結論
広島電鉄は、広島市の路面電車と、中四国最大のバス網を持つ地方の複合交通会社だ。筆者の結論は割高である。電車とバスは補助金を除くと赤字で、その穴を不動産と公的な補助金が埋めている。利益の質は、見た目ほど強くない。
2026年3月期の営業収益は375億円、営業損益は3億円の赤字、純利益は12億円だった。運輸の営業赤字は27億円に上る。特別利益に入る運行補助金24億円を足して、ようやく収支が合う。補助金は毎年入っており、実質は収益の一部だ。ただ、税金を出し続けるかどうかは自社では決められない。
追い風はある。2025年8月に広島駅ビル2階へ乗り入れる新路線が開き、電車の利用者は前期比で12%増えた。不動産は営業利益22億円と、グループの黒字を一手に支える。向かい風も強い。人件費は物価を上回って上がり、借金306億円の利払いは、借り換えのたびに3倍ほどへ膨らむ。
10年後の中立は、純利益が14億円前後と、今とほぼ同じ水準にとどまる。ROE は3%弱で、資本コスト9%に遠く届かない。ためた利益は額面より安く見るのが筋だ。株価は純資産の0.4倍と安いが、理由のある安さだと筆者は考える。強気の筋書きは、中期計画の将来目標を十年で超える場合に限られ、確率は低い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「持ちたい会社」とは言いにくい。理由は、事業の稼ぎが資本コストを下回り続ける構造にあるからだ。電車とバスは、補助金を足しても利益が出ない。広島の土地という資産を持つ会社ではあるが、土地は自分で稼ぐ機械ではない。
一方で、安全域の材料はある。賃貸等不動産の時価が帳簿を150億円ほど上回り、上場株にも含み益がある。ただ、会社を畳むわけではない少数株主には、この資産を売って配る決定権がない。しかも、資産は低い利回りで回り続ける。筆者は、含み益を足し上げて割安とするのは危ういと考える。
経営の資本配分は、堅実だが控えめだ。配当は小さく、投資は工事負担金と補助金を頼りにする。中期計画がROE4.5%を最重要の目標に置いたのは、一歩前進である。ただ、目標が資本コストを大きく下回る以上、株主が報われるには数十年かかる。
わからない点は、運行補助金の行方だ。毎年24億円が入り続ける前提で利益が成り立っている。ここは筆者にも予測できず、確信度を下げる理由になる。安全域が足りるのは、買う値段が資産の価値を十分に下回る時だけだ。
何で稼ぐ会社か
事業は五つに分かれる。
運輸業は売上の6割を占める中核だ。電車は軌道線6路線と宮島線を合わせて営業キロ35.8キロ、年間の利用者は5,300万人を超える。バスは広電バス・芸陽バス・備北交通などで営業キロ1,186キロ、利用者は3,400万人。ほかに宮島航路、宮島ロープウェー、航空会社の地上業務の受託、ハイヤーがある。2026年3月期の運輸の売上は232億円で、営業損益は27億円の赤字だった。運行補助金24億円を足しても3億円の赤字になる。
不動産業は売上63億円、営業利益22億円で、グループの利益の柱だ。売上の半分が賃貸、残りがマンションなどの分譲になる。賃貸は、佐伯区のイオンタウン楽々園のように土地を貸す形と、オフィスビルの賃貸が中心だ。賃貸等不動産の時価は449億円と、帳簿の297億円を150億円ほど上回る。
建設業は広電建設が担い、売上68億円、営業利益2億円。駅前大橋ルートの整備工事など大型の受託が終盤に入った。流通業は高速道路のサービスエリアの売店が中心で、売上12億円。レジャー・サービス業はゴルフ場と練習場で、ボウリング場は2026年5月に営業を終えた。
2026年2月には、宮島口で宿泊と飲食を営むA&Cを完全子会社にした。年間売上は24億円ほど。電車・船・ロープウェーと宿を組み合わせ、宮島の観光客を取り込む狙いだ。
優良さと弱いところ
広島市の都心で、路面電車とバスをまとめて動かせるのが最大の強みだ。市内の電車・バスは運賃を同額にそろえ、独占禁止法の特例の認可を受けて共同で経営している。競合は事実上いない。ただ、独占の旨みは薄い。運賃は国の認可で、乗客は人口で決まる。
利益の源は不動産だ。1969年に不動産部を作り、持っている土地の賃貸と分譲を育ててきた。1998年ごろには、会社全体の黒字がほぼ不動産で占められていたという。今も同じ構図が続いている。これは堀というより、長年かけて積んだ資産の厚みである。
資本の効率は低い。過去10年のROEの中央値は2%を割る。自己資本比率は40.8%と厚く見えるが、自己資本444億円のうち214億円は土地を評価し直した差額で、稼いで貯めたお金ではない。事業の稼ぐ力を映す数字ではないと筆者は見る。
経営陣も弱点を自覚している。新しい中期計画は、自社の弱みに「深刻な人材不足」「脆弱な収益構造」「老朽化設備の更新負担」「事業ポートフォリオの偏り」を挙げた。2028年度のROE目標は4.5%で、資本コストの半分にとどまる。堅実だが、株主に高い利回りを返す体質ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方の公共交通は、人口減と人手不足で採算が崩れつつある。広島県の人口は275万人。広島市の都心は持ちこたえているが、バスの利用者は伸びない。2025年度のバス利用者は3,400万人で、前期比1%増にとどまった。電車は5,333万人と12%増えたが、被爆80年や大阪・関西万博の特需を含む。
行政もバス事業を守る方向へ動いた。2022年に市内の事業者が独占禁止法の特例で共同経営を始め、2024年4月には、市と地元バス8社が一般社団法人を作った。市が車両の購入などを補助する「上下分離」の形で、路線の再編を共同で進める。路線バスと路面電車の運賃も同額になった。競合だった広島バスなどとは、いまは同じ仕組みの仲間である。
追い風は観光と都心の再開発だ。2025年度の宮島の来島者は過去最多で、円安でインバウンドが大幅に増えた。広島駅ビルや、中央公園の広場と商業施設「HiroPa!」など、広島の都心に人が集まる投資が続く。広電は、中央公園のPark-PFI(公園の民間活用)の運営にも加わっている。
逆風は、運転士の不足と賃金の上昇だ。運輸の従業員は1,857人で、費用の半分近くが人件費になる。会社は電車の全線ワンマン化、バスの自動運転、路線の再編で対応する計画だ。物価と賃金が上がる局面では、運賃の改定が遅れるほど収支が悪化する。
資本政策と M&A
還元は配当性向30%程度が目安だ。2026年3月期の配当性向は21%だった。2028年度までの3年間の還元は合計10億円と、小さい。中期計画はROE8%が見えたら、性向の引き上げや自社株買いを検討すると書く。
投資は3年間で成長投資115億円、維持投資105億円、分譲用の物件開発50億円。営業キャッシュフロー230億円と借入50億円で賄う。営業キャッシュフローには運行補助金と工事負担金(国などが設備投資に出すお金)が入る。広島駅南口広場の再整備や超低床電車の購入が主な使い道だ。
M&Aは小粒で、2026年のA&Cが最新の例だ。ベンチャーキャピタルへの出資も計画にある。大きな買収で規模を広げる会社ではない。大株主は広島日野自動車3.9%、広島銀行3.4%、三菱UFJ銀行2.9%と続き、支配株主はいない。TOB(株式公開買い付け)が起きる確率は、kabufu の参考値で10年19%だ。ただ、筋書きの確率には入れず、価値は事業の稼ぎで測った。
上場株式15銘柄を92.9億円持つ。毎年取締役会で保有の適否を見直しており、2銘柄を1.6億円で売った。株主優待は電車・バスの乗車券などで、費用は開示がなく、年1億円未満と見て還元には数えていない。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の33億円が、中立の10年後に約34億円。物価で一律に増やすと約44億円になる。会計の利益は見かけ上ふくらむが、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になる。借入の金利3.5%が現金を細らせる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
広島は、都心に人が戻る数少ない地方都市だ。駅前大橋ルートで電車が広島駅ビルの2階に入り、広島駅から中心部までの所要時間が約4分縮んだ。循環線も2026年3月に開いた。快速便と電車優先信号が広がれば、電車は「待たずに乗れる」交通へ変わる。平和大通りの新線が動き出せば、都心の回遊は一段と良くなる。
運賃は、国の認可で物価と人件費に合わせて改定できる。2025年2月の改定が通ったように、行政も公共交通を守る姿勢だ。市と地元バス8社の共同運営は、不採算路線の整理と車両費の公的負担を同時に進める。バスの赤字は、会社が単独で背負う形から外れていく。全線ワンマン化と自動運転で、運転士の不足も和らぐ。
不動産は、社有地の高度利用と収益物件の取得で、10年で収益面積が3割近く増える。広島駅前や中央公園周辺の再開発が、賃料の上昇を後押しする。分譲も、引き渡しの波を均しながら続く。宮島口のA&Cは、電車・船・ロープウェー・宿の組み合わせ商品で稼ぎを広げる。
この道を行けば、10年後の純利益は40億円近くになり、ROEは7%台後半まで上がる。中期計画が「将来目指す水準」とした純利益36億円・ROE8%を、2045年度を待たずに超える姿だ。物価が上がる世界では、運賃と賃料が名目で伸びる分、会社の稼ぎの絶対額は大きくなる。
慎重な見方
運行補助金は、決めるのが自社ではない。年24億円という額は、純利益の2倍にあたる。国や市の財政が苦しくなれば、補助の対象や額は変わりうる。しかも、運輸は補助金を足してもまだ赤字だ。人件費の上昇は、運賃の改定より先に来る。
運賃は認可制で、値上げは遅れる。2025年2月に上げたばかりで、次の値上げには利用者と行政の理解が要る。電車の利用者が増えた2025年度は、被爆80年や万博の特需を含む。特需が剥がれると、元の人口減のトレンドに戻る。バスの利用者はすでに伸びていない。
借金も効く。有利子負債は306億円で、今の金利は低い。借り換えのたびに3.5%へ上がれば、利払いは3億円から10億円ほどに増える。中期計画の2028年度の目標でもROEは4.5%で、資本コストの半分にとどまる。
不動産も安泰ではない。分譲は年ごとの波が大きく、会社自身が2027年3月期は減収を見込む。賃貸の土地貸しは契約が長く、賃料が物価に連動しない。最後に、自己資本の半分近くは土地の評価替えの差額で、利益の厚みを映していない。この会社は、稼ぐ力の割に高く評価されている。
どちらに重みを置いたか
補助金込みの収支が成り立っている点は事実で、駅前大橋ルートの効果も確かだ。ただ、賃金の上昇と利払いの増加は、数字で確実に効く。確率は、慎重な見方にやや寄せた。強気の筋書きとやや強気を合わせて28%、弱気側を合わせて38%。中立の34%は、補助金が物価並みに増え、運賃改定も遅れながら追いつく形だ。
中立の純利益は14億円と、今の12億円からほとんど伸びない。ROEは3%弱で、資本コストの3分の1にすぎない。この会社の価値は、資産ではなく稼ぐ力で決まる。結果は大幅な割高になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 594 円180 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 126 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 332 円101 億円、今との差 −46.3%、 期待の年率 +1.5%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,425 円433 億円 | 316 円96 億円 | +181.3% | +10.9% | 139 円42 億円 |
| やや楽観 | 20% | 976 円297 億円 | 201 円61 億円 | +90.0% | +6.6% | 235 円72 億円 |
| 中立 | 34% | 519 円158 億円 | 118 円36 億円 | +3.0% | +0.3% | 217 円66 億円 |
| やや悲観 | 25% | 312 円95 億円 | 59 円18 億円 | −40.0% | −5.0% | 93 円28 億円 |
| 悲観 | 13% | 230 円70 億円 | 39 円12 億円 | −56.4% | −8.0% | 35 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 594 円180 億円 | 126 円38 億円 | +16.2% | +1.5% | 719 円219 億円 |
今の株価時価総額 619 円188 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 新線と運賃改定が間に合い、補助金頼みから抜ける 利益 39 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,425 円433 億円
駅前大橋ルートと循環線が定着し、平和大通りの新線が動き出す。運賃は物価と賃金に合わせて早めに改定され、電車の利用者は特需の剥がれた後も今の水準に近い。バスは広島モデルで路線を整理し、全線ワンマン化と自動運転で運転士の不足を和らげる。運輸の営業損益は、補助金を足して21億円の黒字まで改善する。
不動産は、社有地の高度利用と収益物件の取得で賃貸の収益面積が3割近く増える。分譲は引き渡しの波をならしながら続き、宮島口のA&Cは電車・船・宿の組み合わせ商品で稼ぎを広げる。営業利益は63億円、純利益は39億円まで伸び、ROEは7%台後半に達する。中期計画が「将来目指す水準」とした純利益36億円・ROE8%を、十年で超える姿である。
(名目の前提)運賃(電車・バス)は10年で1.40倍、利用者は0.97倍、賃金は1.38倍と置いた。運行補助金は年31.7億円(今の24.0億円の1.32倍)。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま3分の2に減り、更新と新規の投資(工事負担金を除く10年の合計505億円)だけ新しい値段で30年に按分した。償却は今の33.0億円が10年後に約37.5億円(物価で一律に増やすと約44.2億円)。借入は約302億円で、借り換え後の金利3.5%により、純利息は今の3億円から年9.9億円。
- 運輸(電車・バス・宮島航路ほか):数量 84.7(電車とバスの年間の利用者数(百万人。電車5,333万人+バス3,400万人))× 価格 373(1人あたりの運輸収入(円。航路・ロープウェー・受託など運輸の全収入を利用者数で割った実効単価))→ 売上 315 億円・営業利益 21 億円。利用者 0.97倍・単価 1.40倍・補助金 31.7億円込み・償却は物価で増やさず按分(10年後 29.1億円)
- 不動産賃貸:数量 38.4(賃貸の収益面積(万平方メートル。土地貸しは貸地面積を含む。推定))× 価格 1.35(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円))→ 売上 52 億円・営業利益 22 億円。面積 1.28倍・賃料 1.32倍・営業利益率 42%
- 不動産販売(分譲マンション・戸建):数量 68.0(年間の引き渡し戸数(戸。推定))× 価格 0.66(1戸あたりの販売額(億円))→ 売上 45 億円・営業利益 13 億円。戸数 1.00倍・単価 1.38倍・営業利益率 29%
- 建設(広電建設):数量 104(施工を担う従業員数(人。広電建設ほか建設業の就業人員104人))× 価格 0.74(1人あたりの年間の完成工事高(億円))→ 売上 77 億円・営業利益 3 億円。人数 1.00倍・1人あたり工事高 1.28倍・営業利益率 4.0%
- 流通・レジャー(高速SA売店・ゴルフなど):数量 110(年間の利用・購買件数(万件。推定))× 価格 0.28(1件あたり売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。件数 1.10倍・単価 1.34倍・営業利益率 3.0%
- 宿泊・飲食(宮島口のA&C):数量 69.0(年間の宿泊・飲食の利用者数(万人。推定))× 価格 0.55(1人あたり売上(億円))→ 売上 38 億円・営業利益 3 億円。利用者 1.15倍・単価 1.34倍・営業利益率 8.0%(A&Cを通年で連結)
倍率:事業の純利益 39 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 433 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:運賃改定・新線・バスの整理が三つとも間に合い、補助金頼みを抜ける必要がある。中期計画の将来目標を十年で超える姿で、地方の公共交通会社には難しいため低くした。
やや楽観 20% 中期計画がおおむね進み、運輸の赤字が縮む 利益 27 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 976 円297 億円
2028年度の目標(純利益20億円)をほぼ達成し、その後も運輸の赤字が縮んでいく。運賃は物価並みに改定され、電車の利用者は特需の剥がれで一度減るが、新路線の効果で戻る。バスは路線の再編で費用を抑える。補助金は費用の増加に合わせて年31億円ほどに増え、運輸は小さな黒字(8億円)に届く。
不動産は、収益物件の取得で収益面積が2割ほど増え、賃料は物価の7割ほど伸びる。分譲は年によって波を打つが、平均では今の水準を保つ。宮島口のA&Cも、小さく黒字を出す。営業利益は45億円、純利益は27億円。ROEは5%台で、資本コストにはまだ届かない。堅実に前へ進む10年である。
(名目の前提)運賃(電車・バス)は10年で1.39倍、利用者は0.95倍、賃金は1.39倍と置いた。運行補助金は年30.7億円(今の24.0億円の1.28倍)。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま3分の2に減り、更新と新規の投資(工事負担金を除く10年の合計450億円)だけ新しい値段で30年に按分した。償却は今の33.0億円が10年後に約35.9億円(物価で一律に増やすと約44.2億円)。借入は約281億円で、借り換え後の金利3.5%により、純利息は今の3億円から年9.2億円。
- 運輸(電車・バス・宮島航路ほか):数量 82.9(電車とバスの年間の利用者数(百万人。電車5,333万人+バス3,400万人))× 価格 370(1人あたりの運輸収入(円。航路・ロープウェー・受託など運輸の全収入を利用者数で割った実効単価))→ 売上 307 億円・営業利益 8 億円。利用者 0.95倍・単価 1.39倍・補助金 30.7億円込み・償却は物価で増やさず按分(10年後 28.6億円)
- 不動産賃貸:数量 35.4(賃貸の収益面積(万平方メートル。土地貸しは貸地面積を含む。推定))× 価格 1.33(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 19 億円。面積 1.18倍・賃料 1.30倍・営業利益率 41%
- 不動産販売(分譲マンション・戸建):数量 64.6(年間の引き渡し戸数(戸。推定))× 価格 0.65(1戸あたりの販売額(億円))→ 売上 42 億円・営業利益 12 億円。戸数 0.95倍・単価 1.36倍・営業利益率 28%
- 建設(広電建設):数量 101(施工を担う従業員数(人。広電建設ほか建設業の就業人員104人))× 価格 0.71(1人あたりの年間の完成工事高(億円))→ 売上 72 億円・営業利益 3 億円。人数 0.97倍・1人あたり工事高 1.24倍・営業利益率 3.7%
- 流通・レジャー(高速SA売店・ゴルフなど):数量 105(年間の利用・購買件数(万件。推定))× 価格 0.27(1件あたり売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円。件数 1.05倍・単価 1.32倍・営業利益率 1.5%
- 宿泊・飲食(宮島口のA&C):数量 64.8(年間の宿泊・飲食の利用者数(万人。推定))× 価格 0.54(1人あたり売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。利用者 1.08倍・単価 1.32倍・営業利益率 6.5%(A&Cを通年で連結)
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 297 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2028年度の目標(純利益20億円・ROE4.5%)が実現し、その先も伸びる筋書き。2025年度の実績が計画を上回った点は追い風で、強気側の中心に置いた。
中立 34% 補助金と不動産で食いつなぎ、人件費と利払いに食われる 利益 14 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 519 円158 億円
電車は新路線の効果で今の水準に近い利用を保つが、特需が剥がれ、人口減で10年で7%ほど減る。バスは路線の再編と減便で縮む。運賃は費用に遅れて改定され、10年で1.38倍になる。賃金はそれ以上に上がり、運輸の営業損益は、補助金を足しても5億円の赤字になる。補助金は物価並みの増加(1.25倍)に収まる。
不動産は、収益物件を足して収益面積が1割強増える。賃料は固定の土地貸しが多く、物価に届かない(1.28倍)。分譲は今の戸数を下回る。営業利益は今の21億円から27億円へ増えるが、借り換えで利払いが年9億円と3倍近くなり、純利益は14億円にとどまる。
ROEは3%弱で、資本コスト9%に届かない。地方の公共交通として、広島の都心を支え続ける。ただ株主には、増えない利益の10年である。
(名目の前提)運賃(電車・バス)は10年で1.38倍、利用者は0.93倍、賃金は1.40倍と置いた。運行補助金は年30.0億円(今の24.0億円の1.25倍)。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま3分の2に減り、更新と新規の投資(工事負担金を除く10年の合計395億円)だけ新しい値段で30年に按分した。償却は今の33.0億円が10年後に約34.2億円(物価で一律に増やすと約44.2億円)。借入は約272億円で、借り換え後の金利3.5%により、純利息は今の3億円から年8.9億円。
- 運輸(電車・バス・宮島航路ほか):数量 81.2(電車とバスの年間の利用者数(百万人。電車5,333万人+バス3,400万人))× 価格 367(1人あたりの運輸収入(円。航路・ロープウェー・受託など運輸の全収入を利用者数で割った実効単価))→ 売上 298 億円・営業利益 −5 億円。利用者 0.93倍・単価 1.38倍・補助金 30.0億円込み・償却は物価で増やさず按分(10年後 28.1億円)
- 不動産賃貸:数量 33.6(賃貸の収益面積(万平方メートル。土地貸しは貸地面積を含む。推定))× 価格 1.31(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 18 億円。面積 1.12倍・賃料 1.28倍・営業利益率 40%
- 不動産販売(分譲マンション・戸建):数量 57.8(年間の引き渡し戸数(戸。推定))× 価格 0.64(1戸あたりの販売額(億円))→ 売上 37 億円・営業利益 10 億円。戸数 0.85倍・単価 1.34倍・営業利益率 26%
- 建設(広電建設):数量 98.8(施工を担う従業員数(人。広電建設ほか建設業の就業人員104人))× 価格 0.69(1人あたりの年間の完成工事高(億円))→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。人数 0.95倍・1人あたり工事高 1.20倍・営業利益率 3.4%
- 流通・レジャー(高速SA売店・ゴルフなど):数量 100(年間の利用・購買件数(万件。推定))× 価格 0.27(1件あたり売上(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 0 億円。件数 1.00倍・単価 1.30倍・営業利益率 0.0%
- 宿泊・飲食(宮島口のA&C):数量 60.0(年間の宿泊・飲食の利用者数(万人。推定))× 価格 0.53(1人あたり売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。利用者 1.00倍・単価 1.30倍・営業利益率 5.0%(A&Cを通年で連結)
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.6% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 158 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:運賃は認可で費用に遅れ、補助金は物価並みに増え、不動産が穴を埋める中心の筋書き。人件費の上昇と利払いの増加は確実に効くため、強気に寄せなかった。
やや悲観 25% 運賃の改定が遅れ、運輸の赤字が補助金を超える 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 312 円95 億円
運賃の改定が行政の判断で遅れ、賃金の上昇に追いつかない。電車の利用者は特需の剥がれで1割ほど減り、バスも縮む。補助金は増えるが、費用の上昇には届かない。運輸の営業損益は、補助金を足して20億円の赤字になる。
不動産は、賃料が物価に届かず、収益物件の取得も進まない。分譲は戸数が3割ほど減る。営業利益は4億円まで落ち、年9億円の利払いを払うと、純利益は赤字(2億円)に沈む。配当は今の水準を守れず、減配に近づく。
ROEはマイナスに入る。稼ぐ力ではなく、持っている資産が株主の価値の支えになる10年である。借入は290億円まで増える。
(名目の前提)運賃(電車・バス)は10年で1.35倍、利用者は0.90倍、賃金は1.42倍と置いた。運行補助金は年27.6億円(今の24.0億円の1.15倍)。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま3分の2に減り、更新と新規の投資(工事負担金を除く10年の合計340億円)だけ新しい値段で30年に按分した。償却は今の33.0億円が10年後に約32.6億円(物価で一律に増やすと約44.2億円)。借入は約290億円で、借り換え後の金利3.5%により、純利息は今の3億円から年9.5億円。
- 運輸(電車・バス・宮島航路ほか):数量 78.6(電車とバスの年間の利用者数(百万人。電車5,333万人+バス3,400万人))× 価格 359(1人あたりの運輸収入(円。航路・ロープウェー・受託など運輸の全収入を利用者数で割った実効単価))→ 売上 282 億円・営業利益 −20 億円。利用者 0.90倍・単価 1.35倍・補助金 27.6億円込み・償却は物価で増やさず按分(10年後 27.6億円)
- 不動産賃貸:数量 31.2(賃貸の収益面積(万平方メートル。土地貸しは貸地面積を含む。推定))× 価格 1.24(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 14 億円。面積 1.04倍・賃料 1.22倍・営業利益率 37%
- 不動産販売(分譲マンション・戸建):数量 47.6(年間の引き渡し戸数(戸。推定))× 価格 0.61(1戸あたりの販売額(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 7 億円。戸数 0.70倍・単価 1.28倍・営業利益率 23%
- 建設(広電建設):数量 93.6(施工を担う従業員数(人。広電建設ほか建設業の就業人員104人))× 価格 0.66(1人あたりの年間の完成工事高(億円))→ 売上 62 億円・営業利益 2 億円。人数 0.90倍・1人あたり工事高 1.15倍・営業利益率 2.7%
- 流通・レジャー(高速SA売店・ゴルフなど):数量 92.0(年間の利用・購買件数(万件。推定))× 価格 0.26(1件あたり売上(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 −1 億円。件数 0.92倍・単価 1.24倍・営業利益率 -2.0%
- 宿泊・飲食(宮島口のA&C):数量 55.2(年間の宿泊・飲食の利用者数(万人。推定))× 価格 0.50(1人あたり売上(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。利用者 0.92倍・単価 1.24倍・営業利益率 3.0%(A&Cを通年で連結)
倍率:純利益は赤字(-2.4億円)で、稼ぐ力は PER で測れない。売れる資産の税後から借入を引いた約227億円のうち、赤字の穴埋めと再編費用に使われる分を除いた95億円(floor_assets_oku)を時価総額に置いた。今の自己資本444億円に対する PBR は 0.21 倍。EV÷営業利益は 91 倍と20倍を超えるが、利益が薄い年で測るため参考にとどめ、価値は売れる資産で見る。
確率:運賃の改定が遅れ、補助金の増え方が物価に届かず、運輸の赤字が膨らむ。利益が薄い会社に利払いの増加が重なり、確率は強気側より高く置いた。
悲観 13% 補助金が細り、バス事業を抱えきれなくなる 利益 −37 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 230 円70 億円
国と市の財政が厳しくなり、運行補助金が細る。運賃の値上げは政治に止められ、10年で1.28倍にとどまる。運転士の不足でバスは大きく減便され、利用者は2割減る。費用は固定費が残り、運輸の営業損益は、補助金を足して43億円の赤字に膨らむ。
不動産も、賃料が上がらず、分譲は戸数が半分以下に落ちる。営業利益は32億円の赤字、利払いは年14億円。純利益は37億円の赤字となり、減損も出て自己資本が削られる。借入は409億円まで増える。配当は縮小する。
バスを他社に移管する、不動産を売って借入を返すなど、事業の組み替えを迫られる。価値の支えは、稼ぐ力ではなく、持っている賃貸不動産と上場株になる。
(名目の前提)運賃(電車・バス)は10年で1.28倍、利用者は0.80倍、賃金は1.45倍と置いた。運行補助金は年20.4億円(今の24.0億円の0.85倍)。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま3分の2に減り、更新と新規の投資(工事負担金を除く10年の合計285億円)だけ新しい値段で30年に按分した。償却は今の33.0億円が10年後に約30.9億円(物価で一律に増やすと約44.2億円)。借入は約409億円で、借り換え後の金利3.5%により、純利息は今の3億円から年13.7億円。
- 運輸(電車・バス・宮島航路ほか):数量 69.8(電車とバスの年間の利用者数(百万人。電車5,333万人+バス3,400万人))× 価格 341(1人あたりの運輸収入(円。航路・ロープウェー・受託など運輸の全収入を利用者数で割った実効単価))→ 売上 238 億円・営業利益 −43 億円。利用者 0.80倍・単価 1.28倍・補助金 20.4億円込み・償却は物価で増やさず按分(10年後 26.7億円)
- 不動産賃貸:数量 28.5(賃貸の収益面積(万平方メートル。土地貸しは貸地面積を含む。推定))× 価格 1.12(1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 10 億円。面積 0.95倍・賃料 1.10倍・営業利益率 32%
- 不動産販売(分譲マンション・戸建):数量 30.6(年間の引き渡し戸数(戸。推定))× 価格 0.53(1戸あたりの販売額(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。戸数 0.45倍・単価 1.12倍・営業利益率 14%
- 建設(広電建設):数量 83.2(施工を担う従業員数(人。広電建設ほか建設業の就業人員104人))× 価格 0.58(1人あたりの年間の完成工事高(億円))→ 売上 48 億円・営業利益 0 億円。人数 0.80倍・1人あたり工事高 1.00倍・営業利益率 0.0%
- 流通・レジャー(高速SA売店・ゴルフなど):数量 80.0(年間の利用・購買件数(万件。推定))× 価格 0.23(1件あたり売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 −2 億円。件数 0.80倍・単価 1.10倍・営業利益率 -8.0%
- 宿泊・飲食(宮島口のA&C):数量 48.0(年間の宿泊・飲食の利用者数(万人。推定))× 価格 0.45(1人あたり売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。利用者 0.80倍・単価 1.10倍・営業利益率 0.0%(A&Cを通年で連結)
倍率:稼ぐ力はマイナス。売れる資産の床(floor_assets_oku)70億円をそのまま時価総額に置いた。今の自己資本444億円に対する PBR は 0.16 倍。バスと運輸の構造的な赤字が続き、帳簿の自己資本は価値の床にならない。
確率:補助金の縮小・人口減・運転士不足が重なり、バスを抱えきれなくなる。地方の公共交通で構造的に起こりうる負けで、民鉄の他社と同じ13%に置いた(quality とは別の理由)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
運輸(電車・バス・宮島航路ほか)
広島市内の路面電車と宮島線、広電バス・芸陽バス・備北交通のバス、宮島航路と宮島ロープウェー、航空会社の地上業務の受託、ハイヤー。営業損益は運行補助金(特別利益に入る)を足した形で置く。
| 数量電車とバスの年間の利用者数(百万人。電車5,333万人+バス3,400万人) | 価格1人あたりの運輸収入(円。航路・ロープウェー・受託など運輸の全収入を利用者数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 87.3 | 266 | 232 | −3 |
| 10 年後 中立 | 81.2 | 367 | 298 | −5 |
取り方:2026年3月期の運輸の外部売上232.3億円を、電車とバスの年間利用者8,733万人で割った実効単価(1人あたり約2.7百円)。航路・ロープウェー・航空代理・ハイヤーの収入も分子に入るので、運賃そのものより高く出る。営業損益は、運輸の営業赤字27.4億円に特別利益の運行補助金24.0億円を足した-3.4億円。補助金は毎年入る公的な支えで、2027年3月期からバス分は営業収益に科目が移る。
不動産賃貸
広島市内を中心とする賃貸オフィス・商業施設・土地貸し(イオンタウン楽々園など)。
| 数量賃貸の収益面積(万平方メートル。土地貸しは貸地面積を含む。推定) | 価格1万平方メートルあたりの年間賃貸収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.0 | 1.02 | 31 | 12 |
| 10 年後 中立 | 33.6 | 1.31 | 44 | 18 |
取り方:賃貸収入30.6億円を、収益面積を約30万平方メートルと推定して割った単価。面積は開示がなく、賃貸等不動産の収益31.1億円と土地貸しの規模からの推定。営業損益は、賃貸等不動産の賃貸収益31.1億円から賃貸費用(償却込み)19.2億円を引いた11.9億円。
不動産販売(分譲マンション・戸建)
広島市南区の「ザ・広島フロント」などマンション分譲と、安佐南区の戸建分譲。
| 数量年間の引き渡し戸数(戸。推定) | 価格1戸あたりの販売額(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 68.0 | 0.48 | 32 | 10 |
| 10 年後 中立 | 57.8 | 0.64 | 37 | 10 |
取り方:販売売上32.3億円を、1戸約4,750万円と置いた68戸の引き渡しとして割った推定。戸数と単価は開示がない。分譲は年によって波があり、2025年3月期は23.1億円、2026年3月期は32.3億円。営業損益は不動産業の営業利益21.7億円から賃貸の11.9億円を引いた9.8億円。
建設(広電建設)
広電建設が受ける土木・建築工事。官公庁工事と民間のマンション施工など。
| 数量施工を担う従業員数(人。広電建設ほか建設業の就業人員104人) | 価格1人あたりの年間の完成工事高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 104 | 0.58 | 60 | 2 |
| 10 年後 中立 | 98.8 | 0.69 | 68 | 2 |
取り方:建設業の外部売上59.9億円を、建設業の従業員104人で割った1人あたり0.576億円。建設は人手が上限になる産業で、数量を人数で置いた。営業損益はセグメント利益2.35億円(内部取引を含む)。
流通・レジャー(高速SA売店・ゴルフなど)
高速道路のサービスエリアなどの物品販売(流通)と、ゴルフ場・練習場、ボウリング場(2026年5月で閉鎖)。
| 数量年間の利用・購買件数(万件。推定) | 価格1件あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.21 | 21 | 0 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.27 | 27 | 0 |
取り方:流通12.0億円とレジャー8.6億円の外部売上20.6億円を、年間100万件の利用・購買と推定して割った単価(1件あたり約0.02億円)。件数は開示がない。営業損益は流通の0.11億円とレジャーの-0.26億円の合計。
宿泊・飲食(宮島口のA&C)
2026年2月に完全子会社にした株式会社A&C。宮島口の「宮島コーラルホテル」、宮浜温泉の「IBUKU」、飲食店と建設。2026年3月31日をみなし取得日としたため、2026年3月期の連結には貸借対照表しか入っていない。
| 数量年間の宿泊・飲食の利用者数(万人。推定) | 価格1人あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 0.41 | 24 | 1 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 0.53 | 32 | 2 |
取り方:A&Cの年間売上は、企業結合の注記が開示した「期首に取得したと仮定した場合」の概算で24.4億円、営業利益1.16億円。これを年間60万人の宿泊・飲食の利用者と推定して割った。2026年3月期の連結の売上・利益には入っていないので、この行の「今」は年間の概算(連結の外)。
リスクと懸念
運行補助金の縮小
運輸の営業赤字27億円は、年24億円の運行補助金でほぼ埋まっている。補助金を決めるのは国と自治体だ。財政が苦しくなれば、対象や額が変わる。補助金が1割減ると、純利益の1割強が消える。
運転士の不足と賃金の上昇
運輸の従業員は1,857人。費用の半分近くが人件費で、物価を上回る賃上げが続けば運賃の改定が追いつかない。運転士が足りないと減便せざるを得ず、収入も減る。全線ワンマン化や自動運転で補えるかは未知数だ。
借り換えで利払いが3倍に
有利子負債は306億円。今の利払いは年3.3億円で、借り換えのたびに3.5%へ上がる。10年で年10億円ほどになり、純利益の7割に相当する。中期計画の財務目標(EBITDA有利子負債倍率7.0倍以下)の余裕も薄い。
不動産の分譲の波
不動産の営業利益22億円のうち、分譲は約10億円とみる。分譲は引き渡しの時期で年ごとの波が大きい。会社は2027年3月期に不動産業の減収を見込む。賃貸の土地貸しは契約が長く、賃料が物価に連動しない面もある。
大型投資の遅れと建築費
3年で投資270億円を計画し、広島駅南口広場の再整備や超低床電車の購入が続く。工事負担金(国などの負担)は営業キャッシュフローに入る前提だ。工期の延びや建築費の上昇があれば、借入が増え利払いが重くなる。
災害と観光の波
広島は集中豪雨や土砂災害の被害を受けやすい。電車・バスの運行停止や、宮島の観光の落ち込みは収入に響く。2025年度は被爆80年の特需を含み、翌年以降は反動もありうる。
宮島口のA&Cを生かせるか
買収は小粒だが、宿泊と飲食は人手不足の影響を受ける。電車・船・ロープウェーと組み合わせた商品が稼ぎにつながるかはこれからで、買収額は開示がない。のれんは0.5億円と小さく、減損の懸念は大きくない。
今後の分かれ目
- 運行補助金が1割削られる
- 年2.4億円の収入が消え、純利益は1割強減る。運輸の費用を減らす減便が進み、路線の整理が早まる。やや悲観の筋書きに寄る。
- 運賃を物価と賃金に合わせて早めに改定できる
- 運輸の赤字が縮み、補助金頼みの度合いが下がる。純利益は20億円台に乗り、ROEが4%を超える。やや強気から強気の筋書きに寄る。
- 平和大通りルートなど新線の工事が正式に動き出す
- 投資は膨らむが、都心の回遊が増え、運輸と不動産の両方に効く。工事負担金が付く範囲なら、借入の増え方は抑えられる。
- 不動産の売却や社有地の高度利用で、まとまった資金が出る
- 借入が減り、利払い増の影響が薄まる。売る方針を数字で示し実績が出れば、価値に足し得る。いまは含み益を足していない。
- 運転士の不足でバスの減便が連鎖する
- バスの収入が減り、固定費が残って赤字が膨らむ。広島モデルでの路線移管や共同事業化が進み、バス事業を切り離す動きが出る可能性がある。
- 大株主の持ち分や再編の動きが表に出る
- TOBは確率の参考値で19%とされる。支配株主がいないため、再編の可能性は残る。ただ価値は事業の稼ぎで測っており、筋書きには入れていない。
見ておくもの
- 運行補助金の額と、バス分が営業収益に移った後の営業利益(2027年3月期以降の決算短信)
- 電車・バスの利用者数(特需が剥がれた後の2026年度の電車の人員が5,000万人を保てるか)
- 電車・バスの運賃改定の申請と認可の時期
- 有利子負債の額と平均金利、EBITDA有利子負債倍率(7.0倍以下の目標)
- 不動産の分譲の引き渡し戸数と、賃貸収益面積の増減
- 平和大通りルートの工事の着手と、広島モデルでのバス路線の再編・移管
倍率と資本コストの決め方
数量と名目の単価から利益を積み、倍率は式で置いた。今の市場の評価(PBR 0.43倍)には寄せていない。k は基本7.5%に quality +1.0%(循環+0.25・値決め力-0.25・借金+0.75・寿命+0.25)を足した8.5%。運輸は補助金を足してもまだ赤字で、借り換えで利払いが3倍になる点を借金と寿命に入れた。確率は quality と同じ理由で上げ下げしていない。中立〜強気はROEがkを下回るので、PERの上限は1÷k=11.8倍。中立はその7.2割(8.5倍)、やや強気は8.5割、強気は9.2割に置いた。補助金頼みで利益の質が低いため、上限の下側に寄せた。賃貸等不動産の含み益(税引後で約107億円)と上場株の含み益は、稼ぎ(賃料・配当)を利益に残しているので、中立〜強気には足していない。足すのは悲観側の床だけで、含み益を足し上げた割安は主張しない。数字の形は、運行補助金を営業利益に含めた形でそろえた(2027年3月期から、バス分は会社の決算でも営業収益に入る)。新リース会計基準(2028年3月期から)は、借りて営む資産がほぼ無く、影響は小さいので今の形のまま置いた。同じ領域の他社はまだ無く、民鉄の各社(西鉄・名鉄・京急・西武・相鉄)と同じ物差し(k 8.0〜8.5%、悲観の確率12〜15%)で置いた。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。運行補助金の行方・新線の実現・A&Cの統合などの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 9.00%。