株譜
AI 銘柄分析 · 生活必需品 · 試作

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド ADM

価格を決める力のない農産物加工の循環株。バイオ燃料の追い風で 2026 年は利益の山。ならした利益に k 9.5% の稼ぐ力(弱い堀の下限 1 ÷ k = 10.5 倍)を当てると、値段は割高

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)51.10 ドル247 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)79.8 ドル386 億ドル差 −36.0%
10 年後から見ると 割高 価値 51.10 ドル247 億ドル · 差 −36.0% · 期待の年率 +2.7%
期待の年率リターン(10 年)+2.7%資本コスト比 −6.8 pt
推定の資本コスト9.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 9.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は、大豆・トウモロコシ・小麦を世界中から集め、圧搾して植物油と飼料に、すり潰して甘味料・でんぷん・エタノールに、さらに食品原料へ加工する穀物商社である。2025 年は売上 803 億ドルに対し営業利益はわずか 8 億ドル(営業利益率 1.0%、直近 12 期で最低)、純利益 11 億ドル、ROE 4.7% と谷にあった。ところが 2026 年は、米環境保護庁が 2026〜27 年のバイオ燃料の混合義務量を決め、原油高で植物油が上がり、北米の大豆圧搾の利幅が 2022 年以来の高さになった。4〜6 月期の事業別営業利益は前年の 1.75 倍の 14.5 億ドルで、通期の調整後利益の見通しを引き上げた(調整後の純利益で約 26 億ドル規模)。

ただし事業の質は高くない。ADM はブンゲ、カーギル、ルイ・ドレフュス、中国の COFCO と並ぶ寡占の一角だが、商品価格の受け手で、価格を決める力は弱い。利益は「処理量 × 1 トンあたりの粗利益」で決まり、その利幅は政策と原油と豊作・不作に振られる。2025 年の谷と 2026 年の山の差が、この会社の性格を表している。

バリュー投資の観点では、山の利益に倍率を掛けず、数年ならした利益で見る。10 年後の中立は、価格が物価並みの約 1.4 倍、処理量が年 +1.5% 程度で、純利益 31 億ドル(2025 年の調整後の約 1.9 倍)、利益ベースの正当化 PER(ROE 約 10%・g 3.8%・k 9.5%、弱い堀で再投資の超過利益は 1/3 だけ残るとして来年の利益に約 10.7 倍。下限の 1 ÷ k は 10.5 倍)を 10 年目の利益に当てて PER 10.8 倍、時価総額は約 334 億ドル。配当込みの年率は約 3% で資本コスト 9.5% に届かない。今の時価総額 400 億ドルは 2026 年の利益(約 26 億ドル)の PER 15 倍台で、ならした利益の稼ぐ力(純利益 ÷ k)を上回る。利益が循環で振れ、悲観では今の 1〜5 割まで下がるので、結論は割高。

バリュー投資の観点から

バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。人が食べ・燃やす穀物と油の加工は、物価が上がる世界でも必要で、堀(世界の集荷網と圧搾・すり潰しの規模)は、たとえ広がらなくても残る。ただし「今より強いか」には慎重で、ブラジルの圧搾能力の急増と中国との貿易摩擦が、利益の構造を弱める側にある。

次にオーナー利益を見る。純利益から、工場を維持し能力を足すための設備投資(年 13〜15 億ドル、減価償却をやや上回る)を引くと、谷の年は余りが薄い。2025 年のフリーキャッシュフローは 42 億ドルだったが、運転資本の戻りで膨らんだ分が大きい。ならした利益(2014〜2025 年の純利益の中央 18 億ドルに物価の伸びを足して今の水準へ直した約 25 億ドル)に対し、時価総額 400 億ドルのオーナー利益利回りは 6% 台。利益は物価についていくので、名目の国債 5% と比べるより、資本コスト 9.5% と物価並みの成長を合わせて見る。

資本配分は、栄養の会計問題で経営の信頼が傷ついた。自社株買いを利益の山で多く、谷でゼロにするのは、割高な時に買う典型的な型で、評価できない。価格の安全域は無い。やや悲観の時価総額は約 207 億ドル(今の約半分)、悲観は約 54 億ドルまで下がり、下は深い。わからない部分は、バイオ燃料政策が 10 年続くかと、中国の大豆の買い方である。

何で稼ぐ会社か

ADM の事業は 3 つの報告セグメントに分かれる。第 1 は農業サービス・油糧種子(AS&O)で、売上の約 6 割を占める最大の柱。農業サービスは穀物・油糧種子の集荷・保管・輸出(ブラジル・米国・欧州の港湾網)、圧搾は大豆・菜種・ヒマワリを搾って油と粕にする事業で、北米の圧搾の主力は大豆。精製油・バイオ燃料原料(精製製品)と、シンガポールのウィルマーへの出資の持ち分利益もここに入る。2025 年の営業利益は約 16 億ドルと前年比 −34%。第 2 は炭水化物ソリューションで、トウモロコシをすり潰して高果糖コーンシロップ・でんぷん・エタノールを作る。2025 年の営業利益は約 12 億ドル(−12%)。第 3 は栄養で、風味・色素・原料(人の栄養)と飼料添加物・ペットフード原料(動物の栄養)。2025 年の営業利益は 4.2 億ドル(+8%)で、唯一増えた。

利益は、処理・取扱量 × 1 トンあたり粗利益で決まる。ADM の売上は商品価格で膨らむので、売上ではなく 1 トンあたり粗利益を見る必要がある。AS&O の営業利益は 2025 年で 1 トンあたり 15 ドル前後(取扱量 約 1.1 億トンの推定)と薄く、圧搾の利幅が 1 トンで数ドル動くだけで利益が数割動く。2026 年の圧搾の営業利益は 4〜6 月期だけで 3.6 億ドルと、前年の 10 倍近くに戻った。

数字の注意:事業別の売上・数量は開示がないので推定。事業別営業利益の合計は 2025 年で約 32 億ドルだが、本社費用・利払い・特別項目(SEC の制裁金、減損、リストラなど)を引いた全社の営業利益は 8 億ドルまで落ちた。

優良さと弱いところ

堀は「規模と物流」にある。世界の穀物の集荷・保管・港湾網、北米の圧搾工場(デカーター、シーダーラピッズなど)、トウモロコシの大型すり潰し工場は、新規参入者が複製しにくい。ABCD と COFCO の寡占は、需要が安定しているうちは過当競争を避ける効果がある。ただし価格を決める力は弱い。顧客は食品大手や燃料会社で、商品は規格品。差がつくのは、原料の調達力・工場の稼働率・保管と輸送の費用だけである。

資本効率は低い。ROE は 2014〜2025 年で 7〜18% を行き来し、平均は 10% 前後。ROIC(投下資本の利益率)は直近 4 四半期で 7.8% と、資本コストに届くか届かないかである。営業利益率は 12 期で 1〜5% と薄く、2025 年の 1.0% は最低。設備投資は年 13〜15 億ドルと利益の大半を食い、デカーター東工場は 18 か月の停止(保険金の協議中)。

経営の質には傷がある。栄養部門の事業間取引の会計処理を巡り、SEC が 2026 年 1 月に 4,000 万ドルの制裁金で和解した(司法省は捜査を終了)。2018〜23 年に栄養の営業利益を計 2.28 億ドル修正した件で、元 CFO ヴィクラム・ルタール氏への訴えは未決。現経営陣は統制の強化を進めているが、数字への信頼を取り戻す途中にある。強みは配当で、378 四半期連続(約 94 年)の配当を続けている。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

最大の変数はバイオ燃料政策である。米国では再生可能ディーゼルと持続可能航空燃料の原料に大豆油の需要が移り、圧搾の利幅は 2022 年の山の後、2024〜25 年に政策の先送りで崩れた(2025 年第 4 四半期の圧搾の利益は前年比 −69%)。2026 年 3 月に混合義務量(RVO)が 2026〜27 年分で確定し、原油高(中東情勢)も加わって、北米の圧搾の利幅は 2022 年以来の高さに戻った。さらに 45Z(クリーン燃料の生産税額控除)が ADM に年約 2.5 億ドルの追加利益を生む見通し(炭素強度の低い原料を使う工場の利益)。

供給側では、圧搾能力は満杯で、新設は鉄鋼・アルミの関税と金利で建設費が高く抑えられている。ADM は 4 工場を改修して約 70 万トン(米国の圧搾の約 1%)、10 工場を候補にして新設の 4 分の 1 の資本で能力を足す。一方ブラジルは圧搾能力が 2026 年に +13% の 8,640 万トンへ急増し、南米では供給過剰が精製製品の利益を削っている。

貿易では、中国が 2026 年に米国産大豆 2,500 万トンを買う約束があり、ADM の農業サービスの輸出の利益はこれに依存する。炭水化物は、飲料離れ・GLP-1・砂糖規制で高果糖シロップの数量が細り、エタノール(ガソリンへの混合)が支える構図。競合は、圧搾ではブンゲ(ビテルラ統合後で大型化、営業利益率 1.5%)とカーギル(非上場)、輸出では ABCD と COFCO。循環でいえば、2026 年は山で、2022 年の山の後と同じく数年かけて平常へ下がるのが過去の型である。リーマン期の ADM の株価は −55%、コロナで −24%、2022 年の利上げで −27% で、利益のブレがそのまま株価に出る。

資本政策と M&A

還元は配当と自社株買いの両方。配当は 2025 年に約 10 億ドル(2026 年 4〜6 月期の支払いは 2.56 億ドル)で、純利益の谷の年には利益に近い。自社株買いは 2023〜24 年に年 23〜27 億ドルと大きく、2025 年は止まり、株数は 2024 年に −9% だった。2026 年は「今年後半に機会があれば再開」の姿勢で、株式報酬による増加の分を打ち消す程度とみる。

財務は軽く、純負債は 42 億ドル(時価総額比 11%)、純負債倍率は 6 月末で 1.6 倍、年末に 2 倍近くまで上がる見通し(設備投資と配当が先行)。借り換えの影響は小さい(純負債 42 億ドルが約 5.75% に換わっても利払いの増加は年 1 億ドル未満)。

M&A は大型の買収より、事業の整理と能力増強が中心。栄養は 2021 年の大型買収(フレーバーのウイルド、ソレンスなど)で伸ばしたが、利益の水増しの問題が出た。ウィルマーへの約 2 割の出資は持ち分利益 4〜6 月期 0.6 億ドル(−22%)。今後は圧搾の能力増強(約 1 億ドル)と炭水化物の工場の整理に資金を割く。時価総額 400 億ドルと大きく、買収される可能性は低い。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

ADM は、今まさに利益の構造が変わる局面にある。米国のバイオ燃料の義務量が 2026〜27 年分で確定し、再生可能ディーゼルの大豆油の需要が圧搾の利幅を支える。ADM は北米最大級の圧搾工場網を持ち、4〜6 月期の圧搾の営業利益は 3.6 億ドルと前年の 10 倍近く、45Z の恩恵は年約 2.5 億ドルに上方修正された(さらに上がる可能性がある)。圧搾能力は満杯で、新設は建設費と金利で止まっており、供給は急に増えない。ADM は新設の 4 分の 1 の資本で 10 工場の能力を足せるので、競合に対して費用で有利。

さらに栄養は 4〜6 月期の営業利益が +51%(風味は中位の 1 桁成長、天然色素で 0.8〜1.0 億ドルの機会)で、利益率の高い事業が全体の質を上げる。炭水化物もエタノールが堅調で、米国のガソリン混合の義務が続く限り下支えされる。

これが続けば、純利益は 35 億ドル前後(2025 年の調整後の 2 倍強)に戻り、10 年後には物価で 1.4 倍の価格に、数量の伸びが加わって純利益 48 億ドルに届く。配当は 94 年続いており、自社株買いも利益の山で大きく再開できる。ROIC が資本コストを上回る年が増えれば、倍率も 11〜12 倍へ上がってよい。

慎重な見方

2026 年の利益は政策・原油・事故の保険金(デカーター)が重なった山で、ならした利益ではない。過去にも 2022 年に純利益 43 億ドルの山があり、2 年後の 2024 年には 18 億ドル、2025 年には 11 億ドルまで落ちた。今回も、混合義務量の決定は政治で変わり、原油が下がれば植物油の需要も細る。圧搾の北米の利幅は第 4 四半期の 3 割しか確定しておらず、実際に今の利益が続く保証はない。

構造の面でも、ブラジルの圧搾能力が 2026 年に +13% 増え、中国は米国産大豆の買い方を政治で決める。ABCD と COFCO の競争で価格を決める力はなく、商品の差別化もできない。ROE の平均は 10% 前後、ROIC は 7.8% で資本コストに届かない。栄養の会計不正(SEC に 4,000 万ドル)で数字への信頼も落ちた。

しかも今の株価は、谷の 2025 年の純利益に対して PER 37 倍で、山の 2026 年の利益に対しても PER 15 倍台と、k 9.5% の稼ぐ力(1 ÷ k = 10.5 倍)を超えている。山の利益が続くものとして掛ければ今の値段は妥当に見えるが、ならした利益に掛ければ割高になる。10 年の純利益が 31 億ドルでも、倍率が 10.8 倍なら時価総額は今の約 0.8 倍で、配当を足しても年率 3% にとどまる。悲観の筋書き(圧搾の過剰とバイオ燃料の政策転換で、2025 年を下回る谷)は、決して低い確率ではない。

どちらに重みを置いたか

事業の質(価格を決める力・資本効率・会計の信頼)は慎重な見方が強く、確率は悲観側に少し寄せた(10 年の悲観・やや悲観の合計 35%)。一方、強気の見方が示す圧搾の需給の締まりと 45Z は実際の追加利益で、中立の利益を 2026 年並みの水準(純利益 26 億ドル)から出発させた。10 年の中立は、ならした純利益 31 億ドルに、弱い堀の正当化 PER の下限 1 ÷ k(10.5 倍、10 年目の利益に対して 10.8 倍)を掛けた。総合の差は約 −38% で「割高」と出る。循環株として下は深く、ならした利益に満額の倍率を当てても今の値段は正当化しにくい。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 64.15 ドル310 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 39.69 ドル192 億ドル)。 今の値に割り戻すと 51.10 ドル247 億ドル、今との差 −36.0%、 期待の年率 +2.7%(資本コスト 9.5%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 115.25 ドル558 億ドル 57.85 ドル280 億ドル +116.8% +8.0% 13.85 ドル67 億ドル
やや楽観 20% 91.30 ドル442 億ドル 49.59 ドル240 億ドル +76.5% +5.8% 28.18 ドル136 億ドル
中立 37% 68.93 ドル334 億ドル 41.32 ドル200 億ドル +38.1% +3.3% 40.79 ドル197 億ドル
やや悲観 23% 42.79 ドル207 億ドル 30.99 ドル150 億ドル −7.6% −0.8% 16.97 ドル82 億ドル
悲観 12% 11.05 ドル54 億ドル 22.73 ドル110 億ドル −57.7% −8.2% 4.05 ドル20 億ドル
加重平均100% 64.15 ドル310 億ドル39.69 ドル192 億ドル +30.1% +2.7% 103.84 ドル503 億ドル

今の株価時価総額 79.84 ドル386 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。

楽観 8% 楽観:義務量が定着し、圧搾の利幅が高止まり、栄養が育つ 利益 48 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 115.25 ドル558 億ドル

10 年後(2035 年 12 月期)、AS&O の取扱量は 1.25 倍(圧搾の能力増強と 45Z が効く)、1 トンあたり売上は物価並みの 1.41 倍で売上は約 870 億ドル、営業利益率 4.8% で営業利益約 42 億ドル(2025 年の 2.6 倍)。炭水化物は数量 1.08 倍、エタノールで営業利益 20 億ドル。栄養は数量 1.5 倍、営業利益率 9.5% で 15 億ドル。全社の営業利益(本社費用・利払い 22 億ドルを引く)は約 56 億ドル、純利益は約 48 億ドル。競合のブンゲ・カーギルと同じ条件でも、ADM は能力増強の費用の低さで利益率を 1 ポイント上回る。ROE は 14% 台(のれんを除くと約 18%)まで上がり、PER 11.6 倍、時価総額は約 558 億ドル。10 年の正味還元は約 280 億ドル。

  • 農業サービス・油糧種子(集荷・輸出・圧搾・精製・ウィルマー持ち分):数量 138(処理・取扱量(百万トン、推定))× 価格 635(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 872 億ドル・営業利益 42 億ドル。数量 +2.3%/年
  • 炭水化物ソリューション(甘味料・でんぷん・エタノール):数量 59.4(製品の出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 487(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 289 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量 +0.8%/年
  • 栄養(風味・色素・動物栄養):数量 10.5(出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 1,531(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 161 億ドル・営業利益 15 億ドル。数量 +4%/年
  • その他・消去:数量 11.0(取扱量(百万トン換算、推定))× 価格 592(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 65 億ドル・営業利益 1 億ドル。+1%/年

倍率:ROE 14.3%、k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)、残る割合 弱い堀 1/3、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.1%、g 3.8%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.5 倍(来年の利益に対して)。ROE が k を少し上回るだけで、弱い堀なので再投資の超過利益は 1/3 しか残らず、式の値は下限の 1 ÷ k に近い。上限の 9.7 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.6 倍。時価総額 = 純利益 48 億ドル × 11.6 倍 = 558 億ドル。

確率:バイオ燃料の混合義務が拡大・定着し、植物油の需要で圧搾の利幅が山の 7〜8 割で 10 年続き、栄養の風味・色素が年 +4% で伸びる展開。中国も米国産を買い続ける。

やや楽観 20% やや楽観:利幅は平常を上回って推移し、栄養が成長 利益 39 億ドル · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 91.30 ドル442 億ドル

10 年後、AS&O の取扱量は 1.2 倍、1 トンあたり売上は 1.41 倍で売上は約 840 億ドル、営業利益率 4.2% で営業利益約 35 億ドル。炭水化物は数量 1.06 倍で営業利益 19 億ドル。栄養は数量 1.42 倍、営業利益率 8.8% で 13 億ドル。全社の営業利益は約 46 億ドル、純利益は約 39 億ドル(2025 年の調整後の 2.4 倍)。競合との差は、圧搾の稼働率と費用で ADM がブンゲとほぼ同じ利益率(約 3.5%)を保つにとどまる。PER 11.3 倍、時価総額は約 442 億ドル。10 年の正味還元は約 240 億ドル。

  • 農業サービス・油糧種子(集荷・輸出・圧搾・精製・ウィルマー持ち分):数量 132(処理・取扱量(百万トン、推定))× 価格 635(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 838 億ドル・営業利益 35 億ドル。数量 +1.8%/年
  • 炭水化物ソリューション(甘味料・でんぷん・エタノール):数量 58.3(製品の出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 487(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 284 億ドル・営業利益 19 億ドル。数量 +0.6%/年
  • 栄養(風味・色素・動物栄養):数量 9.9(出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 1,531(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 152 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量 +3.6%/年
  • その他・消去:数量 11.0(取扱量(百万トン換算、推定))× 価格 592(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 65 億ドル・営業利益 1 億ドル。+1%/年

倍率:ROE 12.8%、k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)、残る割合 弱い堀 1/3、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.6%、g 3.8%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.3 倍(来年の利益に対して)。式の値は下限の 1 ÷ k に近い。上限の 9.7 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.3 倍。時価総額 = 純利益 39 億ドル × 11.3 倍 = 442 億ドル。

確率:義務量と 45Z が続くが、圧搾能力の増加で山の 5〜6 割に利幅が落ち着く展開。栄養が年 +3.5% の数量で伸びる。

中立 37% 中立:ならした純利益 31 億ドル、倍率は式どおり 利益 31 億ドル · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 68.93 ドル334 億ドル

10 年後、AS&O の取扱量は 1.16 倍(年 +1.5%)、1 トンあたり売上は物価並みの 1.41 倍で売上は約 810 億ドル、営業利益率 3.6% で営業利益約 29 億ドル(2025 年の 1.8 倍)。炭水化物は数量 1.05 倍(高果糖シロップの減少をエタノールとでんぷんが埋める)、営業利益 17 億ドル。栄養は数量 1.35 倍、営業利益率 8% で 12 億ドル。全社の営業利益は約 37 億ドル(売上 1,300 億ドルの 2.8%)、純利益は約 31 億ドル(2025 年の調整後の約 1.9 倍、年 +6.5%)。競合のブンゲ(統合後の営業利益率 3% 台)・カーギルとほぼ同水準で、ADM は米国の圧搾で約 3 割のシェアを保つ。ROE は 10% 前後(のれんを除くと約 12%)、PER 10.8 倍で時価総額は約 334 億ドル。10 年の正味還元は約 200 億ドル。

  • 農業サービス・油糧種子(集荷・輸出・圧搾・精製・ウィルマー持ち分):数量 128(処理・取扱量(百万トン、推定))× 価格 635(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 810 億ドル・営業利益 29 億ドル。数量 +1.5%/年
  • 炭水化物ソリューション(甘味料・でんぷん・エタノール):数量 57.8(製品の出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 487(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 281 億ドル・営業利益 17 億ドル。数量 +0.5%/年
  • 栄養(風味・色素・動物栄養):数量 9.5(出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 1,531(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 145 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量 +3%/年
  • その他・消去:数量 11.0(取扱量(百万トン換算、推定))× 価格 592(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 65 億ドル・営業利益 1 億ドル。+1%/年

倍率:ROE 10.2%、k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)、残る割合 弱い堀 1/3、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 9.7%、g 3.8%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 10.7 倍(来年の利益に対して)。ROE が k を超えるので中立の PER は 1 ÷ k を下回らせられない。式の値が下限に近いので上限の 9.7 割に置いた。上限の 9.7 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.8 倍。時価総額 = 純利益 31 億ドル × 10.8 倍 = 334 億ドル。

確率:業界ノートの中立(処理量 年 +1.5%、1 トンあたり粗利益は物価並みの +3.0%)に、栄養の中位の 1 桁成長を加える。2026 年の山と 2025 年の谷のならし。

やや悲観 23% やや悲観:ブラジルと中国で米国の圧搾が不利に、利益率が平常を下回る 利益 19 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 42.79 ドル207 億ドル

10 年後、AS&O の取扱量は 1.08 倍にとどまり、1 トンあたり売上は 1.36 倍(物価に届かない)で売上は約 730 億ドル、営業利益率 2.9% で営業利益約 21 億ドル。炭水化物は数量が横ばいで営業利益 14 億ドル、栄養は 9 億ドル。全社の営業利益は約 22 億ドル(本社費用・利払い 22 億ドルを引く)、純利益は約 19 億ドル(2025 年の調整後の 1.2 倍)。ブンゲが統合で費用を下げ、ADM は営業利益率で競合に負け、圧搾のシェアを失う。PER 10.9 倍(稼ぐ力の 1 ÷ k に成長を乗せた値)、時価総額は約 207 億ドル(今の約 5 割)。10 年の正味還元は約 150 億ドル。

  • 農業サービス・油糧種子(集荷・輸出・圧搾・精製・ウィルマー持ち分):数量 119(処理・取扱量(百万トン、推定))× 価格 612(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 727 億ドル・営業利益 21 億ドル。数量 +0.8%/年
  • 炭水化物ソリューション(甘味料・でんぷん・エタノール):数量 55.0(製品の出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 470(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 258 億ドル・営業利益 14 億ドル。数量横ばい
  • 栄養(風味・色素・動物栄養):数量 8.8(出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 1,477(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 129 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量 +2.3%/年
  • その他・消去:数量 10.0(取扱量(百万トン換算、推定))× 価格 571(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 57 億ドル・営業利益 0 億ドル。横ばい

倍率:ROE が k 以下(または自己資本が薄い)で、k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)、g 3.5%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)。正当化 PER = 1 ÷ k = 10.5 倍(来年の利益に対して)。ROE が k 以下なので稼ぐ力の 1 ÷ k が下限。悲観側も純利益 ÷ k に成長 g を乗せた値に置き、市場の倍率や自己資本の PBR は使わない。上限の 10.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.9 倍。時価総額 = 純利益 19 億ドル × 10.9 倍 = 207 億ドル。

確率:ブラジルの圧搾能力の増加と中国の購入の減少で、米国の圧搾の利幅が 2025 年に近い水準にとどまり、バイオ燃料は需要が鈍る展開。価格は物価に届かない(1.36 倍)。

悲観 12% 悲観:構造的に負け、優良な加工会社ではなくなる 利益 5 億ドル · PER 10.7 倍 · 株価時価総額 11.05 ドル54 億ドル

10 年後、AS&O の取扱量は横ばい、1 トンあたり売上は 1.25 倍(物価を大きく下回る)で売上は約 620 億ドル、営業利益率 1.9% で営業利益約 12 億ドル。炭水化物は数量 −10% と利益率 4% で 9 億ドル、栄養は 6 億ドル。全社の営業利益は約 6 億ドル(本社費用を 20 億ドルへ絞る)、純利益は約 5 億ドル。ブラジルと COFCO に圧搾のシェアを奪われ、設備の減損も出る。純資産は約 175 億ドル(純利益の合計を上回る還元で減る)。稼ぐ力(純利益 5 億ドル ÷ k 9.5%)に成長を乗せた PER 10.7 倍で、時価総額は約 54 億ドル。配当は維持し、10 年の正味還元は約 110 億ドル。純利益の合計(約 50 億ドル)を上回る分は、手元の現金と資産の売却で払う。

  • 農業サービス・油糧種子(集荷・輸出・圧搾・精製・ウィルマー持ち分):数量 110(処理・取扱量(百万トン、推定))× 価格 563(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 619 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量横ばい、価格は物価を大きく下回る
  • 炭水化物ソリューション(甘味料・でんぷん・エタノール):数量 49.5(製品の出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 432(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 214 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量 −10%
  • 栄養(風味・色素・動物栄養):数量 7.7(出荷量(百万トン換算、推定))× 価格 1,357(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 104 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量 +1%/年
  • その他・消去:数量 9.0(取扱量(百万トン換算、推定))× 価格 525(1 トンあたりの売上(ドル))→ 売上 47 億ドル・営業利益 0 億ドル。−10%

倍率:ROE が k 以下(または自己資本が薄い)で、k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)、g 2.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)。正当化 PER = 1 ÷ k = 10.5 倍(来年の利益に対して)。成長が止まり利益が資本コストを下回る局面。ROE が k 以下なので稼ぐ力の 1 ÷ k が下限で、純利益 ÷ k に成長 g を乗せた値に置く。市場の倍率は使わない。上限の 10.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.7 倍。時価総額 = 純利益 5 億ドル × 10.7 倍 = 54 億ドル。

確率:米国のバイオ燃料の需要が失われ、中国が構造的に米国産大豆を減らし、ブラジルとの競争で米国の圧搾が不利になり、炭水化物の数量も細る展開。ADM は資本を増やしても稼げない会社になる。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

農業サービス・油糧種子(集荷・輸出・圧搾・精製・ウィルマー持ち分)

穀物・油糧種子の集荷と輸出、大豆などの圧搾(油と粕)、精製油とバイオ燃料の原料。ウィルマーへの出資の持ち分利益を含む。

数量処理・取扱量(百万トン、推定)価格1 トンあたりの売上(ドル)売上営業利益
今 2025/12 110 450 495 16
10 年後 中立 128 635 810 29

取り方:売上 495 億ドルは全社 803 億ドルの約 6 割とした推定。営業利益 16 億ドルは 2025 年通期の開示(約 16 億ドル、前年比 −34%)。処理・取扱量 1.1 億トンは推定(北米の圧搾 約 3,500 万トン・世界の圧搾と集荷の取扱量を足した目安)、1 トンの売上 450 ドルは売上 ÷ 量。数量は「世界と北米の穀物・油糧種子の取扱量 × シェア」で、ADM は米国の大豆圧搾でカーギル・ブンゲと並ぶ大手(推定の 3 割前後)。1 トンあたり営業利益は 15 ドル弱と薄く、圧搾の利幅の変動で数倍に振れる。

炭水化物ソリューション(甘味料・でんぷん・エタノール)

トウモロコシのすり潰しで、高果糖シロップ・でんぷん・エタノール・食品原料を作る。

数量製品の出荷量(百万トン換算、推定)価格1 トンあたりの売上(ドル)売上営業利益
今 2025/12 55.0 345 190 12
10 年後 中立 57.8 487 281 17

取り方:売上 190 億ドルは全社売上の約 2 割強とした推定。営業利益 12 億ドルは 2025 年通期の開示(約 12 億ドル、前年比 −12%)。出荷量 5,500 万トンは推定(トウモロコシの処理に相当する製品とエタノール)。数量は「米国のトウモロコシの食品・燃料向け加工量 × シェア」。飲料離れと GLP-1 で高果糖シロップは年に 1〜2% 減り、エタノールは混合義務で横ばい。競合はカーギル、イングレディオン、トレイツ・アンド・ライルなど。

栄養(風味・色素・動物栄養)

食品・飲料の風味・天然色素・原料(人の栄養)と、飼料添加物・ペットフード原料(動物の栄養)。

数量出荷量(百万トン換算、推定)価格1 トンあたりの売上(ドル)売上営業利益
今 2025/12 7.0 1,086 76 4
10 年後 中立 9.5 1,531 145 12

取り方:売上 76 億ドルは 2026 年 4〜6 月期の栄養の売上 19 億ドル(−5%)から年換算した推定。営業利益 4.2 億ドルは 2025 年通期の開示(前年比 +8%、唯一増えたセグメント)。出荷量 700 万トンは推定で、単価が高い(風味・色素は 1 トンあたり数千ドルの製品を含む)。数量は「風味・天然色素の世界市場 × シェア」で、競合は IFF、ジボダン、フィルメニッヒ、DSM。

その他・消去

セグメントに入らないその他の事業と、事業間の売上の消去。

数量取扱量(百万トン換算、推定)価格1 トンあたりの売上(ドル)売上営業利益
今 2025/12 10.0 420 42 0
10 年後 中立 11.0 592 65 1

取り方:全社売上 803 億ドルから 3 つの報告セグメントを引いた残りの推定(42 億ドル)。営業利益はほぼゼロ。事業別営業利益の合計は 32.4 億ドルで、本社費用・利払い・特別項目の −24 億ドルを引いた全社営業利益が kabufu の 8 億ドル。

リスクと懸念

バイオ燃料政策の転換(最大のリスク)

圧搾・エタノールの利益は、米国の混合義務量(RVO)と 45Z に支えられている。政権交代や議会の判断で義務量や税額控除が弱まれば、圧搾の利幅は 2025 年(第 4 四半期の圧搾利益が前年比 −69%)の水準へ戻りうる。2026 年の山の利益には、政策の追い風と原油高が重なっている。

圧搾能力の過剰とブラジルの台頭

ブラジルの圧搾能力は 2026 年に +13%(8,640 万トン)。米国でも ADM・ブンゲ・カーギルが能力を足している。需要が満杯の今は問題ないが、政策が緩めば能力過剰で利幅が崩れる。ブラジル産の油と粕が米国産を押し出す構造も強まる。

中国向け大豆の輸出と貿易摩擦

2026 年に中国は米国産大豆 2,500 万トンを買う約束だが、政治で変わる。農業サービスの輸出利益(4〜6 月期 2.93 億ドル、+159%)の山が崩れれば、利益の大きな部分が失われる。南米への調達の移行は不可逆になりうる。

会計・統制と経営への信頼

栄養部門の事業間取引の会計を巡り、SEC に 4,000 万ドルの制裁金(2026 年 1 月)。2018〜23 年に営業利益を計 2.28 億ドル修正。元 CFO の訴えは未決。数字の信頼が落ちると、倍率(PER)の割引が長引く。現経営陣は統制を強化したが、決算の数字を疑われる期間が続くほど、機関投資家の評価は上がりにくい。

循環と資本配分(山での自社株買い)

利益の山で大規模な自社株買い、谷でゼロという型が続き、価値を壊している。2026 年後半の再開は、山の利益に倍率を掛けた割高な買いになりうる。設備投資(年 13〜15 億ドル)も、利幅が下がる局面では ROIC を資本コスト未満に押し下げる。

炭水化物の数量の逆風とエネルギー価格

高果糖シロップの数量は飲料離れ・GLP-1・砂糖規制で年に 1〜2% 減る。エタノールは原油価格とガソリン需要に連動し、電気自動車の普及が長期の需要を削る。原油が下がれば植物油と同様に利益が落ちる。電気自動車の普及は 10 年の単位でエタノールの需要を削る。

工場の事故・停止

デカーター東工場は 18 か月の停止から復旧中で、保険金の協議が続く(4〜6 月期に約 0.2 億ドルを受け取り、残りは協議中)。大型工場の事故・停止は、数量と固定費の両面で利益を損ない、保険で戻らない分も出る。

今後の分かれ目

混合義務量や 45Z が縮小・先送りされたら
圧搾の利幅は 2025 年並みの谷へ戻る。悲観・やや悲観の確率を上げ、中立の営業利益率を 0.8 ポイント下げて見直す。
北米の圧搾の利幅が 4〜6 月期の水準を、確定済みの分を超えて第 4 四半期以降も保ったら
利益が山でなく新しい平常になった可能性。中立の AS&O の利益率を 0.5 ポイント上げ、楽観寄りに確率をずらす。
中国が米国産大豆の購入を止めたら
農業サービスの輸出利益が失われ、圧搾の原料の価格も下がる。10 年の悲観の確率を上げる。
ADM が利益の山で大規模な自社株買い(数十億ドル)を再開したら
資本配分の質への疑いが強まる。倍率を 1〜2 倍下げて見る。谷でも買い続ける姿勢なら評価を上げる。
栄養の営業利益率が 10% を超えて安定したら
全体の質が上がる。10 年の栄養の利益率を 2 ポイント上げ、倍率を 1 倍上げてよい。
ルタール氏への訴えで不正の範囲が広がったら
経営への信頼が一段と落ち、確率を悲観側へ寄せる。

見ておくもの

  • 北米の大豆圧搾の利幅(現物ベース)と、第 4 四半期の確定率
  • 米環境保護庁の混合義務量・45Z の細則・バイオ燃料の需要
  • 中国向けの米国産大豆の輸出量(2,500 万トンの約束の進み具合)
  • ブラジルの圧搾能力と南米の精製製品の利益
  • 栄養セグメントの営業利益率と、天然色素の売上
  • 自社株買いの再開の規模とタイミング
  • 純負債倍率(年末 2 倍近く)と ROIC(7.8%)

倍率と資本コストの決め方

今の時価総額(約 400 億ドル)や PER(37 倍。谷の 2025 年の利益で測った値)を見る前に、AS&O・炭水化物・栄養・その他の 4 つに分けて、処理量 × 1 トンあたり売上(価格は物価並みに 10 年 1.41 倍)と営業利益率で積み上げた。倍率は、2026 年の山の利益でなく、ならした利益(中立の 10 年後 31 億ドル)に、k 9.5%(基本 8.0% + quality +1.5%)の式 (1 − g/RONIC) ÷ (k − g) × (1+g) の値を当てた(弱い堀で下限の 1 ÷ k に近く、10 年目の利益に 10.8 倍)。循環と価格を決める力の弱さは確率(悲観・やや悲観で 35%)と悲観の深さで表した。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値で、過去の PER・PBR は使っていない。結果は今の株価に合わせたものではない。

資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 0.75 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +1.5% = 9.5%。需要は景気で落ちにくいが、利幅の循環と価格を決める力の弱さを quality で上乗せした。会計の信頼・中国との貿易は k に足さず、筋書き(利幅・数量)と確率で表した。

同じ業種(生活必需品)の AI 分析

適正 クロロックスCLX 漂白剤・猫砂・ごみ袋・ピュレルの必需品ブランド。ERP 移行の傷・CEO 交代・借入増が重なり利益が谷にあるが、k 8.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +8.2% · 10 年 適正(年 +8.1%) 適正 マコーミックMKC 調味料で世界首位の安定事業。米国の数量は弱いが、k 8.25% の利益ベースの正当化 PER(その 8.5 割)で測った値は今の時価総額を上回り、ユニリーバ統合を除いた単体ではやや割安 本質価値との差 +6.8% · 10 年 適正(年 +7.2%) 適正 ペプシコPEP 飲料とスナックの二本柱だが、値下げと原料高で北米の利益が痩せている。利益ベースの正当化 PER(その 8.5 割)で測ると、本質価値は今の値段とほぼ同じで適正 本質価値との差 −4.7% · 10 年 適正(年 +6.1%) 適正 クローガーKR 米国最大の伝統的な食品スーパー。占有率を毎年失う薄利の成熟事業だが、食料品は落ちにくく、利益ベースの正当化 PER(その 8 割)で見ると今の値段は適正 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +5.8%) 適正 ターゲットTGT 縮んだ総合量販が立て直しに投資する局面。成功すれば倍率以上に利益が戻り、競合に負ければ構造的に縮む。利益ベースの正当化 PER で測ると、今の値段は適正 本質価値との差 −6.9% · 10 年 適正(年 +5.9%) 適正 ゼネラル・ミルズGIS 数量が縮み利益が 2 期続けて落ちた大手ブランド。価格投資は一巡したが、借金の重さを k に入れて確率を慎重側に厚くすると、本質価値は今の時価総額とほぼ同じで適正 本質価値との差 −9.7% · 10 年 適正(年 +5.6%) やや割高 タイソン・フーズTSN 牛肉の赤字を鶏肉と加工食品が支える食肉大手。k 9.75% の正当化 PER(弱い堀で下限の 1 ÷ k に近い)で測ると、中立の価値は今を上回るが、期待の年率は k を下回り、適正 本質価値との差 −10.1% · 10 年 やや割高(年 +6.6%) やや割高 キンバリークラークKMB ハギーズ・クリネックスの北米首位と、IFP 売却後の身軽な形。北米の価格投資と中国の失速はあるが、k 8.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 15 倍)は今の PER 17 倍と近く、値段は適正 本質価値との差 −13.2% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 ホーメル・フーズHRL 豚肉の原価高と撤退で利益が落ちた、配当 127 年の加工肉・外食の会社。借金は軽いが、利益ベースの正当化 PER(その 8 割)で測ると今の時価総額をやや下回り、適正 本質価値との差 −13.7% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 モルソン・クアーズ・ビバレッジTAP 米国ビールの縮小とシェア低下で利益が減る最中。それでも伸びのない会社の式(PER = 1 ÷ k = 10.5 倍)で測ると中立の 10 年後は今とほぼ同じで、確率を重ねるとやや割高 本質価値との差 −14.6% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 ダラー・ツリーDLTR 裁量品が約半分の均一価格店が、多価格化と客層の広がりで利益率 9% 前後に乗せた局面。利益ベースの正当化 PER で測るとやや割高で、関税還付の一過性と客数の弱さから確率も慎重側に厚く置いた 本質価値との差 −18.0% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ブンゲ・グローバルBG 世界最大級の油糧種子の圧搾・穀物商社。2026 年は圧搾利幅が山で、ならした利益に弱い堀の正当化 PER(下限の 1 ÷ k = 10.0 倍)を当てると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +6.0%) やや割高 アルトリア・グループMO 数量が毎年 5% 減る紙巻きを値上げで支える高配当の縮む事業。名目の利益は横ばいで、伸びのない会社の正当化 PER(1 ÷ k)で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 コンステレーション・ブランズSTZ モデロ・コロナの輸入ビール一本足。数量が縮む産業で純負債も重いが、伸びのない会社の正当化 PER(1 ÷ k)で測ると、中立の 10 年後は今の 0.94 倍で、還元を足しても資本コストに届かず、やや割高 本質価値との差 −19.0% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 クラフト・ハインツKHC ブランドは強いが数量が毎年縮む会社。k 9.0% の稼ぐ力(純利益 ÷ k)で測ると中立の価値は今の時価総額とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −19.2% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ダラー・ゼネラルDG 農村の小型店の密度で食品の来店頻度を握る会社が、盛り損の削減と改装で利益率を戻す局面。今の値段はやや割高で、利益率の戻りが続くかが価値を分ける 本質価値との差 −20.3% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 モンデリーズ・インターナショナルMDLZ 世界首位のビスケットと世界 2 位のチョコを持ち、カカオ高で利益が削られた谷にある。k 8.0% の利益ベースの正当化 PER で測ると、今の値段は中立の価値とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −21.6% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 ハーシーHSY チョコレート首位のブランドが、カカオ高の谷を価格改定で抜けた直後。k 7.5% の利益ベースの正当化 PER で測ると、値段はやや割高 本質価値との差 −22.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 コルゲート・パルモリブCL 歯磨きで世界首位とペット用療法食を持つ超安定企業。北米の数量減は重く、k 7.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 20 倍)で見ると今の PER 25 倍はやや高く、利益の質は高いがやや割高 本質価値との差 −23.3% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) やや割高 コカ・コーラKO 世界最強のブランド原液事業。強い堀の利益ベースの正当化 PER で測っても、k 7.5% では中立の 10 年後が今の約 1.1 倍にとどまり、今の値段はやや割高 本質価値との差 −25.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 プロクター・アンド・ギャンブルPG 世界最強の日用品ブランド群だが、PER 24 倍は k 7.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 19 倍)を上回る。数量の弱さを長期の成長に入れると、値段はやや割高 本質価値との差 −26.2% · 10 年 やや割高(年 +3.0%) やや割高 キューリグ・ドクターペッパーKDP JDE ピーツの買収で純負債が時価総額の 6 割になった飲料・コーヒー複合。強い飲料と縮むポッドの綱引きで、借金の重さを k に入れると 10 年の中立は今の約 0.93 倍にとどまり、今の値段はやや割高 本質価値との差 −26.2% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) 割高 JM スマッカーSJM コーヒーの値付けと借金返済で利益の底が見えたが、ブランドの堀は広がらず、k 8.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると中立の価値は今とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −30.6% · 10 年 割高(年 +3.2%) 割高 シスコSYY 米国最大の外食向け食品卸。薄利の物流業で価格を決める力は弱いが、規模の経済と AI 効率化で利益は着実に伸びる。利益ベースの正当化 PER で見ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −30.7% · 10 年 割高(年 +3.7%) 割高 ケンビューKVUE タイレノール・リステリン・ニュートロジーナを持つが、数量は縮み、訴訟が再燃。買収条件に連動する株価に安全域は見えず、単体の本質価値はやや下 本質価値との差 −32.1% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 フィリップ モリス インターナショナルPM 紙巻きの減りを煙の出ない製品で埋める成長株。強い堀の利益ベースの正当化 PER でも、資本コスト 7.5% に対して今の値段は割高 本質価値との差 −33.8% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 ブラウン・フォーマンBF-B ジャックダニエルを軸にした酒類の老舗。米国の飲酒減・関税・カナダの棚外しが重いが、財務は軽く、利益ベースの正当化 PER(下限の 1 ÷ k)で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −35.8% · 10 年 割高(年 +1.8%) 割高 ウォルマートWMT 食品の規模・通販・広告で堀は広がる。だが今の PER 43 倍は、強い堀の利益ベースの正当化 PER(約 22 倍)の 2 倍近くで、割高 本質価値との差 −38.0% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 チャーチ・アンド・ドワイトCHD 猫砂・洗濯・オーラルケアの強いブランドを買い足して伸びる必需品の中堅。ウォルマート依存と買収の失敗が影で、k 7.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −44.3% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 モンスタービバレッジMNST エナジー専業の高採算ブランド。利益ベースの正当化 PER で測っても、中立の 10 年後は今の時価総額の約 0.87 倍にとどまり、今の値段は割高 本質価値との差 −48.0% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 エスティ ローダーEL 高級美容の名門が再建の途中。利益率は戻るが、利益ベースの正当化 PER(k 9.25%・ROE 25% 台で来年の利益に約 14 倍)では今の約 380 億ドルは回復を先取りしており、割高 本質価値との差 −51.4% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 コストコ・ホールセールCOST 会費が利益の半分を生む堀は本物だが、PER 47.6 倍は成熟後の約 2 倍。10 年の年率は資本コスト 7.5% に届かず割高 本質価値との差 −52.4% · 10 年 割高(年 −0.9%) 割高 ケーシーズ・ゼネラル・ストアーズCASY 米国 3 位のコンビニ。小さな町の寡占と調理品で伸びる良質な事業だが、燃料粗利が高止まりの今、GAAP の約 36 倍は利益ベースの正当化 PER(約 15 倍)の倍以上で割高 本質価値との差 −62.1% · 10 年 割高(年 −3.1%)

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読んだ資料

  1. ADM 2026 年 4〜6 月期決算(BusinessWire)
  2. ADM Q2 2026 決算説明会の要約(GuruFocus)
  3. ADM 2025 年通期決算・2026 年の見通し
  4. ADM が SEC の調査を和解で終結(Feedstuffs)
  5. ADM が北米の圧搾能力を増強(Feedstuffs)
  6. ブラジルの圧搾能力が 13% 増(The Poultry Site)
  7. ADM が 2026 年の利益見通しを引き上げ(ESM)

分析日 2026-10-16