株譜
AI 銘柄分析 · 陸運業 · 試作

東武鉄道 9001

スカイツリーとホテルが運輸の減益を補うが、借り換えの利払いと資本コスト 8.0% を引くと、本質価値は今の値段を 3 割弱下回る

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)2,532 円4,951 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)2,911.5 円5,693 億円差 −13.0%
10 年後から見ると やや割高 価値 2,532 円4,951 億円 · 差 −13.0% · 期待の年率 +5.1%
期待の年率リターン(10 年)+5.1%資本コスト比 −2.6 pt
推定の資本コスト7.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

東武鉄道は、東京北部から埼玉・千葉・栃木・群馬へ延びる私鉄だ。鉄道を土台に、スカイツリー、ホテル、百貨店、不動産を束ねる。筆者の結論は「値段は安く見えるが、利益の中身を割り引くと、やや割高」だ。いちばんの理由は、借金の利払いがこれから重くなる点にある。

2026年3月期は純利益が過去最高になった。ただしその一部は政策保有株の売却益で、繰り返せる利益ではない。本業の運輸は人件費と修繕費の増加で減益だった。稼ぎ頭はすでに運輸だけではない。レジャーと不動産が全体を支えている。

筆者が評価するのは、スカイツリータウンという替えのきかない資産だ。変動価格制の導入で、値上げの余地も手に入れた。日光方面の高級化とホテル展開も、訪日客の増加と相性がよい。一方で、沿線の人口は減っていく。池袋西口の再開発は2030年代まで続く。大型投資の回収は遠い。

純有利子負債は7,400億円を超える。借り換えのたびに金利が上がるので、利益の伸びの一部は利払いに消える。ROEは資本コストをわずかに下回る水準に落ちつくと見る。それでも、堅い沿線と都心の土地を持つ会社の下値は固い。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、東武は「いい資産を持つが、稼ぐ力の割に鈍い会社」だと見る。スカイツリータウンと池袋の駅前は、再現できない資産だ。10年後も価値は残る。ここは評価する。

一方で、株主が自由に使える利益は見かけより小さい。鉄道は設備の更新に毎年お金がかかる。再開発にも巨額の投資が続く。ROEが資本コストをわずかに下回るなら、利益を再投資しても価値は増えない。筆者は、この点を最も気にしている。

経営は堅実で、無理な買収に走らない。資本の使い方としては合格点だ。ただ、再開発の回収に20年かかる計画は、オーナーの目では気が長すぎる。観光で稼ぐ割合が高まれば、予測のしやすさも落ちる。

安全域は、今の値段にはほとんどない。純資産に対する倍率は1倍を下回り、悲観の場面でも都心の土地が床になるが、利払いの増加と資本コスト 7.75% を織り込むと、その床は今の値段よりずっと低い。割安と言い切るどころか、割高に見える。

何で稼ぐ会社か

稼ぎ方は5本の柱に分かれる。運輸は鉄道・バス・タクシー・貨物で、2026年3月期の営業利益は276億円。東武スカイツリーライン、伊勢崎線、東上線、日光線などを走らせ、輸送人員は年8億7千万人を超える。利益はなお最大だが、今は伸びが止まっている。

レジャーは営業利益184億円で、運輸に次ぐ。東京スカイツリー、浅草や錦糸町のホテル、日光の宿、旅行会社の東武トップツアーズが入る。訪日客の増加でホテルの稼働と客室単価が上がり、利益を押し上げた。旅行事業は売上が大きいが利益は薄い。利益の中心はホテルとスカイツリーだ。

不動産は営業利益159億円。東京スカイツリータウンの商業施設と、池袋や浅草などの駅ビル、マンション分譲が中心だ。スカイツリータウンは過去最高の売上を更新した。売上の規模は小さいが利益は厚く、収益性は最も高い。

流通は東武百貨店と東武ストアで、営業利益は60億円。利益率は低い。2026年3月期は新しい東武カードの発行費用がかさみ、減益だった。その他は建設などで70億円を稼ぐ。グループ会社向けの工事が多く、収益は安定している。

優良さと弱いところ

堀、つまり他社がまねできない強みは、都心の駅前と観光の目玉を押さえていることだ。池袋の東武百貨店と駅ビル、浅草、押上のスカイツリー。どれも人が集まる場所に、鉄道を引いた会社が土地を持っている。同じ場所に別の会社が入り込むのは難しい。

運輸は運賃が国の認可で決まる。コストが上がっても、すぐには転嫁できない。2026年3月期の運輸の減益は、その弱さがそのまま出た。筆者は、鉄道だけを見れば堀は広がっていないと考える。堀を広げているのは、スカイツリーとホテルのほうだ。

資本効率は中程度だ。ROEは9%台に上がったが、株の売却益が含まれる。繰り返せる利益で測れば7%台だろう。自己資本比率は33%、純有利子負債は自己資本の1.2倍で、財務は安全圏にあるが余裕は大きくない。

経営は慎重で、無理な買収をしてこなかった。この点は評価する。弱点は、観光やホテルで稼ぐ割合が高まるほど、景気と訪日客の波を受けやすくなることだ。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

業界の構図は変わりつつある。人口が減る中で、鉄道の定期客は先細る。代わりに、訪日客を含む定期外の客と、沿線の不動産が稼ぎを支える。大手私鉄の多くは、鉄道を集客の道具として使い、不動産で稼ぐ会社に変わってきた。

東武の特徴は、観光の資産が多いことだ。浅草とスカイツリーは外国人にも知られている。日光では特急スペーシアXと高級ホテルを組み合わせ、単価の高い客を呼び込もうとしている。ここは東急や小田急にはない強みだ。

競合は線ごとに違う。都心では東京メトロやJRと、東武線が出るターミナルの池袋では西武と競う。北千住から先では、つくばエクスプレスが沿線の客を分け合う。スカイツリー方面は京成とも客を奪い合う。ただ、沿線同士が正面からぶつかる場面は多くない。

分かれ目は3つある。訪日客がどこまで続くか。沿線人口の減るペースが想定より速くないか。池袋西口とスカイツリー周辺の再開発が予定どおり進むか。いずれも、10年かけて結果が出る話だ。景気が崩れた時の観光の落ち込みも、織り込んでおく必要がある。

東京と日光をつなぐ観光動線は、鉄道系の会社の中でも独特だ。この動線を生かせるかが、同業との差を決める。

資本政策と M&A

還元は少しずつ厚くなっている。中期経営計画(2024〜2027年度)は、総還元性向50%を目指し、配当は純資産の2.2%以上を意識する。2026年3月期は増配し、2027年3月期も増配の予定だ。自社株買いも過去に行っている。

成長への投資は、池袋西口の再開発とスカイツリー周辺、そしてホテルに向く。池袋西口は2030年度の着工、2043年度の完成を見込む長い計画だ。工期は資材高と人手不足で後ろにずれた。自己資本比率30%以上と、有利子負債のEBITDA倍率6倍台を守る方針で、借金に頼りすぎない姿勢を示す。

政策保有株は売却を進めており、売却益が利益を押し上げた。M&Aは大型のものを行っておらず、買われる側になる可能性も高くない。ただし資産価値に対して株価が低い状態が長く続けば、物言う株主が現れる余地はある。

減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の552億円が10年後に約 675億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

スカイツリーとホテルは、まだ伸びる。スカイツリーは4月に変動価格制を導入した。混む日は高く売れるので、客数を増やさなくても売上が伸びる。浅草・押上は外国人観光客の定番で、需要は構造的に続く。しかもスカイツリータウンは、すでに過去最高の売上を更新している。

ホテルは2030年に日本橋、2031年に銀座で開業する計画だ。訪日客が増える限り、客室単価も上がる。日光では特急スペーシアXで高級ホテルに客を送り、1人あたりの支払いを引き上げている。富裕層向けの旅は、景気に左右されにくい。

運輸も、見た目ほど弱くない。東京北部は人口が急には減らない。池袋西口の再開発が進めば、東上線の価値も上がる。運賃の改定が認可されれば、減益は止まる。

政策保有株を売った資金は、再開発と還元に回せる。総還元性向50%を守れば、株主に返る額は大きい。今の値段は、この資産の価値を十分に映していない。純資産に対する倍率が1倍を下回るのは、割安のしるしだ。借金の重さも、都心の土地の厚みで十分に支えられる。

慎重な見方

利益の質を疑うべきだ。2026年3月期の純利益が伸びたのは、政策保有株の売却益のおかげだ。本業の運輸は減益で、人件費と修繕費の増加を運賃に転嫁できていない。運賃は国の認可が要り、改定には時間がかかる。売却益は1度きりで、来期は同じ数字を出せない。

借金の重さも気になる。純有利子負債は7,400億円を超える。借り換えのたびに金利が上がり、10年で利払いは年に200億円近く増える。利益の伸びがその分だけ削られる。

再開発は遅れやすい。池袋西口は解体の着工が先送りされ、完成は2043年度だ。資材高と人手不足が続けば、費用はさらに膨らむ。今のうちに払う投資の回収は、2040年代にずれ込む。

観光の稼ぎは景気に弱い。訪日客が減る、円高に振れる、といった事態になれば、ホテルとスカイツリーの利益は一気に落ちる。沿線の人口は長い目で減っていく。値段が安く見えるのは、こうした不安を市場が織り込んでいるからだ。

どちらに重みを置いたか

資産の価値は強気の見方のとおりだが、利払いの増加と利益の質への疑いは慎重な見方のほうが重い。確率は中立を最大にしつつ、悲観側をやや厚くした。悲観でも都心の土地が床になるので、値段は今の 4 割前後で止まる。一方、上振れは再開発とホテルが同時にうまくいく場合に限られる。計算は総合で約 −30% のやや割高になった。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 3,611 円7,062 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,191 円2,329 億円)。 今の値に割り戻すと 2,532 円4,951 億円、今との差 −13.0%、 期待の年率 +5.1%(資本コスト 7.8%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 9% 6,266 円1.23 兆円 1,623 円3,173 億円 +170.9% +10.5% 710 円1,388 億円
やや楽観 21% 5,139 円1.00 兆円 1,444 円2,823 億円 +126.1% +8.5% 1,382 円2,703 億円
中立 32% 4,142 円8,100 億円 1,254 円2,452 億円 +85.3% +6.4% 1,727 円3,377 億円
やや悲観 24% 2,036 円3,981 億円 967 円1,890 億円 +3.1% +0.3% 721 円1,409 億円
悲観 14% 1,102 円2,155 億円 777 円1,519 億円 −35.5% −4.3% 263 円514 億円
加重平均100% 3,611 円7,062 億円1,191 円2,329 億円 +65.0% +5.1% 4,803 円9,391 億円

今の株価時価総額 2,912 円5,693 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。

楽観 9% スカイツリーとホテルが稼ぎ頭になる 利益 832 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 6,266 円1.23 兆円

ホテルは日本橋・銀座を含めて部屋数が大きく増え、訪日客の定着で客室単価も物価を上回って上がる。スカイツリーは変動価格制で、混雑日の単価が上がる。押上周辺の再開発も予定どおり進み、不動産の利益が厚くなる。運輸は運賃の改定が通り、人口の減りを値段で補う。池袋西口の再開発は遅れても、費用は想定内に収まる。

株式の売却で得た資金で再開発の借入を抑え、還元も維持する。営業利益は中期計画が掲げる1,000億円を大きく超え、ROEは8%近くまで戻る。観光と都心の不動産で稼ぐ会社へ変わった姿が、10年かけて形になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の552億円が10年後に約 675億円(物価で一律に増やすと約 584億円)。営業利益は +91億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。

  • 運輸(鉄道・バス・タクシー・貨物):数量 895(年間輸送人員(百万人。鉄道・バスの合計))× 価格 3.30(1 人あたり運輸系収入(百円))→ 売上 2,952 億円・営業利益 504 億円。数量 1.02 倍・価格 1.34 倍(名目・運賃は認可で物価に遅れる)・営業利益率17.1%・償却は物価で増やさず按分(10年後 675億円)
  • レジャー(スカイツリー・ホテル・旅行):数量 54.0(年間の利用者・宿泊・取扱の延べ人数(百万人、推定))× 価格 68(1 人あたり収入(百円。旅行の取扱を含む実効単価))→ 売上 3,694 億円・営業利益 462 億円。数量 1.35 倍・価格 1.45 倍(名目)・営業利益率 12.5%
  • 不動産(スカイツリータウン・駅ビル・分譲):数量 119(稼働する賃貸・分譲の床面積(万㎡、分譲は引き渡し分を換算。推定))× 価格 7.56(1 ㎡あたり年間収入(万円。賃料・分譲を含む実効単価))→ 売上 900 億円・営業利益 324 億円。数量 1.40 倍・価格 1.40 倍(名目)・営業利益率 36.0%
  • 流通(百貨店・スーパー):数量 280(年間の購買客数(百万人、推定))× 価格 8.15(1 人あたり購買額(百円))→ 売上 2,282 億円・営業利益 103 億円。数量 1.00 倍・価格 1.38 倍(名目)・営業利益率 4.5%
  • その他(建設・サービスなど):数量 22.0(年間の工事・サービスの取扱件数(万件、推定))× 価格 27(1 件あたり収入(万円))→ 売上 597 億円・営業利益 113 億円。数量 1.10 倍・価格 1.38 倍(名目)・営業利益率 19.0%

倍率:事業の純利益 832 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.37 倍、時価総額 11,124 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:ホテルの新規開業、スカイツリー周辺の再開発、運賃改定がすべてうまくいく必要がある。実現すれば強いが、重なる確率は高くない。

やや楽観 21% 計画どおり着実に伸びる 利益 689 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 5,139 円1.00 兆円

ホテルの新規開業は計画どおり進み、スカイツリーも客数と単価の両方で伸びる。不動産は押上の再開発で床が増え、賃料も物価並みに上がる。運輸は運賃の改定で営業利益率をなんとか保つ。人口の減りは東京北部では緩やかで、輸送人員は横ばいを少し割る程度で済む。

池袋西口は着工が遅れるが、投資の借入は管理できる。営業利益は1,000億円を超え、中期計画の線に届く。ROEは7%近くまで戻るが、借り換えの利払いに押されて8%には届かない。

レジャーは日光と東京のホテルが稼ぎを伸ばし、旅行事業の波を吸収する。流通は百貨店の改装で、利益率をわずかに上げる。結果として、利益の半分以上を鉄道以外が占める会社になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の552億円が10年後に約 675億円(物価で一律に増やすと約 604億円)。営業利益は +71億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 13億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 運輸(鉄道・バス・タクシー・貨物):数量 877(年間輸送人員(百万人。鉄道・バスの合計))× 価格 3.25(1 人あたり運輸系収入(百円))→ 売上 2,851 億円・営業利益 456 億円。数量 1.00 倍・価格 1.32 倍(名目・運賃は認可で物価に遅れる)・営業利益率16%・償却は物価で増やさず按分(10年後 675億円)
  • レジャー(スカイツリー・ホテル・旅行):数量 50.0(年間の利用者・宿泊・取扱の延べ人数(百万人、推定))× 価格 65(1 人あたり収入(百円。旅行の取扱を含む実効単価))→ 売上 3,255 億円・営業利益 374 億円。数量 1.25 倍・価格 1.38 倍(名目)・営業利益率 11.5%
  • 不動産(スカイツリータウン・駅ビル・分譲):数量 111(稼働する賃貸・分譲の床面積(万㎡、分譲は引き渡し分を換算。推定))× 価格 7.34(1 ㎡あたり年間収入(万円。賃料・分譲を含む実効単価))→ 売上 812 億円・営業利益 284 億円。数量 1.30 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 35.0%
  • 流通(百貨店・スーパー):数量 274(年間の購買客数(百万人、推定))× 価格 8.03(1 人あたり購買額(百円))→ 売上 2,204 億円・営業利益 93 億円。数量 0.98 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 4.2%
  • その他(建設・サービスなど):数量 21.0(年間の工事・サービスの取扱件数(万件、推定))× 価格 27(1 件あたり収入(万円))→ 売上 561 億円・営業利益 104 億円。数量 1.05 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 18.5%

倍率:事業の純利益 689 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 8,888 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:中期経営計画の目標が、時期を少し遅らせながらおおむね実現する筋書き。上振れとしては最も現実的に見ている。

中立 32% 鉄道は横ばい、観光と不動産が下支え 利益 538 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 4,142 円8,100 億円

運輸は人口減少で輸送人員が少し減る。運賃は物価に遅れて上がるが、コストの伸びに追いつかず、利益率は少し下がる。レジャーはホテルの増室で伸びる一方、旅行事業の利益率は低いまま。スカイツリーは安定して稼ぐ。不動産は押上の再開発が一部だけ完成し、床が増える。

池袋西口は2030年代に入っても着工の途中にある。営業利益は1,000億円に届く程度で、借り換えによる利払いの増加でほぼ打ち消される。純利益は今の本業の稼ぎより1割ほど増えるにとどまる。普通に強いが、株主の取り分は伸びにくい10年になる。

ホテルの客室単価は物価並みに上がるが、人件費も同じだけ上がるので、利益率は横ばいに近い。自社株買いは年によって行うものの、総還元性向50%には届きにくい。見た目より、株主に残る利益は少ない。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の552億円が10年後に約 675億円(物価で一律に増やすと約 618億円)。営業利益は +57億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 27億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 運輸(鉄道・バス・タクシー・貨物):数量 833(年間輸送人員(百万人。鉄道・バスの合計))× 価格 3.20(1 人あたり運輸系収入(百円))→ 売上 2,667 億円・営業利益 390 億円。数量 0.95 倍・価格 1.30 倍(名目・運賃は認可で物価に遅れる)・営業利益率14.6%・償却は物価で増やさず按分(10年後 675億円)
  • レジャー(スカイツリー・ホテル・旅行):数量 46.0(年間の利用者・宿泊・取扱の延べ人数(百万人、推定))× 価格 63(1 人あたり収入(百円。旅行の取扱を含む実効単価))→ 売上 2,908 億円・営業利益 297 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 10.2%
  • 不動産(スカイツリータウン・駅ビル・分譲):数量 100(稼働する賃貸・分譲の床面積(万㎡、分譲は引き渡し分を換算。推定))× 価格 7.24(1 ㎡あたり年間収入(万円。賃料・分譲を含む実効単価))→ 売上 726 億円・営業利益 247 億円。数量 1.18 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 34.0%
  • 流通(百貨店・スーパー):数量 266(年間の購買客数(百万人、推定))× 価格 7.92(1 人あたり購買額(百円))→ 売上 2,105 億円・営業利益 80 億円。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 3.8%
  • その他(建設・サービスなど):数量 20.0(年間の工事・サービスの取扱件数(万件、推定))× 価格 26(1 件あたり収入(万円))→ 売上 527 億円・営業利益 92 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 17.5%

倍率:事業の純利益 538 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 6,940 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:運輸の弱さと観光・不動産の強さが打ち消し合う、いちばん可能性の高い姿。利払いの増加を吸収しきれず、ROEは資本コストを割る。

やや悲観 24% 人口減と訪日客の頭打ちが重なる 利益 289 億円 · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 2,036 円3,981 億円

沿線の人口が速く減り、輸送人員が1割落ちる。運賃の改定は限られ、運輸の利益率は10%まで下がる。訪日客が頭打ちになり、ホテルの客室単価の伸びが止まる。旅行事業の利益も細る。スカイツリーの変動価格制も、客足が鈍れば効きにくい。

池袋西口とスカイツリー周辺の再開発が遅れ、費用が膨らむ。借入が増え、利払いがさらに重くなる。還元は配当を維持するが、自社株買いは絞る。営業利益は700億円台にとどまり、ROEは4%を割る。保有する土地の価値が、株価の下支えになる。

ホテルは新規開業が予定より遅れ、既存の宿も値上げができず利益が伸びない。流通は百貨店の売上が人口減で細り、利益はほぼ消える。観光と不動産で補えなかった分が、そのまま減益になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の552億円が10年後に約 675億円(物価で一律に増やすと約 655億円)。営業利益は +20億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 50億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 運輸(鉄道・バス・タクシー・貨物):数量 790(年間輸送人員(百万人。鉄道・バスの合計))× 価格 3.08(1 人あたり運輸系収入(百円))→ 売上 2,430 億円・営業利益 275 億円。数量 0.90 倍・価格 1.25 倍(名目・運賃は認可で物価に遅れる)・営業利益率11.3%・償却は物価で増やさず按分(10年後 675億円)
  • レジャー(スカイツリー・ホテル・旅行):数量 40.0(年間の利用者・宿泊・取扱の延べ人数(百万人、推定))× 価格 59(1 人あたり収入(百円。旅行の取扱を含む実効単価))→ 売上 2,359 億円・営業利益 189 億円。数量 1.00 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 8.0%
  • 不動産(スカイツリータウン・駅ビル・分譲):数量 89.2(稼働する賃貸・分譲の床面積(万㎡、分譲は引き渡し分を換算。推定))× 価格 6.75(1 ㎡あたり年間収入(万円。賃料・分譲を含む実効単価))→ 売上 602 億円・営業利益 187 億円。数量 1.05 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 31.0%
  • 流通(百貨店・スーパー):数量 252(年間の購買客数(百万人、推定))× 価格 7.56(1 人あたり購買額(百円))→ 売上 1,905 億円・営業利益 53 億円。数量 0.90 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 2.8%
  • その他(建設・サービスなど):数量 18.4(年間の工事・サービスの取扱件数(万件、推定))× 価格 25(1 件あたり収入(万円))→ 売上 463 億円・営業利益 65 億円。数量 0.92 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 14.0%

倍率:ROE 3.5% は k 7.75% 以下。ためた利益の価値は 1 を下回るので PER の上限は 1÷k = 12.5 倍。郊外の人口減と観光の波で利益が細り、利払い増を吸収しきれない筋書きなので、上限の 7.0 割の 8.8 倍に置いた。純有利子負債 7,448 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 13.7 倍。 余り資産は立てていない(賃貸の含み益は賃料・売却益が純利益に入って倍率で数え済みなので足さない。悲観の床にだけ使う)。

確率:沿線の人口減少が想定より速く、訪日客も頭打ちになる。再開発の遅れも重なる、慎重な見方の中心の筋書き。

悲観 14% 構造的に優良さを失う 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,102 円2,155 億円

沿線人口の減少が加速し、輸送人員は2割近く減る。運賃を上げても利用者が離れ、運輸の利益は大きく減る。訪日客が戻らない中でホテルが過剰になり、レジャーはほぼ利益が出なくなる。池袋西口の再開発は採算が合わず、計画を縮める判断を迫られる。

借金は重いまま、利払いだけが増える。配当は手元資金と資産の売却で最低限を維持する。営業利益は今の半分以下に落ち、純利益はほとんど残らない。優良な複合経営ではなく、都心の土地を持つ普通の鉄道会社として評価される。

百貨店とスーパーは構造的に縮み、閉店や再編が続く。建設などの周辺事業も、グループの投資が減って細る。企業価値の中心は、本業の稼ぎではなく、都心の土地の価値に移る。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の552億円が10年後に約 675億円(物価で一律に増やすと約 707億円)。営業利益は −32億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 87億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 運輸(鉄道・バス・タクシー・貨物):数量 719(年間輸送人員(百万人。鉄道・バスの合計))× 価格 2.83(1 人あたり運輸系収入(百円))→ 売上 2,037 億円・営業利益 111 億円。数量 0.82 倍・価格 1.15 倍(名目・運賃は認可で物価に遅れる)・営業利益率5.4%・償却は物価で増やさず按分(10年後 675億円)
  • レジャー(スカイツリー・ホテル・旅行):数量 34.0(年間の利用者・宿泊・取扱の延べ人数(百万人、推定))× 価格 54(1 人あたり収入(百円。旅行の取扱を含む実効単価))→ 売上 1,845 億円・営業利益 83 億円。数量 0.85 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 4.5%
  • 不動産(スカイツリータウン・駅ビル・分譲):数量 80.8(稼働する賃貸・分譲の床面積(万㎡、分譲は引き渡し分を換算。推定))× 価格 6.21(1 ㎡あたり年間収入(万円。賃料・分譲を含む実効単価))→ 売上 502 億円・営業利益 131 億円。数量 0.95 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 26.0%
  • 流通(百貨店・スーパー):数量 224(年間の購買客数(百万人、推定))× 価格 7.09(1 人あたり購買額(百円))→ 売上 1,588 億円・営業利益 16 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 1.0%
  • その他(建設・サービスなど):数量 16.0(年間の工事・サービスの取扱件数(万件、推定))× 価格 24(1 件あたり収入(万円))→ 売上 377 億円・営業利益 30 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 8.0%

倍率:稼ぐ力(事業の純利益 1 ÷ k 7.75% = 12 億円)より資産の床のほうが大きいので、売れる資産の税後 2,150 億円(floor_assets_oku)を時価総額にそのまま置いた。今の自己資本 6,156 億円に対する PBR は 0.35 倍。構造的に乗客を失い、借金の利払いで利益がほぼ消える筋書き。純有利子負債 7,448 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 29.0 倍と 20 倍を超えるが、利益が低い年で測るため参考にとどめ、価値は稼ぐ力と資産で見ている。

確率:人口減少の加速、再開発の長期遅延、ホテル事業の失速が同時に起きる。一度崩れると戻りにくいので、無視できない確率を置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

運輸(鉄道・バス・タクシー・貨物)

東武スカイツリーライン・伊勢崎線・東上線・日光線などの鉄道、東武バス、タクシー、貨物。

数量年間輸送人員(百万人。鉄道・バスの合計)価格1 人あたり運輸系収入(百円)売上営業利益
今 2026/03 877 2.46 2,160 276
10 年後 中立 833 3.20 2,667 390

取り方:運輸の営業収益(外部顧客向け)2,160 億円を、年間輸送人員 8 億 7,720 万人で割った 1 人あたり収入。旅客収入は 1,493 億円で、残りはバス・タクシー・貨物。運賃は国の認可で決まり、費用の上昇が積み上がってから改定するため物価に遅れる(普通運賃は 2023 年 3 月が直近)。

レジャー(スカイツリー・ホテル・旅行)

東京スカイツリー、浅草や錦糸町などのホテル、日光の宿泊施設、旅行会社の東武トップツアーズ。

数量年間の利用者・宿泊・取扱の延べ人数(百万人、推定)価格1 人あたり収入(百円。旅行の取扱を含む実効単価)売上営業利益
今 2026/03 40.0 47 1,887 184
10 年後 中立 46.0 63 2,908 297

取り方:レジャーの営業収益(外部顧客向け)1,887 億円を、スカイツリー・ホテル・旅行の延べ利用者約 4,000 万人(推定)で割った実効単価。旅行事業は売上が大きく利益が薄く、ホテルとスカイツリーが利益を稼ぐ。ホテルの単価は訪日客の増加で上がっている。

不動産(スカイツリータウン・駅ビル・分譲)

東京スカイツリータウンなどの商業施設、駅ビル、オフィス賃貸、マンション分譲。

数量稼働する賃貸・分譲の床面積(万㎡、分譲は引き渡し分を換算。推定)価格1 ㎡あたり年間収入(万円。賃料・分譲を含む実効単価)売上営業利益
今 2026/03 85.0 5.40 459 159
10 年後 中立 100 7.24 726 247

取り方:不動産の営業収益(外部顧客向け)459 億円を、賃貸・分譲を合わせた床面積 85 万㎡(推定)で割った実効単価。営業利益 159 億円はグループ会社との取引を含むため、外部売上に対する利益率が 3 割台と高く見える。押上周辺と池袋西口の再開発で床が増え、賃料は物価並みに上がる。

流通(百貨店・スーパー)

東武百貨店(池袋など)、東武ストア、東武カード。

数量年間の購買客数(百万人、推定)価格1 人あたり購買額(百円)売上営業利益
今 2026/03 280 5.91 1,654 60
10 年後 中立 266 7.92 2,105 80

取り方:流通の営業収益(外部顧客向け)1,654 億円を、百貨店とスーパーの年間購買客数 約 2 億 8,000 万人(推定)で割った 1 人あたり購買額。利益率は 4% 弱と薄い。2026 年 3 月期は新しい東武カードの発行費用で減益。

その他(建設・サービスなど)

建設、グループ向けの工事・サービスなど。

数量年間の工事・サービスの取扱件数(万件、推定)価格1 件あたり収入(万円)売上営業利益
今 2026/03 20.0 20 393 70
10 年後 中立 20.0 26 527 92

取り方:その他の営業収益(外部顧客向け)393 億円を、取扱件数 20 万件(推定)で割った 1 件あたり収入。営業利益 70 億円はグループ会社との取引を含むため、外部売上に対する利益率が高く見える。

リスクと懸念

運賃を上げにくい

鉄道運賃は国の認可で決まる。人件費と修繕費が先に上がり、運賃の改定は遅れて来る。2026年3月期は運輸が減益になった。この遅れが長引けば、運輸の利益率はさらに下がり、グループ全体の稼ぎを引っぱる重荷になる。運賃を上げられるかは、国の判断に左右される。

借り換えによる利払いの増加

純有利子負債は7,400億円を超える。借金は借り換えのたびに新しい金利になり、10年で利払いは年に200億円近く増える見通しだ。観光と不動産の伸びがこれを吸収できるかが、株主の取り分を決める分かれ目になる。金利が想定より高ければ、さらに重くなる。

利益の質

2026年3月期の純利益の一部は、政策保有株の売却益だ。繰り返せる利益ではない。売却益を除いた本業の稼ぎで評価しないと、PER が低く見えすぎて、実際より割安だと誤解しやすい。同業と比べる時も、この点をそろえて見る必要がある。

再開発の遅れと費用の膨張

池袋西口は解体の着工が先送りされ、完成は2043年度と長い。資材高と人手不足が続けば、費用が膨らむ。スカイツリー周辺の再開発も準備に時間がかかり、投資が実を結ぶ時期は後ろにずれやすい。回収が遅れるほど、借入の利払いだけが先に積み上がる。

訪日客と景気への依存

ホテルとスカイツリーの伸びは、訪日客の増加に支えられている。景気後退や円高、国際情勢の悪化で客足が止まれば、レジャーの利益は大きく落ちる。旅行事業は特に景気に弱く、売上が落ちても人件費は残る。固定費の重さが、減益を大きくする。

沿線人口の減少

東京北部は人口の減りが緩やかだが、埼玉・栃木・群馬の郊外や日光方面は減少が進む。定期客は長期で細る。観光の伸びで補えるかが、運輸の収益を左右する。補えなければ減便や設備投資の抑制を迫られる。沿線の価値そのものが下がる心配もある。

資産に比べて低い株価と、物言う株主

純資産に対する倍率が1倍を下回る状態が長く続けば、資本効率の改善や資産の売却を求める株主が現れる余地がある。会社は政策保有株の売却と還元の強化で応えようとしているが、要求が強まれば経営の自由度は下がる。

今後の分かれ目

運賃の改定が認可され、運輸の利益率が回復したら
運輸の利益率の前提を上げ、中立から楽観側へ確率を寄せる。
訪日客が減り、ホテルとスカイツリーの稼働が落ちたら
レジャーの利益を下げ、やや悲観側の確率を厚くする。
池袋西口の着工がさらに遅れ、費用が大きく膨らんだら
投資の回収を遅く見直し、10年の楽観側の確率を下げる。
借り換えの金利が想定より高く、利払いが予想を上回ったら
純利益の前提を下げ、ROEが資本コストを下回る期間を長く見る。
総還元性向50%を守り、自社株買いが続いたら
還元の前提を上げ、同じ利益でも株主に返る額を増やして見る。
沿線の人口減少が想定より速く進んだら
輸送人員の前提を下げ、やや悲観側に寄せる。

見ておくもの

  • 運輸の営業利益率と、運賃の改定申請・認可の動き
  • ホテルの稼働率・客室単価と、スカイツリーの変動価格制の効果
  • 池袋西口とスカイツリー周辺の再開発の着工・完成の時期
  • 純有利子負債と利払い、自己資本比率30%以上の維持
  • 総還元性向50%の達成度と、政策保有株の売却の進み具合

倍率と資本コストの決め方

数量×名目の価格で利益を積み、倍率は利益ベースで置いた。今の PER・PBR には寄せていない。ROE 5.7% が k 7.75% に届かない中立は PER の上限 1÷k = 12.5 倍の 8 割、やや楽観は 8.5 割、ROE が k に近い楽観は正当化 PER の 9 割に置いた。今の PER は政策保有株の売却益を含む利益で測っており、そこには寄せていない。k は基本 7.5% に quality +0.5%(循環 0・値決め力 −0.25・借金 +0.75・寿命 0)で、確率は quality を理由に動かしていない。やや悲観は稼ぐ力(純利益÷k)の 7 割、悲観は売れる資産(推定 約 2,150 億円)を床にした。含み益は悲観の床にだけ使い、中立〜楽観には賃料・売却益が純利益に入っているので足していない。同じ領域の東急や阪急阪神と並べ、東武は ROE と営業利益率が低めなので中立をやや低く置いた。新リース会計基準(2028/03 期から)は、東武の主な賃借が少ないため影響は小さいが、10 年後の数字も今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。結果のやや割高(約 −31%)は計算どおり。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。

資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.5%(循環 0・値決め力 −0.25・借金 +0.75・寿命 0)= 8%。借金の重さが認可運賃の下げを上回る。再開発の遅れや観光の波など会社固有のリスクは k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。

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割安 SEMITEC6626 温度センサーのニッチ首位級で、時価総額の4割弱は現金。利益の質を割り引いても、今の値段は低い 本質価値との差 +101.7% · 10 年 割安(年 +13.9%) 割安 カンダホールディングス9059 トラックと国際物流で稼ぐ堅実な会社。純現金は時価総額の4分の1、大株主が議決権の3分の1を押さえる。10年で測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +58.9% · 10 年 割安(年 +11.1%) 割安 ビーイングホールディングス9145 北陸発の生活物資専門 3PL。自己資本利益率は高いが顧客が偏る。それでも今の値段は割安とみる 本質価値との差 +56.5% · 10 年 割安(年 +12.5%) 割安 株式会社ゼロ9028 新車を運ぶキャリアカーの最大手級。日産依存と新車需要の細りを織り込んでも、純現金込みの今の値段には安全域がある 本質価値との差 +52.5% · 10 年 割安(年 +11.6%) やや割安 ロジネットジャパン9027 札幌通運を核に鉄道とトラックを組み合わせる中堅の物流会社。運び手不足で値上げは通るが、人件費に食われて利益率は伸びにくい 本質価値との差 +29.9% · 10 年 やや割安(年 +9.2%) やや割安 九州旅客鉄道9142 九州の人口減は重いが、運賃改定と駅の不動産が利益を押し上げる。利払い増(年約100億円)と資本コスト 8.0% を引くと、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +28.4% · 10 年 やや割安(年 +9.6%) やや割安 遠州トラック9057 東名の真ん中に拠点を構える堅実な物流会社だが、利益の伸びが資本コストに届かず、今の値段はやや高い 本質価値との差 +28.3% · 10 年 やや割安(年 +9.3%) やや割安 ヒガシホールディングス9029 大手EC向け物流で稼ぎが倍増したが、1社への依存と過去最高の利益率が10年続く保証はない 本質価値との差 +27.2% · 10 年 やや割安(年 +9.7%) やや割安 山九9065 製鉄所の構内で根を張る機工事業は堅いが、薄利の物流が ROE を押さえる。期待リターンは資本コストを少し上回る程度で、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +22.5% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) やや割安 岡山県貨物運送9063 中国地方の路線便「オカケン」。帳簿の資産は厚いが、稼ぐ力は資本コストに遠く届かず、PBR0.3倍でも割安とは言えない 本質価値との差 +21.9% · 10 年 やや割安(年 +9.2%) やや割安 東急9005 渋谷という再現できない土地と、まだ人口が増える沿線を持つ民鉄。ただ重い借金の利払い増と資本コスト 7.75% を引くと、本質価値は今の値段を 3 割近く下回る 本質価値との差 +15.9% · 10 年 やや割安(年 +8.2%) やや割安 京福電気鉄道9049 嵐電のイメージで売るが、稼ぎは京都と関西の賃貸が柱。親会社が 43% を握り、配当は薄い 本質価値との差 +15.1% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 ハマキョウレックス9037 3PL の堅実な増益は本物だが、ROE が 9% 前後へ薄まる成長に安全域はない。名目で測ると今の値段はやや割高から適正の境目 本質価値との差 +14.6% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) やや割安 セイノーホールディングス9076 路線トラックの値上げは定着し利益も伸びるが、ROE が資本コストをわずかに超える程度で、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +13.2% · 10 年 やや割安(年 +7.2%) やや割安 SGホールディングス9143 2024年問題で宅配の運賃が物価より速く上がり、ROE 10% が続く。ただし資本コスト 7.75% を超える幅は小さく、今の値段はやや割高 本質価値との差 +13.1% · 10 年 やや割安(年 +7.4%) やや割安 鴻池運輸9025 請負の安定と堅い財務が強みだが、10 年後の ROE は資本コストにほぼ並ぶ。今の値段はおおむね妥当と筆者は見る 本質価値との差 +13.0% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) やや割安 アサガミ9311 大阪の倉庫・港湾物流と不動産賃貸。親会社が 5 割超を握り、還元は薄い。資産は厚いが、株主に届きにくい 本質価値との差 +11.1% · 10 年 やや割安(年 +8.8%) やや割安 AZ-COM丸和ホールディングス9090 アマゾン向けが売上の3分の1を占める薄利の成長株。成長は本物だが、顧客の偏りと薄い利益率を割り引くと今の値段は割安とは言えない 本質価値との差 +10.6% · 10 年 やや割安(年 +7.8%) 適正 神姫バス9083 地方バスの黒字は万博が押し上げた山で、資本効率が資本コストに届かない以上、今の値段は少し高い 本質価値との差 +8.3% · 10 年 適正(年 +7.5%) 適正 日本ロジテム9060 首都圏の倉庫とトラックとアマゾンのセンターで稼ぐ中堅の物流会社。薄い利益と重い借金を、持っている土地が支える。今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +7.8% · 10 年 適正(年 +8.7%) 適正 丸全昭和運輸9068 化学品・危険物の倉庫と 3PL で同業の倍の利益率を稼ぐ物流会社。厚い自己資本が ROE を押さえ、10 年の価値は今の時価総額をやや上回る 本質価値との差 +7.4% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 西日本鉄道9031 福岡の再開発と国際物流で利益は名目で伸びるが、借金は増え金利も上がる。ROE は資本コスト 8.0% に届かず、値段はほぼ適正に出る 本質価値との差 +7.1% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 東海旅客鉄道9022 東海道新幹線の独占は強い堀だが、リニアの負担と利払いの増加、資本コスト 7.0% を引くと、今の値段はほぼ適正に出る 本質価値との差 +5.2% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 京阪ホールディングス9045 京都と大阪を結ぶ沿線と不動産の含み益は本物だが、利益は万博と用地分譲で膨らんだピーク。利払いが増え、ROE は資本コストに届かず、やや割高 本質価値との差 +4.8% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 南総通運9034 千葉の倉庫と運送の会社。倉庫が利益の半分強を稼ぐが、ROE が資本コストに届かず、10 年の価値はやや割高に出る。 本質価値との差 +2.8% · 10 年 適正(年 +6.0%) 適正 北海道中央バス9085 時価総額の9割近い純現金を抱えるが、現金は株主に戻りにくく稼ぐ力も低いので、今の値段は高い 本質価値との差 −1.9% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 阪急阪神ホールディングス9042 梅田の再開発と運賃改定で利益は名目で伸びるが、借り換えの利払いで ROE は資本コスト 7.5% に届かない。今の値段は 3 割弱のやや割高に出る 本質価値との差 −3.4% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 SBSホールディングス2384 不動産の売却益が営業利益の 4 割を占め、本業の物流は薄利のまま。利益の質を割り引くと、買収で伸びても今の値段は割高 本質価値との差 −9.4% · 10 年 適正(年 +5.3%) やや割高 日本石油輸送9074 現金と保有株は厚いが、リースと一社依存が重い。石油の細りと人件費が稼ぎを削る 本質価値との差 −12.4% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 ヤマトホールディングス9064 宅急便の値上げは効くが稼ぐ力はまだ薄い。再建が中立どおり進んでも、資本コスト 8.5% で測ると今の値段はやや割高で、安全域はない 本質価値との差 −12.8% · 10 年 やや割高(年 +5.5%) やや割高 サカイ引越センター9039 引越は件数が頭打ちで、人の確保が利益を削る。純現金は厚いが、ROEが資本コストを上回れず、やや割高と見る 本質価値との差 −12.9% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 京王電鉄9008 新宿を軸に営業利益は物価並みに伸びるが、借り換えの利払いが純利益を押さえる。k 7.5% で測ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −14.7% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 相鉄ホールディングス9003 ホテルの万博特需と新横浜線の直通で利益は過去最高だが、借金が営業利益の 10 倍と重い。利払い増で ROE は資本コストに届かず、今の値段は 4 割弱ほど割高に出る 本質価値との差 −15.2% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 株式会社NANKAI9044 空港線とインバウンドは強いが、重い借金と大型投資で資本コストに届かない。値段は 3 割ほど割高に出る 本質価値との差 −18.7% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 西日本旅客鉄道9021 山陽新幹線と近畿の独占に運賃改定とうめきたの床が乗るが、借入を増やす計画の利払いと資本コスト 7.75% を引くと、本質価値は今の値段を 3 割ほど下回る 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +4.9%) やや割高 東日本旅客鉄道9020 新幹線と首都圏の独占は強いが、4.9 兆円の借金の利払い増と資本コスト 7.5% を引くと、本質価値は今の値段を 4 割近く下回る 本質価値との差 −23.0% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 京成電鉄9009 京成電鉄は成田空港の増強とオリエンタルランド持分が核だが、借金が膨らむ局面と資本コスト 7.75% を踏まえると、今の値付けは割高と見る 本質価値との差 −29.6% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) 割高 東京地下鉄(東京メトロ)9023 鉄道だけで稼ぐ日本最大級の地下鉄。国・都の保有株売却と新線建設が焦点で、資本コスト 7.25% を ROE が下回り、今の値段は 4 割ほど割高に出る 本質価値との差 −33.9% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 センコン物流9051 宮城の倉庫が稼ぎ頭、売上の半分は埼玉のホンダ販売店。借入が時価総額に迫り、ROE は資本コストに届かないので、今の値段は高い 本質価値との差 −34.3% · 10 年 割高(年 +2.7%) 割高 近鉄グループホールディングス9041 営業利益は名目で伸びるが、借り換えの利払いが利益を削り、株主の取り分は増えない。資本コスト 8.5% を踏まえると、今の値段は割高 本質価値との差 −35.3% · 10 年 割高(年 +2.5%) 割高 大宝運輸9040 地場の堅い運送会社だが、薄い稼ぎに対して積み上がった資本が重く、今の値段は安全域に乏しい 本質価値との差 −36.2% · 10 年 割高(年 +2.5%) 割高 山陽電気鉄道9052 姫路駅前の不動産が利益を支えるが、運賃は上限に達し、借り換えの利払いで ROE は資本コストを大きく下回る。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −36.2% · 10 年 割高(年 +1.6%) 割高 第一交通産業9035 タクシーは赤字、稼ぎ頭は不動産。借金が重く、金利が上がるほど株主の取り分が細る 本質価値との差 −38.9% · 10 年 割高(年 +2.4%) 割高 東部ネットワーク9036 横浜の飲料・セメント・産業ガスの運送会社。資産は厚いが、運送の稼ぎは細く、ROE 2% では帳簿の価値を株主に届けられない 本質価値との差 −39.6% · 10 年 割高(年 +2.0%) 割高 神奈川中央交通9081 運賃は上がるが、運転士の賃金と借り換えの利払いが先に増え、ROE は資本コスト 9.0% に届かない。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −40.8% · 10 年 割高(年 +2.3%) 割高 新潟交通9017 新潟のバスと万代シテイを営む地域の顔。不動産が稼ぐが、重い借金の利払いが金利の上昇で利益を削る 本質価値との差 −42.6% · 10 年 割高(年 +3.0%) 割高 センコーグループホールディングス9069 3PL と M&A で稼ぐ総合物流の大手。借金が重く利益率も薄いため、利益で測ると今の値段は割高に出る 本質価値との差 −43.2% · 10 年 割高(年 +1.2%) 割高 ニッコンホールディングス9072 ホンダ系の完成車輸送と倉庫・梱包で堅実に稼ぐが、利益に対して値段が先走り、10年で測っても大幅な割高 本質価値との差 −43.3% · 10 年 割高(年 −0.1%) 割高 小田急電鉄9007 新宿西口の大型開発は実るが、借金の利息が利益を削る。資本コスト 8.25% を ROE が下回り、今の値段は 3 割半ば割高に出る 本質価値との差 −43.8% · 10 年 割高(年 +0.2%) 割高 富士急行9010 富士山麓の鉄道とハイランドで過去最高益を稼ぐが、10 年後の利益に見合う値段は今の半分以下に出る 本質価値との差 −45.1% · 10 年 割高(年 +0.5%) 割高 タカセ9087 アニメ商品の通販物流に活路を得た老舗の倉庫会社。利幅は細く、資本コストに届かないので値段は割高 本質価値との差 −45.3% · 10 年 割高(年 +1.2%) 割高 秩父鉄道9012 石灰石の貨物と長瀞の観光で黒字に戻したが、更新投資と借金の利払いが利益を食い、株主に残る価値は今の時価総額に届かない 本質価値との差 −45.6% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 福山通運9075 特積みの老舗。利益は戻り始めたが、資本効率が低く、10 年の積み上げでは今の値段は大きく割高 本質価値との差 −46.0% · 10 年 割高(年 0.0%) 割高 広島電鉄9033 電車とバスは補助金を足してやっと収支が合い、利益を支えるのは広島の不動産。借り換えで利払いが3倍に増え、ROE は資本コストに届かない。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −46.3% · 10 年 割高(年 +1.5%) 割高 名古屋鉄道9048 名駅の再開発が止まり、運送は赤字、借金は重い。利益は名目で戻っても、金利が資本コストへの到達を阻む。今の値段は 4 割ほど割高に出る 本質価値との差 −50.4% · 10 年 割高(年 −0.5%) 割高 京浜急行電鉄9006 品川・高輪の再開発で名目の利益は伸びるが、重い借金と投資負担で ROE は資本コスト 8.25% に届かない。値段は織り込み過ぎと見る 本質価値との差 −51.1% · 10 年 割高(年 −0.7%) 割高 NIPPON EXPRESSホールディングス9147 国内の運賃上げは追い風だが、海外フォワーディングの薄い利益率では ROE は資本コスト 8.5% を下回る。名目で測り直しても今の値段は割高 本質価値との差 −54.7% · 10 年 割高(年 −1.2%) 割高 西武ホールディングス9024 運営だけの稼ぐ力は資本コスト 8.5% に届かず、資産を売る経営に移っても、今の値段は 7 割近い割高に出る 本質価値との差 −63.0% · 10 年 割高(年 −2.9%) 割高 京極運輸商事9073 ENEOS が 35% を持つタンクローリーとドラム缶の会社。石油の量は細り、利益率は 2% に届かない 本質価値との差 −65.0% · 10 年 割高(年 −3.2%) 割高 神戸電鉄9046 借金が EBITDA の 11 倍と重く、借り換えで利払いが倍に膨らむ。運賃改定で営業利益が増えても株主に残る利益は細り、計算では大きな割高になる 本質価値との差 −65.8% · 10 年 割高(年 −3.5%) 割高 大和自動車交通9082 都内の土地と銀座の再開発は魅力だが、タクシーの稼ぎは薄く借金も重い。今の値段は資産の期待を先取りしている 本質価値との差 −69.9% · 10 年 割高(年 −3.7%)

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読んだ資料

  1. 東武グループ中期経営計画2024〜2027(東武鉄道)
  2. 東武鉄道の27年3月期予想(日本経済新聞)
  3. 池袋駅西口の再開発の遅れ(東京新聞)

分析日 2026-10-16