結論
キューリグ・ドクターペッパー(KDP)は、米国でドクターペッパー・カナダドライ・ガレージ(Ghost)などの飲料と、キューリグのコーヒーポッド・抽出機を持つ会社で、2026 年 4 月 1 日に欧州のコーヒー最大手 JDE ピーツを約 180 億ドルの全額現金で買収し、2027 年初に飲料会社(Beverage Co.)とコーヒー会社(Global Coffee Co.)へ分ける計画である。買収前の 2025 年は売上 166 億ドル、調整後営業利益 41.6 億ドル(25.0%)、純利益 20.8 億ドル。JDE の 2025 年を足した合算は売上 278 億ドル、純負債は 2026 年 6 月末で 289 億ドルと時価総額 472 億ドルの 6 割に達し、会社の管理上の借金の倍率は 4.4 倍(買収前は 3.1 倍)である。
事業は二つに割れる。飲料は強く、2026 年 4〜6 月は数量 +6.5%・価格 +3.5%、営業利益率は約 30% で、エナジーは占有率 9% まで来た。一方、米国のコーヒーはポッドの数量が前年比 −8% で縮み、JDE は 2025 年に価格を 19.5% 上げた反動で欧州の数量を −8% 失った。
バリュー投資の観点では、買収で稼ぐ力が薄まった点が最大の論点である。のれんを含む投下資本に対する税引き後の営業利益(ROIC)は買収後で 6〜7% と資本コスト 9.25% を下回り、事業を広げても価値は増えにくい。それでも利益ベースの正当化 PER(ROE 約 19%・g 3.5%・k 9.25% で来年の利益に約 13.7 倍、借金と統合の重さでその 8 割)を置くと、10 年後の中立は純利益 40.5 億ドル(統合費用が終わる 2028 年の 26.8 億ドルから年 6% 増)に PER 10.9 倍で時価総額 440 億ドル、今の約 0.93 倍で、配当を足した年率は 5% 前後。ただし、ポッドの縮小が続き JDE の利益率が 13% に留まるやや悲観では 10 年後も今と同じ水準(436 億ドル)にとどまり、悲観では配当を止めても時価総額は今の 3 割(144 億ドル)に落ちる。確率は悲観側に寄せた。確率で重みを付けた価値は今の時価総額を約 25% 下回り、総合は「やや割高」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず「10 年後もこの事業は強いか」を問う。飲料は強い。ドクターペッパーのブランドと瓶詰め網は複製しにくく、ゼロシュガーとエナジーの成長が炭酸の逆風を埋めている。コーヒーは強いと言えない。ポッドは利用者が自社ブランドや高級品へ抜ける方向で、替え刃型の堀(互換ポッドの防御)は 2012 年の特許切れ以降、薄くなってきた。JDE は欧州の首位級だが利益率は 13% で、ブランドの価格を決める力は飲料より弱い。確信度は飲料で高く、コーヒーで低く、全体では中。
オーナー利益(株主に残る利益)で見ると、2028 年の純利益は 26.8 億ドル(中立)、株式報酬は費用に入り、設備投資は減価償却並みなので、成長に要る資金は主に運転資本。時価総額 472 億ドルに対する利回りは約 6%(2028 年)で、10 年国債 5% をやや上回るが、これは統合費用が終わり費用削減が効いた後の利益で、統合費用が重い 2026 年の利益では 3% を下回る。国債は物価に削られ、KDP の利益は値上げで物価についていくので実質では比べられるが、安全域は厚くない。
資本配分は評価が割れる。ガレージ・ヌートラボルトで飲料の成長を買い、JDE で約 230 億ドル(引き継いだ借金込み)を払ってコーヒーを世界に広げたが、調整後 EBIT に対する買収倍率は 15 倍前後(推定)で、稼ぐ力(ROIC)は買収前より低くなった。さらに売り手側(JAB)との関係も深い。強みは分割後に両社が別々の評価を受けやすいこと。わからない部分は、ポッドの縮小の速さ、生豆の相場、JDE の利益率が 15% に届くか。
何で稼ぐ会社か
KDP は 2018 年に、ドクターペッパー・スナップルと、キューリグ・グリーン・マウンテンが合併してできた。今は 4 つの塊で稼ぐ。
第 1 は米国の飲料(2025 年の売上 104 億ドル、調整後営業利益率 29.8%)。ドクターペッパー、カナダドライ、7UP、スナップル、クラマトなどの炭酸・ティー・水と、2024 年に 60% を 9.9 億ドルで取得したエナジードリンクのガレージ、36% を出資するヌートラボルト(C4・ブルーム)を持つ。ブランドの原液を瓶詰め会社(自社と提携先)に売る軽い資産の事業で、2026 年 4〜6 月は数量 +6.5%・価格 +3.5%。第 2 は米国のコーヒー(売上 40 億ドル)。K カップなどのポッドと抽出機で、抽出機を売りポッドで稼ぐ替え刃型だが、ポッドの数量は縮んでいる。第 3 は国際(売上 22 億ドル。カナダ・メキシコ)。
第 4 が JDE ピーツ(2025 年の売上 99 億ユーロ、調整後 EBIT 12.95 億ユーロ=13.1%)。ダウ・エグバーツ、ピーツ、ジャック・ブラック、レバンヴィル、L'OR などの欧州・世界のコーヒーと紅茶。売上は米国の飲料と同じ 100 億ドル台だが、利益率は半分で、生豆の相場と小売業者との価格交渉に左右される。資金は、社債約 60 億ドル、つなぎ融資 36 億ドル、アポロ(Apollo)・KKR 主導の転換優先株 45 億ドル(配当 4.75%)、K カップの製造会社への出資 40 億ドル(KDP が 51%、アポロ・KKR・ゴールドマン・サックスが 49%、資金コストは年 7.3〜7.4%)、JDE が持っていた社債約 50 億ドルの引き継ぎ。2026 年 3 月 27 日に株の 96.22% が応募済みで、残りは 2026 年 10 月 16 日以降に強制買い取りになる(約 6 億ユーロ)。
優良さと弱いところ
堀は事業ごとにまるで違う。米国の飲料は強い。ドクターペッパーは独自の味で、コカ・コーラ(Coca-Cola)・ペプシコ(PepsiCo)との 3 強の一角、ゼロシュガーの小売売上は約 30% 伸び、ゼロシュガーの銘柄の中で占有率の増加が最大だった。エナジーは数年前のほぼゼロから占有率 9% まで上がり(年換算の売上約 15 億ドル)、目標は 2 桁。営業利益率は 30% 前後と、コカ・コーラの北米(推定で約 28%)と並ぶ。
米国のコーヒーの堀は薄れている。キューリグは米国のポッド方式で 8 割超を握るが、特許が切れた 2012 年以降は互換のポッドが入り、物価高で利用者が自社ブランド(PB)のポッドへ移り、ネスプレッソ(Nespresso)・イリー(illy)が高級帯を削る。2025 年の数量は −4.2%、2026 年 4〜6 月は −8.2%(ポッドは −11.6%)。価格 +5.0% で売上の落ち込みを抑えているが、数量の減少は先に利益を削る。JDE は欧州で首位級だが、ネスレ(Nestlé、ネスカフェ)・ラバッツァ(Lavazza)・小売業者の自社ブランドとの競争で、2025 年の価格転嫁は欧州の数量を −7.9% 削った。
資本効率は買収で下がった。2025 年の ROE は 8%(自己資本 255 億ドル)で、のれんが厚く、買収後の ROIC は 6〜7% 前後。分割後の飲料会社はティム・コファー氏が率いる。JDE の売り手は JAB 傘下の会社(JDE の議決権の約 7 割とされる)で、JAB は KDP の 5% 超の株主でもあった(2025 年 5 月まで)ため、関連者取引の色があり、値付けの妥当性への目は厳しく見る。弱みは、4 倍の借金、ポッドの縮小、買収と分割を同時に進める実行の重さ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
KDP は炭酸・エナジー・ティー・水の「米国の飲料」と、家庭用のコーヒー(ポッド・抽出機)、欧州の家庭用コーヒーの 3 つの市場にまたがる。
飲料は、業界ノートの前提(米国のソフトドリンク製造は約 480 億ドル、年 +2.1%、炭酸は数量が毎年 −1〜2%、エナジーは年 +6〜7%)の中にある。KDP は炭酸の数量減を、ゼロシュガー・プレバイオティクス炭酸(ブルーム)・エナジーの占有率の上昇で埋めている。競争相手は、炭酸のコカ・コーラとペプシコ、エナジーのモンスター・ビバレッジ(Monster Beverage)・レッドブル(Red Bull)・セルシウス(Celsius)・アラニ ヌー(Alani Nu)で、新興ブランドが占有率を取る局面が続く。GLP-1 の普及(米国の成人の 13% 超)と砂糖規制は炭酸の数量を押す。
コーヒーは別の世界である。米国の家庭用コーヒーは、2026 年初に小売価格が前年比 +31% と記録的に上がり、利用者は高級ポッドから安い品へ移っている。ポッドの市場は調査会社の推計で 2026 年約 100 億ドル、年 +6% とされるが、これは金額(値上げを含む)で、KDP の数量は縮んでいる。生豆は先物でヘッジするため相場と利益の間に数か月のずれがあり、2026 年はエルニーニョ観測で再び上昇気味。欧州ではネスレとラバッツァが強く、小売業者の自社ブランドが数量を取り、JDE の 2025 年の欧州の数量は −7.9%。
分割が決まった今、KDP は「飲料」と「コーヒー」を別の会社として市場に評価される。飲料は同業のコカ・コーラ・モンスターと比べられ、コーヒーはネスレのコーヒー事業・JDE の買収前の利益率(13〜15%)と比べられる。
資本政策と M&A
JDE の買収は 2026 年 4 月に成立し、1 株 31.85 ユーロ(90 日平均株価に 33% の上乗せ)、株式の価値は約 157 億ユーロ。KDP は旧来の借金に社債約 60 億ドルとつなぎ融資を足し、転換優先株 45 億ドル(アポロ・KKR 主導)と K カップ製造会社への出資 40 億ドルで資本を厚くした。6 月末の純負債は額面で 289 億ドル、優先株 45 億ドル、非支配持分 42 億ドル。会社の管理の倍率は 4.4 倍で、2026 年末に 4.1 倍、分割後は飲料会社 3.5〜4.0 倍・コーヒー会社 3.75〜4.25 倍を目標とし、投資適格を保つ方針である。
還元は、配当を維持(2026 年上半期 6.2 億ドル、年約 12.5 億ドル)、自社株買いは 2026 年上半期はゼロ(2024 年は 11 億ドル)。借金の返済が先で、倍率が目標の下限に近づくまで自社株買いは再開しにくい。費用削減の目標は 4 億ドル(調達・IT・製造物流)で、2026 年後半から効き、統合費用は 2026 年 14 億・2027 年 8 億ドル(推定)と置く。ガレージの残り 40% は 2028 年に、2027 年の業績に連動した価格で買う約束で、10〜30 億ドルの支出を見込む。優先株は、普通株の配当で優先株の配当が減額され、転換されれば普通株が最大 8% 薄まる。2027 年初の分割は課税なしの見込みで、優先株は飲料会社に残る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
飲料の質が高い会社を、コーヒーの不安を織り込んだ値段で買える機会である。米国の飲料は 2025 年に数量 +9.0%・価格 +2.9% で売上 +11.9%、2026 年 4〜6 月も数量 +6.5%・価格 +3.5% と伸び、ゼロシュガーとエナジー(占有率 9%、年換算の売上 15 億ドル)が牽引している。営業利益率は 30% 近くで、ガレージの残り 40% の買い取り(2028 年)で取り分も増える。
コーヒーは悪い局面の底に近い。2026 年 4〜6 月のポッドの数量 −8% は豆の価格急騰(小売 +31%)と在庫調整によるもので、後半はピーツのポッドが US コーヒーに移り、低コストの在庫で利益率が戻ると会社は見ている。JDE は 2026 年 4〜6 月に調整後営業利益率 14.8%、費用削減 4 億ドル(売上の 1.4 ポイント分)が加われば 15% 台後半は見える。
分割で飲料会社はコカ・コーラ・モンスター並みの評価を受けられ、借金は EBITDA の 4.4 倍から 3.5〜4.0 倍へ下がる。式で測っても、k 9.25%・g 3.5% で 10 年後は 14 倍前後。今の値段は、統合費用が重い 2026 年の GAAP 利益で見て高く見えるだけで、費用が終わる 2028 年の利益(中立)では 17〜18 倍に下がる。
慎重な見方
買ってはいけない種類の買収である。KDP は 2025 年末に純負債 169 億ドル(EBITDA の 3.1 倍)だったのに、JDE の買収で純負債 289 億ドル・優先株 45 億ドル・非支配持分 42 億ドルを抱え、倍率は 4.4 倍。優先株は普通株の配当で優先株の配当が減額され、K カップの製造会社の 49% は他人の持ち分で、ポッドの稼ぎが外へ流れる。利払いは 2025 年の約 7 億ドルから 2026 年 11〜12 億ドルへ増え、GAAP の 1 株利益は 2026 年上半期に前年同期から 69% 減り、配当を賄うのが精一杯である。
コーヒーは構造的に悪い。ポッドの数量は 2025 年 −4.2%、2026 年 4〜6 月 −8.2%。抽出機は +2.1% でも、稼ぎの大半は替え刃(ポッド)。自社ブランドとネスプレッソに取られ、豆の相場が下がれば値下げを迫られる。JDE は 2025 年に価格 +19.5% を通して数量を −4.3%(欧州 −7.9%)失い、小売業者との交渉は荒れている。調整後 EBIT 13% の事業に 15 倍前後の値を払った。
費用削減 4 億ドルは分割で一部が消える(2 つの上場会社の費用)。飲料の伸びは好調でも、エナジーはモンスター・セルシウス・アラニ ヌーが強く、占有率の伸びは頭打ちになりやすい。買収の目玉が ROIC で資本コスト 9.25% に届くかどうかの程度では、株主価値は増えない。
どちらに重みを置いたか
飲料の質(強気の見方)と、買収後の財務・コーヒーの縮小(慎重な見方)のどちらも根拠が強い。確率は悲観側にやや寄せ、楽観・やや楽観の合計を 26%、悲観・やや悲観を 38% とした。理由は、借金が EBITDA の 3.5 倍あり減配のリスクが分割後に出る点と、ポッドの縮小が止まらない点。借金の重さは k(quality の debt +0.75%)に入れ、倍率は利益ベースの正当化 PER(10 年中立 10.9 倍)の 8 割に置いた。結論は、10 年の中立が今の約 0.93 倍にとどまり、総合は「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 29.60 ドル403 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 21.40 ドル292 億ドル)。 今の値に割り戻すと 25.97 ドル354 億ドル、今との差 −26.2%、 期待の年率 +3.8%(資本コスト 9.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 62.78 ドル856 億ドル | 39.48 ドル538 億ドル | +190.6% | +11.3% | 7.16 ドル98 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 44.88 ドル612 億ドル | 32.65 ドル445 億ドル | +120.3% | +8.2% | 14.73 ドル201 億ドル |
| 中立 | 36% | 32.30 ドル440 億ドル | 25.17 ドル343 億ドル | +63.3% | +5.0% | 20.69 ドル282 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 15.89 ドル217 億ドル | 13.06 ドル178 億ドル | −17.7% | −1.9% | 7.24 ドル99 億ドル |
| 悲観 | 13% | 8.28 ドル113 億ドル | 0.81 ドル11 億ドル | −74.2% | −12.7% | 1.18 ドル16 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 29.60 ドル403 億ドル | 21.40 ドル292 億ドル | +44.9% | +3.8% | 51.00 ドル695 億ドル |
今の株価時価総額 35.19 ドル480 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:飲料が占有率を伸ばし続け、ポッドが下げ止まり、JDE の利益率が 18% へ 利益 59 億ドル · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 62.78 ドル856 億ドル
10 年後(2035 年 12 月期)、米国の飲料は数量が 10 年で 1.42 倍(年 +3.6%。エナジーが占有率を 14% 前後へ取り、ドクターペッパー ゼロシュガーとブルームの新カテゴリーが炭酸の減少を上回る)、価格は物価並みの 1.41 倍で売上 210 億ドル、営業利益率 32.0%。US コーヒーはピーツのポッドの取り込みと缶入りで数量が 10 年で 0.96 倍に下げ止まり、利益率 29.0%。国際は数量が 1.38 倍。JDE は欧州の数量が戻り(年 +1.6%)、費用削減 4 億ドルが残り、営業利益率は 18.0%。全社の売上 492 億ドル、営業利益 110 億ドル、純利益 59.0 億ドル(2028 年の 35.0 億ドルから年 8%)。純負債は EBITDA の 3.5 倍を保ち、余った現金は自社株買いに回る(10 年の正味還元は 538 億ドル)。優先株の転換価格は今の株価の約 1.08 倍で、この筋書きでは転換され、普通株が最大 8% 薄まる(SCHEMA_US に従い、時価総額からは割り引かない)。
- 米国の飲料(ドクターペッパー・カナダドライ・エナジーなど):数量 29.9(米国の飲料の販売ケース数(億ケース、推定)= 市場 × シェア)× 価格 7.01(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 210 億ドル・営業利益 67 億ドル。数量 +3.6%/年
- 米国のコーヒー(キューリグのポッドと抽出機):数量 89.8(ポッド換算の販売数(億個、抽出機を含む推定))× 価格 0.60(1 個あたりの純売上(ドル))→ 売上 54 億ドル・営業利益 16 億ドル。ポッド等 -0.5%/年
- 国際(カナダ・メキシコなど):数量 14.5(国際の販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 2.92(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 42 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量 +3.3%/年
- JDE ピーツ(欧州ほか世界のコーヒーと紅茶):数量 165(コーヒー・紅茶の販売量(万トン、推定))× 価格 1.13(1 万トンあたりの純売上(億ドル))→ 売上 186 億ドル・営業利益 34 億ドル。数量 +1.6%/年
倍率:ROE 48.4%、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 28.8%、g 4.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.4 倍(来年の利益に対して)。借金が重く分割と統合の実行の重さがあるが、最良の筋書きなので上の方に置いた。上限の 8.5 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.5 倍。時価総額 = 純利益 59 億ドル × 14.5 倍 = 856 億ドル。
確率:エナジーの占有率が 9% から 14% 前後へ、ドクターペッパー ゼロシュガーとプレバイオティクス炭酸が炭酸の逆風を埋め、US コーヒーはピーツのポッドの取り込みと缶入り(ラ・コロンブ)で数量が下げ止まり、JDE の費用削減 4 億ドルが全額残り、分割で両社の評価が上がる展開。10 年全部が当たる確率は 1 割弱。
やや楽観 19% やや楽観:飲料が年 3% で伸び、ポッドの縮小は緩み、JDE の利益率は 16.5% 利益 50 億ドル · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 44.88 ドル612 億ドル
10 年後、米国の飲料は数量が 10 年で 1.31 倍(年 +2.7%)、価格は物価並みで売上 193 億ドル、営業利益率 31.0%。US コーヒーはポッドの数量が 10 年で 0.89 倍、利益率 27.5% に落ち着く。国際は数量が 1.32 倍。JDE は数量が年 +1.0%、営業利益率 16.5%(費用削減が残り、豆の相場の転嫁も通る)。全社の売上 458 億ドル、営業利益 95 億ドル、純利益 49.6 億ドル。純負債は EBITDA の 3.5 倍を保ち、10 年の正味還元は 445 億ドル。成長は物価に数量の +1〜2% を足した程度で、g 3.8% の式が当たる。分割後の飲料会社は炭酸・エナジー同業に近い評価を受ける。
- 米国の飲料(ドクターペッパー・カナダドライ・エナジーなど):数量 27.5(米国の飲料の販売ケース数(億ケース、推定)= 市場 × シェア)× 価格 7.01(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 193 億ドル・営業利益 60 億ドル。数量 +2.7%/年
- 米国のコーヒー(キューリグのポッドと抽出機):数量 84.1(ポッド換算の販売数(億個、抽出機を含む推定))× 価格 0.60(1 個あたりの純売上(ドル))→ 売上 50 億ドル・営業利益 14 億ドル。ポッド等 -1.1%/年
- 国際(カナダ・メキシコなど):数量 13.8(国際の販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 2.92(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 40 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量 +2.8%/年
- JDE ピーツ(欧州ほか世界のコーヒーと紅茶):数量 155(コーヒー・紅茶の販売量(万トン、推定))× 価格 1.13(1 万トンあたりの純売上(億ドル))→ 売上 175 億ドル・営業利益 29 億ドル。数量 +1.0%/年
倍率:ROE 30.6%、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.9%、g 3.8%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.9 倍(来年の利益に対して)。借金が重く、分割と統合の実行の重さがあるので、上限の 8 割に置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.3 倍。時価総額 = 純利益 50 億ドル × 12.3 倍 = 612 億ドル。
確率:会社の長期の型(飲料は数量 +2〜3%、価格は物価並み)が続き、ポッドの縮小が 10 年で 1 割台に収まり、JDE の費用削減の約 7 割が残る展開。炭酸の逆風は残る。
中立 36% 中立:飲料が 10 年で 1.2 倍、ポッドは 2 割減、JDE は利益率 15.5% で純利益は年 6% 利益 41 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 32.30 ドル440 億ドル
10 年後、米国の飲料は数量が 10 年で 1.20 倍(年 +1.8%。炭酸の減少をエナジー・ゼロシュガー・ブルームで埋め、占有率は炭酸で 2 割前後、エナジーで 11% 前後)、価格は物価並みの 1.41 倍で売上 176 億ドル、営業利益率 29.8%。US コーヒーはポッドの数量が 10 年で 0.81 倍(年 -2.1%)と縮み、価格の転嫁で売上は 46 億ドル、利益率は 25.0% に下がる。国際は数量が 1.26 倍で営業利益率 25.6%。JDE は数量がほぼ横ばい(1.04 倍)で、価格は豆の相場の転嫁で物価並み、費用削減の約半分が残り営業利益率 15.5%。全社の売上 424 億ドル、営業利益 79 億ドル、純利益 40.5 億ドル。利払いは借り換えで年 20.4 億ドルに増えるが、純負債は EBITDA の 3.5 倍で保たれ、増えた分は自社株買いに回る(10 年の正味還元は 343 億ドル)。競争は、炭酸ではコカ・コーラ・ペプシコと現状維持、エナジーではモンスター・レッドブルが先行、コーヒーではネスレとラバッツァが優位のまま。のれんを含む投下資本の ROIC は約 9% で、資本コスト 9.25% とほぼ同じ。
- 米国の飲料(ドクターペッパー・カナダドライ・エナジーなど):数量 25.1(米国の飲料の販売ケース数(億ケース、推定)= 市場 × シェア)× 価格 7.01(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 176 億ドル・営業利益 52 億ドル。数量 +1.8%/年
- 米国のコーヒー(キューリグのポッドと抽出機):数量 76.0(ポッド換算の販売数(億個、抽出機を含む推定))× 価格 0.60(1 個あたりの純売上(ドル))→ 売上 46 億ドル・営業利益 11 億ドル。ポッド等 -2.1%/年
- 国際(カナダ・メキシコなど):数量 13.2(国際の販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 2.92(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 38 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量 +2.3%/年
- JDE ピーツ(欧州ほか世界のコーヒーと紅茶):数量 145(コーヒー・紅茶の販売量(万トン、推定))× 価格 1.13(1 万トンあたりの純売上(億ドル))→ 売上 164 億ドル・営業利益 25 億ドル。数量 +0.3%/年
倍率:ROE 19.3%、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、残る割合 普通 1/2、RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.3%、g 3.5%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)で、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.1 倍(来年の利益に対して)。借金が重く、分割と統合の実行の重さがあり、ROIC(のれん込み)は資本コストを少し上回る程度なので、上限の 8 割に置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.9 倍。時価総額 = 純利益 40 億ドル × 10.9 倍 = 440 億ドル。
確率:業界ノートの中立(炭酸は名目 年 +3.0%、エナジーは年 +5% 台)に、ゼロシュガー・エナジーでの占有率の上昇を織り込み、コーヒーは数量が縮み価格で支える型を置く。借金の重さで楽観より悲観を厚く置いた。
やや悲観 25% やや悲観:ポッドが年 3.5% 縮み、飲料の伸びが止まり、JDE の利益率が 13% に留まる 利益 24 億ドル · PER 8.9 倍 · 株価時価総額 15.89 ドル217 億ドル
10 年後、米国の飲料は数量が 10 年で 1.05 倍(年 +0.4%。エナジーの占有率は 9% から上がらず、炭酸の減少が続く)、価格は物価に届かず(年 3.0%)売上 148 億ドル、営業利益率 28.0%。US コーヒーはポッドの数量が 10 年で 0.67 倍、売上 36 億ドル、利益率 21.0% に下がる。国際は数量が 1.08 倍。JDE は欧州の数量が年 -1.2% 落ち続け、営業利益率は 13.0% に留まる。全社の売上 350 億ドル、営業利益 54 億ドル、純利益 24.3 億ドル(今の合算の水準)。純負債は返済で 268 億ドルに減るが、EBITDA の 3.5 倍までしか下がらず、分割後のコーヒー会社は低い成長で配当を絞る。10 年の正味還元は 178 億ドル。10 年全体の稼ぐ力(ROIC)は約 7% で資本コストを下回る。
- 米国の飲料(ドクターペッパー・カナダドライ・エナジーなど):数量 22.0(米国の飲料の販売ケース数(億ケース、推定)= 市場 × シェア)× 価格 6.72(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 148 億ドル・営業利益 41 億ドル。数量 +0.4%/年
- 米国のコーヒー(キューリグのポッドと抽出機):数量 62.8(ポッド換算の販売数(億個、抽出機を含む推定))× 価格 0.57(1 個あたりの純売上(ドル))→ 売上 36 億ドル・営業利益 8 億ドル。ポッド等 -4.0%/年
- 国際(カナダ・メキシコなど):数量 11.4(国際の販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 2.80(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 32 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量 +0.8%/年
- JDE ピーツ(欧州ほか世界のコーヒーと紅茶):数量 125(コーヒー・紅茶の販売量(万トン、推定))× 価格 1.08(1 万トンあたりの純売上(億ドル))→ 売上 135 億ドル・営業利益 18 億ドル。数量 -1.2%/年
倍率:ROE が k 以下(または自己資本が薄い)で、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、g 3.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)。正当化 PER = 1 ÷ k = 10.8 倍(来年の利益に対して)。ROE が k とほぼ同じで伸びは価値を生まないので 1 ÷ k を式の値とし、利益の質は中立と同じ 8 割に置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 8.9 倍。時価総額 = 純利益 24 億ドル × 8.9 倍 = 216 億ドル。
確率:自社ブランドとネスプレッソにポッドを取られ、エナジーの占有率が頭打ちになり、JDE が小売の値引き競争で利益率を上げられず、借金の返済で自社株買いも無い展開。起きても不思議はない。
悲観 13% 悲観:ポッドが半分に縮み、飲料の価格を決める力も落ち、優良さを失う 利益 13 億ドル · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 8.28 ドル113 億ドル
10 年後、米国の飲料は数量が 10 年で 0.92 倍(GLP-1 と砂糖規制で炭酸が縮み、エナジーはモンスター・セルシウスに占有率を取られる)、価格は物価に届かず売上 123 億ドル、営業利益率 26.0%。US コーヒーはポッドの数量が 10 年で 0.58 倍と半分近くに縮み、売上 30 億ドル、利益率 17.0%。JDE は数量が年 -2.0%、営業利益率は 10.5% まで下がり、のれんの減損(会計上の損失)が出る。全社の売上 296 億ドル(今の合算より 6% 増えるだけ)、営業利益 34 億ドル、純利益 12.8 億ドル。配当を止めた 3〜10 年目に純負債は 154 億ドルまで返済するが、成長は止まり、分割は 2027 年を過ぎても実行が重く、費用の重複が残る。10 年の正味還元は 11 億ドル(最初の 2 年の配当のみ)。のれんの減損は会計上の損失で、この筋書きの純利益にも自己資本にも入れていない(稼ぐ力の低下は利益率と ROIC に既に反映)。時価総額は自己資本の 0.4 倍。
- 米国の飲料(ドクターペッパー・カナダドライ・エナジーなど):数量 19.3(米国の飲料の販売ケース数(億ケース、推定)= 市場 × シェア)× 価格 6.36(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 123 億ドル・営業利益 32 億ドル。数量 -0.9%/年
- 米国のコーヒー(キューリグのポッドと抽出機):数量 54.5(ポッド換算の販売数(億個、抽出機を含む推定))× 価格 0.54(1 個あたりの純売上(ドル))→ 売上 30 億ドル・営業利益 5 億ドル。ポッド等 -5.3%/年
- 国際(カナダ・メキシコなど):数量 10.1(国際の販売ケース数(億ケース、推定))× 価格 2.65(1 ケースあたりの純売上(ドル))→ 売上 27 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量 -0.4%/年
- JDE ピーツ(欧州ほか世界のコーヒーと紅茶):数量 114(コーヒー・紅茶の販売量(万トン、推定))× 価格 1.03(1 万トンあたりの純売上(億ドル))→ 売上 117 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量 -2.0%/年
倍率:ROE が k 以下(または自己資本が薄い)で、k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.2%)、g 2.0%(事業の数量 × シェア × 価格から出した値。ROE から出していない)。正当化 PER = 1 ÷ k = 10.8 倍(来年の利益に対して)。ROE が k を下回るので伸びは価値を生まず、式の値は 1 ÷ k になる。利益の質は中立と同じ 8 割に置いた。上限の 8.0 割に置いた。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 8.8 倍。時価総額 = 純利益 13 億ドル × 8.8 倍 = 113 億ドル。
確率:ポッドが 10 年で 4 割以上縮み、飲料もコカ・コーラ・ペプシコ・新興ブランドの値引き競争で価格が物価に届かず、JDE が小売の自社ブランドに押されて利益率が 10% 台前半に落ち、買収ののれんの減損(会計上の損失)と減配が出る展開。借金の重さで確率を 13% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国の飲料(ドクターペッパー・カナダドライ・エナジーなど)
米国の炭酸・エナジー(ガレージ=Ghost、C4 ほか)・水・ティーの飲料。ブランド原液と瓶詰め網(自社と提携先)で売る。
| 数量米国の飲料の販売ケース数(億ケース、推定)= 市場 × シェア | 価格1 ケースあたりの純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 21.0 | 4.97 | 104 | 31 |
| 10 年後 中立 | 25.1 | 7.01 | 176 | 52 |
取り方:売上 104.39 億ドル・調整後営業利益 31.14 億ドル(29.8%)は 2025 年通期の開示(数量 +9.0%、価格 +2.9%。ガレージが数量に +6.2 点)。ケース数 21 億は開示がなく、米国の炭酸・エナジー・水の市場に対するシェアから逆算した推定(炭酸の占有率は 2 割前後、エナジーは 9%)。数量は「市場の伸び × シェアの動き」、価格は物価並みが基本。
米国のコーヒー(キューリグのポッドと抽出機)
K カップなどのポッドと抽出機。抽出機を売り、ポッドで稼ぐ替え刃型の事業。
| 数量ポッド換算の販売数(億個、抽出機を含む推定) | 価格1 個あたりの純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 94.0 | 0.42 | 40 | 12 |
| 10 年後 中立 | 76.0 | 0.60 | 46 | 11 |
取り方:売上 39.90 億ドル・調整後営業利益 12.33 億ドル(30.9%)は 2025 年通期の開示(数量 −4.2%、価格 +4.8%)。個数 94 億は推定(ポッドの出荷数に抽出機を換算)。数量は米国の家庭用コーヒー市場に対するポッド方式の占有率(キューリグが 8 割超、ネスプレッソ・イリー・自社ブランドが追う)で決まり、2026 年 4〜6 月はポッドが −11.6%(ピーツの再編を除くと −8.3%)と縮んだ。価格は豆の価格の転嫁で動く。
国際(カナダ・メキシコなど)
カナダ・メキシコなどの飲料(カナダドライ・クラマト・ペニャフィエルなど)とコーヒー。
| 数量国際の販売ケース数(億ケース、推定) | 価格1 ケースあたりの純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.5 | 2.07 | 22 | 6 |
| 10 年後 中立 | 13.2 | 2.92 | 38 | 10 |
取り方:売上 21.74 億ドル・調整後営業利益 5.56 億ドル(25.6%)は 2025 年通期の開示(数量 +3.1%、価格 +6.2%)。ケース数 10.5 億は推定。為替は動かさない。数量は現地の飲料市場とシェアで決まる。
JDE ピーツ(欧州ほか世界のコーヒーと紅茶)
欧州・アジア・中南米のコーヒー・紅茶。ダウ・エグバーツ(Douwe Egberts)・ピーツ・ジャック・ブラック・レバンヴィル・L'OR ほか。2026 年 4 月 1 日に買収が成立。
| 数量コーヒー・紅茶の販売量(万トン、推定) | 価格1 万トンあたりの純売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 140 | 0.80 | 112 | 15 |
| 10 年後 中立 | 145 | 1.13 | 164 | 25 |
取り方:2025 年の売上 99.21 億ユーロ(有機成長 +15.3%=価格 +19.5%・数量 −4.3%)、調整後 EBIT 12.95 億ユーロ(13.1%)を 1 ユーロ 1.13 ドルで換算した推定(買収前なので KDP の開示ではなく JDE ピーツの開示)。販売量 140 万トンは売上を 1 キロ 8 ドル前後で割った推定。数量は欧州の家庭用コーヒー市場(ネスレ・ラバッツァ・自社ブランドとの競争)とシェアで決まり、価格は生豆の相場の転嫁。2026 年 4〜6 月の調整後営業利益率は 14.8%(デリバティブ益と販促のずれを含む)。
リスクと懸念
借金の重さ(純負債が時価総額の 6 割、倍率 4.4 倍)
JDE の買収で純負債は 2026 年 6 月末に 289 億ドル(買収前 169 億ドル)、優先株 45 億ドル、非支配持分 42 億ドル。会社の管理の倍率は 4.4 倍で、2026 年末の目標は 4.1 倍。景気後退や生豆の高騰で EBITDA が 1 割落ちると、倍率は 5 倍近くに上がり、配当(年約 12.5 億ドル)を守る余地が狭まる。借り換えで利払いは年 11〜12 億ドルから 14〜20 億ドルへ増える。
米国のコーヒー(ポッド)の構造的な縮小
ポッドの数量は 2025 年 −4.2%、2026 年 4〜6 月 −8.2%(ポッドは −11.6%)。互換ポッドと自社ブランド、ネスプレッソ・イリーに取られ、物価高で利用者が安い品へ移る。抽出機の売上が +2% でも稼ぎはポッドにあり、数量の減少は先に利益を削る。分割後のコーヒー会社は、これを JDE の成長で埋められるかが勝負になる。
生豆の相場・関税と、JDE の価格転嫁の反動
2026 年初の米国の小売のコーヒー価格は前年比 +31%。生豆は先物でヘッジしているため相場と利益に数か月のずれがあり、2026 年はエルニーニョ観測で再び上昇気味。JDE は 2025 年に価格を 19.5% 上げて欧州の数量を −7.9% 失い、小売業者の反発を受けた。値上げの限界に当たれば、転嫁できないまま利益率が 13% を割る。
統合と分割の同時進行(費用削減 4 億ドルの実現)
費用削減の目標は 4 億ドル(調達・IT・製造物流)だが、2026 年 4〜6 月は寄与が「ごく小さい」とされ、後半から効く計画。統合費用は 2026〜27 年に合わせて 20 億ドル超を見込み、分割(2027 年初)で 2 つの上場会社の費用と、重複する人員が残る。分割の後の飲料会社 3.5〜4.0 倍・コーヒー会社 3.75〜4.25 倍の倍率目標に届かなければ、格付けの維持のため配当や資産売却を迫られる。
炭酸の数量減とエナジーの競争
米国の炭酸は数量が毎年 −1〜2%。GLP-1(米国の成人の 13% 超)と砂糖規制が押す。ドクターペッパー ゼロシュガーが占有率を取っているが、エナジーはモンスター・レッドブル・セルシウス・アラニ ヌーが強く、KDP の占有率 9% が 10% を超えるかは自社ブランドと新興の競争次第。ガレージの残り 40% を 2028 年に買う価格は 2027 年の業績に連動し、10〜30 億ドルの支出になる。
優先株と K カップ製造会社の持ち分(取り分の流出)
転換優先株 45 億ドルは配当 4.75%(普通株の配当で減額)で、転換されれば普通株が最大 8% 薄まる(この分析は株数を考えず、時価総額から割り引いていない)。K カップの製造会社の 49% はアポロ・KKR・ゴールドマン・サックスの持ち分で、資金コストは年 7.3〜7.4%。ポッドの稼ぎの一部が KDP の普通株主以外へ流れ、制約も付く。
関連者取引と買収の値付け
JDE の売り手は JAB 傘下の会社(議決権の約 7 割とされる)で、JAB は 2025 年 5 月まで KDP の 5% 超の株主だった。1 株 31.85 ユーロ(90 日平均に 33% の上乗せ)の値付けは、調整後 EBIT に対する倍率で 15 倍前後(推定)と、ROIC を押し下げる高さ。残り 3.8% の強制買い取りの価格はアムステルダム企業裁判所が公正と認めた(2026 年 9 月 29 日)が、追加の支出(約 6 億ユーロ)がある。
今後の分かれ目
- US コーヒーのポッドの数量が 2027 年に年 −5% を割り続けたら
- 替え刃型の堀が壊れている。US コーヒーの利益率の下げを 3 ポイント広げて見直し、やや悲観・悲観の確率を上げる。コーヒー会社の分割後の倍率目標(3.75〜4.25 倍)が守れるかを見る。
- 2026 年末の倍率が 4.1 倍を下回り、2027 年に分割が予定どおり実行されたら
- 借金の重さが和らぎ、自社株買いの再開が近づく。やや楽観の確率を上げ、k の quality の debt(+0.75%)を 0.25% 下げてよい。
- エナジーの占有率が 11% を超え、米国の飲料の数量の伸びが +4% を保ったら
- 飲料が炭酸の逆風を超えて伸びている。10 年の楽観寄りに確率をずらし、米国の飲料の営業利益率を 1 ポイント上げて見る。
- JDE の調整後営業利益率が 2027 年に 15% を超え、欧州の数量が前年を上回ったら
- 費用削減と価格のバランスが取れている。JDE の利益率を 1 ポイント上げ、10 年中立の純利益を約 3 億ドル上げて見る。
- 生豆の相場が再び急騰し、小売価格が前年比 +20% 超になったら
- ポッドの数量がさらに落ち、JDE も転嫁で数量を失う。コーヒー 2 事業の利益率を 2〜3 ポイント下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 分割が 2027 年中に遅れる、または優先株の転換・減配が発表されたら
- 財務の自由度が落ちている。悲観の確率を上げ、配当の減額を織り込んで 10 年の還元を下げて見る。
見ておくもの
- 米国の飲料の数量・価格の内訳(ガレージを除いた数量の伸び)と、エナジーの占有率(9% → 10% 超か)
- US コーヒーのポッドの数量(2026 年後半に −8% から改善するか)と、ピーツのポッドの移行の効果
- JDE の欧州の数量と調整後営業利益率(2026 年 4〜6 月の 14.8% が持続するか)
- 会社の管理の倍率(4.4 倍 → 年末 4.1 倍)と、分割(2027 年初)の期日と 2 社の資本構成
- 費用削減 4 億ドルの実現額と、統合費用(2026 年 14 億・2027 年 8 億ドルの推定との差)
- 生豆(アラビカ)の先物価格と、米国のコーヒーの小売価格、関税の返還
- 配当の水準(年約 12.5 億ドル)と優先株の転換価格(今の株価の約 1.08 倍)の距離
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 472 億ドルを見る前に、4 つの事業(米国の飲料・米国のコーヒー・国際・JDE)に分けて、数量 × 価格(物価並みの 10 年 1.41 倍)で売上を、営業利益率で利益を積み上げた。倍率は式どおり(k 9.25%=基本 8.0% + quality +1.25%、g 2.0〜4.0%、ROE は帳簿の自己資本 ROE。10 年は 9〜15 倍で、中立は 10.9 倍)で、今の PER にも他社の倍率にも寄せていない。借金が時価総額の 6 割あるため、ROIC(のれんを含む)は 4〜12% と資本コストの前後に広く散り、筋書きの差が大きい。悲観を厚く(10 年 13%)した。式の値を勝手に割り引いてはいないが、借金と統合の重さで楽観〜悲観とも上限の 8〜8.5 割(悲観側は中立と同じ 8 割)に置いた。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 5% + β 0.75 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +1.25% = 9.25%(SCHEMA_US §1)。借金の重さは β の補正でなく quality の debt(+0.75%)で見た。借金の金利(借り換えで 5.75% 前後)より k が低くならない。事業は傾いておらず上乗せはしない。個別のリスク(ポッドの縮小・分割の実行・JAB との関連・生豆の相場)は k に足さず、筋書きと確率に入れた。
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読んだ資料
- KDP 2025 年通期・2026 年見通し(2026-02-24 決算)
- KDP 2026 年 4〜6 月期決算(2026-08-06)
- KDP 2026 年 4〜6 月期 決算説明の書き起こし
- JDE ピーツ買収の成立(Cleary Gottlieb、2026-04-01)
- KDP の JDE ピーツ買収の資金調達(アポロ・KKR)
- JDE ピーツ 2025 年通期決算
- KDP の JDE ピーツへの買い付け(1 株 31.85 ユーロ)
- KDP のエナジー事業の伸び(FoodNavigator、2026-06)
- 米国のポッド市場(Intelligence.coffee、2026-01)
- KDP の時価総額(2026-10-15、companiesmarketcap)