結論
コストコは、会員制の倉庫型量販店で、世界 939 店(米国・プエルトリコ 647、カナダ 115、その他 177)、有料会員 8,410 万人を持つ。2026 年 8 月期の純売上は 2,972 億ドル、会費収入 59 億ドルを足した総収入は 3,032 億ドル、営業利益 117 億ドル(総収入比 3.9%)、純利益 92 億ドル、ROE 26%。9 月発表の第 4 四半期は既存店 +9.4%(ガソリン・為替を除いて +6.7%)、デジタル +19.5%、会員の更新率は米加 92.3%で、足元は強い。
稼ぎ方が特殊で、商品の粗利益率は 11% 台と薄く、販売管理費を引くと商品の営業利益率は約 2%にとどまる。営業利益の約半分は会費の 59 億ドルで、会員が毎年払い続ける年会費(会員 8,410 万人・更新率 90%超)が利益の土台になる。低価格で品揃えを絞り、客に会費の元を取らせて更新させる循環が、規模の調達力と一体で働く。
バリュー投資の観点では、事業の質は小売の中で最上位に置ける。10 年後もこの事業は存在し、今より強い公算が大きい。一方で値段が重い。今の PER 47.6 倍・PBR 12.3 倍は過去 20 期の PER の中央(30 倍)を大きく超え、資本コスト 7.5% で見た強い堀の利益ベースの正当化 PER(純現金を除いた事業の ROE 約 25%・長期の成長 4% で来年の利益の約 22 倍)の 2 倍強にあたる。セグメントごとに市場 × 占有率 × 価格(10 年で物価並みの約 1.41 倍)を積み上げると、10 年後の中立は営業利益が今の 1.9 倍(年 +6.9%)、純利益 176 億ドル、正当化 PER の 9 割(10 年目の利益に 20.2 倍)を掛けて時価総額は約 3,546 億ドル。今より 19% 小さく、正味の還元を足しても年率はほぼ 0%で、資本コストに届かない。楽観でも年率は 3% 前後。「優良な事業を、先の成功まで払って買う値段」であり、結論は割高である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、コストコは事業と値段を分けて考える。事業は、10 年後も存在し、今より強い公算が大きい。堀は会費で築いた会員の信頼と調達の規模で、広がる方向(新店・海外・エグゼクティブ会員の増加)にある。株主のものになる利益(オーナー利益)は、純利益 92 億ドルから株式報酬 9 億ドルを引き、成長投資の大半が店の新設に向かうことを考えると、自由に使えるのは純利益の約 6〜7 割。経営は堅実で、買収で価値を壊さず、割高な自社株買いを抑える。
問題は値段。10 年の中立で営業利益は年 +6.9%、純利益は年 +6.7%。株主が受け取る年率は、配当・特別配当と値上がりを合わせてもほぼ 0% で、国債(実質で約 2%)にも株の資本コスト 7.5%にも届かない。式どおりの倍率(事業の ROE 約 25%・長期の成長 4%・k 7.5% で約 22 倍)で買っても、10 年の収益は年 +7% 前後が上限になる。今の PER 47.6 倍は、中立の 10 年後(約 20 倍)を前提にすると、倍率の縮みだけで 10 年で 5 割を超える逆風。
安全域:楽観の筋書き(営業利益 年 +9.4%)でも、10 年の年率は約 3% で、払う値段に見合う余裕がない。悲観では自己資本の約 2 倍(PBR)まで下がる。事業の予測可能性は高く、確信度は高いが、値段を許容できる局面でないため、割高と見る。もし PER が 23 倍前後まで下がれば、中立の年率は資本コストに届くので、そのときに見方を改める。
何で稼ぐ会社か
コストコは、年会費を払った会員だけが買える倉庫型の量販店。品目を約 4,000 に絞り、大量仕入れ・大口の包装・簡素な店で運営費を抑え、粗利益率は 11% 前後と小売で最も薄い水準にとどめる。商品は食品・日用品・生鮮が中心で、ガソリンが純売上の 11%、通販を含むデジタルが 11%、ほかに薬局・タイヤ・旅行・フードコートがある。自社ブランドのカークランドは売上の約 3 割を占め、仕入先との交渉でも客への低価格でも要になる。
利益の仕組みは 2 本立てで、商品の薄い利益(営業利益率約 2%)に、会費 59 億ドル(総収入の 2%足らずで営業利益の約 5 割)が乗る。会費は米国・カナダで年 65 ドル(一般)・130 ドル(エグゼクティブ。購入額の 2%を戻す)。エグゼクティブ会員は 4,230 万人(+9.4%)で、純売上の約 75%を占める。
地域は、米国(純売上の約 7 割)、カナダ(約 14%)、その他(日本・韓国・台湾・英国・オーストラリア・メキシコ・中国・欧州。約 15%)。2026 年は 28 店を開き、2027 年は 33 店(移転 5 を含む)、設備投資は約 75 億ドルの計画。海外店は新しいほど会員の伸びが速く、成熟した米国店の会費の伸びを補う。
この分析ではセグメントを、米国・カナダ・その他の 3 つの商品販売(会費を除く)と、会費の 4 つに分けた。会費は会員数 × 1 人あたり会費で置く。
優良さと弱いところ
堀は 4 つ。(1)調達の規模:約 4,000 品に絞るので 1 品あたりの購入量が桁違いで、仕入先に値下げを迫れる。(2)会費という前払い:客は会費の元を取るために来店を増やし、店を変える費用が心理的に生まれる。更新率は米加 92.3%・世界 89.8%で、値上げ(2024 年 9 月に 5 ドル・10 ドル)の後も落ちなかった。(3)客層:世帯所得の高い層が多く、景気後退でもトラフィックが落ちにくい(リーマンの時も売上は崩れず、株価の下げは倍率の縮みによる −40%)。(4)カークランドと、ガソリンなど客を呼ぶ商品の組み合わせ。
資本効率は高い。ROE は 22〜31%(直近 12 期)、純現金で、自己資本比率 40%。営業利益率は 2009 年の 2.6%から 2026 年の 3.9%(総収入比)まで少しずつ上がったが、これは会費の値上げと低価格を守る方針の両立で、利益率そのものを大きく上げる会社ではない。価格を決める力は「値上げ」でなく「値下げを続けられる」力で、会費以外で利益を取らない設計が強みであり、利益率が構造的に頭打ちである理由でもある。
弱い所:(1)値段。PER・PBR が成熟後の約 2 倍で、期待が先に走っている。(2)会費の次の値上げは 2030 年前後と見るが、2024 年の値上げの効果が出尽くし、会費収入の伸びが 7% 台から 5% 前後へ落ち着く。(3)米国の店が成熟し、新店の食い合いも出る。(4)賃金・関税・ガソリン価格で利益率が揺れる。経営は社内の昇格による継続性が強く、資本配分は堅実だが、現金が積み上がって ROE が薄まる傾向があり、特別配当で調整してきた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
量販・ディスカウント小売は、米国の食料品(家庭内)が年 1 兆ドル規模の市場で、数量はほぼ横ばい、名目は物価で伸びる。そのなかで大手 3 社(ウォルマート・コストコ・アマゾン)が占有率を伸ばす集約が続く。食品・飲料の占有率(Numerator の 2026 年)は、ウォルマート 約 20%(2024 年 20.4%から微減)、コストコ 8.2%(7.6%から上昇)、クローガー 8.3%、アマゾンとホールフーズ 8%(6.4%から上昇)。コストコは 3 位の位置から確実にシェアを取っている。
会員制倉庫の市場は約 4,100 億ドルで、コストコが約 3 分の 2、サムズ・クラブ(ウォルマート)が約 930 億ドル、BJ's が約 200 億ドル。コストコは店あたりの売上がサムズの約 2 倍で、規模と立地、会員の満足度で差がある。サムズは会費・デジタルの追い上げを進めているが、更新率・店あたりの売上でまだ開きがある。
競争は 3 方向。(1)ウォルマートの通販・広告・会員(ウォルマート・プラス)が、同じ中高所得層に価格と配送で迫る。(2)アマゾンとホールフーズが生鮮と当日配送で食品の占有率を伸ばす。(3)ダラー・ゼネラルなど低所得層向けの小型店は客層が違い、直接は食い合わない。風向きは、物価の高止まりでまとめ買いが選ばれ、コストコには追い風。関税は調達先の分散で吸収してきたが、還付が一時益として出た。
海外は、日本・韓国・台湾・英国・オーストラリアで成熟した店が増え、中国・欧州・メキシコの新店が伸びる。10 年の見通しは、市場の数量は年 +0.7%、価格は物価並みで、コストコは新店と会員で業界の 2 倍近いスピードで伸び続ける。構造のリスクは、アマゾンの食品の本格化、即時配送の普及でまとめ買いの価値が下がること、PB の拡大でメーカーの粗利益率が薄くなること。
資本政策と M&A
還元は、配当(年約 25 億ドル、増配が毎年)、自社株買い(年約 8.5 億ドル。株式報酬 9.2 億ドルで増えた株を打ち消す程度)、そして約 2〜3 年に一度の特別配当(2024 年に約 67 億ドル)。株数はほぼ横ばいなので、正味の還元は配当と特別配当が中心になる。現金等は 213 億ドル、有利子負債は社債約 62 億ドルで、純現金の会社。
設備投資は FY2026 に 64 億ドル、FY2027 は約 75 億ドル(年 30 店前後の新設と物流)。ここは全額が成長投資で、店が増えて会員が増えて会費が増える循環。M&A はほぼやらず、買収で価値を壊す心配が小さい(これは長所)。自社株買いは株価が高い局面では抑える姿勢で、割高に買わない点でも堅実。
現金が増え続けると ROE が薄まるので、特別配当で自己資本を調整する流れが続くと見る(この分析では 10 年で正味還元の累計 約 740 億ドル)。株主構成では創業家の持ち分は小さく、機関投資家が中心。TOB・再編の可能性は時価総額の大きさから事実上ない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
コストコは、規模・低価格・会費の 3 つで強化し続ける数少ない小売で、成長は終わっていない。2026 年 8 月期の純売上は +11%、既存店は +9.4%(ガソリン・為替を除いて +6.7%)、エグゼクティブ会員は +9.4%、デジタルは +19.5%で、更新率は米加 92.3%。会費の値上げ後も更新率は下がらず、客が価格に敏感でないことがわかった。
新店は年 30 店前後(2027 年は 33 店)で、成熟した米国店の伸びが鈍っても、海外の新店と会員の増加が補う。会費は 2030 年前後に次の値上げ(+5 ドル・+10 ドル)が来て、営業利益を 1 年で約 8% 押し上げる。店あたりの売上は新店が成熟するほど増え、販売管理費の比率は下がる。食品の占有率は 7.6%から 8.2%へ上がり、ウォルマートの約 20%へ向かって伸びしろがある。
景気後退でも、高所得層が価格を求めてコストコに寄るため、売上は崩れない。関税の還付が一時益として入り、調達先の分散も進んだ。10 年で営業利益が年 +9%台、ROIC が 25%を保てば、高い倍率は長く続くのに値する。米国の食品の占有率が 10 年で 1.5 ポイント上がれば、楽観が現実になる。
慎重な見方
商品の営業利益率は 2% で、価格の 1 ポイントの値下げで利益が半分になる構造。会費は営業利益の約 5 割を担うが、2024 年の値上げ効果は出尽くし(会費収入の伸びが 5% 台に落ちる)、次の値上げは 2030 年ごろで、会員 8,410 万人の伸びも +3.8%と鈍っている。米国の店は成熟し、新店は既存店を食う。
アマゾンとホールフーズが食品の占有率を 6.4%から 8%に上げ、ウォルマートは通販・広告・サムズで同じ層を追う。賃金・関税・ガソリン価格で利益率はすぐ動く。第 4 四半期の利益は関税の還付で押し上げられている。既存店 +9.4%のうちガソリンと為替を除くと +6.7%で、物価が 3.5%のなか数量の伸びは 3%強にすぎない。
何より値段。PER 47.6 倍は、成熟後の式どおりの倍率(約 22 倍)の 2 倍強。10 年で営業利益が 2 倍になっても、PER が 22 倍に戻れば時価総額は今を下回る。配当を足して年 3%は国債並み。優良であることと、今の値段で買って報われることは別。リーマンの時のコストコは −40%(ウォルマートは −21%)と、高い倍率は景気後退で最も削られる。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気の見方が強く、確率は中立から楽観側に寄せた(10 年の楽観・やや楽観の合計は 32%)。コストコの会費と調達力は長く続くので、悲観は構造の失敗(アマゾン・サムズに占有率を奪われ、会費の値上げが効かなくなる)に限り、10 年で 12%に抑えた。値段の議論は慎重な見方が強い。10 年の中立でも PER 20.2 倍・営業利益 年 +6.9%で、還元込みの年率はほぼ 0%と資本コストに届かない。結論は「優良な事業だが、割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 765.74 ドル3,403 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 162.67 ドル723 億ドル)。 今の値に割り戻すと 484.85 ドル2,155 億ドル、今との差 −52.4%、 期待の年率 −0.9%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,110 ドル4,932 億ドル | 207.01 ドル920 億ドル | +29.3% | +2.6% | 131.68 ドル585 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 920.17 ドル4,090 億ドル | 182.03 ドル809 億ドル | +8.2% | +0.8% | 242.49 ドル1,078 億ドル |
| 中立 | 35% | 797.97 ドル3,546 億ドル | 165.61 ドル736 億ドル | −5.4% | −0.5% | 337.25 ドル1,499 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 600.10 ドル2,667 億ドル | 141.08 ドル627 億ドル | −27.2% | −3.1% | 155.65 ドル692 億ドル |
| 悲観 | 12% | 391.74 ドル1,741 億ドル | 119.48 ドル531 億ドル | −49.8% | −6.7% | 61.35 ドル273 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 765.74 ドル3,403 億ドル | 162.67 ドル723 億ドル | −8.8% | −0.9% | 928.42 ドル4,126 億ドル |
今の株価時価総額 1,018 ドル4,525 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:占有率を伸ばし続け、会費の値上げも通り、営業利益が年 +9% 利益 220 億ドル · PER 22.4 倍 · 株価時価総額 1,110 ドル4,932 億ドル
10 年後(2036 年 8 月期)、米国の純売上は名目で年 +9%、占有率は 7.3%(今の 4.7%)へ上がり 4,995 億ドル、カナダ 857 億ドル、その他 1,210 億ドル。ウォルマートのサムズ・クラブとアマゾンから占有率を取り、自社ブランドと通販の利益で商品の営業利益率は 2.5%へ。会費は 2030 年と 2036 年の 2 回の値上げと会員 +4%/年で 116 億ドル。営業利益は 287 億ドル(今の 2.5 倍)、純利益 220 億ドル。ROE は 23%(純現金を除く事業の ROE は約 36%)で、成長が年 +4% に落ち着いた後の式どおりの倍率で PER 22.4 倍。10 年の正味還元は特別配当を含め約 920 億ドル。
- 米国・プエルトリコの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 48,251(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品・ガソリン。億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.10(コストコの占有率 × 物価指数(2026 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 4,995 億ドル・営業利益 122 億ドル。占有率 7.34%・物価指数 1.41
- カナダの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 7,506(カナダの対象小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.11(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 857 億ドル・営業利益 22 億ドル。占有率 8.10%・物価指数 1.41
- その他の海外の倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 64,335(対象国の小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.02(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 1,210 億ドル・営業利益 30 億ドル。占有率 1.33%・物価指数 1.41
- 会費(有料会員 8,410 万人):数量 12,449(有料会員(万人))× 価格 0.01(1 人あたり年会費(億ドル/万人。値上げと会員構成で動く))→ 売上 116 億ドル・営業利益 113 億ドル。会員 +4.0%/年・1 人あたり会費の上昇(会員構成と値上げ)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 25.4%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.4%、g 4.0%(事業の数量 × 価格から出した長期の伸び。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.7 倍(来年の利益に対して)。会費と調達の規模の優位が 10 年先も続くので、上限の 9.5 割(21.6 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 22.4 倍。時価総額 = 純利益 220 × 22.4 倍(余った現金は倍率に含めて測る) = 4932 億ドル。
確率:占有率を毎年 0.15 ポイント以上伸ばし、会費も 2 回値上げが通る展開。10 年続く必要があるので 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:新店と海外で伸び、利益率が少し上がる 利益 194 億ドル · PER 21.1 倍 · 株価時価総額 920.17 ドル4,090 億ドル
10 年後、米国の純売上は年 +8%で 4,555 億ドル(占有率 6.7%)、カナダ 781 億ドル、その他 1,056 億ドル。新店は年 30 店前後を保ち、海外の新店が立ち上がる。商品の営業利益率は 2.3〜2.4%まで上がり、会費は 2030 年の値上げと会員 +3.8%/年で 106 億ドル。営業利益 252 億ドル(年 +8%)、純利益 194 億ドル。ROE 20%、成長が年 +4%に落ち着き PER 21.1 倍。10 年の正味還元は約 810 億ドル。ウォルマートのサムズ・クラブとは占有率の差を保ち、アマゾンの食品の伸びは生鮮の一部にとどまる。会費の更新率は 92% 前後を保つが、次の値上げは中立より小さい。
- 米国・プエルトリコの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 48,251(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品・ガソリン。億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.09(コストコの占有率 × 物価指数(2026 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 4,555 億ドル・営業利益 105 億ドル。占有率 6.70%・物価指数 1.41
- カナダの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 7,506(カナダの対象小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.10(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 781 億ドル・営業利益 19 億ドル。占有率 7.38%・物価指数 1.41
- その他の海外の倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 64,335(対象国の小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.02(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 1,056 億ドル・営業利益 25 億ドル。占有率 1.16%・物価指数 1.41
- 会費(有料会員 8,410 万人):数量 12,094(有料会員(万人))× 価格 0.01(1 人あたり年会費(億ドル/万人。値上げと会員構成で動く))→ 売上 106 億ドル・営業利益 103 億ドル。会員 +3.7%/年・1 人あたり会費の上昇(会員構成と値上げ)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 22.5%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.5%、g 4.0%(事業の数量 × 価格から出した長期の伸び。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.0 倍(来年の利益に対して)。会費と調達の規模の優位が 10 年先も続くので、上限の 9.2 割(20.3 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 21.1 倍。時価総額 = 純利益 194 × 21.1 倍(余った現金は倍率に含めて測る) = 4090 億ドル。
確率:新店と海外で伸び、商品の利益率が 0.2 ポイント上がる展開。優良な小売がよく成功した場合として 2 割強。
中立 35% 中立:新店と会費で営業利益は年 +7%、倍率は成熟後の式の 9 割(約 20 倍) 利益 176 億ドル · PER 20.2 倍 · 株価時価総額 797.97 ドル3,546 億ドル
10 年後、米国の純売上は年 +7%(占有率 6.1%、新店と既存店)で 4,151 億ドル、カナダ 745 億ドル、その他 963 億ドル。商品の営業利益率は 2.2〜2.3%で緩やかに上がり、会費は 2030 年前後に値上げが 1 回通り、会員 +3.5%/年で 100 億ドル(営業利益 97 億ドル)。営業利益 227 億ドル(今の 1.9 倍、年 +6.9%)、純利益 176 億ドル。ROE は現金の積み上がりで 18%へ下がるが、倍率は現金を除いた事業の ROE・長期の成長 4%・k 7.5% の式の 9 割(10 年目の利益に対して PER 20.2 倍。積み上がる純現金も含めた倍率)。10 年の正味還元は特別配当を含め約 740 億ドル。競争(アマゾン・ウォルマート)は現状維持。
- 米国・プエルトリコの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 48,251(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品・ガソリン。億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.09(コストコの占有率 × 物価指数(2026 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 4,151 億ドル・営業利益 91 億ドル。占有率 6.10%・物価指数 1.41
- カナダの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 7,506(カナダの対象小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.10(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 745 億ドル・営業利益 17 億ドル。占有率 7.04%・物価指数 1.41
- その他の海外の倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 64,335(対象国の小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.01(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 963 億ドル・営業利益 22 億ドル。占有率 1.06%・物価指数 1.41
- 会費(有料会員 8,410 万人):数量 11,863(有料会員(万人))× 価格 0.01(1 人あたり年会費(億ドル/万人。値上げと会員構成で動く))→ 売上 100 億ドル・営業利益 97 億ドル。会員 +3.5%/年・1 人あたり会費の上昇(会員構成と値上げ)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 20.6%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 16.2%、g 4.0%(事業の数量 × 価格から出した長期の伸び。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 21.5 倍(来年の利益に対して)。会費と調達の規模の優位が 10 年先も続くので、上限の 9 割(19.4 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 20.1 倍。時価総額 = 純利益 176 × 20.1 倍(余った現金は倍率に含めて測る) = 3546 億ドル。
確率:議論の落としどころ。業界ノートの中立(数量 +0.7%/年・価格は物価並み、大手は占有率を伸ばす)に、新店と会費の値上げ 1〜2 回を足した。
やや悲観 21% やや悲観:会員の伸びが落ち、価格競争で利益率が下がる 利益 148 億ドル · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 600.10 ドル2,667 億ドル
10 年後、米国の純売上は年 +5.5%で 3,604 億ドル(占有率 5.3%)、カナダ 646 億ドル、その他 837 億ドル。会員の伸びが +3%/年に落ち、賃金・関税・アマゾンとの価格競争で商品の営業利益率は 2.0〜2.1%にとどまる。会費は値上げが 1 回でも更新率が下がり 87 億ドル。営業利益 189 億ドル(年 +4.9%)、純利益 148 億ドル、ROE 16%。成長が年 +4%に落ち着き PER 18.0 倍。10 年の正味還元は約 630 億ドル。アマゾンの食品の占有率は 10% 前後まで伸び、ウォルマートも広告・会員で同じ客層に迫る。コストコは価格を守るために利益率を犠牲にするが、占有率は 4.9% 前後でほぼ横ばいにとどまり、優良さは弱まるが崩れはしない。
- 米国・プエルトリコの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 48,251(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品・ガソリン。億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.07(コストコの占有率 × 物価指数(2026 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 3,604 億ドル・営業利益 72 億ドル。占有率 5.30%・物価指数 1.41
- カナダの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 7,506(カナダの対象小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.09(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 646 億ドル・営業利益 14 億ドル。占有率 6.10%・物価指数 1.41
- その他の海外の倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 64,335(対象国の小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.01(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 837 億ドル・営業利益 18 億ドル。占有率 0.92%・物価指数 1.41
- 会費(有料会員 8,410 万人):数量 11,302(有料会員(万人))× 価格 0.01(1 人あたり年会費(億ドル/万人。値上げと会員構成で動く))→ 売上 87 億ドル・営業利益 85 億ドル。会員 +3.0%/年・1 人あたり会費の上昇(会員構成と値上げ)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 17.2%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.0%、g 4.0%(事業の数量 × 価格から出した長期の伸び。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 20.4 倍(来年の利益に対して)。占有率を奪われる構造の弱さが出るので、上限の 8.5 割(17.3 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 18.0 倍。時価総額 = 純利益 148 × 18.0 倍(余った現金は倍率に含めて測る) = 2667 億ドル。
確率:会員の伸びが 2% 台に落ち、アマゾンとサムズとの価格競争で利益率が下がる展開。10 年の間にはありうるので 2 割強。
悲観 12% 悲観:アマゾンとサムズに占有率を奪われ、会費も効かなくなる 利益 119 億ドル · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 391.74 ドル1,741 億ドル
10 年後、アマゾンの食品の本格化とウォルマートのサムズ・クラブの追い上げで、コストコの米国の占有率は 4.4%と今より下がり、純売上は年 +3.5%の 2,976 億ドル、カナダ 559 億ドル、その他 726 億ドル。価格を守るため商品の営業利益率は 1.8〜1.9%へ下がる。会費は値上げが更新率を落とし 72 億ドル。営業利益 149 億ドル(年 +2.4%)、純利益 119 億ドル。もう優良ではなく、成長も年 +3%台なので PER 14.6 倍。自己資本の 2 倍にあたる。10 年の正味還元は約 530 億ドル。
- 米国・プエルトリコの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 48,251(米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品・ガソリン。億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.06(コストコの占有率 × 物価指数(2026 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 2,976 億ドル・営業利益 54 億ドル。占有率 4.37%・物価指数 1.41
- カナダの倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 7,506(カナダの対象小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.07(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 559 億ドル・営業利益 11 億ドル。占有率 5.28%・物価指数 1.41
- その他の海外の倉庫店(商品販売。会費を除く):数量 64,335(対象国の小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.01(コストコの占有率 × 物価指数)→ 売上 726 億ドル・営業利益 14 億ドル。占有率 0.80%・物価指数 1.41
- 会費(有料会員 8,410 万人):数量 10,252(有料会員(万人))× 価格 0.01(1 人あたり年会費(億ドル/万人。値上げと会員構成で動く))→ 売上 72 億ドル・営業利益 70 億ドル。会員 +2.0%/年・1 人あたり会費の上昇(会員構成と値上げ)
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 14.2%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.9%、g 3.5%(事業の数量 × 価格から出した長期の伸び。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.7 倍(来年の利益に対して)。占有率を奪われる構造の弱さが出るので、上限の 8 割(14.1 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.6 倍。時価総額 = 純利益 119 × 14.6 倍(余った現金は倍率に含めて測る) = 1741 億ドル。
確率:構造の失敗:アマゾンとサムズに占有率を奪われ、会費の値上げも更新率を落とす。もう優良ではなくなっている筋書きで、1 割強に厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国・プエルトリコの倉庫店(商品販売。会費を除く)
米国 647 店の倉庫型の小売。食品・日用品・生鮮・ガソリン・薬局など。
| 数量米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品・ガソリン。億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定) | 価格コストコの占有率 × 物価指数(2026 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 45,000 | 0.05 | 2,110 | 42 |
| 10 年後 中立 | 48,251 | 0.09 | 4,151 | 91 |
取り方:米国の対象小売市場(食品・日用品・一般商品・ガソリン・薬局)を約 4.5 兆ドルと推定(ウォルマートの米国の対象市場 4 兆ドル + ガソリン約 0.5 兆)。コストコの純売上 2,972 億ドルの約 71% を米国と置き(推定)、占有率 4.7%。営業利益は会費の取り分を除く商品の利益 約 42 億ドル(率 2.0%)。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。食品・飲料ではウォルマート約 20%、クローガー 8.3%、アマゾン 8%に対しコストコ 8.2%。市場の数量は年 +0.7%。
カナダの倉庫店(商品販売。会費を除く)
カナダ 115 店。米国より成熟し、占有率が高い。
| 数量カナダの対象小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定) | 価格コストコの占有率 × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 7,000 | 0.06 | 416 | 9 |
| 10 年後 中立 | 7,506 | 0.10 | 745 | 17 |
取り方:カナダの食品・日用品・一般商品・ガソリンの小売を約 7,000 億ドルと推定。純売上の約 14%(推定)416 億ドルから占有率 5.9%。営業利益は会費を除く商品の利益 約 9 億ドル(率 2.2%)。
その他の海外の倉庫店(商品販売。会費を除く)
日本・韓国・台湾・英国・オーストラリア・メキシコ・中国・欧州など 177 店。新店が多い。
| 数量対象国の小売市場(億ドル、2026 年度の値段に直した実質、推定) | 価格コストコの占有率 × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 60,000 | 0.01 | 446 | 9 |
| 10 年後 中立 | 64,335 | 0.01 | 963 | 22 |
取り方:対象国(日本・韓国・台湾・英国・オーストラリア・メキシコ・中国・欧州)の食品・日用品・一般小売を約 6 兆ドルと推定(国ごとの積み上げでなく概算)。純売上の約 15%(推定)446 億ドルから占有率 0.74%。営業利益は会費を除く商品の利益 約 9 億ドル(率 2.0%)。
会費(有料会員 8,410 万人)
年会費(米加で一般 65 ドル・エグゼクティブ 130 ドル)。営業利益率はほぼ 97%。
| 数量有料会員(万人) | 価格1 人あたり年会費(億ドル/万人。値上げと会員構成で動く) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 8,410 | 0.01 | 59 | 57 |
| 10 年後 中立 | 11,863 | 0.01 | 100 | 97 |
取り方:会費収入 59.1 億ドル ÷ 有料会員 8,410 万人 = 1 人あたり約 70 ドル。営業利益は会費の約 97%(費用は会員対応の少額)と置いて 57 億ドル。全社の営業利益 117 億ドルの約 49%。売上のうち会費は総収入の 2% に満たない。数量は会員数(+3.8%)で、価格は値上げ(2024 年 9 月)とエグゼクティブ会員の比率の上昇で動く。
リスクと懸念
値段(倍率の縮み)
今の PER 47.6 倍・PBR 12.3 倍は、資本コスト 7.5% の成熟後の式どおりの倍率(約 22 倍)の 2 倍強。k − g が 3.5% と小さく、k が 1% 動くと理論の倍率は 2〜3 割動く。利益が計画どおり伸びても、倍率が戻れば株価は上がらない。リーマンのときは −40%、2022 年の利上げでも −20% と、倍率の縮みで下がった前例がある。
会費の伸びの鈍化
会費は営業利益の約 5 割。2024 年 9 月の値上げの効果は出尽くし、会費収入の伸びは 7% 台から 5% 前後に落ち着く。会員 8,410 万人の伸びは +3.8%で、米国は成熟している。次の値上げは 2030 年前後と見るが、それが遅れる、小さい、更新率を下げる場合は、営業利益の伸びが 1 ポイント以上下がる。
アマゾン・ウォルマートとの食品の競争
食品・飲料の占有率でアマゾン(ホールフーズ込み)は 6.4%から 8%、コストコは 7.6%から 8.2%と伸びる一方、ウォルマートは通販・広告・サムズ・クラブで同じ中高所得層を追う。アマゾンが生鮮の当日配送で価格まで迫れば、まとめ買いの価値が薄れ、会員の伸びが鈍る。
利益率の薄さと賃金・関税
商品の営業利益率は約 2% で、価格 1 ポイントの値下げ、賃金の上昇、関税の転嫁の遅れで利益が大きく動く。今期の第 4 四半期には関税の還付が一時益で入った。還付が終われば仕入れ価格に残る関税が利益を削る。
ガソリン・為替の影響
ガソリンは純売上の 11%で、価格が動けば売上と既存店の見かけが大きく動く(既存店 +9.4%に対し、ガソリン・為替を除くと +6.7%)。海外の売上は約 3 割で、為替は筋書きでは動かさないが、現実には営業利益の見かけを動かす。
成熟した店の食い合いと新店の質
年 30 店の新設を続けると、近くの既存店の売上を食う。新店の立地がよいうちは問題ないが、良い立地が尽きると、新店あたりの売上が下がり、設備投資の回収が遅れる。2027 年の設備投資は約 75 億ドル(売上比 2.5%)と上がる。
現金の積み上がりと ROE の低下
純現金が 111 億ドルと厚く、特別配当で調整しない限り ROE が薄まる。10 年の中立でも ROE は 26%から 18%に下がる。資本を自由に配れるので長所でもあるが、株主への還元が遅れた場合の倍率は低くなる。
今後の分かれ目
- 会費の次の値上げが 2030 年前後に行われ、更新率が 90% を保つ
- 営業利益を約 8% 押し上げる。10 年の中立の営業利益を 1 割上げ、やや楽観の確率を高めてよい。ただし倍率は今の値段まで届かず、割高の判定は変わらない。
- 更新率が米加で 91% を割り、会員の伸びが +2% 以下になる
- 会費が堀として弱まったと見なす。10 年のやや悲観・悲観の確率を上げ、倍率の置き方を 1 割下げて見る。
- 食品・飲料の占有率(Numerator)が 9% を超え、ウォルマートに近づく
- 店舗網の拡大が占有率に結びついた。10 年の楽観・やや楽観の確率を上げてよい。
- アマゾンの食品の占有率が 10% を超え、コストコの 8.2% が下がる
- まとめ買いの客を奪われている。10 年の悲観の確率を上げ、コストコの占有率の伸びを 0 に置いて見直す。
- 商品の粗利益率が 11% を割り、販売管理費の比率も下がらない
- 会費以外の利益が削られる。営業利益率が 3.5% 台まで下がり、10 年の中立の営業利益を 1 割下げる。
- 株価が下がり、PER が 23 倍前後になる
- 10 年の中立の年率が資本コストを超え始める。見方を適正に近づけてよい。
見ておくもの
- 会員数・更新率・エグゼクティブ会員の比率(四半期ごと)
- 既存店売上のうちガソリン・為替を除いた伸び(数量と客数)
- 食品・飲料の占有率(Numerator)とアマゾン・ウォルマートの伸び
- 会費の値上げの時期と更新率の反応
- 商品の粗利益率と販売管理費の比率(関税・賃金)
- 新店の数と新店あたりの売上、設備投資の売上比
- 特別配当・自社株買いの方針
- デジタル売上の伸びと利益率
倍率と資本コストの決め方
先に米国・カナダ・その他の 3 つを、市場(実質)× 占有率 × 物価指数で積み、会費は会員数 × 1 人あたり会費で置き、営業利益は商品の利益率と会費で置いた。倍率は今の株価や過去の PER を見ず、純現金を除いた事業の ROE・長期の成長 4%(市場の伸び × 占有率 × 価格から出した値で、ROE からは出していない)・k 7.5%(基本 8.0% − 0.5%)の式から出し、強い堀なので上限の 8〜9.5 割に置いた(10 年目の利益に掛けるので ×(1+g))。堀の分は k の下げを −0.5% にとどめ、二重に使っていない。余った現金 111 億ドルは戻している実績があり戻り方 1.0。結果は中立でも年率がほぼ 0% で割高になるが、倍率を今の値段へ寄せない限り避けられない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。