結論
京阪ホールディングスは、大阪から京都・滋賀へ延びる京阪電車を軸に、不動産、ホテル、流通を営む関西の私鉄グループだ。筆者の結論は「今の値段はやや割高」である。2026年3月期の利益が一時的に膨らんでいる一方、先の借金の利払いが重くなるからだ。
2026年3月期の営業利益は492億円で過去最高だった。ただ、この中には滋賀・京都の用地分譲益と、大阪・関西万博の特需が入っている。会社自身が今期は424億円に減ると見ており、ならした稼ぐ力は400億円台半ばだ。
強みは二つある。京都の観光地を押さえた沿線と、賃貸等不動産の1,360億円の含み益(2025年3月末)だ。どちらも他社にはまねしにくい。
弱みは借金である。純有利子負債は3,700億円近く、利払い前の稼ぎ(EBITDA)の約5倍ある。借り換えのたびに金利が上がり、10年で利払いは年90億円ほど増える。利益の伸びの多くを食いつぶす計算だ。
中立の10年後は、営業利益が名目で570億円ほどだ。物価で膨らんだ分を除けば、今の水準とほぼ変わらない。純利益は320億円前後、ROE は6%台で、資本コスト8.25%に届かない。ここが割高の根っこになる。
一方で、村上世彰氏の長女の野村絢氏が7位株主に入ったと報じられている。資本効率を求める圧力が強まれば、含み益の売却や自社株買いが増え、上振れもありうる。この余地は確率に織り込んだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、京阪は「資産の質はよいが、資本の使い方はまだ途上」の会社だ。
筆者がまず見るのは、10年後もこの事業があるかどうかだ。京都と大阪を結ぶ鉄道と駅前の土地は、なくならない。堀は広くないが、狭まりにくい。
次に見るのは、株主が自由に使えるオーナー利益である。鉄道は車両、線路、ホーム柵に毎年多額を投じ、減価償却が年30億円ほど増える。帳簿の利益が出ても、手元に残るお金はそれより少ない。
資本配分は、やっと改善に向かった。ROE 10%を目標に掲げ、自社株買いと資産売却を始めた。ただし、借金を増やして賃貸物件を買う計画でもある。金利が3%台の世界では、購入利回りが借入金利を十分に上回る案件だけが価値を生む。
安全域は含み益にある。賃貸等不動産の含み益は、税引き後で950億円ほどあり、時価総額の3割にあたる。ただし、売って初めて株主のものになる。含み益を考えても、今の値段に厚い安全域があるとは言えない。
何で稼ぐ会社か
京阪グループの稼ぎは、運輸、不動産、流通、レジャー・サービスの4本だ。2026年3月期の営業利益は、不動産が261億円で最大、運輸が140億円、レジャー・サービスが68億円、流通が28億円だった。
運輸の中心は京阪電気鉄道だ。京阪本線、中之島線、大津線を持ち、年に約2億7,000万人を運ぶ。2025年10月、約30年ぶりに運賃を上げた。上げ幅は1割強である。京阪バスなどのバス事業もここに入る。
不動産は賃貸と販売の二本立てだ。賃貸は「淀屋橋ステーションワン」などのビルと商業施設で、年に約125億円(推定)を稼ぐ安定部門である。販売はマンション「ファインレジデンス」と土地の分譲で、年ごとの波が大きい。前期は、けいはんな学研都市の用地分譲が利益を押し上げた。
レジャー・サービスは、京都を中心にホテルを20店ほど、約5,000室運営する。「THE THOUSAND KYOTO」や「京都センチュリーホテル」などだ。遊園地のひらかたパークと大阪水上バスもここに入る。
流通は、京阪百貨店、スーパーの「フレスト」、ショッピングモールの「くずはモール」などだ。売上は大きいが、利益率は5%ほどと薄い。
利益の出方には癖がある。不動産の賃貸と運輸は、景気に左右されにくい積み上げ型だ。不動産の販売とホテルは、年ごとに振れる。2026年3月期は、この振れる部分が上に出た年だった。
京阪の型は、駅前の再開発で人を集め、鉄道・店・ホテルで稼ぎ、その利益で次の開発に投じる循環にある。不動産と運輸が両輪で、流通とホテルが沿線の顔になる。
優良さと弱いところ
京阪の堀は、鉄道そのものより「京都と大阪を結ぶ立地」にある。
京阪電車は、祇園、清水、伏見稲荷、宇治、比叡山といった観光地の最寄りを走る。京都市の年間観光者は約5,600万人(2024年)で、その動線を阪急やJR、近鉄と分け合う。観光客が定期外の収入を支える構図は他の私鉄にもあるが、京阪は京都の比重が高い。
ただ、堀は広くないと筆者は見る。運賃は国の認可で、約30年動かせなかった。旅客運輸収入は1996年度の648億円から2023年度の469億円へ、3割ほど減っている。値決めの力は強くない。ホテルは競合が多く、不動産の販売は景気で振れる。
資本の使い方は、ここ数年で変わった。配当は連結配当性向30%程度とし、自社株買いも続けている。2026年3月期には自己株式を約640万株消却した。2026年3月期の ROE は10.4%だった。ただ、これは用地分譲と万博で押し上げられた水準だ。
弱みは資産の重さである。総資産9,100億円のうち、不動産が6割、運輸が3割を占める。総資産に対する営業利益(ROA)は、不動産4.9%、運輸5.2%だ。資本コストの8%には遠い。会社も事業別の ROA を管理する方針で、問題意識は持っている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
関西の私鉄の勝負は、沿線の人口より、都心と観光にどれだけ近いかで決まる。
国内の鉄道需要は、人口とともに緩やかに細る。通学・通勤の定期は減り、観光客などの定期外が補う。京阪の旅客運輸収入もピークから3割ほど減った。それでも今は、駅の周りにホテルと商業施設を重ねる沿線複合経営が、各社の稼ぎ頭になっている。
関西では、阪急阪神が梅田を、近鉄が大阪・奈良・名古屋を、南海が難波と関西空港を押さえる。京阪の持ち場は、大阪の東西軸(京橋・中之島)と、京都の東山だ。大阪・関西万博は2025年に終わり、その反動が2027年3月期に出る。
次の材料は三つある。2030年に開業予定の大阪IR(統合型リゾート)、2031年に開業予定のなにわ筋線、そして中之島線を九条へ延ばす構想だ。IRの需要が中之島線にどこまで届くかは、まだ読めない。
京都では、ホテルの供給増とオーバーツーリズムへの反発が逆風になる。宿泊単価は上がったが、この先も上がり続けるとは限らない。
京阪の位置づけも整理しておく。阪急阪神は梅田の不動産で稼ぎ、近鉄は路線が広く沿線が分散している。京阪は路線が短く、京都・大阪の都心に集中する。分散が小さい分、都心の再開発が当たれば利益は大きく、外れれば響く。
運賃は、2025年10月に1割強の値上げが通った。国が認めるのは費用が積み上がった後なので、物価が上がり続ける間、運賃は物価に1〜2年遅れる。この遅れが利益率の重しになる。
金利も効く。鉄道と不動産は借金で投資する業種だ。10年国債が3%の世界では、借り換えのたびに利払いが増える。同業の中でも、借金が軽い会社が有利になる。
資本政策と M&A
資本政策は、2026年3月期から攻めに変わった。
配当は連結配当性向30%程度とし、増配を目指す。2026年3月期は、配当を前期の2.5倍に増やした。2027年3月期は、配当性向30%を保つ見通しで、金額は減る予定だ。これに自社株買いが加わる。2026年3月期は約640万株を消却した。
新しい中期経営計画(2026〜2028年度)は、2030年度までの5年で3,600億円を投じる。うち成長投資が2,500億円で、賃貸物件の新規取得に1,000億円を充てる。還元は700億円以上だ。
資金は、営業キャッシュフロー3,800億円、固定資産の売却950億円、借入1,000億円でまかなう。賃貸資産の売却450億円以上と政策保有株の縮減も入る。買い、育て、売る回転を回しながら、有利子負債を5,000億円以下に抑える狙いだ。
M&Aは、これまで大きな買収はない。中期計画には、不動産販売業と建設業での取り込みが入っている。株主には、村上世彰氏の長女の野村絢氏が1.23%(2026年3月末)で入った。TOBの具体的な動きは確認できていない。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の241億円が10年後に約 292億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
京阪はいま、沿線の価値が一段上がる入り口にいる。
大阪では、大阪IRが2030年に開業する。中之島線を九条へ延ばす構想が実現すれば、夢洲へ向かう人の流れを京阪が取り込める。京橋の再開発も2030年ごろの着手を目指す。大阪の東西軸は、梅田、難波に続く第三の軸になりうる。
京都では、京都タワーのリニューアルと三条駅周辺の開発が控える。ホテルは20店・約5,000室から26店に増え、京都の宿泊単価の上昇を取り込む。会社は営業利益を2031年3月期に580億円以上と掲げた。前の目標より3割高い。
運輸も思うほど弱くない。2025年10月の運賃改定は通年で効き始める。ホーム柵や新型車両への投資が一巡すれば、減価償却は落ち着き、運輸の営業利益は2031年3月期に160億円まで戻ると会社は見る。
不動産は、賃貸物件の取得に5年で1,000億円を投じ、売却益を特別利益として回収する。回転型の運営は、含み益を毎年少しずつ現金に変える。
資本効率の改善も、これから効いてくる。自己資本を4,000億円水準に抑え、ROE 10%を目指すと明言した。含み益1,360億円を生かして賃貸資産を回転させれば、利益は計画以上に伸びる。
村上世彰氏の長女が株主に入ったことも追い風だ。資本効率を求める圧力が高まれば、売却益と自社株買いは増える。純利益は10年で名目400億円台に乗る。
慎重な見方
今の利益は、ピークを見ているにすぎない。
2026年3月期の営業利益492億円には、けいはんなの用地分譲と万博特需が入っている。会社自身が、今期は424億円へ減ると見ている。万博は終わり、用地は売り切ればなくなる。
運輸は、運賃を上げても利益が増えにくい。新型車両への投資で、減価償却が年30億円ほど増えるからだ。乗客は沿線の人口とともに細る。旅客運輸収入は、ピークから3割ほど減った。
借金も重い。純有利子負債は3,700億円近く、EBITDAの約5倍ある。10年国債が3%の世界では、借り換えのたびに利払いが増え、10年で年90億円ほど利益を削る。中計は、この上に賃貸物件の購入を重ねる。購入利回りと借入金利の差が詰まれば、投資は価値を生まない。
含み益も過信できない。1,360億円は2025年3月末の鑑定ベースの数字で、金利が上がればオフィスや商業ビルの評価は下がる。売れば税も払う。税引き後は950億円ほどで、3,700億円の借金の前では大きくない。
還元も利益次第だ。配当性向30%は、利益が減れば配当も減る約束にすぎない。
京都のホテルは供給が増え、オーバーツーリズムへの反発も強い。インバウンドの伸びが止まれば、高い稼働率と単価は崩れる。ROEは10%を目標に掲げても、資本コスト8.25%を超える道筋は見えない。含み益は、売って初めて価値になる。
どちらに重みを置いたか
沿線の資産は強気の言い分どおり本物だ。ただ、利益のピークと金利の重さという慎重な言い分のほうが強い。
強気の言い分で最も強いのは、含み益と京都の立地だ。慎重な言い分で最も強いのは、今期の利益の落ち込みと利払いの増加である。どちらも数字で裏づけがあり、後者が勝つと筆者は見る。
確率は中立を3割強に置き、楽観とやや楽観を3割強、やや悲観と悲観を3割台半ばに分けた。悲観は構造的に負ける筋書きだが、含み益が下を支える。中立の ROE は6%台で資本コスト8.25%に届かず、10年後の価値は今の値段をやや下回る。総合は約 −22% のやや割高だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 5,154 円5,201 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,609 円1,623 億円)。 今の値に割り戻すと 3,415 円3,446 億円、今との差 +4.8%、 期待の年率 +7.6%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 7,306 円7,372 億円 | 2,158 円2,177 億円 | +190.4% | +11.2% | 946 円955 億円 |
| やや楽観 | 22% | 6,414 円6,472 億円 | 1,947 円1,965 億円 | +156.6% | +9.9% | 1,840 円1,856 億円 |
| 中立 | 33% | 5,898 円5,952 億円 | 1,739 円1,755 億円 | +134.4% | +8.9% | 2,520 円2,543 億円 |
| やや悲観 | 23% | 3,929 円3,965 億円 | 1,296 円1,308 億円 | +60.3% | +4.8% | 1,202 円1,213 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,352 円1,365 億円 | 771 円778 億円 | −34.8% | −4.2% | 255 円257 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,154 円5,201 億円 | 1,609 円1,623 億円 | +107.5% | +7.6% | 6,763 円6,824 億円 |
今の株価時価総額 3,259 円3,288 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 大阪IRと京都の拠点開発が実り、資本効率も上がる 利益 455 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 7,306 円7,372 億円
大阪IRが2030年に開業し、中之島線の九条への延伸が動き出す。京橋と中之島の再開発も進み、大阪の東西軸が京阪の稼ぎの柱に育つ。京都では三条駅周辺と京都タワーの開発が実り、ホテルは26店に増える。インバウンドの高い宿泊単価が保たれ、レジャー・サービスの営業利益は120億円近くになる。
不動産は、賃貸物件の取得1,000億円が回り、売却益を次の取得に回す循環が定着する。賃貸の営業利益は220億円まで伸びる。運輸は、観光列車と運賃改定で、減価償却の増加を吸収する。
資本政策も動く。会社は ROE 10%を掲げ、株主からの圧力もあって、自社株買いを積極的に続ける。営業利益は700億円台、純利益は400億円台に乗る。
(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れ、賃料・宿泊単価・分譲価格は物価並みかそれ以上に上がる。人数・室数・戸数は実質。借り換えによる利払いの増加は純利益から引いてある。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の241億円が10年後に約 292億円(物価で一律に増やすと約 251億円)。営業利益は +41億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 運輸(鉄道・バス):数量 269(京阪電鉄の年間輸送人員(百万人。バスは鉄道の 1 人あたり収入に含めた))× 価格 4.88(1 人あたり運輸業収入(百円))→ 売上 1,313 億円・営業利益 231 億円。数量 0.99 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率17.6%・償却は物価で増やさず按分(10年後 292億円)
- 不動産・賃貸:数量 182(賃貸の稼働床面積(万㎡。開示が見つからず推定))× 価格 3.06(1 ㎡あたり年間賃料収入(万円))→ 売上 556 億円・営業利益 222 億円。数量 1.30 倍・価格 1.38 倍(名目)・営業利益率 40.0%
- 不動産・販売ほか:数量 32.3(引渡し戸数換算(百戸。土地分譲は戸数に換算した推定))× 価格 47(1 戸あたり売上(百万円))→ 売上 1,533 億円・営業利益 146 億円。数量 0.95 倍・価格 1.40 倍(名目)・営業利益率 9.5%
- 流通:数量 74.8(取引件数(百万件。推定))× 価格 12(1 件あたり売上(百円))→ 売上 907 億円・営業利益 59 億円。数量 1.15 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 6.5%
- レジャー・サービス:数量 275(ホテル稼働室数と来場者の合計(万単位。推定))× 価格 2.83(1 単位あたり収入(万円。宿泊・飲食・入場料を含む))→ 売上 779 億円・営業利益 117 億円。数量 1.25 倍・価格 1.40 倍(名目)・営業利益率 15.0%
- その他(ビオスタイルなど):数量 7.0(利用件数(百万件。推定))× 価格 15(1 件あたり売上(百円))→ 売上 103 億円・営業利益 5 億円。数量 1.40 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 455 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 5,688 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:大阪IR・中之島線延伸・京都の三条とタワーの開発が重なって実る必要があり、金利の重さも吸収しなければならない。成功が連なる確度は高くないが、物言う株主の圧力という上振れ要因があるので 1 割とした。
やや楽観 22% 中期計画どおり、利益が着実に積み上がる 利益 392 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 6,414 円6,472 億円
中期経営計画の流れが、ほぼ予定どおりに進む。賃貸物件の取得と売却の回転が回り、不動産賃貸の営業利益は200億円ほどになる。マンション販売は新しい街区の分譲が続くが、前期のような大きな用地分譲は出ない。
京都のホテルは26店に近づく。単価は物価並みに上がり、稼働率は高いままだ。ただ、万博のような特需はなく、レジャー・サービスの営業利益は100億円ほどにとどまる。運輸は運賃改定の効果が出るが、新型車両の償却が重い。
借金は資産売却で5,000億円以下に抑えられるが、利払いは増える。自社株買いは続き、営業利益は640億円、純利益は370億円ほどになる。
(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れ、賃料・宿泊単価・分譲価格は物価並みかそれ以上に上がる。人数・室数・戸数は実質。借り換えによる利払いの増加は純利益から引いてある。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の241億円が10年後に約 292億円(物価で一律に増やすと約 257億円)。営業利益は +35億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 運輸(鉄道・バス):数量 261(京阪電鉄の年間輸送人員(百万人。バスは鉄道の 1 人あたり収入に含めた))× 価格 4.84(1 人あたり運輸業収入(百円))→ 売上 1,264 億円・営業利益 206 億円。数量 0.96 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率16.3%・償却は物価で増やさず按分(10年後 292億円)
- 不動産・賃貸:数量 175(賃貸の稼働床面積(万㎡。開示が見つからず推定))× 価格 3.01(1 ㎡あたり年間賃料収入(万円))→ 売上 527 億円・営業利益 208 億円。数量 1.25 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 39.5%
- 不動産・販売ほか:数量 29.9(引渡し戸数換算(百戸。土地分譲は戸数に換算した推定))× 価格 46(1 戸あたり売上(百万円))→ 売上 1,379 億円・営業利益 117 億円。数量 0.88 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 8.5%
- 流通:数量 71.5(取引件数(百万件。推定))× 価格 12(1 件あたり売上(百円))→ 売上 861 億円・営業利益 52 億円。数量 1.10 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 6.0%
- レジャー・サービス:数量 260(ホテル稼働室数と来場者の合計(万単位。推定))× 価格 2.77(1 単位あたり収入(万円。宿泊・飲食・入場料を含む))→ 売上 719 億円・営業利益 101 億円。数量 1.18 倍・価格 1.37 倍(名目)・営業利益率 14.0%
- その他(ビオスタイルなど):数量 6.5(利用件数(百万件。推定))× 価格 15(1 件あたり売上(百円))→ 売上 95 億円・営業利益 4 億円。数量 1.30 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 392 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 4,751 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社が掲げる 2030 年度の営業利益 580 億円以上に近い成長が、10 年かけて実現する筋書き。計画はこれまで前倒しで達成されてきたが、金利の重さを考えると 2 割強が妥当。
中立 33% 中立:人口減を京都の立地と不動産で相殺する 利益 340 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 5,898 円5,952 億円
万博と用地分譲の特需は一巡し、利益は2027年3月期に424億円へ下がる。その後は、運賃改定と賃貸の積み上げで、ゆっくり戻る。実質では、今の稼ぐ力とほぼ変わらない。
運輸は、乗客が沿線の人口減で6%ほど減る。運賃は物価に遅れて追いつくが、減価償却の増加で利益率は12%台に下がる。不動産賃貸は、取得と再開発で床面積が2割ほど増え、営業利益は190億円ほどになる。販売は通常の水準に戻る。
ホテルは新規出店で1割ほど室数が増えるが、特需がないので利益率は万博前後の中間になる。流通は店を増やしても利益は45億円ほどだ。利払いは10年で年90億円ほど増え、純利益は320億円前後、営業利益は570億円ほどになる。
(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れ、賃料・宿泊単価・分譲価格は物価並みかそれ以上に上がる。人数・室数・戸数は実質。借り換えによる利払いの増加は純利益から引いてある。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の241億円が10年後に約 292億円(物価で一律に増やすと約 261億円)。営業利益は +31億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 運輸(鉄道・バス):数量 256(京阪電鉄の年間輸送人員(百万人。バスは鉄道の 1 人あたり収入に含めた))× 価格 4.80(1 人あたり運輸業収入(百円))→ 売上 1,228 億円・営業利益 185 億円。数量 0.94 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率15.1%・償却は物価で増やさず按分(10年後 292億円)
- 不動産・賃貸:数量 168(賃貸の稼働床面積(万㎡。開示が見つからず推定))× 価格 2.97(1 ㎡あたり年間賃料収入(万円))→ 売上 498 億円・営業利益 189 億円。数量 1.20 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 38.0%
- 不動産・販売ほか:数量 27.9(引渡し戸数換算(百戸。土地分譲は戸数に換算した推定))× 価格 45(1 戸あたり売上(百万円))→ 売上 1,266 億円・営業利益 101 億円。数量 0.82 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 8.0%
- 流通:数量 68.3(取引件数(百万件。推定))× 価格 12(1 件あたり売上(百円))→ 売上 816 億円・営業利益 45 億円。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 5.5%
- レジャー・サービス:数量 246(ホテル稼働室数と来場者の合計(万単位。推定))× 価格 2.71(1 単位あたり収入(万円。宿泊・飲食・入場料を含む))→ 売上 668 億円・営業利益 90 億円。数量 1.12 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 13.5%
- その他(ビオスタイルなど):数量 6.0(利用件数(百万件。推定))× 価格 14(1 件あたり売上(百円))→ 売上 87 億円・営業利益 3 億円。数量 1.20 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 340 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 4,121 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益のピークからの反動と、含み益や賃貸の安定が拮抗する中心の筋書き。利払い増は確実で、成長投資の回収は半分程度という見方を中心に置いた。
やや悲観 23% 京都の観光が一服し、金利が利益を削る 利益 186 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 3,929 円3,965 億円
京都のホテルは供給が増え、宿泊単価が物価に追いつかなくなる。万博の反動で稼働率も下がり、レジャー・サービスの営業利益は50億円ほどに縮む。大阪IRの人流も中之島線までは届かない。
運輸は、乗客が1割以上減り、運賃改定も物価に追いつかない。減価償却の重さで営業利益は100億円ほどになる。不動産は、建築費の高騰でマンションの利益率が落ち、販売の営業利益は60億円ほどに下がる。賃貸は取得物件の利回りが借入金利に近づき、伸びが鈍る。
借金は資産売却が進まず、利払いは10年で年110億円ほど増える。営業利益は400億円ほど、純利益は180億円ほどになる。自社株買いは細り、配当を中心に還元する。
(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れ、賃料・宿泊単価・分譲価格は物価並みかそれ以上に上がる。人数・室数・戸数は実質。借り換えによる利払いの増加は純利益から引いてある。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の241億円が10年後に約 292億円(物価で一律に増やすと約 273億円)。営業利益は +19億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 15億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 運輸(鉄道・バス):数量 242(京阪電鉄の年間輸送人員(百万人。バスは鉄道の 1 人あたり収入に含めた))× 価格 4.66(1 人あたり運輸業収入(百円))→ 売上 1,128 億円・営業利益 126 億円。数量 0.89 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率11.2%・償却は物価で増やさず按分(10年後 292億円)
- 不動産・賃貸:数量 157(賃貸の稼働床面積(万㎡。開示が見つからず推定))× 価格 2.88(1 ㎡あたり年間賃料収入(万円))→ 売上 451 億円・営業利益 158 億円。数量 1.12 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 35.0%
- 不動産・販売ほか:数量 23.8(引渡し戸数換算(百戸。土地分譲は戸数に換算した推定))× 価格 43(1 戸あたり売上(百万円))→ 売上 1,033 億円・営業利益 62 億円。数量 0.70 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 6.0%
- 流通:数量 63.7(取引件数(百万件。推定))× 価格 12(1 件あたり売上(百円))→ 売上 739 億円・営業利益 30 億円。数量 0.98 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 4.0%
- レジャー・サービス:数量 209(ホテル稼働室数と来場者の合計(万単位。推定))× 価格 2.59(1 単位あたり収入(万円。宿泊・飲食・入場料を含む))→ 売上 541 億円・営業利益 49 億円。数量 0.95 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 9.0%
- その他(ビオスタイルなど):数量 5.0(利用件数(百万件。推定))× 価格 14(1 件あたり売上(百円))→ 売上 69 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 2.0%
倍率:ROE 4.1%。RONIC = k 8.25% + 1/2 ×(4.1 − 8.0)= 6.1%、g 4.0% から正当化 PER = (1 − 4.0÷6.1)÷(8.0 − 4.0)= 8.5 倍。稼ぐ力が細り、利払い増も吸収しきれない筋書きなので、式の値をそのまま 8.5 倍にした(上限 12.5 倍の 6.8 割)。純有利子負債 3,681 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 12.6 倍。 余り資産は立てていない(賃貸の含み益は賃料・売却益が純利益に入って倍率で数え済みなので足さない。悲観の床にだけ使う)。
確率:京都のホテル供給増と宿泊単価の頭打ち、運賃改定が物価に追いつかない状態が重なる想定。同業の悲観側の確率と同じ水準。
悲観 12% 沿線の価値が構造的に落ち、稼ぐ力を失う 利益 −30 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,352 円1,365 億円
沿線の人口減が加速し、乗客は2割近く減る。運賃は認可で据え置きに近く、新型車両への投資だけが重く残る。京都では、観光客への規制や反動でホテルの稼働と単価が落ち、大阪IRの効果も中之島線に届かない。
不動産は、オフィスや商業の賃料が伸びず、賃貸の稼ぎは名目で横ばいにとどまる。マンション販売は在庫が滞り、利益はほぼ消える。流通は薄い利益がさらに薄くなる。
金利の上昇で利払いは年150億円近く重くなり、営業利益は190億円ほどに落ちる。純利益はほぼゼロになる。会社は賃貸物件と販売用不動産を売って借金を返し、還元を絞る。売れる資産の価値が、株主にとっての床になる。
(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れ、賃料・宿泊単価・分譲価格は物価並みかそれ以上に上がる。人数・室数・戸数は実質。借り換えによる利払いの増加は純利益から引いてある。還元は手元資金と資産の売却で最低限を保つ。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の241億円が10年後に約 292億円(物価で一律に増やすと約 304億円)。営業利益は −12億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 57億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 運輸(鉄道・バス):数量 223(京阪電鉄の年間輸送人員(百万人。バスは鉄道の 1 人あたり収入に含めた))× 価格 4.30(1 人あたり運輸業収入(百円))→ 売上 960 億円・営業利益 36 億円。数量 0.82 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率3.8%・償却は物価で増やさず按分(10年後 292億円)
- 不動産・賃貸:数量 140(賃貸の稼働床面積(万㎡。開示が見つからず推定))× 価格 2.55(1 ㎡あたり年間賃料収入(万円))→ 売上 356 億円・営業利益 100 億円。数量 1.00 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 28.0%
- 不動産・販売ほか:数量 18.7(引渡し戸数換算(百戸。土地分譲は戸数に換算した推定))× 価格 39(1 戸あたり売上(百万円))→ 売上 729 億円・営業利益 22 億円。数量 0.55 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 3.0%
- 流通:数量 58.5(取引件数(百万件。推定))× 価格 10(1 件あたり売上(百円))→ 売上 600 億円・営業利益 12 億円。数量 0.90 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 2.0%
- レジャー・サービス:数量 187(ホテル稼働室数と来場者の合計(万単位。推定))× 価格 2.27(1 単位あたり収入(万円。宿泊・飲食・入場料を含む))→ 売上 424 億円・営業利益 13 億円。数量 0.85 倍・価格 1.12 倍(名目)・営業利益率 3.0%
- その他(ビオスタイルなど):数量 4.0(利用件数(百万件。推定))× 価格 12(1 件あたり売上(百円))→ 売上 50 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力(事業の純利益 -30 ÷ k 8.25% = -375 億円)より、売れる資産の税後から純有利子負債を引いた床(floor_assets_oku 1,357 億円)のほうが大きいので、床をそのまま時価総額に置いた。今の自己資本 3,411 億円に対する PBR は 0.40 倍。構造的に稼ぐ力を失い、借金の利払いで利益がほぼ消える筋書き。純有利子負債 3,681 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 29.0 倍と 20 倍を超えるが、利益が低い年で測るため参考にとどめ、価値は資産で見ている。
確率:沿線人口の減少が速まり、京都観光の過熱が規制や反動で冷え、ホテル・賃貸の供給過剰が重なる構造的な負け。一度崩れると 10 年では戻りにくいので 1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
運輸(鉄道・バス)
京阪電気鉄道の京阪線・大津線の鉄道と、京阪バスなどのバス事業。
| 数量京阪電鉄の年間輸送人員(百万人。バスは鉄道の 1 人あたり収入に含めた) | 価格1 人あたり運輸業収入(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 272 | 3.59 | 975 | 140 |
| 10 年後 中立 | 256 | 4.80 | 1,228 | 185 |
取り方:運輸業の営業収益 975 億円を、京阪電鉄の年間輸送人員 約 2.72 億人(定期 1.39 億・定期外 1.33 億。有価証券報告書の要約)で割った。2025 年 10 月の運賃改定(約 1 割強)は半年分しか入っておらず、今期は通年で効く。運賃は国の認可で、費用が積み上がってから上がるため物価に 1〜2 年遅れる。
不動産・賃貸
淀屋橋ステーションワン、京阪モールなどのビル・商業施設の賃貸。
| 数量賃貸の稼働床面積(万㎡。開示が見つからず推定) | 価格1 ㎡あたり年間賃料収入(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 140 | 2.21 | 310 | 125 |
| 10 年後 中立 | 168 | 2.97 | 498 | 189 |
取り方:不動産の営業利益 261 億円を、2025 年 9 月中間の賃貸業 62 億円(半期)を倍にした約 125 億円(賃貸)と残り(販売ほか)に分けた推定。賃貸の営業収益は同じく中間の 152 億円を倍にして約 310 億円とし、床面積 140 万㎡を仮に置いて 1 ㎡あたりの賃料を出した(面積は推定。数量の動きは取得・売却の計画から)。
不動産・販売ほか
マンション(ファインレジデンス)、土地・建物の分譲、ホテルコンドミニアム、建材卸・測量設計。
| 数量引渡し戸数換算(百戸。土地分譲は戸数に換算した推定) | 価格1 戸あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 34.0 | 34 | 1,152 | 136 |
| 10 年後 中立 | 27.9 | 45 | 1,266 | 101 |
取り方:不動産の営業収益 1,462 億円から賃貸分 310 億円を引いた 1,152 億円を、引渡し 約 3,400 戸換算(推定)で割った。営業利益は 261 億円から賃貸の約 125 億円を引いた約 136 億円。前期はけいはんな学研都市の用地分譲という一過性の益が入り、会社の今期計画(不動産全体 201 億円)から逆算すると通常の販売ほかは約 70 億円とみられる。
流通
京阪百貨店、スーパー(フレスト)、ショッピングモール(くずはモールなど)、駅ナカ店舗。
| 数量取引件数(百万件。推定) | 価格1 件あたり売上(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 65.0 | 8.92 | 580 | 28 |
| 10 年後 中立 | 68.3 | 12 | 816 | 45 |
取り方:流通業の営業収益 580 億円を、百貨店・スーパー・モール・駅ナカの取引 約 6,500 万件(推定)で割った。利益率は 5% 弱。会社はスーパーを 20 店から 36 店、駅ナカの「もより市」を 6 店から 9 店に増やす計画。
レジャー・サービス
京都を中心とするホテル(約 5,000 室)、ひらかたパーク、大阪水上バスなど。
| 数量ホテル稼働室数と来場者の合計(万単位。推定) | 価格1 単位あたり収入(万円。宿泊・飲食・入場料を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 220 | 2.02 | 445 | 68 |
| 10 年後 中立 | 246 | 2.71 | 668 | 90 |
取り方:レジャー・サービスの営業収益 445 億円を、約 5,000 室の稼働室数(稼働率 85% 前後で年 約 155 万室夜)とパーク・船の来場者の換算 約 65 万を足した約 220 万単位(推定)で割った。前期は万博効果で利益率が 15% に上がった。
その他(ビオスタイルなど)
「GOOD NATURE STATION」の運営、オーガニック食品・化粧品の企画販売。
| 数量利用件数(百万件。推定) | 価格1 件あたり売上(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5.0 | 11 | 54 | 2 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 14 | 87 | 3 |
取り方:その他の営業収益 54 億円を、店舗・通販の利用 約 500 万件(推定)で割った。営業利益は 2 億円弱。
リスクと懸念
利益のピーク後の反動
2026年3月期の営業利益492億円には、けいはんな学研都市の用地分譲と大阪・関西万博の特需が入っている。会社は今期を424億円と見る。反動が会社の想定より深ければ、増配方針と自社株買いの原資が細り、株価の見立ても下がる。会社の予想どおりなら織り込み済みだが、深ければ想定が崩れる。
金利と借金の重さ
純有利子負債は3,700億円近く、EBITDAの約5倍ある。10年国債が3%になる世界では、借り換えのたびに利払いが増え、10年で年90億円ほど利益を削る。成長投資で借金を増やせば、この重さはさらに増す。借金が軽い同業との差が、利益の質の差として表れやすい。
京都観光の変調
ホテルと商業は京都の観光に偏る。ホテルの新規供給、オーバーツーリズムへの規制や住民の反発、為替の変化でインバウンドが細れば、宿泊単価と稼働率が同時に落ちる。万博の反動もすでに出始めている。ホテルの利益率は、今は万博で上振れている。
運賃の認可と減価償却
運賃は国の認可で、費用が積み上がってから上がる。新型車両と可動式ホーム柵への投資で減価償却は年30億円ほど増える。物価が先に上がると、運輸の利益率は運賃改定で戻るまで下がる。運賃の遅れは、物価高の局面ほど痛い。
不動産販売の波と建築費
マンションと土地の分譲は、年ごとの利益の波が大きい。建築費と人件費の高騰で、利益率が下がる恐れがある。前期の用地分譲のような大型案件は、毎年は出ない。販売の利益が薄れる年は、全社の利益も振れる。
物言う株主と資本政策のぶれ
村上世彰氏の長女の野村絢氏が7位株主(1.23%)に入ったと報じられた。意図は不明だ。資本効率を求める圧力が強まれば、売却や還元は増えるが、長期の沿線開発に使う余力が削られる面もある。人についての事実は報道に基づき、出典は notes にある。
大阪IRと中之島線延伸の不確実性
大阪IR(2030年開業予定)や中之島線の九条延伸は、まだ検討段階だ。延伸の事業費は大きく、採算は未確認である。需要が期待に届かなければ、投資だけが先に重くなる。会社の長期計画は、この延伸を前提には置いていない。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が会社予想の424億円を下回ったら
- 特需の反動が深いと見て、中立から やや悲観 へ確率を寄せる。
- 中之島線の九条延伸が正式に決まり、事業費の負担割合が明らかになったら
- 需要と費用を比べ、採算が取れるなら楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 賃貸資産の売却が年100億円規模で続き、有利子負債が減り始めたら
- 金利の重さが和らいでいると見て、悲観側の確率を下げる。
- 京都のホテルの稼働率や単価が前年を下回る状態が続いたら
- レジャー・サービスの利益率の前提を下げ、やや悲観側に寄せる。
- 野村氏らの持株が増え、資本効率の要求が株主提案になったら
- 資本政策が動く可能性を重くみて、楽観側の確率を上げる。
- 運賃改定のあと、乗客数の減少が想定の年0.6%を超えて進んだら
- 運輸の前提を下げ、やや悲観側に寄せる。
見ておくもの
- 2027年3月期の営業利益と、会社予想424億円との差
- 賃貸資産の売却額と、純有利子負債(5,000億円以下の目標)
- 京都のホテルの稼働率と宿泊単価
- 中之島線の九条延伸と大阪IR(2030年開業予定)の進み方
- 自社株買いの実施と、大株主の動き(野村氏ら)
倍率と資本コストの決め方
倍率は式で置き、今の PER や PBR には寄せていない。k は基本 7.5% に quality 0.5%(循環 0・値決め力 −0.25・借金 +0.75・寿命 0)で 8.0%。確率は quality を理由に動かしていない。中立は ROE 6% 台で k に届かないので、PER の上限 12.5 倍の 8.4 割の 10.5 倍。含み益は悲観の床にだけ使い、中立〜楽観には賃料・売却益が純利益に入っているので足していない。リースは小さい(リース債務 約 100 億円)が、新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で営業利益と純有利子負債の形が変わる。10 年後の数字は今と同じ形(家賃・リース料を営業費用に入れた形)で置いた。同業の阪急阪神・東急と同じ物差しで並べた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:やや楽観 PER 11→12.12 倍・中立 PER 10.5→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.5%(循環 0・値決め力 −0.25・借金 +0.75・寿命 0)= 8.0%。借入が EBITDA の約 5 倍と重い分を上げ、認可運賃と京都の立地による下げを小さく打ち消した。野村氏の株式取得や用地分譲の波は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 8.25%。