結論
大和自動車交通は、東京の大手タクシー 4 社の一角に数えられてきたタクシー・ハイヤーの会社で、都内に営業所の土地と賃貸ビルを持つ。筆者の結論は「割高」だ。稼ぐ力で測った本質価値は、今の時価総額の 3 分の 1 ほどにとどまる。
理由は利益の薄さにある。売上は約 200 億円あるが、営業利益は 4 億円に満たず、ROE は過去 10 年の中央値で 3% 前後だ。乗務員の不足と人件費・燃料費の上昇で、タクシーの利益率は 2% 台にとどまる。借金は 140 億円あり、金利が上がれば利払いがさらに利益を削る。
市場が見ているのは土地だろう。銀座一丁目の旧本社は 2027 年に再開発が始まり、大和ハウス工業が 1 割弱の株主になって不動産の活用を手伝う。ただ、土地の時価は開示されておらず、事業に使う土地は売らない限り利益を生まない。筆者は、再開発で家賃が増える分を利益に入れて測った。それでも今の値段は、資産が売られるか、会社ごと買われる期待をかなり先取りしている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは「良い資産の上で、悪い事業を営む会社」だ。都内の土地と銀座の旧本社は本物の価値を持つ。しかしその土地の多くはタクシーの営業所として使われ、資本コストに遠く届かない利益しか生んでいない。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益はほとんど残らない。タクシーは数年ごとに車を買い替え、建物も修繕が要る。借金の返済と更新の投資を差し引くと、配当に回せるのはわずかだ。
資産の価値を株主が手にできるのは、会社が土地を売るか、再開発で家賃に変えるか、会社ごと買われる時だけだ。経営はようやく再開発に動き出したが、その歩みは遅い。
今の値段は、その資産の価値をかなりの程度まで先取りしている。安全域、つまり払う値段と本質価値の差は、筆者の目には見えない。資産の価値を信じるなら、それが利益か現金に変わるのを待ってからでも遅くはない。
何で稼ぐ会社か
事業は四つある。柱は旅客自動車運送で、東京都区部を中心にタクシーとハイヤーを走らせる。売上の 7 割強を占め、運送の従業員は約 1,900 人だ。法人向けのハイヤーは景気に強く、街を流すタクシーは人の動きと乗務員の数で売上が決まる。
二つ目が不動産で、都内と京都の賃貸マンション・ビルなど 11 棟と、銀座一丁目の旧本社の土地を持つ。売上は約 10 億円と小さいが、営業利益は 6 億円強で、全社の利益をほぼ一人で支えている。古い建物は建て替えて賃貸住宅にしてきた。
三つ目と四つ目は、グループのタクシー会社や他社向けの燃料・車両などの販売と、車両の整備・保険などのサービスだ。合わせて売上 40 億円ほどで、利益はわずかである。
本社の費用は年 8 億円近くかかり、四つの事業の利益の大半を食う。会社は中期計画で 2027 年度に営業利益 10 億円、ROE 7% を掲げ、新しい車両の導入、乗務員の教育と定着、不動産の再開発を進めている。2026 年には大和ハウス工業と資本業務提携を結び、不動産の活用で知恵と資金を借りる道を選んだ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは薄い。タクシーの運賃は国の認可で決まり、どの会社の車に乗っても値段は同じだ。差が出るのは乗務員の数と配車アプリでの存在感で、そこでは日本交通やその配車アプリの GO が先を行く。
ハイヤーは長く付き合う法人の顧客を持ち、腕の良い乗務員が財産になる。ただし人に頼る事業で、乗務員の高齢化と採用難が続けば規模を保てない。
資本効率は低い。自己資本は約 100 億円あるが、稼ぎは年 2〜6 億円ほどで、ROE は資本コストに遠く届かない。2021 年 3 月期はコロナで 35 億円の営業赤字を出し、財務の余力の乏しさも見えた。土地という良い資産を持ちながら、それを低い利益率の事業に使っているのが、この会社の本質的な弱さだ。経営もそれを認め、PBR 1 倍以上を目標に掲げた。目標と実績の差は、まだ大きい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東京のタクシーは、人手の業界から技術の業界へ移りつつある。乗務員は高齢化し、コロナで大きく減った後も戻りきっていない。2022 年の運賃の引き上げで 1 回あたりの売上は増えたが、走らせる車の数は乗務員の数で頭を打つ。
配車アプリが需要の取り合いの形を変えた。客はアプリで呼び、来た車に乗る。アプリを握る GO や Uber が手数料を取り、タクシー会社は運ぶ力を売る立場に近づく。2024 年には日本版ライドシェアも始まり、運び手の供給が増えた。
10 年先を左右するのは自動運転だ。都内では Waymo と日本交通・GO が試験走行を始め、ライドシェアの新興企業 newmo は同社の株主でもある。無人の車が街を走るようになれば、乗務員の数という制約は消えるが、同時にタクシー会社の取り分も問われる。
筆者は中立で、乗務員の数が 10 年で 15% 減り、1 人あたりの売上は運賃の改定と配車の効率化で物価を少し上回ると見る。利益率は人件費と燃料の重さで 3% 台にとどまる。悲観では、自動運転の時代に運ぶ力の値打ちが下がる姿を置く。
資本政策と M&A
還元は細い。配当は中期計画で下限を決め、2027 年度に配当性向 30% を目指すとしている。自社株買いはなく、2026 年には役員と従業員向けに自己株を渡し、大和ハウス工業へ新株を出した。株主は薄まる側にいる。
資本政策の中心は不動産だ。大和ハウス工業から約 10 億円を受け取り、賃貸ビルの修繕と更新に充てる。銀座一丁目の旧本社は自社で建てず、不動産会社に定期借地を設定して地代を得る形を選んだ。現金を出さずに土地を生かす、借金の重い会社なりの選択である。
株主の顔ぶれには再編の芽がある。東都自動車・国際自動車・宮園自動車・newmo など同業や関係の深い会社が合わせて 2 割強を持ち、大和ハウス工業も約 1 割を握った。会社ごと買われる可能性は、筆者は楽観の筋書きの一部として見ている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社の価値は利益でなく土地にある。銀座一丁目の旧本社は 2027 年に着工し、定期借地で長く安定した地代が入る。大和ハウス工業が株主になり、他の営業所の土地も再開発の候補に挙がっている。営業所を集約して空いた土地を賃貸住宅に変えれば、不動産の利益は今の何倍にもなる。
タクシーも底を打った。2026 年 3 月期は運送の事業が黒字に戻り、売上は 6.6% 伸びた。運賃の改定、配車アプリ経由の需要、訪日客の増加が追い風だ。乗務員の数さえ戻れば、利益は大きく伸びる。会社は 2027 年度に営業利益 10 億円を掲げる。
株主には同業の大手と新興企業、大和ハウス工業が並ぶ。東京のタクシーは再編の時代に入っており、土地と営業許可を持つ同社は格好の買収の対象だ。会社自身が PBR 1 倍以上を目標に掲げた以上、資産の価値を株価に映す努力は続く。借金も大和ハウス工業の資金と地代で少しずつ軽くなり、利払いの重さは今が山だ。
慎重な見方
土地が良くても、利益が出なければ株主の価値にはならない。営業所の土地は事業に使っており、売れば会社の稼ぎの柱が消える。土地の時価も開示されておらず、含み益がいくらあるかは誰にもわからない。
タクシーの利益率は過去 10 年で最も良い年でも 5% に届かず、2021 年から 2025 年まではほとんど赤字だった。乗務員は高齢化し、若い人は集まらない。人件費と燃料費は物価と一緒に上がるが、運賃の改定は国の認可を待たねばならない。
借金は 140 億円あり、新しいローンには純資産の維持と経常赤字の回避という条件が付いた。金利が 3% 台に上がれば、利払いだけで営業利益の大半が消える。
10 年後には自動運転が都内を走り始める。その時、タクシー会社に残るのは車の整備と待機場所の提供かもしれない。配車アプリと自動運転の技術を持たない会社が、取り分を守れる保証はない。新株と自己株の放出で、株主は薄まってもいる。土地の夢を語る前に、本業で資本コストを稼げるかを問うべきだ。
どちらに重みを置いたか
土地の価値は本物だが、それを利益に変える道筋は遅く、借金と薄い利益率が重い。慎重な見方の方が数字の裏付けがある。確率は中立を最も厚くし、再開発と買収の期待は楽観とやや楽観に合わせて 3 割強を割いた。土地の時価が開示されるか、営業所の再開発が具体化すれば、評価は上に動く。逆に乗務員の減少が止まらなければ、下に動く。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,218 円61 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 204 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 621 円31 億円、今との差 −69.9%、 期待の年率 −3.7%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 2,647 円133 億円 | 438 円22 億円 | +49.4% | +4.1% | 370 円19 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,670 円84 億円 | 303 円15 億円 | −4.4% | −0.5% | 395 円20 億円 |
| 中立 | 36% | 1,065 円54 億円 | 216 円11 億円 | −37.9% | −4.7% | 461 円23 億円 |
| やや悲観 | 20% | 595 円30 億円 | 65 円3 億円 | −68.0% | −10.8% | 132 円7 億円 |
| 悲観 | 12% | 530 円27 億円 | 0 円0 億円 | −74.4% | −12.7% | 64 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,218 円61 億円 | 204 円10 億円 | −31.1% | −3.7% | 1,422 円72 億円 |
今の株価時価総額 2,065 円104 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 12% 再開発が進み、再編で価値が表に出る 利益 13 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 2,647 円133 億円
銀座一丁目の定期借地に続き、営業所を集約して空いた土地が賃貸住宅やオフィスに生まれ変わる。大和ハウス工業の知恵と資金で、同社は現金を出さずに地代と賃料を増やす。不動産の物件は 18 件に増え、利益は今の 3 倍になる。
タクシーは配車アプリ経由の需要と運賃の改定で 1 人あたりの売上が伸び、乗務員の数も外国人と女性の採用でほぼ保つ。自動運転の車両を運行する担い手としても声がかかり、営業利益率は 5% に届く。
利益が増えて借金は減り、ROE は 8% 前後まで戻る。同業の大手や大和ハウス工業が持株を増やし、再編の話も現実味を帯びる。
- 旅客自動車運送(タクシー・ハイヤー):数量 1,830(運送事業の従業員(人、ほぼ乗務員))× 価格 0.11(従業員 1 人あたりの年間の運送収入(億円・名目))→ 売上 208 億円・営業利益 10 億円。乗務員 1,830 人 × 1 人 0.114 億円(物価 1.34 倍+効率 1.10)、利益率 5%
- 不動産:数量 18.0(賃貸物件の数(件))× 価格 1.76(1 件あたりの年間の賃料(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 20 億円。18 件(営業所の再開発)× 1 件 1.57 億円(1.34×1.5)、利益率 63%
- 販売・サービス・メンテナンス:数量 8,040(取引の対象の車両(台、推定))× 価格 0.01(1 台あたりの年間の売上(億円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 3 億円。8,040 台 × 物価 1.34 倍、利益率 5%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 133 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:大和ハウス工業との提携で複数の営業所の再開発が進み、タクシーも配車と運賃で利益率を上げ、再編の受け皿にもなる筋書き。土地の価値が利益に変わる道は開いたが、時間がかかるので 12%。
やや楽観 20% 銀座の地代と運賃の改定で立て直す 利益 8 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 1,670 円84 億円
銀座一丁目の新しいビルが建ち、定期借地の地代が入り始める。賃貸ビルの修繕も大和ハウス工業の資金で進み、空室は減る。不動産の利益は今の 2.5 倍ほどになる。
タクシーは乗務員が 1 割減るものの、運賃の改定と配車の効率化で 1 人あたりの売上が物価を上回って伸びる。営業利益率は 4% 強に上がる。
それでも借金の利払いは重く、ROE は 5〜6% にとどまる。会社の形は変わらず、土地の一部が地代に変わった分だけ稼ぐ力が増す。資本コストには届かないので、価値は利益の伸びほどには増えない。配当は性向 3 割で少しずつ増える。
- 旅客自動車運送(タクシー・ハイヤー):数量 1,733(運送事業の従業員(人、ほぼ乗務員))× 価格 0.11(従業員 1 人あたりの年間の運送収入(億円・名目))→ 売上 192 億円・営業利益 8 億円。1,733 人 × 0.111 億円(1.34×1.075)、利益率 4.2%
- 不動産:数量 15.0(賃貸物件の数(件))× 価格 1.64(1 件あたりの年間の賃料(億円・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 15 億円。15 件 × 1.64 億円(1.34×1.4、銀座の地代)、利益率 62%
- 販売・サービス・メンテナンス:数量 7,840(取引の対象の車両(台、推定))× 価格 0.01(1 台あたりの年間の売上(億円・名目))→ 売上 53 億円・営業利益 2 億円。7,840 台 × 1.34 倍、利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 84 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:銀座の再開発が予定どおり進み、タクシーも中期計画に近い利益を出す筋書き。会社の計画の延長線にあたるので 20%。
中立 36% 銀座は動くが、タクシーは細る 利益 5 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 1,065 円54 億円
銀座一丁目の再開発は進み、地代が不動産の利益を押し上げる。ただ、他の営業所の再開発は計画の段階にとどまり、不動産の物件は 1 件増えるだけだ。修繕の費用も建築費の上昇でかさむ。
乗務員は 10 年で 15% 減り、運送の売上は運賃の改定でようやく物価並みに伸びる。人件費と燃料費も上がり、営業利益率は 3.5% にとどまる。本社の費用は物価とともに増える。
全社の営業利益は 10 億円前後で、中期計画の目標に 10 年かけて届く姿だ。借り換えで金利が上がり、純利益は 5 億円ほどにとどまる。ROE は 4% 前後で、資本コストを大きく下回ったままだ。
- 旅客自動車運送(タクシー・ハイヤー):数量 1,637(運送事業の従業員(人、ほぼ乗務員))× 価格 0.11(従業員 1 人あたりの年間の運送収入(億円・名目))→ 売上 177 億円・営業利益 6 億円。1,637 人(−15%)× 0.108 億円(1.34×1.05)、利益率 3.5%
- 不動産:数量 13.0(賃貸物件の数(件))× 価格 1.58(1 件あたりの年間の賃料(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 13 億円。13 件 × 1.58 億円(1.34×1.35、銀座の地代)、利益率 62%
- 販売・サービス・メンテナンス:数量 7,640(取引の対象の車両(台、推定))× 価格 0.01(1 台あたりの年間の売上(億円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 2 億円。7,640 台 × 1.34 倍、利益率 4%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.9% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 54 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:銀座の地代が入る一方、乗務員の減少で運送の規模が細るという、今の流れの延長の中心の筋書き。最もありそうなので 36%。
やや悲観 20% 乗務員が集まらず、利益が消える 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 595 円30 億円
乗務員は 10 年で 4 分の 1 減り、車を走らせたくても人がいない。ライドシェアの運転手と配車アプリの手数料が、タクシー会社の取り分を削る。運賃は物価並みにしか上がらず、営業利益率は 1.5% に落ちる。
銀座の再開発も、建築費の高騰で着工が遅れる。不動産の利益はほぼ物価並みにとどまる。借金の利払いが営業利益とほぼ同じ額になり、純利益はほとんど残らない。
配当は下限の水準に張り付き、財務制限条項に触れないことが経営の目標になる。土地はあるが、それを活かす力が会社に残らない。新株で資金を集める道も、株価が低ければ株主を薄めるだけになる。
- 旅客自動車運送(タクシー・ハイヤー):数量 1,445(運送事業の従業員(人、ほぼ乗務員))× 価格 0.10(従業員 1 人あたりの年間の運送収入(億円・名目))→ 売上 149 億円・営業利益 2 億円。1,445 人(−25%)× 0.103 億円(物価のみ)、利益率 1.5%
- 不動産:数量 12.0(賃貸物件の数(件))× 価格 1.29(1 件あたりの年間の賃料(億円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 9 億円。12 件 × 1.29 億円(1.34×1.1、再開発の遅れ)、利益率 58%
- 販売・サービス・メンテナンス:数量 7,000(取引の対象の車両(台、推定))× 価格 0.01(1 台あたりの年間の売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 1 億円。7,000 台 × 1.26 倍、利益率 3%
倍率:純利益がほぼ 0 か赤字で PER は使えない。今の自己資本(facts の 2026 年 3 月末 95 億円)に PBR 0.30 倍を掛けた。ROE が k を大きく下回り、事業に使う土地は売れば稼ぎが消える。土地の含み益は開示が無く数えない。純負債を返した後に残る土地と建物の帳簿の値の一部だけが株主の床になると見た。純有利子負債を足した EV は営業利益の数十倍になり、利益では支えられない値で、床は資産の側から置いた。
確率:乗務員の高齢化が想定より速く進み、ライドシェアと配車アプリに取り分を取られる筋書き。2021 年から 2025 年まで営業赤字が続いた実績があり、起こりうるので 20%。
悲観 12% 自動運転と再編で取り残される 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 530 円27 億円
10 年後の都内では、無人の車がアプリで呼ばれて走る。車両と配車の技術を握る大手と海外の企業が取り分の大半を取り、同社の運送は赤字になる。乗務員の採用も止まり、規模は 3 分の 2 に縮む。
金利の上昇で利払いが重くなり、純利益は赤字が続く。財務制限条項に触れ、銀行との交渉で営業所の土地を売る。売却益で借金は減るが、稼ぎの柱も細る。
株主に残るのは、借金を返した後の土地と賃貸ビルだけだ。土地の含み益は開示が無く、帳簿の値以上を当てにはできない。価値は今の自己資本の 3 割に満たない。良い土地を持つことと、株主が報われることは別の話だ。
- 旅客自動車運送(タクシー・ハイヤー):数量 1,250(運送事業の従業員(人、ほぼ乗務員))× 価格 0.10(従業員 1 人あたりの年間の運送収入(億円・名目))→ 売上 120 億円・営業利益 −1 億円。1,250 人 × 0.096 億円(1.25 倍)、利益率 −1%
- 不動産:数量 12.0(賃貸物件の数(件))× 価格 1.09(1 件あたりの年間の賃料(億円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 7 億円。12 件 × 1.09 億円(1.25 倍)、利益率 55%
- 販売・サービス・メンテナンス:数量 6,000(取引の対象の車両(台、推定))× 価格 0.01(1 台あたりの年間の売上(億円・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。6,000 台 × 1.20 倍、利益率 2%
倍率:純利益がほぼ 0 か赤字で PER は使えない。今の自己資本(facts の 2026 年 3 月末 95 億円)に PBR 0.28 倍を掛けた。ROE が k を大きく下回り、事業に使う土地は売れば稼ぎが消える。土地の含み益は開示が無く数えない。純負債を返した後に残る土地と建物の帳簿の値の一部だけが株主の床になると見た。純有利子負債を足した EV は営業利益の数十倍になり、利益では支えられない値で、床は資産の側から置いた。
確率:自動運転の車両とライドシェアが都内に広がり、技術を持たない中堅のタクシー会社が構造的に負ける筋書き。土地という床があるので 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
旅客自動車運送(タクシー・ハイヤー)
東京都区部を中心にタクシーとハイヤーを走らせる。法人向けのハイヤーと、流しと配車アプリのタクシー。
| 数量運送事業の従業員(人、ほぼ乗務員) | 価格従業員 1 人あたりの年間の運送収入(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,926 | 0.08 | 148 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1,637 | 0.11 | 177 | 6 |
取り方:有報の運送事業の従業員 1,926 人を数量に、売上 148.4 億円を割った 1 人あたり約 0.077 億円を単価に置いた。台数の開示が無いので乗務員の数で代えた推定。運賃の改定と配車の効率化は単価に入れる。
不動産
都内と京都の賃貸マンション・ビル 11 棟と、銀座一丁目の旧本社の土地。
| 数量賃貸物件の数(件) | 価格1 件あたりの年間の賃料(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12.0 | 0.88 | 11 | 6 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 1.58 | 21 | 13 |
取り方:会社開示の賃貸物件 11 棟と銀座の旧本社を合わせた 12 件を数量に、不動産の売上 10.5 億円を割った 1 件あたり約 0.88 億円を単価に置いた。再開発で物件が大きくなる分と地代は単価に入れる。
販売・サービス・メンテナンス
グループ内外のタクシー会社向けの燃料・車両などの販売と、車両の整備・保険などのサービス。
| 数量取引の対象の車両(台、推定) | 価格1 台あたりの年間の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,040 | 0.00 | 40 | 2 |
| 10 年後 中立 | 7,640 | 0.01 | 51 | 2 |
取り方:販売 19.2 億円とサービス・メンテナンス 21.0 億円を合わせ、1 台あたり年 50 万円の取引とみて約 8,040 台と推定した。台数は開示が無い推定で、単価は物価で上がる。
リスクと懸念
乗務員の不足
タクシーの売上は走らせる車の数で決まり、車の数は乗務員の数で決まる。乗務員は高齢化し、若い人の採用は難しい。人件費を上げても人が集まらなければ、車は営業所で眠り、固定費だけが残る。
自動運転とライドシェア
都内では自動運転の試験走行が始まり、ライドシェアも広がりつつある。車両と配車の技術を持つ大手や海外の企業が需要を握れば、中堅のタクシー会社は運ぶ力を安く売る立場に追いやられる。10 年の後半には、事業の形そのものが変わる恐れがある。
借金と金利
有利子負債は約 140 億円で、営業利益の 30 倍を超える。借り換えで金利が 3% 台に上がれば、利払いだけで年 4〜5 億円になる。新しいローンには純資産の維持と経常赤字の回避の条件が付き、業績が崩れれば資産の売却を迫られる。
再開発の遅れ
銀座一丁目の再開発は 2027 年の着工を目指すが、建築費の高騰と人手不足で計画が延びる例は多い。他の営業所の再開発はまだ候補の段階だ。土地を家賃に変える歩みが遅ければ、利益は今の薄さのまま続く。
株主の希薄化
2026 年は自己株の放出と大和ハウス工業への新株で、株数が 1 割強増えた。再開発や更新の資金を新株で賄う形が続けば、1 株あたりの価値は増えにくい。
今後の分かれ目
- 営業所の土地の再開発が銀座の他にも具体化したら
- 不動産の利益が増える筋書きに重みを移し、やや楽観の確率を上げる。地代と賃料が増えるほど利益の質も上がる。
- 同業や大和ハウス工業が持株を大きく増やしたら
- 会社ごと買われる可能性が高まる。楽観の筋書きの確率を見直す。
- 運送の営業利益率が 4% を超えて定着したら
- 乗務員の確保と運賃の改定が効いている証拠と見て、中立の利益率を上げる。
- 経常利益が赤字になり財務制限条項に近づいたら
- やや悲観・悲観の筋書きが近づいたと見る。資産の売却が値段の良い時か悪い時かを見極める。
- 都内で自動運転のタクシーが商用で走り始めたら
- 同社がその運行の担い手になれるかを見る。なれなければ悲観に寄せる。
見ておくもの
- 運送の従業員(乗務員)の数と 1 人あたりの売上
- 銀座一丁目の再開発の着工と地代の条件
- 営業所の再開発の計画
- 有利子負債と利払い、財務制限条項
- 大株主の持株の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト 9.5%(基本 7.5%+循環・借金・寿命)から決めた。事業の ROE がどの筋書きでも k に届かないので PER は 1÷k=11.1 倍が上限で、中立はその 8.5 割、悲観側は今の自己資本に掛けた。今の PBR 約 1 倍や会社の PBR 1 倍以上の目標には寄せていない。土地の時価は開示が無く、事業に使う土地は家賃を生まないので、含み益を足していない。再開発で増える地代は利益に入れた(二重に数えない)。株数は大和ハウス工業への新株 490,100 株を足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→10.53 倍・やや楽観 PER 10→10.53 倍・中立 PER 9.44→10.53 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。