結論
東部ネットワークは、横浜を拠点に清涼飲料、セメント、産業ガスなどを大型のトレーラーで運ぶ運送会社だ。横浜駅の近くに賃貸のビルも持つ。筆者の結論は「割高」で、理由は ROE が 2% 前後しかないことに尽きる。
帳簿の上では資産は厚い。自己資本は 209 億円で、時価総額の 3 倍を超える。現金と預金は 43 億円、持ち合いの株は 30 億円、賃貸のビルの時価は 98 億円ある。だが、その資産が生む利益は小さく、株主に返る道筋も細い。
本業の運送は、飲料の荷主の物流の合理化で量が減り続けている。不採算の路線を見直して利益は戻りつつあるが、全社の営業利益は 3 億円前後にすぎない。本社の費用を引くと、ビルの賃料がなければ赤字に近い。
10 年後の営業利益は 4 億円前後とみる。自社株買いを続ける姿勢は評価できるが、資産を売って株主に返す計画はない。少数株主にとって、帳簿の価値は手の届かない価値だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、東部ネットワークは「資産は厚いが、オーナーとして持ちたくなる事業ではない」。
運送の事業に堀は乏しい。飲料の荷主は強く、量は減り続ける。特殊な貨物には強みがあるが、全体を変えるほど大きくない。10 年後も会社は残るが、今より強くなっているとは考えにくい。
資産の価値は本物だ。現金、持ち合いの株、横浜のビルを合わせれば、時価総額を大きく上回る。だが、経営がそれを売って株主に返さない限り、少数株主には届かない。ROE が 2% の会社に資本を寝かせ続ければ、株主の価値は物価に負けて目減りする。
筆者は、自社株買いを続ける姿勢を評価しつつも、今の還元の規模では資産の重さは解消しないと見る。資産を売る計画が数字で出るまでは、帳簿どおりの値段は払えない。オーナー利益も、車両の更新を引けば純利益より小さい。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つに分かれる。いちばん大きいのは貨物自動車の運送で、売上 92 億円、売上の 9 割を占める。清涼飲料とびんの容器、石油、セメント、化成品、パレットを大型のトレーラーで運ぶ。荷役と保管、荷主の倉庫を預かる 3PL も手がける。
運送の中でも、セメントやケミカル、産業ガスのような特殊な貨物は、専用の車両と資格を持つ運転手が要る。新しい会社がすぐには入れない分野で、利益率も比較的高い。会社は九州と北海道で、半導体の工場向けの産業ガスの保管と輸送の体制を作っている。
2 つ目は不動産の賃貸で、売上 6.6 億円、利益 4.1 億円。横浜の東部ヨコハマビルなどを貸し、満床が続いている。売上は全体の 1 割に満たないが、利益は全社でいちばん大きい。賃貸のビルの時価は 98 億円で、帳簿の 69 億円を約 30 億円上回る。
3 つ目は自動車の整備で、売上 2.5 億円。整備士が足りず、仕事を受けきれていない。2026 年 12 月には整備の福興商会を買う。
セグメントの利益の合計は 8.4 億円あるが、本社の費用が約 5.7 億円かかり、全社の営業利益は 2.7 億円にとどまる。
優良さと弱いところ
優良さは低い。飲料の輸送は荷主が強く、運賃の交渉では押されがちだ。荷主の物流の合理化で仕事が減っても、こちらから値段を決める力はない。売上は 10 年で約 2 割減った。
強みがあるとすれば、特殊な貨物の輸送だ。セメントや化成品、産業ガスは、専用の車両と資格がないと運べない。不採算の路線を整理した 2026 年 3 月期、運送の利益は倍に増えた。経営に立て直す力はある。
もう一つの強みは横浜のビルだ。満床で安定した賃料を生み、本社の費用をまかなっている。
資本効率は極めて低い。ROE は過去 10 年の中央値で 2% 台で、資本コストの 4 分の 1 にも届かない。自己資本が厚すぎ、その多くが現金と持ち合いの株とビルとして眠っている。経営は自社株買いで少しずつ返し始めたが、資本の重さに比べれば規模はまだ小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
運送業界は、運ぶ人が減り、運賃が上がる局面にある。2024 年 4 月から運転手の残業に上限ができ、国は「標準的な運賃」を引き上げた。特殊な貨物を運べる会社の交渉力は強まった。
ただ、飲料の輸送は別の流れの中にある。清涼飲料の大手は、物流の子会社をまとめ、配送の拠点を減らしている。びんの容器の回収もペットボトルへの切り替えで細る。飲料の荷主に頼る運送会社は、運賃が上がっても量が減る。
セメントは公共工事と建設に連動し、国内の需要は長く減ってきた。一方で、産業ガスは半導体の工場の新設で伸びる。九州の熊本や北海道の千歳では、大型の工場が動き始めた。こうした特殊な輸送は、新しい会社が入りにくく、値上げも通りやすい。
業界は再編が続く。大手の物流会社は中小の運送会社を買い、運転手と車両を確保しようとしている。東部ネットワークも、テーエス運輸や魚津運輸を買い、2026 年に福興商会を買う。小さな買収を重ねて量を保つ形だ。
筆者は、10 年で運送の量は 1 割減り、運賃は物価並みに上がると見る。特殊な輸送の伸びが、飲料の縮みをどこまで埋めるかが分かれ目になる。
資本政策と M&A
配当は安定配当で、2026 年 3 月期は増配し、性向は 4 割弱だった。自社株買いも 2025 年に続き 2026 年も実施している。還元の姿勢は前向きだ。
ただし、資産の使い方は変わっていない。現金 43 億円、持ち合いの株 30 億円、賃貸のビルは手元に残したままだ。2026 年 3 月期に株の一部を売ったが、規模は小さい。
大株主の筆頭は個人で 25%、2 位以下に丸全昭和運輸やアサガミなど取引のある物流会社が並ぶ。持ち合いの色が濃く、TOB で買われる筋書きは、筆頭株主が応じない限り考えにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
時価総額は自己資本の 3 分の 1 にすぎない。現金と持ち合いの株だけで時価総額に迫り、横浜のビルの時価はそれとは別に 98 億円ある。資産の裏づけはこれ以上ないほど厚い。
事業も底を打った。不採算の路線を見直し、2026 年 3 月期の運送の利益は倍になった。特殊な貨物の輸送は専門の運転手と車両が要り、値上げが通る。九州と北海道では、半導体の工場向けの産業ガスの輸送が始まった。
還元にも動き出した。2025 年と 2026 年に自社株買いを行い、配当も増やした。2026 年 3 月期には持ち合いの株も一部売った。資本の効率を上げる流れが続けば、資産の価値は少しずつ株主に戻る。
運転手の不足で運賃は上がり、小さな運送会社には買収の話も来る。資産の厚い会社は、買う側からも魅力に映る。
横浜のビルは満床で、賃料は物価とともに上がる。建物の償却は建てた時の値段のままなので、賃料が上がるほど利益は厚くなる。底堅い稼ぎが、運送の波を下から支える。
慎重な見方
飲料の輸送は、荷主の合理化で量が減り続けている。2026 年 3 月期も主要な荷主の仕事が想定以上に減った。売上は 10 年で 2 割縮み、会社が掲げた中計の目標も 2026 年 5 月に修正した。
本業の稼ぎは薄い。全社の営業利益 2.7 億円のうち、ビルの賃料が 4.1 億円を稼ぎ、運送と本社の費用を支えている。賃料がなければ、運送会社としてはほぼ赤字だ。
資産は厚いが、売る計画はない。持ち合いの株は取引先の株で、売れば取引に響く。ビルは本社の機能と一体で、手放す理由がない。現金も、買収と設備の更新に回る。
ROE が 2% の会社が資本を抱え続ければ、株主の価値は年 3% の物価に負けて目減りする。帳簿の価値は、少数株主には手の届かない価値だ。
運転手の高齢化も重い。社員の平均年齢は 54 歳に近く、1 年で 41 人が減った。人が集まらなければ、伸びる仕事も受けられない。賃金を上げれば利益が消える。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方に分がある。資産が厚いのは事実だが、経営がそれを株主に返す計画を示していない以上、少数株主の価値にはならない。運送の立て直しは本物でも、規模は小さい。
確率は中立を 4 割弱とし、飲料の荷主が離れるやや悲観を 23% と厚めにした。現金と持ち合い株の売れる値段を悲観側の床に置いた。資産を売る計画が出れば、見方は大きく変わる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,057 円58 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 316 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 678 円37 億円、今との差 −39.6%、 期待の年率 +2.0%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,903 円104 億円 | 549 円30 億円 | +118.8% | +8.1% | 172 円9 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,451 円79 億円 | 439 円24 億円 | +68.7% | +5.4% | 378 円21 億円 |
| 中立 | 38% | 1,107 円61 億円 | 348 円19 億円 | +29.8% | +2.6% | 553 円30 億円 |
| やや悲観 | 23% | 697 円38 億円 | 220 円12 億円 | −18.2% | −2.0% | 211 円12 億円 |
| 悲観 | 12% | 439 円24 億円 | 55 円3 億円 | −55.9% | −7.9% | 59 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,057 円58 億円 | 316 円17 億円 | +22.5% | +2.0% | 1,373 円75 億円 |
今の株価時価総額 1,121 円61 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 産業ガスと M&A で中計の 2034 年目標に届く 利益 8 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,903 円104 億円
半導体の工場向けの産業ガスの保管と輸送が、九州と北海道で育つ。ケミカルやセメントのような特殊な貨物は、専門の運転手と車両が要るため、値上げが通る。飲料の輸送の落ち込みは、この特殊な貨物の伸びで埋まる。
グループに入れたテーエス運輸や魚津運輸、2026 年に買う福興商会がうまく噛み合い、輸送の量は 1.1 倍になる。運賃は運転手の不足を背景に物価を上回って上がる。
横浜のビルの賃料も物価以上に上がる。全社の営業利益は 9 億円台に届き、会社の 2034 年の目標を達成する。それでも ROE は 4% に届かず、資本の重さは残る。
- 貨物自動車運送:数量 440(稼働する車両(台、推定))× 価格 0.32(1 台あたりの年の売上(億円、名目))→ 売上 141 億円・営業利益 9 億円。数量 440.0 × 価格 0.3206、営業利益率 6.0%
- 不動産賃貸:数量 63.0(貸している面積(千平方メートル、推定))× 価格 0.15(千平方メートルあたりの年の賃料(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 7 億円。数量 63.0 × 価格 0.1511、営業利益率 70.0%
- その他(自動車整備):数量 6,500(整備の台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの整備売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。数量 6500.0 × 価格 0.0007、営業利益率 30.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 104 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の 2034 年 3 月期の目標(営業利益 9 億円)に届く筋書き。直近の営業利益は 2.7 億円で、過去 10 年で営業利益が 7 億円を超えた年は無いため 7% にとどめた。
やや楽観 20% 特殊な輸送と賃料で、利益が倍になる 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,451 円79 億円
不採算の路線と荷主を見直した効果が続き、輸送の利益率は 5% に上がる。飲料の輸送は減るが、産業ガスやケミカルの輸送が伸び、全体の量は今と同じを保つ。
運賃は人件費の上昇を転嫁して 1.37 倍になる。横浜のビルは満床が続き、賃料は物価並みに上がる。建物の償却は建てた時の値段のままなので、賃貸の利益率は少し上がる。
全社の営業利益は 6 億円台になり、今の倍を超える。還元は配当と自社株買いで利益の 6 割を続ける。整備の事業も福興商会を加えて広がり、グループの車両の整備を内製できるようになる。資本の重さは残るが、利益は着実に積み上がる。
- 貨物自動車運送:数量 400(稼働する車両(台、推定))× 価格 0.31(1 台あたりの年の売上(億円、名目))→ 売上 126 億円・営業利益 6 億円。数量 400.0 × 価格 0.3137、営業利益率 5.0%
- 不動産賃貸:数量 60.0(貸している面積(千平方メートル、推定))× 価格 0.15(千平方メートルあたりの年の賃料(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 6 億円。数量 60.0 × 価格 0.1489、営業利益率 68.0%
- その他(自動車整備):数量 6,000(整備の台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの整備売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。数量 6000.0 × 価格 0.0007、営業利益率 29.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 79 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:不採算の路線を見直した効果で、2026 年 3 月期の輸送の利益は倍増した。この立て直しが続く筋書きとして 2 割を置いた。
中立 38% 飲料は細り、賃料が支える 利益 4 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,107 円61 億円
10 年後の東部ネットワークは、横浜の小さな運送会社と、賃貸ビルの家主を兼ねた会社のまま残る。飲料の輸送は、荷主の物流の合理化と、びんの容器の減少で 1 割縮む。産業ガスやケミカルの輸送が伸びても、全体の量は 0.9 倍にとどまる。
運賃は人件費に合わせて上がり、10 年で 1.34 倍。輸送の利益率は 4% 台前半で、今より少し良い程度だ。賃貸は満床が続き、賃料は物価並みに上がる。トラックとビルの償却は取得した時の値段のままで、更新した分だけ新しい値段になる。
本社の費用も物価で増え、全社の営業利益は 4 億円前後にとどまる。純利益は、政策保有株の配当と現金の利息に支えられる。
- 貨物自動車運送:数量 360(稼働する車両(台、推定))× 価格 0.31(1 台あたりの年の売上(億円、名目))→ 売上 111 億円・営業利益 5 億円。数量 360.0 × 価格 0.3069、営業利益率 4.2%
- 不動産賃貸:数量 60.0(貸している面積(千平方メートル、推定))× 価格 0.15(千平方メートルあたりの年の賃料(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 6 億円。数量 60.0 × 価格 0.1467、営業利益率 66.0%
- その他(自動車整備):数量 5,500(整備の台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの整備売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。数量 5500.0 × 価格 0.0007、営業利益率 28.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.8% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 60 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:飲料の輸送の縮みと、特殊な輸送と賃料の安定が釣り合う真ん中の筋書き。2026 年 5 月に中計の目標を引き下げた事実も踏まえ、会社の 2034 年の目標の半分程度に置いた。
やや悲観 23% 飲料の荷主が離れ、輸送が赤字に近づく 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 697 円38 億円
飲料の荷主が物流を合理化し、自社の物流子会社や大手の物流会社に仕事を寄せる。輸送の量は 2 割減り、運賃も物価に届かない。輸送の利益率は 2.5% に落ちる。
横浜のビルの一部でテナントが抜け、賃料は物価を下回る。本社の費用は物価で増え、全社の営業利益は 0 に近づく。純利益は政策保有株の配当と現金の利息だけで支えられる。
経営は自社株買いを続けるが、事業の稼ぐ力は細り、株主に残る価値は手元の現金と持ち合い株に近づく。ビルの賃料は残るが、本社の費用と運送の不振を埋めるのに消える。配当も細り、還元は自社株買いの惰性だけになる。
- 貨物自動車運送:数量 320(稼働する車両(台、推定))× 価格 0.29(1 台あたりの年の売上(億円、名目))→ 売上 94 億円・営業利益 2 億円。数量 320.0 × 価格 0.2931、営業利益率 2.5%
- 不動産賃貸:数量 57.0(貸している面積(千平方メートル、推定))× 価格 0.14(千平方メートルあたりの年の賃料(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 5 億円。数量 57.0 × 価格 0.1369、営業利益率 60.0%
- その他(自動車整備):数量 5,000(整備の台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの整備売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。数量 5000.0 × 価格 0.0007、営業利益率 22.0%
倍率:稼ぐ力では値が付かないため、純現金と政策保有株の売れる値段を床とし、今の自己資本 209 億円に掛けて PBR 0.18 倍とした。
確率:2026 年 3 月期の飲料の輸送は、主要な荷主の物流の合理化で想定以上に減った。この流れが続く形は十分ありうるので、23% と厚めに置いた。
悲観 12% 輸送の柱が崩れ、持ち合いと現金だけが残る 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 439 円24 億円
飲料の輸送は大口の荷主を失い、セメントの輸送も公共工事の減少で細る。運転手は集まらず、輸送の量は 3 割減り、輸送は赤字になる。全社の営業利益も赤字に沈む。
横浜のビルの賃料は残るが、本社の費用と輸送の赤字を埋めきれない。現金は赤字と設備の更新で半分に減る。
会社は清算されないので、株主の手元に残るのは、目減りした現金と、売りにくい持ち合い株の価値の一部だけだ。創業家が 4 分の 1 を持ち、資産を売って株主に返す道筋は見えない。値段は帳簿の 1 割程度まで沈む。整備の事業も人手不足で縮み、グループは賃貸のビルの家主に近い姿になる。
- 貨物自動車運送:数量 280(稼働する車両(台、推定))× 価格 0.28(1 台あたりの年の売上(億円、名目))→ 売上 78 億円・営業利益 0 億円。数量 280.0 × 価格 0.2794、営業利益率 0.0%
- 不動産賃貸:数量 51.0(貸している面積(千平方メートル、推定))× 価格 0.13(千平方メートルあたりの年の賃料(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。数量 51.0 × 価格 0.1259、営業利益率 50.0%
- その他(自動車整備):数量 4,500(整備の台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの整備売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 4500.0 × 価格 0.0006、営業利益率 15.0%
倍率:赤字で稼ぐ力では値が付かないため、目減りした現金と政策保有株の売れる値段を床とし、今の自己資本 209 億円に掛けて PBR 0.115 倍とした。
確率:飲料とセメントの輸送が構造的に縮み、輸送が赤字に沈む負け筋。賃料という底があるため全面的な崩れとは見ず、12% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
貨物自動車運送
清涼飲料・びん容器、石油、セメント・化成品、産業ガス、パレットの輸送と、荷役・保管・3PL。
| 数量稼働する車両(台、推定) | 価格1 台あたりの年の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 0.23 | 92 | 3 |
| 10 年後 中立 | 360 | 0.31 | 111 | 5 |
取り方:車両の台数は開示が無く、売上 91.7 億円を 1 台あたり年 2,290 万円で割った推定(運転手 約 330 人と協力会社の車両から)。利益は開示値。数量は飲料の縮みと特殊な輸送の伸びで中立 0.9 倍、運賃は物価並みの 1.34 倍。トラックの償却は取得時の値段のままなので、利益率は 3.8% から 4.2% に少し上げた。
不動産賃貸
横浜の東部ヨコハマビルなどの賃貸オフィスと物流センター。
| 数量貸している面積(千平方メートル、推定) | 価格千平方メートルあたりの年の賃料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 0.11 | 7 | 4 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 0.15 | 9 | 6 |
取り方:面積は開示が無く、売上 6.57 億円を千平方メートルあたり年 0.11 億円で割った推定。利益は開示値。満床なので数量は 1.0 倍、賃料は物価並み。費用 2.4 億円のうち償却(推定 約 1.3 億円)は建てた時の値段のまま増えず、10 年後も 1.3〜1.5 億円とみて、利益率は 63% から 66% に上げた。
その他(自動車整備)
トラックなどの車両整備。2026 年 12 月に福興商会を買う。
| 数量整備の台数(台、推定) | 価格1 台あたりの整備売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,000 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5,500 | 0.00 | 4 | 1 |
取り方:整備の台数は開示が無く、売上 2.54 億円を 1 台あたり 0.0005 億円で割った推定。利益は開示値。福興商会の買収で中立 1.1 倍。
リスクと懸念
飲料の荷主の合理化
清涼飲料の大手は物流をまとめ、配送の拠点を減らしている。2026 年 3 月期も主要な荷主の仕事が想定以上に減った。運送の売上の大きな部分が、荷主の判断ひとつで消えうる。
資産が株主に戻らない
現金 43 億円、持ち合いの株 30 億円、時価 98 億円のビルを抱えるが、売って返す計画はない。ROE は 2% 前後で、資本を寝かせるほど株主の価値は目減りする。
本社の費用の重さ
セグメントの利益 8.4 億円に対し、本社の費用が約 5.7 億円かかる。物価とともに本社の費用が増えれば、売上が伸びない限り利益は残らない。
運転手と整備士の不足
特殊な貨物を運ぶには資格を持つ運転手が要る。人が集まらなければ、伸びる産業ガスの仕事も受けきれない。整備の事業はすでに整備士の不足で仕事を断っている。
設備の更新の費用
大型のトレーラーとビルの更新には、建築費と車両の値上がりで今より多くのお金が要る。償却より多い分は現金が出ていき、還元の余力を削る。
今後の分かれ目
- 持ち合いの株やビルを売る計画を数字で出す
- 資産の一部を余った資産として足し、評価を大きく上げる。
- 産業ガスの輸送の売上が 10 億円を超える
- 特殊な輸送が柱に育ったとみて、やや楽観に寄る。
- 飲料の主要な荷主の取引が大きく減る
- やや悲観の筋書きに入り、評価を下げる。
- 同業の大手が TOB を仕掛ける
- 資産に値段が付き、株主には大きな上振れになる。筆頭株主の判断次第だ。
- 自社株買いを毎年続け、規模を広げる
- 現金の戻り方を 1.0 に近づけて見直す。
見ておくもの
- 運送の売上と利益率
- 飲料の荷主の取扱量
- 産業ガスの輸送の立ち上がり
- 自社株買いと政策保有株の売却の規模
- 中計の修正後の目標の進み
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 8.5%(基本 7.5% + quality 1.25%)と事業の ROE から置いた。ROE が k を大きく下回るので PER の上限は 1÷k の 11.4 倍で、中立は賃料の安定を踏まえて 9.1 倍とした。賃料と持ち合い株の配当は利益に残し、ビルと株の価値は別に足していない(二重を避ける)。余った現金 25 億円だけ分けた。今の PBR から倍率は置いていない。新リース会計基準の変化は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→11.76 倍・やや楽観 PER 9.8→11.76 倍・中立 PER 9.1→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.25%。ロジネットジャパン(+0.5%)より、荷主への値決め力の弱さと飲料の構造的な縮みの分だけ高い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。