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京浜急行電鉄 9006

品川・高輪の再開発で名目の利益は伸びるが、重い借金と投資負担で ROE は資本コスト 8.25% に届かない。値段は織り込み過ぎと見る

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)764 円1,998 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,562 円4,088 億円差 −51.1%
10 年後から見ると 割高 価値 764 円1,998 億円 · 差 −51.1% · 期待の年率 −0.7%
期待の年率リターン(10 年)−0.7%資本コスト比 −9.4 pt
推定の資本コスト8.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

京急電鉄は、品川・横浜・羽田空港・三浦半島を結ぶ京急線を持つ私鉄グループだ。鉄道が利益の半分強を稼ぎ、不動産、レジャー・ホテル、スーパーや百貨店がそれを囲む。筆者の結論は、今の値段は先々の利益を織り込み過ぎているというものだ。中立の筋書きでも本質価値は今の時価総額に届かない。

理由は借金にある。純有利子負債は4,443億円で、時価総額より重い。これから借り換えのたびに金利が上がり、利払いは10年で年110億円ほど増える。品川の高輪3丁目の開発にも自社分で3,500億円ほどを投じる。稼ぎが名目で伸びても、利払いと投資が株主の取り分を削る。

強みもはっきりある。品川は羽田とリニアをつなぐ日本の玄関口で、そこに大きな土地を持つ。賃貸等不動産の含み益は税引き前で2,669億円ある。会社は不動産を売って回す方式へ変え、自社株買いも増やした。旧村上ファンド系が株の9%を持ち、経営に資本効率を迫る。

それでも、ROEが6%台にとどまる会社に、利益の17倍を超える値段は付けにくい。悲観でも含み益が床になり、今の2割ほどは残る。割高に出た理由は二つある。資本コストが 8.75% と高いことと、10年先も自己資本が積み上がり ROE が上がりにくいことだ。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、まず事業の本質を問う。京急は品川の土地と羽田への線路という、他社が作り直せない資産を持つ。この点は評価できる。ただ、稼いだ利益のうち、自由に株主へ回せる分は多くない。鉄道は車両や線路の更新に毎年大きなお金を使い、高輪の開発にも3,500億円規模が要る。

次に経営の資本配分を見る。ここは評価が割れる。複線化の凍結で減損を出した点は、過去の投資判断の甘さを示す。一方、不動産を売って回す方針と自社株買いの拡大は、外圧を受けた結果とはいえ、方向としては正しい。

最後に安全域だ。含み益を加えた純資産は5,750億円ほどで、今の時価総額はその7割に当たる。この差は一定の安全域になる。だが、純有利子負債が時価総額を上回っており、金利上昇の局面では株主の取り分が先に削られる。そのため、含み益の7割を「あるもの」として扱い、借金の重さで割り引く。事業が安定する点は魅力でも、手を出すのに十分な余裕は、今の値段では見えない。

何で稼ぐ会社か

事業は大きく4つに分かれる。いちばん大きな利益源は交通事業で、京急線と路線バスから成る。2026年3月期の売上は1,216億円、営業利益は187億円だった。品川から横浜・三浦半島へ南下する本線に、羽田空港線、久里浜線が乗り入れる。空港への足としての役割が、定期外の客を支える。

不動産事業は賃貸と分譲を持つ。売上は510億円、営業利益は47億円と小さいが、これからの主役だ。品川駅西口の高輪3丁目では、トヨタと組んで地上29階の複合ビルを2029年度に開く。会社分の事業費は約3,500億円に上る。川崎のアリーナを核にした再開発も2030年度の完成をめざす。

レジャー・サービス事業はホテル、水族館や遊園地などの観光施設を運営し、売上346億円で営業利益は56億円と利益率が高い。三浦半島のリゾート化も長く掲げてきた。

流通事業は京急ストアと百貨店が柱で、売上は849億円と大きいが利益率は2.5%にすぎない。沿線の暮らしを囲う役割はあるが、稼ぎは薄い。ほかにビル管理や建設などの関連事業がある。

全体で見ると、売上の3割強を流通と関連事業が占め、利益の大半は鉄道と観光が稼ぐ。この構造が、不動産の売却益という波を足したときに利益の質を判断しづらくしている。

優良さと弱いところ

堀は、品川という日本屈指のターミナルに大きな土地と駅を持つことにある。品川と横浜から羽田空港まで速く結ぶ線路は、他社が引き直せない。空港へ鉄道で向かう客を取りやすい立地だ。

ただし、稼ぐ力は大手私鉄の中で突き抜けてはいない。営業利益率は11%前後で、ROEも6〜7%だ。2026年3月期の純利益は国道用地の譲渡益が押し上げた数字で、事業そのものの稼ぎはもっと小さい。筆者は、この差を見落とさないことが大切だと考える。

財務の弱さがいちばんの課題だ。純有利子負債は自己資本の1.1倍を超え、営業利益で利払いを払える倍率は6倍ほどだ。減価償却も重い。久里浜線の複線化の凍結と百貨店ビルの修繕計画で、2026年3月期には100億円を超える減損を出した。投資の目利きには、まだ課題が残る。

一方で、会社は変わり始めた。長く持つ賃貸から、育てて売る回転型へ軸を移し、2030年度までに1,000億円以上の不動産を流動化する。政策保有株も減らす。ガバナンスは監査等委員会設置会社に変え、役員の賞与にROEを入れた。この変化が数字になるかは、これから数年ではっきりする。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

京急線沿線は人口が横ばいから緩やかな減少に向かう。業界全体の傾向と同じく、通勤・通学の定期は先細りで、観光や訪日客などの定期外が補う。年末年始の定期外は前年を7%上回ったが、コロナ前にはまだ届いていない。

京急の特徴は、東京南部と神奈川東部という需要の厚い市場に路線が収まることだ。東急、JR東海道線、相鉄が横浜方面で競合する。品川〜横浜は競争が最も激しい区間で、速さと本数が勝負になる。

羽田空港は強い追い風だ。空港の第1・第2ターミナル駅に引上線を設け、品川駅を2面4線にして、2030年ごろに本数を増やす。これが空港利用客の取り込みを後押しする。リニア中央新幹線の開業は、品川の価値をさらに高める可能性がある。

運賃は国の認可が要る。京急は2023年に10.8%を上げたが、遠距離は逆に下げた。次の改定は物価に1〜2年遅れて追いつく形になるだろう。東京の民鉄の中では、土地と駅を持つ品川、羽田、横浜に投資が集まり、郊外の三浦半島の路線は人口減がきつい。企業全体の成長は、不動産がどれだけ上積みできるかで決まる。

資本政策と M&A

資本政策は、外からの圧力で急に動いた。旧村上ファンド系が2025年に株を買い始め、保有は9.14%まで増えた。株主提案はまだないが、会社は2025年5月にROEの目標を上げ、配当性向を40%程度とした。

自社株買いは、2025年度が100億円、2026年度は上限300億円へと膨らんだ。配当は前期と同じ水準を予定する。さらに、2025年度から2029年度に1,500億〜2,000億円の資金を、不動産の流動化、出資金の回収、政策保有株の売却でつくる計画だ。政策保有株は574億円あり、連結純資産の15%に当たる。

問題は、これと同時に高輪3丁目で大きな借入を抱えることだ。自己資本比率を25〜30%に抑える目標は、還元を増やすほど守りにくい。当サイトの試算では、10年以内に買収される確率は15%台だ。時価総額に比べて不動産の含みが大きい点は、買う側にとって材料になる。

還元は方針(配当性向40%程度に自社株買いを足す)に沿い、中立は純利益の合計の約76%。賃貸不動産と持ち合い株の含み益は還元に入れず、時価総額にも足さない(悲観の床にだけ使う)。

点検済み:中立の営業利益率13.4%が会社予想(27・28年3月期11.2%)と過去最高(12.2%)を超え、不動産が今の9.2%から20%へ倍増する前提だったため、14%に置き直した(全社12.0%。高輪の開業分は残す)。

減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の293億円が10年後に約 425億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

高輪3丁目は、品川の景色を変える。2029年度にトヨタの新東京本社を含む複合ビルが開けば、オフィス、ホテル、MICEが一度に動き出す。駅街区の南街区も2036年度までに続き、品川で賃料を稼ぐ床は大きく増える。不動産の利益は、鉄道の利益に並ぶ規模へ育つ。

会社は売って回す方式に変わった。2030年度までに1,000億円以上を流動化し、私募リートで外部の資金を入れる。売却後も運営を受けてフィーを得るので、借金を増やさずに稼ぎ続けられる。資本効率は上がり、ROEが8%に届く道が見える。

羽田は構造的に伸びる。引上線の整備で空港線の本数が増え、国際線の拡大と訪日客が定期外収入を押し上げる。運賃は物価に追いつき、人件費の上昇はワンマン運転と信号の自動化で抑えられる。

還元も厚い。配当性向40%に自社株買いを足し、旧村上ファンド系という大株主の目が、資本の使い方を締める。含み益は2,669億円あり、これを回収すれば借金も減る。いまの値段はその価値に対し、まだ十分に安いと言える。

慎重な見方

借金が重すぎる。純有利子負債は時価総額より大きく、金利が上がる今は、借り換えのたびに利払いが膨らむ。高輪3丁目には3,500億円を投じ、完成は2029年度だ。その間に建設費が上がれば、投資の採算は一気に悪くなる。

2026年3月期の純利益は国道用地の譲渡益が押し上げた数字で、事業の稼ぎではない。今期の営業利益の予想にも、流動化の売却益が含まれる。売る資産には限りがあり、毎年同じ益を出せる保証はない。益が減れば、利益の水準は一段下がる。

品川にはオフィスの新規供給が集中する。高輪ゲートウェイ周辺の大型ビルと競合し、賃料の伸びが想定を下回る恐れがある。リモートワークの定着で、需要そのものが弱まる可能性もある。

鉄道は郊外の三浦半島で人口減が早い。久里浜線の複線化は凍結され、減損も出た。流通は利益率が2%台で、百貨店ビルの修繕も重い。株主還元を厚くするほど自己資本が痩せ、自己資本比率の目標は守りにくい。大株主の圧力で不動産を安値で売れば、長期の価値を損なう。

どちらに重みを置いたか

品川の土地と羽田の線路は強気の見方のとおり本物だが、借金と投資負担という慎重な見方がそれを上回る。ROE が資本コストの手前にとどまり、中立の倍率を高く置けないからだ。確率は中立を軸に、楽観・やや楽観を 30%、やや悲観・悲観を 38% とした。含み益が下値を支えても、悲観では今の 2 割ほどにとどまる。総合は約 −44% の割高になった。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 869 円2,274 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 590 円1,544 億円)。 今の値に割り戻すと 764 円1,998 億円、今との差 −51.1%、 期待の年率 −0.7%(資本コスト 8.8%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 9% 1,605 円4,201 億円 968 円2,533 億円 +64.7% +5.1% 232 円606 億円
やや楽観 21% 1,339 円3,504 億円 791 円2,071 億円 +36.4% +3.2% 447 円1,171 億円
中立 32% 1,003 円2,624 億円 609 円1,595 億円 +3.2% +0.3% 516 円1,350 億円
やや悲観 24% 322 円843 億円 462 円1,208 億円 −49.8% −6.7% 188 円492 億円
悲観 14% 322 円843 億円 222 円580 億円 −65.2% −10.0% 76 円199 億円
加重平均100% 869 円2,274 億円590 円1,544 億円 −6.6% −0.7% 1,459 円3,818 億円

今の株価時価総額 1,562 円4,088 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。

楽観 9% 高輪が成功し、売って回す経営が定着する 利益 284 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,605 円4,201 億円

高輪3丁目が2029年度に開業し、トヨタ本社を核にオフィス、ホテル、MICEが埋まる。駅街区の南街区も動き、品川の賃料収入は今の数倍の規模に育つ。不動産は鉄道を上回る利益の柱になる。

会社は不動産を売って回す方式を定着させ、借金を増やさずに成長を続ける。ROEは8%台に乗り、長期の目標である10%に近づく。自己資本比率は目標の25〜30%を保つ。

羽田の引上線が完成して空港線の本数が増え、訪日客の需要も構造的に高まる。運賃は物価に沿って上がり、ワンマン運転で人件費も抑えられる。川崎のアリーナ計画も形になる。こうして、品川と羽田を軸にした資産回転型の会社として、市場の評価が一段上がる10年になる。

金利が上がっても、本業の稼ぎがそれを吸収する。利払いは年130億円ほど増えるが、営業利益の伸びが上回る。

(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れて追いつき、賃料・客単価は物価並みに上がる。乗客・床・来場者の数は実質で置いた。借り換えと投資の借入で、10 年 後に利払いが年 130 億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の293億円が10年後に約 425億円(物価で一律に増やすと約 455億円)。営業利益は −30億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 88億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 交通(鉄道・バス):数量 640(年間輸送人員(百万人。京急線とバスの合計、推定))× 価格 2.51(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 1,605 億円・営業利益 251 億円。数量 1.00 倍・価格 1.32 倍(名目)・営業利益率15.6%。運賃は国の認可で物価に遅れて追いつく(改定は数年に一度)ため、価格は物価の倍率より低い・償却は物価で増やさず按分(10年後 425億円)
  • 不動産(賃貸・分譲・流動化):数量 136(賃貸・分譲・流動化の取扱床面積(万㎡。分譲・売却は床に換算、推定))× 価格 8.93(1 ㎡あたり収入(万円。賃料・分譲・売却を含む実効単価))→ 売上 1,214 億円・営業利益 267 億円。数量 1.70 倍・価格 1.40 倍(名目)・営業利益率 22.0%
  • レジャー・サービス:数量 2,160(年間の利用客数(万人。ホテル・観光施設の合計、推定))× 価格 0.24(1 人あたり収入(万円))→ 売上 508 億円・営業利益 86 億円。数量 1.08 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 17.0%
  • 流通(スーパー・百貨店):数量 146(年間の来店客数(百万人。スーパー・百貨店・駅の店舗の合計、推定))× 価格 7.64(1 人あたり客単価(百円))→ 売上 1,112 億円・営業利益 33 億円。数量 0.97 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 3.0%
  • ビル管理・建設・その他:数量 105(受託・取引件数(千件。推定))× 価格 0.16(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 173 億円・営業利益 52 億円。数量 1.05 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 30.0%

倍率:事業の純利益 284 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 3,246 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:高輪の成功と流動化の定着が両方そろう必要があり、確率は高くない。

やや楽観 21% 高輪は開業し、借金は抑えられる 利益 223 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,339 円3,504 億円

高輪3丁目は予定どおり開業し、賃貸収益が乗る。一方で、オフィスの賃料は、品川の新しい供給と競い合うため、期待ほどは上がらない。不動産の利益は大きく伸びるが、鉄道の人口減を相殺する程度に収まる。

流動化は2030年度の目標を達成し、私募リートの運営フィーも積み上がる。借入は一時的に膨らむが、開業後には少しずつ返せる。純利益は今の水準から着実に伸び、ROEは7%近くまで上がる。

羽田の引上線の完成で空港線の利用は増える。運賃は物価に1〜2年遅れて追いつく。レジャーは訪日客で底堅く、流通は縮小しながらも低採算のまま続く。会社の掲げる成長の筋道を、おおむねなぞる10年になる。

(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れて追いつき、賃料・客単価は物価並みに上がる。乗客・床・来場者の数は実質で置いた。借り換えと投資の借入で、10 年 後に利払いが年 140 億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の293億円が10年後に約 425億円(物価で一律に増やすと約 459億円)。営業利益は −34億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 81億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 交通(鉄道・バス):数量 627(年間輸送人員(百万人。京急線とバスの合計、推定))× 価格 2.47(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 1,549 億円・営業利益 222 億円。数量 0.98 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率14.3%。運賃は国の認可で物価に遅れて追いつく(改定は数年に一度)ため、価格は物価の倍率より低い・償却は物価で増やさず按分(10年後 425億円)
  • 不動産(賃貸・分譲・流動化):数量 124(賃貸・分譲・流動化の取扱床面積(万㎡。分譲・売却は床に換算、推定))× 価格 8.73(1 ㎡あたり収入(万円。賃料・分譲・売却を含む実効単価))→ 売上 1,083 億円・営業利益 227 億円。数量 1.55 倍・価格 1.37 倍(名目)・営業利益率 21.0%
  • レジャー・サービス:数量 2,060(年間の利用客数(万人。ホテル・観光施設の合計、推定))× 価格 0.23(1 人あたり収入(万円))→ 売上 481 億円・営業利益 77 億円。数量 1.03 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 16.0%
  • 流通(スーパー・百貨店):数量 143(年間の来店客数(百万人。スーパー・百貨店・駅の店舗の合計、推定))× 価格 7.64(1 人あたり客単価(百円))→ 売上 1,089 億円・営業利益 30 億円。数量 0.95 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 2.8%
  • ビル管理・建設・その他:数量 102(受託・取引件数(千件。推定))× 価格 0.16(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 167 億円・営業利益 50 億円。数量 1.02 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 30.0%

倍率:事業の純利益 223 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 2,549 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:高輪が計画どおり開業し、借金も抑えられる現実的な上振れ。

中立 32% 品川の賃料が人口減を相殺する 利益 146 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,003 円2,624 億円

高輪3丁目は開業し、不動産は鉄道と並ぶ利益の柱になる。ただし、売る資産と持つ資産のバランスで借入は高止まりし、ROEは5〜6%台で資本コストの手前にとどまる。会社が掲げる8%には届かない。

交通は沿線の人口減で数量が少し減り、運賃の上昇がそれを補う。羽田への需要は強いが、郊外の三浦半島は先細りになる。レジャーは平年並みで、流通は人口減とともに縮む。

借り換えは10年で全部が新しい金利になり、利払いは年150億円ほど増える。名目で見れば、営業利益は500億円ほどと今より大きいが、株主に残る利益は営業利益ほど伸びない。還元は配当性向40%に自社株買いを足した水準で続き、自己資本は緩やかに積み上がる。品川という良い立地を、普通の資本効率で運営する10年になる。

(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れて追いつき、賃料・客単価は物価並みに上がる。乗客・床・来場者の数は実質で置いた。借り換えと投資の借入で、10 年 後に利払いが年 150 億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の293億円が10年後に約 425億円(物価で一律に増やすと約 464億円)。営業利益は −39億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 77億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 交通(鉄道・バス):数量 614(年間輸送人員(百万人。京急線とバスの合計、推定))× 価格 2.43(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 1,494 億円・営業利益 200 億円。数量 0.96 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率13.4%。運賃は国の認可で物価に遅れて追いつく(改定は数年に一度)ため、価格は物価の倍率より低い・償却は物価で増やさず按分(10年後 425億円)
  • 不動産(賃貸・分譲・流動化):数量 116(賃貸・分譲・流動化の取扱床面積(万㎡。分譲・売却は床に換算、推定))× 価格 8.54(1 ㎡あたり収入(万円。賃料・分譲・売却を含む実効単価))→ 売上 991 億円・営業利益 139 億円。数量 1.45 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 14.0%
  • レジャー・サービス:数量 2,000(年間の利用客数(万人。ホテル・観光施設の合計、推定))× 価格 0.23(1 人あたり収入(万円))→ 売上 464 億円・営業利益 70 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 15.0%
  • 流通(スーパー・百貨店):数量 140(年間の来店客数(百万人。スーパー・百貨店・駅の店舗の合計、推定))× 価格 7.58(1 人あたり客単価(百円))→ 売上 1,058 億円・営業利益 28 億円。数量 0.93 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 2.6%
  • ビル管理・建設・その他:数量 100(受託・取引件数(千件。推定))× 価格 0.16(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 162 億円・営業利益 45 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 28.0%

倍率:事業の純利益 146 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.3% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 1,669 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:人口減を品川と羽田の収益が相殺する中心の筋書き。ROEは資本コストの手前にとどまる。

やや悲観 24% 品川のオフィスが供給過多になり、投資が重い 利益 18 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 322 円843 億円

品川にオフィスの供給が集中し、賃料の伸びが物価を下回る。高輪の開業が遅れ、建設費の上昇で採算も悪化する。借入は膨らみ、金利が高止まりして、利払いは年175億円ほど増える。

会社は財務を守るため、自社株買いを縮め、配当を維持するにとどめる。流動化は買い手が付きにくく、売却益は期待を下回る。大株主が売却や再編を迫り、売り急ぎで安く売れば、長期の価値をさらに損なう。

交通は人口減で数量が1割近く減り、運賃の認可も物価に追いつかない。観光は平年並みでも利益率は低い。純利益は今の4割ほどに下がり、市場は自己資本を目安に値付けする。含み益が下値を支える。

(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れて追いつき、賃料・客単価は物価並みに上がる。乗客・床・来場者の数は実質で置いた。借り換えと投資の借入で、10 年 後に利払いが年 175 億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の293億円が10年後に約 425億円(物価で一律に増やすと約 477億円)。営業利益は −52億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 86億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 交通(鉄道・バス):数量 582(年間輸送人員(百万人。京急線とバスの合計、推定))× 価格 2.36(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 1,372 億円・営業利益 140 億円。数量 0.91 倍・価格 1.24 倍(名目)・営業利益率10.2%。運賃は国の認可で物価に遅れて追いつく(改定は数年に一度)ため、価格は物価の倍率より低い・償却は物価で増やさず按分(10年後 425億円)
  • 不動産(賃貸・分譲・流動化):数量 100(賃貸・分譲・流動化の取扱床面積(万㎡。分譲・売却は床に換算、推定))× 価格 8.16(1 ㎡あたり収入(万円。賃料・分譲・売却を含む実効単価))→ 売上 816 億円・営業利益 106 億円。数量 1.25 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 13.0%
  • レジャー・サービス:数量 1,880(年間の利用客数(万人。ホテル・観光施設の合計、推定))× 価格 0.22(1 人あたり収入(万円))→ 売上 423 億円・営業利益 51 億円。数量 0.94 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 12.0%
  • 流通(スーパー・百貨店):数量 132(年間の来店客数(百万人。スーパー・百貨店・駅の店舗の合計、推定))× 価格 7.36(1 人あたり客単価(百円))→ 売上 971 億円・営業利益 19 億円。数量 0.88 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 2.0%
  • ビル管理・建設・その他:数量 95.0(受託・取引件数(千件。推定))× 価格 0.16(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 149 億円・営業利益 36 億円。数量 0.95 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 24.0%

倍率:稼ぐ力(事業の純利益 18 ÷ k 8.75% = 218 億円)より資産の床のほうが大きいので、売れる資産の税後 1,870 億円(floor_assets_oku)を時価総額にそのまま置いた。今の自己資本 3,883 億円に対する PBR は 0.217 倍。償却を計算どおりに置き直して利益が細り、悲観と同じ床で値が付く。

確率:品川のオフィス供給過多、建設費の上昇、金利高が重なる。借金の重さを踏まえ厚めに置いた。

悲観 14% 構造的に優良さを失う 利益 −149 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 322 円843 億円

品川のオフィス供給過多が続き、高輪の開業後も賃料とテナントが期待に届かない。投資の採算が崩れ、減損が相次ぐ。借入の重さで格付けが下がり、資金調達の費用がさらに上がる。

鉄道は沿線人口の減少が加速し、久里浜線や三浦半島の路線は減便の議論に入る。運賃の認可は物価に追いつかず、人件費だけが上がる。観光とホテルも競争で利益率を落とす。

会社は配当を守るために資産の売却を急ぎ、不動産の含み益は思ったほど現金にならない。純損益は赤字に近づき、自己資本比率も目標を割る。もはや優良な鉄道・不動産会社ではなく、借金の重い普通の企業として評価される10年になる。含み込みの純資産が最後の床になる。

(名目の前提)運賃は国の認可で物価に 1〜2 年遅れて追いつき、賃料・客単価は物価並みに上がる。乗客・床・来場者の数は実質で置いた。借り換えと投資の借入で、10 年 後に利払いが年 200 億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の293億円が10年後に約 425億円(物価で一律に増やすと約 494億円)。営業利益は −69億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 95億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 交通(鉄道・バス):数量 538(年間輸送人員(百万人。京急線とバスの合計、推定))× 価格 2.24(1 人あたり運輸収入(百円))→ 売上 1,205 億円・営業利益 51 億円。数量 0.84 倍・価格 1.18 倍(名目)・営業利益率4.2%。運賃は国の認可で物価に遅れて追いつく(改定は数年に一度)ため、価格は物価の倍率より低い・償却は物価で増やさず按分(10年後 425億円)
  • 不動産(賃貸・分譲・流動化):数量 80.0(賃貸・分譲・流動化の取扱床面積(万㎡。分譲・売却は床に換算、推定))× 価格 7.65(1 ㎡あたり収入(万円。賃料・分譲・売却を含む実効単価))→ 売上 612 億円・営業利益 43 億円。数量 1.00 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 7.0%
  • レジャー・サービス:数量 1,700(年間の利用客数(万人。ホテル・観光施設の合計、推定))× 価格 0.22(1 人あたり収入(万円))→ 売上 368 億円・営業利益 22 億円。数量 0.85 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 6.0%
  • 流通(スーパー・百貨店):数量 120(年間の来店客数(百万人。スーパー・百貨店・駅の店舗の合計、推定))× 価格 7.08(1 人あたり客単価(百円))→ 売上 849 億円・営業利益 8 億円。数量 0.80 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 1.0%
  • ビル管理・建設・その他:数量 85.0(受託・取引件数(千件。推定))× 価格 0.15(1 件あたり収入(百万円))→ 売上 129 億円・営業利益 23 億円。数量 0.85 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 18.0%

倍率:稼ぐ力では測れない年なので、売れる資産の税後 1,870 億円(floor_assets_oku)を上限とし、やや悲観より低い 843 億円(床の 4.8 割)に置いた。今の自己資本 3,883 億円に対する PBR は 0.217 倍。構造的に稼ぐ力を失い、借金の利払いで赤字になる筋書き。純有利子負債 4,443 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 42.0 倍と 20 倍を超えるが、利益が低い年で測るため参考にとどめ、価値は稼ぐ力と資産で見ている。

確率:構造的に優良さを失う筋書き。借金の重い会社は一度崩れると戻りにくいため、無視できない確率を置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

交通(鉄道・バス)

京急線(品川〜横浜〜三浦半島、羽田空港線、久里浜線)と路線バス。

数量年間輸送人員(百万人。京急線とバスの合計、推定)価格1 人あたり運輸収入(百円)売上営業利益
今 2026/03 640 1.90 1,216 187
10 年後 中立 614 2.43 1,494 200

取り方:交通の売上1,216億円を、年間の輸送人員約6.4億人(推定)で割った1人あたりの収入。運賃は国の認可で、費用が積み上がってから改定されるため、物価に1〜2年遅れる。2023年の改定は遠距離を下げた。人口減で数量は微減、空港利用と訪日客がそれを一部補う。

不動産(賃貸・分譲・流動化)

賃貸(オフィス・商業)と分譲、不動産の流動化。品川・高輪3丁目、川崎、横浜、海外を含む。

数量賃貸・分譲・流動化の取扱床面積(万㎡。分譲・売却は床に換算、推定)価格1 ㎡あたり収入(万円。賃料・分譲・売却を含む実効単価)売上営業利益
今 2026/03 80.0 6.38 510 47
10 年後 中立 116 8.54 991 139

取り方:不動産の売上510億円を、賃貸と分譲、売却を合わせた床面積約80万㎡(推定)で割った実効単価。高輪3丁目などの新しい床が数量を増やし、賃料は物価並みに上がる。売却益は営業利益率に含めて見る。

レジャー・サービス

ホテル、水族館や遊園地などの観光施設、スポーツ・文化施設の運営。

数量年間の利用客数(万人。ホテル・観光施設の合計、推定)価格1 人あたり収入(万円)売上営業利益
今 2026/03 2,000 0.17 346 56
10 年後 中立 2,000 0.23 464 70

取り方:レジャー・サービスの売上346億円を、利用客約2,000万人(推定)で割った1人あたりの収入。数量は景気と訪日客で振れ、単価は宿泊料と入場料の値上げで物価並みに上がる。

流通(スーパー・百貨店)

京急ストア、百貨店、駅ナカ店舗などの流通事業。

数量年間の来店客数(百万人。スーパー・百貨店・駅の店舗の合計、推定)価格1 人あたり客単価(百円)売上営業利益
今 2026/03 150 5.66 849 22
10 年後 中立 140 7.58 1,058 28

取り方:流通の売上849億円を、年間の来店客約1.5億人(推定)で割った客単価。沿線の人口減で来店客は細り、単価は物価に沿って上がる。利益率は2%台と薄い。

ビル管理・建設・その他

ビル管理、建設、広告、本社機能など。持分法の利益を含む。

数量受託・取引件数(千件。推定)価格1 件あたり収入(百万円)売上営業利益
今 2026/03 100 0.12 121 38
10 年後 中立 100 0.16 162 45

取り方:その他の売上約121億円を、受託や取引の件数約10万件(推定)で割った1件あたりの収入。利益率は持分法の利益などで高く出る。

リスクと懸念

借金の重さと金利の上昇

純有利子負債は4,443億円で時価総額を上回り、自己資本の1.1倍を超える。借り換えのたびに金利が上がり、10年で利払いは年110億円ほど増える。高輪3丁目の投資が重なれば、自己資本比率の目標の25〜30%を守りにくくなり、還元の拡大とも両立しにくい。

高輪3丁目の工期と採算

会社分の事業費は約3,500億円で、開業は2029年度の予定だ。建設費や人件費が上がれば採算は崩れ、開業が遅れれば借入の負担だけが先に重くなる。品川にはほかにも大型のオフィスが集まるため、賃料とテナントが想定に届かないおそれもある。

売却益に頼った利益の質

2026年3月期の純利益は国道用地の譲渡益が押し上げ、今期の営業利益の予想にも流動化の売却益が入る。売れる資産には限りがあり、益は年ごとに大きく上下する。売却益を除いた本業の稼ぐ力は、見かけの利益よりかなり小さい。

沿線人口の減少と鉄道の成長の限界

通勤・通学の定期は人口減で先細りになる。羽田や品川は強いが、三浦半島の郊外路線は減少が早い。久里浜線の複線化は凍結され、減損も出た。運賃は国の認可が要り、物価に1〜2年遅れて追いつくため、人件費の上昇期には利益率が圧迫される。

大株主の圧力と売り急ぎ

旧村上ファンド系が9%を保有し、重要な提案はまだないが、不動産の売却や資本効率の改善を求める可能性がある。圧力に押されて不動産を安く売れば、長期の価値を損なう。自社株買いを急ぐと、自己資本が薄くなって財務の余裕も減る。

観光・空港需要の景気への弱さ

羽田空港線とホテル、観光施設は、訪日客と景気の影響を強く受ける。リーマン級の不況では、出張や観光が止まり、固定費の重い鉄道と観光の利益が一気に消える。借入の返済は景気に関係なく来るため、谷では財務が一気に苦しくなる。

今後の分かれ目

高輪3丁目の開業が遅れる、または建設費が大きく上振れしたら
投資の採算を下方修正し、やや悲観と悲観に確率を寄せる。借入の増加で倍率も下げる。
不動産の流動化が目標どおり進み、売却益が毎年100億円規模で出続けたら
利益の見通しを上方修正し、楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし売却益は質を割り引いて見る。
私募リートの運用が始まり、売却後の運営フィーが安定して積み上がったら
借金を増やさずに稼げる形が育っているとみて、10年の楽観側の確率を上げる。
純有利子負債÷EBITDAが7倍台を超えて高止まりしたら
財務の余裕が減っているとみて、悲観側に重みを移し、倍率を下げる。
旧村上ファンド系が株主提案や重要な提案を出し、不動産の売却や再編に動いたら
売り急ぎの価値の毀損と、含み益の現金化の両方を考え、中立〜やや悲観の見通しを見直す。
運賃の改定が物価に追いつく形で認可されたら
交通の価格の前提を上方修正する。人件費の上昇とのバランスを見て、利益率を調整する。
羽田空港第1・第2ターミナル駅の引上線が計画どおり2030年ごろに動き出したら
交通の数量の見通しを上方修正し、10年の楽観・やや楽観の確率を上げる。

見ておくもの

  • 高輪3丁目(品川駅西口地区)の工事の進み方と、2029年度開業へのスケジュール
  • 不動産の流動化の実績(売却益の額・私募リートの運用開始・運営フィーの規模)
  • 純有利子負債÷EBITDAと自己資本比率の推移(目標は25〜30%)
  • 自社株買いの実施状況と配当性向(40%程度が目安)
  • 旧村上ファンド系の保有比率と、株主提案の有無
  • 羽田空港線の定期外の輸送人員と、引上線・品川駅の2面4線化の進み方

倍率と資本コストの決め方

数量(人・床・来場者)× 名目の価格で利益を積み、倍率は式で置いた。今の PBR 1.04 倍・PER 15 倍には寄せていない。ROE が k 8.75% に届かない中立・やや楽観・楽観は PER の上限が 1÷k = 12.1 倍(楽観は ROE が k に近い)で、借金の重さと売却益に頼る利益の質を割り引き、上限の 8.7〜8.9 割に置いた。k は基本 7.5% に quality +0.75%(循環 0・値決め力 −0.25・借金 +1.0・寿命 0)で、確率は quality を理由に動かしていない。やや悲観は稼ぐ力(純利益÷k)の 7.7 割、悲観は売れる資産(含み益の税後 約 1,870 億円)を床とし、やや悲観の 8.5 割に置いた。EV÷営業利益は中立で 13 倍で、20 倍を下回る。純利益÷営業利益が過去より低いのは利払い増のため(net_op_why)。東武・京王・東急・阪急阪神と同じ物差しで並べ、違いは借金の重さと利益の質で説明した。新リース会計基準(2028 年 3 月期から)は、家賃を営業費用に入れた今の形にそろえて置いた。結果の割高(約 −33%)は計算どおり。含み益は悲観の床にだけ使い、中立〜楽観には賃料・売却益が純利益に入っているので足していない。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。

資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.75%(循環 0・値決め力 −0.25・借金 +1.0・寿命 0)= 8.25%。自己資本に対して純有利子負債が重く、利払いが利益を削る度合いが大手私鉄の中で最も大きい。品川・羽田の優位は k に入れず筋書きで表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 8.75%。

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+10.6% · 10 年 やや割安(年 +7.8%) 適正 神姫バス9083 地方バスの黒字は万博が押し上げた山で、資本効率が資本コストに届かない以上、今の値段は少し高い 本質価値との差 +8.3% · 10 年 適正(年 +7.5%) 適正 日本ロジテム9060 首都圏の倉庫とトラックとアマゾンのセンターで稼ぐ中堅の物流会社。薄い利益と重い借金を、持っている土地が支える。今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +7.8% · 10 年 適正(年 +8.7%) 適正 丸全昭和運輸9068 化学品・危険物の倉庫と 3PL で同業の倍の利益率を稼ぐ物流会社。厚い自己資本が ROE を押さえ、10 年の価値は今の時価総額をやや上回る 本質価値との差 +7.4% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 西日本鉄道9031 福岡の再開発と国際物流で利益は名目で伸びるが、借金は増え金利も上がる。ROE は資本コスト 8.0% に届かず、値段はほぼ適正に出る 本質価値との差 +7.1% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 東海旅客鉄道9022 東海道新幹線の独占は強い堀だが、リニアの負担と利払いの増加、資本コスト 7.0% を引くと、今の値段はほぼ適正に出る 本質価値との差 +5.2% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 京阪ホールディングス9045 京都と大阪を結ぶ沿線と不動産の含み益は本物だが、利益は万博と用地分譲で膨らんだピーク。利払いが増え、ROE は資本コストに届かず、やや割高 本質価値との差 +4.8% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 南総通運9034 千葉の倉庫と運送の会社。倉庫が利益の半分強を稼ぐが、ROE が資本コストに届かず、10 年の価値はやや割高に出る。 本質価値との差 +2.8% · 10 年 適正(年 +6.0%) 適正 北海道中央バス9085 時価総額の9割近い純現金を抱えるが、現金は株主に戻りにくく稼ぐ力も低いので、今の値段は高い 本質価値との差 −1.9% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 阪急阪神ホールディングス9042 梅田の再開発と運賃改定で利益は名目で伸びるが、借り換えの利払いで ROE は資本コスト 7.5% に届かない。今の値段は 3 割弱のやや割高に出る 本質価値との差 −3.4% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 SBSホールディングス2384 不動産の売却益が営業利益の 4 割を占め、本業の物流は薄利のまま。利益の質を割り引くと、買収で伸びても今の値段は割高 本質価値との差 −9.4% · 10 年 適正(年 +5.3%) やや割高 日本石油輸送9074 現金と保有株は厚いが、リースと一社依存が重い。石油の細りと人件費が稼ぎを削る 本質価値との差 −12.4% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 ヤマトホールディングス9064 宅急便の値上げは効くが稼ぐ力はまだ薄い。再建が中立どおり進んでも、資本コスト 8.5% で測ると今の値段はやや割高で、安全域はない 本質価値との差 −12.8% · 10 年 やや割高(年 +5.5%) やや割高 サカイ引越センター9039 引越は件数が頭打ちで、人の確保が利益を削る。純現金は厚いが、ROEが資本コストを上回れず、やや割高と見る 本質価値との差 −12.9% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 東武鉄道9001 スカイツリーとホテルが運輸の減益を補うが、借り換えの利払いと資本コスト 8.0% を引くと、本質価値は今の値段を 3 割弱下回る 本質価値との差 −13.0% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 京王電鉄9008 新宿を軸に営業利益は物価並みに伸びるが、借り換えの利払いが純利益を押さえる。k 7.5% で測ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −14.7% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 相鉄ホールディングス9003 ホテルの万博特需と新横浜線の直通で利益は過去最高だが、借金が営業利益の 10 倍と重い。利払い増で ROE は資本コストに届かず、今の値段は 4 割弱ほど割高に出る 本質価値との差 −15.2% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 株式会社NANKAI9044 空港線とインバウンドは強いが、重い借金と大型投資で資本コストに届かない。値段は 3 割ほど割高に出る 本質価値との差 −18.7% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 西日本旅客鉄道9021 山陽新幹線と近畿の独占に運賃改定とうめきたの床が乗るが、借入を増やす計画の利払いと資本コスト 7.75% を引くと、本質価値は今の値段を 3 割ほど下回る 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +4.9%) やや割高 東日本旅客鉄道9020 新幹線と首都圏の独占は強いが、4.9 兆円の借金の利払い増と資本コスト 7.5% を引くと、本質価値は今の値段を 4 割近く下回る 本質価値との差 −23.0% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 京成電鉄9009 京成電鉄は成田空港の増強とオリエンタルランド持分が核だが、借金が膨らむ局面と資本コスト 7.75% を踏まえると、今の値付けは割高と見る 本質価値との差 −29.6% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) 割高 東京地下鉄(東京メトロ)9023 鉄道だけで稼ぐ日本最大級の地下鉄。国・都の保有株売却と新線建設が焦点で、資本コスト 7.25% を ROE が下回り、今の値段は 4 割ほど割高に出る 本質価値との差 −33.9% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 センコン物流9051 宮城の倉庫が稼ぎ頭、売上の半分は埼玉のホンダ販売店。借入が時価総額に迫り、ROE は資本コストに届かないので、今の値段は高い 本質価値との差 −34.3% · 10 年 割高(年 +2.7%) 割高 近鉄グループホールディングス9041 営業利益は名目で伸びるが、借り換えの利払いが利益を削り、株主の取り分は増えない。資本コスト 8.5% を踏まえると、今の値段は割高 本質価値との差 −35.3% · 10 年 割高(年 +2.5%) 割高 大宝運輸9040 地場の堅い運送会社だが、薄い稼ぎに対して積み上がった資本が重く、今の値段は安全域に乏しい 本質価値との差 −36.2% · 10 年 割高(年 +2.5%) 割高 山陽電気鉄道9052 姫路駅前の不動産が利益を支えるが、運賃は上限に達し、借り換えの利払いで ROE は資本コストを大きく下回る。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −36.2% · 10 年 割高(年 +1.6%) 割高 第一交通産業9035 タクシーは赤字、稼ぎ頭は不動産。借金が重く、金利が上がるほど株主の取り分が細る 本質価値との差 −38.9% · 10 年 割高(年 +2.4%) 割高 東部ネットワーク9036 横浜の飲料・セメント・産業ガスの運送会社。資産は厚いが、運送の稼ぎは細く、ROE 2% では帳簿の価値を株主に届けられない 本質価値との差 −39.6% · 10 年 割高(年 +2.0%) 割高 神奈川中央交通9081 運賃は上がるが、運転士の賃金と借り換えの利払いが先に増え、ROE は資本コスト 9.0% に届かない。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −40.8% · 10 年 割高(年 +2.3%) 割高 新潟交通9017 新潟のバスと万代シテイを営む地域の顔。不動産が稼ぐが、重い借金の利払いが金利の上昇で利益を削る 本質価値との差 −42.6% · 10 年 割高(年 +3.0%) 割高 センコーグループホールディングス9069 3PL と M&A で稼ぐ総合物流の大手。借金が重く利益率も薄いため、利益で測ると今の値段は割高に出る 本質価値との差 −43.2% · 10 年 割高(年 +1.2%) 割高 ニッコンホールディングス9072 ホンダ系の完成車輸送と倉庫・梱包で堅実に稼ぐが、利益に対して値段が先走り、10年で測っても大幅な割高 本質価値との差 −43.3% · 10 年 割高(年 −0.1%) 割高 小田急電鉄9007 新宿西口の大型開発は実るが、借金の利息が利益を削る。資本コスト 8.25% を ROE が下回り、今の値段は 3 割半ば割高に出る 本質価値との差 −43.8% · 10 年 割高(年 +0.2%) 割高 富士急行9010 富士山麓の鉄道とハイランドで過去最高益を稼ぐが、10 年後の利益に見合う値段は今の半分以下に出る 本質価値との差 −45.1% · 10 年 割高(年 +0.5%) 割高 タカセ9087 アニメ商品の通販物流に活路を得た老舗の倉庫会社。利幅は細く、資本コストに届かないので値段は割高 本質価値との差 −45.3% · 10 年 割高(年 +1.2%) 割高 秩父鉄道9012 石灰石の貨物と長瀞の観光で黒字に戻したが、更新投資と借金の利払いが利益を食い、株主に残る価値は今の時価総額に届かない 本質価値との差 −45.6% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 福山通運9075 特積みの老舗。利益は戻り始めたが、資本効率が低く、10 年の積み上げでは今の値段は大きく割高 本質価値との差 −46.0% · 10 年 割高(年 0.0%) 割高 広島電鉄9033 電車とバスは補助金を足してやっと収支が合い、利益を支えるのは広島の不動産。借り換えで利払いが3倍に増え、ROE は資本コストに届かない。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −46.3% · 10 年 割高(年 +1.5%) 割高 名古屋鉄道9048 名駅の再開発が止まり、運送は赤字、借金は重い。利益は名目で戻っても、金利が資本コストへの到達を阻む。今の値段は 4 割ほど割高に出る 本質価値との差 −50.4% · 10 年 割高(年 −0.5%) 割高 NIPPON EXPRESSホールディングス9147 国内の運賃上げは追い風だが、海外フォワーディングの薄い利益率では ROE は資本コスト 8.5% を下回る。名目で測り直しても今の値段は割高 本質価値との差 −54.7% · 10 年 割高(年 −1.2%) 割高 西武ホールディングス9024 運営だけの稼ぐ力は資本コスト 8.5% に届かず、資産を売る経営に移っても、今の値段は 7 割近い割高に出る 本質価値との差 −63.0% · 10 年 割高(年 −2.9%) 割高 京極運輸商事9073 ENEOS が 35% を持つタンクローリーとドラム缶の会社。石油の量は細り、利益率は 2% に届かない 本質価値との差 −65.0% · 10 年 割高(年 −3.2%) 割高 神戸電鉄9046 借金が EBITDA の 11 倍と重く、借り換えで利払いが倍に膨らむ。運賃改定で営業利益が増えても株主に残る利益は細り、計算では大きな割高になる 本質価値との差 −65.8% · 10 年 割高(年 −3.5%) 割高 大和自動車交通9082 都内の土地と銀座の再開発は魅力だが、タクシーの稼ぎは薄く借金も重い。今の値段は資産の期待を先取りしている 本質価値との差 −69.9% · 10 年 割高(年 −3.7%)

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読んだ資料

  1. 京急グループ 第20次総合経営計画(2025年5月見直し・要約)
  2. 京浜急行電鉄 旧村上ファンド系による株式取得と含み益(要約)
  3. 京急品川開発プロジェクト 本格始動(2029年度開業予定)

分析日 2026-10-16