億ドル。
確率:農村の店の密度が 10 年有効で、生鮮・広告・配達の追加収益が育つ形。確率は 1 割弱。
やや楽観 22% やや楽観:会社の目標利益率 6.5% を維持 利益 31 億ドル · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 210.36 ドル465 億ドル
10 年後、会社の長期目標(営業利益率 6〜7%)をおおむね達成し、維持する。消耗品のシェア 2.09%、裁量品 0.83%。店数は 約 2 万 3,000 店。売上は 695 億ドル(年 +5.0%)、営業利益率は消耗品 5.8%、裁量品 10% で全社 6.5%、純利益 31 億ドル、ROE 25%。価格は物価並み。競合(ウォルマート、アマゾン、アルディ・リドル、ダラー・ツリー)は一部の商圏で DG の客を奪うが、農村の店の密度で全体の客数はほぼ守る。新店の年 約 2% 増は 2030 年代に入ると農村の飽和で年 1% 台へ鈍り、成長は既存店(客数の微増と物価並みの客単価)が中心になる。改装は 7 年周期で回り、毎年の設備投資は減価償却の 1.3 倍前後に落ち着き、純利益の約 7 割を配当と自社株買いに回せる。
- 消耗品(食品・日用品・たばこ・ペット用品):数量 19,440(米国の食品(家庭内)・日用品・健康と美容・ペット用品・たばこの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 2.9%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 573 億ドル・営業利益 33 億ドル。消耗品:シェア 2.090%・物価指数 1.41
- 季節品・ホーム用品・衣料:数量 10,400(米国の季節品・家庭用品・衣料の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.2%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 122 億ドル・営業利益 12 億ドル。季節品・ホーム・衣料:シェア 0.830%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 18.5%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.2%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(店が飽和してほぼ横ばい)× 価格(値頃を守るので物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.3 倍(来年の利益に対して)。低所得層の財布に左右される利益なので、上限の 9 割(14.7 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 15.2 倍。時価総額 = 純利益 30 × 15.2 倍 = 465 億ドル。
確率:堀(農村の店の密度)が保たれ、会社の目標利益率を維持する形。
中立 35% 中立:シェアは飽和し、営業利益率は 5.8% 利益 26 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 161.67 ドル357 億ドル
10 年後、消耗品の市場は名目 年 +4.0%(数量 +0.7%・価格 +3.3% の業界の中立)のところ、DG は新店(年 約 2% 増)の効果が飽和へ向かい、シェアは 2.03% と今より 4% 増にとどまる。売上は 664 億ドル(年 +4.5%)。営業利益率は消耗品 5.2%、裁量品 9.0% で全社 5.8%(2019〜22 年の 8.5〜10.5%(コロナ特需を含む)には届かず、会社の長期目標の下限 6% をやや下回る)、純利益 26 億ドル。賃金・盗難・店舗の質が利益率を決め、物価で価格を上げられる分だけ利益が伸びる。自社株買いと配当は純利益の 約 72%。
- 消耗品(食品・日用品・たばこ・ペット用品):数量 19,298(米国の食品(家庭内)・日用品・健康と美容・ペット用品・たばこの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 2.9%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 552 億ドル・営業利益 29 億ドル。消耗品:シェア 2.030%・物価指数 1.41
- 季節品・ホーム用品・衣料:数量 10,300(米国の季節品・家庭用品・衣料の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.1%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 112 億ドル・営業利益 10 億ドル。季節品・ホーム・衣料:シェア 0.770%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 16.7%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.3%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(店が飽和してほぼ横ばい)× 価格(値頃を守るので物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.9 倍(来年の利益に対して)。低所得層の財布に左右される利益なので、上限の 8.5 割(13.5 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.0 倍。時価総額 = 純利益 26 × 14.0 倍 = 357 億ドル。
確率:業界の中立(数量 +0.7%・価格 +3.3%)で、DG のシェア増は店数の飽和で小幅にとどまる形。議論の落としどころ。
やや悲観 23% やや悲観:シェアが下がり、営業利益率は 4.8% 利益 18 億ドル · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 100.81 ドル223 億ドル
10 年後、ウォルマートの農村への配送の拡大、アマゾンの当日配送、アルディ・リドルの出店で、DG のシェアは消耗品 1.92%、裁量品 0.70% へ下がる。値頃を守るために価格の上げを物価以下(指数 1.39)に抑え、営業利益率は消耗品 4.3%、裁量品 7.5% で全社 4.8%(2024〜25 年の水準)。売上は 602 億ドル(年 +3.5%)、純利益 18 億ドルで、10 年で名目 20% 増にとどまる(物価の上昇に届かない)。ROE は 19%。新店は農村の飽和で年 1% 台に鈍り、既存店の客数は微減、改装の押し上げも競合で薄まる。賃金が物価で上がる一方、価格を上げにくく、粗利益の改善(盛り損・物流費)は賃金に食われる。設備投資は減価償却の 1.2 倍前後で、還元は純利益の約 7 割にとどまる。
- 消耗品(食品・日用品・たばこ・ペット用品):数量 18,900(米国の食品(家庭内)・日用品・健康と美容・ペット用品・たばこの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 2.7%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 504 億ドル・営業利益 22 億ドル。消耗品:シェア 1.920%・物価指数 1.39
- 季節品・ホーム用品・衣料:数量 10,000(米国の季節品・家庭用品・衣料の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.0%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 97 億ドル・営業利益 7 億ドル。季節品・ホーム・衣料:シェア 0.700%・物価指数 1.39
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 13.1%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.6%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(店が飽和してほぼ横ばい)× 価格(値頃を守るので物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.9 倍(来年の利益に対して)。競合に押されて優良でなくなる分、上限の 8 割(11.9 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.3 倍。時価総額 = 純利益 18 × 12.3 倍 = 223 億ドル。
確率:ウォルマート・アマゾン・アルディ・リドルの攻勢でシェアが下がり、利益率が 2024〜25 年の水準にとどまる形。前例があり 2 割強。
悲観 12% 悲観:構造的に負け、営業利益率が 3.6% に 利益 11 億ドル · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 48.41 ドル107 億ドル
10 年後、構造的に負ける。低所得層の所得が伸びず、アマゾン・ウォルマートの配送が農村にも届き、アルディ・リドル・ダラー・ツリーが近所の客を奪う。消耗品のシェアは 1.78%、裁量品は 0.60%(裁量品の市場は実質 −3%)。価格は物価を下回る(指数 1.37。値下げ競争)。盗難・賃金の上昇も重なり、営業利益率は消耗品 3.2%・裁量品 6% で全社 3.6%。売上は 527 億ドル(今の 約 1.23 倍。物価の上昇に届かない)、純利益 10.7 億ドル(今の 約 7 割)。ROE は 14%、g 3%。不採算店の閉鎖費用も出る。PBR は約 0.9 倍で、店の大半はリースで資産の床は薄く、稼ぐ力(純利益 ÷ k)と食品の来店頻度が床になる。
- 消耗品(食品・日用品・たばこ・ペット用品):数量 18,360(米国の食品(家庭内)・日用品・健康と美容・ペット用品・たばこの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 2.4%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 448 億ドル・営業利益 14 億ドル。消耗品:シェア 1.780%・物価指数 1.37
- 季節品・ホーム用品・衣料:数量 9,700(米国の季節品・家庭用品・衣料の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.8%(DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 80 億ドル・営業利益 5 億ドル。季節品・ホーム・衣料:シェア 0.600%・物価指数 1.37
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 9.0%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 8.5%、g 3.0%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(店が飽和してほぼ横ばい)× 価格(値頃を守るので物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.9 倍(来年の利益に対して)。競合に押されて優良でなくなる分、上限の 7.5 割(9.7 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.0 倍。時価総額 = 純利益 11 × 10.0 倍 = 107 億ドル。
確率:リーマン級の不況に加え、構造的に負けて優良でなくなる形。2022〜24 年の営業利益率 4% 台への落ち込み、ファミリー・ダラーの大量閉店(約 400 店)という前例があり、1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
消耗品(食品・日用品・たばこ・ペット用品)
売上の 82%(350.5 億ドル)。食品・飲料・日用品・健康と美容・ペット用品・たばこ。粗利益率が低く、来店頻度を作る事業。
| 数量米国の食品(家庭内)・日用品・健康と美容・ペット用品・たばこの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18,000 | 1.9% | 351 | 15 |
| 10 年後 中立 | 19,298 | 2.9% | 552 | 29 |
取り方:米国の食品(家庭内)約 1 兆ドル(業界ノート)に、日用品・健康と美容・ペット用品・たばこなど約 8,000 億ドルを足し 1.8 兆ドルと置く(推定)。DG の消耗品 350.5 億ドル(2026 年 1 月期)からシェア 1.947%。営業利益は全社 22.0 億ドルを推定配分(消耗品 4.3%、裁量品 9.0%。事業別の利益は非開示)。売上 = 市場(実質)× シェア × 物価指数。食料品ではウォルマートが約 2 割、コストコ・クローガー・アマゾンが各 1 割前後。
季節品・ホーム用品・衣料
売上の 18%(76.7 億ドル)。季節品 43.3、ホーム用品 22.1、衣料 11.3 億ドル。粗利益率が高く、2026 年に消耗品より速く伸びている。
| 数量米国の季節品・家庭用品・衣料の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格DG のシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10,000 | 0.8% | 77 | 7 |
| 10 年後 中立 | 10,300 | 1.1% | 112 | 10 |
取り方:米国の季節品(装飾・庭・おもちゃの一部)、家庭用品、衣料の店・通販の合計を約 1 兆ドルと推定。DG の季節品 43.3 億ドル+ホーム 22.1 億ドル+衣料 11.3 億ドル(2026 年 1 月期)からシェア 0.767%。営業利益は推定配分で 6.9 億ドル(率 9.0%)。売上 = 市場(実質)× シェア × 物価指数。アマゾン・ウォルマート・ターゲット・ダラー・ツリー・TJX が競合。
リスクと懸念
盛り損・人手・在庫の運営の失点が再発する
2023〜24 年に盛り損・在庫ずれ・人手不足で営業利益率が 6.3% から 4% 台に落ちた。2025 年から年 80bp 前後の盛り損改善が出ているが、2026 年 1〜3 月期は 28bp に鈍っている。運営の質の再現性が試される。
低所得層の財布(SNAP・ガソリン・賃金・失業)
客は年収 4 万ドル前後の低所得層で、SNAP の縮小、ガソリン高、賃金の伸びの鈍化で購買力が落ちる。農村の客は移動距離を減らす選択をしており圧力が強い。不況で失業が増えると、食品は落ちなくても裁量品と値引きで利益が崩れる。
農村へのウォルマート・アマゾン・アルディ・リドルの進出
DG の堀は農村の立地だけで、価格を決める力は無い。ウォルマートの当日配達、アマゾンの日用品配達、アルディ・リドルの出店が農村に広がると、近所の便利さの価値が薄まり、既存店の客数が割れる。DG は農村の客数の微減だけで営業利益率が 0.5 ポイント動く固定費の構造にある。
関税の還付の一過性と仕入れ価格
2026 年 5〜7 月期の営業利益率 6.8% には関税還付(営業利益率で +66bp)が入る。会社は後半に実質的な影響は無いと見るが、還付を除く利益率は 5.4% 前後で、関税が再び仕入れ価格を押し上げて転嫁が遅れる期間が長引くと下がる。
改装・新店の回収(設備投資 14〜15 億ドル)
2026 年度に新店 約 450、改装 約 4,250 を行い、設備投資は D&A を 4〜5 億ドル上回る。Renovate の既存店売上押し上げ目標 約 6% が出なければ、固定費と償却が営業利益率を 0.5〜1 ポイント押し下げ、ROE が下がる。
賃金の上昇と物価での価格転嫁の限界
売上の約 4 分の 3 が 1 ドルから低価格帯で、客は値段に敏感。賃金は物価並みに上がる一方、低所得層に値上げをどこまで転嫁できるかが粗利益率と営業利益率の差になる。最低賃金の引き上げは店の人件費を直接押し上げる。
今後の分かれ目
- 盛り損の削減が 2027 年も年 30bp 以上続き、関税の還付を除く営業利益率が 6% に乗ったら
- 利益率の戻りが本物と判断し、楽観・やや楽観の確率を上げる。会社の目標 6〜7% が 2028 年度の現実味を帯びる。
- 既存店の客数が 2 四半期連続で前年を割り、客単価だけで伸びを保つ形になったら
- 競合への客の流出が始まったとみて、やや悲観・悲観の確率を上げ、消耗品のシェアの伸びを 0 にして見る。
- 不況で失業が増え、SNAP の削減が重なって、既存店売上が前年を割ったら
- 在庫評価損と値引きで営業利益が 3〜4 割減る。10 年の悲観の確率を上げ、稼ぐ力(純利益 ÷ k)で床を見る。
- ウォルマートの当日配達かアルディ・リドルの出店が DG の店の 15 マイル圏の過半に広がったら
- 堀(農村の店の密度)が狭まっているとみて、10 年のシェアの回復を 0 にし、悲観の確率を上げる。
- Renovate 改装店の既存店売上の押し上げが目標の約 6% を下回り、3% 以下とわかったら
- 改装の回収率が資本コスト 8.0% を下回る恐れがあり、設備投資の拡大が ROE を下げる。倍率を 2〜3 倍下げて見る。
見ておくもの
- 既存店売上の客数と客単価、消耗品と非消耗品の伸びの差
- 関税の還付を除いた営業利益率と粗利益率、盛り損・破損の改善幅(bp)
- SNAP・ガソリン・失業率など低所得層の指標と、農村の客の来店頻度
- ウォルマート・アマゾン・アルディ・リドル・ダラー・ツリーの農村での出店・配達の動き
- 改装店(Renovate・Elevate)の既存店売上の押し上げ幅
- 設備投資の売上比(約 3.2%)と配当・自社株買いの再開額
倍率と資本コストの決め方
今の PER 19.6 倍を見る前に、消耗品と季節品・ホーム・衣料の 2 つを、市場(実質)× シェア × 物価指数で積み、営業利益率で利益を置いた。倍率は今の株価や過去の PER を見ず、のれんを除く ROE・g 3.5%(市場の数量・シェア・価格から出した値で、ROE からは出していない)・k 8.0%(基本 8.0%。循環 −0.5% と借金 +0.5% で相殺)の式から出し、低所得層の財布に左右される利益なので上限の 75〜95% に置いた。10 年の中立で還元込みの年率が約 5%と資本コストに届かず、判定は割高側に出る。この結果に合わせて確率や利益率は動かしていない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。