結論
ダラー・ツリーは米国とカナダに 9,436 店(2026 年 8 月)を持つ均一価格のディスカウント店で、2026 年 1 月期の売上は 194 億ドル(前期比 +10.4%、既存店 +5.3%)、営業利益率は 8.3%、純利益は約 13 億ドル。2025 年にファミリー・ダラーを約 10 億ドルで売却して単一の事業に戻り、売上の約 5 割が食品・日用品の消耗品、残りが季節品・雑貨・パーティー用品などの裁量品(推定)。
2015 年にファミリー・ダラーを約 85 億ドルで買って以来の 10 年は、買収の減損と売却損で 2018・2023・2024 年が赤字になり、価値を壊した。低所得層向けの重い荷物を下ろしたいま、1.25 ドルの単一価格から 1.5〜7 ドルまでの多価格へ進み(多価格の店は約 6,600、売上の 17%)、客層は年収 10 万ドル以上が新規客の約 6 割に広がった。2026 年 5〜7 月期は既存店 +3.7%(客単価 +3.3%・客数 +0.4%)、関税還付(営業利益率で 6.5 ポイント分の一度きり)を除く利益率は約 7.6% と前年から 2.4 ポイント上がった。
バリュー投資の観点では、10 年後も店はあり、品ぞろえと価格帯の広い小型店は複製しにくい。ただ堀は「安さ」でありブランドや会員制ではなく、ウォルマートやアルディ(Aldi)、アマゾンと価格で比べられる。資本コスト 8.0%・ROE 約 29%・g 3.5% の利益ベースの正当化 PER は来年の利益に約 18 倍で、低所得層の財布と関税に利益が左右されるのでその 8 割を使い、10 年目の利益に約 15 倍。中立の 10 年後の時価総額は約 302 億ドルで今の約 1.3 倍、配当込みの年率は約 6%と資本コストに届かず、確率で重ねた本質価値は今の時価総額を約 10% 下回り「やや割高」。価値は、利益率が 9% 前後を保てるか・客数が増えるかに懸かる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後も事業があるかを問う。ある。1.5 ドル前後の品を中心にした小型店は不況で客が来やすく、9,400 店の網は新規参入者が複製しにくい。ただ堀は「安さ」であって、ブランドや会員制や独自の価格決定力ではなく、ウォルマートの当日配送、アルディ・リドルの生鮮、アマゾン・テムの雑貨と比べられる。堀は保たれているが、広がるとは言えない。
次にオーナー利益を見る。純利益は 2026 年度に関税還付を除いて約 14 億ドル、2025 年度のフリーキャッシュフローは約 14 億ドル。時価総額 237 億ドルに対する PER は 18.5 倍、オーナー利益の利回りは約 5〜6%。これは利益率 9% 近くを前提にした値で、利益率が 8% なら PER は 21 倍になる。
経営は、買収の失敗(ファミリー・ダラー)から手を引き、盛り損と運営を立て直した。資本配分は、借金も使った大きな自社株買いが目立ち、成果は株価次第。安全域は、悲観(不況と構造的負け)でも時価総額と還元の合計が今の約 0.8 倍にとどまる点と、食品の来店頻度が床になる点にある。わからない部分は、関税の水準、客数、多価格の転換が終わった後の伸び。
何で稼ぐ会社か
2026 年 1 月期の売上 194 億ドルは、食品・日用品・ペット用品・健康と美容などの消耗品が約 5 割、季節品(ハロウィン・クリスマス・夏の庭)、雑貨、パーティー、文具、キッチン用品、おもちゃなどの裁量品が約 5 割(開示の粗さから推定。事業別の利益は非開示)。ここでは消耗品と裁量品の 2 つに分け、消耗品は市場を約 1.8 兆ドル × シェア約 0.52%、裁量品は市場を約 1 兆ドル × シェア約 1.0% として数量 × 価格で見た。裁量品は粗利益率が高く、消耗品は来店頻度を作るが粗利益率が低い(営業利益率は推定で消耗品 6%、裁量品 10%)。
店は小さく、雑貨・季節品は輸入品の比重が大きいので、関税の影響を直接受ける。かつて「全商品 1 ドル」だった店は、2021 年に 1.25 ドルの価格帯、その後 1.5 ドルから 7 ドルまでの商品を足す多価格化に進み、2026 年 8 月に多価格の店が約 6,600(全体の 7 割)、売上の 17%(前年から +4 ポイント)になった。2026 年度は新店 約 400・閉店 約 75、売り場面積は +3.4%、売上 205〜207 億ドル、既存店 +3〜4% を見込む。
利益の伸びは、新店(面積 +3% 台)、既存店(客単価の上昇と客数の微増)、多価格の粗利益、盛り損の改善・賃料の効率化、の順に効く。2025 年 10 月の説明会は売上成長 年 5〜7%、1 株利益の長期の成長 年 8〜10%(自社株買いを含む)を掲げた。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は価格の安さを保つ仕入れの規模(9,400 店分の直接仕入れ)。第 2 は小型店の密度と低い家賃・人件費で、年収の高い層を含む広い客層が「宝探し」に来る(高所得の新規客は約 6 割。2019 年以降の出店の半分は裕福な郵便番号)。第 3 は多価格で、1 ドル台の商品に 3〜7 ドルの商品を足して単価と粗利益率を上げられる。価格を決める力は中位で、客は同じ商品を他店と値段で比べる。
資本効率は ROE 34%(2025 年度。自社株買いで自己資本が 38 億ドルに縮んだ見かけの高さ)、営業利益率は 2014 年 12%、2019〜2022 年 7〜9%、2025 年 8.3%(kabufu)と、買収と関税と運営で大きく振れた。経営はクリーデン氏ら現経営陣のもとで、ファミリー・ダラーの切り離し、盛り損の削減、多価格化を進めた。2025 年度は約 16 億ドルの自社株買いを行い、2026 年 8 月は借金 約 29 億ドル、現金 約 11 億ドル。
弱点は、第 1 に輸入依存で関税の振れが利益に直撃すること(2026 年 5〜7 月期は一度きりの還付が営業利益率で 6.5 ポイント)。第 2 に客数が +0.4% と弱く、伸びが客単価(値上げ)に寄っていること。第 3 に過去の買収の失敗(2015 年のファミリー・ダラー)で資本配分への信頼が傷ついたこと。事業の質は中位で、利益の予測しやすさは食品スーパーより低い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の小売で、ダラー・ツリーは「消耗品 + 季節・雑貨」の混合の均一価格店という位置にいる。業界の見通し(消耗品の小売市場は名目 年 +4%、数量 +0.5%・価格 +3.5%、大手が毎年 0.2〜0.4 ポイントの占有率を取る)の中で、消耗品の市場は約 1.8 兆ドルと大きいが、裁量品の市場は実質で横ばい〜微増にとどまる。ダラー・ゼネラル(売上 427 億ドル、営業利益率 5.3%)は農村の低所得層に絞り、ダラー・ツリーはより広い所得層と季節・雑貨で稼ぐ。ファミリー・ダラーは売却されて別の会社になった。
競争は、ウォルマート(食品と日用品の低価格、当日配送)、アルディ・リドル(生鮮の低価格)、アマゾン・テム・シーイン(雑貨・季節品の通販)、ファイブ・ビロウ(10 代向けの雑貨。直近の四半期に既存店 +14%)、TJX(衣料・ホーム)、ダラー・ゼネラル。裁量品は通販と中国系の格安通販に押される面があり、関税が高いと店頭の価格優位が薄まる。
循環では、不況で消耗品は落ちにくく、安さを求めて高所得の客が来る面がある一方、購買力が落ちると裁量品の売上が崩れる。分かれ目は、客数が増え続けるか(現在は +0.4% で、伸びは客単価)、多価格の転換が残り約 2,800 店で終わった後に粗利益が上がり続けるか、関税の水準、盛り損と賃料の効率化が利益に残るか。
資本政策と M&A
還元は配当をせず、自社株買いが中心。2025 年度に約 16 億ドル、2026 年は上期だけで約 12 億ドル(残りの枠 25 億ドル)。希薄化後の株数は前年の 2.08 億株から 1.91 億株へ約 8% 減った。借金は 2026 年に 5 億ドルを起債して長期借入 約 29 億ドル、現金 約 11 億ドル、リースを含めた純有利子負債は約 63 億ドル。株式報酬は年 約 1 億ドルと小さく、正味の還元は自社株買い − 株式報酬の分とした。
M&A は 2015 年のファミリー・ダラー(約 85 億ドル)が大きな失敗で、2025 年に約 10 億ドルで売却した。これで低所得層向けの重い事業を手放し、買う側にも買われる側にもなりにくい。今は新店と多価格の転換への投資を優先し、残りを自社株買いに回す。
鍵は、多価格の粗利益と新店の回収率が資本コスト 8.0% を上回り続けることと、自社株買いを割高な時期に過度に行わないこと。株数は 2021 年から 2025 年に約 13% 減った。株価が割高なときに借金で買うと、資本配分は価値を壊す。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 12.1 億ドル(10-Q・2026 年 2〜7 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(25.4 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ダラー・ツリーの利益率は、まだ底上げの途中にある。2025 年度の営業利益率 8.3% から、2026 年 5〜7 月期の還付を除く利益率は約 7.6%(前年同期は約 5.1%)と 2.4 ポイント上がり、通期でも約 9% に乗る見込み。粗利益率は還付を除いても約 170bp 改善した(関税率の低下・盛り損・賃料の効率化)。多価格の店は 6,600 まで来たが、残りは約 2,800 店で、3〜7 ドルの商品の粗利益率は 1.25 ドルの商品より高い。
客層は明らかに広がった。新規客の約 6 割が年収 10 万ドル以上で、客数は 2025 年度に +1.0%、2026 年 5〜7 月期に +0.4% と、プラスを保った。高所得客が 1 年にもう 1 回来れば売上は約 10 億ドル増える。新店は売り場面積 +3.4% を毎年続け、売上成長 年 5〜7% は会社の説明会の目標。
会社の 1 株利益の長期成長 8〜10% は、自社株買いが年 4〜5% を担うので、純利益は年 4〜6% の伸びで足りる。式の倍率は ROE が高いので 18 倍ほどと高めに出て、利益率が保たれれば 10 年後の利益に 15 倍前後が付く。利益率が 9% を保てば、時価総額は今の 2〜3 倍に届く。
慎重な見方
2026 年の利益は関税の還付という一度きりに助けられている。還付を除く 5〜7 月期の営業利益率は約 7.6% で、通期の 1 株利益の見通しにも約 0.60 の還付が含まれ、3 四半期目は還付の再投資で 1 株利益 0.50 の押し下げが入る。関税が元の高さに戻れば、輸入品の多い店は粗利益率で 2〜3 ポイント失う。
客数は +0.4% と伸びず、伸びの大半は客単価(値上げと多価格)だ。多価格の転換が終われば、価格を上げる余地は物価並みに近づく。競合は強く、ウォルマートは配送で低価格、アルディ・リドルは生鮮、アマゾン・テム・シーインは雑貨を通販で攻め、ファイブ・ビロウは同じ客層を奪う。裁量品は市場が実質で伸びない。
借金は 5 億ドルを足して 29 億ドル(リース除く)、自社株買いは年 20 億ドル台で純利益を上回る年がある。自己資本は 38 億ドルしかなく、ROE 34% は縮んだ自己資本の見かけの高さ。2015 年のファミリー・ダラーの買収のように、資本配分で価値を壊した前科がある。2023〜24 年の赤字は買収の後始末で、経営への信頼は戻りきっていない。
どちらに重みを置いたか
多価格化の進展と客層の広がりは数字に出ており、利益率が 9% 前後を保つ点は強気の見方が強い。一方、2026 年は関税の一度きりの還付が利益を押し上げ、客数は +0.4% と弱く、競合は多い。利益率が 10% を超えて維持できるかは関税と通販・ウォルマートとの競争に左右されるため、慎重な見方が強い。中立を最大にし、悲観側を厚くした(10 年の悲観・やや悲観の合計は 37%)。10 年の中立に式の 8 割(15 倍)を置くと、還元込みの年率は約 6%で資本コストに届かず、結論は「やや割高」。その上積みも「利益率が 9% 前後で保たれる」ことへの依存が大きい。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 141.05 ドル269 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 61.82 ドル118 億ドル)。 今の値に割り戻すと 107.41 ドル205 億ドル、今との差 −18.0%、 期待の年率 +4.5%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 223.82 ドル427 億ドル | 75.50 ドル144 億ドル | +128.4% | +8.6% | 20.95 ドル40 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 185.62 ドル354 億ドル | 70.25 ドル134 億ドル | +95.3% | +6.9% | 51.18 ドル98 億ドル |
| 中立 | 36% | 158.34 ドル302 億ドル | 67.10 ドル128 億ドル | +72.0% | +5.6% | 81.16 ドル155 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 103.67 ドル198 億ドル | 54.51 ドル104 億ドル | +20.7% | +1.9% | 37.96 ドル72 億ドル |
| 悲観 | 13% | 49.06 ドル94 億ドル | 40.35 ドル77 億ドル | −31.8% | −3.8% | 11.62 ドル22 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 141.05 ドル269 億ドル | 61.82 ドル118 億ドル | +54.8% | +4.5% | 202.87 ドル387 億ドル |
今の株価時価総額 131.04 ドル250 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:多価格と客層の広がりが 10 年続き、営業利益率 10.3% 利益 25 億ドル · PER 17.3 倍 · 株価時価総額 223.82 ドル427 億ドル
10 年後(2035 年度=2036 年 1 月期)、ダラー・ツリーは「安さと宝探し」で幅広い所得層の週 1 回の店になる。多価格で単価が上がり、裁量品のシェアは 1.01% から 1.20%、消耗品は 0.517% から 0.60% へ。売上は 340 億ドル(年 +5.8%)、営業利益率は消耗品 7.4%・裁量品 12.9% で全社 10.3%、純利益 24.7 億ドル、ROE(ROIC 補正)は 29%。価格は物価並みに上げられ(指数 1.41)、ウォルマート・アルディ・アマゾン・ファイブ・ビロウの攻勢を、価格帯の広さと店の密度で防ぐ。新店は年 2% 台に鈍るが、既存店の客数が増える。
- 消耗品(食品・日用品・ペット・健康と美容):数量 19,440(米国の食品(家庭内)・日用品・ペット・健康と美容の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.8%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 165 億ドル・営業利益 12 億ドル。消耗品:シェア 0.600%・物価指数 1.41
- 裁量品(季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃ):数量 10,400(米国の季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.7%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 176 億ドル・営業利益 23 億ドル。裁量品:シェア 1.200%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 34.3%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 21.2%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(1.25 ドルを軸にした値頃の維持で物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.5 倍(来年の利益に対して)。関税と低所得層の財布に左右される利益なので、上限の 9 割(16.7 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.3 倍。時価総額 = 純利益 25 × 17.3 倍 = 427 億ドル。
確率:多価格・広い客層・小型店の密度が 10 年有効で、粗利益率が上がり続ける形。確率は 1 割弱。
やや楽観 20% やや楽観:営業利益率 9.5% を維持 利益 22 億ドル · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 185.62 ドル354 億ドル
10 年後、会社の長期成長(売上 5〜7%、1 株利益 8〜10%)を大筋で達成し、利益率 9.5% を維持する。消耗品のシェア 0.59%、裁量品 1.16%。売上は 329 億ドル(年 +5.4%)、営業利益率は消耗品 6.9%・裁量品 12.0% で全社 9.5%、純利益 22.0 億ドル、ROE(ROIC 補正)27%。価格は物価並み。競合は一部の商圏で客を奪うが、全体の客数はほぼ守る。新店は年 +3% から 2% 台へ鈍り、成長は既存店(客単価と客数の微増)が中心になる。設備投資は減価償却の 1.2 倍前後に落ち着き、純利益の約 8 割を自社株買いに回せる。
- 消耗品(食品・日用品・ペット・健康と美容):数量 19,260(米国の食品(家庭内)・日用品・ペット・健康と美容の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.8%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 160 億ドル・営業利益 11 億ドル。消耗品:シェア 0.590%・物価指数 1.41
- 裁量品(季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃ):数量 10,300(米国の季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.6%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 169 億ドル・営業利益 20 億ドル。裁量品:シェア 1.160%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 31.4%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.7%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(1.25 ドルを軸にした値頃の維持で物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.3 倍(来年の利益に対して)。関税と低所得層の財布に左右される利益なので、上限の 8.5 割(15.5 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 16.1 倍。時価総額 = 純利益 22 × 16.1 倍 = 354 億ドル。
確率:多価格と広い客層が保たれ、会社の長期成長を大筋で達成する形。
中立 36% 中立:シェアは飽和し、営業利益率 9.0% 利益 20 億ドル · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 158.34 ドル302 億ドル
10 年後、消耗品の市場は名目 年 +4.0%(数量 +0.7%・価格 +3.3% の業界の中立)のところ、ダラー・ツリーは新店と多価格の効果が飽和へ向かい、消耗品のシェアは 0.58%(今より 12% 増)、裁量品は 1.14% にとどまる。売上は 322 億ドル(年 +5.2%)。営業利益率は 9.0%(消耗品 6.4%・裁量品 11.5%)で、2025 年度の 8.3% と 2026 年度の約 9.1% の間。賃金・関税・盗難が利益率を決め、物価で価格を上げられる分だけ利益が伸びる。純利益 20.2 億ドル、ROE(ROIC 補正)25%。自社株買いは純利益の 約 8 割で、10 年間の正味の還元は約 128 億ドル。
- 消耗品(食品・日用品・ペット・健康と美容):数量 19,260(米国の食品(家庭内)・日用品・ペット・健康と美容の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.8%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 158 億ドル・営業利益 10 億ドル。消耗品:シェア 0.580%・物価指数 1.41
- 裁量品(季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃ):数量 10,200(米国の季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.6%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 164 億ドル・営業利益 19 億ドル。裁量品:シェア 1.140%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 29.3%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 18.6%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(1.25 ドルを軸にした値頃の維持で物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.0 倍(来年の利益に対して)。関税と低所得層の財布に左右される利益なので、上限の 8 割(14.4 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.9 倍。時価総額 = 純利益 20 × 14.9 倍 = 302 億ドル。
確率:業界の中立(数量 +0.7%・価格 +3.3%)で、ダラー・ツリーのシェア増は小型店の飽和で小幅にとどまる形。議論の落としどころ。
やや悲観 24% やや悲観:シェアが下がり、営業利益率 7.6% 利益 15 億ドル · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 103.67 ドル198 億ドル
10 年後、アマゾン・テム・シーインの雑貨の通販と、ウォルマートの配送、アルディ・リドルの出店で、ダラー・ツリーのシェアは消耗品 0.54%(今とほぼ同じ)、裁量品 1.04% に落ち着く。値頃を守るために価格は物価以下に抑え、関税の転嫁も遅れ、営業利益率は消耗品 5.3%・裁量品 9.8% で全社 7.6%(2019〜2022 年の水準)。売上は 290 億ドル(年 +4.1%)、純利益 14.9 億ドル(今の約 1.2 倍と、物価の上昇に届かない)、ROE(ROIC 補正)20%。新店は飽和で年 1% 台、既存店の客数は微減、自社株買いは純利益の 8 割にとどまる。
- 消耗品(食品・日用品・ペット・健康と美容):数量 18,900(米国の食品(家庭内)・日用品・ペット・健康と美容の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.8%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 144 億ドル・営業利益 8 億ドル。消耗品:シェア 0.540%・物価指数 1.41
- 裁量品(季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃ):数量 10,000(米国の季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.5%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 147 億ドル・営業利益 14 億ドル。裁量品:シェア 1.040%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 22.2%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.1%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(1.25 ドルを軸にした値頃の維持で物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.1 倍(来年の利益に対して)。競合に押されて優良でなくなる分、上限の 7.5 割(12.8 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 13.3 倍。時価総額 = 純利益 15 × 13.3 倍 = 198 億ドル。
確率:通販・ウォルマート・アルディの攻勢でシェアが下がり、関税と賃金で利益率が 2025 年度を下回る形。
悲観 13% 悲観:構造的に負け、営業利益率 5.8% 利益 9 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 49.06 ドル94 億ドル
10 年後、構造的に負ける。高い関税が続き、輸入品の多い店は粗利益率が下がり、通販とウォルマート・アルディが同じ客層を奪う。消耗品のシェアは 0.47%、裁量品は 0.88%(市場は実質 −3%)。価格は物価を下回り(値下げ競争)、営業利益率は消耗品 4.2%・裁量品 7.4% で全社 5.8%。売上は 242 億ドル(年 +2.2%、物価の上昇に届かない)、純利益 8.9 億ドル(今の約 7 割)、ROE(ROIC 補正)15%、g 2.5%。多価格の店の閉鎖や在庫の評価損も出る。借金で自社株買いをしてきた分だけ自己資本は薄く、床は食品の来店頻度と店の網にしかない。
- 消耗品(食品・日用品・ペット・健康と美容):数量 18,360(米国の食品(家庭内)・日用品・ペット・健康と美容の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.7%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 122 億ドル・営業利益 5 億ドル。消耗品:シェア 0.470%・物価指数 1.41
- 裁量品(季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃ):数量 9,700(米国の季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 1.2%(ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 120 億ドル・営業利益 9 億ドル。裁量品:シェア 0.880%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 14.1%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.1%、g 3.0%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(1.25 ドルを軸にした値頃の維持で物価より低め)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.6 倍(来年の利益に対して)。競合に押されて優良でなくなる分、上限の 7 割(10.2 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.5 倍。時価総額 = 純利益 9 × 10.5 倍 = 94 億ドル。
確率:リーマン級の不況に加え、通販と競合に構造的に負けて優良でなくなる形。2018・2023・2024 年の赤字という前例があり 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
消耗品(食品・日用品・ペット・健康と美容)
売上の約 5 割(93 億ドル、推定)。食品・飲料・日用品・ペット用品・健康と美容。来店頻度を作る事業で、粗利益率は低い。
| 数量米国の食品(家庭内)・日用品・ペット・健康と美容の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18,000 | 0.5% | 93 | 6 |
| 10 年後 中立 | 19,260 | 0.8% | 158 | 10 |
取り方:米国の食品(家庭内)約 1 兆ドル(業界ノート)に、日用品・ペット・健康と美容などの約 8,000 億ドルを足し 1.8 兆ドルと置く(推定)。ダラー・ツリーの売上 194 億ドル(2026 年 1 月期)のうち消耗品を約 48%(93 億ドル。会社の品目別の開示が粗く推定)としてシェア 0.517%。営業利益は全社 16.1 億ドルを推定配分(消耗品 6.0%、裁量品 10.4%)。売上 = 市場(実質)× シェア × 物価指数。食料品ではウォルマートが約 2 割、コストコ・クローガー・アマゾンが各 1 割前後。
裁量品(季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃ)
売上の約 5 割(101 億ドル、推定)。季節品、雑貨、キッチン用品、パーティー、文具、おもちゃ。粗利益率が高く、多価格化で単価が上がる。
| 数量米国の季節品・雑貨・パーティー・文具・おもちゃの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ダラー・ツリーのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10,000 | 1.0% | 101 | 11 |
| 10 年後 中立 | 10,200 | 1.6% | 164 | 19 |
取り方:米国の季節品(装飾・庭・パーティー)、雑貨・キッチン、文具、おもちゃの店・通販の合計を約 1 兆ドルと推定(ダラー・ゼネラルの裁量品の置き方と同じ)。ダラー・ツリーの裁量品を約 52%(101 億ドル、推定)としてシェア 1.01%。営業利益は推定配分で 10.5 億ドル(率 10.4%)。売上 = 市場(実質)× シェア × 物価指数。アマゾン・ウォルマート・ターゲット・ファイブ・ビロウ・TJX・テム・シーインが競合。
リスクと懸念
関税の水準と、2026 年の還付の一過性
雑貨・季節品は輸入品が多く、関税が変わると粗利益率が動く。2026 年 5〜7 月期の還付は営業利益率で約 6.5 ポイント分の一度きりで、通期の 1 株利益見通しにも約 0.60 が含まれる。還付を除く利益率は約 7.6%(5〜7 月期)で、関税が戻れば粗利益率を 2〜3 ポイント失う恐れがある。
客数が増えず、客単価(値上げ)頼りの成長
既存店の客数は +0.4% にとどまり、売上の伸びは客単価(+3.3%)が主。多価格の転換が残り約 2,800 店で終われば、価格を上げる余地は物価並みに近づく。客数が割れ始めると、値上げの限界が先に来る。
競合:ウォルマート・アルディ・アマゾン・ファイブ・ビロウ
食品・日用品はウォルマートとアルディ・リドル、雑貨・季節品はアマゾン・テム・シーイン、同じ客層ではファイブ・ビロウとダラー・ゼネラルが攻める。ダラー・ツリーの優位は安さと小型店の密度だけで、堀は広くない。
自社株買いと借金による資本配分
2026 年は上期だけで約 12 億ドルを自社株買いし、5 億ドルを起債した。自己資本は 38 億ドルと小さく、ROE 34% は見かけ。株価が割高なときに借金で買うと価値を壊す。2015 年のファミリー・ダラー買収の失敗という前科もある。
低所得層・裁量消費の弱さ
売上の約 5 割を占める裁量品(季節品・雑貨・パーティー)は、景気と購買力の悪化で最初に削られる。不況では客が来ても裁量品の利益率が落ち、在庫の評価損と値引きで営業利益が 3〜4 割減る恐れがある(2023 年に利益率が崩れた前例)。
賃金・賃料・盛り損の上昇
賃金は物価で上がり、最低賃金の引き上げは店の人件費を直接押し上げる。9,400 店の小型店は固定費の比重が高く、客数が 1% 動くだけで営業利益率が 0.3〜0.5 ポイント動く(推定)。盛り損の改善が止まると利益率の戻りも止まる。
今後の分かれ目
- 関税の還付を除く営業利益率が、通期で 9% を超えて維持されたら
- 利益率の戻りが本物と判断し、楽観・やや楽観の確率を上げる。会社の長期成長 8〜10% が現実味を帯びる。
- 関税が元の高さに戻り、粗利益率が 2 ポイント以上悪化したら
- 利益率は 7% 台に落ち、やや悲観に寄せる。仕入れ先の分散と価格転嫁の進み方を見て、悲観の確率を上げる。
- 既存店の客数が 2 四半期連続で前年を割り、客単価だけで伸びを保つ形になったら
- 客の流出が始まったと見て、やや悲観・悲観の確率を上げ、シェアの伸びを 0 にして見る。
- 不況で失業が増え、裁量品が 10% 以上落ちたら
- 在庫評価損と値引きで営業利益が 3〜4 割減る。10 年の悲観の確率を上げ、稼ぐ力(純利益 ÷ k)で床を見る。
- ウォルマート・アルディ・アマゾン・ファイブ・ビロウが同じ客層で出店・配送を広げ、客数が戻らなければ
- 堀(安さ・小型店の密度)が狭まっているとみて、10 年のシェアの伸びを 0 にし、悲観の確率を上げる。
- 自社株買いを借金でさらに増やし、純有利子負債が時価総額の 4 割を超えたら
- 借金の重さで quality の debt が上がり、資本コストが上がる。式の倍率が下がる(k が 0.5 ポイント上がると PER は 2〜3 倍下がる)。
見ておくもの
- 既存店の客数と客単価、多価格の店数・売上比率(現在 17%)
- 関税の還付を除く粗利益率・営業利益率、関税の水準
- 高所得層の新規客の比率と来店頻度、低所得層の指標
- ウォルマート・アルディ・アマゾン・ファイブ・ビロウ・ダラー・ゼネラルの動き
- 自社株買いの額と借金の残高
- 新店(約 400)の売上と、閉店数(約 75)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 18.5 倍を見る前に、消耗品と裁量品の 2 つを、市場(実質)× シェア × 物価指数で積み、営業利益率で利益を置いた。倍率は今の株価や過去の PER を見ず、ROE・g 3.5%(価格 +3.5%・市場数量 +0.2%・シェア 0 から出した値で、ROE からは出していない)・k 8.0%(基本 8.0%。循環 −0.5% と借金 +0.5% で相殺)の式から出した。式の ROE は、自己資本が縮み帳簿の ROE が 40% 超になる見込みなので、ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後)× 純負債 ÷ 自己資本(1 倍まで)で出した。低所得層の財布と関税に利益が左右されるので上限の 70〜90% に置いた。結果は 10 年の中立で還元込みの年率が約 6%と資本コストに届かず、やや割高に出た。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。