結論
第一交通産業は、全国でタクシーを走らせ、沖縄を中心にバスも運行し、マンション分譲や賃貸ビルも手がける複合会社だ。結論から言えば、筆者は今の値段を割高と見る。稼ぎの大半が不動産で、本業のタクシーが赤字のうえ、1,000 億円を超える純借金が金利の上昇で利益を削るからだ。
2026 年 3 月期の営業利益は 36 億円。タクシー事業は 16 億円の赤字で、前期の 23 億円の赤字から改善したものの、黒字にはなっていない。利益を支えたのは不動産の再生と賃貸、金融、バスだった。
タクシーの規模は大きい。34 都道府県に 208 営業所を持ち、車両は 7,759 台、乗務員は 1 万人を超える。ただ、人手不足で採用と教育の費用が重く、稼働率は 70% に届かない。運賃の改定が追い風だが、費用の増え方がそれを食っている。
本質的な問題は借金だ。純有利子負債は 1,086 億円と時価総額の 4 倍あり、営業利益は支払利息の 3 倍にも届かない。借り換えで金利が 3.5% に上がれば、利払いは 10 年で 20 億円近く増える。
中立の筋書きでは、10 年後の純利益は 22 億円と今とほぼ同じ。時価総額は 190 億円ほどで、今の 262 億円を大きく下回る。創業家系の会社が議決権の約 5 割を持つため、非上場化の可能性は残るが、その場合も本質価値以上の値段がつくとは限らない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を持ち続けたいとは思えない。事業の質がまず足りない。本業のタクシーは赤字で、不動産は仕入れと売りの判断に利益が左右され、毎年の稼ぎが読めない。わからない事業は、確信度を下げる。
借金は重い。純有利子負債は時価総額の 4 倍で、営業利益は支払利息の 3 倍に届かない。金利が上がる世界では、これが株主の取り分を直接削る。安全域は、資産の厚みでなく、借金を払った後に残る価値で測るべきだ。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、会計の利益より小さい。タクシーの車両は買い替えの費用が毎年かかり、分譲は在庫の仕入れに資金が先に出る。建築費や車両価格は物価で上がるが、既存の設備の減価償却は取得時の値段のままだ。会計の利益が現金の稼ぎより良く見える。
経営は決断が速い反面、資本の配分が株主を向いているかは、実績から見えない。配当は据え置かれ、純利益の 4 割強が配られているが、残りは不動産の仕入れに回る。創業家が議決権の約 5 割を持つので、少数株主の取り分は守られにくい。今の値段に安全域はないと、筆者は見ている。
何で稼ぐ会社か
事業は、タクシー、バス、不動産の 3 つに分かれる。2026 年 3 月期の売上は、タクシーが 559 億円、バスが 74 億円、不動産分譲が 276 億円、再生が 99 億円、賃貸が 50 億円、金融が 15 億円だ。
タクシーは法人タクシーで、119 社の子会社が 208 営業所を構える。北九州(17 営業所・616 台)、大阪(12 営業所・787 台)、北海道(10 営業所・536 台)が多い。流し営業と配車の両方で稼ぐ。稼働率は 69.7% で、乗務員の確保が収益を左右する。2026 年 3 月期は 1,980 人を採用した。
バスは沖縄県の路線バスと貸切バスが中心で、福岡、山口、島根、広島、大阪でも貸切を運行する。沖縄の訪日客の増加で利益が伸びた。
不動産は 4 本柱だ。マンション分譲は「グランドパレス」シリーズで、九州、沖縄、愛知で 800 戸強を引き渡した。再生は中古ビルなどを買い取って付加価値をつけ売却し、2026 年 3 月期は那覇市の再開発物件の持分売却が大きく効いた。賃貸は飲食ビルを中心に 95 棟を持ち、稼働率は高い。金融は不動産を担保にした貸付で、残高は 192 億円まで増えた。
駐車場の運営は、子会社のダイイチパークが九州を中心に手がける。
優良さと弱いところ
優良さの核は、タクシーという全国網と、不動産の目利きだ。34 都道府県に営業所があり、乗務員の採用と教育の仕組みを持つ。法人タクシー全体の営業収入は年 1.4 兆円で、第一交通はその約 4% を占める。業界の再編が進めば、規模の大きい会社が有利になる。
ただし堀、つまり他社がまねできない強みは、利益に結びついていない。タクシーは人手が収益を決め、運賃は認可制で自由に上げられない。配車アプリとの手数料競争もある。セグメントの損失が示すとおり、規模があっても儲かる事業にはなっていない。
不動産は目利きに頼る。再生や分譲は、仕入れと売りのタイミングで利益が大きく動く。2025 年 3 月期に 26 億円あった分譲の利益が、翌期は 9 億円に減った。再生は逆に伸びた。毎年の利益が読みにくい。
資本効率は低い。ROE は過去 10 年の中央値が 4.8% で、資本コストには届かない。自己資本比率は 24%、純有利子負債は 1,086 億円で、財務は薄い。
経営は創業家が議決権の約 5 割を握り、意思決定は速い。一方、少数株主が口を挟む余地は小さい。配当は 2022 年 3 月期から同じ額に据え置かれている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
タクシーは、需要は戻ったが、供給が足りない産業だ。コロナ禍で乗務員が減り、法人タクシーの運転者は戻りきっていない。需要はインバウンドと外出の回復で伸びたが、車を動かす人がいないため、稼働率が上がらない。2024 年 4 月から時間外労働の上限規制が適用され、乗務員の確保は一段と難しくなった。
運賃は改定が進む。国の認可制で、人件費と燃料費の上昇が改定の理由になる。ただし改定には時間がかかり、費用の上昇に追いつかない時期が生じる。配車アプリは利便性を高める一方、手数料が収益を削る。日本版ライドシェアも一部で導入され、全面解禁になれば市場の構造が変わりうる。
バスは、観光地や沖縄のように訪日客が多い地域は強いが、地方の路線は赤字で自治体の補助に頼る。人手不足は共通の課題だ。
不動産は金利の上昇が重くのしかかる。分譲は金利が上がると購入者の負担が増え、売れ行きが鈍る。賃貸は物価上昇の転嫁が進むが、賃料の上がり方は物価より遅れやすい。再生は買取価格と売却価格の差で稼ぐ事業で、金利上昇の下では差が縮む。
10 年で見ると、タクシーの実質の台数は人手不足で微減し、運賃は物価並みに上がる。不動産は、分譲の戸数が人口減で減り、賃貸は堅調だ。
資本政策と M&A
配当は 2022 年 3 月期から同じ額に据え置かれ、配当性向は 4 割強だ。自社株買いは確認できない。利益が伸びない中で、配当の水準は保たれているが、増える気配もない。
設備投資は年 40 億円ほどで、2026 年 3 月期はタクシーの車両の買い替えに 20 億円、賃貸の飲食ビルの取得に 6 億円を使った。借入金は主に金融機関から調達し、長期の借入のうち固定金利は 26.5% にとどまる。残りは金利が上がれば利払いが増える。
最大の特徴は、大株主の構造だ。創業家系の第一マネージメントが議決権の約 4 割を直接持ち、関係先と合わせると約 5 割になる。創業者が同社の取締役を兼ねる。株式の流動性は小さく、経営の自由度は高い。
非上場化の可能性は、機械的な推定で 10 年に 2〜3 割ある。創業家が全株を取得する形が想定されるが、提示額が本質価値を上回る保証はない。M&A は、地方の事業者を取り込む形が考えられるが、近年の具体的な案件は確認できない。
不動産金融は、貸金業の上限金利の引き下げというリスクを抱える。借入が大きいため、資本政策の自由度は限られる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
タクシーは底を打った。赤字は 23 億円から 16 億円に縮み、運賃改定と稼働率の上昇でさらに縮む。新人乗務員を 2,000 人近く採用できたことは、採用の仕組みが機能している証拠だ。稼働率が 70% から 75% に上がれば、固定費を薄められ、黒字化に近づく。
不動産は価値を積み上げる。賃貸は 95 棟で稼働率が高く、物価の上昇に合わせて賃料を上げられる。再生は那覇の再開発のような大型案件を持ち、金融は担保ローンの残高が 192 億円に増えて利回りも高い。バスは沖縄の訪日客で伸びる。
不動産は物価の上昇に強い資産だ。簿価で持つ土地やビルは、インフレで時価が簿価を上回っていく。時価総額は自己資本の 6 割にすぎず、含み益を考えれば割安だ。
創業家が議決権の約 5 割を持つので、非上場化の提案が出る可能性もある。その場合は、市場価格に上乗せした値段で買い取られうる。借金は重いが、担保になる不動産が厚く、借り換えは続けられる。
慎重な見方
この会社の稼ぎは、不動産の売却益に偏っている。再生は那覇の再開発物件の持分売却で一度大きく出ただけで、毎年続く利益ではない。分譲の利益は 1 年で 64% 減った。本業のタクシーは 2 年続けて赤字で、運賃の改定が進んでも乗務員の採用と教育の費用が増え、黒字にならない。
財務は危うい。純借金 1,086 億円は時価総額の 4 倍、自己資本比率は 24%、営業利益は支払利息の 3 倍に届かない。借入の固定金利は長期の 26.5% にすぎず、金利が上がれば利払いがほぼそのまま増える。10 年で 20 億円近い増加は、今の純利益と同じ大きさだ。
分譲は金利上昇で買い手の負担が増える。再生は買値と売値の差が縮む。含み益の話は、売れなければ絵に描いた餅だ。しかも借金を返せば、株主の手に残るのは少ない。
配当は据え置かれたままで、成長の物語は聞こえない。創業家が議決権の約 5 割を持つ以上、少数株主が経営に影響を与える余地は小さい。非上場化の際にも、安い値段で締め出される危険がある。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。強気の根拠は含み益と事業の改善という見込みだが、数字に出ている事実は、赤字のタクシー、借金の重さ、利益の読みにくさだ。そこで中立を 4 割弱に置き、やや悲観と悲観の合計を 4 割とした。財務が薄い分、悲観の確率を通常より厚くした。創業家による非上場化の可能性は、上値の確率の一部と見ている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 702 円246 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 246 円86 億円)。 今の値に割り戻すと 456 円160 億円、今との差 −38.9%、 期待の年率 +2.4%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,616 円567 億円 | 479 円168 億円 | +180.8% | +10.9% | 126 円44 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,150 円403 億円 | 368 円129 億円 | +103.4% | +7.4% | 273 円96 億円 |
| 中立 | 36% | 700 円246 億円 | 274 円96 億円 | +30.5% | +2.7% | 351 円123 億円 |
| やや悲観 | 28% | 423 円148 億円 | 177 円62 億円 | −19.6% | −2.2% | 168 円59 億円 |
| 悲観 | 12% | 228 円80 億円 | 23 円8 億円 | −66.4% | −10.3% | 30 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 702 円246 億円 | 246 円86 億円 | +27.0% | +2.4% | 947 円332 億円 |
今の株価時価総額 746 円262 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% タクシーが黒字化し、不動産も伸びる 利益 51 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,616 円567 億円
運賃の改定が費用の上昇に先行し、乗務員の採用が安定する。稼働率は 75% に上がり、タクシー事業は 2% の利益率で黒字になる。配車アプリとの連携も進み、手数料の負担が軽くなる。
不動産は、賃貸が物価に連動して賃料を上げ、棟数も増える。再生は那覇の再開発のような大型案件が続き、金融は貸付残高が 1.25 倍に伸びる。沖縄の訪日客でバスも堅調だ。
会社全体の営業利益は 106 億円と、今の 3 倍になる。営業利益率は 6.6% で、過去の高い水準に近づく。借金は返済が進んで軽くなり、金利の上昇の影響も一部しのげる。
配当は引き上げられ、純利益の 4 割台半ばが株主に配られる。創業家による非上場化の提案が出れば、市場価格に上乗せされうる。
- タクシー事業:数量 5,570(稼働している営業車(台)=在籍車両 × 稼働率)× 価格 1,468(1 台あたりの年間売上(万円・名目。運賃改定を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 818 億円・営業利益 16 億円。数量 1.03 倍、値段 1.42 倍、営業利益率 2.0%
- バス事業:数量 378(稼働している車両(台)=在籍 639 台 × 稼働率)× 価格 2,926(1 台あたりの年間売上(万円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 111 億円・営業利益 9 億円。数量 1.08 倍、値段 1.38 倍、営業利益率 8.5%
- 不動産分譲:数量 883(引き渡し戸数(戸))× 価格 4,379(1 戸あたりの売上(万円・名目。建築費の上昇を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 387 億円・営業利益 27 億円。数量 1.00 倍、値段 1.40 倍、営業利益率 7.0%
- 不動産再生:数量 5.7(売却する物件の数(件・推定))× 価格 22(1 件あたりの売却額(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 126 億円・営業利益 20 億円。数量 0.95 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 16.0%
- 不動産賃貸:数量 106(保有する賃貸ビルの棟数)× 価格 0.73(1 棟あたりの年間賃料収入(億円・名目。賃料は物価に遅れて上がる前提))→ 売上 77 億円・営業利益 35 億円。数量 1.12 倍、値段 1.38 倍、営業利益率 45.0%
- 不動産金融:数量 241(貸付残高(億円・実質=今の値段))× 価格 0.11(貸付 1 億円あたりの収入(億円。物価で貸付額が名目で増える分を含む))→ 売上 26 億円・営業利益 14 億円。数量 1.25 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 55.0%
- その他・調整(駐車場・本社費など):数量 513(契約・取引の件数(件・推定))× 価格 0.13(1 件あたりの売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 69 億円・営業利益 −16 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 -23.0%
倍率:事業の純利益 51 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.6% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 567 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:運賃の改定が先行し、乗務員の確保が進み、不動産も好調で、金利の重さも軽い姿は重なりにくい。借金が重いことも考え、1 割弱とした。
やや楽観 18% タクシーが収支トントンまで改善、不動産が堅調 利益 36 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,150 円403 億円
タクシーは、運賃改定と乗務員の定着で赤字が消え、収支がほぼ均衡する。稼働率は 72% 台に上がる。バスは訪日客で堅調だ。
不動産は、分譲が戸数を保ち、賃貸は賃料を物価並みに上げる。再生は大型案件の山を過ぎ、利益は平均に戻る。金融の残高は緩やかに増える。
会社全体の営業利益は 79 億円で、今の 2.2 倍。ただし金利が上がり、利払いが 15 億円増える。純利益は 36 億円と、今の 1.8 倍にとどまる。
配当は純利益の 4 割台で増え、財務は少しずつ軽くなる。会社は堅実に改善するが、借金の重さは残り、市場の驚きにはならない。
- タクシー事業:数量 5,408(稼働している営業車(台)=在籍車両 × 稼働率)× 価格 1,427(1 台あたりの年間売上(万円・名目。運賃改定を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 772 億円・営業利益 4 億円。数量 1.00 倍、値段 1.38 倍、営業利益率 0.5%
- バス事業:数量 361(稼働している車両(台)=在籍 639 台 × 稼働率)× 価格 2,883(1 台あたりの年間売上(万円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 104 億円・営業利益 8 億円。数量 1.03 倍、値段 1.36 倍、営業利益率 8.0%
- 不動産分譲:数量 839(引き渡し戸数(戸))× 価格 4,254(1 戸あたりの売上(万円・名目。建築費の上昇を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 357 億円・営業利益 21 億円。数量 0.95 倍、値段 1.36 倍、営業利益率 6.0%
- 不動産再生:数量 5.1(売却する物件の数(件・推定))× 価格 22(1 件あたりの売却額(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 112 億円・営業利益 17 億円。数量 0.85 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 15.0%
- 不動産賃貸:数量 103(保有する賃貸ビルの棟数)× 価格 0.71(1 棟あたりの年間賃料収入(億円・名目。賃料は物価に遅れて上がる前提))→ 売上 73 億円・営業利益 32 億円。数量 1.08 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 44.0%
- 不動産金融:数量 215(貸付残高(億円・実質=今の値段))× 価格 0.11(貸付 1 億円あたりの収入(億円。物価で貸付額が名目で増える分を含む))→ 売上 23 億円・営業利益 12 億円。数量 1.12 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 54.0%
- その他・調整(駐車場・本社費など):数量 513(契約・取引の件数(件・推定))× 価格 0.13(1 件あたりの売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 69 億円・営業利益 −16 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 -23.0%
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 403 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:運賃改定と稼働率の改善でタクシーが収支均衡に近づき、不動産が堅調な姿。借金の重さを考え、2 割弱を置いた。
中立 36% タクシーは小幅の赤字が残り、利払い増が利益を食う 利益 22 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 700 円246 億円
人手不足は続き、タクシーの稼働台数は今の 95% に減る。運賃は物価並みに上がるが、人件費と採用費の上昇に追いつかず、利益率は 1.5% の赤字にとどまる。バスは沖縄の訪日客で 7% の利益率を保つ。
不動産は、分譲の戸数が人口減と金利上昇で今の 9 割に減る。再生は一時の山を過ぎ、売却は年 4〜5 件になる。賃貸は棟数が増え、賃料は物価に遅れて上がる。金融は残高を保つ。
会社全体の営業利益は 53 億円。ただし借り換えで金利が上がり、利払いが 17 億円ほど増えるため、純利益は 22 億円と今とほぼ同じ水準にとどまる。
配当は今の額で据え置かれ、純利益の 4 割強が配られる。創業家の支配は続き、非上場化の動きは出ない。ROE は 3% 台で、資本コストには遠く及ばない。
- タクシー事業:数量 5,138(稼働している営業車(台)=在籍車両 × 稼働率)× 価格 1,386(1 台あたりの年間売上(万円・名目。運賃改定を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 712 億円・営業利益 −11 億円。数量 0.95 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 -1.5%
- バス事業:数量 350(稼働している車両(台)=在籍 639 台 × 稼働率)× 価格 2,841(1 台あたりの年間売上(万円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 99 億円・営業利益 7 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 7.0%
- 不動産分譲:数量 795(引き渡し戸数(戸))× 価格 4,192(1 戸あたりの売上(万円・名目。建築費の上昇を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 333 億円・営業利益 18 億円。数量 0.90 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 5.5%
- 不動産再生:数量 4.5(売却する物件の数(件・推定))× 価格 22(1 件あたりの売却額(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 99 億円・営業利益 14 億円。数量 0.75 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 14.0%
- 不動産賃貸:数量 99.8(保有する賃貸ビルの棟数)× 価格 0.69(1 棟あたりの年間賃料収入(億円・名目。賃料は物価に遅れて上がる前提))→ 売上 68 億円・営業利益 29 億円。数量 1.05 倍、値段 1.30 倍、営業利益率 43.0%
- 不動産金融:数量 192(貸付残高(億円・実質=今の値段))× 価格 0.11(貸付 1 億円あたりの収入(億円。物価で貸付額が名目で増える分を含む))→ 売上 20 億円・営業利益 11 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 54.0%
- その他・調整(駐車場・本社費など):数量 513(契約・取引の件数(件・推定))× 価格 0.13(1 件あたりの売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 69 億円・営業利益 −16 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 -23.0%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 246 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:運賃改定は進むが人手不足で稼働率は上がりにくく、金利の上昇が利益を削る姿に収まりやすい。2 年続くタクシーの赤字と整合し、4 割弱を置いた。
やや悲観 28% 金利と人手不足で、利益の半分が消える 利益 12 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 423 円148 億円
人手不足が深刻になり、タクシーの稼働台数は今の 9 割に減る。運賃の改定は進まず、利益率は 2.5% の赤字に沈む。バスも採算が悪化する。
不動産は、金利の上昇で購入者の負担が増え、分譲は戸数が 12% 減る。再生は買値と売値の差が縮み、売却は年 4 件前後にとどまる。賃貸は稼働を保つが、賃料の上昇は物価に遅れる。
会社全体の営業利益は 35 億円。借り換えで利払いが 18 億円増え、純利益は 12 億円まで縮む。配当は据え置かれるが、余裕は乏しくなる。
財務はさらに薄くなる。自己資本は増えず、借金の返済は進まない。市場は、稼ぐ力が薄い複合会社として、資産価値を割り引いて評価する。
- タクシー事業:数量 4,867(稼働している営業車(台)=在籍車両 × 稼働率)× 価格 1,324(1 台あたりの年間売上(万円・名目。運賃改定を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 644 億円・営業利益 −16 億円。数量 0.90 倍、値段 1.28 倍、営業利益率 -2.5%
- バス事業:数量 333(稼働している車両(台)=在籍 639 台 × 稼働率)× 価格 2,714(1 台あたりの年間売上(万円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 90 億円・営業利益 5 億円。数量 0.95 倍、値段 1.28 倍、営業利益率 6.0%
- 不動産分譲:数量 777(引き渡し戸数(戸))× 価格 4,004(1 戸あたりの売上(万円・名目。建築費の上昇を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 311 億円・営業利益 16 億円。数量 0.88 倍、値段 1.28 倍、営業利益率 5.0%
- 不動産再生:数量 4.2(売却する物件の数(件・推定))× 価格 21(1 件あたりの売却額(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 88 億円・営業利益 11 億円。数量 0.70 倍、値段 1.28 倍、営業利益率 12.0%
- 不動産賃貸:数量 95.0(保有する賃貸ビルの棟数)× 価格 0.66(1 棟あたりの年間賃料収入(億円・名目。賃料は物価に遅れて上がる前提))→ 売上 63 億円・営業利益 26 億円。数量 1.00 倍、値段 1.25 倍、営業利益率 42.0%
- 不動産金融:数量 173(貸付残高(億円・実質=今の値段))× 価格 0.11(貸付 1 億円あたりの収入(億円。物価で貸付額が名目で増える分を含む))→ 売上 18 億円・営業利益 9 億円。数量 0.90 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 50.0%
- その他・調整(駐車場・本社費など):数量 513(契約・取引の件数(件・推定))× 価格 0.13(1 件あたりの売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 69 億円・営業利益 −16 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 -23.0%
倍率:純利益 11.8 億円・自己資本 578 億円・ROE 2.0%。稼ぐ力は 純利益 ÷ k = 131 億円で、売れる資産の残りより大きい方を置いた。今の自己資本 463 億円に PBR 0.283 倍を掛けた額(131 億円)。ROE が k を大きく下回るので、7 割へは引き上げない。EV÷営業利益は借金を含めて約 34 倍と高く、借金の重さが評価を抑える。売れる資産の床は 80 億円で、稼ぐ力の 131 億円のほうが大きいため後者を置いた。
確率:金利が想定より速く上がり、タクシーの赤字が続き、分譲と再生も鈍る姿。薄い財務と固定金利比率の低さを考え、3 割弱を置いた。
悲観 12% 構造的な負け。ライドシェアと金利で、複合経営が崩れる 利益 −17 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 228 円80 億円
ライドシェアが解禁され、タクシーの運賃と稼働率が大きく落ちる。稼働台数は今の 8 割に減り、利益率は 5% の赤字になる。バスも補助に頼る路線が増える。
不動産は、金利の急上昇で分譲が冷え込み、戸数は今の 7 割に落ちる。再生は買い手がつかず、在庫が積み上がる。担保不動産の価格が下がり、金融は貸倒れが出る。賃貸も稼働が下がる。
会社全体の営業利益は赤字に沈み、利払いは 15 億円増える。純利益は 17 億円の赤字で、自己資本は減損を含めて大きく減る。借り換えが難しくなり、資産の売却を迫られる。
配当は大きく減る。創業家は支配を保つが、少数株主の取り分は借金を払った後の残りに限られる。
- タクシー事業:数量 4,326(稼働している営業車(台)=在籍車両 × 稼働率)× 価格 1,189(1 台あたりの年間売上(万円・名目。運賃改定を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 515 億円・営業利益 −26 億円。数量 0.80 倍、値段 1.15 倍、営業利益率 -5.0%
- バス事業:数量 315(稼働している車両(台)=在籍 639 台 × 稼働率)× 価格 2,438(1 台あたりの年間売上(万円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 77 億円・営業利益 2 億円。数量 0.90 倍、値段 1.15 倍、営業利益率 3.0%
- 不動産分譲:数量 618(引き渡し戸数(戸))× 価格 3,441(1 戸あたりの売上(万円・名目。建築費の上昇を含め物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 213 億円・営業利益 2 億円。数量 0.70 倍、値段 1.10 倍、営業利益率 1.0%
- 不動産再生:数量 3.0(売却する物件の数(件・推定))× 価格 17(1 件あたりの売却額(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 52 億円・営業利益 4 億円。数量 0.50 倍、値段 1.05 倍、営業利益率 7.0%
- 不動産賃貸:数量 90.3(保有する賃貸ビルの棟数)× 価格 0.55(1 棟あたりの年間賃料収入(億円・名目。賃料は物価に遅れて上がる前提))→ 売上 50 億円・営業利益 18 億円。数量 0.95 倍、値段 1.05 倍、営業利益率 36.0%
- 不動産金融:数量 144(貸付残高(億円・実質=今の値段))× 価格 0.08(貸付 1 億円あたりの収入(億円。物価で貸付額が名目で増える分を含む))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。数量 0.75 倍、値段 1.00 倍、営業利益率 35.0%
- その他・調整(駐車場・本社費など):数量 513(契約・取引の件数(件・推定))× 価格 0.13(1 件あたりの売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 69 億円・営業利益 −14 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 -20.0%
倍率:稼ぐ力は赤字で、売れる資産(総資産の 8 割回収から負債を引いて 80 億円)が値段の下限になる。床の 80 億円を今の自己資本 463 億円で割った PBR 0.173 倍に置く。減損後の自己資本 387 億円でなく今の自己資本に掛けた。
確率:ライドシェアの解禁、金利の急上昇、不動産市況の悪化が重なり、財務の薄さが一気に表れる姿。借金が重いことを考え、1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
タクシー事業
法人タクシー。34 都道府県で 119 社・208 営業所、車両 7,759 台。
| 数量稼働している営業車(台)=在籍車両 × 稼働率 | 価格1 台あたりの年間売上(万円・名目。運賃改定を含め物価 10 年 1.34 倍が中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,408 | 1,034 | 559 | −16 |
| 10 年後 中立 | 5,138 | 1,386 | 712 | −11 |
取り方:期末在籍 7,759 台に稼働率 69.7% を掛けて稼働 5,408 台とし、売上 559 億円を割って 1 台あたり約 1,034 万円とした(稼働率は普通車の数字を全体に当てはめた概算)。売上・損失は決算のセグメント数字。
バス事業
沖縄の路線・貸切バスを中心に、福岡・山口・島根・広島・大阪で貸切を運行。
| 数量稼働している車両(台)=在籍 639 台 × 稼働率 | 価格1 台あたりの年間売上(万円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 350 | 2,120 | 74 | 6 |
| 10 年後 中立 | 350 | 2,841 | 99 | 7 |
取り方:在籍 639 台に稼働率 54.7% を掛けて稼働 350 台とし、売上 74.2 億円を割って 1 台あたり約 2,120 万円とした。売上・利益は決算のセグメント数字。
不動産分譲
マンション「グランドパレス」シリーズと戸建の分譲。九州・沖縄・愛知が中心。
| 数量引き渡し戸数(戸) | 価格1 戸あたりの売上(万円・名目。建築費の上昇を含め物価 10 年 1.34 倍が中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 883 | 3,128 | 276 | 10 |
| 10 年後 中立 | 795 | 4,192 | 333 | 18 |
取り方:マンション引き渡し 814 戸と戸建 69 戸の合計 883 戸。売上 276 億円(土地売却などを含む)を割って 1 戸あたり約 3,128 万円とした(目安)。売上・利益は決算のセグメント数字。
不動産再生
中古ビルなどの取得・改修・売却。2026 年 3 月期は那覇市の再開発物件の持分売却が効いた。
| 数量売却する物件の数(件・推定) | 価格1 件あたりの売却額(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.0 | 16 | 99 | 17 |
| 10 年後 中立 | 4.5 | 22 | 99 | 14 |
取り方:件数は開示されない。売却額の平均を 1 件 16 億円強と仮定し、売上 99 億円から 6 件と推定した。前期の売上は 43 億円で、年による振れが大きい。売上・利益は決算のセグメント数字。
不動産賃貸
飲食ビルを中心とする賃貸ビル 95 棟と、管理物件 2,087 戸。
| 数量保有する賃貸ビルの棟数 | 価格1 棟あたりの年間賃料収入(億円・名目。賃料は物価に遅れて上がる前提) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 95.0 | 0.53 | 50 | 23 |
| 10 年後 中立 | 99.8 | 0.69 | 68 | 29 |
取り方:有価証券報告書の 95 棟と売上 50.1 億円から 1 棟 0.53 億円とした(管理戸数の賃料を含む目安)。利益は中間決算の 11.4 億円を 2 倍した推定で、通期の開示ではない。
不動産金融
不動産を担保にした貸付。残高は 192 億円。
| 数量貸付残高(億円・実質=今の値段) | 価格貸付 1 億円あたりの収入(億円。物価で貸付額が名目で増える分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 192 | 0.08 | 15 | 8 |
| 10 年後 中立 | 192 | 0.11 | 20 | 11 |
取り方:貸付残高 192.4 億円に対し、収入 15.2 億円から利回りを 7.9% とした。売上・利益は決算のセグメント数字。
その他・調整(駐車場・本社費など)
駐車場の運営(ダイイチパーク)、その他の事業、本社費、内部取引の消去。
| 数量契約・取引の件数(件・推定) | 価格1 件あたりの売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 513 | 0.10 | 51 | −12 |
| 10 年後 中立 | 513 | 0.13 | 69 | −16 |
取り方:連結売上 1,125 億円からセグメント合計 1,074 億円を引いた 51 億円を置いた。1 件あたり 0.1 億円と仮定した件数は目安。利益は連結営業利益 35.8 億円から各セグメントの合計(賃貸は推定)を引いた差で、本社費の負担を含む。
リスクと懸念
金利上昇で利払いが増える
純有利子負債は 1,086 億円で、長期借入のうち固定金利は 26.5% にとどまる。借り換えのたびに金利が 3.5% 前後に上がれば、10 年で利払いが 20 億円近く増え、今の純利益と同じ規模の負担になる。営業利益は支払利息の 3 倍に届かず、金利の上昇は株主の取り分を直接削る。
タクシーの赤字が続く
タクシー事業は 2 期連続の赤字で、2026 年 3 月期は 16 億円の損失だった。乗務員の採用と教育の費用、燃料費の高止まりが、運賃改定の効果を食っている。人手不足で稼働率が上がらず、時間外労働の規制で乗務員の確保がさらに難しくなる。赤字が続けば、不動産の稼ぎを食いつぶす。
ライドシェアと配車アプリ
日本版ライドシェアが一部で始まり、全面解禁や海外事業者の参入が議論されている。実現すれば、タクシーの運賃と稼働率が影響を受ける。配車アプリの手数料も収益を削る。タクシーの価値が長期で下がる可能性は、事業の寿命の不安として残る。
不動産の利益の振れと市況
分譲の利益は 1 年で 64% 減り、再生は前期の 2 倍以上になった。毎年の利益は仕入れと売りの時期に左右される。金利が上がれば購入者の負担が増して分譲が鈍り、買取価格と売却価格の差が縮んで再生の採算も悪化する。担保不動産の価格が下がれば、金融の貸倒れも出る。
創業家による支配
創業家系の会社が議決権の約 5 割を持つ。少数株主の意見は経営に反映されにくく、配当は 4 年以上据え置かれてきた。非上場化の提案が出た場合、少数株主が不利な値段で手放すおそれもある。意思決定の速さは長所だが、ガバナンスの外部の目は弱い。
更新投資の膨らみ
タクシーの車両は毎年買い替えが要り、賃貸ビルの更新も建築費の上昇で膨らむ。既存の設備の減価償却は取得時の値段のままで、会計の利益は物価ほど膨らまない。一方、更新の現金は新しい値段で出ていくため、利益より現金が細る。含み益の大きさが開示されていない点にも注意がいる。
今後の分かれ目
- タクシー事業が黒字化し、2 期続けて維持されたら
- 本業の改善とみて、中立のタクシー利益率を上げ、楽観側の確率を厚くする。
- 借入の固定金利比率が 50% を超えて上がり、金利上昇の影響が和らいだら
- 利払いの前提を軽くし、中立の純利益を上方に直す。
- 創業家による株式公開買付け(非上場化)が発表されたら
- 提示額を本質価値と比べる。借金の重さを考えると、提示額が割高に見えうる点に注意する。
- 日本版ライドシェアが全面解禁に動いたら
- タクシーの寿命の不安が現実になる。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 不動産分譲の引き渡し戸数が 2 期続けて減り、金利が購入者の負担を増やしたら
- 分譲の数量の前提を下げる。やや悲観の確率を上げる。
- 配当を引き上げ、自社株買いを始めたら
- 資本の使い方が株主に向いたと判断し、還元の前提を引き上げる。
見ておくもの
- タクシーの稼働率と、セグメント損益の黒字化
- 借入金の総額・固定金利比率・支払利息
- 分譲の引き渡し戸数と再生の売却時期(四半期)
- 日本版ライドシェアの制度の動きと配車アプリの手数料
- 創業家の資産管理会社の持株と、非上場化の兆し
倍率と資本コストの決め方
数量は稼働台数・戸数・棟数・件数などの推定(平均単価を仮定)、価格は 1 単位あたりの売上の名目値(物価 10 年 1.34 倍が基本)で、今の株価から逆算していない。賃貸の通期利益とその他の調整は推定。倍率は利益ベース。事業の ROE は中立で約 3% と資本コスト 9%(基本 7.5% + quality 2.0%)を大きく下回り、正当化 PER の上限は 1÷k の 10.5 倍で、中立はその 8 割の 8.4 倍に置いた。今の PBR(0.57 倍)に寄せたわけではなく、利益の低さと借金の重さから置いた。EV÷営業利益は中立で 24 倍と 20 倍を超えるが、金融事業の借入 192 億円を除いても約 20 倍で、倍率を抑える理由として why に書いた。やや悲観は稼ぐ力(純利益÷k)、悲観は総資産の 8 割回収・負債の全額払いで置き、過去の PBR の底は使っていない。含み益(簿価と時価の差)は開示がなく、賃貸の稼ぎを利益に残しているので、別に足していない(二重を避けた)。減価償却は物価で増やさず、新しく買う車両・ビルの分だけ加わる前提で、更新投資が現金を細らせる点を利益の見方に入れた。金利は借り換えで 3.5% に上がるとし、約 17 億円の増加を純利益に入れた。新リース会計の影響は未確認で、今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 2.0% = 9.5%。理由は quality_why。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。