結論
京福電気鉄道は、京都の嵐電(嵐山線・北野線)やバス、タクシーを運ぶ会社だが、利益を稼ぐのは電車ではない。営業利益 24 億円のうち 17.5 億円、7 割が不動産賃貸だ。筆者の結論は「やや割高」。事業は堅いが、稼いだ利益がほとんど株主に戻らない。
運輸は売上の半分を占めながら、利益は 5 億円にとどまる。バスの人手不足と運賃認可の遅れが利益率を押さえる。前期の営業利益率 16.3% は過去最高で、観光の山に乗った数字だ。会社自身が今期の経常利益を 17% 減と見ている。
資本政策は特徴がある。京阪ホールディングスが議決権の 43% を持ち、配当の総額は 0.4 億円と、純利益の 2% しかない。利益のほぼ全部が社内に積み上がり、自己資本は 143 億円と時価総額を上回る。
積み上げた資本が高い利回りで回るなら、評価に値する。だが、物件の買い増しの利回りは本体の稼ぎより低いと筆者は見る。筆者は、完全子会社化の期待は織り込まない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「利益を稼ぐ力」と「利益を株主に回す力」を分けて見る。
稼ぐ力は悪くない。京都の土地を持つ不動産が、安定した利益を生む。運輸は薄利だが赤字ではない。
問題は回す力だ。親会社が 43% を持ち、利益のほとんどを社内に溜める。溜めた資本が、元の事業と同じ利回りで回れば問題はない。だが、買い足すのは関西のビルとマンションで、京都の古い土地ほどは稼がない。
10 年後、中立で営業利益は 28 億円と今より増えるが、自己資本が 300 億円を超え、ROE は 6% 台に下がる。稼ぎが増えても、資本の効率が落ちれば、株主の取り分は増えにくい。
安全域は PBR 1 倍に近い点にあるが、ROE が k に届かない会社で、帳簿を価値の根拠にはできない。
好ましい点は、財務が堅く、借金がほとんどない点だ。気になる点は、資本の使い道を少数株主が決められない点である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの構造は三つに分かれる。
運輸業は売上 79 億円で、利益は 4.8 億円。嵐電の鉄軌道は売上 16 億円(年間 844 万人)と小さく、バスが 54 億円、タクシーが 9.5 億円を占める。バスは京都の路線を持つが、人手不足で運転手の確保が課題だ。電車の運賃は国の認可制で、コストの上昇には遅れて追いつく。
不動産業は売上 59 億円で、利益は 17.5 億円と利益率 30%。嵐山駅前の商業施設など、京都に古くから持つ土地と、近年買い足した大阪府の高槻・茨木のビルやマンションが中心だ。
レジャー・サービスは売上 12.6 億円で、ケーブルカーとロープウェイなどの観光施設。利益は 1.9 億円。
従業員は連結で 569 人だが、臨時雇用が 406 人いる。運輸が 486 人を占め、人手が売上の上限を決める。平均年収は 499 万円と低く、賃金の上昇圧力は強い。
受注の波は小さい事業だが、観光客の増減は運輸・レジャー・商業賃貸のすべてに響く。嵐山は海外客に人気があり、運輸の定期外の人数は伸びている。一方、定期の通勤・通学は人口減で減っている。
優良さと弱いところ
優良さは「中」と見る。強みは不動産だ。京都の嵐山の土地は代わりが利かず、賃貸は安定して稼ぐ。簿価は低いまま保たれており、利回りは高い。財務も健全で、有利子負債は EBITDA の 1.4 倍、自己資本比率は 54% ある。
弱みは三つある。一つ目は運輸の薄利で、営業利益率は 6% に届かず、補助金なしでは苦しい年が出る。二つ目は京都一極への集中で、観光の波が運輸・レジャー・商業賃貸のすべてに響く。三つ目は資本の使い方で、配当を 2% しか出さず、稼ぎを溜めている。
経営の意思が親会社の京阪ホールディングスの方針に左右される点も弱みだ。少数株主は配当や自社株買いを決められない。
買収の実績は関西のビルとマンションの取得で、規模は小さい。取得の利回りは公開されておらず、資本配分が優れているかは確かめにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の鉄道・バスは、人口減で数量は実質で伸びない。運賃改定は人件費の上昇を理由に各社が進めているが、国の認可を経るため、費用に遅れてしか追いつかない。
京都は例外的に観光で数量が戻った。嵐山は海外客に人気があり、嵐電の定期外の利用は伸びている。ただし、観光は景気や為替、海外の旅行制限で大きく振れる。2021 年 3 月期のように、赤字に落ちた年もある。
不動産賃貸は、京都の観光立地が強い。一方で、関西のビルやマンションは競争が激しく、利回りは京都の古い土地より低い。
競合は、京都市交通局や京阪電車、阪急などの大手と、地域のバス会社だ。嵐山線は嵐山への唯一の路線ではなく、JR と阪急も嵐山に入る。
業界全体では、人手不足と運賃改定、観光の山谷が焦点になる。
京都市内のバスは、運転手の確保が最大の課題になっている。減便や路線の廃止は、観光地の混雑対策と並んで進む。電車では、嵐電のように観光客が主役の路線は、運賃を上げやすい。運賃の改定は国の認可で、人件費の上昇を理由に各社が申請している。観光地では、混雑対策の費用も増える。
資本政策と M&A
資本政策は、この会社で最も気になる点だ。京阪ホールディングスが議決権の 43.47% を持つ親会社で、配当は期末のみで、総額 0.4 億円。純利益 18 億円の 2% にとどまる。方針は「株主への還元と内部留保の充実」だ。
内部留保は借入の返済と設備投資に回っている。純有利子負債は 63 億円(2015 年)から 31 億円へ減った。次の期の設備投資は 38 億円で、不動産と運輸の更新が柱。投資の利回りは開示されていない。
中期経営計画は 2030 年度の営業利益 20 億円、純利益 10 億円以上を目標にし、すでに超えている。新しい計画は見当たらない。
株主優待は、590 株以上の株主に乗車証を出す。必要な投資額が大きく、対象は限られる。費用は年 1 億円に届かず、還元に数えても差は 1 ポイントに満たない。
賃貸不動産の時価は有価証券報告書に開示がなく、含み益は数えていない。賃貸の稼ぎは利益に入っているため、含み益を足すと二重になる。親会社が完全子会社化を考える可能性は残る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
京都の嵐山の土地は代わりが利かない。不動産の利益率は 30%、営業利益 17.5 億円は安定して稼ぎ、観光の追い風もある。
財務は健全で、有利子負債は EBITDA の 1.4 倍、自己資本比率は 54%。純有利子負債は 10 年で半分になり、近く純現金に転じる。
配当が 2% しかないのは、裏を返せば利益の 98% が会社に残っているということだ。この資本が不動産に回れば、利益は毎年積み上がる。時価総額は自己資本を下回っており、帳簿の厚みがそのまま安全域になる。
前期の純利益は 18 億円で、時価総額の 14% にあたる。益回りは高く、親会社の京阪ホールディングスによる完全子会社化もあり得る。
加えて、嵐山の観光は海外客が牽引する。京都の宿泊需要が強く、物価の上昇を価格に乗せやすい。運輸の赤字リスクは、不動産の厚い利益が吸収する。
時価総額は、不動産の稼ぎだけで測っても、一定の水準が見える。運輸が赤字になっても、全体の利益は大きく崩れない。
慎重な見方
稼ぎの 7 割が不動産、残りの運輸は薄利という構造は、観光の山に乗った今が頂点だと見るべきだ。前期の営業利益率 16.3% は過去最高で、会社自身が今期の経常利益を 17% 減と見る。
配当は純利益の 2%、自社株買いもない。43% を持つ親会社の京阪ホールディングスが、少数株主のために配当を増やす理由はない。溜めた利益は帳簿を膨らませるだけで、ROE は 12% から 6% 台に落ちる。
関西のビルとマンションの買い足しは、利回りの開示がなく、資本配分の巧拙を確かめられない。物件価格は金利の上昇で下がる可能性もある。
運輸は運転手不足と運賃認可の遅れで、利益率が 4% 台に張りつく。観光が崩れれば、運輸・レジャー・商業賃貸がそろって落ちる。
加えて、観光の追い風が止まった場合に、運輸の固定費が利益を食う。運転手の賃金が上がり続ける中で、補助金に頼れない構造は弱い。
親会社の方針で完全子会社化が決まれば、買付価格は事業の稼ぎを基準にした水準にとどまる可能性が高く、少数株主の果実は限られる。
どちらに重みを置いたか
不動産の質は評価するが、資本が株主に戻らない点と、観光が山にある点を同じ強さで見た。完全子会社化の可能性は確率に入れず、事業の稼ぎだけで測った。確率は中立を厚く、やや悲観を 3 割弱、悲観を 1 割強に置いた。
親会社が完全子会社化に動く場合の価格は、本質価値と同じとは限らない。そのため、その可能性は確率に入れなかった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 14,026 円279 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,142 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 7,435 円148 億円、今との差 +15.1%、 期待の年率 +8.9%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 22,984 円457 億円 | 2,265 円45 億円 | +290.8% | +14.6% | 1,515 円30 億円 |
| やや楽観 | 17% | 19,338 円384 億円 | 1,761 円35 億円 | +226.6% | +12.6% | 3,587 円71 億円 |
| 中立 | 37% | 17,796 円354 億円 | 1,258 円25 億円 | +195.0% | +11.4% | 7,050 円140 億円 |
| やや悲観 | 28% | 8,521 円169 億円 | 755 円15 億円 | +43.6% | +3.7% | 2,597 円52 億円 |
| 悲観 | 12% | 3,241 円64 億円 | 252 円5 億円 | −45.9% | −6.0% | 419 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 14,026 円279 億円 | 1,142 円23 億円 | +134.8% | +8.9% | 15,168 円301 億円 |
今の株価時価総額 6,460 円128 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 京都の賃貸と観光が強く、買い増した物件も稼ぐ 利益 29 億円 · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 22,984 円457 億円
京都の観光は人数が戻るだけでなく、客単価が上がる。嵐山の賃貸は満室が続き、賃料は物価並みに上がる。買い増した関西のビルやマンションが、新しい稼ぎになる。
不動産の利益率は 30% を保ち、賃貸面積は 3 割増える。運輸は運賃改定が通り、営業利益率は 7% に上がる。
内部留保は物件に回り、資本が眠らない。営業利益は 40 億円近くと、今の 1.6 倍になる。
この筋書きでは、京都の観光が強いまま続き、買い足した物件も想定どおり稼ぐ。運輸の運賃改定も通り、全部がうまく回る。賃貸面積の買い増しが進み、関西の物件の利回りも京都に近づく。
- 運輸業:数量 3,212(電車・バス・タクシーの年間利用者数(万人。電車は開示、バスとタクシーは売上からの推定))× 価格 0.03(1人あたりの運輸収入(億円/万人、名目。3 事業を合わせた実効単価))→ 売上 108 億円・営業利益 8 億円。運輸 量 1.00 倍・価格 1.36 倍、利益率 7.0%
- 不動産業:数量 26.0(賃貸収益面積(万平方メートル。推定))× 価格 3.97(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円、名目))→ 売上 103 億円・営業利益 31 億円。不動産 量 1.30 倍・価格 1.34 倍、利益率 30.0%
- レジャー・サービス:数量 115(年間の利用・来場者数(万人。推定))× 価格 0.17(1人あたり売上(億円/万人、名目。推定))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。レジャー 量 1.15 倍・価格 1.34 倍、利益率 16.0%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.2 倍。全体の PER 15.19 倍、時価総額 434 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:京都の観光と賃料が強く、関西の物件の買い増しも当たる筋書き。内部留保を物件に回す路線が実を結ぶ必要があり、低く置いた。
やや楽観 17% 観光が底堅く、賃貸が物価並みに伸びる 利益 25 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 19,338 円384 億円
京都の観光は人数を保ち、嵐山の賃貸は満室が続く。賃料は物価よりやや低い伸びで上がる。関西の物件の買い増しは 2 割弱にとどまる。
運輸は人口減で電車・バスの人数が実質で 2% 減るが、運賃改定で補う。営業利益率は 6% 台。
営業利益は 33 億円ほどで、今の 1.4 倍になる。ただ、内部留保が増える分、ROE は 8% 台に下がる。
配当は少しずつ増えるが、内部留保が大半を占める点は変わらない。運輸は人口減で人数が減るが、運賃改定と観光客が補い、赤字には落ちない。不動産の買い増しも、会社の計画の範囲で進む。
- 運輸業:数量 3,148(電車・バス・タクシーの年間利用者数(万人。電車は開示、バスとタクシーは売上からの推定))× 価格 0.03(1人あたりの運輸収入(億円/万人、名目。3 事業を合わせた実効単価))→ 売上 104 億円・営業利益 6 億円。運輸 量 0.98 倍・価格 1.34 倍、利益率 6.0%
- 不動産業:数量 23.6(賃貸収益面積(万平方メートル。推定))× 価格 3.85(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円、名目))→ 売上 91 億円・営業利益 26 億円。不動産 量 1.18 倍・価格 1.30 倍、利益率 29.0%
- レジャー・サービス:数量 105(年間の利用・来場者数(万人。推定))× 価格 0.17(1人あたり売上(億円/万人、名目。推定))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。レジャー 量 1.05 倍・価格 1.32 倍、利益率 14.0%
倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 15 倍、時価総額 372 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:観光客数が高止まりし、賃料が物価並みに上がる。会社の中計の延長線上で、実績の成長率に近いので 2 割弱に置いた。
中立 37% 観光は高止まりから戻り、運輸は薄利のまま。内部留保で資本は膨らむ 利益 21 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 17,796 円354 億円
京都の観光は今の山から少し戻る。運輸の人数は実質で 5% 減り、運賃は物価に少し遅れて上がる。営業利益率は 4% 台にとどまる。
不動産は面積が 8% 増える。賃料は新規と更新のときにしか改定できず、物価に遅れて追うため、10 年で 26% の上昇にとどまる。利益率は 27% 台に下がる。物価で費用も上がり、賃料がそれに追いつききれないためだ。
営業利益は 28 億円ほどで、利益率は 14% 台。会社の目標(営業利益 20 億円)を上回る。
ただ、配当をほとんど出さないので、自己資本は 310 億円まで膨らみ、ROE は 6% 台に下がる。稼ぎは増えるが、資本の効率は落ちる 10 年である。
会社の今期予想(営業利益 20 億円)は、この筋書きの出発点の低さを示すが、10 年では物価で利益が増える。
- 運輸業:数量 3,051(電車・バス・タクシーの年間利用者数(万人。電車は開示、バスとタクシーは売上からの推定))× 価格 0.03(1人あたりの運輸収入(億円/万人、名目。3 事業を合わせた実効単価))→ 売上 99 億円・営業利益 5 億円。運輸 量 0.95 倍・価格 1.32 倍、利益率 4.5%
- 不動産業:数量 21.6(賃貸収益面積(万平方メートル。推定))× 価格 3.73(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円、名目))→ 売上 81 億円・営業利益 22 億円。不動産 量 1.08 倍・価格 1.26 倍、利益率 27.5%。賃料は新規と更新のときにしか改定できず、物価に遅れて追うため物価(1.34 倍)に届かない
- レジャー・サービス:数量 100(年間の利用・来場者数(万人。推定))× 価格 0.16(1人あたり売上(億円/万人、名目。推定))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。レジャー 量 1.00 倍・価格 1.30 倍、利益率 11.0%
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍。全体の PER 14.15 倍、時価総額 296 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:観光は今の山から少し戻し、賃料は物価に届かない伸び。会社の今期予想(営業利益 20 億円)と過去の山(営業利益率 16%)の中間に落ち着く最も標準的な姿。
やや悲観 28% 観光が細り、賃料の伸びも止まる 利益 14 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 8,521 円169 億円
観光客の増加が止まり、運輸の人数は実質で 12% 減る。運賃改定は人件費の上昇に追いつかず、営業利益率は 2% 台に落ちる。
不動産は面積が横ばいで、賃料は 15% 上がるにとどまる。利益率は 24% に下がる。レジャーは人数が 1 割減る。
営業利益は 19 億円ほどと、今の 8 割にとどまる。ROE は 5% 台で、k に届かない。配当は少額のまま、内部留保だけが積み上がる。
配当は少額のまま、内部留保は増え続ける。資本の効率が下がる。関西のビルやマンションは金利上昇で価格が下がり、買い増しの利回りも低くなる。新しい物件の取得は慎重になる。
- 運輸業:数量 2,827(電車・バス・タクシーの年間利用者数(万人。電車は開示、バスとタクシーは売上からの推定))× 価格 0.03(1人あたりの運輸収入(億円/万人、名目。3 事業を合わせた実効単価))→ 売上 87 億円・営業利益 2 億円。運輸 量 0.88 倍・価格 1.25 倍、利益率 2.5%
- 不動産業:数量 20.0(賃貸収益面積(万平方メートル。推定))× 価格 3.41(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円、名目))→ 売上 68 億円・営業利益 16 億円。不動産 量 1.00 倍・価格 1.15 倍、利益率 24.0%。賃料は新規と更新のときにしか改定できず、物価に遅れて追うため物価(1.34 倍)に届かない
- レジャー・サービス:数量 90.0(年間の利用・来場者数(万人。推定))× 価格 0.15(1人あたり売上(億円/万人、名目。推定))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。レジャー 量 0.90 倍・価格 1.20 倍、利益率 8.0%
倍率:ROE 4.7%。ROE が k 7.75% を下回るので上限は 1÷k = 12.5 倍。RONIC = 8.0% + 1/2 ×(4.7% − 8.0%)= 6.4%、g 4% の正当化 PER は 8.8 倍。利益の質が落ちる筋書きなので約 9 割に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 8.3 倍・時価総額 113 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:観光が一巡し、人口減で運輸が細る。賃料も物価に届かない。小さく京都に集中した会社として、中立に近い厚みで置いた。
悲観 12% 観光が崩れ、バス網が縮み、賃貸も下がる 利益 6 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 3,241 円64 億円
構造的に負ける。観光の需要が長く戻らず、バス網は人口減で縮み、運輸は赤字になる。運賃改定は認可に時間がかかり、人件費の上昇に追いつかない。
不動産は面積を 1 割減らし、賃料は据え置きに近づく。レジャーは人数が 4 分の 1 減る。
営業利益は 9 億円ほどで、純利益は 6 億円にとどまる。事業の稼ぎでは値が付かず、賃貸物件の売れる価値が値の支えになる。
ROE は 3% 台に落ちる。配当は縮み、親会社の意向で完全子会社化も議論される。この姿でも、嵐山の土地と賃貸物件は残る。親会社が持つ議決権の影響で、少数株主の取り分はさらに限られる。
- 運輸業:数量 2,409(電車・バス・タクシーの年間利用者数(万人。電車は開示、バスとタクシーは売上からの推定))× 価格 0.03(1人あたりの運輸収入(億円/万人、名目。3 事業を合わせた実効単価))→ 売上 68 億円・営業利益 −1 億円。運輸 量 0.75 倍・価格 1.15 倍、利益率 -1.0%
- 不動産業:数量 18.0(賃貸収益面積(万平方メートル。推定))× 価格 2.96(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円、名目))→ 売上 53 億円・営業利益 10 億円。不動産 量 0.90 倍・価格 1.00 倍、利益率 18.0%。賃料は新規と更新のときにしか改定できず、物価に遅れて追うため物価(1.34 倍)に届かない
- レジャー・サービス:数量 75.0(年間の利用・来場者数(万人。推定))× 価格 0.14(1人あたり売上(億円/万人、名目。推定))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。レジャー 量 0.75 倍・価格 1.10 倍、利益率 3.0%
倍率:構造的に優良でなくなった姿。稼ぐ力(純利益 ÷ k)は 75 億円ほどで、純資産の半分に届かない。売れる資産の税後は約 62 億円。減損で自己資本を 143 億円(今の水準)に抑え、PBR 0.45 倍で床の近くに置いた。
確率:観光の需要が構造的に縮み、運輸が赤字になる筋書き。2021 年 3 月期に赤字を出した前例があり、京都一極に集中する会社なので 1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
運輸業
京都の電車(嵐電ほか)、京福バス、タクシー。補助金に頼らないが、利益は薄い。
| 数量電車・バス・タクシーの年間利用者数(万人。電車は開示、バスとタクシーは売上からの推定) | 価格1人あたりの運輸収入(億円/万人、名目。3 事業を合わせた実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,212 | 0.02 | 79 | 5 |
| 10 年後 中立 | 3,051 | 0.03 | 99 | 5 |
取り方:運輸業の売上 79.1 億円・営業利益 4.8 億円(有報)。利用者は電車 844 万人(開示)、バス約 2,330 万人(売上 53.6 億円を 1 人あたり 0.023 万円とみた推定)、タクシー約 38 万人(売上 9.5 億円を 1 回あたり 0.25 万円とみた推定)の合計 3,212 万人。単価は売上 ÷ 利用者。
不動産業
嵐山などの京都の賃貸、関西のオフィスビル・マンションの保有と賃貸。会社の利益の 7 割を稼ぐ。
| 数量賃貸収益面積(万平方メートル。推定) | 価格1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20.0 | 2.96 | 59 | 18 |
| 10 年後 中立 | 21.6 | 3.73 | 81 | 22 |
取り方:不動産業の売上 59.3 億円・営業利益 17.5 億円(有報、賃貸が大半)。面積は開示がなく、賃貸物件の平均賃料を 1 平方メートル年 3 万円弱とみた推定で 20 万平方メートル。売上 ÷ 面積で 1 万平方メートルあたり 2.96 億円。
レジャー・サービス
ケーブルカーとロープウェイ(鋼索線・架空索道)、観光関連サービス。規模は小さい。
| 数量年間の利用・来場者数(万人。推定) | 価格1人あたり売上(億円/万人、名目。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.13 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.16 | 16 | 2 |
取り方:レジャー・サービスの売上 12.6 億円・営業利益 1.9 億円(有報)。利用者は開示がなく、1 人あたり 0.126 万円とみた推定で 100 万人。
リスクと懸念
観光の山と京都一極
前期の営業利益率 16.3% は過去最高で、観光の山に乗っている。会社も今期の経常利益を 17% 減と見る。運輸・レジャー・商業賃貸のすべてが京都の観光に連動する。
資本が株主に戻らない
配当は純利益の 2% で、総額 0.4 億円。親会社が 43% を持ち、少数株主が還元を決められない。内部留保が膨らむと ROE が下がり、評価が伸びにくい。
運輸の薄利と人手不足
運輸は売上の半分で利益は 5 億円。運転手不足で路線を維持できなくなる恐れがある。運賃は認可制で、人件費の上昇に遅れて追いつく。
買い足した物件の利回り
関西のビルやマンションの利回りは開示がない。金利の上昇で物件価格が下がれば、資産の質が問われる。次の期の設備投資は 38 億円。
親会社の意向
京阪ホールディングスの方針に経営が左右される。完全子会社化の可能性も残るが、その価格が本質価値に見合う保証はない。
AI エージェント代替
運輸は運転手と駅員、不動産は物件管理が中心で、現場の体の仕事だ。事務の部分は効率化されるが、全体への影響は小さいとみて、k と数量には効かせていない。
今後の分かれ目
- 次の期の営業利益が会社予想(20 億円前後)を下回ったら
- 観光の山が終わったとみて、やや悲観・悲観の確率を引き上げる。
- 配当が増額され、配当性向が 20% を超えたら
- 少数株主への還元に動いたとみて、現金の戻り方と楽観寄りの確率を上げる。
- 京阪ホールディングスが完全子会社化や TOB を発表したら
- 買付価格と条件を、本質価値と比べて見直す。
- 新しい中期経営計画で買い足しの利回りが開示されたら
- 資本配分の巧拙を確かめ、RONIC の置き方を見直す。
- バスの路線廃止や減便が相次いだら
- 運輸の人手不足が深刻とみて、運輸の数量と利益率を下げて見直す。
見ておくもの
- 不動産セグメントの営業利益と賃貸面積
- 運輸業の営業利益率と電車の定期外人員
- 配当性向と自社株買いの有無
- 設備投資の内訳(物件の取得)
- 親会社(京阪ホールディングス)の方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROE が k 7.75% を下回る中立で式の正当化 PER(11.4 倍)から置き、親会社が 43% を持ち配当が 2% と低い点で上限の約 83% の 9.5 倍とした。悲観側は稼ぐ力と売れる資産で測った。今の株価や同業の PER は倍率の根拠にしていない。完全子会社化の可能性は確率に入れていない。新リース会計基準による数字の形の変化は、10 年後も今の形にそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→15.19 倍・やや楽観 PER 9.8→15 倍・中立 PER 9.5→14.15 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.5% = 8.0%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。