株譜
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キンバリークラーク KMB

ハギーズ・クリネックスの北米首位と、IFP 売却後の身軽な形。北米の価格投資と中国の失速はあるが、k 8.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 15 倍)は今の PER 17 倍と近く、値段は適正

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)97.46 ドル325 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)112.3 ドル374 億ドル差 −13.2%
10 年後から見ると やや割高 価値 97.46 ドル325 億ドル · 差 −13.2% · 期待の年率 +5.4%
期待の年率リターン(10 年)+5.4%資本コスト比 −3.1 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

キンバリークラークは、ハギーズ(おむつ)・プルアップス・コテックス・デプェンド(大人用)・クリネックス・コットネル・スコットを北米で売り、IFP(国際の家庭用紙・業務用)を 2026 年 7 月にスザノとの合弁(アーベックス、持ち分 49%)へ移して、北米と国際パーソナルケア(IPC)の 2 本に絞った。継続事業の 2025 年は売上 164 億ドル、調整後の営業利益 27.3 億ドル(16.6%)、調整後の純利益は約 20.5 億ドル(持ち分利益を含む)。GAAP の営業利益は 23.5 億ドルで、差は再編・IFP 分離・ケンビュー買収の費用である。

2026 年は有機売上がカテゴリー平均(約 2%)より約 1 ポイント低い見通しに下がった。第 2 四半期は有機 −0.1%(数量 −0.1・価格 −0.5)、北米は −0.7%。中国で「ハギーズにホルムアミド」という SNS の主張が拡散しおむつが急減速し、北米は配送センターの火災・店の在庫調整・価格への投資が重なった。一方で調整後の営業利益は +6.2%(粗利益率は関税の返還と生産性で +190bp)と、費用側は改善している。ケンビュー買収はまだ成立していないので、KMB 単体で書いた。

バリュー投資の観点では、資本コスト 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%)、長期の名目成長 2.5%、ROIC 約 25% から出した事業の ROE 約 46% で、利益ベースの正当化 PER は来年の利益に約 15 倍。その 9 割を使い、10 年目の利益に約 14 倍。今の PER は調整後で約 17 倍、GAAP で約 21 倍と、正当化 PER を上回る。中立の 10 年後は売上 239 億ドル(年 +3.8%)、純利益 34 億ドル、時価総額 約 468 億ドルと、今の約 1.3 倍。価格が物価に届かない状態が続く前提で、確率で重みづけした価値は今を約 8% 下回り、「適正」と出る。k が 1 ポイント上がれば倍率は 1 割強下がる点に注意が要る。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、10 年後もおむつ・大人用失禁・ティッシュは毎日使われ、新技術で置き換わらない。堀は広がってはいないが、狭まってもいない:ブランドと棚は保たれ、PB とプロクターが縁を削る。ただし KMB は同業よりも収益性が低く、価格を決める力は弱った。「10 年後も存在し今より強いか」は存在は確実、強さは同じか少し上、が妥当な線である。

オーナー利益は、調整後の純利益(持ち分利益を含む)約 20.5 億ドルから、成長のための再投資(設備投資が減価償却をやや上回る分)を引いた約 18〜19 億ドル。株式報酬は小さい(1.4 億ドル)。経営は保守的で、増資や無理な買収はしていないが、ケンビューは別である:医薬品に近い事業を、自社の時価総額に近い規模(企業価値 約 487 億ドル)で買う大型買収は、統合の失敗と訴訟(タイレノールをめぐる訴訟など)の不確実性を持ち込む。成立前なので入れずに書いたが、成立の可能性は重要なリスク。

値段は、事業の質から見て妥当な水準。今の時価総額 352 億ドルは調整後のオーナー利益の約 17 倍で、資本コスト 8.5%・成長 2.5%・事業の ROE 約 46% の式の値(来年の利益に約 15 倍)よりやや高い。市場は北米の数量・価格の弱さと中国の事件、ケンビューの不確実性を織り込んでいる。そこを確率(下側を厚く)と筋書きに入れると、式は適正を指す。確信度は中程度:価格の底堅さを証明できておらず、k が 1 ポイント上がれば式の値は約 13 倍に下がる。

何で稼ぐ会社か

KMB の継続事業は 2 つの報告セグメントで稼ぐ。北米(2025 年の売上 107.5 億ドル、営業利益率 約 24%)と IPC(同 56.9 億ドル、約 14%)である。カテゴリーでは売上の約 3 分の 2 がパーソナルケア(おむつ・トレーニングパンツ・おしりふき・女性用品・大人用失禁ケア)、残りが家庭用紙(クリネックス・コットネル・スコットなど北米)と業務用(クリンテック・ワイプオールなど)。開示は北米・IPC の 2 つだけなので、ここでは北米をパーソナルケア約 53・家庭用紙約 39・業務用約 15.5 億ドルに分ける推定を置いた。

稼ぎ方は、ブランドと小売の棚(ウォルマート・ターゲット・アマゾン・ドラッグストア)の権利に、数量(おむつ 1 枚・ティッシュ 1 ロール)と単価(高機能品・大きなパックへの移行)を掛ける形。おむつは世界の出生数が減る逆風の中で、新興国の普及と高機能品で数量を保ち、女性用品と大人用失禁ケアは高齢化と習慣化で伸びる。家庭用紙は数量が横ばいで、パルプ価格と物価を価格に乗せる力がカギになる。

2024 年から続く変革(トランスフォーメーション)で、供給網の再編、生産性(調整後の売上原価に対する総生産性が上期 6.2%)、価格の見直しを進めている。2025 年には米国のプライベートブランド(PB)おむつから撤退し(コストコのカークランドの供給元が KMB からファースト・クオリティへ移ったと報じられた)、北米の売上を 3.9% 押し下げた。IFP の売却で、国際の家庭用紙・業務用(約 33 億ドル)が合弁の持ち分利益に変わり、売却の現金約 17 億ドルが入る。純負債は約 50 億ドルまで下がる見込み(ここでは出発点とした)。

優良さと弱いところ

堀は 3 つ。第 1 はブランドと習慣:ハギーズ・クリネックス・コットネルは北米で 1 世代以上の信頼があり、乳幼児・大人用失禁・女性用品は肌に触れるため、安い PB に乗り換えにくい。第 2 は規模と供給網:おむつ・紙製品は製造設備と物流が重く、大手 2〜3 社の寡占になる。第 3 は小売との結びつきで、ウォルマートなどの棚と販促。

資本効率は高い。営業利益率は 2020 年 18.7% から 2022 年 13.1% へ落ち、2025 年の調整後は 16.6%。自己資本は自社株買いの累積で 15 億ドルと薄く、帳簿の ROE は 134% だが、これは資本効率ではなく自己資本の小ささを映す。事業に使う資本(自己資本+純負債 約 83 億ドル)に対する税引き後営業利益は約 25%(設備と運転資金が重い紙・衛生用品メーカーとしては標準的)。配当は 50 年以上増えている。

弱みは 3 つ。(1) 価格を決める力が最近落ちた:2025 年は数量 +2.5% でも価格 −0.9%、2026 年第 2 四半期も −0.5%。プロクター・アンド・ギャンブル(パンパース)と PB に挟まれ、価格への投資で数量を守っている。(2) 利益率の水準が同業(プロクター 24.6%・コルゲート 21%)より低い。(3) 一本足の地域:中国の SNS 騒動は 1 つの事件で四半期の営業利益を 210bp 削った。ミック・シュー CEO(2024 年〜)の変革は生産性で結果を出しているが、成長はまだ見えていない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

おむつ・女性用品・大人用失禁・家庭用紙・業務用紙の市場は、必需品で景気に左右されにくい一方、数量が伸びない。会社の見立てではカテゴリー平均の成長は直近 12 か月で 2〜2.5% 程度で、物価 3.5% より低い。つまりカテゴリー全体で価格が物価に届いていない(原料のパルプ・石油由来素材は上がるが、小売と PB が値上げを抑える)。

おむつ:出生数の減少(米国・中国・日本)で赤ちゃん向けの数量は逆風で、大人用失禁が高齢化で補う。米国の競争相手はプロクター・アンド・ギャンブル(パンパース)、ハギーズと並ぶ PB(コストコのカークランドは供給元がファースト・クオリティに替わったと報じられた)、アマゾン・ウォルマート・ターゲットの自社ブランド。KMB は米国のクラブ店でおむつ・トレーニングパンツの配荷が一部なくなる。国際は中国(地元勢のベビーケア等が強い)、ブラジル、東南アジアなど。

家庭用紙:北米のトイレットペーパーはプロクターのチャーミン、ジョージア・パシフィックのクィルテッド・ノーザン、KMB のコットネル・スコットが争い、PB の取り分も大きい。市場は数量が横ばいで、価格はパルプ次第。

循環のどこにいるか:2026 年は関税の返還と生産性で粗利益率は改善中。だが需要は慎重で、中国の信用問題が 2026 年下期に響く。2008〜09 年のリーマンでも売上はほぼ落ちず(株価は −31%)、必需品の防御力は高い。

資本政策と M&A

還元は安定した配当が中心。2025 年は配当 16.6 億ドルと自社株買い 1.4 億ドルで、調整後の純利益の約 88%。配当は 50 年以上増えているが、増額は年 1〜2% と控えめ(直近は +1.6%)。2026 年上期の自社株買いはゼロで、ケンビュー買収を待って現金を残している。自社株買いの累積で自己資本は 15 億ドルと薄い。

資本政策の山場が 2 つある。1 つは IFP の売却:スザノが 51% を約 17.3 億ドルで取得し、KMB は 49% を持つ(2026 年 7 月 1 日に事業開始)。国際の家庭用紙・業務用という低利益率の事業を外し、現金を借入金の返済に回せる。もう 1 つがケンビュー買収(ケンビュー 1 株につき KMB 株 0.14625 株と現金。現金の総額は約 67 億ドル)。株主承認と米国の独占禁止の審査は済み、海外当局の承認待ちで 2026 年下期の完了を見込むが、未成立の買収なので、決まりどおり今の会社だけで筋書きを書いた。成立すれば、事業のカバー範囲(タイレノール・ニュートロジーナなど)と訴訟、のれん、借入金が加わり、価値が変わる。この得失は確率と文章で触れるにとどめた。

payout_oku は配当と正味の自社株買い(株式報酬で増えた分を引く)の合計で、純利益の約 8 割で置いた(配当 70% 台+正味の自社株買い)。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

KMB は北米で、ハギーズ(おむつ)・コテックス・デプェンド・クリネックス・コットネルの首位級のブランドを持ち、2 年続けて数量とミックスで伸びてきた(2025 年は数量 +2.5%、2026 年第 1 四半期は数量・ミックス +3.0%)。落ちているのは価格だけで、それも消費者への値頃感の投資による意図した動きで、数量が戻れば価格は物価に追いつく。生産性は売上原価に対する総生産性で 6% 台と業界トップで、第 2 四半期の調整後粗利益率は +190bp、調整後の営業利益は +6.2%。IFP の売却で低収益の国際の家庭用紙・業務用が外れ、約 17 億ドルの現金で借入金が減り、持ち分利益も約 3 割増える(2026 年見通し)。

中国の事件は、第三者検査で安全が確認されており、6〜12 か月で収まれば IPC の数量は戻る。IPC は有機売上が上期 +2.5%、営業利益は +12.5% と伸びている。女性用品と大人用失禁ケアは高齢化で数量が伸び、利益率が高い。利益率が調整後 16.6% から過去の 18.7% に戻れば、10 年後の純利益は今の約 1.7 倍、倍率 16.5 倍で時価総額は今の約 2.1 倍になる。

慎重な見方

成長がどこにも見えない。有機売上は 2026 年第 2 四半期 −0.1%、北米 −0.7%、通期の見通しはカテゴリー平均より約 1 ポイント低く下がった。価格は 2025 年 −0.9%、2026 年第 2 四半期 −0.5% と、物価 3.5% に対して実質で 4 ポイント近い値引きになっている。プロクター・アンド・ギャンブル(パンパース)は技術と販促で強く、PB はコストコ(供給元がファースト・クオリティに替わった)・アマゾン・ウォルマートで広がり、KMB は米国のクラブ店のおむつ配荷の一部まで失う。数量でも価格でも挟まれている。

中国は SNS の 1 つの投稿で四半期の営業利益を 210bp 削られ、当局の調査が続く。ブランドの信用は戻りにくい。調整後の粗利益率の回復は関税の返還という一時要因を含む。利益率は 16〜17% で、同業(プロクター 24.6%・コルゲート 21%)より 5〜8 ポイント低く、ここから上がる根拠が生産性しかない。さらにケンビュー(時価総額に近い規模)の買収が控え、成立すれば財務とリスクの形が変わる。式の 15 倍は ROE 46% と g 2.5% の組み合わせで、g が 1.5% なら約 13.5 倍へ下がる。今の PER 17 倍が安いのではなく、事業が実際に弱っているだけかもしれない。

どちらに重みを置いたか

強気の核は、生産性による費用側の改善、数量の底堅さ、IFP 売却による身軽さ。慎重な見方の核は、価格が物価に届かないこと、北米と中国の事件、利益率が同業より低いこと。後者の指摘は事実なので、価格を物価より大きく下回る(10 年で 1.30〜1.40 倍)置き方、g を 2.5%(市場数量 +0.3%・価格 +2.2%)に抑える置き方、確率を下側に厚くする(10 年でやや悲観 27%・悲観 12%)形で入れた。正当化 PER と今の PER はほぼ並び、総合の差は約 −8% で「適正」と出る。確率の加重で見た 10 年の価値は、悲観側にかなり寄せた上での値である。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 127.40 ドル424 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 61.82 ドル206 億ドル)。 今の値に割り戻すと 97.46 ドル325 億ドル、今との差 −13.2%、 期待の年率 +5.4%(資本コスト 8.5%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 6% 219.90 ドル733 億ドル 73.23 ドル244 億ドル +161.0% +10.1% 17.59 ドル59 億ドル
やや楽観 17% 175.27 ドル584 億ドル 68.13 ドル227 億ドル +116.7% +8.0% 41.38 ドル138 億ドル
中立 38% 140.37 ドル468 億ドル 63.63 ドル212 億ドル +81.6% +6.1% 77.52 ドル258 億ドル
やや悲観 27% 91.00 ドル303 億ドル 58.22 ドル194 億ドル +32.9% +2.9% 40.29 ドル134 億ドル
悲観 12% 54.17 ドル181 億ドル 49.52 ドル165 億ドル −7.7% −0.8% 12.44 ドル41 億ドル
加重平均100% 127.40 ドル424 億ドル61.82 ドル206 億ドル +68.5% +5.4% 189.21 ドル630 億ドル

今の株価時価総額 112.32 ドル374 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 6% 楽観:数量の回復と生産性で利益率が 20% 近くへ 利益 44 億ドル · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 219.90 ドル733 億ドル

2035 年 12 月期、売上は 275 億ドル(年 +5.3%)、営業利益 54 億ドル(営業利益率 19.7%)、純利益 44 億ドル。北米のおむつと大人用・女性用品で数量が年 +1.3%(高齢化と習慣化)、価格投資で取り戻した棚と数量が効いて、価格も物価並みの 1.38 倍まで戻る。IPC は中国の信用が回復し、東南アジア・中南米の普及で数量が年 +3%。生産性が売上原価の 6% 台で続き、広告に回しても北米パーソナルケアの利益率は 30%、IPC は 18% まで上がる。IFP の持ち分利益(アーベックス 49%)は 3.8 億ドル近くまで伸びる。ケンビューは入れていない。

  • 北米パーソナルケア:数量 241(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.35(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 83 億ドル・営業利益 25 億ドル。数量 +1.3%/年・価格 1.38 倍・利益率 30.5%
  • 北米家庭用紙:数量 31.2(ロール・箱換算の販売個数(億個、推定))× 価格 1.78(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 55 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量 +0.0%/年・価格 1.42 倍・利益率 22.0%
  • 北米業務用(ケイ・シー・プロフェッショナル):数量 1.9(出荷ケース換算(億ケース、推定))× 価格 14(1 ケースあたり平均単価(ドル))→ 売上 27 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量 +2.0%/年・価格 1.43 倍・利益率 23.5%
  • 国際パーソナルケア(IPC):数量 390(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.28(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 109 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量 +3.2%/年・価格 1.40 倍・利益率 18.0%

倍率:自己資本が薄いため、ROIC から出した事業の ROE を使う。ROE 54.0%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 31.2%、g 3.5%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.8 倍(来年の利益に対して)。紙製品の首位で景気に強いが、価格は物価に届かないので上限の 9 割。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 16.5 倍。時価総額 = 純利益 44 億ドル × 16.5 倍 = 733 億ドル。

確率:北米の数量回復・中国の復調・生産性の効きが同時に起きる筋書き。2025〜26 年の有機売上の弱さを見て 6% に抑えた。

やや楽観 17% やや楽観:値頃感への投資が実り、利益率が 18% 台へ 利益 39 億ドル · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 175.27 ドル584 億ドル

2035 年 12 月期、売上は 258 億ドル(年 +4.6%)、営業利益 47 億ドル(営業利益率 18.3%)、純利益 39 億ドル。北米の数量は年 +0.9%(パーソナルケア)、価格は物価に近い 1.34 倍まで戻る。ハギーズの値頃感への投資が数量を保ち、女性用品・大人用失禁は高齢化で伸びる。IPC は数量が年 +2.6%、中国の信用問題が 1〜2 年で収まる。生産性が価格投資を上回り、営業利益率は 18% 台。PB は洗剤やキッチンペーパーの一部で取り分を増やすが、おむつ・女性用品のブランドは守る。

  • 北米パーソナルケア:数量 232(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.34(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 78 億ドル・営業利益 23 億ドル。数量 +0.9%/年・価格 1.34 倍・利益率 29.0%
  • 北米家庭用紙:数量 30.6(ロール・箱換算の販売個数(億個、推定))× 価格 1.75(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 54 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量 -0.2%/年・価格 1.40 倍・利益率 21.0%
  • 北米業務用(ケイ・シー・プロフェッショナル):数量 1.8(出荷ケース換算(億ケース、推定))× 価格 14(1 ケースあたり平均単価(ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量 +1.5%/年・価格 1.42 倍・利益率 22.5%
  • 国際パーソナルケア(IPC):数量 368(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.27(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 101 億ドル・営業利益 17 億ドル。数量 +2.6%/年・価格 1.37 倍・利益率 16.8%

倍率:自己資本が薄いため、ROIC から出した事業の ROE を使う。ROE 50.0%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 29.2%、g 3.0%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.3 倍(来年の利益に対して)。紙製品の首位で景気に強いが、価格は物価に届かないので上限の 9 割。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 15.1 倍。時価総額 = 純利益 39 億ドル × 15.1 倍 = 584 億ドル。

確率:価格投資が数量に実り、生産性が利益率を 1.5 ポイントほど押し上げる筋書き。足元の弱さを見て 17%。

中立 38% 中立:北米の首位を保ち、価格は物価に届かないまま利益率が緩やかに上がる 利益 34 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 140.37 ドル468 億ドル

2035 年 12 月期、売上は 239 億ドル(年 +3.8%)、営業利益 41 億ドル(営業利益率 17.1%)、純利益 34 億ドル(今の調整後 20.5 億ドルの約 1.6 倍)。北米パーソナルケアは数量が年 +0.5%、価格が 1.30 倍(年 +2.7%、PB とパンパースに挟まれて物価に届かない)。家庭用紙は数量が年 −0.4%、価格 1.37 倍。業務用は数量 +1.0%、価格 1.40 倍。IPC は数量が年 +1.9%、価格 1.33 倍で、中国の信用は戻るが成長は鈍い。営業利益率は生産性で 17% 台まで緩やかに上がる。クラブ店と PB の取り分は広がるが、首位級のブランドは残る。ケンビューは入れていない。

  • 北米パーソナルケア:数量 223(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.33(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 72 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量 +0.5%/年・価格 1.30 倍・利益率 27.8%
  • 北米家庭用紙:数量 30.0(ロール・箱換算の販売個数(億個、推定))× 価格 1.71(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 51 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量 -0.4%/年・価格 1.37 倍・利益率 20.3%
  • 北米業務用(ケイ・シー・プロフェッショナル):数量 1.7(出荷ケース換算(億ケース、推定))× 価格 14(1 ケースあたり平均単価(ドル))→ 売上 24 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量 +1.0%/年・価格 1.40 倍・利益率 21.8%
  • 国際パーソナルケア(IPC):数量 343(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.27(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 91 億ドル・営業利益 14 億ドル。数量 +1.9%/年・価格 1.33 倍・利益率 15.5%

倍率:自己資本が薄いため、ROIC から出した事業の ROE を使う。ROE 46.0%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 27.3%、g 2.5%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.1 倍(来年の利益に対して)。紙製品の首位で景気に強いが、価格は物価に届かないので上限の 9 割。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.0 倍。時価総額 = 純利益 34 億ドル × 14.0 倍 = 468 億ドル。

確率:数量は小さく伸び、価格は物価に届かないが首位級のブランドは守る。議論で最も厚く 38%。

やや悲観 27% やや悲観:PB とプロクターに押され、価格も利益率も届かない 利益 27 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 91.00 ドル303 億ドル

2035 年 12 月期、売上は 216 億ドル(年 +2.8%)、営業利益 33 億ドル(営業利益率 15.1%)、純利益 27 億ドル。北米パーソナルケアは数量が横ばいで、価格は 1.25 倍(年 +2.3%)にとどまり、PB とパンパースに 2〜3 ポイントの占有率を譲る。家庭用紙は数量が年 −0.8%、価格 1.32 倍。IPC は中国のブランドの傷が長引き数量が年 +1.0%、価格 1.28 倍。関税・パルプの高止まりを価格に乗せきれず、営業利益率は今の 16.6% より低い 15% 前後に下がる。純利益は今の約 1.3 倍で、名目の売上の伸びにも届かない。

  • 北米パーソナルケア:数量 212(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.31(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 66 億ドル・営業利益 17 億ドル。数量 +0.0%/年・価格 1.25 倍・利益率 25.5%
  • 北米家庭用紙:数量 28.8(ロール・箱換算の販売個数(億個、推定))× 価格 1.65(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 48 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量 -0.8%/年・価格 1.32 倍・利益率 18.5%
  • 北米業務用(ケイ・シー・プロフェッショナル):数量 1.6(出荷ケース換算(億ケース、推定))× 価格 14(1 ケースあたり平均単価(ドル))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量 +0.5%/年・価格 1.36 倍・利益率 20.5%
  • 国際パーソナルケア(IPC):数量 314(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.26(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 81 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量 +1.0%/年・価格 1.28 倍・利益率 13.8%

倍率:自己資本が薄いため、ROIC から出した事業の ROE を使う。ROE 42.0%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 25.2%、g 2.0%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.2 倍(来年の利益に対して)。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値(1 ÷ k × (1+g))の 9.5 割に置き、式の上乗せは見ない。市場の倍率は使わない。上限の 7.9 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.4 倍。時価総額 = 純利益 27 億ドル × 11.4 倍 = 303 億ドル。

確率:PB・プロクターと中国の逆風が続き、価格が物価の 3 分の 2 にとどまる筋書き。2025〜26 年の実績に近いので 27% と厚めに置いた。

悲観 12% 悲観:北米のおむつで劣位に、中国でもブランドを失う 利益 19 億ドル · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 54.17 ドル181 億ドル

2035 年 12 月期、売上は 189 億ドル(年 +1.4%)、営業利益 23 億ドル(営業利益率 12.3%)、純利益 19 億ドル(今の調整後 20.5 億ドルより少ない)。構造的に負ける筋書き。北米のおむつでパンパースと PB(カークランド・アマゾン)に数量を奪われ、数量が年 −0.7%、価格は 1.18 倍にとどまる。家庭用紙は数量が年 −1.3%、価格 1.25 倍で利益率が 16% 台へ。中国のブランド失墜が続き、IPC は数量が横ばい、価格 1.20 倍、利益率 11.5%。営業利益率は 12% 台まで下がる。配当は増配を止め、純利益の 9 割を超える状態が続くので 2030 年に 1 割引き下げる(10 年の還元は約 165 億ドル)。ただし首位級のブランドと生産性は残り、事業は存続する。ケンビューの買収で価値を壊す場合は別の話で、ここには含めない。

  • 北米パーソナルケア:数量 198(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.30(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 58 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量 -0.7%/年・価格 1.18 倍・利益率 22.5%
  • 北米家庭用紙:数量 27.4(ロール・箱換算の販売個数(億個、推定))× 価格 1.56(1 個あたり平均単価(ドル))→ 売上 43 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量 -1.3%/年・価格 1.25 倍・利益率 16.5%
  • 北米業務用(ケイ・シー・プロフェッショナル):数量 1.5(出荷ケース換算(億ケース、推定))× 価格 13(1 ケースあたり平均単価(ドル))→ 売上 20 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量 -0.3%/年・価格 1.30 倍・利益率 18.5%
  • 国際パーソナルケア(IPC):数量 285(おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定))× 価格 0.24(1 枚あたり平均単価(ドル))→ 売上 68 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量 +0.0%/年・価格 1.20 倍・利益率 11.5%

倍率:自己資本が薄いため、ROIC から出した事業の ROE を使う。ROE 34.0%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 21.3%、g 1.5%(前と同じく市場の数量 × シェア × 価格から出した値)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.3 倍(来年の利益に対して)。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に成長 g を乗せた値の 8 割に置いた(構造的に負け、名目 g 1.5% は実質では縮むため)。市場の倍率は使わない。上限の 7.1 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 9.6 倍。時価総額 = 純利益 19 億ドル × 9.6 倍 = 180 億ドル。

確率:北米のおむつで首位級を失い、中国でもブランドを失う構造的な負け。プロクター・コルゲートの同種の確率(10〜11%)より少し厚い 12%(価格・中国・利益率の弱さの分)。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

北米パーソナルケア

ハギーズ(おむつ・おしりふき)、プルアップス、コテックス(女性用品)、デプェンド・ポイズ(大人用失禁ケア)。北米の売上の約半分。

数量おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定)価格1 枚あたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2025/12 212 0.25 53 14
10 年後 中立 223 0.33 72 20

取り方:北米 107.5 億ドルのうち、おむつ・トレーニングパンツ・おしりふき・女性用品・大人用失禁の合計を約 53 億ドルと置き、1 枚あたり平均 0.25 ドル前後(おむつ 0.3〜0.4、女性用品・大人用 0.15〜0.3)で約 212 億枚と置いた推定。事業別の利益は非開示で、北米セグメントの営業利益率 23.7% と、家庭用紙・業務用の低めの利益率から逆算して約 27%(14.4 億ドル)。

北米家庭用紙

クリネックス(ティッシュ)、コットネル・スコット(トイレットペーパー・キッチンペーパー)。パルプ価格に左右される。

数量ロール・箱換算の販売個数(億個、推定)価格1 個あたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2025/12 31.2 1.25 39 8
10 年後 中立 30.0 1.71 51 10

取り方:北米の家庭用紙の売上を約 39 億ドルと置き、トイレットペーパー 1 ロール換算の単価約 1.25 ドル × 約 31 億個と置いた推定(IFP の売却後も北米の家庭用紙は KMB に残る)。営業利益率は 20%(パルプ・エネルギーの費用が重く、おむつ・女性用品より低い)と推定。

北米業務用(ケイ・シー・プロフェッショナル)

ワイプオール・クリンテック・スコットのビル・工場向けの紙・ワイパー・手洗い。景気(雇用)に連動。

数量出荷ケース換算(億ケース、推定)価格1 ケースあたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2025/12 1.6 10 16 3
10 年後 中立 1.7 14 24 5

取り方:北米の業務用の売上を約 15.5 億ドル(PPE 事業の売却後)と置き、1 ケース 10 ドル前後 × 約 1.55 億ケースと置いた推定。営業利益率は 21%(北米全体の 23.7% と整合)と推定。

国際パーソナルケア(IPC)

中国・ブラジル・東南アジア・中南米などのおむつ・女性用品・大人用・おしりふき。新興国の普及が数量を押し上げる。

数量おむつ・パッド等の販売枚数(億枚、推定)価格1 枚あたり平均単価(ドル)売上営業利益
今 2025/12 285 0.20 57 8
10 年後 中立 343 0.27 91 14

取り方:2025 年の IPC の売上 56.9 億ドルを、新興国のおむつの安い単価(平均 0.20 ドル前後)で約 285 億枚と置いた推定。営業利益 8.0 億ドル(利益率 14.1%)は開示値(セグメント営業利益)。

リスクと懸念

価格が物価に届かない(値頃感への投資の長期化)

2025 年は価格 −0.9%、2026 年第 2 四半期は −0.5%。物価 3.5% に対して実質で大きな値引きになっている。プロクター(パンパース)と PB に対抗する価格投資が長引けば、数量で稼いでも売上と利益率が物価に届かない。10 年の価格を 1.30〜1.40 倍に置いたのはこのため。

PB の広がりと小売の集約

コストコのカークランドは供給元が KMB からファースト・クオリティに替わったと報じられ、KMB は米国のクラブ店でおむつ・トレーニングパンツの配荷を一部失う。ウォルマート・アマゾン・ターゲットの自社ブランドもおむつ・紙製品に広がり、ブランドの価格を決める力を削る。2025 年に KMB 自身が米国の PB おむつから撤退したので、PB の生産で稼ぐ道も細った。

中国のおむつ(ホルムアミドの SNS 騒動)

2026 年 6 月、ハギーズなどにホルムアミドが含まれるとの主張が拡散し、第 2 四半期の営業利益に 210bp、有機売上に 50bp の逆風。当局は合同調査チームを設けた。第三者検査では安全とされたが、ブランドの信用が戻るまで時間がかかる可能性がある。中国は出生数の減少でもともと数量が伸びにくい。

ケンビュー買収(未成立)

KMB 株約 2.8 億株と現金約 67 億ドルで買う計画(約 487 億ドルの企業価値)。海外当局の承認待ちで 2026 年下期の完了を見込む。成立すれば、のれん・借入金・タイレノール関連の訴訟・統合の失敗が KMB に加わる。ここでは今の会社だけで書いたので、成立した時の価値の変化は含まない。

利益率が同業より低い

KMB の調整後営業利益率 16.6% は、プロクター(24.6%)・コルゲート(21%)より 5〜8 ポイント低い。おむつ・紙製品は設備が重くコストを価格に乗せにくい。生産性(総生産性が売上原価の 6% 台)で補っているが、価格投資と関税・パルプの上昇で食われると、利益の増え方が鈍る。

関税・原料・一時要因

2026 年第 2 四半期の粗利益率 +190bp には、関税の返還という一時要因が含まれる。パルプ・ポリマー・輸送の費用と関税は、価格が上がりにくいカテゴリーでは利益を直接削る。返還が一巡した後も粗利益率が保てるかが、利益率の置き方(10 年で 17% 台)の前提になる。

IFP 売却後の持ち分利益の質

アーベックス(持ち分 49%)の利益は持ち分利益として入り、2026 年は約 3 割増える見通しだが、KMB は経営を握らず、配当(分配)の時期と額をコントロールできない。合弁の借入金や再編の費用で持ち分利益が想定より小さくなる可能性がある。

今後の分かれ目

北米の有機売上が 2 四半期続けてプラスに戻り、数量・ミックスが価格の下落を上回る
値頃感への投資が実ったと判断し、中立から楽観側へ確率を寄せる(10 年で楽観・やや楽観を合計で 5 ポイント厚く)。
中国のおむつが 2027 年前半までに戻らず、IPC の有機売上が前年割れ
IPC の数量を横ばいに下げる。やや悲観・悲観を厚くし、IPC の利益率の置き方を 2 ポイント下げる。
クラブ店・PB への配荷の喪失がおむつ・トレーニングパンツ以外へ広がる
北米パーソナルケアの数量を年 −0.5% 程度へ下げ、価格も 1.25 倍へ下げた悲観側に確率を寄せる。
ケンビュー買収が成立する(または条件が変わる)
今回は含めていないので、事業の中身(OTC 医薬・訴訟)と借入金・のれんを加えて筋書きと確率を全面的に見直す。成立前の価値とは別物として扱う。
調整後の粗利益率が関税の返還を除いても前年を上回り続ける
生産性が価格投資を上回るという見方が強まり、利益率の置き方を上げる(楽観側の確率を厚く)。
米国の長期金利が上がり、k が実質で 1 ポイント上昇
式の PER が約 15 倍から約 13 倍へ下がり、割高側に傾く。

見ておくもの

  • 北米の有機売上・数量・価格(四半期)と、おむつ・トレーニングパンツの配荷
  • 中国のおむつの売上とホルムアミド調査の結果
  • 調整後の粗利益率(関税の返還を除く)と総生産性
  • IPC の有機売上と営業利益率
  • アーベックス(IFP 合弁)の持ち分利益と分配
  • ケンビュー買収の完了時期・条件・海外当局の判断
  • プロクター(パンパース)・PB(カークランドなど)の米国のおむつの占有率

倍率と資本コストの決め方

今の PER(調整後 約 17 倍・GAAP 約 21 倍)を見る前に、4 つの事業を販売枚数(個数)× 平均単価で積み、事業別の利益率から営業利益を作り、純利益に 23% の税・借り換えの利払い・持ち分利益を入れた。倍率は k 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%)の式 (1 − g/RONIC) ÷ (k − g) × (1+g) で置き、上限の 9 割に置いた(中立の 10 年後 14.0 倍)。成長は ROE から出さず、市場数量 +0.3%・価格 +2.2%・シェア ±0 から g を 2.5% とし、ROE は ROIC 約 25% から約 46%。ケンビューは成立前なので入れていない。悲観側は稼ぐ力(純利益 ÷ k)に g を乗せた値の 8〜9.5 割で、過去の PER や中央値には寄せていない。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β 0.60 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。必需品で景気に左右されにくい。個別のリスク(北米の価格・中国・ケンビュー・訴訟)は k に足さず、筋書きと確率で表した。

同じ業種(生活必需品)の AI 分析

適正 クロロックスCLX 漂白剤・猫砂・ごみ袋・ピュレルの必需品ブランド。ERP 移行の傷・CEO 交代・借入増が重なり利益が谷にあるが、k 8.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +8.2% · 10 年 適正(年 +8.1%) 適正 マコーミックMKC 調味料で世界首位の安定事業。米国の数量は弱いが、k 8.25% の利益ベースの正当化 PER(その 8.5 割)で測った値は今の時価総額を上回り、ユニリーバ統合を除いた単体ではやや割安 本質価値との差 +6.8% · 10 年 適正(年 +7.2%) 適正 ペプシコPEP 飲料とスナックの二本柱だが、値下げと原料高で北米の利益が痩せている。利益ベースの正当化 PER(その 8.5 割)で測ると、本質価値は今の値段とほぼ同じで適正 本質価値との差 −4.7% · 10 年 適正(年 +6.1%) 適正 クローガーKR 米国最大の伝統的な食品スーパー。占有率を毎年失う薄利の成熟事業だが、食料品は落ちにくく、利益ベースの正当化 PER(その 8 割)で見ると今の値段は適正 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +5.8%) 適正 ターゲットTGT 縮んだ総合量販が立て直しに投資する局面。成功すれば倍率以上に利益が戻り、競合に負ければ構造的に縮む。利益ベースの正当化 PER で測ると、今の値段は適正 本質価値との差 −6.9% · 10 年 適正(年 +5.9%) 適正 ゼネラル・ミルズGIS 数量が縮み利益が 2 期続けて落ちた大手ブランド。価格投資は一巡したが、借金の重さを k に入れて確率を慎重側に厚くすると、本質価値は今の時価総額とほぼ同じで適正 本質価値との差 −9.7% · 10 年 適正(年 +5.6%) やや割高 タイソン・フーズTSN 牛肉の赤字を鶏肉と加工食品が支える食肉大手。k 9.75% の正当化 PER(弱い堀で下限の 1 ÷ k に近い)で測ると、中立の価値は今を上回るが、期待の年率は k を下回り、適正 本質価値との差 −10.1% · 10 年 やや割高(年 +6.6%) やや割高 ホーメル・フーズHRL 豚肉の原価高と撤退で利益が落ちた、配当 127 年の加工肉・外食の会社。借金は軽いが、利益ベースの正当化 PER(その 8 割)で測ると今の時価総額をやや下回り、適正 本質価値との差 −13.7% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 モルソン・クアーズ・ビバレッジTAP 米国ビールの縮小とシェア低下で利益が減る最中。それでも伸びのない会社の式(PER = 1 ÷ k = 10.5 倍)で測ると中立の 10 年後は今とほぼ同じで、確率を重ねるとやや割高 本質価値との差 −14.6% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 ダラー・ツリーDLTR 裁量品が約半分の均一価格店が、多価格化と客層の広がりで利益率 9% 前後に乗せた局面。利益ベースの正当化 PER で測るとやや割高で、関税還付の一過性と客数の弱さから確率も慎重側に厚く置いた 本質価値との差 −18.0% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ブンゲ・グローバルBG 世界最大級の油糧種子の圧搾・穀物商社。2026 年は圧搾利幅が山で、ならした利益に弱い堀の正当化 PER(下限の 1 ÷ k = 10.0 倍)を当てると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +6.0%) やや割高 アルトリア・グループMO 数量が毎年 5% 減る紙巻きを値上げで支える高配当の縮む事業。名目の利益は横ばいで、伸びのない会社の正当化 PER(1 ÷ k)で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 コンステレーション・ブランズSTZ モデロ・コロナの輸入ビール一本足。数量が縮む産業で純負債も重いが、伸びのない会社の正当化 PER(1 ÷ k)で測ると、中立の 10 年後は今の 0.94 倍で、還元を足しても資本コストに届かず、やや割高 本質価値との差 −19.0% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 クラフト・ハインツKHC ブランドは強いが数量が毎年縮む会社。k 9.0% の稼ぐ力(純利益 ÷ k)で測ると中立の価値は今の時価総額とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −19.2% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ダラー・ゼネラルDG 農村の小型店の密度で食品の来店頻度を握る会社が、盛り損の削減と改装で利益率を戻す局面。今の値段はやや割高で、利益率の戻りが続くかが価値を分ける 本質価値との差 −20.3% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 モンデリーズ・インターナショナルMDLZ 世界首位のビスケットと世界 2 位のチョコを持ち、カカオ高で利益が削られた谷にある。k 8.0% の利益ベースの正当化 PER で測ると、今の値段は中立の価値とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −21.6% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 ハーシーHSY チョコレート首位のブランドが、カカオ高の谷を価格改定で抜けた直後。k 7.5% の利益ベースの正当化 PER で測ると、値段はやや割高 本質価値との差 −22.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 コルゲート・パルモリブCL 歯磨きで世界首位とペット用療法食を持つ超安定企業。北米の数量減は重く、k 7.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 20 倍)で見ると今の PER 25 倍はやや高く、利益の質は高いがやや割高 本質価値との差 −23.3% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) やや割高 コカ・コーラKO 世界最強のブランド原液事業。強い堀の利益ベースの正当化 PER で測っても、k 7.5% では中立の 10 年後が今の約 1.1 倍にとどまり、今の値段はやや割高 本質価値との差 −25.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 プロクター・アンド・ギャンブルPG 世界最強の日用品ブランド群だが、PER 24 倍は k 7.5% の利益ベースの正当化 PER(来年の利益に約 19 倍)を上回る。数量の弱さを長期の成長に入れると、値段はやや割高 本質価値との差 −26.2% · 10 年 やや割高(年 +3.0%) やや割高 キューリグ・ドクターペッパーKDP JDE ピーツの買収で純負債が時価総額の 6 割になった飲料・コーヒー複合。強い飲料と縮むポッドの綱引きで、借金の重さを k に入れると 10 年の中立は今の約 0.93 倍にとどまり、今の値段はやや割高 本質価値との差 −26.2% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) 割高 JM スマッカーSJM コーヒーの値付けと借金返済で利益の底が見えたが、ブランドの堀は広がらず、k 8.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると中立の価値は今とほぼ同じで、確率を悲観側に置いた総合ではやや割高 本質価値との差 −30.6% · 10 年 割高(年 +3.2%) 割高 シスコSYY 米国最大の外食向け食品卸。薄利の物流業で価格を決める力は弱いが、規模の経済と AI 効率化で利益は着実に伸びる。利益ベースの正当化 PER で見ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −30.7% · 10 年 割高(年 +3.7%) 割高 ケンビューKVUE タイレノール・リステリン・ニュートロジーナを持つが、数量は縮み、訴訟が再燃。買収条件に連動する株価に安全域は見えず、単体の本質価値はやや下 本質価値との差 −32.1% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 フィリップ モリス インターナショナルPM 紙巻きの減りを煙の出ない製品で埋める成長株。強い堀の利益ベースの正当化 PER でも、資本コスト 7.5% に対して今の値段は割高 本質価値との差 −33.8% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 ブラウン・フォーマンBF-B ジャックダニエルを軸にした酒類の老舗。米国の飲酒減・関税・カナダの棚外しが重いが、財務は軽く、利益ベースの正当化 PER(下限の 1 ÷ k)で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −35.8% · 10 年 割高(年 +1.8%) 割高 アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドADM 価格を決める力のない農産物加工の循環株。バイオ燃料の追い風で 2026 年は利益の山。ならした利益に k 9.5% の稼ぐ力(弱い堀の下限 1 ÷ k = 10.5 倍)を当てると、値段は割高 本質価値との差 −36.0% · 10 年 割高(年 +2.7%) 割高 ウォルマートWMT 食品の規模・通販・広告で堀は広がる。だが今の PER 43 倍は、強い堀の利益ベースの正当化 PER(約 22 倍)の 2 倍近くで、割高 本質価値との差 −38.0% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 チャーチ・アンド・ドワイトCHD 猫砂・洗濯・オーラルケアの強いブランドを買い足して伸びる必需品の中堅。ウォルマート依存と買収の失敗が影で、k 7.75% の利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −44.3% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 モンスタービバレッジMNST エナジー専業の高採算ブランド。利益ベースの正当化 PER で測っても、中立の 10 年後は今の時価総額の約 0.87 倍にとどまり、今の値段は割高 本質価値との差 −48.0% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 エスティ ローダーEL 高級美容の名門が再建の途中。利益率は戻るが、利益ベースの正当化 PER(k 9.25%・ROE 25% 台で来年の利益に約 14 倍)では今の約 380 億ドルは回復を先取りしており、割高 本質価値との差 −51.4% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 コストコ・ホールセールCOST 会費が利益の半分を生む堀は本物だが、PER 47.6 倍は成熟後の約 2 倍。10 年の年率は資本コスト 7.5% に届かず割高 本質価値との差 −52.4% · 10 年 割高(年 −0.9%) 割高 ケーシーズ・ゼネラル・ストアーズCASY 米国 3 位のコンビニ。小さな町の寡占と調理品で伸びる良質な事業だが、燃料粗利が高止まりの今、GAAP の約 36 倍は利益ベースの正当化 PER(約 15 倍)の倍以上で割高 本質価値との差 −62.1% · 10 年 割高(年 −3.1%)

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読んだ資料

  1. Kimberly-Clark 第 2 四半期・上期 2026 決算(継続事業の表)
  2. Kimberly-Clark 2025 通期決算(継続事業・見通し)
  3. Kimberly-Clark 10-Q 2026 年 6 月期(ケンビューの状況・IFP)
  4. Kimberly-Clark と Suzano の IFP 合弁(Manufacturing Dive)
  5. Kimberly-Clark の中国おむつの SNS 騒動と見通しの引き下げ(ESM)
  6. Kimberly-Clark 第 1 四半期 2026(8-K)
  7. Kimberly-Clark 時価総額(Motley Fool)
  8. The great diaper shakeup(Nonwovens Industry、コストコの供給元の変更)

分析日 2026-10-16