結論
モンスター・ビバレッジは、エナジードリンクの専業メーカーで、モンスター・エナジー(グリーン)・ウルトラ・ジュース・モンスター・レイン・バンなどを持つ。缶の充填は委託先に任せ、世界の配荷はコカ・コーラの瓶詰め網(2015 年に戦略ブランドの交換でコカ・コーラが約 17% を出資)に載せ、150 か国超で売る軽い資産の事業である。2025 年は売上 82.9 億ドル(+10.7%)、営業利益 24.2 億ドル(営業利益率 29.2%)、純利益 19.1 億ドル。借金は無く、現金と投資が 32.5 億ドル。2026 年上半期は売上 48.9 億ドル(+23.3%)で、海外が +35%(中国 +62%、インド +84%、ブラジル +82%)と急伸し、米国でもニールセンの価値シェアが 0.7 ポイント上がった。
事業の質は高い。ブランドの力・コカ・コーラの配荷網・新製品の連続投入で、価格を決める力は強く、売上の約 3 割(米国のシェア約 27%)をレッドブル(約 36%)とセルシウス(アラニ ヌー込みで約 20%)と分け合う寡占の中にいる。一方、エナジーは参入が多く、ペプシコの流通に乗ったセルシウスの攻勢と、アルミ缶・関税の原料高、GLP-1・カフェイン規制が逆風になりうる。
バリュー投資の観点では、事業ごとに数量 × 価格で積み上げる。中立の 10 年後は、販売ケース数が米国 1.5 倍・海外 2.6 倍、1 ケースの売上は物価(10 年で 1.41 倍)をやや下回る伸びで、売上 204 億ドル、営業利益率 30.8%、純利益 50.7 億ドル(今の 2.7 倍)。倍率は利益ベースの正当化 PER(k 8.25%・g 3.6%・純現金を除いた ROE 約 22% で来年の利益に約 17.4 倍、新興ブランドとの競争を見てその 8.5 割)で、10 年目の利益に約 15 倍、純現金は 1 ドルで足して時価総額は約 783 億ドル。配当を足した期待の年率は 10 年で約 1%(資本コスト 8.25% を下回る)で、総合の差は約 −46% の割高。ただし競合の攻勢・アルミ缶の値上がり・k − g の薄さ(倍率が資本コストに敏感)で、確信度は中。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。エナジードリンクは習慣性が高く、ブランドと配荷網が堀になる。モンスターは世界 2 位級で、新製品の回転とコカ・コーラの網で海外の浸透が続く。10 年後も存在し、今より強い公算は大きい。ただし商品が 1 つに集中し、競合(レッドブル・セルシウス)が強く、確信度は「やや高い」にとどまる。
次にオーナー利益を見る。税引き後の営業利益 18.4 億ドルに対し、設備投資は小さく、成長に要る元手は増えた利益の 2 分の 1 ほど。株式報酬は小さい。オーナー利益は純利益に近く、現金が積み上がる。経営は資本配分が堅実(無借金・買収は小さい)だが、2024 年に大きな買い戻しをしながら 2025 年は止めるなど、機会的である。
安全域は、今の PER 47 倍・PBR 11 倍の水準では薄い。本質価値は式どおり(k 8.25%)で見ると、中立の 10 年後の時価総額は今の約 0.87 倍、配当を足しても約 1.1 倍(年率 1% 前後)で、資本コストに届かない。結論は、優良な事業でも今の値段は割高で、予測が難しい要素(競合の価格・原料)の確率を高く見て、確信度を下げる。
何で稼ぐ会社か
モンスターの稼ぎ方は、エナジードリンクのブランドを持ち、缶詰め・配送を他社に任せ、小売・飲食店・コンビニに売ることにある。自社の工場は少なく、米国は委託の充填会社(缶のアルミは自社で調達)、海外はコカ・コーラの瓶詰め会社(ボトラー)が原液から詰めて売る。そのため設備投資は売上の 2〜4% と軽く、営業利益率は 29% 前後、事業の資本に対する税引き後の営業利益率(ROIC)は 50% 前後。
売上は 4 つに分かれる。①モンスター・エナジー(売上の約 92%)。グリーンを核に、無糖のウルトラ、ジュース・モンスター、レイン、バン、ビースト、ストームなど。2026 年上半期は +24.4%。うち米国・カナダが約 55%、海外が約 45%(2026 年第 2 四半期)。②戦略ブランド(約 6%)。2015 年にコカ・コーラから取得したバーン・NOS・フルスロットルなどと、新興国向けの低価格ブランド(プレデター・フューリー)。③酒類(約 1.6%)。クラフトビール・麦芽飲料・ハードセルツァーで縮小中(2026 年第 2 四半期 −15.2%)。④その他。
数量は 192 オンスに換算したケース数で、2026 年第 2 四半期は 3.05 億ケース(+22%)。1 ケースの売上は 8.20 ドルと前年より 1% 下がった。これは値上げが無いからではなく、中国・インド・ブラジルなど 1 ケースの単価が低い市場の比率が高まったため(地域ミックス)。米国は 2026 年第 4 四半期に選択的な値上げを予定し、EMEA は 2026 年第 2 四半期に低 1 桁の値上げを済ませた。粗利益率は 55.9% で、米国が高く、海外は EMEA が 38.8% と低いため、海外が伸びると全社の粗利益率はミックスで下がる。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第 1 はブランド。エナジーは「味・パッケージ・スポーツやゲームのスポンサー」のブランドで、モンスターは世界最大級の存在感を持つ。第 2 はコカ・コーラとの流通同盟。20 年の初期契約(2015 年から約 2035 年まで。その後は自動更新で、90 日前の通知で更新しない権利がある)で、世界の冷蔵庫・自販機・飲食店の配荷に載れる。海外で同社のケース数が 1 年で 3 割近く伸びるのはこの網のおかげで、新規参入者は同じ網を持てない。第 3 は新製品を回す力。ウルトラ・ジュース・モンスターの伸び(2026 年第 2 四半期は +19%、+26%)、限定品の継続投入、12 オンスの小容量など、棚の空きを取る手法を持つ。第 4 は財務の質で、無借金・営業キャッシュフローが純利益を上回る。
弱みも明確にある。第 1 に、エナジーという 1 つの商品群への集中(一本足)。第 2 に、コカ・コーラへの依存(海外の配荷)と、米国のウォルマートなど大手小売への販売の集中。第 3 に、競合が強い。レッドブルは世界最大で値上げの力が強く、セルシウスはペプシコの網でアラニ ヌー(2025 年末に小売売上 +77%)を伸ばしている。第 4 に、アルミ缶(中西部プレミアム、関税)の値上がり。第 5 に、広告費・販売費の増加(2026 年第 2 四半期の販売費は売上の 10.6%、前年 9.3%)。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
エナジードリンクは米国の成長するカテゴリーで、ニールセンによれば 2026 年 4〜7 月の 13 週は金額で +7.1%(物価 3.5% 上乗せ込み)。米国のソフトドリンク全体の製造は約 480 億ドル(IBISWorld)で年 +2% 程度なので、エナジーは飲料の中で成長が速い。ただし市場規模の定義は調査で割れ(IMARC 76 億ドル、Deep Market Insights 214 億ドル)、定義がまちまちなため、同社の数量は「市場のケース数 × シェア」では置かず、直近の実績の伸びから置いている。
競争の形は寡占。米国の価値シェアはレッドブル 35.9%、モンスター 27.3%、セルシウス 19.8%(Circana。時期は不明)で、セルシウスは 2026 年第 1 四半期に約 20.9%(アラニ ヌー 3.7 億ドル、セルシウス 3.5 億ドル、ロックスター 0.7 億ドルの四半期売上)。ペプシコがセルシウスの流通を担い、2025 年にアラニ ヌーを 18 億ドルで買収したセルシウスは、勢いで棚を取っている。レッドブルは新フレーバー(無糖)でセルシウス・モンスターから取っているとの見方もある(ジェフリーズ)。
海外は成長の余地が大きい。モンスターは EMEA で +27%、アジア太平洋で +36%(中国 +62%、インド +84%)、中南米で +56%(ブラジル +82%)。経営陣は「ブラジルが上位の国の 1 つになる」と述べた。EMEA ではモンスター系が市場の 2 倍の速さで伸び、価値シェアが 2.2 ポイント上がった。
逆風は、①アルミ缶と関税(中西部プレミアムの上昇で、ヘッジは足りない見込み)、②GLP-1 の普及と、カフェイン・糖分に関する規制、③ペプシコのような大手が低価格で参入すること、④小売の自社ブランド。ただしエナジーは炭酸より習慣性が強く、数量は景気で落ちにくい(リーマン期は株価が −66% でも、売上は伸びた)。
資本政策と M&A
資本政策は「配当なし・自社株買いは機会的」。過去 12 年の自社株買いは合計約 115 億ドルで純利益の約 85%(2024 年は 37.7 億ドルを買った一方、2025 年は 1.0 億ドル)。2026 年第 2 四半期は買い戻し無し、現金・投資が 42 億ドルまで積み上がり、残りの枠は約 9 億ドル。2026 年 12 月 1 日にニューヨークで投資家会合があり、配当の開始・大型の買い戻しの発表がありうる。
買収は小さく堅実。2015 年にコカ・コーラとの取引で戦略ブランドを取得し、2023 年にバン(VPX の破産手続きで)を取得、過去に酒類(クラフトビール)を買って減損した(2024 年の減損 1.3 億ドル、2025 年 0.4 億ドル)。今後はタバコ・飲酒の周辺ではなく、海外のエナジーブランド(プレデターなど)や小規模な機能性飲料の買収が中心になるとみる。コカ・コーラがモンスターを丸ごと買収する(2015 年の約 17% 出資の続き)可能性は常に市場にあるが、独占禁止や価格の面で難しい。
株式報酬は年 1.4 億ドル程度と小さく、2026 年 8 月の 2 分割で 1 株の値は半分になった(時価総額は変わらない)。この分析は会社全体の時価総額で書き、還元は配当と自社株買いから株式報酬の分を引いた正味で置く。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
モンスターは世界で最も強いエナジーブランドの 1 つで、先進国の成長がまだ続く間に新興国の浸透が始まったばかりである。2026 年上半期の売上は +23.3%、営業利益は +22.4%、海外は +34.6%(中国 +62%、インド +84%、ブラジル +82%)。米国でもニールセンの価値シェアを 0.7 ポイント上げ、ウルトラ(+19%)・ジュース・モンスター(+26%)の新製品が棚を取っている。限定品(ウルトラ レッド・ホワイト・ブルー)が売上の約 5% を占め、2027 年の新製品カレンダーも用意される。
コカ・コーラの瓶詰め網は 20 年の流通契約(約 2035 年まで)で守られ、冷蔵庫・自販機を新たに置ける。コカ・コーラ・ボトラーズ・ジャパンの自販機でも 2026 年 6 月から販売が始まった。資本の使い方も軽い。ROIC(事業の資本に対する税引き後の利益率)は 50% 前後、増えた利益 1 ドルに要る元手は 0.5 ドル以下。借金は無く、現金が 42 億ドルまで積み上がる。2026 年 12 月の投資家会合で配当や大型の買い戻しが発表されれば、還元が一気に増える。
値上げの余地も残る。米国で 2026 年第 4 四半期に選択的な値上げ、EMEA で低 1 桁の値上げを進め、アルミ缶の上昇を価格で相殺できる。エナジー市場が米国で年 +7% 台、世界で 2 桁近い成長を続けるなら、10 年後の純利益は今の 3 倍を超え、式どおりの倍率でも時価総額は今を大きく上回る(楽観で今の約 1.5 倍)。
慎重な見方
エナジーは参入が多く、先行者の優位が崩れやすい。米国の価値シェアはレッドブル 35.9%、モンスター 27.3%、セルシウス 19.8%(Circana)で、セルシウスは 2025 年にアラニ ヌー(18 億ドル)とロックスターを取り込み、ペプシコの全米の流通網で 2026 年第 1 四半期に約 20.9% まで来た。レッドブルも無糖の新味でセルシウスとモンスターのシェアを取っている。米国は市場自体も成熟に向かい、GLP-1(成人の 13%)・カフェイン規制・糖分への批判が数量を圧迫する。
利益率の見通しも楽ではない。2026 年第 2 四半期は販売費が売上の 10.6%(前年 9.3%)、運賃・燃料で物流費が 4.7%(同 3.9%)と上がり、粗利益率もアルミ缶の値上がり(中西部プレミアム、関税)で押される。経営陣は「ヘッジは足りないだろう」と認めた。海外は粗利益率が低く(EMEA 38.8%)、海外が伸びるほど全社の利益率はミックスで下がる。1 ケースの売上も 8.20 ドルと前年を下回った。
今の PER 47 倍・PBR 11 倍は、完璧に近い成長を織り込む。式どおりの倍率でも、k − g が 4.65% と薄く、k が 1% 上がれば倍率は 2 割強下がる。商品が 1 つ(エナジー)、頼る網が 1 つ(コカ・コーラ)という一本足で、ブランドが傷む出来事(健康被害の報道・規制)が起きると回復しにくい。
どちらに重みを置いたか
強気の根拠(海外の高成長・無借金・資本の軽さ)の方が事業の実績に裏付けられ、10 年の中立から楽観側は厚くした(やや楽観 22%・楽観 10%)。一方、慎重な見方が指す競合の攻勢・原料高・一本足のリスクは現実的なので、やや悲観 21%・悲観 10% と、悲観側の合計を 3 割強に置いた。事業は強気がやや優勢だが、利益ベースの正当化 PER(k 8.25%、10 年中立 14.9 倍)で測ると、総合の差は約 −46% の割高になる。倍率の感応度(k − g の薄さ)が大きく、確信度は中。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 38.86 ドル765 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 10.41 ドル205 億ドル)。 今の値に割り戻すと 24.59 ドル484 億ドル、今との差 −48.0%、 期待の年率 +0.4%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 66.51 ドル1,310 億ドル | 14.10 ドル278 億ドル | +70.4% | +5.5% | 8.06 ドル159 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 49.83 ドル981 億ドル | 12.35 ドル243 億ドル | +31.5% | +2.8% | 13.68 ドル269 億ドル |
| 中立 | 37% | 39.78 ドル783 億ドル | 10.98 ドル216 億ドル | +7.3% | +0.7% | 18.78 ドル370 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 25.30 ドル498 億ドル | 8.14 ドル160 億ドル | −29.3% | −3.4% | 7.02 ドル138 億ドル |
| 悲観 | 10% | 12.11 ドル239 億ドル | 5.08 ドル100 億ドル | −63.6% | −9.6% | 1.72 ドル34 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 38.86 ドル765 億ドル | 10.41 ドル205 億ドル | +4.2% | +0.4% | 49.26 ドル970 億ドル |
今の株価時価総額 47.30 ドル931 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:海外が米国並みの規模になり、エナジーの王者として利益率も上がる 利益 74 億ドル · PER 17.3 倍 · 株価時価総額 66.51 ドル1,310 億ドル
2035 年末(10 年後)、エナジー飲料は世界で今の約 2.5 倍の市場になり、モンスターは米国のシェアを守りつつ、海外でレッドブルに次ぐ地位を確立する。販売ケース数は米国 7.9 億ケース(今の 1.7 倍)、海外 17.2 億ケース(同 3.9 倍。中国・インド・ブラジルが米国並みの規模になる)。1 ケースは米国が年 +3.5%、海外が年 +3.0%。売上は 287 億ドル(今の 3.5 倍)、営業利益率は 32.8%(規模の効果と海外の粗利益率の改善)、営業利益 93.9 億ドル、純利益 74.4 億ドル(今の 3.9 倍)。競合はセルシウスがペプシコの網で伸びるが、市場が大きく広がるのでモンスターの数量も伸びる。 うまくいった場合の目安:米国でシェアを 2 ポイント上乗せし(セルシウスの伸びを部分的に止める)、海外でレッドブルのシェアを取れれば、利益は中立より 2〜3 割多くなる。(この筋書きの純利益は中立比 +47%。)
- 米国・カナダ(モンスター系エナジー):数量 7.9(米加の販売ケース数(億ケース、192 オンス換算、推定)=米エナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 15(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 117 億ドル・営業利益 44 億ドル。数量 +5.7%/年、1 ケース +3.5%/年(米国は値上げを抑え小容量・販促のミックスで物価より低い)
- 海外(EMEA・アジア太平洋・中南米のモンスター系エナジー):数量 17.2(海外の販売ケース数(億ケース、推定)=海外のエナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 9.00(1 ケースあたりの純売上(ドル。為替は固定))→ 売上 155 億ドル・営業利益 46 億ドル。数量 +14.6%/年、1 ケース +3.0%/年(安い市場(中国・インド・ブラジル)の比率が上がるミックスで物価より低い)
- 戦略ブランド(コカ・コーラから取得したバーン・NOS ほか、プレデター・フューリー):数量 1.7(販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 8.06(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 14 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量 +8.1%/年、1 ケース +3.0%/年(新興国向けの安いブランド中心のミックスで物価より低い)
- 酒類・その他(クラフトビール・麦芽飲料・ハードセルツァー):数量 0.0(販売ケース数(億ケース、24 缶換算、推定))× 価格 40(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量 -1.7%/年、1 ケース +3.0%/年(物価並み)
倍率:ROE 31.5%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.9%、g 3.9%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.5 倍(来年の利益に対して)。海外が米国並みの規模になる最良の筋書きだが、競合が多く新興ブランドの寿命の読みにくさがあるので 9 割に置いた。上限の 9.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.3 倍。時価総額 = 純利益 74 億ドル × 17.3 倍(余った現金の分を足す) = 1310 億ドル。
確率:エナジー飲料の世界市場が長く伸び、モンスターが海外の瓶詰め網で拡大を続ける展開。優良な事業だが予測は難しく、確率 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:海外の浸透が進み、米国もシェアを守って堅調に伸びる 利益 61 億ドル · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 49.83 ドル981 億ドル
2035 年末、海外の数量が 4〜10 年目に年 +9% で伸び、ケース数は米国が今の 1.6 倍、海外が 3.2 倍。米国は市場並みに伸び(4〜10 年目 年 +4%)、シェアは小幅に上がる。売上は 240 億ドル(今の 2.9 倍)、営業利益率 31.7%、営業利益 76.2 億ドル、純利益 60.8 億ドル(今の 3.2 倍)。1 ケースは米国が年 +3.2%、海外が年 +2.5%。レッドブル・セルシウスとは棲み分けが進み、価格競争は限られる。 競合と比べると、米国のシェアを約 1 ポイント上げ、海外でレッドブルより速く伸びる状態で、中立より利益が 1 割強多い。(この筋書きの純利益は中立比 +20%。)
- 米国・カナダ(モンスター系エナジー):数量 7.4(米加の販売ケース数(億ケース、192 オンス換算、推定)=米エナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 14(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 106 億ドル・営業利益 39 億ドル。数量 +5.0%/年、1 ケース +3.2%/年(米国は値上げを抑え小容量・販促のミックスで物価より低い)
- 海外(EMEA・アジア太平洋・中南米のモンスター系エナジー):数量 14.2(海外の販売ケース数(億ケース、推定)=海外のエナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 8.58(1 ケースあたりの純売上(ドル。為替は固定))→ 売上 122 億ドル・営業利益 35 億ドル。数量 +12.4%/年、1 ケース +2.5%/年(安い市場(中国・インド・ブラジル)の比率が上がるミックスで物価より低い)
- 戦略ブランド(コカ・コーラから取得したバーン・NOS ほか、プレデター・フューリー):数量 1.5(販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 7.68(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 +6.8%/年、1 ケース +2.5%/年(新興国向けの安いブランド中心のミックスで物価より低い)
- 酒類・その他(クラフトビール・麦芽飲料・ハードセルツァー):数量 0.0(販売ケース数(億ケース、24 缶換算、推定))× 価格 40(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量 -2.0%/年、1 ケース +3.0%/年(物価並み)
倍率:ROE 28.5%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 18.4%、g 3.8%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.8 倍(来年の利益に対して)。海外の浸透が進むが、新興ブランドとの競争を見て、上限の 8.5 割に置いた。上限の 8.5 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 15.7 倍。時価総額 = 純利益 61 億ドル × 15.7 倍(余った現金の分を足す) = 981 億ドル。
確率:海外の浸透が進み、米国も堅調。堀(ブランド・瓶詰め網・新製品力)が保たれる展開。確率 22%。
中立 37% 中立:海外の数量が年 +7% で伸び続け、米国は市場並み。利益率は 30% 前後 利益 51 億ドル · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 39.78 ドル783 億ドル
2035 年末、販売ケース数は米国 7.0 億ケース(今の 1.5 倍)、海外 11.6 億ケース(同 2.6 倍)、戦略ブランド 1.4 億ケース。米国の数量は 4〜10 年目が年 +3.5%(エナジー市場の成長と同じで、シェアは約 27% で横ばい)、海外は 4〜10 年目が年 +7%。1 ケースは米国が年 +3.0%(物価 3.5% より低いのは、値上げを抑えて数量を取る会社の癖と小容量パックのミックス)、海外・戦略ブランドが年 +2.0%(安い市場・安いブランドのミックス)。売上は 204 億ドル(今の 2.5 倍)、営業利益率 30.8%(米国 35.5%・海外 27%)、営業利益 62.8 億ドル、純利益 50.7 億ドル(今の 2.7 倍)。コカ・コーラの瓶詰め網との関係は続き、海外の冷蔵庫・自販機に載り続ける。競合は、セルシウス(約 20% のシェア)とレッドブル(約 36%)が現状程度に居座るが、モンスターの 27% 前後は保つ。 競合と比べると、米国でレッドブル(約 36%)・セルシウス(約 20%)に挟まれながらシェア 27% を保つ想定で、営業利益率はレッドブル(推定 20% 台)より高く、コカ・コーラ(31%)に近い 30% 前後。(この筋書きの純利益は中立比 +0%。)
- 米国・カナダ(モンスター系エナジー):数量 7.0(米加の販売ケース数(億ケース、192 オンス換算、推定)=米エナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 14(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 97 億ドル・営業利益 35 億ドル。数量 +4.3%/年、1 ケース +3.0%/年(米国は値上げを抑え小容量・販促のミックスで物価より低い)
- 海外(EMEA・アジア太平洋・中南米のモンスター系エナジー):数量 11.6(海外の販売ケース数(億ケース、推定)=海外のエナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 8.17(1 ケースあたりの純売上(ドル。為替は固定))→ 売上 95 億ドル・営業利益 26 億ドル。数量 +10.2%/年、1 ケース +2.0%/年(安い市場(中国・インド・ブラジル)の比率が上がるミックスで物価より低い)
- 戦略ブランド(コカ・コーラから取得したバーン・NOS ほか、プレデター・フューリー):数量 1.4(販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 7.31(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量 +5.8%/年、1 ケース +2.0%/年(新興国向けの安いブランド中心のミックスで物価より低い)
- 酒類・その他(クラフトビール・麦芽飲料・ハードセルツァー):数量 0.0(販売ケース数(億ケース、24 缶換算、推定))× 価格 40(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量 -2.2%/年、1 ケース +3.0%/年(物価並み)
倍率:ROE 25.9%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.1%、g 3.6%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.0 倍(来年の利益に対して)。新興ブランド(セルシウス)との競争と一本足を見て、上限の 8.5 割に置いた。上限の 8.5 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.9 倍。時価総額 = 純利益 51 億ドル × 14.9 倍(余った現金の分を足す) = 783 億ドル。
確率:議論の落としどころ。堀は保たれ、成長は鈍りながら物価並みに近い名目で続く。確率 37%。
やや悲観 21% やや悲観:競合に米国のシェアを取られ、海外の浸透も遅く、利益率が 27% に下がる 利益 37 億ドル · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 25.30 ドル498 億ドル
2035 年末、セルシウス(アラニ ヌー・ロックスター)とレッドブルがペプシコの流通で米国の棚を広げ、モンスターは数量が 4〜10 年目に年 +2%(市場の成長より低い)、シェアは 27% から 23% 前後へ下がる。海外もレッドブルと地場ブランドの追い上げで 4〜10 年目は年 +4.5% に鈍る。1 ケースは米国が年 +2.5%、海外が年 +1.5%。売上は 158 億ドル(今の 1.9 倍)、営業利益率 27.8%(広告費が重く、アルミ缶が上がる)、営業利益 43.9 億ドル、純利益 36.7 億ドル(今の 1.9 倍)。 競合に負けた場合の目安:米国のシェアが 27% から 24〜23% へ下がり、海外の伸びも 2〜3 ポイント低いと、利益は中立より 2〜3 割少ない。それでも営業利益率は 25% 台を保ち、ペプシコ(16%)より高い。(この筋書きの純利益は中立比 -28%。)
- 米国・カナダ(モンスター系エナジー):数量 5.9(米加の販売ケース数(億ケース、192 オンス換算、推定)=米エナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 13(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 79 億ドル・営業利益 26 億ドル。数量 +2.7%/年、1 ケース +2.5%/年(米国は値上げを抑え小容量・販促のミックスで物価より低い)
- 海外(EMEA・アジア太平洋・中南米のモンスター系エナジー):数量 9.0(海外の販売ケース数(億ケース、推定)=海外のエナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 7.78(1 ケースあたりの純売上(ドル。為替は固定))→ 売上 70 億ドル・営業利益 16 億ドル。数量 +7.4%/年、1 ケース +1.5%/年(安い市場(中国・インド・ブラジル)の比率が上がるミックスで物価より低い)
- 戦略ブランド(コカ・コーラから取得したバーン・NOS ほか、プレデター・フューリー):数量 1.1(販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 6.96(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量 +3.4%/年、1 ケース +1.5%/年(新興国向けの安いブランド中心のミックスで物価より低い)
- 酒類・その他(クラフトビール・麦芽飲料・ハードセルツァー):数量 0.0(販売ケース数(億ケース、24 缶換算、推定))× 価格 40(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量 -3.4%/年、1 ケース +3.0%/年(物価並み)
倍率:ROE 19.2%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.7%、g 3.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.9 倍(来年の利益に対して)。競合に取られる縮みは数量と利益率に入れてある。利益の質は中立と同じ 8.5 割に置いた。上限の 8.5 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 13.0 倍。時価総額 = 純利益 37 億ドル × 13.0 倍(余った現金の分を足す) = 498 億ドル。
確率:エナジーは新規参入が多く(セルシウス・アラニ ヌー・プライム)、米国のシェアが下がる展開が現実的。確率 21%。
悲観 10% 悲観:エナジーの伸びが止まり、競合と自社ブランドに価格を決める力を削られる 利益 20 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 12.11 ドル239 億ドル
2035 年末、エナジー飲料は GLP-1・カフェイン規制・糖分の見方の変化で成熟市場に入り、米国の数量は 4〜10 年目が年 −1.5%、海外は 2028 年以降ほぼ横ばい。セルシウス(アラニ ヌー)とレッドブル、小売の自社ブランド、海外の地場ブランドがシェアを取り、モンスターの米国シェアは 27% から 20% 割れへ。1 ケースは米国が年 +1.5%、海外が年 +1.0% と物価をはるかに下回り、粗利益率が縮んで営業利益率は 23.0%。売上は 96 億ドル(今の 1.16 倍。物価の方が速く上がる)、営業利益 22.1 億ドル(今を下回る)、純利益 20.2 億ドル。コカ・コーラとの流通関係の見直しやアルミ缶・関税の逆風も重なる。 競合に完敗した場合の目安:米国のシェアが 20% を割り、粗利益率が 50% 前後へ縮み、営業利益率は 21% 前後。利益は中立の半分以下になる。(この筋書きの純利益は中立比 -60%。)
- 米国・カナダ(モンスター系エナジー):数量 4.1(米加の販売ケース数(億ケース、192 オンス換算、推定)=米エナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 12(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 49 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量 -1.1%/年、1 ケース +1.5%/年(米国は値上げを抑え小容量・販促のミックスで物価より低い)
- 海外(EMEA・アジア太平洋・中南米のモンスター系エナジー):数量 5.5(海外の販売ケース数(億ケース、推定)=海外のエナジー市場のケース数 × モンスターのシェア)× 価格 7.40(1 ケースあたりの純売上(ドル。為替は固定))→ 売上 41 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量 +2.3%/年、1 ケース +1.0%/年(安い市場(中国・インド・ブラジル)の比率が上がるミックスで物価より低い)
- 戦略ブランド(コカ・コーラから取得したバーン・NOS ほか、プレデター・フューリー):数量 0.7(販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 6.63(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量 -0.4%/年、1 ケース +1.0%/年(新興国向けの安いブランド中心のミックスで物価より低い)
- 酒類・その他(クラフトビール・麦芽飲料・ハードセルツァー):数量 0.0(販売ケース数(億ケース、24 缶換算、推定))× 価格 40(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量 -4.7%/年、1 ケース +3.0%/年(物価並み)
倍率:ROE 12.0%、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.1%、g 2.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.8 倍(来年の利益に対して)。エナジーの伸びが止まる筋書きは g(2%)と利益率に入れてある。利益の質は中立と同じ 8.5 割に置いた。上限の 8.5 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.1 倍。時価総額 = 純利益 20 億ドル × 11.1 倍(余った現金の分を足す) = 238 億ドル。
確率:エナジーが構造的に成熟し、競合と自社ブランドが価格を決める力を削る展開。コカ・コーラ網の変化やブランドの一本足のリスクもあるので 1 割。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国・カナダ(モンスター系エナジー)
米国とカナダで売るモンスター・エナジー(グリーン・ウルトラ・ジュース)、レイン、バンなどのエナジードリンク。売上の約 6 割で、粗利益が最も厚い。
| 数量米加の販売ケース数(億ケース、192 オンス換算、推定)=米エナジー市場のケース数 × モンスターのシェア | 価格1 ケースあたりの純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.6 | 10 | 47 | 16 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 14 | 97 | 35 |
取り方:2025 年の売上 82.9 億ドルに、海外比率(約 4 割。2025 年第 4 四半期 42%、2026 年第 2 四半期 46%)を当てて逆算した推定。米加は全体から海外・戦略ブランド・酒類・その他を引いた約 47 億ドル。営業利益率 33.6% は全社の 29.2% から、海外の粗利益率が米国より低い(EMEA 38.8% 対 全社 55.9%)ことを使って按分した推定。ケース数は全社のケース(2025 年は約 9.7 億ケース、1 ケース約 8.4 ドルからの推定)を米加・海外・戦略ブランドに割った推定で、米国は 1 ケースの単価が高い。数量は「米エナジー市場のケース数 × シェア」で、価値シェアはレッドブル 35.9%・モンスター 27.3%・セルシウス 19.8%(Circana、時期不明)。
海外(EMEA・アジア太平洋・中南米のモンスター系エナジー)
コカ・コーラの瓶詰め網を通じて 150 か国超で売るモンスター・エナジー。中国・インド・ブラジルの伸びが速い。
| 数量海外の販売ケース数(億ケース、推定)=海外のエナジー市場のケース数 × モンスターのシェア | 価格1 ケースあたりの純売上(ドル。為替は固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.4 | 6.70 | 29 | 7 |
| 10 年後 中立 | 11.6 | 8.17 | 95 | 26 |
取り方:海外の売上は全社の約 4 割(2025 年通期の海外は為替調整後 +16.2%、第 4 四半期 +26.9%)から戦略ブランドの海外分を引いた推定で約 29 億ドル。営業利益率 24% は、海外の粗利益率が米国より低く、国ごとの広告・流通費の負担が重い構造からの推定(経営陣も「海外は構造的に粗利益率が低い」と述べた)。1 ケースの売上は米国より低い約 6.7 ドルで、中国・インド・ブラジルなど安い市場の比率が上がると下がる(2026 年第 2 四半期の全社 1 ケースは 8.20 ドルと前年より 1% 低下、地域ミックスの影響)。
戦略ブランド(コカ・コーラから取得したバーン・NOS ほか、プレデター・フューリー)
2015 年にコカ・コーラから取得したエナジーブランド群と、新興国向けの低価格ブランド(プレデター・フューリー)。ほぼ海外で、全社売上の約 6%。
| 数量販売ケース数(億ケース、推定) | 価格1 ケースあたりの純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.8 | 6.00 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.4 | 7.31 | 10 | 3 |
取り方:2025 年の売上は全社の 5.7%(10-K)から約 4.7 億ドルと推定。2026 年上半期は 2.70 億ドル(+18.5%)で、為替調整後でも +8% 台。営業利益率はセグメント別の開示が無いため、モンスター本体より低い 25% と推定。ケース数と単価は推定。
酒類・その他(クラフトビール・麦芽飲料・ハードセルツァー)
ビール・フレーバードモルト・ハードセルツァーなどのアルコール飲料と、その他。縮小が続く周辺事業。
| 数量販売ケース数(億ケース、24 缶換算、推定) | 価格1 ケースあたりの純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.1 | 30 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 40 | 2 | 0 |
取り方:酒類は 2025 年の売上が全社の 1.6%(約 1.3 億ドル。前年は 2.3%)、その他を足して約 1.5 億ドルと推定。営業利益は開示が無く、ほぼ収支均衡の約 0.1 億ドルと置いた。2026 年第 2 四半期の酒類は −15.2%(0.32 億ドル)で縮小が続く。ケース数・単価は推定。
リスクと懸念
競合(セルシウス・レッドブル・プライム)に米国のシェアを取られる
ペプシコが流通するセルシウス(アラニ ヌー込みで約 20%)とレッドブル(約 36%)は、新フレーバーと小容量で棚を広げている。モンスターの米国シェア 27% が 1 ポイント下がると、米国の売上が約 4% 減り、全社の営業利益は約 3% 減る。10 年の悲観・やや悲観で最も重く効く。
アルミ缶・関税・運賃の逆風
中西部プレミアム(関税)の上昇で缶のコストが上がり、2026 年は第 4 四半期まで緩やかに上がる見通し。ヘッジは足りない見込みで、粗利益率が 1 ポイント下がると営業利益は約 3% 減る。値上げで転嫁できるかが分かれ目で、競合が値上げに追随しないと数量を失う。
一本足とブランド毀損
売上の 9 割超がエナジーで、健康被害の報道・規制(カフェイン・若年層の販売制限)・GLP-1 の普及があると、数量が構造的に縮む。多品目の食品会社と違って代わりの柱が無く、10 年の悲観の主因になる。
コカ・コーラとの関係
海外の配荷はコカ・コーラの瓶詰め網に頼り、20 年の初期契約(約 2035 年まで)は 90 日前の通知で更新しない権利がある。コカ・コーラが自社のエナジー(バーンなど)や出資先を優先したり、条件の再交渉があると、海外の伸びが鈍る。コカ・コーラは約 17% の株主でもある。
海外の拡大の質(為替・在庫・粗利益率)
海外は粗利益率が低く(EMEA 38.8%)、1 ケースの売上も下がる(8.20 ドル、前年比 −1%)。アルゼンチン(−26%)や韓国(−3.6%、瓶詰め会社の在庫の振れ)のような不安定な市場もある。為替はここでは動かさないが、現地通貨の下落は売上の伸びを削る。
値段(倍率の縮み)
今の PER 47 倍・PBR 11 倍に対し、式どおりの成熟後の倍率(中立で約 15 倍)は大きく下回る。k − g が 4.65% と薄く、k が 1% 上がれば倍率は 2 割下がる。事業が計画どおりでも、倍率が縮むと株主のリターンは利益の伸びより小さい。
今後の分かれ目
- 2026 年 12 月の投資家会合で配当の開始、または 50 億ドル超の自社株買いが発表されたら
- 還元が増え、現金(32.5 億ドル)が株主に回る。式の倍率は変わらないが、payout が増えるぶん筋書きの価値がやや上がり、確率をやや楽観へ寄せてよい。
- 米国の価値シェアがニールセンで 3 四半期続けて下がり、セルシウスが 25% を超えたら
- 米国数量の伸びが市場以下になり、やや悲観・悲観の確率を上げる。中立の純利益は 1 割ほど下がる。
- アルミ缶の値上がりで粗利益率が 54% を下回り、値上げも通らなかったら
- 営業利益率が 27% 台へ下がる筋書きに近づく。2027 年に価格を上げて 55% 台へ戻せるかを見る。
- コカ・コーラが流通契約の更新を見直す、または自社のエナジー投資を増やしたら
- 海外の数量の伸びが年 +7% から +4% へ鈍る筋書き(やや悲観)の確率を上げる。海外は今の売上の約 4 割。
- エナジーの規制(若年層のカフェイン制限・糖分課税)が連邦または複数の州で導入されたら
- 米国数量が数年で 1〜2 割減る筋書き(悲観)の確率を上げる。海外への波及も見る。
- インドと中国の売上が今の 2 倍になる時期が 2028 年より前に来たら
- 海外の数量が中立より速く伸びる筋書き(やや楽観・楽観)に確率を寄せる。ただし 1 ケースの売上は下がる。
見ておくもの
- ニールセン・Circana の米国エナジーの価値シェア(モンスター・レッドブル・セルシウス)
- 海外の売上の伸び(EMEA・アジア太平洋・中南米)と 1 ケースの売上
- 粗利益率とアルミ缶の価格(中西部プレミアム)
- 2026 年 12 月 1 日の投資家会合の資本還元
- コカ・コーラの瓶詰め会社との契約・出資の動き
- 販売費・物流費の売上比(10.6%・4.7%)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 47 倍を見る前に、米国・海外・戦略ブランド・酒類の 4 つに分け、数量(市場のケース数 × シェアに相当)× 1 ケースの売上で積み上げた。価格は物価 3.5% をそのまま当てず、米国は年 +3.0%(値上げは通るが小容量・販促のミックス)、海外は年 +2.0%(安い市場の比率が上がる)とし、理由を書いた。倍率は式どおり(式の ROE は余った現金とのれんを除いた事業の資本に対する税引き後営業利益)で、k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 3.6% を使い、楽観〜中立は上限の 8.5〜9 割に置いた。今の倍率にも他社の倍率にも寄せていない。結果の gap は計算が決めた。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β 0.68 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%(SCHEMA_US §1)。無借金なので借金は 0、一本足と配荷の依存を寿命で +0.5% 見て、景気で落ちにくい分を -0.25% 戻した。事業は傾いておらず上乗せはしない。競合(セルシウス・レッドブル)・原料高・一本足のリスクの個別の部分は k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。