結論
西日本鉄道(西鉄)は、福岡・北九州・久留米を走る電車とバスを土台に、国際物流、不動産、ホテル、スーパーまで抱える九州随一の複合企業である。2026年3月期の営業利益は302億円。稼ぎは分散していて、利益の柱は不動産と国際物流だ。肝心の運輸は人件費の上昇で利益が細っている。
筆者の結論は、今の値段は適正の近くにある、というものだ。理由は二つある。ひとつは、利益が名目で伸びても、ROE が資本コストを下回る姿が中心になること。もうひとつは、会社自身が借金を増やして再開発に突っ込む計画で、金利上昇の重みがそこに乗ることだ。
福岡の再開発は本物の成長源である。天神二丁目南や家庭裁判所跡地は2030年前後に開き、九州大学の箱崎キャンパス跡地は2036年度に概成する。ただし、これは先に金が出て、あとから稼ぐ仕事だ。
国際物流は景気で振れる。今期は好調だが、会社が掲げる航空輸出の3割増しを、筆者はそのまま信じない。鉄道運賃は2026年4月に約11%上がる。それでも運輸の利益率は5%を超えない。
中立の見立てでは、10年後の営業利益は約500億円。純利益は約290億円にとどまる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、西鉄は「いい土地を持つ、設備の重い会社」である。土地は強い。福岡の天神と博多の中心を、鉄道とバスで結ぶ構造は、10年後も価値を失いにくい。そこは評価できる。
ただし、そこからの先を見ると、評価は慎重になる。稼いだ利益のかなりの部分は、車両・バス・ビルの更新と再開発に戻っていく。株主が自由に使える利益は、会計上の純利益より少ない。借金は減らず、金利が上がる世界では利払いが毎年じわじわ利益を食う。
資本の使い方は、再開発に集中する筋が通っている。一方で、物流・流通・ホテルと事業が広く、どこが本当に強いのかが見えにくい。流通は売上が大きいのに利益はほぼゼロだ。
安全域、つまり値段に織り込まれた余裕については、今の値段は十分に厚いとは言えない。中立の姿でROEは資本コストに届かず、倍率は上がらない。福岡の成長を信じるなら中長期で持つ価値のある会社だが、払う値段を選ぶ会社だと筆者は考える。
何で稼ぐ会社か
西鉄の稼ぎは大きく五つに分かれる。物流、不動産、運輸、流通、レジャー・サービスだ。2026年3月期の売上は物流が1,500億円台でいちばん大きく、不動産と運輸が800億円台で続く。利益で見ると不動産が116億円で首位、物流が61億円、レジャー・サービスが64億円、運輸は41億円にすぎない。
運輸は電車とバスである。天神大牟田線と貝塚線の鉄道に加え、福岡都市圏から北九州・筑豊まで走る西鉄バスを持つ。福岡市内の通勤・通学の足であり、地域独占に近い。だが、運転手の待遇改善が利益を押し下げている。2026年4月に鉄道運賃を約30年ぶりに改定し、年23億円ほどの増収を見込む。
不動産は福岡の天神・博多駅周辺が主役だ。2025年4月に開いたONE FUKUOKA BLDG.が貢献し始め、2030年前後にも大型の複合ビルが続く。国内の分譲、米国などの海外開発も手がけ、開発した物件を売って資金を回す「回転型」を伸ばす方針である。
物流は国際航空・海上の貨物取扱が中心で、半導体や自動車の荷を運ぶ。アジアの荷動きに左右される分、利益の振れも大きい。
流通はスーパーと外食で、売上は大きいが利益は薄い。レジャー・サービスはホテル(ソラリア西鉄ホテル、クルーム)と旅行で、インバウンドの追い風を受ける。2026年12月に大阪本町、2027年夏に福岡空港で新しいホテルが開く。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、福岡という成長都市の中心に土地と交通網を同時に持つことにある。天神と博多の一等地、そこへ人を運ぶ鉄道とバスは、新しく作ろうにも作れない。九州で都市の人口が増えている街は福岡くらいで、首都圏や関西の私鉄とは土台が違う。
だが、稼ぐ力は堀ほど強くない。運輸の利益率は5%を割る。鉄道運賃は国の認可で、費用が上がっても改定まで時間がかかる。物流は市況商売で、売上の3割を占めるのに利益率は4%だ。
資本効率は平均的だ。過去10年のROEの中央値は7%。2026年3月期は11%まで上がったが、純利益が営業利益を上回っており、特別な利益が混じっていると筆者は見る。会社予想の2027年3月期は純利益が3割減る。
財務は重い。純有利子負債は3,172億円で、自己資本の1倍を超える。中期経営計画は、純有利子負債をEBITDA(利払い・税・償却前の利益)の6倍程度に保つと明言しており、借金を減らす計画ではない。
経営は堅実で、無理な買収はしない。ただ、重い設備を抱える事業の宿命として、稼いだ金の多くが設備更新と再開発に消える。オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、見た目の純利益よりかなり小さいと考えるべきだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
私鉄の本業は人口に縛られる。国内の鉄道利用は定期が減り、観光客を中心とした定期外が補う構図が定着した。福岡は例外的に人口が保たれているが、西鉄沿線でも久留米・大牟田など筑後側は減る。バスは運転手不足が供給を絞る。
福岡の都心は大きな再開発の時期にある。天神ビッグバンと呼ばれる建て替え優遇策で天神のビルが次々に更新され、博多駅周辺も広がった。ここでは西鉄に加え、JR九州、福岡地所、三菱地所などが競う。オフィスの供給が増える分、空室と賃料の行方が分かれ目になる。
西鉄はこの競争で、天神の駅と商業施設を持つ強みを使う。福岡は同じ関西・首都圏の私鉄と違い、ターミナルの天神と沿線の土地を一社が押さえている。これが他の九州の私鉄にはない地盤だ。
国際物流では、日本通運や近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクスなどの大手が先を走る。西鉄は規模では中位で、半導体や自動車といった特定の荷に絞って伸ばす戦略だ。米国の関税や世界の貿易量の変化が直撃する。
ホテルは福岡・大阪・東京で自社ブランドを増やし、インバウンドの回復を取り込む。ただ、ホテルは新しい競合が次々に出る分野で、単価は景気とともに上下する。
資本政策と M&A
資本政策は「成長投資を優先し、還元は控えめ」である。第17次中期経営計画(2026〜2028年度)は、配当性向30%以上を掲げ、必要に応じて自社株を買い消却するとしている。配当は2026年3月期に大きく引き上げたが、方針としては借金で投資を進める。
3年で2,100億円規模を投じる。うち成長投資が860億円、維持更新が760億円だ。純有利子負債をEBITDAの6倍程度に保つ前提で、2028年度に事業利益400億円、ROE 9%程度を狙う。長期ビジョンは2035年度に事業利益600億円を掲げる。
開発した不動産を売って資金を回す「回転型」の残高を、2035年度に国内1,000億円・海外1,200億円まで増やす。私募REIT(不動産を小口に売る投資の器)も2030年以降に組む。借金を重ねつつ、資産を売って回す設計である。
大型の買収や売却の動きはなく、TOBの当事者になる気配は薄い。ただ、天神の土地や子会社の持ち方については、資本効率を問う声が出る余地がある。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の239億円が10年後に約 298億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
福岡は日本で数少ない、人口と企業が集まる都市である。天神ビッグバンの建て替えで街の稼ぐ力が変わり、西鉄はその中心に土地を持つ。2030年前後に家庭裁判所跡地と天神二丁目南が開き、九州大学の箱崎キャンパス跡地(約28ヘクタール)も2036年度に形になる。賃料は物価並みに上がり、新しい床面積がそのまま利益に積み上がる。
国際物流は半導体の工場が九州に集まる追い風を受ける。会社は航空輸出を3割増やす目標を掲げ、専門の課も増やす。2026年3月期の物流の利益が前年の約6割増えたことが、伸びの本物らしさを示す。
運賃は2026年4月に約11%上がった。バス運賃は福岡市内で2024年に済み、北九州・筑豊も2025年に済んだ。値上げが一巡した運輸は、利益の底を打つ。ホテルも大阪本町・福岡空港と開業が続き、インバウンドの追い風を受ける。
借金は増えるが、収益の出る資産に変わる借金だ。回転型の投資で開発した物件を売って回すので、重さは見かけほどではない。営業利益が10年で2倍近くになれば、利払いの増加は十分に吸収できる。
慎重な見方
福岡の再開発は競争が激しい。天神と博多にはJR九州、福岡地所、三菱地所、九州電力系も新しいビルを建てる。供給が増えれば賃料の上昇は鈍り、空室が増える。九州大学の跡地は完成が2036年度と遠く、そこまでの10年間は金がかかる一方だ。
運輸は人件費の上昇に利益を食われている。運賃を11%上げても、運転手の待遇改善は止まらない。バスの運転手不足は供給そのものを絞り、路線を減らさざるを得なくなる。筑後側の沿線は人口が減り、電車の定期客が減る。
国際物流は景気商売だ。今期の好調は一時的な要因を含む可能性がある。世界の貿易量が落ちれば利益は一気に細り、大手との価格競争にも勝てない。
最大の問題は借金だ。純有利子負債は3,172億円で、会社自身がEBITDAの6倍を保つと言っている。金利が上がる世界では、借り換えのたびに利払いが増え、利益を削る。ROEは資本コストに届かないまま、再開発の成否に株主の運命を預けることになる。
どちらに重みを置いたか
福岡の再開発という本物の成長源と、借金と金利という重い鎖の綱引きになる。利益は名目で伸びるが、そのかなりの部分は金利と再投資に消える。確率は中立を最も厚く置き、やや楽観まで合わせて32%、やや悲観と悲観で35%にした。悲観の側がわずかに重いのは、借金の重さが鉄道会社の平均より強いからだ。総合では、ほぼ適正の値段になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,800 円3,626 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,170 円884 億円)。 今の値に割り戻すと 3,020 円2,281 億円、今との差 +7.1%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 8,130 円6,141 億円 | 1,700 円1,284 億円 | +248.7% | +13.3% | 983 円743 億円 |
| やや楽観 | 22% | 6,521 円4,926 億円 | 1,423 円1,075 億円 | +181.8% | +10.9% | 1,748 円1,320 億円 |
| 中立 | 33% | 5,363 円4,051 億円 | 1,209 円913 億円 | +133.1% | +8.8% | 2,169 円1,638 億円 |
| やや悲観 | 23% | 2,754 円2,080 億円 | 977 円738 億円 | +32.3% | +2.8% | 858 円648 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,244 円940 億円 | 530 円400 億円 | −37.1% | −4.5% | 213 円161 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,800 円3,626 億円 | 1,170 円884 億円 | +111.8% | +7.8% | 5,970 円4,510 億円 |
今の株価時価総額 2,819 円2,129 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 福岡が主役になり、物流も伸びる 利益 435 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 8,130 円6,141 億円
福岡の再開発が計画どおり進み、天神二丁目南・家庭裁判所跡地・九州大学跡地が順に稼ぎ始める。オフィスの空室は低く、賃料は物価を上回って伸びる。不動産は10年で売上が6割増え、利益が営業利益の4割を占める。
国際物流は半導体と自動車の荷を取り込み、取扱量が4割増える。ホテルは大阪・福岡空港の新店とインバウンドで、利用件数が2割増えて単価も上がる。運輸は運賃改定が通り、利益率が8%まで戻る。
営業利益は約670億円。会社が掲げる2035年度の事業利益600億円をやや上回る姿だ。借金は増えるが、回転型の売却益で重さを抑え、ROEは9%近くまで上がる。無理な買収をせず、資産を回す規律が10年かけて報われる。
借金の借り換えで利払いは10年で年約80億円増える。税引き後の約55億円を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の239億円が10年後に約 298億円(物価で一律に増やすと約 269億円)。営業利益は +29億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 運輸(鉄道・バス):数量 356(年間輸送人員(百万人、鉄道とバスの合計。推定))× 価格 3.06(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 1,092 億円・営業利益 116 億円。数量 0.99 倍・価格 1.34 倍・営業利益率10.6%・償却は物価で増やさず按分(10年後 298億円)
- 不動産(賃貸・分譲・海外):数量 140(賃貸・販売の取扱床面積換算(万㎡、推定))× 価格 12(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と販売を含む))→ 売上 1,627 億円・営業利益 277 億円。数量 1.40 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 17.0%
- 物流(国際航空・海上・国内):数量 420(取扱貨物量(航空換算、千トン。推定))× 価格 6.81(1 トンあたり収入(百万円))→ 売上 2,858 億円・営業利益 143 億円。数量 1.40 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5.0%
- 流通(スーパー・外食):数量 60.0(来店客数(百万人、推定))× 価格 17(客単価(百円))→ 売上 1,005 億円・営業利益 15 億円。数量 1.00 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 1.5%
- レジャー・サービス(ホテル・旅行):数量 24.0(宿泊・旅行などの利用件数(百万件、推定))× 価格 39(1 件あたり収入(百円))→ 売上 944 億円・営業利益 123 億円。数量 1.20 倍・価格 1.45 倍・営業利益率 13.0%
- 事業支援・その他(農業・建設・IT・資源エネルギーほか):数量 110(受注・取扱件数(千件、推定))× 価格 3.92(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 431 億円・営業利益 26 億円。数量 1.10 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 435 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.21 倍、時価総額 5,746 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:天神・箱崎の再開発が遅れず、国際物流も会社の目標近くまで伸びる二つの成功が必要。実現すれば強いが、重なる確度は高くない。
やや楽観 22% 再開発は計画どおり、物流は穏やかに伸びる 利益 361 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 6,521 円4,926 億円
再開発は大きな遅れなく進み、不動産は着実に稼ぎを積む。2030年前後の新しいビルが満室に近く埋まり、賃料は物価並みに上がる。九州大学の跡地は2036年度の概成で、10年の枠の中ではまだ初期の収益にとどまる。
国際物流は半導体と自動車で取扱が3割増える。ただし運賃は市況で、利益率は4%台半ばにとどまる。ホテルは新店の分だけ利用が増え、レジャー・サービスの利益は1.6倍ほどになる。
運輸は運賃改定の効果が出るが、運転手の待遇改善で利益率は7%どまり。営業利益は約570億円。会社の2035年度目標に届かないが、計画の線上にある。
借金の借り換えで利払いは10年で年約80億円増える。税引き後の約55億円を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の239億円が10年後に約 298億円(物価で一律に増やすと約 275億円)。営業利益は +23億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 運輸(鉄道・バス):数量 349(年間輸送人員(百万人、鉄道とバスの合計。推定))× 価格 3.02(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 1,054 億円・営業利益 97 億円。数量 0.97 倍・価格 1.32 倍・営業利益率9.2%・償却は物価で増やさず按分(10年後 298億円)
- 不動産(賃貸・分譲・海外):数量 132(賃貸・販売の取扱床面積換算(万㎡、推定))× 価格 11(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と販売を含む))→ 売上 1,502 億円・営業利益 240 億円。数量 1.32 倍・価格 1.37 倍・営業利益率 16.0%
- 物流(国際航空・海上・国内):数量 390(取扱貨物量(航空換算、千トン。推定))× 価格 6.70(1 トンあたり収入(百万円))→ 売上 2,614 億円・営業利益 118 億円。数量 1.30 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 4.5%
- 流通(スーパー・外食):数量 58.8(来店客数(百万人、推定))× 価格 17(客単価(百円))→ 売上 977 億円・営業利益 12 億円。数量 0.98 倍・価格 1.35 倍・営業利益率 1.2%
- レジャー・サービス(ホテル・旅行):数量 23.0(宿泊・旅行などの利用件数(百万件、推定))× 価格 38(1 件あたり収入(百円))→ 売上 873 億円・営業利益 105 億円。数量 1.15 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 12.0%
- 事業支援・その他(農業・建設・IT・資源エネルギーほか):数量 105(受注・取扱件数(千件、推定))× 価格 3.86(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 406 億円・営業利益 22 億円。数量 1.05 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 361 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 4,512 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画がおおむね計画どおり進む、現実的な上振れ。ただし会社目標の達成率は8割程度とみる。
中立 33% 中立:福岡の成長と借金の重さが釣り合う 利益 291 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 5,363 円4,051 億円
福岡の再開発は、工期が少し延びながらも2030年代前半に稼ぎ始める。不動産の営業利益は2026年3月期の116億円から約210億円になる。数量の伸びは床面積で25%、賃料は物価並みの1.34倍である。
運輸は沿線人口の減少と運転手不足で、利用者が5%減る。運賃改定と物価転嫁で、売上は2割強増えるが、人件費に食われて利益率は6%どまりだ。国際物流は取扱が2割増え、運賃は物価より少し低く、利益率は4%で落ち着く。
流通は店舗の数が減り、利益はほとんど出ない。ホテルは新店の分だけ伸びる。
営業利益は約480億円で、会社の2035年度の事業利益目標(600億円)の約8割になる。借金の利払い増を引いた純利益は約280億円。ROEは6%台で、資本コスト8.0%に届かない。
借金の借り換えで利払いは10年で年約80億円増える。税引き後の約55億円を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の239億円が10年後に約 298億円(物価で一律に増やすと約 280億円)。営業利益は +18億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 5億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 運輸(鉄道・バス):数量 342(年間輸送人員(百万人、鉄道とバスの合計。推定))× 価格 2.97(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 1,016 億円・営業利益 79 億円。数量 0.95 倍・価格 1.30 倍・営業利益率7.8%・償却は物価で増やさず按分(10年後 298億円)
- 不動産(賃貸・分譲・海外):数量 125(賃貸・販売の取扱床面積換算(万㎡、推定))× 価格 11(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と販売を含む))→ 売上 1,391 億円・営業利益 209 億円。数量 1.25 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 15.0%
- 物流(国際航空・海上・国内):数量 360(取扱貨物量(航空換算、千トン。推定))× 価格 6.60(1 トンあたり収入(百万円))→ 売上 2,377 億円・営業利益 95 億円。数量 1.20 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 4.0%
- 流通(スーパー・外食):数量 57.0(来店客数(百万人、推定))× 価格 16(客単価(百円))→ 売上 940 億円・営業利益 9 億円。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 1.0%
- レジャー・サービス(ホテル・旅行):数量 22.0(宿泊・旅行などの利用件数(百万件、推定))× 価格 37(1 件あたり収入(百円))→ 売上 811 億円・営業利益 89 億円。数量 1.10 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 11.0%
- 事業支援・その他(農業・建設・IT・資源エネルギーほか):数量 100(受注・取扱件数(千件、推定))× 価格 3.81(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 381 億円・営業利益 19 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 291 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 3,638 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再開発の進み方と物流の振れ、借金の重さを合わせた中心の筋書き。業界の中立の置き方(鉄道は数量ほぼ横ばい、非鉄道が名目で伸びる)に沿う。
やや悲観 23% 再開発が遅れ、運輸と物流が重くなる 利益 175 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 2,754 円2,080 億円
天神でも博多でも新しいオフィスが一斉に供給され、賃料は伸び悩む。西鉄の家庭裁判所跡地や天神二丁目南の開業は遅れ、空室を埋めるために賃料の値引きも要る。不動産の営業利益は155億円どまりで、期待より小さい。
運輸は運転手不足で路線を減らさざるをえず、利用者が1割減る。運賃は物価に追いつかず、利益率は4%台に落ちる。国際物流は貿易の停滞で取扱が伸びず、運賃競争で利益率は3%台になる。
ホテルは新店の稼働が伸びない。営業利益は約340億円。借金の利払い増をほぼ吸収できず、純利益は約180億円にとどまる。自社株買いはなく、配当だけが残る。
借金の借り換えで利払いは10年で年約80億円増える。税引き後の約55億円を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の239億円が10年後に約 298億円(物価で一律に増やすと約 292億円)。営業利益は +6億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 17億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 運輸(鉄道・バス):数量 324(年間輸送人員(百万人、鉄道とバスの合計。推定))× 価格 2.90(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 941 億円・営業利益 48 億円。数量 0.90 倍・価格 1.27 倍・営業利益率5.1%・償却は物価で増やさず按分(10年後 298億円)
- 不動産(賃貸・分譲・海外):数量 112(賃貸・販売の取扱床面積換算(万㎡、推定))× 価格 11(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と販売を含む))→ 売上 1,190 億円・営業利益 155 億円。数量 1.12 倍・価格 1.28 倍・営業利益率 13.0%
- 物流(国際航空・海上・国内):数量 315(取扱貨物量(航空換算、千トン。推定))× 価格 6.35(1 トンあたり収入(百万円))→ 売上 2,000 億円・営業利益 64 億円。数量 1.05 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 3.2%
- 流通(スーパー・外食):数量 55.2(来店客数(百万人、推定))× 価格 16(客単価(百円))→ 売上 884 億円・営業利益 4 億円。数量 0.92 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 0.5%
- レジャー・サービス(ホテル・旅行):数量 20.0(宿泊・旅行などの利用件数(百万件、推定))× 価格 35(1 件あたり収入(百円))→ 売上 705 億円・営業利益 63 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 9.0%
- 事業支援・その他(農業・建設・IT・資源エネルギーほか):数量 95.0(受注・取扱件数(千件、推定))× 価格 3.69(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 351 億円・営業利益 12 億円。数量 0.95 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 3.5%
倍率:ROE 4.3% は k 8.0% 以下。上限は 1÷k = 12.5 倍。稼ぎが細り利払い増を吸収しきれない筋書きなので、上限の 7.2 割の 9.0 倍に置いた。EV÷営業利益は 約 14 倍。 余り資産は立てていない(賃貸の含み益は賃料が、評価差額金は配当が純利益に入って倍率で数え済みなので足さない。悲観の床にだけ使う)。
確率:工期の延び・賃料の伸び悩みと、運転手不足・貿易の停滞が同時に来る想定。借金の重さが金利で効くため、やや厚めの確率を置いた。
悲観 12% 構造的に稼ぐ力を失う 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,244 円940 億円
福岡の再開発ビルが供給過剰で埋まらず、賃料が下がる。西鉄の新しいビルは期待の稼ぎを生まず、資金は借金の返済に回る。運輸は運転手不足で供給を大きく絞り、利用者が2割近く減る。運賃の引き上げも通りにくく、鉄道・バスはほぼ赤字に近づく。
国際物流は米国向けなどの荷が落ち、大手との価格競争で利益がほぼ消える。流通は赤字、ホテルは稼働が落ちる。営業利益は約130億円まで細る。
借金の利払い増が重くのしかかり、純利益は40億円にも届かない。会社は新しい投資を絞り、資産を売って配当を保つ。優良さを失った、ただの重い設備の会社になる。
借金の借り換えで利払いは10年で年約80億円増える。税引き後の約55億円を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の239億円が10年後に約 298億円(物価で一律に増やすと約 324億円)。営業利益は −26億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 32億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 運輸(鉄道・バス):数量 295(年間輸送人員(百万人、鉄道とバスの合計。推定))× 価格 2.70(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 796 億円・営業利益 −18 億円。数量 0.82 倍・価格 1.18 倍・営業利益率-2.3%・償却は物価で増やさず按分(10年後 298億円)
- 不動産(賃貸・分譲・海外):数量 100(賃貸・販売の取扱床面積換算(万㎡、推定))× 価格 9.30(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と販売を含む))→ 売上 930 億円・営業利益 84 億円。数量 1.00 倍・価格 1.12 倍・営業利益率 9.0%
- 物流(国際航空・海上・国内):数量 255(取扱貨物量(航空換算、千トン。推定))× 価格 5.59(1 トンあたり収入(百万円))→ 売上 1,424 億円・営業利益 21 億円。数量 0.85 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 1.5%
- 流通(スーパー・外食):数量 51.0(来店客数(百万人、推定))× 価格 15(客単価(百円))→ 売上 754 億円・営業利益 −8 億円。数量 0.85 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 -1.0%
- レジャー・サービス(ホテル・旅行):数量 17.0(宿泊・旅行などの利用件数(百万件、推定))× 価格 31(1 件あたり収入(百円))→ 売上 530 億円・営業利益 26 億円。数量 0.85 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 5.0%
- 事業支援・その他(農業・建設・IT・資源エネルギーほか):数量 85.0(受注・取扱件数(千件、推定))× 価格 3.27(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 278 億円・営業利益 0 億円。数量 0.85 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力(事業の純利益 37 億円 ÷ k 8.0% = 約 460 億円)より、売れる資産の税後 1,105 億円(floor_assets_oku)のほうが大きい。売り急ぎの値引きと売却益への課税の取りこぼしを見て、その 8.5 割の 940 億円に置いた。今の自己資本 2,839 億円に対する PBR は 0.33 倍。EV÷営業利益は 約 28 倍と 20 倍を超えるが、利益が低い年で測るため参考にとどめ、価値は売れる資産で見ている。
確率:福岡の供給過剰と運転手不足、貿易の縮小、借金の重さが同時に来る。優位を失うと戻りにくいので、低くはない確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
運輸(鉄道・バス)
天神大牟田線・貝塚線の鉄道と、福岡都市圏から北九州・筑豊までの西鉄バス、貸切バスなど。
| 数量年間輸送人員(百万人、鉄道とバスの合計。推定) | 価格1 人あたり運輸収入(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 360 | 2.29 | 823 | 41 |
| 10 年後 中立 | 342 | 2.97 | 1,016 | 79 |
取り方:運輸の売上823億円を、鉄道約1億人とバス約2.6億人の合計約3.6億人(推定)で割った1人あたり収入。鉄道運賃は2026年4月に約11%上がる。バスの運賃は福岡市内が2024年、北九州・筑豊が2025年に改定済み。運賃は国の認可なので物価に遅れて上がる。
不動産(賃貸・分譲・海外)
福岡・天神と博多のオフィス・商業施設の賃貸、住宅分譲、海外の不動産開発。
| 数量賃貸・販売の取扱床面積換算(万㎡、推定) | 価格1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 8.30 | 830 | 116 |
| 10 年後 中立 | 125 | 11 | 1,391 | 209 |
取り方:不動産の売上830億円を、賃貸と分譲を合わせた床面積換算100万㎡(推定)で割った実効単価。新しい床は、ONE FUKUOKA BLDG.(2025年開業)、家庭裁判所跡地(2030年)、天神二丁目南(2030年度頃)、九州大学跡地(2036年度概成)などが増やす。賃料は物価で上がる。
物流(国際航空・海上・国内)
西鉄の国際航空・海上貨物の取扱、倉庫、国内輸送。半導体・自動車・航空宇宙などの重点品目。
| 数量取扱貨物量(航空換算、千トン。推定) | 価格1 トンあたり収入(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 300 | 5.08 | 1,524 | 61 |
| 10 年後 中立 | 360 | 6.60 | 2,377 | 95 |
取り方:物流の売上1,524億円を、航空・海上・国内輸送を航空輸送に換算した取扱量約300千トン(推定)で割った単価。会社は航空輸出を2028年度に14万トン(約3割増)にする目標。運賃は市況で動くため、価格は物価並みよりやや低く置く。
流通(スーパー・外食)
スーパー、外食などの店舗運営。
| 数量来店客数(百万人、推定) | 価格客単価(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 12 | 739 | 7 |
| 10 年後 中立 | 57.0 | 16 | 940 | 9 |
取り方:流通の売上739億円を、来店客約0.6億人(推定)で割った客単価。利益率は1%前後と薄い。店舗は賃借が多く、家賃は固定の約束として残る。
レジャー・サービス(ホテル・旅行)
ソラリア西鉄ホテル・クルームなどのホテル、旅行、レジャー施設。
| 数量宿泊・旅行などの利用件数(百万件、推定) | 価格1 件あたり収入(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20.0 | 27 | 542 | 64 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 37 | 811 | 89 |
取り方:レジャー・サービスの売上542億円を、利用約0.2億件(推定)で割った単価。大阪本町(2026年12月)と福岡空港(2027年夏)の新ホテルが数量を増やす。ホテル単価は物価以上に上がる余地がある。
事業支援・その他(農業・建設・IT・資源エネルギーほか)
ビジネスサポート事業と、セグメント間の調整を含む残り。
| 数量受注・取扱件数(千件、推定) | 価格1 件あたり収入(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 2.84 | 284 | 14 |
| 10 年後 中立 | 100 | 3.81 | 381 | 19 |
取り方:全社の売上4,742億円から五つのセグメントの合計を引いた残差284億円と、営業利益の差14億円を置く。細かい内訳は開示から取れないため、推定の置き方である。
リスクと懸念
借金の重さと金利
純有利子負債は3,172億円で、会社は2035年度までEBITDAの6倍程度を保つ計画だ。借金が減らない世界で金利が上がれば、借り換えのたびに利払いが増え、利益を毎年削る。再開発が遅れた場合の逃げ場も狭い。
再開発の工期・供給過剰
福岡の天神・博多は他社も新しいビルを建てる。オフィスが過剰になれば賃料の伸びは鈍り、西鉄の家庭裁判所跡地(2030年開業予定)や天神二丁目南の収益計画は狂う。九州大学跡地の概成は2036年度と遠く、そこまでは先行投資の期間が続く。
運転手不足と人件費
運輸は待遇改善で利益が減っている。バスの運転手が確保できなければ路線を減らさざるをえず、需要があっても売れない状態になる。人件費は物価以上に上がる恐れがあり、認可運賃の改定はいつも後追いになる。
国際物流の景気変動
物流は売上の3割を占め、利益率は4%前後と薄い。米国の関税や世界の貿易量の変化で荷が減ると、固定費を回収できず利益が急に細る。大手の日本通運などとの価格競争もあり、半導体・自動車への集中は両刃の剣になる。
沿線人口の減少
福岡市は人口が保たれているが、久留米・大牟田方面の筑後側は減る。定期客の減少は鉄道とバスの数量を下押しし、運賃改定で補えるのは一時的だ。直通運転など利便性の向上策も検討段階にとどまる。
特別な利益の反動
2026年3月期の純利益は322億円で、営業利益を上回った。特別な利益を含むとみられ、会社予想の2027年3月期は純利益が225億円に減る。今の利益水準をそのまま続くものと読むと、見立てが甘くなる。
海外不動産と回転型の売却
回転型の残高を2035年度に国内1,000億円・海外1,200億円へ増やす計画だ。米国やベトナムなどで開発に失敗すれば、売れない物件が借金とともに残る。海外は市況・為替で振れやすい。
今後の分かれ目
- 福岡の天神・箱崎の再開発で新しいビルの満室が続いたら
- 不動産の利益率の前提を上げ、強気の筋書きに確率を移してよい。
- 国際物流の取扱量が会社目標(航空輸出14万トン)に近づいたら
- 物流の営業利益の前提を引き上げ、やや楽観以上の確率を上げる。
- バス運転手の確保が進まず減便・廃線が増えたら
- 運輸の数量と利益率を下方修正し、やや悲観側に寄せる。
- 純有利子負債がEBITDAの7倍を超えたら
- 財務の余裕がなくなっているとみて、悲観側の確率を上げ倍率も下げる。
- 金利が想定より速く上がり借り換えコストが増えたら
- 純利益の前提を下げ、中立でもROEは k に届かない前提を強める。
- 自社株買いが定期的に行われ配当性向が引き上げられたら
- 還元の前提を上げる。ただし借金頼みなら評価は上げない。
- 貝塚線と地下鉄の直通運転が具体的に動き出したら
- 運輸の需要の前提を小幅に上げる。ただし費用の増加も合わせて見る。
見ておくもの
- 福岡の再開発の進捗(家庭裁判所跡地・天神二丁目南・九州大学跡地)
- 国際物流の航空輸出重量と営業利益率
- 運輸の営業利益率とバスの運転手の確保状況
- 純有利子負債÷EBITDA と支払利息
- 配当性向と自社株買いの実施状況
倍率と資本コストの決め方
数量と価格から利益を積み、倍率は正当化 PER の式と上限で置いた。今の株価や PER・PBR は見ていない。k は基本 7.5% に quality +0.5%(循環 +0.25・値決め力 −0.25・借金 +0.75・寿命 −0.25)で、確率は quality を理由に動かしていない。同じ領域では阪急阪神(quality 0.0)より借金と物流の振れが重いので k を 0.5 ポイント高く、京阪と同じ水準にした。中立の PER は 10.5 倍(上限の 8.4 割)と、京阪(10.5 倍)と同じ。リース:流通・ホテルは店舗を借りているが、家賃は営業費用として利益に入っており、10 年後も今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で営業利益は少し増え純有利子負債は増えるが、価値は変えていない。悲観の床は賃貸等不動産の含み益と評価差額金(税後 約 1,105 億円)で置き、その 8.5 割に置いた。中立〜楽観には含み益を余った資産として足していない(二重になるため)。 含み益は賃料・配当が純利益に入っているので余った資産には足していない。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.5%(循環 +0.25・値決め力 −0.25・借金 +0.75・寿命 −0.25)= 8.0%。福岡の土地と認可運賃の堅さを、重い借金と物流の景気の振れが上回る。再開発の工期や金利は k に足さず、筋書きと確率で表した。