結論
エスティ ローダーは、スキンケア(ラ メール・クリニーク)、メイクアップ(MAC)、フレグランス(トム フォード・ジョー マローン・ル ラボ)を世界 150 か国で売る高級美容の最大手の 1 社である。2026 年 6 月期の売上は 150 億ドル(有機的 +3%、第 4 四半期は +5% で 4 四半期連続の加速)、調整後の営業利益は 17 億ドル(営業利益率 11.2%)。2022 年の 20.2% から 2025 年の 7.8% まで落ちた利益率が、利益回復・成長計画(約 12 億ドルの便益、約 1 万人の削減)で戻りつつある。
2027 年 6 月期の見通しは有機的売上 +3〜5%、調整後の営業利益率 12.7〜13.5%、調整後の 1 株利益は前年比 24〜34% 増。2026 年 3 月に確認したプイグ(Puig)との合併協議は 5 月に打ち切られ、単独で「ビューティー リイマジンド」を進める。GAAP の純利益は 1.8 億ドルと再編費用で小さく、調整後で約 9 億ドル。今の PER 212 倍(GAAP)は意味を持たない。
バリュー投資の観点では、資本コスト 9.25%(基本 8.0% + quality +1.25%)、長期の名目成長 3.5%、自己資本に対する利益率 25% 前後で、利益ベースの正当化 PER は来年の利益に約 13.9 倍。立て直しの途中で利益の戻りが読みにくいのでその 8.5 割を使い、10 年目の利益に約 12.2 倍。セグメントごとに数量 × 価格を積むと、中立の 10 年後(2036 年 6 月期)は売上 233 億ドル、営業利益率 16.8%、純利益 26 億ドル(今の調整後の約 2.9 倍)、時価総額は約 319 億ドルで、今の約 8 割強にとどまる。利益が 2.8 倍に戻っても、k が高く伸びが物価並みなので倍率は 12 倍前後に収まる。今の約 380 億ドルは回復をかなり織り込んだ値で、安全域は薄い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」と問う。高級美容は人が自分を整える需要で消えない。ただ、エスティ ローダーの堀は 2020 年代の前半に狭まった:中国のローカル勢とロレアルに押され、メイクアップは赤字、割高な買収は減損になった。ブランドの格(ラ メール・トム フォード)とフレグランスの成長は残るが、堀が広がっているとは言いにくい。
オーナー利益は、調整後の純利益約 9 億ドルから、再編の現金費用(2027 年に約 2 億ドル)を除くと、今は 7〜9 億ドル。株式報酬(約 3.5 億ドル)はすでに費用に入っている。10 年後の中立は純利益 26 億ドルで、再投資を引いても大きく積み上がる。ただ、今の時価総額 約 380 億ドルは、調整後の利益の約 41 倍、2027 年 6 月期の見通しの 1 株利益の中央でも約 32 倍で、回復の大半を先に払っている。
経営は資本配分で信頼を落とした:買収の減損、配当の削減、合併協議の迷走。計画の実行(利益率 12.7〜13.5%)は進んでおり、2026 年は 4 四半期連続で有機的売上が加速したが、安全域は薄い。楽観(利益率 21〜22%、確率 8%)なら 10 年後は今の約 1.5 倍だが、中立では年 1〜2% しか上がらず、悲観(利益率 8%)では 8 割近く減る。上の幅は広いのに確率は下側に寄るので、今の値段では報われにくい。式の ROE 25% 台・k 9.25%・g 3.5% での 10 年目の PER 12.2 倍は、回復を認めてもなお今の値段を正当化しない。わからない部分(中国・景気)が大きい事業なので確信度は中くらいで、値段が下がるまで待つのがバリュー投資の姿勢になる。
何で稼ぐ会社か
売上の構成(2026 年 6 月期)は、スキンケア 73 億ドル(49%、営業利益 14 億ドル)、メイクアップ 43 億ドル(28%、営業損失 0.7 億ドル)、フレグランス 28 億ドル(18%、営業利益 2 億ドル)、ヘアケア 5.7 億ドル、その他 1 億ドル。地域は米州 45 億ドル(有機 +1%)、欧州・英国・中東・アフリカ(EUKEM)38 億ドル(+1%)、アジア太平洋 37 億ドル(+4%)で、アジアのうち中国本土が 31 億ドル(+9%、営業利益 3.7 億ドル)。ブランドは 25 以上で、ラ メール・クリニーク・エスティ ローダー・MAC・ボビイ ブラウン・トム フォード ビューティ・ジョー マローン・ル ラボ・オーリジンズ・デシエム(The Ordinary)などを持つ。
稼ぎ方は、百貨店・ブランド直営店・自社サイト・免税店(旅行小売)・化粧品専門店(セフォラ、アルタ)・アマゾン・中国の天猫と抖音に高単価の品を卸し、広告と販売員で価格を維持する形である。収益は数量(販売単位数)× 価格(1 個あたり卸値と高価格品へのミックス)で、粗利益率が 75% と高く、広告費・販売員・店頭の固定費が営業利益率を決める。このため売上が数%動くだけで利益率が大きく動く(2022 年 20% から 2025 年 8%)。
開示のセグメント利益はカテゴリー別なので、これを数量 × 価格の 4 つの事業に置いた。数量と単価は開示がなく、1 個あたりの卸値をスキンケア 40 ドル・メイクアップ 14 ドル・フレグランス 22 ドル・ヘア 9 ドル前後と置いた推定である(市場規模 × シェアと整合させ、価格の増減は物価と競争から決めた)。経営はステファン・ド・ラ・ファヴリー(CEO)で、サプライチェーン・人員・店頭を整える再建を進める。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 はブランドの格と百貨店・免税・専門店に広がる配荷網:ラ メール、クリニーク、トム フォード ビューティは高価格でも指名買いがあり、価格を物価並みに上げやすい。第 2 は研究と販売員が支える高価格スキンケア:効果の実感を店頭で伝える形で、PB や安いブランドが入りにくい。第 3 は規模:年間の広告と販売員に数十億ドルを使え、世界の免税店や中国のネット通販の棚を押さえる交渉力がある。
資本効率は、いまは落ちている。営業利益率は 2022 年の 20.2% から 2025 年の 7.8% へ下がり、2026 年は 11.2%。ROE は 2019〜2022 年に 24〜47% だったが、のれん・無形資産の減損と再編で純利益が崩れ、2025 年は −29%、2026 年は 5%(GAAP)。ただし自己資本は小さく(38 億ドル)、利益が戻れば ROE は 25〜35% に戻る。配当は 2024 年の約 10 億ドルから 2026 年の約 5 億ドルへ下げた。
弱みは 3 つ。(1) 中国と旅行小売に偏った成長:2021〜2023 年に中国の高級美容が鈍り、海南島の免税店の在庫調整で売上と利益が急に落ちた。(2) メイクアップの赤字:MAC・クリニークは e.l.f.・シャルロット ティルブリー・レア ビューティなど新興ブランドに押され、営業損失が続く。(3) 買収の失敗:デシエムなどの減損で、割高な買収が価値を壊した。ロレアルの高級品部門(Luxe、営業利益率 22% 前後。2025 年上期、業界報道)に比べ、利益率は 5〜10 ポイント低い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
高級美容(プレステージ・ビューティ)はスキンケア・メイクアップ・フレグランス・ヘアの合計で、世界の小売ベースは年 1,000 億ドル台とされる(推定)。パンデミック後の 2021〜2023 年に急回復したが、2024〜2025 年は中国の需要の鈍りと旅行小売の失速で伸びが鈍り、成長はフレグランスと米国・欧州の専門店(セフォラ、アルタ)に移った。2026 年 6 月期のエスティ ローダーはフレグランスが有機的に +10%、スキンケア +4%、メイクアップ 0%、中国本土 +9%。
競合は、ロレアル(L'Oréal:ランコム・YSL ビューティ・ジョルジオ アルマーニ。高級品部門はグループ売上のおよそ 35%、中国で約 3 割の占有率と自社が説明)、LVMH(ディオール・ゲラン)、シャネル、資生堂、プイグ(シャルロット ティルブリー・パコ ラバンヌ)、そして中国のローカル勢(珀莱雅・毛戈平など)と e.l.f. のような新興ブランドである。最も大きな脅威は、中国で価格を決める力がローカル勢に移ること、そしてロレアルが規模と研究で上位を固めること。
循環のどこにいるか:売上は 2022 年の 177 億ドルから 2025 年の 143 億ドルまで落ち、2026 年は 150 億ドル。2027 年は +3〜5%。数量の回復はまだ薄く、関税(2026 年に増分 1.0 億ドル)と中東の混乱(利益を約 2% 押し下げた)が利益を揺らす。景気の谷には弱く、2008〜09 年に株価は −54%、2021〜2023 年に −50% 下げた。生活必需品の中では裁量消費の色が最も濃い。
資本政策と M&A
還元は縮んでいる。2026 年 6 月期は配当 5.1 億ドル(2024 年の約 10 億ドルから削減)、自社株買いはほぼ無し、FCF 13 億ドル、現金 35 億ドル、借入 73 億ドル(リース除く、純借入 38 億ドル)。2027 年は営業 CF 13〜14 億ドル、設備投資は売上の約 4%。配当の増額と自社株買いの再開は利益率の回復が前提で、payout_oku は配当と、株式報酬の増加分を引いた正味の自社株買いの合計で置いた。
買収は歴史的に割高で、トム フォード ビューティ(2022 年、成功報酬つきで繰延の支払いが残る)、デシエムなどで減損を出した。2026 年 3 月に確認したプイグとの合併協議(株式中心・合算 400 億ドル超)は 5 月 21 日に打ち切りとなり、CEO は買収と売却の両方でポートフォリオを見直すと述べた。創業家(ローダー家)が議決権の大半を持つ構造で、TOB の対象にはなりにくい。大型の M&A は成立していないので、筋書きでは今の会社のままで書いた。
再編(利益回復・成長計画)は総便益約 12 億ドル、人員約 1 万人減、累計費用 14 億ドル(総額は 15〜17 億ドルをやや超える見込み)で、便益の大半が 2027 年に満額になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
再建が数字に出始めている。有機的売上は 4 四半期連続で加速し(第 4 四半期 +5%)、粗利益率は 75.5% まで戻り、2027 年の調整後営業利益率の見通しは 12.7〜13.5% に上方修正された。再編の便益約 12 億ドルの大半が 2027 年に満額になる。さらに、2022 年に 20.2% を作った実績がある。売上を 2022 年の 177 億ドル近くに戻すだけで、営業利益率が 18% なら営業利益は 32 億ドル、純利益 20 億ドルを超える。
フレグランスは有機的に +10% で伸び、トム フォード・ジョー マローン・ル ラボは営業利益率を上げ続けられる。中国本土は +9%、アジア太平洋の営業利益は 8.2 億ドルまで戻った。メイクアップの赤字(−0.7 億ドル)が黒字に変わるだけで全社の利益率が 1〜2 ポイント上がる。プイグとの合併を打ち切ったのは、割高な買収をしないという規律の表れでもある。楽観では 10 年後の営業利益率は 21〜22%、純利益は約 40 億ドルになる。
慎重な見方
利益率の戻りの大半は再編という一度きりの費用削減で、売上の伸びは物価並みの有機的 3〜5% にすぎない。中国のローカル勢(珀莱雅・毛戈平)が価格を決める力を奪い続け、メイクアップは e.l.f.・シャルロット ティルブリー・レア ビューティに押されて黒字化が遠く、ロレアル(高級品部門の営業利益率 22% 前後)との差は規模と研究費で広がる。
2021〜2023 年に穴を見せた中国と旅行小売への依存は直っておらず、2026 年は関税(増分 1.0 億ドル)と中東の混乱(利益を約 2% 押し下げた)で利益が揺れた。割高な買収の履歴と配当の削減が示すとおり、資本配分は信頼されていない。今の約 380 億ドルは、調整後の利益の約 41 倍、2027 年の見通しの 1 株利益の約 32 倍で、k 9.25% の式では、10 年後に利益が 2.8 倍になっても倍率 12 倍では割に合わない。悲観では中国を失い、営業利益率は 8%、純利益は今とほぼ同じ水準にとどまる。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分(利益率の戻りの実績・フレグランス・中国 +9%)は事実だが、式は値段に厳しい:k 9.25% の中で、再建の成功を中立にしても、10 年後の時価総額は約 319 億ドルで今の約 8 割強にとどまる。再編後の売上が物価並みにしか伸びない点と、中国のローカル勢という慎重な見方が強いと見て、確率は中立 36%、楽観 8%・やや楽観 20% に対し、やや悲観 24%・悲観 12% と下側を厚く置いた(10 年)。回復の途中なので、確率は楽観 8%・やや楽観 20%・中立 36%・やや悲観 24%・悲観 12%。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 84.78 ドル309 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 27.08 ドル99 億ドル)。 今の値に割り戻すと 52.40 ドル191 億ドル、今との差 −51.4%、 期待の年率 +0.4%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 160.01 ドル584 億ドル | 41.12 ドル150 億ドル | +86.7% | +6.4% | 16.09 ドル59 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 118.34 ドル432 億ドル | 34.27 ドル125 億ドル | +41.7% | +3.5% | 30.52 ドル111 億ドル |
| 中立 | 36% | 87.55 ドル319 億ドル | 28.78 ドル105 億ドル | +8.0% | +0.8% | 41.88 ドル153 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 57.81 ドル211 億ドル | 20.56 ドル75 億ドル | −27.2% | −3.1% | 18.81 ドル69 億ドル |
| 悲観 | 12% | 24.29 ドル89 億ドル | 13.71 ドル50 億ドル | −64.7% | −9.9% | 4.56 ドル17 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 84.78 ドル309 億ドル | 27.08 ドル99 億ドル | +3.8% | +0.4% | 111.86 ドル408 億ドル |
今の株価時価総額 107.72 ドル393 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:中国と旅行小売が戻り、利益率が 21〜22% へ 利益 40 億ドル · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 160.01 ドル584 億ドル
2036 年 6 月期、売上 271 億ドル、営業利益 59 億ドル、純利益 40 億ドル。中国本土と旅行小売が戻り、高級スキンケアの数量が年 +2.3%、価格は高価格品へのミックスで物価並みの 1.43 倍、利益率は 2022 年のピークに近い 28.5%。フレグランスはトム フォード・ジョー マローン・ル ラボで数量が年 +4.5%、価格 1.45 倍、利益率 18.5%。メイクアップは MAC・クリニークの立て直しで利益率 13%。再編の便益が定着し、ロレアルの高級品部門(営業利益率 22% 前後)に近づく。売上は年 +6.1% で、営業利益率 21.7%。プイグ級の大型買収はせず、配当を増やし自社株買いも再開する。うまくいった場合の利益は上のとおりだが、ロレアル(高級品部門の営業利益率 22% 前後)に追いつくのがせいぜいで、これ以上は置かない。競合に負けた場合は中立の営業利益 39 億ドルに戻る。
- スキンケア:数量 2.3(販売単位数(億個、推定))× 価格 57(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 132 億ドル・営業利益 38 億ドル。数量 +2.3%/年・価格 1.43 倍・利益率 28.5%
- メイクアップ:数量 3.5(販売単位数(億個、推定))× 価格 19(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 67 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量 +1.3%/年・価格 1.38 倍・利益率 13.0%
- フレグランス:数量 2.0(販売単位数(億個、推定))× 価格 32(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 63 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量 +4.5%/年・価格 1.45 倍・利益率 18.5%
- ヘアケア・その他:数量 0.8(販売単位数(億個、推定))× 価格 13(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量 +0.5%/年・価格 1.40 倍・利益率 9.0%
倍率:ROE 35.3%、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 22.3%、g 4.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.6 倍(来年の利益に対して)。中国・旅行小売の立て直しが進む筋書きだが、利益の戻りが読みにくいので上限の 9 割。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.6 倍。時価総額 = 純利益 40 億ドル × 14.6 倍 = 584 億ドル。
確率:中国・旅行小売の回復と再編の便益が重なる筋書き。2022 年のピーク(20.2%)を超えるには数量の力が要るので 8%。
やや楽観 20% やや楽観:フレグランスとスキンケアで利益率 19% へ 利益 32 億ドル · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 118.34 ドル432 億ドル
2036 年 6 月期、売上 250 億ドル、営業利益 48 億ドル、純利益 32 億ドル。フレグランスが数量年 +3.7% で伸び、スキンケアは数量が年 +1.6%、価格 1.41 倍で占有率をほぼ守る。メイクアップは赤字を脱し利益率 10.5%、スキンケアは 25.5%、フレグランスは 16.5%。ロレアルとの差は縮まらないが、2022 年の 20% には届かず、再編後の利益率が 19% で定着する。売上は年 +5.2% で、営業利益率 19.2%。配当は増え、自社株買いが正味で少しずつ入る。うまくいけば営業利益は中立より約 8 億ドル上、ロレアルや中国のローカル勢に負ければ中立の 39 億ドル程度まで下がる。
- スキンケア:数量 2.2(販売単位数(億個、推定))× 価格 56(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 121 億ドル・営業利益 31 億ドル。数量 +1.6%/年・価格 1.41 倍・利益率 25.5%
- メイクアップ:数量 3.3(販売単位数(億個、推定))× 価格 19(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 62 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量 +0.7%/年・価格 1.36 倍・利益率 10.5%
- フレグランス:数量 1.8(販売単位数(億個、推定))× 価格 31(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 57 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量 +3.7%/年・価格 1.43 倍・利益率 16.5%
- ヘアケア・その他:数量 0.8(販売単位数(億個、推定))× 価格 12(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量 +0.2%/年・価格 1.36 倍・利益率 8.0%
倍率:ROE 29.7%、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.5%、g 3.8%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.8 倍(来年の利益に対して)。中国・旅行小売の立て直しの途中で、利益の戻りが読みにくいので上限の 8.8 割。上限の 8.8 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 13.5 倍。時価総額 = 純利益 32 億ドル × 13.5 倍 = 432 億ドル。
確率:フレグランスの成長と利益率の回復が続くが、中国の力は戻りきらない。20%。
中立 36% 中立:再建が成功し、物価並みに伸びて利益率 17% へ 利益 26 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 87.55 ドル319 億ドル
2036 年 6 月期、売上 232 億ドル、営業利益 39 億ドル、純利益 26 億ドル。再建が計画どおり進む。スキンケアは市場(実質年 +2%)に対し中国のローカル勢へ占有率を年 −1% ずつ失い、数量が年 +1.0%、価格は物価よりやや低い 1.38 倍(年 +3.3%)で利益率 22.5%。メイクアップは数量年 +0.3%・価格 1.33 倍(e.l.f. などの安い品との競争で物価に届かない)で、利益率 8.5% の黒字。フレグランスは数量年 +3.0%・価格 1.41 倍・利益率 15.5%。ヘアは横ばい。売上は年 +4.4%、営業利益率は今の 11.2% から 16.8% へ(ロレアル高級品の 22% には届かない)。プイグの合併が無かったため、ポートフォリオは今のまま。この筋書きが当たれば営業利益 39 億ドル。フレグランスと中国が計画以上に伸びれば 47〜59 億ドル、ロレアルとローカル勢に負けて占有率を失えば約 28 億ドルまで下がる。
- スキンケア:数量 2.0(販売単位数(億個、推定))× 価格 55(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 112 億ドル・営業利益 25 億ドル。数量 +1.0%/年・価格 1.38 倍・利益率 22.5%
- メイクアップ:数量 3.2(販売単位数(億個、推定))× 価格 19(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 59 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量 +0.3%/年・価格 1.33 倍・利益率 8.5%
- フレグランス:数量 1.7(販売単位数(億個、推定))× 価格 31(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 53 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量 +3.0%/年・価格 1.41 倍・利益率 15.5%
- ヘアケア・その他:数量 0.7(販売単位数(億個、推定))× 価格 12(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量 +0.0%/年・価格 1.30 倍・利益率 7.0%
倍率:ROE 25.1%、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.2%、g 3.5%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.9 倍(来年の利益に対して)。中国・旅行小売の立て直しの途中で、利益の戻りが読みにくいので上限の 8.5 割。上限の 8.5 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.2 倍。時価総額 = 純利益 26 億ドル × 12.2 倍 = 319 億ドル。
確率:再編の便益と物価並みの価格で利益率が 17% に戻る。議論の落としどころで最も厚く 36%。
やや悲観 24% やや悲観:ローカル勢とロレアルに押され、利益率が 13〜14% で止まる 利益 19 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 57.81 ドル211 億ドル
2036 年 6 月期、売上 206 億ドル、営業利益 28 億ドル、純利益 19 億ドル。ロレアルは規模と研究、中国のローカル勢は価格で攻め、スキンケアの数量が年 +0.3%、価格は 1.33 倍と物価に届かず、利益率 19%。メイクアップは数量が年 −0.7%・価格 1.28 倍で、利益率は 5% 止まり。フレグランスも競争が増え、数量 年 +2.0%・利益率 12.5%。再編の便益は価格競争で薄められ、営業利益率は 13〜14% で止まる。売上は年 +3.2%、営業利益率 13.6%。配当は維持できるが、自社株買いはできない。うまくいけば(再編の便益が残れば)営業利益は中立の 39 億ドルに近づくが、競合(ロレアル・ローカル勢)に負けるこの筋書きでは約 28 億ドルで止まる。
- スキンケア:数量 1.9(販売単位数(億個、推定))× 価格 53(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 101 億ドル・営業利益 19 億ドル。数量 +0.3%/年・価格 1.33 倍・利益率 19.0%
- メイクアップ:数量 2.9(販売単位数(億個、推定))× 価格 18(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 51 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 -0.7%/年・価格 1.28 倍・利益率 5.0%
- フレグランス:数量 1.5(販売単位数(億個、推定))× 価格 30(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 47 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量 +2.0%/年・価格 1.38 倍・利益率 12.5%
- ヘアケア・その他:数量 0.7(販売単位数(億個、推定))× 価格 11(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量 -1.0%/年・価格 1.25 倍・利益率 4.0%
倍率:ROE 18.4%、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.8%、g 3.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.5 倍(来年の利益に対して)。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値(1 ÷ k × (1+g))に置き、式の上乗せは見ない。市場の倍率は使わない。上限の 8.6 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.1 倍。時価総額 = 純利益 19 億ドル × 11.1 倍 = 211 億ドル。
確率:ロレアルと中国のローカル勢に占有率を少しずつ取られ、利益率が 13〜14% で止まる。構造の弱さを見て 24%。
悲観 12% 悲観:中国と高級美容の格を失い、もう優良ではなくなる 利益 9 億ドル · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 24.29 ドル89 億ドル
2036 年 6 月期、売上 162 億ドル、営業利益 14 億ドル、純利益 9 億ドル。中国で価格を決める力がローカル勢に移り、旅行小売の回復も戻らない。スキンケアは数量が年 −1.5%・価格 1.25 倍、利益率 13%。メイクアップは赤字を抜けられず、利益率 0%、数量は年 −2.5%。フレグランスも競争で価格が伸びず(1.30 倍)、利益率 9%。ロレアル・LVMH・ローカル勢にシェアを奪われ、もう優良な会社ではなくなる。売上は年 +0.8%、営業利益率 8.6%。再び配当を下げ、ブランドの売却や減損を迫られる。競合に負けた場合の姿で、営業利益は約 14 億ドルと今の調整後(17 億ドル)より小さい。ブランドの売却で立て直す余地は残るが、優良な会社ではなくなる。
- スキンケア:数量 1.6(販売単位数(億個、推定))× 価格 50(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 79 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量 -1.5%/年・価格 1.25 倍・利益率 13.0%
- メイクアップ:数量 2.4(販売単位数(億個、推定))× 価格 17(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 40 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量 -2.5%/年・価格 1.20 倍・利益率 0.0%
- フレグランス:数量 1.3(販売単位数(億個、推定))× 価格 29(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 38 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 +0.5%/年・価格 1.30 倍・利益率 9.0%
- ヘアケア・その他:数量 0.5(販売単位数(億個、推定))× 価格 11(1 個あたり平均の卸値(ドル))→ 売上 6 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量 -3.0%/年・価格 1.20 倍・利益率 0.0%
倍率:ROE 11.4%、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.3%、g 2.3%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.2 倍(来年の利益に対して)。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値の 9 割に置いた(構造的に負け、立て直しが失敗するため)。市場の倍率は使わない。上限の 8.7 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 9.9 倍。時価総額 = 純利益 9 億ドル × 9.9 倍 = 89 億ドル。
確率:メイクアップの赤字が続き、中国を失い、ブランドの価格を決める力が衰える。割高な買収の履歴と景気への弱さから 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
スキンケア
ラ メール・クリニーク・エスティ ローダー・オーリジンズ・デシエムなど。売上の 49%、利益の大半。
| 数量販売単位数(億個、推定) | 価格1 個あたり平均の卸値(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1.8 | 40 | 73 | 14 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 55 | 112 | 25 |
取り方:2026 年 6 月期のスキンケア売上 73.4 億ドル(有機 +4%)を、1 個あたり卸値 40 ドル前後・約 1.8 億個と置いた推定(高価格の美容液・クリームが中心)。営業利益 14.2 億ドル(19.3%)は開示のカテゴリー別の値。世界の高級スキンケア市場に対するシェアは 1 割前後(推定)。
メイクアップ
MAC・クリニーク・ボビイ ブラウン・トム フォード ビューティ(カラー)。売上の 28%、営業損失が続く。
| 数量販売単位数(億個、推定) | 価格1 個あたり平均の卸値(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 3.1 | 14 | 43 | −1 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 19 | 59 | 5 |
取り方:2026 年 6 月期のメイクアップ売上 42.8 億ドル(有機 0%)を、1 個あたり卸値 14 ドル前後・約 3.1 億個と置いた推定。営業損失 0.7 億ドルは開示値(前年は −4.4 億ドル)。e.l.f.・シャルロット ティルブリー・レア ビューティが占有率を取る分野。
フレグランス
トム フォード・ジョー マローン・ル ラボ・キリアン。売上の 18%、最も伸びる事業。
| 数量販売単位数(億個、推定) | 価格1 個あたり平均の卸値(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1.3 | 22 | 28 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1.7 | 31 | 53 | 8 |
取り方:2026 年 6 月期のフレグランス売上 27.8 億ドル(有機 +10%)を、1 個あたり卸値 22 ドル前後・約 1.3 億個と置いた推定。営業利益 2.0 億ドル(7.3%)は開示値(前年は −3.8 億ドルの赤字)。世界の高級香水市場は年 5% 前後で伸び、占有率は 1 割強(推定)。
ヘアケア・その他
アヴェダ・ブリッグス・ブリティッシュなど。売上の 4%。
| 数量販売単位数(億個、推定) | 価格1 個あたり平均の卸値(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 0.7 | 9.00 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.7 | 12 | 9 | 1 |
取り方:ヘアケア 5.7 億ドル(有機 −1%)とその他 1.0 億ドルの合計 6.7 億ドルを、1 個あたり卸値 9 ドル前後・約 0.74 億個と置いた推定。営業利益 0.5 億ドルは、ヘアの −0.04 とその他の +0.57 の合計。開示のカテゴリー別利益の合計は 16.0 億ドルで、調整後の営業利益 16.9 億ドル(11.2%)との差 +0.8 億ドルは adjust に置いた。
リスクと懸念
中国のローカル勢と価格を決める力の移動
珀莱雅・毛戈平などのローカル勢が中国の高級美容の占有率を取り、天猫・抖音の値引き競争が続く。中国本土は 2026 年 6 月期で売上 31 億ドル・営業利益 3.7 億ドルと全社の営業利益の 2 割強で、数量が年 −2% 続くと利益が大きく落ちる。やや悲観・悲観の筋書きで数量と価格を物価より低く置いた。
メイクアップの赤字が続く
売上 43 億ドルの事業が営業損失で、e.l.f.・シャルロット ティルブリー・レア ビューティが占有率を取る。黒字化が遅れれば全社の利益率が 1〜2 ポイント低くなり、MAC・クリニークの再編・売却の判断も迫られる。中立では 10 年後に利益率 8.5% を置いた。
旅行小売と景気への弱さ
海南島・韓国・空港の免税店は景気と観光で数量が大きく振れ、2021〜2023 年に在庫調整で売上と利益が急落した。裁量消費の色が濃く、2008〜09 年に株価は −54%、2021〜2023 年に −50%。
再編の便益が価格競争で消える
利益回復・成長計画の便益約 12 億ドルの大半は 2027 年に満額。売上が物価並みに伸びないまま競争で販促費が増えると、便益が価格に吸い取られ、利益率が 13% 台で止まる(やや悲観)。関税の悪化は 2027 年の見通しに入っていない。
資本配分と買収の失敗
トム フォード・デシエムなど割高な買収で減損を出し、配当も削減した。プイグとの合併協議は 5 月に打ち切ったが、買収と売却の両方を検討すると CEO が述べており、再び大型の買収に動けば価値を壊すおそれがある。筋書きは今の会社のままで書いた。
ロレアルの規模と研究
ロレアルは高級品部門で営業利益率 22% 前後、中国で約 3 割の占有率を自社が説明し、ケリング ボーテの香水も取り込んだ。エスティ ローダーが 10 年後に 17% 止まりなら差は規模と研究費で広がる。悲観では価格を決める力が衰え、もう優良ではなくなる。
創業家支配と少数株主
ローダー家が議決権の大半を握るため、買収・売却・経営の判断が家の意向に左右され、TOB の可能性は低い。経営の信頼が戻らないと倍率が上がりにくく、配当や自社株買いの再開の時期も創業家と取締役会の判断になる。少数株主の利益が後回しになる局面を、悲観の確率の理由の 1 つに数えた。
今後の分かれ目
- 2027 年 6 月期の調整後営業利益率が 13.5% を超え、有機的売上も +5% 近くになる
- 再編の便益に売上の力が加わった合図。やや楽観〜楽観へ確率を寄せ、フレグランスとスキンケアの数量を上げる。それでも k 9.25% の式の倍率では今の値段との差は小さい。
- 中国本土の有機的売上が 2 四半期続けてマイナスになる
- ローカル勢と値引き競争に押されている。スキンケアの数量を年 −1% 以下、価格を物価の 9 割以下に置いた悲観側へ確率を寄せる。
- メイクアップが 2 年以内に営業黒字に転じる
- 全社の利益率を 1〜2 ポイント押し上げる。中立のメイクアップ利益率を 8.5% から 10% 超へ上げる。MAC・クリニークの売却の可能性は下がる。
- 関税が上がる、または中東・旅行小売の混乱が長引く
- 2027 年の見通し(関税の悪化は織り込まず)が下がる。やや悲観へ寄せ、利益率の回復を遅らせる(10 年の中立 16.8% を 1 ポイント下げる)。
- 大型の買収(プイグ級)を再び発表する
- 成立した時点で相手を足して書き直す。過去の割高な買収の履歴から、価値を壊す確率を高く見て、悲観の確率を上げる。
- 景気の急な悪化で旅行小売と中国の売上が 2 割落ちる
- 悲観の筋書き(営業利益率 8%)に近づく。配当の再削減もありうる。
見ておくもの
- 中国本土の有機的売上と営業利益(四半期)
- メイクアップの営業損益(黒字化の時期)
- 調整後の営業利益率(2027 年 6 月期の見通し 12.7〜13.5% に対して)
- フレグランスの有機的成長率(10% 台が続くか)
- 旅行小売(海南島・韓国・空港)の売上
- 関税と中東の費用(1 株の利益への影響)
- 配当と自社株買いの再開、買収・売却の発表
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 約 380 億ドル・調整後 PER 約 41 倍を見る前に、4 つの事業を販売単位数 × 平均単価で積み、カテゴリー別の営業利益率から営業利益を作り、純利益に税 28〜32% と利払い(純負債 38 億ドル、リース分 0.5 億ドル)を入れた。倍率は k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.25%)の式 (1 − g/RONIC) ÷ (k − g) × (1 + g) で置き、上限の 8.5〜9 割に置いた(中立の 10 年後で 12.2 倍)。g は数量・価格から、ROE は期末の自己資本から出した。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に g を乗せた値で、過去の PER や中央値には寄せていない。結果は「割高」(総合 −50%)だが、それは k 9.25% と物価並みの伸びを式に入れた値で、今の株価が高いから下げたのではない。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 5% + β 1.17 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +1.25% = 9.25%。裁量消費の色が濃く、景気・中国で利益が大きく振れる分を cycle で上乗せした。個別のリスク(中国・メイクアップ・資本配分)は k に足さず、筋書きと確率で表した。