結論
スプラウツ・ファーマーズ・マーケットは、青果と自然・オーガニック食品を核にした米国の専門スーパーである。筆者の結論は「割安」だ。既存店の客数は足元で弱いが、小型店を増やす余地と、健康志向の品ぞろえに客が戻る力を考えると、十年分の稼ぎは今の企業価値に十分見合う。
2025年の売上は88.1億ドル、営業利益は6.9億ドル、純利益は5.2億ドルだった。売上の57%が生鮮品で、自社ブランドの比率は約26%。2025年末の477店は2026年6月末に490店となり、出店による成長は続く。ただし2026年第2四半期の既存店売上は前年同期比1.0%減。2026年の通期見通しでも既存店はほぼ横ばいで、2025年の好調がそのまま続くと考えてはいけない。
強みは、健康に気を配る客が探す珍しい商品を小さな店に集める編集力である。青果の鮮度、独自ブランド、産地とのつながりが客を呼ぶ。一方、食品の購入先を変えるのは簡単だ。ウォルマート、ホールフーズ、トレーダー・ジョーズが似た品をそろえれば、値上げする力は薄れる。2027年には社長交代も控える。
中立では2036年の売上約208億ドル、純利益約10.6億ドルを考える。出店は続くが経営陣の年10%という目標ほど速くは進まず、成熟店の客数も慎重に見る。五つの筋書きを資本コスト8.0%で現在に戻した価値は約118億ドルで、台帳の時価総額約62億ドルを約89%上回る。株式報酬を引いた正味の自社株買いも含むが、利益の伸びを株数の減少で二重には数えていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、十年後に残る買い物の習慣と、それを利益に換える能力を分けて考える。健康に気を配る人が野菜や食品を買う需要は消えない。消える可能性があるのは、わざわざスプラウツを選ぶ理由の方だ。珍しい商品、鮮度、親切な売り場が揃えば高い頻度で来店するが、競合が同じ品を安く並べた途端に客は動く。したがって永久に高い利益率を約束された商売ではない。
好ましいのは、利益を比較的少ない現金で新しい店舗に投じられることだ。新型店は狭く、在庫と家賃を抑えられる。会社が示す新店の投資額と5年目の現金利回りが実現するなら、資本コストを大きく超える再投資ができる。ただし2025年の高いROEを新店の利回りの証拠として扱わず、リースを含めた投下資本利益率18.3%を別の物差しにする。
自社株買いにも両面がある。利益の現金化が早く、外部株主へ還元する行動があるのは良い。しかし2025年には稼いだ自由現金のほぼ全額を自社株買いに充てた。出店の立地が悪くなった時に備える現金を厚く持つ方が価値を守れる局面もある。配当による安定した還元より、経営の判断を信用する必要がある。
筆者が最も重く見るのは、足元の既存店減収を隠さず、その先の出店余地を評価することだ。悲観では客が離れ、賃料だけが残って利益は現在の半分以下になる。その下振れを含めても、五つの筋書きの現在価値は時価総額を上回る。将来の成長を過大に買わずに済む値段であれば、十年持つ事業として魅力がある。
何で稼ぐ会社か
売り物は食品だが、利益の源は普通の食料品店と少し違う。青果を店の中心に据え、肉、魚、乳製品、惣菜、健康食品、サプリメントを、健康志向の客が買いやすい規模で並べる。2025年の売上構成は青果が約17%、青果以外の生鮮品が約40%、非生鮮品が約43%である。これは会社の公式な事業セグメントではなく、単一の「健康食品スーパー」事業を商品別に読み解いた区分だ。
青果は来店の動機になる。オーガニックが青果売上の半分を超え、約170の地元生産者から仕入れる関係もある。肉、魚、惣菜、乳製品は日々の買い物の頻度を支える。加工食品や冷凍品、栄養補助食品では新商品を探す専門チームが年間7,000品超を導入し、独自ブランドは全売上の約26%に達した。目新しい商品を見つけて試す楽しさが、単なる安売り店との違いだ。
成長のもう一つの柱は出店である。従来店は平均約2万8,000平方フィート、新しい標準店は約2万1,000〜2万5,000平方フィートと小さい。会社は新店の初年度売上を約1,300万ドル、開店投資を約380万ドル、5年目の投下現金利回りを30%台前半から半ばと目指す。これは会社目標であり、開店後すべての店で達成した実績ではない。店舗数が増えるほど配送拠点や人員も要り、資金の回収は立地の良し悪しに左右される。
会計上は単一の報告セグメントで、商品群ごとの来客数、販売点数、営業利益は開示されない。数量は2025年の平均約459店と、1店当たり1日約1,200件の会計という仮定から年間約2億件の買い物を推定し、購入に青果を含む割合75%、他の生鮮品85%、非生鮮品92.5%を当てた。各商品群の平均支出は別々に見積もり、売上構成の実績と突き合わせた。商品別の営業利益は品目の廃棄率と粗利特性による推計であり、会社が開示した数字ではない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社が簡単にまねできない強みは、独自の品ぞろえと小型店を回す仕組みにある。2025年にはオーガニック商品が売上の3割超、独自ブランドが約4分の1を占めた。製造元の小さなブランドを早く見つけ、まだ大手で買えないうちから店頭に並べる。新商品探索の担当者、仕入れ網、鮮度管理が積み重なるほど、競合にとって似た売り場を一度に作るのは難しくなる。
数字にも改善の跡がある。2022年から2025年に粗利益率は36.7%から38.8%へ改善し、会社が賃借店舗を含めて示す投下資本利益率は12.4%から18.3%に上がった。2025年の自己資本利益率37.3%は見事だが、自社株買いで分母が細くなった効果も大きい。新店の実際の増分利回りはまだ店齢別に検証する必要があり、全社ROEをそのまま新店の利回りとはみなさない。
堀が広いとまでは言えない。客は契約で縛られておらず、野菜や卵の価格差を見ればほかの店に移れる。既存店売上は2025年の7.3%増から2026年上半期の1.4%減へ落ち、値上げの成功が長期に証明されたわけではない。競争相手はホールフーズやトレーダー・ジョーズだけでなく、安い自社ブランドを持つウォルマート、コストコ、アルディも含む。
財務の見方にも注意が要る。台帳の純負債約17億ドルは大部分が店舗リースを含む表示で、2026年第2四半期末の銀行融資枠は未使用だった。通常の借入金利を全額に掛けて利払いを膨らませるべきではないが、2025年末のオペレーティング・リース負債約18.6億ドルは家賃の固定約束だ。競争で売上が減っても、この支払いはすぐには減らない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の家庭向け食品支出は2025年に約1.1兆ドルで、人口と食事の回数は急増しない。数量の市場成長は低く、名目売上の多くは食品価格に左右される。これに対し、米国の認証オーガニック製品市場は2025年に766億ドル、前年比6.8%増だった。健康を気にする客の需要は業界平均より強いが、いずれ大手にも商品が広がるため、その成長を一社が独占することはできない。
商品群別の比較市場は、米農務省の家庭向け食品支出と労働統計局の品目別家計支出比率から、2025年価格の概算で青果約1,680億ドル、その他の生鮮品約4,500億ドル、非生鮮食品など約4,820億ドルと見積もる。サプリメントと酒類の範囲は統計ごとに違うため、厳密な市場区分ではない。スプラウツの概算シェアは順に約0.9%、0.8%、0.8%で、米国の食品全体では約0.8%にすぎない。会社の投資家資料は、健康志向の対象顧客の食品支出を約2,900億ドル、出店余地を1,000店超と見ている。ただし対象顧客支出と農務省の市場統計は定義が異なり、直接加算できない。
競争の厚さは忘れてはならない。ウォルマートの米国内食品売上は約2,855億ドルで、家庭向け食品支出との単純比較では約26%の規模がある。ホールフーズの売上は業界推計で約224億ドル、トレーダー・ジョーズは約180億ドル規模だ。全社売上を同じ市場の売上とみなす粗い比較でも、両社はスプラウツを大きく上回る。アマゾン傘下のホールフーズは小型店の拡大を進め、アルディは低価格と健康商品の両立を狙う。
2036年も食品の実質需要はほぼ横ばいとみる。スプラウツの数量増は人口増ではなく、店を増やして顧客の買い物を奪うことで生まれる。中立では900店弱、米国食品市場の売上シェア約1.3%を目指す道筋である。逆に新店が既存店の客を奪い、健康食品がどの店でも買えるようになれば、名目の売上が伸びても利益率は崩れる。
資本政策と M&A
経営の資金配分は、設備投資と自社株買いが中心だ。過去十年には大型買収で売上を膨らませず、既存店の立て直しと出店を進めた。2025年のフリーキャッシュフローは約4.7億ドル、自社株買いも約4.7億ドルだった。株式報酬約0.3億ドルを差し引くと、正味の還元は約4.4億ドルになる。普通配当は出しておらず、株主への現金の戻し方は経営陣の買い付け判断に依存している。
2025年8月には新たに10億ドルの自社株買い枠を承認した。枠の存在は買い付けの約束ではなく、出店投資や株価に応じて実行できる制度である。2026年第2四半期にも約0.7億ドルを買い付け、通期では純出店42店、設備投資約3.1億ドルを見込む。2026年の営業利益目標は52週換算で6.75〜6.85億ドルと2025年並みで、しばらく新店への支出が利益増を先行する。
新しい小型店の開店資金は1店当たり約380万ドルという会社目標で、30%台の現金利回りを実現できれば再投資の価値は高い。ただし既存店の減収時に同じ利回りが続く保証はない。企業買収は大規模な未成立案件を前提にしていない。2027年1月に現社長兼最高執行責任者ニック・コナットがCEOを継ぎ、ジャック・シンクレアは会長に移る予定だ。後継者は社内で戦略を担ってきたが、出店投資の基準と自社株買いの規律が変わらないかを見守る必要がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
健康を理由に食品を選ぶ習慣は一時の流行ではない。2025年にオーガニック製品市場は食品全体を上回る速さで伸びた。スプラウツはその交差点にいる。青果の半分以上がオーガニックで、自社ブランドは売上の約26%。新しい小さなブランドを発掘してから大手に広まるまでの先行期間に、顧客との関係を深められる。2025年に7,000品超の新商品を並べたことは、仕入れの目利きが日常業務として動いている証拠だ。
新店の経済性も魅力的だ。新しい店は従来より小さく、開店に要る現金は会社目標で約380万ドル。5年で30%台の利回りが得られるなら、業界ではまれな増分資本効率になる。2026年6月までに490店となったが、会社は1,000店超の余地を示している。都市の住宅地だけでなく、人口が流入する南東部や中部に配送網を伸ばせば、出店の失速を早々に心配する必要はない。
高付加価値食品への需要は、家計が厳しくても必ず消えるわけではない。食費の中で質を選ぶ客は残り、独自ブランドは品質を保ちながら価格を下げる手段にもなる。健康情報や新しい食習慣への対応は、店を選ぶ理由を増やす。料理や食材の提案をAIがしても、実物を鮮度よく届ける店は必要だ。
小型店が約1,150店に広がり、青果・生鮮・非生鮮の買われる回数がいずれも約2倍強になれば、十年後の売上は約300億ドル、純利益は22億ドルを超える。会社が公表する賃貸店舗込みの投下資本利益率がさらに改善し、買い付け余力も増す。競合より高い商品編集力を維持できる限り、株主が受け取る利益は現在から大きく増える。
慎重な見方
食べ物を買うために一つの店へ通い続ける義務は、どの消費者にもない。スプラウツの独自商品は強みだが、ホールフーズはアマゾンの配送網と小型店を使える。トレーダー・ジョーズには強い独自ブランドがあり、ウォルマートとアルディは価格で攻める。スプラウツの健康志向という看板は、大手が同じ商品をそろえるほど差が薄くなる。2026年上半期の既存店売上が1.4%減った事実は、顧客が物価高でも変わらず通うという仮説に疑問を投げる。
出店が速いほど良いとは限らない。店舗が増えると同じ地域の既存店から客を奪い、配送センターも人件費も先に増える。新店の初年度売上目標と5年目の高い現金利回りは、達成した店だけを選んだ実績ではなく会社の目標だ。都市部の好立地から出店し尽くせば、投資の利回りは下がる。2025年の7.8%という営業利益率を十年続く経済的な堀と呼ぶには、検証期間が短い。
賃料が最も厄介である。帳簿に載る約19億ドルのリース中心の負債を、普通の銀行借入のように扱うのも誤りだが、閉店する時に支払いが消えるわけでもない。既存店の売上が落ちる中で数百店の賃貸契約を維持すれば、商品粗利のわずかな悪化で会社の利益が細る。自社株買いで自己資本の厚みを削ってきたため、急な減損に使える余裕も乏しい。
健康食品が一般商品になり、物価ほど値上げできず、青果・惣菜の廃棄率が上がる筋書きでは、店舗が増えても実質の購入回数は横ばいに沈む。営業利益率は3%を割り、税引き後利益は2億ドルを下回る。経営陣の交代や株主訴訟の成り行きが資本配分の判断を鈍らせることもある。株主が払える値段は、その弱い稼ぐ力と売れる資産に限られる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 191.63 ドル180 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 55.68 ドル52 億ドル)。 今の値に割り戻すと 126.66 ドル119 億ドル、今との差 +154.8%、 期待の年率 +21.1%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 489.49 ドル460 億ドル | 92.03 ドル87 億ドル | +1,070.1% | +33.2% | 52.34 ドル49 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 333.86 ドル314 億ドル | 77.14 ドル73 億ドル | +727.0% | +28.3% | 82.20 ドル77 億ドル |
| 中立 | 34% | 186.25 ドル175 億ドル | 58.52 ドル55 億ドル | +392.5% | +21.2% | 83.22 ドル78 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 65.24 ドル61 億ドル | 39.37 ドル37 億ドル | +110.5% | +10.0% | 25.11 ドル24 億ドル |
| 悲観 | 13% | 13.96 ドル13 億ドル | 20.22 ドル19 億ドル | −31.2% | −5.1% | 4.44 ドル4 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 191.63 ドル180 億ドル | 55.68 ドル52 億ドル | +397.6% | +21.1% | 247.31 ドル232 億ドル |
今の株価時価総額 49.70 ドル47 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:店舗網1,150店と独自ブランドの定着 利益 22 億ドル · PER 20.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 489.49 ドル460 億ドル
健康志向の買い物が米国の食品市場全体より速く増える。2036年の店舗網は約1,150店まで広がり、南東部と中西部の新店にも常連がつく。青果を買う会計は3.53億回、その他の生鮮は3.74億回、非生鮮は4.44億回へ増える。値段も物価並みを少し上回り、合計売上は約299億ドルとなる。
ホールフーズとトレーダー・ジョーズは依然大きいが、スプラウツは独自ブランドと新商品発掘の速さで競争を避ける。青果のオーガニック比率が高く、差別化された冷凍品とサプリメントの売上が伸びる。小さな店舗と鮮度のよい配送網が人件費と廃棄を抑え、営業利益は約33億ドル、GAAP純利益は約22億ドルになる。
投下現金利回りの高い新店が増え、買収による無理な拡張は行わない。株式報酬を差し引いた十年の自社株買いは約87億ドルで、利益の一部は出店に残る。会社の顧客向け独自性が続き、買い付け余力も増す筋書きである。
- 青果(果物・野菜):数量 3.5(青果を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 15(青果購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 53 億ドル・営業利益 5 億ドル。青果購買回数は約2.35倍。店舗数拡大とオーガニック需要でシェアを獲得
- 青果以外の生鮮(肉・魚・惣菜・乳製品など):数量 3.7(その他生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 30(その他生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 113 億ドル・営業利益 10 億ドル。購入回数2.20倍。自家配送と惣菜・乳製品の品ぞろえが寄与
- 非生鮮(自然食品・サプリメント・冷凍・自社ブランドなど):数量 4.4(非生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 30(非生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 134 億ドル・営業利益 17 億ドル。購入回数2.40倍。独自ブランドと健康食品の新商品が浸透
倍率:事業のROEはGAAP純利益22.3億ドル÷2036年自己資本65億ドル=34.3%(帳簿ROEが40%以下なので基本の自己資本ROEを使用。2025年のリース込みROIC18.3%は資本効率の別指標)。k=8.0%、堀は普通で超過収益の残存割合1/2、RONIC=8.0%+(ROE−8.0%)×1/2=21.2%。長期g=4.0%は市場の実質食品数量+0〜0.5%、成熟後のシェア+0〜0.5%、食品価格+3.5%を合成し上限の4.0%。ROEと留保率から導かない。正当化PER(来年利益ベース)=(1−g/RONIC)/(k−g)=20.27倍、2036年利益ベースへの換算後21.08倍。高い競争と既存店の不確実性を考慮し理論値の約96%で20.240倍とする。株式報酬はGAAP費用のまま、現金上乗せなし。2036年の時価総額=22.3億ドル×20.240倍=451.35億ドル。
確率:目標に近い高い出店率と1店当たりの集客維持が重なるには立地と配送の成功が長く必要で、可能性はあるが少数派とした。
やや楽観 20% やや楽観:1,000店を超え小型店が順調 利益 17 億ドル · PER 18.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 333.86 ドル314 億ドル
2036年の店舗数は約1,020店となる。会社の掲げる1,000店超の余地をほぼ使うが、毎年10%の出店をずっと続けるわけではない。青果とほかの生鮮品の購入回数は約2倍に、非生鮮は2倍超になる。価格は物価より少し高く、総売上は約262億ドルとなる。
小型店は賃料と人員の節約に成功し、サプリメントや独自ブランドが粗利を支える。ホールフーズが健康食品を強化しても、品ぞろえを発掘する速度と買いやすい店の大きさで地域の客を取り続ける。営業利益は約24億ドル、純利益は約17億ドルとなり、2025年の高い利益率をおおむね維持する。
大きな買収や増資を行わず、新店の設備投資を営業現金から賄う。累計純利益の過半を正味の自社株買いで返しつつ、自己資本も厚くする。中立より成長は速いが、長期に残る客の忠誠を絶対視しない筋書きだ。
- 青果(果物・野菜):数量 3.2(青果を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 14(青果購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 45 億ドル・営業利益 4 億ドル。青果の買い物回数2.10倍、新店の拡大が中心
- 青果以外の生鮮(肉・魚・惣菜・乳製品など):数量 3.3(その他生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 30(その他生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 99 億ドル・営業利益 8 億ドル。会計回数1.95倍。生鮮の買い足し頻度が維持される
- 非生鮮(自然食品・サプリメント・冷凍・自社ブランドなど):数量 4.0(非生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 29(非生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 117 億ドル・営業利益 12 億ドル。会計回数2.15倍。独自ブランドとサプリメントが伸びる
倍率:事業のROEはGAAP純利益16.5億ドル÷2036年自己資本50億ドル=33.0%(帳簿ROEが40%以下なので基本の自己資本ROEを使用。2025年のリース込みROIC18.3%は資本効率の別指標)。k=8.0%、堀は普通で超過収益の残存割合1/2、RONIC=8.0%+(ROE−8.0%)×1/2=20.5%。長期g=4.0%は市場数量ほぼ横ばい、成熟後のシェア+0.5%、食品価格+3.5%を合成した4.0%。ROEと留保率から導かない。正当化PER(来年利益ベース)=(1−g/RONIC)/(k−g)=20.12倍、2036年利益ベースへの換算後20.93倍。高い競争と既存店の不確実性を考慮し理論値の約90%で18.834倍とする。株式報酬はGAAP費用のまま、現金上乗せなし。2036年の時価総額=16.5億ドル×18.834倍=310.76億ドル。
確率:店舗の小型化と物流整備の実績はあり、相当の伸びしろがある。ただし既存店の失速を受け、目標達成を既定としない。
中立 34% 中立:既存店は鈍いが約890店へ拡大 利益 11 億ドル · PER 16.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 186.25 ドル175 億ドル
2026年の既存店売上の鈍さは一時的に残るが、青果の鮮度と独自ブランドで客をつなぎ止める。2036年の店舗数は約890店とし、会社が掲げる年10%の拡大より遅い。青果の購入回数は1.76倍、ほかの生鮮は1.60倍、非生鮮は1.70倍となる。これは食品消費量の急増ではなく、出店と全国でのシェア獲得によるものだ。
価格は十年間でほぼ物価並みの1.41倍。ウォルマートやアルディとの値引き競争が残るため、買い物の回数ほど利益が跳ね上がることはない。2036年の売上は約208億ドル、営業利益は約15億ドル、GAAP純利益は約11億ドルに達する。営業利益率は2025年の山より低く、2026年の見通しから緩やかな改善にとどめる。
新店の再投資と正味の自社株買いを両立する。十年の純利益累計約79億ドルのうち55億ドルを還元し、残りを自己資本の積み上げに回す。長期の成長は食品価格と成熟後の小さなシェア増加で決まり、ROEが高いから売上が伸びるという見方は採らない。
- 青果(果物・野菜):数量 2.6(青果を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 14(青果購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 37 億ドル・営業利益 3 億ドル。青果購入回数1.76倍。市場数量ほぼ横ばいでも出店でシェアを取る
- 青果以外の生鮮(肉・魚・惣菜・乳製品など):数量 2.7(その他生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 29(その他生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 80 億ドル・営業利益 5 億ドル。購入回数1.60倍。競合と共存しながら生鮮の買い足しを増やす
- 非生鮮(自然食品・サプリメント・冷凍・自社ブランドなど):数量 3.2(非生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 29(非生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 91 億ドル・営業利益 7 億ドル。購入回数1.70倍。独自ブランドは伸びるが大手の競争も受ける
倍率:事業のROEはGAAP純利益10.6億ドル÷2036年自己資本38億ドル=27.9%(帳簿ROEが40%以下なので基本の自己資本ROEを使用。2025年のリース込みROIC18.3%は資本効率の別指標)。k=8.0%、堀は普通で超過収益の残存割合1/2、RONIC=8.0%+(ROE−8.0%)×1/2=17.9%。長期g=4.0%は市場数量ほぼ横ばい、成熟後のシェア+0.5%、食品価格+3.5%を合成した4.0%。ROEと留保率から導かない。正当化PER(来年利益ベース)=(1−g/RONIC)/(k−g)=19.43倍、2036年利益ベースへの換算後20.21倍。高い競争と既存店の不確実性を考慮し理論値の約81%で16.366倍とする。株式報酬はGAAP費用のまま、現金上乗せなし。2036年の時価総額=10.6億ドル×16.366倍=173.48億ドル。
確率:2026年の既存店不振を受け、出店速度と購買回数を会社目標より下げる一方、既存の小型店と独自商品という実績を尊重した。
やや悲観 24% やや悲観:新店採算が落ちて利益は横ばい 利益 6 億ドル · PER 10.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 65.24 ドル61 億ドル
約700店まで店舗は増えるが、良い立地は先に埋まり、新店の成熟に時間がかかる。青果の購買回数は約1.36倍、ほかの生鮮は1.30倍、非生鮮は1.40倍にとどまる。売り値は物価上昇の一部を競合に返すため、全社売上は約165億ドルにとどまる。店舗数の増加ほど実質の買い物回数は伸びない。
ホールフーズとトレーダー・ジョーズが新商品を素早くそろえ、アルディは低価格で客を取る。増えた店の人員と家賃が固定費となり、食品の粗利益が削られる。営業利益率は5%台まで下がり、営業利益は約9億ドル、純利益は約6億ドルとほぼ横ばいになる。
買収で逆転を狙わず自社株買いを控えるため、自己資本は31億ドルまで厚くなる。賃料を差し引いた後の事業価値は残るが、ROEは過去の中央値を大幅に下回る。構造的な失速がまだ回復可能な段階で、慎重に価値を測る筋書きだ。
- 青果(果物・野菜):数量 2.0(青果を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 14(青果購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 28 億ドル・営業利益 1 億ドル。青果回数1.36倍だが約700店に対し1店当たりは落ちる
- 青果以外の生鮮(肉・魚・惣菜・乳製品など):数量 2.2(その他生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 29(その他生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 64 億ドル・営業利益 3 億ドル。買い物回数1.30倍、値引きと廃棄費で採算悪化
- 非生鮮(自然食品・サプリメント・冷凍・自社ブランドなど):数量 2.6(非生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 28(非生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 73 億ドル・営業利益 5 億ドル。会計回数1.40倍、独自品の優位が薄れる
倍率:事業のROEはGAAP純利益5.6億ドル÷2036年自己資本31億ドル=18.1%(帳簿ROEが40%以下なので基本の自己資本ROEを使用。2025年のリース込みROIC18.3%は資本効率の別指標)。k=8.0%、堀は普通で超過収益の残存割合1/2、RONIC=8.0%+(ROE−8.0%)×1/2=13.0%。長期g=3.0%は市場数量ほぼ横ばい、成熟後のシェア−0.5%、食品価格+3.5%を合成した3.0%。ROEと留保率から導かない。正当化PER(来年利益ベース)=(1−g/RONIC)/(k−g)=15.40倍、2036年利益ベースへの換算後15.86倍。高い競争と既存店の不確実性を考慮し理論値の約67%で10.625倍とする。株式報酬はGAAP費用のまま、現金上乗せなし。2036年の時価総額=5.6億ドル×10.625倍=59.50億ドル。
確率:既存店がマイナスになった2026年の事実を重く見た。大手の健康食品拡張と出店地の競争で、数量増が利益を生まない恐れがある。
悲観 13% 悲観:健康食品の差別化喪失と賃料負担 利益 2 億ドル · PER 6.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 13.96 ドル13 億ドル
健康志向の買い物は消えないが、スプラウツへ通う理由が消える。ウォルマート、アルディ、ホールフーズ、トレーダー・ジョーズが同じ商品を安く扱い、会社の独自品は価格競争に巻き込まれる。2036年には約550店を維持しても、青果の購入回数は2025年と同じ、ほかの生鮮品は5%減となる。値上げも物価に追いつかず、売上は約111億ドルにとどまる。
賃貸契約を簡単に解消できないまま不採算店が生まれ、販促と食品廃棄が利益を食う。営業利益率は3%を下回り、営業利益約3億ドル、GAAP純利益は約2億ドルに縮む。2028〜2030年には店舗閉鎖と減損による累計の利益低下約4.5億ドルを想定し、十年の利益累計は約31億ドルにとどまる。
配当はなく、正味の自社株買いも大きく減る。店舗設備や在庫の売却価値からリース解約と取引先への支払いを引くと床は低い。経営は残った店舗と現金を守るだけとなり、成熟後に高い増分利回りを得る力は失われる。
- 青果(果物・野菜):数量 1.5(青果を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 13(青果購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 19 億ドル・営業利益 0 億ドル。実質の青果購買回数は2025年並み、店舗の稼働は悪化
- 青果以外の生鮮(肉・魚・惣菜・乳製品など):数量 1.6(その他生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 27(その他生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 44 億ドル・営業利益 0 億ドル。生鮮購入回数5%減。生鮮の廃棄と仕入れ値の転嫁失敗
- 非生鮮(自然食品・サプリメント・冷凍・自社ブランドなど):数量 1.9(非生鮮を買った会計の回数(億回、推計))× 価格 26(非生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計))→ 売上 48 億ドル・営業利益 2 億ドル。非生鮮の実質購入回数は横ばい、PBの価格競争が激化
倍率:事業のROEはGAAP純利益1.9億ドル÷2036年自己資本26億ドル=7.3%(帳簿ROEが40%以下なので基本の自己資本ROEを使用。2025年のリース込みROIC18.3%は資本効率の別指標)。k=8.0%、堀は普通で超過収益の残存割合1/2、RONIC=8.0%+(ROE−8.0%)×1/2=7.7%。長期g=1.5%は市場数量ほぼ横ばい、成熟後のシェア−2.0%、食品価格+3.5%を合成した1.5%。ROEと留保率から導かない。正当化PER(来年利益ベース)=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.37倍、2036年利益ベースへの換算後12.56倍。高い競争と既存店の不確実性を考慮し理論値の約55%で6.905倍とする。株式報酬はGAAP費用のまま、現金上乗せなし。2036年の時価総額=1.9億ドル×6.905倍=13.12億ドル。ROEがkを下回るためPER上限1/k=12.5倍も守り、処分資産の床と稼ぐ力に照らして低い評価とする。
確率:食品需要そのものは残るので倒産に近い確率にはしないが、専門店の特徴が一般化し、店舗契約が重荷になる事態は無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
青果(果物・野菜)
店の中心に置く生鮮青果。会社の2025年資料で全社売上の約17%。半分超がオーガニックで集客の起点となる。
| 数量青果を買った会計の回数(億回、推計) | 価格青果購入1回当たり支出(ドル、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.5 | 9.99 | 15 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2.6 | 14 | 37 | 3 |
取り方:会社の2026年説明資料で青果は売上の約17%、オーガニック青果は青果の半分超。2025年の全店の推定会計回数約2億回(平均約459店×1日約1,200件)と青果購入率75%から1.50億回を推計。平均支出約10ドルは青果の品目単価と複数点購入を想定し売上構成と照合。営業利益は廃棄・鮮度管理が重い品目として全社6.9億ドルを商品特性で按分した推計で、公式開示なし。市場は米農務省1.1兆ドルと米労働統計局果物野菜の家計構成比から約1,680億ドル、シェア約0.9%(概算)。
青果以外の生鮮(肉・魚・惣菜・乳製品など)
食卓の主菜と日々の買い足しを支える生鮮食品。生鮮品57%から青果17%を引いた売上約40%と推定する。
| 数量その他生鮮を買った会計の回数(億回、推計) | 価格その他生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.7 | 21 | 35 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2.7 | 29 | 80 | 5 |
取り方:SEC 2025年10-Kは生鮮品57.0%、投資家資料は青果17%。差の40%を肉・魚・デリ・ベーカリー・乳製品等とし、推定会計約2億回×当該カテゴリ購入率85%=1.7億回、平均支出約20.7ドルと仮定。会社は品目別の販売回数・営業利益を開示せず、原価・廃棄負担から営業利益率を青果と非生鮮の中間と推定。比較市場は米農務省の家庭向け食品支出に肉・乳製品・パン等の家計支出比率を掛けた約4,500億ドル、シェア約0.8%(概算)。
非生鮮(自然食品・サプリメント・冷凍・自社ブランドなど)
常温・冷凍食品、ビタミン、健康・美容用品、飲料。2025年売上の43%で、新商品探索と自社ブランドが品ぞろえの違いを作る。
| 数量非生鮮を買った会計の回数(億回、推計) | 価格非生鮮購入1回当たり支出(ドル、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.9 | 20 | 38 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 29 | 91 | 7 |
取り方:SEC 2025年10-Kは非生鮮43.0%。推定会計2億回×非生鮮購入率92.5%=1.85億回、購入1回当たり支出約20.5ドル。サプリメントや独自商品の粗利が高い一方、物流・販促の配賦が必要なため営業利益約3.65億ドルは仮定であり開示値ではない。比較市場は米農務省の食品支出から青果と他の生鮮を引いた約4,820億ドルで、健康用品を含むためシェア約0.8%は粗い近似。2025年自社ブランド約26%は商品群横断のため、この売上に重複加算しない。
リスクと懸念
既存店の客離れと値上げの限界
2026年上半期の既存店売上は1.4%減、会社の通期見通しもほぼ横ばいである。新店舗の売上が全社を押し上げる間に、既存店の購買点数や来店頻度が下がり続ける恐れがある。値段を上げた結果、客がアルディやウォルマートに移っているなら、物価上昇を売上として享受できなくなる。
競争相手の健康食品への参入
ホールフーズ、トレーダー・ジョーズ、ウォルマート、コストコはいずれも健康・自然食品を広げられる。スプラウツの独自ブランドは強みだが、代替品を簡単に買えるようになると、珍しい商品を選ぶための追加の来店が減る。青果・栄養食品の価格を下げて競争すれば、利益率への打撃は販売数量の鈍化より大きい。
リース家賃と出店採算の悪化
2025年末のオペレーティング・リース負債は約18.6億ドル、未開始の契約の最低賃料約11.8億ドルも別にある。銀行借入が少なくても、客の減った店の家賃はすぐに消えない。小型店を増やすほど立地選定の誤りや既存店の食い合いが積み重なり、撤退費用と減損が株主の利益を減らす。
生鮮の仕入れ・廃棄と食品安全
野菜や果物は天候、輸入規制、害虫、物流の混乱で仕入れ値と鮮度が変わる。自社配送への切り替えが遅れたり、一度の大規模リコールで信頼を失ったりすれば、粗利率改善の根拠が揺らぐ。2025年の高い粗利益率には廃棄削減の寄与があり、これを際限なく伸ばせるわけではない。
経営交代・自社株買いの判断
2027年1月のCEO交代は社内昇格で引き継ぎは円滑と期待できるが、成長率と投資規律の維持は未確認だ。2025年には自由現金の大部分を自社株買いに使った。割高な時に買い過ぎれば店舗への再投資が細り、株式報酬を差し引いた正味の還元が見た目より小さくなる。配当がないので現金還元の確実性も低い。
健康志向の変化と規制・訴訟
健康食品への需要が伸びても、流行する食事法やサプリメントの安全基準は変わる。オーガニック表示の監督強化や食品の輸入規制は仕入れ費用を増やす。また、顧客の景気耐性をめぐる過去の発言について株主訴訟が提起されており、結果と費用は不確かだ。食品の実店舗販売はAIエージェント代替の対象型ではない。
今後の分かれ目
- 既存店売上が4四半期連続で年2%以上増え、来店回数も増えた場合
- 2026年の鈍化が一時的だった証拠となる。買い物回数と小型店の売上効率を引き上げ、やや楽観以上の確率を増やす。
- 既存店売上が年2%以上の減少を2年続けた場合
- 店数の増加が客離れを隠している可能性が高まる。中立の購買回数を引き下げ、賃料負担による営業利益率低下を加える。
- 年間純出店が40店超で続き、新店5年目の投下現金利回りが30%台に達した場合
- 小型店への再投資が資本コストを上回る根拠が強まる。2036年の店舗数と楽観側の利益の確からしさを見直す。
- ホールフーズやアルディの近隣出店後、青果の単価・来店頻度が下がった場合
- 競争が価格決定力を削っている兆候だ。青果と他の生鮮の営業利益率を引き下げ、やや悲観の重みを増やす。
- 賃料の対売上比率が上がり、閉鎖店舗のリース解約費用が増えた場合
- 帳簿上のROEより出店の実際の資本効率が悪いと判断する。悲観の床で売れる資産の手取りを小さくする。
- 自社ブランド比率が30%を超え、販促依存を強めず粗利率が維持された場合
- 独自品ぞろえによる差別化の証拠となる。非生鮮の利益率と長期に残る増分利回りを高く評価できる。
- 2027年の新CEOの下で大型買収または借入を伴う急拡大を決めた場合
- 自己資金で開店する現在の投資規律からの変更として、買収価格と運転資金の負担を調べ直す。未成立の対象企業は利益に足さない。
見ておくもの
- 既存店売上の伸びを客数・買い物点数・価格に分けた推移と2026年の月次変化
- 2026年第3四半期以降の既存店売上・通期営業利益見通し(2026年10月28日公表予定)
- 年ごとの純出店数、閉鎖数、2025年開店店舗の成熟後売上と現金利回り
- 独自ブランド売上比率、オーガニック商品比率、新商品採用数
- 生鮮品の廃棄率、粗利益率、店舗労務費、家賃負担とリース債務
- 競合ホールフーズ・トレーダー・ジョーズ・アルディの近隣出店と価格差
- CEO交代後の資本配分、株式報酬控除後の正味自社株買い
倍率と資本コストの決め方
時価総額を先に見て利益や倍率を合わせてはいない。2025年の青果17%、その他生鮮40%、非生鮮43%を、商品を買った会計の回数と一回当たり支出に分け、2036年の各商品群の実質購買回数と価格を先に決めた。会計数と品目ごとの営業利益率は推定であり、現実に確かめる最優先項目である。倍率は資本コスト8%、2036年の自己資本に対するROE、普通の堀に対応するRONICと、食品市場・シェア・価格に由来する長期gから計算した。中立は理論上限の約81%、好調側も上限以内とする。
台帳の約17億ドルの純負債は主にASC842のリース債務であり、貸付債務に機械的に5.75%の利払いを加算しなかった。賃料は営業利益ですでに控除され、米国では使用権資産とリース負債が計上済みである。余剰現金は現金2.6億ドルに対して運転資金と固定賃料が大きく、別建て計上しない。2036年の悲観は稼ぐ力と税後処分資産の床を点検し、今の株価や過去の市場倍率から逆算していない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株共通の基本8.0%に質の4項目合計0.0%を加える。景気循環の小ささと薄い値決め力が相殺し、既存店不振や出店リスクは資本コストではなく筋書きと確率に入れる。