結論
ターゲットは米国に約 2,000 店を持つ総合量販で、2026 年 1 月期の売上は 1,048 億ドル(前期比 −1.7%)、調整後の営業利益率は 4.6%(前期 5.2%)、GAAP の純利益は 37 億ドル、自己資本利益率(ROE)は 23%。売上の約 4 分の 1 が食品・飲料、約 17% が家庭用品、残りが美容、ハードライン(おもちゃ・電子機器・スポーツ)、衣料、ホームで、衣料とホームという裁量消費の比率が約 3 割と、ウォルマートやコストコより高い。2025 年は既存店が −2.6%、不買運動と在庫・品ぞろえの失点で客数が落ちたが、2026 年 2 月に就任したマイケル・フィデルキ氏の下で 3 月に「2026 年に約 20 億ドルを追加投資する」計画を出し、2026 年 5〜7 月期は既存店 +3.8%(客数 +3.6%)に戻った。この期の営業利益 25.6 億ドルには関税還付 9.9 億ドルが入っており、通期の見通しは売上 約 +5%、営業利益率 約 6%(還付を除くと約 5.1%)。
事業の質は、ウォルマートより一段低い。堀はおしゃれな自社ブランド・差別化した品ぞろえ・当日配送(デジタル売上の約 3 分の 2)だが、価格を決める力は規模で勝るウォルマート・コストコ・アマゾンに及ばず、2021〜2024 年にシェアを 0.18 ポイント失った間に、ウォルマートは 0.75 ポイント、コストコは 0.15 ポイント取った。一方、広告・有料会員・出品手数料は小さいが利益率が高い。
バリュー投資の観点では、「10 年後もこの事業はあるか。堀は広がるか」を問う。ある。ただし堀は狭い。資本コスト 8.0%・ROE 22%・成長 3.5% の利益ベースの正当化 PER は来年の利益の約 17 倍で、今の PER より低い。裁量品が重く景気と在庫に敏感なので、その 8 割を使う。事業を売上=市場×シェア×価格(10 年で物価並みの約 1.4 倍)で積み上げると、10 年後の中立は営業利益率 5.7%(2015〜19 年の水準への復帰)、純利益 65 億ドル、PER 15.0 倍で時価総額は今の約 1.4 倍。配当込みの 10 年中立の年率は約 7% で資本コスト 8.0% に届かない。悲観を厚く置いた結論は「適正」。ただし立て直しの成否で幅が大きい銘柄である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後も事業があるかを問う。ある。米国の約 2,000 店と配送網は複製が難しく、食品・日用品の来店頻度と、おしゃれな自社ブランドが客を呼ぶ。ただし堀は狭く、規模で勝る競合が毎年シェアを取る構造に立っている。堀が広がるか狭まるかが、立て直しの成否で分かれる。
次にオーナー利益を見る。純利益 37 億ドル(調整後で約 34 億ドル)は株式報酬を費用に含む。設備投資が 37 億ドルから 50 億ドルへ上がるので、フリーキャッシュフローは 2025 年の 28 億ドルから 2026 年はさらに薄くなり、配当 21 億ドルをなんとか賄う程度。時価総額 703 億ドルに対する配当利回りは約 3%、オーナー利益の利回りは約 4〜5% で、ウォルマートの 1.5% より高い。値段は成長を前払いしていない。
安全域の議論では、中立の 10 年後(純利益 65 億ドル・PER 15.0 倍)で時価総額は今の約 1.4 倍、配当込みの年率は約 7% と資本コスト 8.0% にわずかに届かない。構造的に負ける悲観(利益 27 億ドル・PER 10.5 倍)でも時価総額は今の約 4 割、還元を足すと約 7 割で、致命傷にならない。経営は 2022 年の在庫過多という資本配分の失点があり、いまは設備投資に資金を寄せて挽回を図る。わからない部分は、衣料・ホームが下げ止まるか、広告・会員の利益がどこまで育つか、アマゾンとテム・シーインの価格競争。
何で稼ぐ会社か
売上は 4 つの塊に分けて見る。第 1 は必需品(食品・飲料 241 億ドル、家庭用品 180 億ドル。計 421 億ドル、売上の 40%)で、来店頻度を作る事業。食品は 2025 年に新商品の提供量を 5 割増やして伸び、5〜7 月期は食品・飲料 +7.2%、家庭用品 +4.4%。第 2 は美容(132 億ドル)とハードライン(おもちゃ・電子機器・スポーツ・エンタメ。158 億ドル)の計 290 億ドル(28%)。美容はプレステージブランドとサービスで伸び、ハードラインは 5〜7 月期に +10.6%。第 3 は衣料(157 億ドル)とホーム(家具・装飾。156 億ドル)の計 313 億ドル(30%)で、2025 年はそれぞれ −4.7%、−6.5%と、最も弱い。
第 4 は非商品の収入(約 21 億ドル):広告収入(Roundel。9.2 億ドル、前期 +41%、2026 年は 2〜4 月期に 2.46 億ドル、5〜7 月期に 2.79 億ドル)、クレジットカードの利益分配(5.2 億ドル、減少)、会員収入・マーケットプレイス手数料(6.3 億ドル、前期 +20%)。事業ごとの営業利益は開示されないので、広告 55%・カード 90%・会員ほか 30% の利益率を置き、全社の調整後営業利益 48 億ドルを、必需品 15 億ドル(率 3.6%)、美容・ハードライン 13 億ドル(4.5%)、衣料・ホーム 8 億ドル(2.5%)、非商品 12 億ドル(52%)と推定した。
商品の粗利益は約 28% と、ウォルマートより高い(自社ブランドの比率が高い)一方、人件費と店の設備の費用が重く、営業利益率は同じ 4% 台になる。店は郊外の大型店が中心で、店の在庫を宅配・店頭受け取りの出荷に使う。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は自社ブランド(カット・アンド・ジャック、グッド・アンド・ギャザー、アップ・アンド・アップ、スレッショルドなど)と、デザイナーとの限定品で、差別化した裁量品を売る力。第 2 は店舗を拠点にした当日配送(Drive Up・店で受け取り・Shipt)で、店の在庫を宅配に使うため、アマゾンより配送費が安い。第 3 は広告と会員で、Roundel は仕入先の販促費が付け替わる先として育っている。
資本効率は ROE 23%(自社株買いで自己資本が縮んだ結果。2015〜2020 年は 25〜30%)、営業利益率は 2015〜19 年に 5.6〜6.3%、2021 年に 8.5%(コロナ特需)、2022 年に 3.6%(在庫過多)と、商品の見立てに利益が振れる。経営はコーネル氏からフィデルキ氏(財務・運営の出身)へ 2026 年 2 月に引き継がれ(フィデルキ氏は直前まで最高執行責任者)、店の人件費・研修・改装・技術への先行投資を明確にした。設備投資は 2025 年の約 37 億ドルから 2026 年に約 50 億ドルへ上がり、30 店以上の新店、130 店以上の全面改装を行う。
弱点は、第 1 に衣料・ホームの不振(2025 年に −4.7%、−6.5%)で、ここが売上の約 3 割を占めること。第 2 に、規模の優位でウォルマート(食料雑貨でも総合でも)、コストコ、アマゾンに劣ること。第 3 に、2025 年の DEI 縮小をめぐる不買運動と、在庫・人手不足・施錠された商品棚などの運営の失点で来店客を失ったこと。事業の質は中位で、予測のしやすさは食品の小売より低い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の小売は、食料品・日用品が物価並みに伸びるが数量はほぼ横ばいで、衣料・家庭用品などの裁量消費は景気と物価に敏感。業界の見通し(食品・日用品の小売市場は名目 年 +4%、大手が毎年 0.2〜0.4 ポイントの占有率を取る)の中で、ターゲットは占有率を失ってきた側にいる。2021〜2024 年の市場シェアは、ターゲット −0.18 ポイント、ウォルマート +0.75、コストコ +0.15、アマゾン +0.07(GlobalData)。ターゲットの客は、支出の総額を変えず、ウォルマートとコストコに支出を移した(Indagari)。
競争は、ウォルマートが規模と低価格・配送、コストコが会費と大箱、アマゾンが品ぞろえと配送、ダラー・ゼネラルが低所得層の近所の店、テム・シーインが中国発の低価格の衣料・雑貨で挑む形。ターゲットは「おしゃれで価格に納得できる」立ち位置を取るが、衣料・ホームはアマゾン・テム・シーイン・TJX(ティージェイ・マックス)・IKEA に挟まれ、価格で防げない。AI のエージェントが買い物の入口を握れば、店の集客力も弱まりうる。
循環では、ターゲットは食品比率が低く、裁量品が多いので、景気後退と在庫調整に弱い(リーマンで株価が山から谷 −56%、2022 年の利上げ期に −48%)。2025 年は関税が仕入れ価格を押し上げたが、2026 年 5〜7 月期にIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税の還付(9.9 億ドル)が入り、足元の利益を押し上げている。分かれ目は、店の客数が増え続けるか、衣料・ホームが下げ止まるか、広告・会員が利益の下支えになるかである。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、配当は 2025 年に 20.5 億ドルで、50 年超の増配を続けている。自社株買いは 2025 年に 4.1 億ドル(前年 10 億ドル)に絞り、5〜7 月期はゼロ。承認枠は約 83 億ドル残る。株式報酬は年約 3〜4 億ドルと小さく、正味の還元は配当 + 自社株買い − 株式報酬の分とした。
資本の優先順位は、設備投資(2026 年 約 50 億ドル)が第 1。第 2 が配当、第 3 が自社株買い(利益の回復と設備投資の山が過ぎてから再開)。有利子負債は 2026 年 8 月に 154 億ドルとリース除きで前年より 11 億ドル減り、格付けの維持を重視している。M&A は過去に大型がなく(カナダ事業の撤退は 2015 年)、今後も小さな提携・買収が中心で、買う側にも買われる側にもなりにくい(創業家の支配株主はいない)。
鍵は、設備投資 50 億ドルの回収率(新店 30 店、全面改装 130 店)が資本コスト 8.0% を上回り、営業利益率が戻ること。自社株買いを急に増やすのは、利益が戻る前は慎重にすべき。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ターゲットの 2025 年の落ち込みは、事業の劣化ではなく、不買運動と在庫・店舗運営の失点に原因がある。新しい CEO が約 20 億ドルを店の人件費・研修・改装・技術に先行投資し、2026 年 5〜7 月期は既存店 +3.8%、客数 +3.6%、食品・飲料 +7.2%、美容 +7.2%、ハードライン +10.6% と、客数の戻りがはっきりした。関税の還付を除いても営業利益率は約 5.1% に戻り、2025 年の調整後 4.6% を 0.5 ポイント上回る。
利益の天井も高い。2015〜19 年は営業利益率が 5.6〜6.3% で、広告(Roundel)と有料会員(Circle 360)と第三者の出品(Target Plus)が加わった今は、同じ商品の力で 6% 台後半まで届きうる。非商品の収入は 2025 年に約 21 億ドルで、営業利益の約 4 分の 1。ここが 10 年で 2.5 倍になれば、商品の営業利益率が 4% のままでも全社の利益率は 6% を超える。130 店の全面改装と 30 店の新店は、2035 年までの 300 店の出店につながり、店で受け取る当日配送の優位は、アマゾンより固定費が軽い。
今の PER 19 倍は高く見えるが、利益が最悪の水準(調整後営業利益率 4.6%)にあるので割安だ、と見る。
慎重な見方
ターゲットは、規模で勝る 3 社(ウォルマート、コストコ、アマゾン)に、毎年シェアを取られてきた。2021〜2024 年に −0.18 ポイントを失い、客の支出総額は横ばいなのに、支出先がウォルマートとコストコに移った。2026 年の既存店 +3.8% は、前年の落ち込み(−2.6%)の戻りと、関税の還付で粗利益が押し上げられた数字で、持続の保証にならない。
売上の約 3 割を占める衣料とホームは、2025 年に −4.7%、−6.5% で、5〜7 月期もそれぞれ +0.1%、+0.2% と横ばい。ここはテム・シーイン・アマゾン・TJX・IKEA と価格で競い、自社ブランドの差別化だけでは守りきれない。設備投資は 37 億ドルから 50 億ドルへ上がり、営業費も 10 億ドル増える。回収が遅れれば、利益率は 5% に戻らず、ROE は下がる。2022 年に在庫が過多になって営業利益率が 3.6% まで落ち、株価が −48% になった前例もある。
食品の比率が低く裁量品が多い事業は、景気後退に弱い。リーマンで −56% だった。広告と会員は成長が速いが、営業利益のまだ 4 分の 1 で、商品の利益を埋めるには足りない。
どちらに重みを置いたか
立て直しの兆しは強気の見方が強いが、競合に負け続けてきた 4 年の実績と、衣料・ホームの不振は慎重な見方が強い。足元の客数の戻りは本物だが、関税の還付は一度きりなので、確率は楽観側に寄せすぎず、中立を最大にし、悲観側を厚くした(10 年の楽観・やや楽観の合計は 30%。やや悲観・悲観の合計は 36%)。利益ベースの正当化 PER(10 年中立 15 倍)では、10 年の中立は配当込みの年率が約 7% と資本コストをやや下回る。確率で重ねた本質価値は今の時価総額の約 5% 下で、結論は「適正」。ただし立て直しの成否で、10 年後の時価総額は今の 6 割から 3 倍まで開く。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 201.84 ドル920 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 78.89 ドル359 億ドル)。 今の値に割り戻すと 147.19 ドル671 億ドル、今との差 −6.9%、 期待の年率 +5.9%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 364.09 ドル1,659 億ドル | 110.18 ドル502 億ドル | +200.0% | +11.6% | 37.94 ドル173 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 278.86 ドル1,271 億ドル | 94.60 ドル431 億ドル | +136.2% | +9.0% | 82.16 ドル374 億ドル |
| 中立 | 34% | 214.00 ドル975 億ドル | 82.53 ドル376 億ドル | +87.5% | +6.5% | 100.82 ドル459 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 132.77 ドル605 億ドル | 65.41 ドル298 億ドル | +25.3% | +2.3% | 45.58 ドル208 億ドル |
| 悲観 | 13% | 62.05 ドル283 億ドル | 47.41 ドル216 億ドル | −30.8% | −3.6% | 14.23 ドル65 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 201.84 ドル920 億ドル | 78.89 ドル359 億ドル | +77.6% | +5.9% | 280.74 ドル1,279 億ドル |
今の株価時価総額 158.11 ドル720 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:商品の主導権を取り戻し、非商品が育って利益率が 6.8% に 利益 92 億ドル · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 364.09 ドル1,659 億ドル
10 年後(2036 年 1 月期)、ターゲットは「おしゃれで価格に納得できる」立ち位置を取り戻し、必需品の市場(実質 年 +0.7%)でシェア 3.25%、美容・ハードライン 5.0%、衣料・ホーム 4.75% へ(店舗は 2,000 店から約 2,300 店に増える)。物価の上昇(1.41 倍)を含め売上は 1,860 億ドル(年 +5.9%)。商品の営業利益率は必需品 4.4%、美容・ハードライン 5.4%、衣料・ホーム 4.2%。広告(Roundel)は年 +17% で約 45 億ドル、会員・出品手数料も伸びて、非商品は売上比 4.2%・75 億ドル(利益率 58%、営業利益 44 億ドル)。営業利益 127 億ドル(率 6.8%)、純利益 92 億ドル(今の約 2.6 倍)、ROE は 32%。競合に価格で対抗しながら、改装した店の利益が出る。倍率は式の 95%(PER 18.0 倍)。
- 必需品(食品・飲料と家庭用品):数量 16,050(米国の食品・飲料・家庭用品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 4.6%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 735 億ドル・営業利益 32 億ドル。必需品:シェア 3.25%・物価指数 1.41
- 美容・ハードライン(おもちゃ・電子機器・スポーツ):数量 7,490(米国の美容・おもちゃ・電子機器・スポーツ用品などの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 7.0%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 528 億ドル・営業利益 29 億ドル。美容・ハードライン:シェア 5.00%・物価指数 1.41
- 衣料・ホーム(衣料・アクセサリー、家具・装飾):数量 7,800(米国の衣料・アクセサリー・家具・家庭装飾品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 6.7%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 522 億ドル・営業利益 22 億ドル。衣料・ホーム:シェア 4.75%・物価指数 1.41
- 非商品(広告・会員・出品手数料・カード利益分配):数量 1,786(全社の商品売上(億ドル))× 価格 0.04(商品売上に対する非商品収入の比率)→ 売上 75 億ドル・営業利益 44 億ドル。非商品:広告・会員・出品手数料(商品売上比 4.2%)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 32.1%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 20.0%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(自社ブランドの値頃で物価並みかやや下)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.3 倍(来年の利益に対して)。裁量品の割合が高く景気で利益が振れるので、上限の 9.5 割(17.4 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 18.0 倍。時価総額 = 純利益 92 × 18.0 倍 = 1659 億ドル。
確率:フィデルキ体制の立て直しが 10 年続き、占有率が戻り、広告・会員・出品手数料が大きく育つ展開。大型小売が 10 年これを保つ確率は 1 割弱。
やや楽観 22% やや楽観:占有率を小幅に戻し、広告と会員で営業利益率が 6.2% に 利益 77 億ドル · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 278.86 ドル1,271 億ドル
10 年後、必需品のシェアは 3.10%、美容・ハードライン 4.7%、衣料・ホーム 4.45%。売上は 1,736 億ドル(年 +5.2%)。商品の営業利益率は必需品 4.15%、美容・ハードライン 5.0%、衣料・ホーム 3.8%。広告は年 +15% で約 37 億ドル、非商品は売上比 3.8%・64 億ドルで利益率 55%(営業利益 35 億ドル)。営業利益 107 億ドル(率 6.2%)、純利益 77 億ドル、ROE 27%。130 店の改装と 300 店の出店は、収益に結びつくが、アマゾンの当日配送の拡大で配送の優位は縮む。倍率は式の 9 割(PER 16.5 倍)。
- 必需品(食品・飲料と家庭用品):数量 15,900(米国の食品・飲料・家庭用品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 4.4%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 695 億ドル・営業利益 29 億ドル。必需品:シェア 3.10%・物価指数 1.41
- 美容・ハードライン(おもちゃ・電子機器・スポーツ):数量 7,420(米国の美容・おもちゃ・電子機器・スポーツ用品などの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 6.6%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 492 億ドル・営業利益 25 億ドル。美容・ハードライン:シェア 4.70%・物価指数 1.41
- 衣料・ホーム(衣料・アクセサリー、家具・装飾):数量 7,725(米国の衣料・アクセサリー・家具・家庭装飾品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 6.3%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 485 億ドル・営業利益 18 億ドル。衣料・ホーム:シェア 4.45%・物価指数 1.41
- 非商品(広告・会員・出品手数料・カード利益分配):数量 1,671(全社の商品売上(億ドル))× 価格 0.04(商品売上に対する非商品収入の比率)→ 売上 64 億ドル・営業利益 35 億ドル。非商品:広告・会員・出品手数料(商品売上比 3.8%)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 26.5%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.2%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(自社ブランドの値頃で物価並みかやや下)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.7 倍(来年の利益に対して)。裁量品の割合が高く景気で利益が振れるので、上限の 9 割(15.9 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 16.5 倍。時価総額 = 純利益 77 × 16.5 倍 = 1270 億ドル。
確率:堀(自社ブランド・当日配送・Roundel)が保たれ、衣料・ホームが物価並みに戻る展開。ウォルマートとアマゾンが競うため、占有率の戻りは限られる。
中立 34% 中立:優良になりきれない中堅の量販として、利益率は 2015〜19 年の水準へ復帰 利益 65 億ドル · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 214.00 ドル975 億ドル
10 年後、必需品の市場は名目 1.48 倍(数量 1.05 倍 × 価格 1.41 倍)、ターゲットのシェアは 2.95% で売上 656 億ドル、営業利益率 3.9%。美容・ハードラインは 4.45%(売上 462 億ドル、率 4.7%)、衣料・ホームは 4.2%(453 億ドル、率 3.3%。実質はほぼ横ばい)。広告は年 +12% で約 29 億ドル、会員・出品手数料も伸び、非商品は売上比 3.5%・55 億ドル(営業利益 29 億ドル)。売上は 1,626 億ドル(年 +4.5%)、営業利益 92 億ドル(率 5.7%)、純利益 65 億ドル。自社株買いと配当は純利益の約 74%。ROE は 22%、g 3.5%、k 8.0% の式の 85% で PER 約 15.0 倍(10 年目の利益に対して。式は来年の利益に約 17 倍で、×(1+g) を掛ける)に落ち着く。競争はウォルマート・コストコ・アマゾンが占有率を毎年伸ばす中で、ターゲットはほぼ維持する。
- 必需品(食品・飲料と家庭用品):数量 15,765(米国の食品・飲料・家庭用品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 4.2%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 656 億ドル・営業利益 26 億ドル。必需品:シェア 2.95%・物価指数 1.41
- 美容・ハードライン(おもちゃ・電子機器・スポーツ):数量 7,357(米国の美容・おもちゃ・電子機器・スポーツ用品などの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 6.3%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 462 億ドル・営業利益 22 億ドル。美容・ハードライン:シェア 4.45%・物価指数 1.41
- 衣料・ホーム(衣料・アクセサリー、家具・装飾):数量 7,650(米国の衣料・アクセサリー・家具・家庭装飾品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 5.9%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 453 億ドル・営業利益 15 億ドル。衣料・ホーム:シェア 4.20%・物価指数 1.41
- 非商品(広告・会員・出品手数料・カード利益分配):数量 1,570(全社の商品売上(億ドル))× 価格 0.04(商品売上に対する非商品収入の比率)→ 売上 55 億ドル・営業利益 29 億ドル。非商品:広告・会員・出品手数料(商品売上比 3.5%)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 22.1%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.1%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(自社ブランドの値頃で物価並みかやや下)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.1 倍(来年の利益に対して)。裁量品の割合が高く景気で利益が振れるので、上限の 8.5 割(14.5 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 15.0 倍。時価総額 = 純利益 65 × 15.0 倍 = 975 億ドル。
確率:業界ノートの中立(市場は物価並み、数量は年 +0.5〜0.7%)と、ターゲットの占有率の小幅な回復、営業利益率の復帰(2015〜19 年は 5.6〜6.3%)に広告・会員の積み上げを足した置き方。議論の落としどころ。
やや悲観 23% やや悲観:競合に占有率を譲り続け、営業利益率が 4.6% にとどまる 利益 46 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 132.77 ドル605 億ドル
10 年後、必需品のシェアは 2.75%、美容・ハードラインは 4.0%、衣料・ホームは 3.7% に下がる。市場は物価並みに伸びても、売上は 1,449 億ドル(年 +3.3%、物価の上昇を下回る)。商品の営業利益率は必需品 3.4%、美容・ハードライン 4.0%、衣料・ホーム 2.5%。広告は年 +9% で伸びが鈍り、非商品は売上比 3.0%・42 億ドル。営業利益 67 億ドル(率 4.6%)、純利益 46 億ドル(今の約 1.3 倍。物価の 1.41 倍を下回る)。設備投資の回収率が資本コストを下回り、ROE は 17% に下がる。倍率は g 3.5% で PER 13.2 倍。
- 必需品(食品・飲料と家庭用品):数量 15,600(米国の食品・飲料・家庭用品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 3.9%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 605 億ドル・営業利益 21 億ドル。必需品:シェア 2.75%・物価指数 1.41
- 美容・ハードライン(おもちゃ・電子機器・スポーツ):数量 7,280(米国の美容・おもちゃ・電子機器・スポーツ用品などの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 5.6%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 411 億ドル・営業利益 16 億ドル。美容・ハードライン:シェア 4.00%・物価指数 1.41
- 衣料・ホーム(衣料・アクセサリー、家具・装飾):数量 7,500(米国の衣料・アクセサリー・家具・家庭装飾品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 5.2%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 391 億ドル・営業利益 10 億ドル。衣料・ホーム:シェア 3.70%・物価指数 1.41
- 非商品(広告・会員・出品手数料・カード利益分配):数量 1,407(全社の商品売上(億ドル))× 価格 0.03(商品売上に対する非商品収入の比率)→ 売上 42 億ドル・営業利益 20 億ドル。非商品:広告・会員・出品手数料(商品売上比 3.0%)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 16.5%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.3%、g 3.5%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(自社ブランドの値頃で物価並みかやや下)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.9 倍(来年の利益に対して)。ウォルマートやアマゾンに押される構造の弱さが出るので、上限の 8 割(12.7 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 13.2 倍。時価総額 = 純利益 46 × 13.2 倍 = 605 億ドル。
確率:ウォルマート・コストコ・アマゾンの占有率拡大と、テム・シーインの価格攻勢で、ターゲットのシェアが 2021〜2024 年と同じペースで下がる展開。実際に起きた前例があり、確率は 2 割強。
悲観 13% 悲観:構造的に負ける(占有率を失い、衣料・ホームが縮み、優良でなくなる) 利益 27 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 62.05 ドル283 億ドル
10 年後、買い物の入口が AI のエージェントとアマゾンに移り、ターゲットのシェアは必需品 2.4%、美容・ハードライン 3.4%、衣料・ホーム 3.1% に下がる(衣料・ホームの市場は実質で 3% 縮む)。売上は 1,200 億ドル(今の約 1.15 倍。物価上昇の 4 割以下)。商品の営業利益率は必需品 2.9%、美容・ハードライン 3.3%、衣料・ホーム 1.5%、広告・会員 40%(非商品は 28 億ドル)。不採算の店を閉じる費用も重なり、営業利益 42 億ドル(率 3.5%)、純利益 27 億ドル(今の約 7 割)。ROE は 11% に落ち、g 3% で PER 10.5 倍。自己資本 254 億ドルに対して PBR 1.1 倍で、不動産(自社所有の店舗が多い)と純資産が床になる。
- 必需品(食品・飲料と家庭用品):数量 15,300(米国の食品・飲料・家庭用品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 3.4%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 518 億ドル・営業利益 15 億ドル。必需品:シェア 2.40%・物価指数 1.41
- 美容・ハードライン(おもちゃ・電子機器・スポーツ):数量 7,000(米国の美容・おもちゃ・電子機器・スポーツ用品などの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 4.8%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 336 億ドル・営業利益 11 億ドル。美容・ハードライン:シェア 3.40%・物価指数 1.41
- 衣料・ホーム(衣料・アクセサリー、家具・装飾):数量 7,275(米国の衣料・アクセサリー・家具・家庭装飾品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 4.4%(ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 318 億ドル・営業利益 5 億ドル。衣料・ホーム:シェア 3.10%・物価指数 1.41
- 非商品(広告・会員・出品手数料・カード利益分配):数量 1,171(全社の商品売上(億ドル))× 価格 0.02(商品売上に対する非商品収入の比率)→ 売上 28 億ドル・営業利益 11 億ドル。非商品:広告・会員・出品手数料(商品売上比 2.4%)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 10.6%、k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 9.3%、g 3.0%(市場の数量(実質で年 +0.5% ほど)× シェア(ほぼ横ばい)× 価格(自社ブランドの値頃で物価並みかやや下)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.6 倍(来年の利益に対して)。ウォルマートやアマゾンに押される構造の弱さが出るので、上限の 7.5 割(10.2 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.5 倍。時価総額 = 純利益 27 × 10.5 倍 = 283 億ドル。
確率:リーマン級の不況に加え、10 年のうちに、アマゾン・ウォルマート・テム・シーイン・AI のエージェントが買い物の入口を奪い、価格だけで戦う普通の量販に変わる展開。ターゲットは前例があり、確率は 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
必需品(食品・飲料と家庭用品)
食品・飲料 241 億ドルと家庭用品 180 億ドル。来店頻度を作る事業で、自社ブランド(グッド・アンド・ギャザー、アップ・アンド・アップ)の比率が高い。
| 数量米国の食品・飲料・家庭用品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 15,000 | 2.8% | 421 | 15 |
| 10 年後 中立 | 15,765 | 4.2% | 656 | 26 |
取り方:米国の食料品(家庭内)約 1 兆ドル(業界ノート)に、家庭用品・ペット・一般用医薬品などの約 5,000 億ドルを足し 1.5 兆ドルと置く。ターゲットの食品・飲料 241 億ドル+家庭用品 180 億ドル(2026 年 1 月期)からシェア 2.81%。営業利益は全社の調整後 48 億ドルを推定配分(率 3.6%)。売上 = 市場(実質)× シェア × 物価指数。食料品ではウォルマートが約 2 割、コストコ・クローガー・アマゾンが各 1 割前後で、ターゲットの占有率は 2% 台。
美容・ハードライン(おもちゃ・電子機器・スポーツ)
美容 132 億ドルとハードライン 158 億ドル。美容はプレステージブランドとサービス、ハードラインはおもちゃ・電子機器・スポーツ・エンタメ。
| 数量米国の美容・おもちゃ・電子機器・スポーツ用品などの小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7,000 | 4.1% | 290 | 13 |
| 10 年後 中立 | 7,357 | 6.3% | 462 | 22 |
取り方:米国の対象市場(美容 約 1,500 億ドル、おもちゃ・電子機器・スポーツ・エンタメなど約 5,500 億ドルの店・通販の合計)を約 7,000 億ドルと推定。ターゲットの美容 132 億ドル+ハードライン 158 億ドルからシェア 4.14%。営業利益は推定配分で 13 億ドル(率 4.5%)。売上 = 市場(実質)× シェア × 物価指数。アマゾン・ウォルマート・ウルタ・ビューティー・セフォラ・ベストバイなどが競合。
衣料・ホーム(衣料・アクセサリー、家具・装飾)
衣料・アクセサリー 157 億ドルとホーム 156 億ドル。裁量消費で、自社ブランド(カット・アンド・ジャック、スレッショルド)とデザイナーの限定品が柱。2025 年に最も弱かった。
| 数量米国の衣料・アクセサリー・家具・家庭装飾品の小売市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ターゲットのシェア × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7,500 | 4.2% | 313 | 8 |
| 10 年後 中立 | 7,650 | 5.9% | 453 | 15 |
取り方:米国の衣料・アクセサリー(約 4,000 億ドル)と家具・家庭装飾(約 3,500 億ドル)の小売市場を約 7,500 億ドルと推定。ターゲットの衣料 157 億ドル+ホーム 156 億ドルからシェア 4.17%。営業利益は推定配分で 8 億ドル(率 2.5%。在庫と値引きで最も振れる)。売上 = 市場(実質)× シェア × 物価指数。アマゾン・テム・シーイン・TJX・IKEA・ウォルマートが競合。
非商品(広告・会員・出品手数料・カード利益分配)
Roundel の広告 9.2 億ドル、クレジットカードの利益分配 5.2 億ドル、会員(Circle 360)・マーケットプレイス手数料ほか 6.3 億ドル。営業利益率が高い。
| 数量全社の商品売上(億ドル) | 価格商品売上に対する非商品収入の比率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,025 | 0.02 | 23 | 12 |
| 10 年後 中立 | 1,570 | 0.04 | 55 | 29 |
取り方:非商品の収入 20.6 億ドル(2026 年 1 月期。広告 +41%、会員ほか +20%、カード −9%)に、カテゴリ売上の端数 約 2 億ドルを足して 23 億ドルとし、商品売上 1,025 億ドルに対する比率 2.2% で置く。広告 55%・カード 90%・会員ほか 30% の利益率の推定で営業利益は約 12 億ドル(全社の約 4 分の 1)。数量は名目の商品売上なので、物価の上昇は数量の側に入っている(比率は物価で動かない)。広告収入の一部は売上原価の控除として計上されるため、実際の広告の経済価値はもっと大きい(推定)。
リスクと懸念
競合へのシェア喪失(ウォルマート・コストコ・アマゾン)
2021〜2024 年にターゲットはシェアを 0.18 ポイント失い、ウォルマートは 0.75 ポイント、コストコは 0.15 ポイント、アマゾンは 0.07 ポイント取った。ターゲットの客の支出総額は横ばいで、支出先が移っている。2026 年の既存店 +3.8% が戻りでなく一時の反発なら、この構造に戻る。
衣料・ホームの不振
売上の約 3 割を占める衣料(2025 年 −4.7%)とホーム(−6.5%)は、5〜7 月期も +0.1%、+0.2% と横ばい。テム・シーイン・アマゾン・TJX・IKEA に価格と品ぞろえで挟まれ、在庫過多の再発(2022 年は営業利益率 3.6%)も起きやすい。
関税の還付の一過性と仕入れ価格
5〜7 月期の営業利益に関税の還付 9.9 億ドル(粗利益率 +3.7 ポイント)が入り、通期の営業利益率 約 6% のうち約 0.9 ポイントがこれ。還付を除いた利益は約 5.1% で、仕入れ価格への関税の転嫁が遅れる期間が長引くと、そこからさらに下がる。
先行投資の回収(設備投資 約 50 億ドル)
2026 年に追加投資約 20 億ドル(設備投資 +10 億、営業費 +10 億)。30 店以上の新店と 130 店以上の改装、店の人件費・研修、AI。売上が計画どおりに伸びなければ、固定費が営業利益率を 0.5〜1 ポイント押し下げ、ROE が下がる。
景気と中所得層の財布
ガソリン高・SNAP の削減・失業率の上昇で裁量品の購入が減る。ターゲットは食品の比率が低く(約 4 分の 1)、裁量品の比率が高いので、景気後退と在庫調整に弱く、リーマンで株価 −56%、2022 年に −48%。
ブランドと運営の失点(不買運動・店の運営)
2025 年は DEI の縮小をめぐる不買運動で来店が 11 週続けて減り、施錠された商品棚・人手不足・在庫不足が体験を傷つけた。経営の判断が再び客を遠ざける事態になると、既存店の客数の戻りが止まり、立て直しが数年遅れて、利益率の復帰も後ろにずれる。
広告・会員の伸びの鈍化
広告(9.2 億ドル、前期 +41%)・会員・出品手数料はまだ営業利益の約 4 分の 1。利益率が高いぶん、伸びが年 +10% を割ると、全社の営業利益率を押し上げる柱が弱くなる。クレジットカードの利益分配(5.2 億ドル)は減少が続く。
今後の分かれ目
- 既存店の客数が 2027 年も +2% 以上で伸び、衣料・ホームが前年比プラスに戻ったら
- 立て直しが本物と判断し、楽観・やや楽観の確率を上げる。営業利益率 5.5% 以上が現実味を帯びる。
- 関税の還付を除いた営業利益率が 5% を割ったら
- 一過性の押し上げが剥がれ、利益の質が低いとわかる。やや悲観の確率を上げ、倍率を 2〜3 倍下げて見る。
- ウォルマートの食料雑貨とアマゾンの当日配送がターゲットの商圏で広がり、ターゲットの客数が 2 四半期連続で落ちたら
- 競合への負けが続く。10 年の悲観・やや悲観の確率を上げ、シェアの回復を 0 にして見る。
- 景気後退で裁量品が落ち、在庫が売上の伸びを超えて積み上がったら
- 在庫評価損と値下げで営業利益が 3〜5 割減る。10 年の悲観の確率を上げ、稼ぐ力(純利益 ÷ k)で床を見る。
- 広告の伸びが 2028 年まで年 +20% を保ち、非商品の利益が全社の 3 分の 1 を超えたら
- 営業利益率が 6% 台に向かい、10 年の楽観寄りに確率をずらす。
- 設備投資の回収(新店・改装店の売上の伸び)が資本コスト 8.0% を下回るとわかったら
- 投資の拡大をやめない限り ROE が下がる。倍率を 2〜3 倍下げ、自社株買いの再開が遅れると見る。
見ておくもの
- 既存店売上の客数と客単価(店とデジタル)、衣料・ホームの前年比
- 関税の還付を除いた営業利益率と粗利益率
- 広告収入(Roundel)・会員収入・マーケットプレイス手数料の伸びと、非商品が営業利益に占める割合
- 食料雑貨とおもちゃなどの占有率(Numerator・GlobalData)と、ウォルマート・コストコ・アマゾンの動き
- 設備投資の売上比(約 5%)と改装店の売上の伸び
- 在庫の伸びと売上の伸びの差(在庫過多のサイン)
- 低所得・中所得層の指標(ガソリン価格・SNAP・失業率)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 19 倍を見る前に、必需品・美容とハードライン・衣料とホーム・非商品の 4 つを、市場(実質)× シェア × 物価指数で積み、営業利益率で利益を置いた。倍率は今の株価や過去の PER を見ず、ROE・g 3.5%(市場の数量・シェア・価格から出した値で、ROE からは出していない)・k 8.0%(基本 8.0%、quality は 0)の式から出し、裁量品が多く利益が振れるので上限の 75〜95% に置いた(10 年目の利益に掛けるので ×(1+g))。結果は 10 年の中立で還元込みの年率が約 7%と資本コストに届かず、適正に出た。営業利益率の復帰は 2015〜19 年の水準までで、それ以上は置いていない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。