結論
京成電鉄は、東京の東側と成田空港を結ぶ鉄道会社であり、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(OLC)の筆頭株主でもある。筆者の結論は「割高」で、本質価値は今の値段より約 4 割低い。空港輸送は伸びるが、投資の重さと利払いの増加が、株主の取り分を先に削る。
利益の柱は二本ある。一本は鉄道で、成田空港行きのスカイライナーと、千葉・東京東部の通勤路線が稼ぐ。もう一本が OLC への出資で、持分は約 2 割。OLC の利益の 2 割が、そのまま京成の利益に入ってくる。2026 年 3 月期の営業利益は 340 億円だが、経常利益は 586 億円まで膨らむ。差の多くは OLC の持分利益だ。
評価を分けるのは、この持分の値踏みである。OLC の時価総額は 5 兆円を超え、持分の時価だけで京成の時価総額を上回る。割安に見える最大の理由だ。ただ、筆者の OLC の見立てはその値段より低い。持株会社の割引と、売れば課税される点も差し引く必要がある。
鉄道側には追い風がある。成田空港の旅客は年 4,000 万人から 7,500 万人へ増える計画で、新型有料特急と次期スカイライナーも控える。だが空港アクセスの投資は、2040 年代までで約 8,000 億円。借金は 4,000 億円台に乗り、借り換えのたびに金利も上がる。筆者は、費用が先に来て収益が後から来る期間が長いと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、京成電鉄は「良い資産を持つが、持ち続けて嬉しい会社とまでは言いにくい」と考える。
良い点から見る。成田空港への入口を押さえる線路は、10 年後も存在し、空港の拡張で強まる。OLC の持分は、世界でも指折りの観光資産の 2 割で、ブランドの堀が深い。この二つが同じ会社に入っているのは貴重だ。
気になるのは、オーナーの手元に残る利益である。鉄道は更新と増強に毎年多くの資金が要り、稼いだ利益の多くは設備に消える。OLC からの持分利益も、現金が入る配当ではなく、会計上の利益だ。株主が自由に使える現金は、見かけの利益より小さい。
持分の値打ちを、市場が付ける値段のまま信じないことも大事だ。OLC は今、高い倍率で売られている。同じ高い値段で京成の持分を数えると、安全域が見かけ上できる。しかし、OLC の倍率が縮めば、その安全域は消える。筆者は OLC を自前の見立てで評価し、京成の持分にはさらに持株会社の割引をかけた。
結論として、中立の筋書きでは、持ち続けた時の年平均の期待が資本コストに届かない。楽観まで進んで初めて届く。安全域は十分でない。もし、会社が OLC 株を市場価格で売って借金を返す、あるいは自社株買いに回すなら、評価は変わる。それがはっきり見えるまでは、割安とは言い切れない。
何で稼ぐ会社か
京成電鉄の稼ぎは、鉄道を軸に五つの事業に分かれる。2026 年 3 月期の営業利益 340 億円のうち、半分を運輸が稼ぎ、三分の一を不動産が稼ぐ。
運輸は京成本線・押上線・千葉線・成田スカイアクセス線と、2025 年 4 月に吸収した松戸線(旧新京成電鉄)、グループのバスからなる。売上は 2,053 億円、営業利益は 176 億円。上野・日暮里と成田空港を最速 36 分前後で結ぶスカイライナーは、運賃に特急料金が乗る高単価の商品である。押上から都営浅草線・京急線に乗り入れて羽田空港にもつながるため、東京東部の「二つの空港の玄関」という位置にある。
不動産は売上 394 億円で営業利益が 116 億円と、利益率が約 3 割ある。沿線の賃貸(商業施設・オフィス・住宅)と分譲が中身で、鉄道の用地を生かせるのが強みだ。中期計画は、この事業に過去最大の約 900 億円を投じる。
流通(沿線のスーパーや駅の店舗)は売上 610 億円と大きいが、営業利益は 3 億円に満たない。レジャー・サービス(ホテルなど)が 178 億円、建設(京成建設)とその他が合わせて約 550 億円。ただし売上の合計はグループ内取引の分が重なっており、連結では約 460 億円が消える。
もう一つの柱が、営業利益には出てこない OLC の持分利益だ。OLC は 1960 年に京成電鉄・三井不動産・朝日土地興業が設立した。京成の持分は議決権で 20.17%(2024 年 11 月の自社株買いへの応募のあと)。持分法の対象なので、OLC の純利益の約 2 割が経常利益に入る。
優良さと弱いところ
京成の優良さは、「空港に直結する線路」と「OLC の持分」の二つに集約される。逆に、それ以外は並みである。
鉄道の堀は、地域独占と空港アクセスだ。成田空港へ直接入る私鉄は京成だけだ。JR の特急や高速バスと競うが、都心の東側や羽田方面とのつながりは京成が優位に立つ。運賃は国の上限認可で、物価に遅れて追いつく。値上げの力は強くないが、一度認可されれば需要は落ちにくい。
資本効率は低い。自己資本利益率(ROE)は直近で 8.6% だが、これは OLC の持分が稼ぐ分を含む。ならして 6〜7% 台と筆者は見る。資本コスト(約 6.5%)をわずかに上回る程度で、成長のために積む資金に見合う上乗せは薄い。
経営の資本配分は、評価が割れる。OLC 株を一部売って資金を得たことは、手を打っているとは言える。ただ、保有そのものは続ける姿勢で、投資家から問われ続けてきた。前の中期計画は営業利益が目標に届かなかった。
弱いのは財務の余裕だ。純有利子負債は約 3,000 億円で、自己資本に対して 0.5 倍を超える。空港の増強が続く間、この数字は上がる方向にある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
京成が属する民鉄は、人口減の逆風と、都心・空港の追い風が同居する業界である。京成はそのなかで、追い風が最も強い会社の一つだ。
逆風から見る。千葉・東京東部の通勤の乗客は、少子高齢化で実質ほぼ横ばいか、緩やかに減る。リモートワークの定着で、定期券の客はコロナ前に戻りきらない。民鉄は不動産・流通・ホテルへ事業を広げ、「鉄道は集客の装置」と位置づける会社が増えた。
追い風は成田空港だ。国は B 滑走路の延伸と C 滑走路の新設で、発着を 1.7 倍に増やす計画を進めている(供用は 2028 年度末の見込み)。旅客は 4,000 万人から 7,500 万人へ、空港で働く人は 4 万人から 7 万人へ増える想定だ。空港行きの乗客は運賃が高く、鉄道会社にとっては通勤客より実入りがよい。
競争もある。成田へは JR 東日本の特急と高速バスが並走する。羽田が国際線を増やせば、成田に来る客が減る。ここで京成が問われるのは、空港の新ターミナルに合わせた線路と駅の増強に、いくら出すかだ。複線化や新型の特急で、所要時間と本数を詰められるかが分かれ目になる。
運賃は、2024 年にわずかなバリアフリー料金が加わっただけで、大きな改定は長く行っていない。電力料や人件費の上昇が積み上がれば、他の大手私鉄が進めてきた値上げに追随する余地は残る。ただし認可は遅れて来る。
資本政策と M&A
資本政策の焦点は、OLC の持分と、増強投資の資金だ。
京成は 2024 年に OLC 株を二度にわたり手放した。3 月に約 1%(約 800 億円)、11 月は OLC の自社株買いに応じて約 618 億円。議決権比率は 20.17% まで下がった。この売却益が 2024 年 3 月期と 2025 年 3 月期の純利益を押し上げ、2026 年 3 月期は反動で 3 割減った。
英国の投資ファンドは、2026 年 3 月末までに持分を 15% 未満にするよう求める株主提案を 2024 年の総会に出した。賛成は約 3 割弱で否決された。その後も同ファンドは、2025 年 12 月に非公開化を求める書簡を送ったと報じられている。会社は個別の対話について回答を控えている。
還元は控えめだ。2027 年 3 月期予想の配当は小幅な増配で、配当性向は約 27%。計画期間の投資は約 3,000 億円で、不動産に約 900 億円、車両・設備の更新に約 1,650 億円を回し、残りを空港アクセスなどに充てる。借金で賄うので、純有利子負債は増える。
TOB や再編の可能性を、筆者は低くない水準と見る。OLC 持分の含み、保有の見直しを求める株主、割安に見える株価がそろっているためだ。ただし持分の売却には税金がかかり、会社が自分から動く保証はない。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の340億円が10年後に約 450億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
成田空港が本格的に伸びるなら、京成は最大の受益者になる。新滑走路が 2028 年度末に動き、旅客は 4,000 万人から 7,500 万人へ向かう。空港で働く人も 4 万人から 7 万人に増える。この需要を取り込める線路は、事実上京成しかない。押上から成田へ入る新型の有料特急、増強される宗吾車両基地、次期スカイライナーはいずれも、乗客 1 人あたりの収入を引き上げる設備投資である。
運賃にも伸びしろがある。前回の本格的な改定から時間が経ち、電力料と人件費の上昇は積み上がっている。認可が下りれば、鉄道の営業利益率は 10% を超えて戻る。
OLC の持分は、さらに強い。OLC は値上げと新しいアトラクションで、利益を伸ばし続けている。その 2 割が京成の利益に入り、経常利益のなかで鉄道を上回る大きさになる。持分は時価で見て 1 兆円を超え、借金の 3 倍以上ある。
さらに、株主からの圧力が効く。非公開化の提案や、持分の売却を求める声が続くなか、会社が OLC 株の一部を高い値段で手放して借金を返し、自社株買いに回せば、株価は一段階上がる。株価が持分の時価に近づくだけで、今の値段から大きな上値がある。
慎重な見方
京成の利益の質は、見かけよりかなり悪い。営業利益は 2 期続けて下がる。2025 年 3 月期の 360 億円に対し、今期予想は 310 億円だ。人件費と電力料の上昇を、運賃で転嫁できていない。
そのうえ、空港の増強は 2040 年代までで約 8,000 億円。京成が全部を負担するわけではないが、複線化や新ターミナルの駅整備には巨額の金がかかる。利益が増える前に、利払いが先に増える。借り換えのたびに金利が上がり、10 年で利払いは年 100 億円近く増える。
OLC の持分利益は、現金ではない。OLC の配当は小さく、持分利益が増えても、京成の手元に入る現金は増えない。しかも OLC の株価は 43 倍の利益で売られており、倍率が縮めば、持分の時価も一気に目減りする。持株会社の割引も、売却時の税金もある。
空港需要の見込みにも、羽田の国際線拡大や高速バスの攻勢という不確実性がある。計画は、前の中期計画の目標にも届かなかった実績のうえに立つ。経営は、持分の売却を迫られても動かず、株主との溝は残る。OLC が失速し、空港の伸びが鈍ると、借金だけが残る。
どちらに重みを置いたか
勝つのは、慎重な見方だ。鉄道の追い風は事実だが、利益として表れるのは 2029 年以降で、それまでは投資の費用と利払いが先行する。OLC の持分は大きな資産だが、市場の値段で数えるのは危うい。そこで確率は、楽観を薄く、悲観を厚めに置いた。ただし、持分と株主の圧力という上振れの要素は無視できず、悲観を極端には寄せなかった。総合は約 −41% の割高になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,629 円7,857 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 289 円1,393 億円)。 今の値に割り戻すと 971 円4,684 億円、今との差 −29.6%、 期待の年率 +3.4%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,047 円1.47 兆円 | 515 円2,483 億円 | +158.2% | +10.0% | 285 円1,374 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,370 円1.14 兆円 | 394 円1,899 億円 | +100.4% | +7.2% | 553 円2,666 億円 |
| 中立 | 32% | 1,937 円9,341 億円 | 313 円1,509 億円 | +63.1% | +5.0% | 720 円3,472 億円 |
| やや悲観 | 25% | 896 円4,320 億円 | 198 円953 億円 | −20.7% | −2.3% | 273 円1,318 億円 |
| 悲観 | 15% | 451 円2,176 億円 | 129 円622 億円 | −57.9% | −8.3% | 87 円420 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,629 円7,857 億円 | 289 円1,393 億円 | +39.0% | +3.4% | 1,918 円9,250 億円 |
今の株価時価総額 1,380 円6,652 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 空港の需要が計画どおりに膨らみ、OLC も伸びる。 利益 946 億円 · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 3,047 円1.47 兆円
成田空港の旅客が 7,500 万人に近づき、新型特急・次期スカイライナー・複線化が順に動く。運賃の改定も認可され、鉄道は営業利益率 12% まで改善する。押上・日暮里から空港への「二つの空港の玄関」としての地位が固まる。不動産は梅田のような大型再開発こそ無いが、沿線の再開発と商業施設で数量が 3 割増える。OLC は海外のテーマパークとも競いながら値上げと新アトラクションで利益を伸ばし、持分利益が京成の利益の半分以上を占める。会社が OLC 株の一部を売って借金を返し、株主還元を厚くする。(名目の前提)運賃は認可で物価並みまで追いつき、賃料・入場料は物価で上がる。乗客と来場者の数は実質で置き、借金の借り換えによる利払いの増加は純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の340億円が10年後に約 450億円(物価で一律に増やすと約 431億円)。営業利益は +19億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 運輸(鉄道・バス):数量 1,120(年間輸送人員(百万人、鉄道とバス。推定))× 価格 2.83(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 3,173 億円・営業利益 400 億円。数量 1.12 倍・価格 1.38 倍・営業利益率12.6%・償却は物価で増やさず按分(10年後 450億円)
- 流通:数量 32.0(年間の取引件数(百万件、推定))× 価格 2.76(1 件あたり売上(千円))→ 売上 884 億円・営業利益 11 億円。数量 1.05 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 1.2%
- 不動産:数量 78.0(賃貸・分譲の稼働床面積換算(万㎡、推定))× 価格 9.06(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と分譲を含む実効単価))→ 売上 707 億円・営業利益 219 億円。数量 1.30 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 31.0%
- レジャー・サービス:数量 13.2(年間の利用者数(百万人、推定))× 価格 2.05(1 人あたり収入(千円))→ 売上 270 億円・営業利益 27 億円。数量 1.10 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 10.0%
- 建設・その他:数量 11.9(年間の工事・業務の件数(千件、推定))× 価格 6.90(1 件あたり売上(百万円))→ 売上 820 億円・営業利益 53 億円。数量 1.08 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 6.5%
倍率:事業の純利益 946 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.1 倍。全体の PER 14.13 倍、時価総額 13,367 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:空港の需要が計画どおりに膨らみ、運賃も上がり、OLC も伸びる。すべて揃うのは難しく 1 割弱。
やや楽観 20% 空港の恩恵を受けつつ、費用も増える。 利益 766 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 2,370 円1.14 兆円
成田の旅客は計画の半分強まで伸び、新型の有料特急が稼働して鉄道の乗客と単価が上がる。運賃は物価に近い水準まで認可され、営業利益率は 10% 台前半に戻る。不動産は稼働床が 2 割ほど増える。OLC は名目で堅調に伸び、持分利益も今の 1.8 倍になる。借金は 5,000 億円近くに増えるが、利益の伸びで返せる範囲に収まる。投資ファンドの圧力で、OLC 持分の一部を売る可能性が高まる。売却すれば借金は減るが、持分利益の一部も失う。鉄道の本業が稼ぐ力と、持分の価値の両方が評価される形に近づく。(名目の前提)運賃・賃料・入場料は物価並みに近い上昇で、乗客と来場者の数は実質で置く。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の340億円が10年後に約 450億円(物価で一律に増やすと約 442億円)。営業利益は +8億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 運輸(鉄道・バス):数量 1,070(年間輸送人員(百万人、鉄道とバス。推定))× 価格 2.75(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 2,944 億円・営業利益 317 億円。数量 1.07 倍・価格 1.34 倍・営業利益率10.8%・償却は物価で増やさず按分(10年後 450億円)
- 流通:数量 31.1(年間の取引件数(百万件、推定))× 価格 2.70(1 件あたり売上(千円))→ 売上 840 億円・営業利益 8 億円。数量 1.02 倍・価格 1.35 倍・営業利益率 1.0%
- 不動産:数量 73.2(賃貸・分譲の稼働床面積換算(万㎡、推定))× 価格 8.93(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と分譲を含む実効単価))→ 売上 654 億円・営業利益 196 億円。数量 1.22 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 30.0%
- レジャー・サービス:数量 12.7(年間の利用者数(百万人、推定))× 価格 2.00(1 人あたり収入(千円))→ 売上 255 億円・営業利益 23 億円。数量 1.06 倍・価格 1.35 倍・営業利益率 9.2%
- 建設・その他:数量 11.4(年間の工事・業務の件数(千件、推定))× 価格 6.80(1 件あたり売上(百万円))→ 売上 778 億円・営業利益 48 億円。数量 1.04 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 6.2%
倍率:事業の純利益 766 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.1 倍、時価総額 10,035 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:空港の恩恵を受けつつ、運賃の改定も一部認可される。中立より少し良い筋書きで 2 割を置いた。
中立 32% 空港の恩恵を、投資の重さと借金の利払いが相殺する。 利益 615 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,937 円9,341 億円
成田空港は拡張されるが、旅客の伸びは計画の途中にとどまる。鉄道の乗客は実質で小幅に増え、運賃は物価に遅れて 3 割上がる。ただし新型の有料特急や複線化の費用がかさみ、借金は 4,000 億円台後半まで増え、利払いは年 160 億円ほどに増える。不動産は稼働床が 15% 増え、営業利益率は 29% を保つ。OLC は中立の見通しどおり名目で成長し、持分利益は今の 1.5 倍になる。京成は借金を抱えながら OLC の持分を持ち続け、自己資本利益率は 7% 前後。強い成長はないが、持ち堪える会社に収まる。(名目の前提)運賃は物価に遅れて追いつき、賃料・入場料は物価並みに上がる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の340億円が10年後に約 450億円(物価で一律に増やすと約 452億円)。営業利益は −2億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 運輸(鉄道・バス):数量 1,020(年間輸送人員(百万人、鉄道とバス。推定))× 価格 2.67(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 2,722 億円・営業利益 243 億円。数量 1.02 倍・価格 1.30 倍・営業利益率8.9%・償却は物価で増やさず按分(10年後 450億円)
- 流通:数量 30.5(年間の取引件数(百万件、推定))× 価格 2.68(1 件あたり売上(千円))→ 売上 817 億円・営業利益 7 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 0.8%
- 不動産:数量 69.0(賃貸・分譲の稼働床面積換算(万㎡、推定))× 価格 8.80(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と分譲を含む実効単価))→ 売上 607 億円・営業利益 176 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 29.0%
- レジャー・サービス:数量 12.2(年間の利用者数(百万人、推定))× 価格 1.99(1 人あたり収入(千円))→ 売上 243 億円・営業利益 21 億円。数量 1.02 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 8.5%
- 建設・その他:数量 11.0(年間の工事・業務の件数(千件、推定))× 価格 6.70(1 件あたり売上(百万円))→ 売上 737 億円・営業利益 44 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 615 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 7,934 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:空港増強の効果と、投資・借金の重さが拮抗する、最も起こりやすい筋書き。3 割強。
やや悲観 25% 空港の伸びが鈍り、借金が重くのしかかる。 利益 304 億円 · PER 8.7 倍 · 株価時価総額 896 円4,320 億円
成田の旅客が想定を下回り、羽田や高速バスにも客を奪われる。鉄道の乗客は実質で 6% 減り、運賃も 25% しか上がらず、営業利益率は 6% 台に落ちる。不動産は計画の床面積が思うように埋まらない。OLC は人気に陰りが出て利益が伸び悩み、持分利益が細る。空港増強の投資の回収が長引き、自己資本利益率は 4% 台まで下がる。株価は純資産の半分程度の評価に落ちる。会社は配当を維持しようとするが、増強投資との両立が難しく、還元は増えない。投資ファンドが求める持分の売却に踏み切っても、売却益への課税と OLC の人気の低下で、手取りは見込みを下回る。(名目の前提)運賃・賃料の改定が遅れ、物価に追いつかない。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の340億円が10年後に約 450億円(物価で一律に増やすと約 469億円)。営業利益は −19億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 37億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 運輸(鉄道・バス):数量 940(年間輸送人員(百万人、鉄道とバス。推定))× 価格 2.57(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 2,412 億円・営業利益 138 億円。数量 0.94 倍・価格 1.25 倍・営業利益率5.7%・償却は物価で増やさず按分(10年後 450億円)
- 流通:数量 29.0(年間の取引件数(百万件、推定))× 価格 2.60(1 件あたり売上(千円))→ 売上 753 億円・営業利益 2 億円。数量 0.95 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 0.3%
- 不動産:数量 64.8(賃貸・分譲の稼働床面積換算(万㎡、推定))× 価格 8.41(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と分譲を含む実効単価))→ 売上 545 億円・営業利益 142 億円。数量 1.08 倍・価格 1.28 倍・営業利益率 26.0%
- レジャー・サービス:数量 11.4(年間の利用者数(百万人、推定))× 価格 1.90(1 人あたり収入(千円))→ 売上 216 億円・営業利益 11 億円。数量 0.95 倍・価格 1.28 倍・営業利益率 5.0%
- 建設・その他:数量 10.5(年間の工事・業務の件数(千件、推定))× 価格 6.40(1 件あたり売上(百万円))→ 売上 669 億円・営業利益 27 億円。数量 0.95 倍・価格 1.28 倍・営業利益率 4.0%
倍率:ROE 4.0% は k 7.75% 以下。ためた利益の価値は 1 を下回るので PER の上限は 1÷k = 12.9 倍。訪日需要の失速と OLC の不振が重なり、稼ぎが細る筋書きなので、上限の 6.7 割の 8.7 倍に置いた。純有利子負債 3,062 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 18.0 倍。
確率:空港の伸びが鈍り、借金が重い。投資が 8,000 億円規模で長期にわたり、回収の確実性が低いことを踏まえ、確率を 2 割台半ばまで厚くした。
悲観 15% 構造的に負け、借金だけが残る。 利益 −4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 451 円2,176 億円
成田空港の拡張が進まず、あるいは羽田に旅客を奪われて、空港の需要は想定の半分にも届かない。郊外の通勤客も人口減で 15% 減る。鉄道の営業利益率は 3% に落ち、投資は回収できない。OLC もテーマパークの競争や入園者の頭打ちで利益が 3 分の 1 に減り、持分利益は小さくなる。借金は 5,000 億円を超え、利払いが利益を食い尽くす。もう優良な会社ではなく、純資産の半分の値段がつく。会社は配当を減らして借金の返済に回し、OLC 持分の売却も迫られる。これは「構造的に負ける」筋書きで、空港の増強という賭けに外れたときの姿である。シェアではなく、乗客の絶対数と運賃の上がりにくさで負ける点が特徴だ。(名目の前提)運賃の上昇は物価に大きく遅れ、賃料も競争で上がりにくい。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の340億円が10年後に約 450億円(物価で一律に増やすと約 491億円)。営業利益は −41億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 46億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 運輸(鉄道・バス):数量 850(年間輸送人員(百万人、鉄道とバス。推定))× 価格 2.46(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 2,094 億円・営業利益 22 億円。数量 0.85 倍・価格 1.20 倍・営業利益率1.1%・償却は物価で増やさず按分(10年後 450億円)
- 流通:数量 25.9(年間の取引件数(百万件、推定))× 価格 2.50(1 件あたり売上(千円))→ 売上 648 億円・営業利益 −3 億円。数量 0.85 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 -0.5%
- 不動産:数量 60.0(賃貸・分譲の稼働床面積換算(万㎡、推定))× 価格 7.55(1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と分譲を含む実効単価))→ 売上 453 億円・営業利益 91 億円。数量 1.00 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 20.0%
- レジャー・サービス:数量 9.6(年間の利用者数(百万人、推定))× 価格 1.78(1 人あたり収入(千円))→ 売上 171 億円・営業利益 −5 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 -3.0%
- 建設・その他:数量 9.4(年間の工事・業務の件数(千件、推定))× 価格 6.00(1 件あたり売上(百万円))→ 売上 561 億円・営業利益 8 億円。数量 0.85 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 1.5%
倍率:稼ぐ力(事業の純利益 -4 ÷ k 7.75% = -52 億円)より資産の床のほうが大きいので、売れる資産の税後 2,200 億円(floor_assets_oku)を上限とし、やや悲観より低い 2,176 億円(床の 9.9 割)に置いた。今の自己資本 5,578 億円に対する PBR は 0.39 倍。構造的に鉄道が負け、OLC の持分も目減りして利益がほぼ消える筋書き。純有利子負債 3,062 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 48.5 倍と 20 倍を超えるが、利益が低い年で測るため参考にとどめ、価値は稼ぐ力と資産で見ている。
確率:構造的に負ける確率。羽田・高速バスとの競合、OLC の失速、借金の重さという 3 つの懸念が同時に当たる場合で、1 割台半ばを置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
運輸(鉄道・バス)
京成本線・押上線・千葉線・成田スカイアクセス線・松戸線(旧新京成電鉄)の鉄道と、京成バスグループのバス。スカイライナーを含む。
| 数量年間輸送人員(百万人、鉄道とバス。推定) | 価格1 人あたり運輸収入(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 2.05 | 2,053 | 176 |
| 10 年後 中立 | 1,020 | 2.67 | 2,722 | 243 |
取り方:運輸の売上 2,053 億円を、鉄道(京成線・松戸線)とバスの年間輸送人員約 10 億人(推定)で割った 1 人あたり収入。運賃は国の上限認可で、費用の上昇が積み上がってから改定されるため物価に遅れる。スカイライナーの特急料金が単価を押し上げる。
流通
沿線のスーパーや駅構内の店舗などの小売。
| 数量年間の取引件数(百万件、推定) | 価格1 件あたり売上(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.5 | 2.00 | 610 | 3 |
| 10 年後 中立 | 30.5 | 2.68 | 817 | 7 |
取り方:流通の売上 610 億円を、年間の取引約 3,050 万件(推定)で割った 1 件あたり売上。営業利益は 3 億円弱とほぼゼロで、利益への寄与は小さい。
不動産
沿線の賃貸(商業施設・オフィス・住宅)と分譲。中期計画で約 900 億円を投じる。
| 数量賃貸・分譲の稼働床面積換算(万㎡、推定) | 価格1 ㎡あたり年間収入(万円、賃料と分譲を含む実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 6.57 | 394 | 116 |
| 10 年後 中立 | 69.0 | 8.80 | 607 | 176 |
取り方:不動産の売上 394 億円を、賃貸・分譲を合わせた稼働床面積換算約 60 万㎡(推定)で割った実効単価。新しい床の分だけ数量が増え、賃料は物価で上がる。営業利益率は約 3 割。
レジャー・サービス
ホテル、観光施設などの運営。
| 数量年間の利用者数(百万人、推定) | 価格1 人あたり収入(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12.0 | 1.48 | 178 | 15 |
| 10 年後 中立 | 12.2 | 1.99 | 243 | 21 |
取り方:レジャー・サービスの売上 178 億円を、利用者約 1,200 万人(推定)で割った 1 人あたり収入。インバウンドと空港需要の影響を受ける。
建設・その他
京成建設の工事と、その他の事業。グループ内の受注が多い。
| 数量年間の工事・業務の件数(千件、推定) | 価格1 件あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 11.0 | 5.00 | 550 | 33 |
| 10 年後 中立 | 11.0 | 6.70 | 737 | 44 |
取り方:建設とその他の売上の合計 550 億円を、年間約 1.1 万件(推定)で割った 1 件あたり売上。グループ内の取引が多く、連結でその重なりが消える。
リスクと懸念
空港投資の重さと借金の増加
空港アクセスの増強は 2040 年代までで約 8,000 億円。京成の負担は決まっていないが、複線化・次期スカイライナー・駅整備の費用が先に出る。純有利子負債は 4,000 億円台に乗り、借り換えで金利も上がるため、利益の増え方が鈍ると自己資本利益率が資本コストを下回り続ける。
OLC 依存と持分の値付け
経常利益の大きな部分が OLC の持分利益で、OLC の業績と株価に引きずられる。OLC は高い倍率で売られており、人気が冷めると持分の時価が目減りする。持分利益は現金の配当ではないため、見かけの利益ほど株主の使える資金は増えない。
運賃改定の遅れとコスト上昇
運賃は国の上限認可で、物価に遅れて追いつく。人件費と電力料の上昇が先に利益を削り、今期の営業利益は 9% の減益予想だ。認可が遅れる、または利用者の反発で値上げ幅が小さくなれば、鉄道の利益率は 8% 台に張り付き、空港投資の原資も細る。
成田空港の需要が計画どおり伸びない
新滑走路は 2028 年度末の見込みで、旅客 7,500 万人は長期の想定だ。羽田の国際線拡大、LCC の路線縮小、高速バスの攻勢で、成田行きの乗客が想定を下回れば、増強投資が回収できない。インバウンドは景気や為替、地政学で振れる。
株主との対立とガバナンス
投資ファンドは OLC 持分の売却や非公開化を求め続けている。会社が応じなければ株価は割安のままで、応じても条件次第で価値を壊す。持分売却には含み益への課税が伴い、資金を借金の返済に回すか、増強に使うかでも評価が割れる。
沿線の人口減とオフィス・商業の競争
千葉県北西部と東京東部の通勤客は、少子高齢化で実質減に向かう。不動産・流通は他社との競争にさらされ、流通の営業利益はほぼゼロだ。鉄道以外の成長事業の層が薄く、空港頼みの構造が強い。不動産に過去最大の投資をするが、全体の利益を動かす大きさにはまだ届かない。
今後の分かれ目
- 会社が OLC 株を市場価格で大きく売り、借金返済や自社株買いに回したら
- 借金が減り利払いが下がる一方、持分利益は減る。税金の分だけ手取りは目減りするが、持株会社の割引は縮む。売却益の使い道が自社株買い中心なら、評価は適正に近づく。
- 運賃の本格改定が認可されたら
- 鉄道の営業利益率が 10% 近くまで戻り、10 年の利益は中立より 1〜2 割増える。空港投資の資金繰りも楽になる。
- 成田の新滑走路の供用が遅れる、または旅客が想定より伸びなかったら
- 新型特急や複線化の投資が回収できず、利払いだけが残る。鉄道の営業利益率は 8% 台に張り付き、やや悲観の筋書きに近づく。
- OLC が値上げで需要を落とすなどして利益が減ったら
- OLC の利益が 1 割減れば、京成の持分利益も 1 割減り、持分の時価も縮む。OLC が失速すると、京成は鉄道事業の評価だけに近づく。
- 投資ファンドが非公開化や TOB を実現させたら
- OLC 持分の含みを織り込んだ価格に近づく。ただし資金調達と保有の整理が壁で、実現は簡単ではない。
- リーマン級の不況でインバウンドと不動産が同時に冷えたら
- 鉄道の営業利益が赤字近くまで下がり、OLC の持分利益も細る。借金の多さがそのまま重しになり、純資産に対して低い倍率まで売られる。
見ておくもの
- OLC の業績・配当・株価と、京成の保有比率(20.17% からの変化)
- 運賃改定の認可申請の有無と、鉄道の営業利益率
- 成田空港の新滑走路の供用時期、旅客数、スカイライナー・押上ライナーの利用
- 純有利子負債と利払い、空港アクセス投資の京成の負担額
- 投資ファンドの動き(保有・株主提案・非公開化)と配当・自社株買い
倍率と資本コストの決め方
数量と名目の単価から営業利益を積み、OLC の持分利益は OLC の各筋書きの純利益の約 2 割で置いた。倍率は式で置き、ROE が k 7.75% に届かない筋書きは PER の上限 1÷k = 12.9 倍の 9 割前後(楽観 9 割・やや楽観 9.2 割・中立 9.1 割)に置いた。今の PER(13.8 倍)や株価には寄せていない。OLC の今の時価(5.2 兆円)で持分を数えると 1 兆円で京成の時価総額を上回るが、市場の値段は価値の根拠にしない。k は基本 7.5% に quality +0.25%(循環 +0.25・値決め力 −0.25・借金 +0.25・寿命 0。借金は OLC 株が支える)で、確率は quality を理由に動かしていない。悲観は売れる資産(OLC 持分の売却手取り 約 2,200 億円)を床にした。EV÷営業利益は中立で 21 倍だが、持分利益が営業利益に入っていないためで、持分を除くと 15 倍前後。新リース会計基準(2028/03 期〜)で BS の形が変わるが、数字は今の形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。同じ領域の東急と k を揃え、倍率が高めなのは OLC 持分の分。結果の割高(約 −41%)は計算どおり。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.25%(循環 +0.25・値決め力 −0.25・借金 +0.25・寿命 0)= 7.75%。空港需要への偏りが上げ、認可運賃が下げ、借金は OLC 株が支える。OLC 依存や株主との対立は k に足さず、筋書きと確率で表した。