結論
アサガミは、倉庫・港湾物流を軸に、不動産賃貸と印刷を営む会社だ。売上は 391 億円、営業利益は 26 億円。過去最高の利益率にある。
筆者の結論は「資産は厚いが、株主に届く価値は今の時価総額を少し下回る」である。物流の値上げは進み、賃貸ビルは安定して稼ぐ。だが印刷は長く縮み、足元の利益率は山にある。来期は会社自身が 21% の減益を見込む。
最大の論点は、大株主の存在だ。オーエーコーポレーションが 52.5% を持つ。配当性向は 11% と低く、利益の大半は会社に残る。自己資本 234 億円に対し時価総額は 105 億円と、見かけの割安さは目立つ。ただし、そのお金が株主に戻る保証は薄い。
筆者は、物流の料金改定が定着するか、親会社が還元を厚くするかを分かれ目と見る。後者が動けば評価は大きく変わるが、織り込む根拠は今はない。
本質価値の計算では、賃貸の稼ぎは利益に入れ、含み益は悲観の床にだけ数えた。二重には数えていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「資産の価値は高いが、株主のものになりにくい」対象だ。自己資本 234 億円は、時価総額の 2 倍以上。土地、倉庫、賃貸ビルは厚い。実際の時価は、帳簿よりも高い可能性が高い。
ただし、その価値を引き出せるのは親会社だ。52.5% を持つオーエーコーポレーションは、配当性向 11% に満足している。少数株主が値上がりで報われる道は、ほぼ通常の事業成長に限られる。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、純利益 18 億円から、設備の維持と更新の投資を引いた額になる。減価償却は年 14 億円、設備投資は 13 億円。更新は建築費の上昇でさらに重くなる。残る現金は、見かけよりかなり少ない。
筆者は、物流の値上げと不動産の安定した稼ぎを評価する。印刷の縮みは負担だ。安全域は資産の厚みにあるが、還元が薄いので、その分を差し引いて見るべきだ。
何で稼ぐ会社か
事業は四つあるが、稼ぎの柱は物流と不動産だ。物流事業は売上 228 億円、営業利益 22 億円。倉庫、港湾フォワーディング、運輸(トラック)を営む。製鉄関連の作業が増え、料金改定も進んで、前期は 12% の増益だった。日本郵便向けの輸送が、一時は売上の 1 割を占めた。
不動産事業は売上 35 億円、営業利益 17 億円と、利益率が約 5 割ある。大型の物流施設や商業施設を貸す。利益に占める割合は物流に次いで大きい。
印刷事業は売上 139 億円、営業利益 9 億円。婚礼の招待状や年賀はがき、新聞の受託印刷が中心で、需要は長く縮んでいる。前期は固定費削減で利益が倍になったが、構造は変わっていない。
本社費用などの全社の費用は、事業の利益を足した額から約 22 億円を引く規模がある。従業員は連結で約 1,400 人、倉庫と運輸は人手が最大の資源だ。
物流は、鉄鋼や食品などの荷主から保管と荷役を請け負い、運輸で配送までつなぐ。港湾では貨物の通関や手配を代行するフォワーディングが柱だ。大阪港と東京港の拠点が中心で、荷主との関係が長く続く。不動産は自社の遊休地や物流施設を貸し、収益は安定している。
優良さと弱いところ
優良さは中の上である。物流は荷主との長い関係で成り立つ。運転手不足の中で、トラック運送の料金は構造的に上がる方向にある。港湾と鉄鋼の物流は参入が難しく、一度入ると続きやすい。
不動産は安定した現金を生む。大型物流施設の賃貸は、契約が長く、賃料も物価に合わせて改定されやすい。利益率の約 5 割は高い。
ただし資本効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 5.6%。直近の 7.6% は過去最高の利益率に支えられた数字だ。印刷は縮む一方で、減損のリスクが残る。
財務は堅い。自己資本比率は 5 割を超え、現預金 75 億円に対して有利子負債 82 億円と、実質の借金はほぼない。設備に大きな資金が要るため、減価償却は年 14 億円、設備投資は 13 億円ある。
経営は親会社の方針に左右される。少数株主の利益が最優先されるとは限らない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
物流は人手不足が最大のテーマだ。2024 年の残業規制で、トラック運送の供給力が落ちた。荷主は料金の引き上げを受け入れ始めている。倉庫は eコマースと製造業の在庫で、需要が底堅い。港湾は景気と貿易量に左右される。
不動産は、大型物流施設の賃貸市場が堅調だ。ただ新しい施設が増えており、競争は厳しい。金利が上がると不動産価格に逆風が吹く。
印刷は構造的に縮む。年賀状は減り、結婚式は小さくなり、新聞の部数は落ちる。受託印刷の拠点は統合が進み、小さな工場は消える。アサガミの印刷は、縮みを固定費の削減で補っている。
同業は、三菱倉庫や住友倉庫のような大手と、地場の中堅が混ざる。アサガミは大阪を地盤にした中堅で、地域に根づく強みはあるが、大手のような全国網はない。再編が進めば、買収の対象にもなりうる。
倉庫業の特徴は、土地と建物という重い資産が参入の壁になることだ。新しい施設は建築費の上昇で高くつき、既存の施設を持つ会社が有利になる。この構造は、物価が上がる世界でアサガミのような古い施設の持ち主に追い風になる。一方で、古い建物の更新費用は重い。
資本政策と M&A
還元は薄い。配当は年 1.98 億円で、配当性向は 11% 程度。自社株買いはない。親会社が 52.5% を握るため、少数株主が還元を変える力は弱い。10 年で約 20 億円の配当にとどまると見た。
現預金は 75 億円、有利子負債は 82 億円。実質の借金は 8 億円で、余った現金とは言えない。設備投資が毎年 13 億円ほどかかるためだ。
減価償却は年約 14 億円で、取得時の値のまま増えない。ただし物流施設の建て替えは建築費の上昇で膨らみ、償却を上回る投資が現金を圧迫する。借入で賄えば利払いが 3.5% で増える。
政策保有株は上場 18 銘柄で約 33 億円。三井住友トラスト、三井住友 FG などだ。配当が利益に入っているため、価値には足していない。賃貸物件は、稼ぎを利益に残しているため、悲観の床にだけ数える。
戻り方は 0.5 とした。親会社が支配する構造で、現金が株主に戻るとは限らない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
自己資本 234 億円に対し、時価総額は 105 億円。賃貸等不動産の時価は帳簿よりも高く、含み益は大きいはずだ。物流施設の賃貸で営業利益 17 億円、利益率は約 5 割。この稼ぎだけで、時価総額の 2 割近い。
物流は人手不足で、料金の引き上げが通りやすい構造にある。前期は物流の営業利益が 12% 増え、港湾と運輸で料金改定が効いた。製鉄関連の作業量も増えている。
親会社が 52.5% を持つのは、安定した経営の裏づけでもある。配当は低いが、現金が積み上がれば、いつか還元の見直しや、買収・上場廃止の話も出うる。支配株主による TOB は、少数株主にとってプレミアムの機会になる。
印刷は縮むが、固定費削減で前期は利益が倍になった。縮みを吸収する力はある。
物価が上がる世界では、土地と建物の価値は名目で増える。帳簿の価値が取得時のままなら、含み益はさらに膨らむ。印刷が縮んでも、物流と賃貸の二本柱で全体の利益は守れる。
慎重な見方
自己資本が厚くても、株主のものにならなければ意味がない。配当性向は 11% で、親会社は 52.5% を握っている。少数株主が経営を変える手段はない。何年待っても、現金は会社に残り続けるだろう。
前期の営業利益率 6.6% は、過去 12 年で最高だった。来期は会社自身が 21% の減益を見込む。山からの戻りを、普通の姿と見るべきだ。
印刷は売上 139 億円の事業で、年賀、婚礼、新聞のすべてが縮む。固定費の削減には限りがあり、減損の可能性は残る。物流は運転手不足でコストが上がり、料金改定が止まれば利益が削られる。
建物の更新では、建築費の上昇で設備投資が償却を上回る。償却は取得時の値のまま増えないので、会計上の利益は物価でふくらんでも、現金は残らない。実質の借金がほぼない会社でも、現金は思ったほど積み上がらない。
含み益があっても、売らなければ現金にならない。親会社が売却や還元に動く理由は、現状では見当たらない。
どちらに重みを置いたか
物流と不動産の稼ぎは確かだが、印刷の縮み、山からの戻り、親会社の還元姿勢が、割安さを打ち消す。確率は中立に 37% を置き、やや悲観と悲観で 35%、楽観側で 28% と、やや慎重に置いた。10 年の本質価値は、今の時価総額を少し下回る。支配株主による TOB は、評価には入れていない。 親会社の動き次第で評価が大きく変わる点には、注意を要する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 16,404 円232 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,322 円19 億円)。 今の値に割り戻すと 8,498 円120 億円、今との差 +11.1%、 期待の年率 +8.8%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 33,515 円474 億円 | 2,121 円30 億円 | +365.8% | +16.6% | 2,851 円40 億円 |
| やや楽観 | 20% | 24,100 円341 億円 | 1,626 円23 億円 | +236.3% | +12.9% | 5,145 円73 億円 |
| 中立 | 37% | 18,765 円265 億円 | 1,414 円20 億円 | +163.8% | +10.2% | 7,466 円106 億円 |
| やや悲観 | 25% | 6,846 円97 億円 | 990 円14 億円 | +2.4% | +0.2% | 1,959 円28 億円 |
| 悲観 | 10% | 2,481 円35 億円 | 566 円8 億円 | −60.2% | −8.8% | 305 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 16,404 円232 億円 | 1,322 円19 億円 | +131.7% | +8.8% | 17,726 円251 億円 |
今の株価時価総額 7,650 円108 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 料金改定が定着し、賃貸収入も物価に連れて伸びる 利益 29 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 33,515 円474 億円
物流の料金改定が定着し、港湾と鉄鋼関連の作業量が増える。取扱量は今より 5% 増え、単価は 1.4 倍に上がる。賃貸の物流施設は賃料の改定で単価が 1.34 倍になり、利益率は 5 割を超える。印刷は年賀や婚礼の縮みが止まらないものの、新聞の受託が一部残り、出荷は 3 割減にとどまる。本社費用は物価で膨らむが、効率化で 2 割ほど抑える。営業利益は 43 億円と、今の約 1.7 倍に達する。それでも親会社が会社を支配するため、株主還元の配当性向は 1 割強にとどまり、現金は会社に残る。
この筋書きでは、物流の取り込みが進み、賃貸の稼働率も高いまま維持される。それでも還元は薄く、株主に届く価値は限られる。
- 物流事業:数量 630(取扱貨物量(万トン相当・推定))× 価格 0.53(1 万トンあたり売上(億円。保管・荷役・輸送の合計))→ 売上 335 億円・営業利益 37 億円。数量 1.05 倍・単価 1.40 倍・利益率 11.0%
- 不動産事業:数量 30.5(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 1.61(1 万㎡あたり年間賃料(億円))→ 売上 49 億円・営業利益 26 億円。数量 1.05 倍・単価 1.34 倍・利益率 52.0%
- 印刷事業:数量 64.8(印刷物の出荷量(億ページ相当・推定))× 価格 1.88(1 億ページあたり売上(億円))→ 売上 121 億円・営業利益 9 億円。数量 0.70 倍・単価 1.25 倍・利益率 7.0%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.4 倍、時価総額 393 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:物流の値上げが定着し、印刷の縮みが穏やかで、賃料の改定も通る必要がある。三つが重なる確率は低い。
やや楽観 20% 物流の値上げが通り、不動産が安定して稼ぐ 利益 21 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 24,100 円341 億円
物流の取扱量は横ばいで、単価は物価並みの 1.37 倍に上がる。賃貸はテナントの契約更新で賃料が 3 割ほど上がる。印刷は婚礼と年賀の縮小が続き、出荷は 35% 減る。本社費用は物価で増えるが、一部は抑える。営業利益は 32 億円で、今より 24% 増える。配当は性向 1 割強を保つため、手元資金の積み上がりが続く。減価償却は取得時の値のままで、物価で増えないが、物流施設の建て替えでは建築費の上昇で現金が出ていく。
料金改定が毎年のように通るかが、この筋書きの焦点になる。荷主との関係が強いため、一定の値上げは見込める。
- 物流事業:数量 600(取扱貨物量(万トン相当・推定))× 価格 0.52(1 万トンあたり売上(億円。保管・荷役・輸送の合計))→ 売上 312 億円・営業利益 32 億円。数量 1.00 倍・単価 1.37 倍・利益率 10.2%
- 不動産事業:数量 29.0(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 1.56(1 万㎡あたり年間賃料(億円))→ 売上 45 億円・営業利益 23 億円。数量 1.00 倍・単価 1.30 倍・利益率 50.0%
- 印刷事業:数量 60.1(印刷物の出荷量(億ページ相当・推定))× 価格 1.80(1 億ページあたり売上(億円))→ 売上 108 億円・営業利益 7 億円。数量 0.65 倍・単価 1.20 倍・利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 264 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の増益は物流の料金改定と印刷の固定費削減が理由で、実績に裏づけがある。
中立 37% 金額は今並み。物価に追いつくだけで、印刷の縮みが重い 利益 15 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 18,765 円265 億円
物流は取扱量が 5% 減り、単価が物価並みの 1.34 倍。賃貸は賃料の改定が追いつきにくく、1.25 倍にとどまる。印刷は出荷が 4 割減り、利益率は 5% まで落ちる。本社費用は物価で 1.34 倍になる。営業利益は 23 億円と、今の 26 億円から少し下がり、過去 12 年の山をわずかに下回る。減価償却は取得時の値のまま約 14 億円で、物価で増やさない。ただし建物の更新では建築費が上がり、設備投資は償却を上回る。会計上の利益は伸びても、現金は細る。配当は性向 1 割強で、現金はためられる。
物流の値上げと賃貸の安定が、印刷の縮みを補う形になる。利益は金額で横ばいにとどまり、物価で割ると実質は減る。
- 物流事業:数量 570(取扱貨物量(万トン相当・推定))× 価格 0.51(1 万トンあたり売上(億円。保管・荷役・輸送の合計))→ 売上 290 億円・営業利益 28 億円。数量 0.95 倍・単価 1.34 倍・利益率 9.5%
- 不動産事業:数量 29.0(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 1.50(1 万㎡あたり年間賃料(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 21 億円。数量 1.00 倍・単価 1.25 倍・利益率 49.0%
- 印刷事業:数量 55.5(印刷物の出荷量(億ページ相当・推定))× 価格 1.80(1 億ページあたり売上(億円))→ 売上 100 億円・営業利益 5 億円。数量 0.60 倍・単価 1.20 倍・利益率 5.0%(年賀・婚礼・新聞が縮み、物価ほど値上げできない)
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 192 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の利益率は過去最高の水準にあり、来期は会社予想で 21% の減益。山からの戻りを置くのが自然。
やや悲観 25% 物流の料金が頭打ち、印刷が急速に縮む 利益 6 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 6,846 円97 億円
物流は荷主が料金の引き上げを受け入れず、単価は 1.28 倍にとどまる。取扱量は 1 割減る。賃貸は空室が増え、賃料の改定も 15% 止まり。印刷は新聞の受託が大幅に減り、出荷は半分になって赤字に近づく。本社費用は物価で 1.34 倍に増え、利益を圧迫する。営業利益は 9 億円まで縮み、今の 3 分の 1。配当は金額を維持するが、性向は上がる。のれんや固定資産の減損が出る可能性もある。
空室の増加と運転手不足が同時に来ると、固定費の重さが利益を直撃する。印刷の赤字は設備の整理で止めざるをえない。
- 物流事業:数量 540(取扱貨物量(万トン相当・推定))× 価格 0.49(1 万トンあたり売上(億円。保管・荷役・輸送の合計))→ 売上 262 億円・営業利益 21 億円。数量 0.90 倍・単価 1.28 倍・利益率 8.0%
- 不動産事業:数量 27.6(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 1.38(1 万㎡あたり年間賃料(億円))→ 売上 38 億円・営業利益 17 億円。数量 0.95 倍・単価 1.15 倍・利益率 44.0%
- 印刷事業:数量 46.3(印刷物の出荷量(億ページ相当・推定))× 価格 1.65(1 億ページあたり売上(億円))→ 売上 76 億円・営業利益 2 億円。数量 0.50 倍・単価 1.10 倍・利益率 2.0%
倍率:利益が薄く ROE 約 1.5%。式の PER 上限(1÷k=約 12.1 倍)に、利益が不安定な前提で約 62% を置く。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 7.5 倍・時価総額 46 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:トラック運転手の不足と荷主の値下げ圧力は、物流会社が繰り返し直面してきた。印刷の縮みは構造的。
悲観 10% 印刷と物流が同時に崩れ、固定費が残る 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 2,481 円35 億円
物流は大口荷主の撤退と運転手不足で取扱量が 2 割減り、単価の上昇も 1.2 倍に抑えられる。印刷は新聞と婚礼がほぼ消え、赤字が続く。賃貸も空室が増え、賃料が頭打ちになる。本社費用は削減を急ぐが、固定費は残る。営業利益は赤字に沈む。それでも土地や賃貸施設の簿価は厚く、実際に売却すれば価値はあるが、親会社が 5 割超を持つため、少数株主が売却を決める立場にない。配当は最低限に絞る。
この筋書きは、親会社の支援が期待できず、少数株主の取り分が資産の売却でも戻らないという厳しい前提を置いた。売却の対価は評価に入れず、赤字の流出と固定費の重さだけを置いた。
- 物流事業:数量 480(取扱貨物量(万トン相当・推定))× 価格 0.46(1 万トンあたり売上(億円。保管・荷役・輸送の合計))→ 売上 219 億円・営業利益 13 億円。数量 0.80 倍・単価 1.20 倍・利益率 6.0%
- 不動産事業:数量 26.1(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 1.26(1 万㎡あたり年間賃料(億円))→ 売上 33 億円・営業利益 13 億円。数量 0.90 倍・単価 1.05 倍・利益率 38.0%
- 印刷事業:数量 37.0(印刷物の出荷量(億ページ相当・推定))× 価格 1.50(1 億ページあたり売上(億円))→ 売上 56 億円・営業利益 −3 億円。数量 0.40 倍・単価 1.00 倍・利益率 -5.0%
倍率:稼ぐ力は赤字で、PER は当てられない。今の自己資本 234 億円に約 0.15 倍を掛けた(資産の床を割る。少数株主は売却を決められない)。
確率:荷主の海外移転・値下げと、印刷の急減が同時に起きる必要がある。親会社の支援を前提にしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
物流事業
倉庫、港湾フォワーディング、運輸(トラック)。大阪・東京などで鉄鋼関連や食品、郵便物の輸送を担う。
| 数量取扱貨物量(万トン相当・推定) | 価格1 万トンあたり売上(億円。保管・荷役・輸送の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 0.38 | 228 | 22 |
| 10 年後 中立 | 570 | 0.51 | 290 | 28 |
取り方:売上 227.6 億円を、1 トンあたり約 0.38 万円(保管・荷役・輸送を合わせた目安)で割り、約 600 万トン相当と推定。実数は未開示。
不動産事業
大型物流施設や商業施設の賃貸・管理。大阪・東京の自社の土地建物が中心。
| 数量賃貸面積(万㎡・推定) | 価格1 万㎡あたり年間賃料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 29.0 | 1.20 | 35 | 17 |
| 10 年後 中立 | 29.0 | 1.50 | 44 | 21 |
取り方:賃料収入 34.8 億円を、物流施設・商業施設の平均賃料(1 ㎡あたり年 1.2 万円前後)で割り、約 29 万㎡と推定。賃貸面積は未開示。
印刷事業
婚礼・年賀の印刷、新聞の受託印刷。需要は長く縮んでいる。
| 数量印刷物の出荷量(億ページ相当・推定) | 価格1 億ページあたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 92.5 | 1.50 | 139 | 9 |
| 10 年後 中立 | 55.5 | 1.80 | 100 | 5 |
取り方:売上 138.8 億円を出荷 92.5 億ページ相当とみなし、1 ページあたりの売上係数 1.5 を価格に置いた推定。実数は未開示のため目安。
リスクと懸念
親会社の還元姿勢
オーエーコーポレーションが 52.5% を持ち、配当性向は 11%。利益が積み上がっても少数株主に戻らない。親会社が少数株主に不利な取引を求める可能性もある。
印刷事業の縮小と減損
売上 139 億円の印刷は、年賀、婚礼、新聞のすべてが縮む。固定費の削減には限りがあり、固定資産の減損が出れば自己資本を傷める。
利益率が山にある
前期の営業利益率 6.6% は過去 12 年の最高。会社は来期に 21% の減益を見込む。物流の料金改定が止まれば、さらに下がる。
運転手不足と人件費
トラック運送は運転手の確保が難しく、人件費が物価以上に上がる。荷主が料金の引き上げを受け入れなければ利益が削られる。
設備の更新費用
減価償却は取得時の値のままで、物価で増えない。ただし建物の建て替えは建築費の上昇で膨らみ、償却を上回る投資が現金を圧迫する。借入で賄えば利払いも増える。
金利の上昇
有利子負債 82 億円は借り換えで金利が上がる。不動産の評価も金利の上昇で下がりうる。
今後の分かれ目
- 親会社が配当性向を引き上げる、または自社株買いを発表する
- 戻り方を 1.0 に近づけ、積み上がる現金の価値を評価に入れる。確率を楽観側に寄せる。
- 物流の営業利益率が 9% を割る
- 料金改定が止まった合図。やや悲観の確率を上げる。
- 印刷事業で大きな減損や工場の閉鎖が発表される
- 自己資本が傷む一方、赤字の流出が止まる。悲観の確率は変えないが、利益率の見通しを上げる。
- オーエーコーポレーションによる TOB・完全子会社化が発表される
- プレミアムが期待できるが、価格は不確か。評価には入れず、発表後は分析の対象から外す。
- 賃貸等不動産の時価の注記で、含み益が簿価を大きく上回る
- 悲観の床を引き上げる材料。ただし戻り方は親会社の姿勢で決まる。
見ておくもの
- 物流事業の営業利益率と取扱量
- 不動産の空室率と賃料改定
- 印刷事業の売上と減損
- 配当性向と親会社の持ち株比率
- 設備投資額と有利子負債
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(ROE が k を下回るので上限は 1÷k)から置き、今の PER・PBR や同業の倍率は使っていない。中立は上限の約 78%。賃貸等不動産の時価は注記で確認できず、悲観の床の参考値は簿価ベース。ためた利益の戻り方は親会社が 5 割超を握る構造から 0.5。brief の純借金 8 億円は現預金 75 億円と有利子負債 82 億円の差で、余った現金には分けていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→13.4 倍・やや楽観 PER 10.3→12.5 倍・中立 PER 9.5→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。