結論
センコン物流は、宮城県名取市に本社を置く東北の物流会社だ。運送と倉庫に加えて、埼玉県西部でホンダの新車と中古車を売る販売会社を持ち、太陽光発電、不動産、葬祭、採石まで手がける。2026 年 3 月期の売上は 199 億円、営業利益は 5.7 億円、純利益は 1.7 億円だった。筆者の結論は、今の値段は事業の稼ぐ力に比べてかなり高いというものだ。
良い点は倉庫にある。米穀の保管と品質検査、化学品や建設資材の保管で、倉庫事業は売上 42 億円に対して営業利益 7.8 億円を稼ぐ。仙台の港と内陸の拠点を持ち、地元の荷主との付き合いは長い。物流の 2024 年問題で運賃を上げやすくなったことも追い風だ。
弱い点は 3 つある。第 1 に、借入が 78 億円あり、現金を引いた純負債は 52 億円と時価総額にほぼ並ぶ。金利が上がれば利息がそのまま利益を削る。第 2 に、全社の費用が 6 億円と重く、倉庫の稼ぎの大半を食う。第 3 に、事業が多角に散らばり、採石のように足を引っ張る事業も抱える。過去 10 年の ROE の中央値は 6% で、資本コストの 8.5% に届いていない。稼ぐ力の割に資本が重い会社だと筆者は見ている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、センコン物流は「よい倉庫を持つが、資本の重い寄り合いの会社」だ。倉庫は地元に根を張り、値上げも通る。ここだけ見れば悪くない事業だ。しかし運送、車の販売、太陽光、採石と事業が散らばり、それを束ねる本社の費用が倉庫の稼ぎの大半を食う。
オーナーとして気になるのは借入の重さだ。純負債は時価総額にほぼ並び、金利が上がれば利息がまず株主の取り分を削る。倉庫の建て替えの時期が来れば、建築費の高騰で投資はさらに膨らむ。今の償却費は昔の安い値段で建てた建物のもので、同じものを建て直すには何割も多くの資金が要る。
経営は堅実だが、資本を増やしても利益が比例して増えていない。ROE は資本コストに届かず、ためた利益は額面ほどの価値を生まない。今の値段は、倉庫の稼ぎが本社の費用と利息を越えて大きく伸びる未来をすでに織り込んでいる。筆者は、採石や太陽光のような小さな事業を整理し、倉庫に資本を集める動きが見えるまでは、持つ理由を見いだせない。同業の大株主による買収の思惑は、株価の支えにはなるが価値の根拠にはならない。
何で稼ぐ会社か
事業は 5 つに分かれる。いちばん売上が大きいのは乗用車販売で、子会社のホンダカーズ埼玉西が狭山・所沢・入間・飯能などに 9 つの拠点を持つ。新車と中古車を売り、車検や点検修理で稼ぐ。2026 年 3 月期の売上は 101 億円、営業利益は 3.7 億円で、利益率は 3.7% だ。高価格帯の車種の販売と中古車、整備の取扱いが伸びたが、新しい拠点の開業費と人件費が利益を削った。物流の会社がなぜ車を売るのかといえば、1978 年に埼玉のホンダ系の販売会社を子会社にした名残だ。
2 つ目が運送事業で、売上 52 億円、営業利益 2.7 億円。化学製品や農業機械、輸出入の貨物を東北と関東の間で運ぶ。輸送車両のリースの償却が減り、利益は前年の 1.7 倍に戻った。
3 つ目が倉庫事業で、売上 42 億円、営業利益 7.8 億円と会社全体の稼ぎ頭だ。米穀の保管と出荷前の品質検査、建設関連の貨物、保税倉庫での通関、荷主の物流を丸ごと請け負う 3PL、書類を預かるレコードマネジメントやトランクルームまで手がける。倉庫は土地と建物を自前で持つものが多く、建物の帳簿価額は 27 億円、土地は 58 億円にのぼる。
4 つ目が太陽光と小型風力の売電で、売上 2 億円。固定価格の買い取りで安定して稼ぐが、東北電力の出力制御と設備の故障で減収した。5 つ目がその他で、不動産の売買と賃貸、葬祭、子会社センコン・マテリアルの採石がある。2026 年 3 月期は砕石の在庫の評価損で 2.9 億円の営業損失を出した。セグメントの利益を合わせると 11.9 億円あるが、本社の費用 6.2 億円を引くと連結の営業利益は 5.7 億円しか残らない。
優良さと弱いところ
優良さは事業ごとに大きく違う。倉庫は自前の土地と建物、地元の荷主との長い付き合い、米穀の品質検査のような手間のかかる作業で成り立つ。荷主にとって預け先を変えるのは手間がかかり、値上げも通りやすい。営業利益率 19% は地方の倉庫としては高い。ただ建物は古いものが多く、減価償却費は年 7.3 億円と営業利益を上回る。建て替えの時期が来れば、建築費の高騰で投資額は今の償却よりずっと大きくなる。
運送は差がつきにくい。運賃は 2024 年問題で上がったが、ドライバーの賃金も同じだけ上がる。利益率 5% 前後が続くとみる。乗用車販売はホンダの車種の出来と埼玉西部の人口に左右され、販売会社の取り分はメーカーが決める。利益率は 3〜4% で、景気が悪いと一気に薄くなる。
資本の効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 6% で、会社が掲げる 10% 以上の目標には一度しか届いていない。借入が自己資本の 1.3 倍あり、純負債は自己資本の 0.87 倍だ。非支配株主の持分もあり、連結の利益がそのまま株主のものにはならない。多角化した事業を束ねる本社の費用 6 億円をどう減らすかが、株主の取り分を左右する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東北の物流の需要は人口減で横ばいから緩やかな減少だ。ただ地域の中で荷物の流れは変わっている。半導体や自動車部品の工場が宮城と岩手に集まり、建設資材と化学品の輸送は堅い。米穀は国の備蓄米の放出で一時的に動いたが、量としては頭打ちだ。筆者は東北の運送と倉庫の数量を 10 年で横ばいから 1 割減とみる。
値段の側は追い風だ。2024 年 4 月からトラックの運転手の残業が年 960 時間に制限され、運転手は 20 万人規模で足りない。国が示す標準的な運賃は約 8% 引き上げられ、荷待ちや荷役の時間にも料金が付くようになった。運賃は物価を上回って上がる余地がある。ただ運転手の賃金も同じように上がるので、利幅が広がるかは別の話だ。
倉庫は建築費の高騰で新しい倉庫の賃料が上がり、古い自前の倉庫を持つ会社には有利に働く。そのかわり自社の倉庫を建て替える時の負担も重くなる。
乗用車の販売は、国内の新車の販売台数が年 450 万台前後で頭打ちだ。若い世代の車離れと人口減で、埼玉西部でも台数は少しずつ減る。電気自動車への移行で整備の売上が減るという見方もある。業界の再編は進み、大手の物流会社が地方の中堅を買う動きが続く。センコン物流の大株主にもロジスティードと富士ロジテック HD という同業が並ぶ。
資本政策と M&A
配当は継続して安定的に払う方針で、2026 年 3 月期の配当性向は 44.5% だった。2026 年 3 月期には 0.42 億円の自社株買いもした。株主優待は見当たらない。会社は ROE 10% 以上を目標に掲げるが、数値の中期計画は出していない。
大株主にはロジスティードが 10.1%、富士ロジテック HD が 9.2% を持つ。ロジスティードは資本業務提携を目的とした政策投資と届け出ており、富士ロジテック HD は 2019 年に自己株式の処分を引き受けて資本業務提携を結んだ。どちらも同業で、将来の買い手になりうる。ほかに個人の大株主が並び、創業家の影響が残るとみられる。七十七銀行も 3% を持つ。
借入は 78 億円で、現金 26 億円を引いた純負債は 52 億円、リース債務を足せば 58 億円になる。倉庫の更新と車両の入れ替えで投資は止められず、借入を大きく減らすのは難しい。還元を厚くする余地は小さく、配当は利益の 4 割前後にとどまるとみる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方はこうだ。物流の 2024 年問題で、運賃と倉庫料の値上げはこれから本番を迎える。運転手が足りない以上、荷主は運び手を選べなくなり、地元に拠点と車両を持つセンコン物流の値決めの力は強まる。倉庫は自前の土地と建物を持ち、建築費の高騰で新しい倉庫の賃料が上がるほど、古い倉庫の割安さが効いてくる。
宮城と岩手には半導体や自動車部品の工場が集まり、化学品や部材の保管と輸送の需要は増える。乗用車販売も高価格帯の車と整備で稼ぐ力を上げている。採石の評価損は一度きりで、来期からは戻る。
しかも大株主にロジスティードと富士ロジテック HD という同業が並ぶ。地方の物流会社の再編が進めば、どちらかがプレミアムを付けて買いに来てもおかしくない。帳簿上の土地だけで 58 億円あり、時価総額を上回る。本社の費用を絞り、事業を倉庫に寄せれば、ROE 10% の目標は手の届く所にある。今の値段は、その可能性を十分には払っていない。
慎重な見方
慎重な見方はこう突く。利益が薄すぎる。2026 年 3 月期の純利益は 1.7 億円で、時価総額の 3% にすぎない。2027 年 3 月期も第 1 四半期は役員の退職慰労金などで 2.8 億円の純損失を出した。セグメントで 12 億円稼いでも、本社の費用 6 億円と利息で半分以上が消える。
借入は 78 億円あり、金利が 1 ポイント上がるだけで利息は年 0.5 億円増える。倉庫の建物は古く、建て替えの時期が来れば建築費の高騰で投資は今の償却の何倍にもなる。それを借入で賄えば、利息はさらに重くなる。運賃が上がっても運転手の賃金が同じだけ上がり、利幅は広がらない。
乗用車販売は売上の半分を占めるが、ホンダの車種しだいで、埼玉西部の人口は減る。太陽光は 2030 年代に固定価格の買い取りが終わり、売電の単価は半分近くに下がる。採石は在庫の評価損を出したばかりだ。土地の帳簿価額が大きくても、借入を返せば株主に残るものはわずかだ。買収の思惑に値段を払うのは投資ではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,143 円56 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 320 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 733 円36 億円、今との差 −34.3%、 期待の年率 +2.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,548 円126 億円 | 492 円24 億円 | +172.4% | +10.5% | 304 円15 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,727 円85 億円 | 417 円21 億円 | +92.2% | +6.7% | 429 円21 億円 |
| 中立 | 38% | 1,216 円60 億円 | 352 円17 億円 | +40.5% | +3.5% | 596 円29 億円 |
| やや悲観 | 20% | 317 円16 億円 | 233 円12 億円 | −50.7% | −6.8% | 110 円5 億円 |
| 悲観 | 12% | 142 円7 億円 | 61 円3 億円 | −81.9% | −15.7% | 24 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,143 円56 億円 | 320 円16 億円 | +31.1% | +2.7% | 1,463 円72 億円 |
今の株価時価総額 1,116 円55 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 運賃と倉庫料の値上げが本番、本社の費用も絞る 利益 9 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 2,548 円126 億円
物流の 2024 年問題で運転手の不足が深まり、運賃は 10 年で物価を上回る 1.55 倍になる。地元に車両と拠点を持つセンコン物流は荷主に選ばれ、運送の利益率は 6.5% に上がる。倉庫は建築費の高騰で新しい倉庫の賃料が上がり、自前の古い倉庫の保管料も 1.45 倍に引き上げられる。半導体と自動車部品の工場が集まる宮城と岩手で、保管の面積は 1 割増える。乗用車販売は高価格帯の車と整備で利益率 3.8% を保つ。本社の費用は事業の整理で物価ほどには増えない。ROE は資本コストを超え、同業の大株主による買収の話も出る。
- 運送事業:数量 43.5(輸送量(万トン・年、推定))× 価格 1.86(1 トンあたりの運賃(万円・名目))→ 売上 81 億円・営業利益 5 億円。輸送量横ばい × 運賃 1.55 倍、利益率 6.5%
- 倉庫事業(保管・荷役・3PL・通関):数量 22.0(保管と作業に使う倉庫の面積(万平方メートル、推定))× 価格 3.01(1 平方メートルあたりの年間の売上(万円・名目))→ 売上 66 億円・営業利益 13 億円。面積 1.1 倍 × 単価 1.45 倍、利益率 19%
- 乗用車販売事業(ホンダカーズ埼玉西):数量 0.4(販売台数(新車と中古車、万台・年、推定))× 価格 354(1 台あたりの売上(整備を含む、万円・名目))→ 売上 142 億円・営業利益 5 億円。台数横ばい × 1 台 1.4 倍、利益率 3.8%
- 再生可能エネルギー事業(太陽光・小型風力):数量 10.8(発電量(百万キロワット時・年、推定))× 価格 14(1 キロワット時あたりの売電単価(円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。発電量横ばい × 単価 0.7 倍(買い取り期間の終わり)、利益率 20%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.29 倍、時価総額 122 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:倉庫と運送の値上げが物価を上回り、同時に本社の費用を絞る必要がある。ROE が 10 年で一度しか目標に届いていない実績から 1 割。
やや楽観 20% 倉庫の値上げが通り、利益は今の 2 倍強 利益 7 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,727 円85 億円
運賃は 10 年で 1.5 倍になり、運送の利益率は 5.8% に上がる。倉庫は保管料の改定が通り、単価は 1.4 倍、面積も 5% 増える。利益率は建て替えの償却の増加を吸収して 18% を保つ。乗用車販売は台数が少し減るが、高価格帯の車と整備で 1 台あたりの売上は物価並みに上がる。太陽光は買い取り期間の終わりが近づき、単価が下がる。本社の費用は物価並みに増える。借入は利益で少しずつ返し、利息の増加は年 1 億円にとどまる。純利益は 6 億円台に戻り、配当は利益の 4 割強で増えていく。ROE は 7% 台で、資本コストにはわずかに届かない。
- 運送事業:数量 43.5(輸送量(万トン・年、推定))× 価格 1.80(1 トンあたりの運賃(万円・名目))→ 売上 78 億円・営業利益 5 億円。輸送量横ばい × 運賃 1.5 倍、利益率 5.8%
- 倉庫事業(保管・荷役・3PL・通関):数量 21.0(保管と作業に使う倉庫の面積(万平方メートル、推定))× 価格 2.91(1 平方メートルあたりの年間の売上(万円・名目))→ 売上 61 億円・営業利益 11 億円。面積 1.05 倍 × 単価 1.4 倍、利益率 18%
- 乗用車販売事業(ホンダカーズ埼玉西):数量 0.4(販売台数(新車と中古車、万台・年、推定))× 価格 347(1 台あたりの売上(整備を含む、万円・名目))→ 売上 132 億円・営業利益 5 億円。台数 0.95 倍 × 1 台 1.37 倍、利益率 3.6%
- 再生可能エネルギー事業(太陽光・小型風力):数量 10.2(発電量(百万キロワット時・年、推定))× 価格 13(1 キロワット時あたりの売電単価(円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。発電量 0.95 倍 × 単価 0.65 倍、利益率 18%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 82 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:標準的な運賃の引き上げと倉庫の賃料の上昇は現に進んでいる。ヒガシ HD やビーイング HD と同じ 2 割。
中立 38% 値上げは賃金と建て替えに食われ、利益は平年並みに戻るだけ 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,216 円60 億円
東北の運送の輸送量は人口減と工場の集約で 5% 減る。運賃は物価を少し上回る 1.45 倍になるが、運転手の賃金と外注費も同じように上がり、利益率は 5% にとどまる。倉庫は面積が変わらず、保管料は物価並みの 1.34 倍。古い倉庫の建て替えで償却が増え、利益率は 17% に下がる。乗用車販売は埼玉西部の人口減で台数が 1 割減り、利益率は 3.3%。太陽光は買い取りが終わって単価が 4 割下がる。本社の費用は物価並みに増え、借り換えの金利の上昇で利息は年 1 億円増える。純利益は 4〜5 億円に戻るが、ROE は 6% 前後で資本コストに届かない。
- 運送事業:数量 41.3(輸送量(万トン・年、推定))× 価格 1.74(1 トンあたりの運賃(万円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 4 億円。輸送量 0.95 倍 × 運賃 1.45 倍(2024 年問題で物価を少し上回る)、利益率 5%
- 倉庫事業(保管・荷役・3PL・通関):数量 20.0(保管と作業に使う倉庫の面積(万平方メートル、推定))× 価格 2.78(1 平方メートルあたりの年間の売上(万円・名目))→ 売上 56 億円・営業利益 9 億円。面積横ばい × 単価 1.34 倍、建て替えの償却で利益率 17%
- 乗用車販売事業(ホンダカーズ埼玉西):数量 0.4(販売台数(新車と中古車、万台・年、推定))× 価格 339(1 台あたりの売上(整備を含む、万円・名目))→ 売上 122 億円・営業利益 4 億円。台数 0.9 倍 × 1 台 1.34 倍、利益率 3.3%
- 再生可能エネルギー事業(太陽光・小型風力):数量 9.7(発電量(百万キロワット時・年、推定))× 価格 12(1 キロワット時あたりの売電単価(円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。発電量 0.9 倍 × 単価 0.6 倍(固定価格の買い取りが終わり市場の値段に下がる)、利益率 15%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.1% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 57 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:数量は人口減で横ばいから微減、値上げは物価並みに賃金と投資で相殺される今の傾向を延ばした中心の筋。同じ領域の 2 社と同じ 4 割弱。
やや悲観 20% 数量が減り、建て替えと利息が利益を削る 利益 2 億円 · PER 8.2 倍 · 株価時価総額 317 円16 億円
東北の荷物は人口減で 15% 減り、運賃の上げは物価並みにとどまる。運転手の賃金に食われ、運送の利益率は 3.5% に落ちる。倉庫は荷主の集約で面積が 5% 減り、建て替えの費用で利益率は 15% に下がる。乗用車販売は台数が 2 割減り、新しい拠点の費用が重く利益率は 2.5%。太陽光は買い取りが終わり、ほとんど稼がなくなる。採石と不動産の損失も続き、本社の費用は削れない。借り換えの金利の上昇で利息は年 1.3 億円増える。純利益は 2 億円前後で足踏みし、配当は据え置かれる。ROE は 2% 台で、資本コストに遠く届かない。
- 運送事業:数量 37.0(輸送量(万トン・年、推定))× 価格 1.61(1 トンあたりの運賃(万円・名目))→ 売上 59 億円・営業利益 2 億円。輸送量 0.85 倍 × 運賃 1.34 倍、利益率 3.5%
- 倉庫事業(保管・荷役・3PL・通関):数量 19.0(保管と作業に使う倉庫の面積(万平方メートル、推定))× 価格 2.70(1 平方メートルあたりの年間の売上(万円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 8 億円。面積 0.95 倍 × 単価 1.3 倍、利益率 15%
- 乗用車販売事業(ホンダカーズ埼玉西):数量 0.3(販売台数(新車と中古車、万台・年、推定))× 価格 329(1 台あたりの売上(整備を含む、万円・名目))→ 売上 105 億円・営業利益 3 億円。台数 0.8 倍 × 1 台 1.3 倍、利益率 2.5%
- 再生可能エネルギー事業(太陽光・小型風力):数量 9.1(発電量(百万キロワット時・年、推定))× 価格 10(1 キロワット時あたりの売電単価(円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。発電量 0.85 倍 × 単価 0.5 倍、利益率 10%
倍率:事業の ROE 2.2%(事業の純利益÷現金を除いた自己資本)が k 8.25% に届かないので、ためた利益は額面未満の価値しか持たず PER の上限は 1÷k=11.8 倍。やや悲観は利益が伸びず質も落ちるので、上限の 70% の 8.2 倍
確率:2026 年 3 月期に営業利益が 3 割減った実績と、借入の重さから 2 割。
悲観 12% 車の販売が崩れ、借入の返済に追われる 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 142 円7 億円
景気の後退で埼玉西部の車の販売が 3 割以上減り、乗用車販売は赤字に近づく。東北の荷物は 25% 減り、運賃は値下げの圧力を受ける。倉庫は主要な荷主の撤退で面積が 15% 減り、建て替えの償却が重くのしかかる。太陽光は買い取りが終わって稼がなくなる。採石と不動産の損失も続く。営業利益はほぼゼロになり、借入の利息が重く純損失が続く。配当は減らされ、手元の資金は借入の返済に回る。土地と倉庫を売って借入を返すと、株主に残るのはわずかな資産だけになる。同業の大株主も、この段階では安く買い叩くことしか考えない。
- 運送事業:数量 32.6(輸送量(万トン・年、推定))× 価格 1.44(1 トンあたりの運賃(万円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 0 億円。輸送量 0.75 倍 × 運賃 1.2 倍、利益率 1%
- 倉庫事業(保管・荷役・3PL・通関):数量 17.0(保管と作業に使う倉庫の面積(万平方メートル、推定))× 価格 2.49(1 平方メートルあたりの年間の売上(万円・名目))→ 売上 42 億円・営業利益 5 億円。面積 0.85 倍 × 単価 1.2 倍、利益率 11%
- 乗用車販売事業(ホンダカーズ埼玉西):数量 0.3(販売台数(新車と中古車、万台・年、推定))× 価格 304(1 台あたりの売上(整備を含む、万円・名目))→ 売上 79 億円・営業利益 0 億円。台数 0.65 倍 × 1 台 1.2 倍、利益率 0.5%
- 再生可能エネルギー事業(太陽光・小型風力):数量 8.6(発電量(百万キロワット時・年、推定))× 価格 9.00(1 キロワット時あたりの売電単価(円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。発電量 0.8 倍 × 単価 0.45 倍、利益率 0%
倍率:事業はほとんど稼がず、価値は売れる資産から借入を引いた床 7 億円で決まる。今の自己資本 60.5 億円に対して 0.12 倍。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.116 倍・時価総額 7 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:過去 20 年に赤字の期が 4 回あり、2019 年 3 月期には ROE がマイナス 17% になった。借入の重さを踏まえ、同じ領域の 2 社と同じ 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
運送事業
化学製品・農業機械・輸出入貨物を東北と関東の間で運ぶ。
| 数量輸送量(万トン・年、推定) | 価格1 トンあたりの運賃(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 43.5 | 1.20 | 52 | 3 |
| 10 年後 中立 | 41.3 | 1.74 | 72 | 4 |
取り方:2026 年 3 月期の運送事業の売上 52.25 億円を、中距離の貸切輸送の 1 トンあたりの運賃を 1.2 万と置いて割り、43.5 万トンとした(輸送量は開示なし・推定)。営業利益は短信のセグメントの値。
倉庫事業(保管・荷役・3PL・通関)
米穀・化学品・建設資材の保管と荷役、品質検査、保税と通関、3PL、レコードマネジメント。
| 数量保管と作業に使う倉庫の面積(万平方メートル、推定) | 価格1 平方メートルあたりの年間の売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20.0 | 2.08 | 42 | 8 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 2.78 | 56 | 9 |
取り方:2026 年 3 月期の倉庫事業の売上 41.54 億円を、地方の営業倉庫の保管と荷役を合わせた 1 平方メートルあたりの年間売上を約 2.1 万と置いて割り、20 万平方メートルとした(面積は開示なし・推定)。営業利益は短信のセグメントの値。
乗用車販売事業(ホンダカーズ埼玉西)
埼玉県西部の 9 拠点でホンダの新車・中古車を売り、車検と修理を請け負う。
| 数量販売台数(新車と中古車、万台・年、推定) | 価格1 台あたりの売上(整備を含む、万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.4 | 253 | 101 | 4 |
| 10 年後 中立 | 0.4 | 339 | 122 | 4 |
取り方:2026 年 3 月期の売上 101.26 億円を、新車と中古車を合わせて年 4,000 台と置いて割り、整備を含む 1 台あたり約 253 万とした(台数は開示なし・推定。2025 年 3 月期の内訳は車両 76.6 億円・修理等 18.1 億円)。営業利益は短信のセグメントの値。
再生可能エネルギー事業(太陽光・小型風力)
東北で太陽光と小型風力の発電所を持ち、固定価格で売電する。
| 数量発電量(百万キロワット時・年、推定) | 価格1 キロワット時あたりの売電単価(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.8 | 20 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 9.7 | 12 | 1 | 0 |
取り方:2026 年 3 月期の売上 2.15 億円を、固定価格の買い取りの単価を約 20 と置いて割り、1,075 万キロワット時とした(発電量は開示なし・推定)。営業利益は短信のセグメントの値。
リスクと懸念
借入と金利
借入は 78 億円、純負債は 52 億円で時価総額にほぼ並ぶ。借り換えの金利が 3.5% に上がれば、利息は年 1 億円近く増え、今の純利益の半分を超える。倉庫の更新を借入で賄えば、さらに重くなる。
倉庫の建て替えの負担
倉庫の建物は帳簿上の取得価額 108 億円に対して償却がすでに 8 割進む。建て替えの時期が来れば、建築費の高騰で投資は今の償却費の何倍にもなる。家賃の値上げで回収できるかが分かれ目だ。
乗用車販売の振れ
売上の半分を占める乗用車販売は、ホンダの車種の人気と埼玉西部の需要しだいだ。新しい拠点の費用もかさむ。景気が冷えれば台数が減り、利益率 3% 台の事業はすぐ赤字に近づく。
小さな事業の損失
採石は 2026 年 3 月期に砕石の在庫の評価損を出し、その他の事業は 2.9 億円の営業損失になった。太陽光は 2030 年代に固定価格の買い取りが終わる。小さな事業が本業の稼ぎを食う構図が続く。
運転手の不足と賃金
運転手は全国で 20 万人規模で足りない。運賃は上がるが、賃金と外注費も同じように上がる。人が確保できなければ、荷物を断るしかなくなる。
今後の分かれ目
- 倉庫事業の営業利益が 10 億円を超え、本社の費用が 6 億円を下回ったら
- 倉庫の値上げと本社の効率化が効いた合図。やや楽観に重みを移す。
- 採石や太陽光などの小さな事業を売るか畳んだら
- 資本を倉庫に集める動き。資本の使い方の評価を上げる。
- ロジスティードか富士ロジテック HD が持株を買い増したら
- 買収の確率が上がる。楽観側の確率を上げるが、本質価値は変えない。
- 借入が 85 億円を超え、営業利益が 6 億円を下回ったら
- 借入の重さが利益を削る筋。悲観の確率を上げる。
- 乗用車販売が 2 期続けて営業赤字になったら
- 売上の半分が稼げなくなる。やや悲観に寄せる。
見ておくもの
- 倉庫事業の営業利益と保管料の改定
- 本社の費用(セグメントの調整額)
- 借入の残高と支払利息
- 乗用車販売の営業利益率と拠点の数
- 大株主(ロジスティード・富士ロジテック HD)の持株の変化
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の ROE と k 8.25% から決め、ROE が k に届かない筋は上限 1÷k の 7〜9 割に置いた。楽観だけ ROE が k を超えるので正当化 PER の式を使った。悲観は売れる資産から借入を引いた床で測った。今の PBR 0.9 倍前後や同業の倍率は使っていない。純負債 52 億円は余った現金が無いので足さず、利息は純利益の側で引いた。起点は 2026 年 3 月期の純利益 1.7 億円ではなく、評価損と特別な費用を除いた 3 億円に置いた。今の株価が倍でも半分でも価値の数字は動かない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.69→13.29 倍・やや楽観 PER 10.82→12.12 倍・中立 PER 10.59→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。