株譜
AI 銘柄分析 · 陸運業 · 試作

センコーグループホールディングス 9069

3PL と M&A で稼ぐ総合物流の大手。借金が重く利益率も薄いため、利益で測ると今の値段は割高に出る

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,350 円2,266 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)2,375.5 円3,986 億円差 −43.2%
10 年後から見ると 割高 価値 1,350 円2,266 億円 · 差 −43.2% · 期待の年率 +1.2%
期待の年率リターン(10 年)+1.2%資本コスト比 −7.1 pt
推定の資本コスト8.3%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.3% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

センコーグループホールディングスは、荷主の物流を丸ごと請け負う 3PL の大手だ。売上の 6 割強が物流で、残りは石油や宝飾品を売る商事、介護・フィットネス、包装容器などが占める。筆者の結論は、利益で測ると今の値段は割高、である。

理由は稼ぐ力の薄さと借金の重さにある。営業利益率は 4% 台で、純有利子負債は時価総額の 6 割に達する。M&A で利益を買い足す会社なので、金利が上がる局面では買った利益が利息に食われやすい。

会社は 2027 年 3 月期に売上 1 兆円超、営業利益 430 億円を見込む。丸運の子会社化や冷凍冷蔵物流の取り込みが効く。筆者はこの道筋を無理のない計画とみるが、達成しても ROE は 9% 前後で、資本コスト 8.25% を少し超える程度だ。

10 年後の中立は、純利益が 300 億円前後、倍率は 10 倍。ROE が資本コスト 8.25% に届かないので、PER の上限は 1÷k の 11.8 倍で、その 8.7 割を置いた。この利益に妥当な倍率を掛けても、今の時価総額に届かない。強気の筋書きでも、年率の期待は 1 桁前半にとどまる。確率で重みづけした総合の差は約 −50% で、判定は割高だ。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、いい会社の条件は二つある。ひとつは、稼ぎが長く続くこと。もうひとつは、稼いだお金を、さらに高い利回りで使えることだ。センコーは前者を満たしかけているが、後者に疑問が残る。

3PL の契約は、荷主が替えにくいので、利益が読みやすい。物流が売上の 6 割を占める点も安心材料だ。しかし利益率は 4% 台で、人件費や燃料の上げ下げで簡単に揺れる。オーナーとして手元に残る利益は、純利益の 193 億円から、車両や倉庫の更新に必要な分を引いた額だ。この数字は見た目より小さい。

資本の使い方が、いちばんの難所だ。売上 1 兆円を目指して、買収を続けている。買収された会社が資本コスト以上に稼ぐなら価値は増えるが、物流の買収は、買った価格に対して利益率が薄くなりやすい。のれんが自己資本の 1 割にとどまる点は、いまのところ冷静な買い方を示している。

安全域の面では、薄い。今の値段は、利益の 20 倍に近い。会社の計画どおりに進んでも、10 年後に妥当な倍率は 10〜12 倍で、配当を足しても利回りは資本コストに届きにくい。いい会社だが、今の値段では安く買えない、というのが筆者の整理だ。

何で稼ぐ会社か

センコーは大阪を本拠に、創業から 110 年の歴史を持つ物流会社だ。稼ぎの主役は物流事業で、売上は 5,700 億円台、営業利益は 340 億円ほどある。トラック輸送、倉庫、庫内作業、情報システムを組み合わせ、荷主の物流を一括して受ける。宅配ではなく、メーカーや小売、住宅会社など企業向けが中心だ。

商流を持つのが他社との違いである。商事・貿易事業は石油製品や食品、資材を売り、2025 年 9 月には宝飾品小売のベリテも加わった。売上は 1,900 億円台だが、利益率は 2% 弱と薄い。荷物を運ぶ先で商品も売る、という物流と商流の一体運営が会社の看板だ。

生活に近い事業もある。ライフサポートは介護とフィットネス、ビジネスサポートは人材や保険などの社内外向けサービス、プロダクトは包装容器などの製造だ。ビジネスサポートは利益率が高いが、規模は小さい。

中期経営計画の最終年度は 2027 年 3 月期で、売上 1 兆円、営業利益 450 億円、ROE10% 以上を掲げる。保管面積 500 万㎡、自社車両 1 万台という目標もある。計画の 5 年間で、設備投資 2,000 億円と M&A などの戦略投資 900 億円を見込む。

買収は国内外で続く。冷凍冷蔵のランテックに続き、2026 年には丸運の TOB が成立した。低温物流のUmiosロジも 9 月に連結する。海外では、インドの通関、シンガポールの冷凍冷蔵、豪州の重量物輸送を押さえにいく。

優良さと弱いところ

堀、つまり他社がまねしにくい強みは、3PL の契約にある。倉庫の運営、在庫管理、配送を荷主の業務に深く組み込むと、取引先を替える手間が大きい。住宅物流のように現場の技術が要る分野もある。ただし、競争の激しい分野だ。ロジスティードや日本通運、山九など、大手は並ぶ。

利益率は高くない。営業利益率は 15 年ほど 3〜4% 台で動き、直近は 4.1% と過去最高の水準にある。これ以上の上積みは難しい、というのが筆者の見立てだ。人件費が増え続ける業種で、運賃を値上げして吸収する綱引きが続く。

資本の使い方には評価と注意が両方ある。ROE は 10 年近く 8〜10% の幅にあり、M&A で規模を広げても、資本効率は大きく上がっていない。のれんは 224 億円と自己資本の 1 割で、いまのところ重くはない。

財務は薄い。自己資本比率は 27.6%、純有利子負債は自己資本を上回る。営業利益で利息を払える倍率は 8 倍台で、倒れる水準ではないが、買収を急げば余裕は消える。

経営の大きな目標は、売上 1 兆円と ROE10% の同時達成だ。規模は届くが、利益率を伴うかが分かれ目になる。次の中期計画では事業の入れ替えにも触れており、低収益の部門にどう向き合うかを筆者は注視している。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

国内の物流は、2024 年問題を境に値上げが通る時代に入った。トラック運転手の残業が年間 960 時間に制限され、運び手が足りなくなった。標準的運賃の改定もあり、運賃は需要が伸びなくても上がる。センコーは早めに料金改定を荷主に求め、影響を抑えた。

物量そのものは増えない。人口が減る国で、荷物の総量は横ばいか微減だ。伸びるのは、EC と冷凍冷蔵、そして荷主が自前で持てなくなった物流の外注、つまり 3PL だ。センコーの売上のうち、数量は M&A と 3PL の取り込みで伸び、価格は賃金に連れて上がる。

競争の形は宅配と違う。宅配は上位 3 社で 95% 超を占める寡占だが、企業向けの輸送と 3PL は中小が多く、分散している。筆者の推定では、国内のトラック運送だけで 20 兆円規模があり、センコーの物流事業は国内外を含めても 3% に満たない。うまくいけば 10 年で売上 1.5 兆円、営業利益 800 億円に届くが、その時でもシェアは数%にとどまる。

そのため、再編が続く。SBS による大手荷主の物流子会社の取り込みや、同意のない TOB など、買収の話が絶えない。センコーも買う側に回っており、買う値段が高くなることが利益率の最大の敵だ。

自動運転や省力化は、10 年では運転手不足を和らげる。そのとき値上げの理由が薄れ、価格は物価並みに落ち着く。筆者はこの変化を中立の筋書きに織り込んでいる。

資本政策と M&A

還元は安定している。配当性向は 4 割を目標とし、直近は 44% だった。自社株買いは主役ではない。取締役会に自己株式の取得を委ねる定めはあるが、買収の資金が優先される会社だ。

資本の使い方は M&A が中心である。5 年で 900 億円の戦略投資を見込み、2025 年 3 月までに物流と非物流で約 280 億円ずつを使った。その後も丸運、ベリテ、Umiosロジと続く。丸運の TOB は 2026 年 3 月に成立し、金属大手の JX 金属が 2 割を持つ形で残る。

借金に頼る構図は変わらない。社債と借入金は 3,300 億円を超え、金利が上がると利払いが重くなる。買収の都度のれんと借金が増えるので、筆者は ROE の改善よりも先に、純有利子負債と自己資本の比率が 1 倍を超えていることを気にしている。

政策保有株は、経済合理性を見て減らす方針と開示している。含み益の大きさは確かめられていないため、悲観の床の計算には足していない。

会社自身が買われる可能性は高くないと筆者は見る。時価総額が 4,000 億円あり、金額が大きく、買い手は限られる。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

センコーの利益は、構造の追い風を受けている。ドライバーが足りない国で、運べる会社に荷物が集まり、運賃は上がる。早めに料金交渉を済ませたので、人件費の上昇を価格に移せた。営業利益は 10 年で最高になった。

買収の質も上がっている。丸運は重量物と石油の輸送に強く、豪州の重量物会社と組めば、海外で付加価値の高い輸送を押さえられる。Umiosロジは冷凍冷蔵の拠点を増やす。ベリテのような商流の買収は、荷物の行き先を持つという、他社が持たない強みになる。

会社は 2027 年 3 月期に売上 1 兆円、営業利益 430 億円を計画する。5 年間の投資が実を結び、3PL の保管面積が増えれば、固定費の負担が薄まる。10 年後に営業利益率が 5% を超え、ROE が 10% を超える筋書きは、荒唐無稽ではない。

借金が重いと言われるが、物流の資産は車両や倉庫で、事業そのものが傾く構造ではない。配当性向 4 割を守りながら利益が伸びれば、株主の取り分も着実に増える。

慎重な見方

稼ぐ力が薄いまま、借金で規模を買っている。営業利益率は 4% 台、自己資本比率は 27.6%。純有利子負債は自己資本を上回る。金利が上がると、利息の負担は 10 年で 60 億円ほど増える見込みで、営業利益の 16% に相当する。

買収の価格が高いと、利益は薄まる。丸運、ベリテ、Umiosロジと続いても、会社が全体として 4.5% の営業利益率に届くとは限らない。商事とライフサポートは利益率が 2% 前後で、全体の足を引いている。中期計画の目標だった ROE10% も、直近は 8.5% にとどまる。

2024 年問題の値上げは永遠ではない。自動運転や省力化が進めば、運転手不足は和らぎ、荷主は運賃の値下げを求める。EC 事業者の自前物流化や大手荷主の内製化も脅威だ。

今の株価は、利益の 20 倍近い。実績の ROE が 8% 台の会社に付ける倍率ではない。10 年後に会社が計画の 8 割の利益を出しても、倍率が 14 倍に落ち着けば、今の値段は取り戻せない。

どちらに重みを置いたか

強気の見方は、事業の質については正しい。しかし慎重な見方のほうが、値段の面で強い。利益率の薄さと借金の重さは、10 年後も大きくは変わらない。確率は、中立を 36% の最も厚い位置に置き、悲観側を 3 割台前半にした。中立の倍率は 10 倍にとどまり、10 年後の中立でも今の時価総額に届かない。総合の差は約 −50% で、割高の判定は動かない。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 2,007 円3,368 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 657 円1,102 億円)。 今の値に割り戻すと 1,350 円2,266 億円、今との差 −43.2%、 期待の年率 +1.2%(資本コスト 8.3%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 3,559 円5,971 億円 837 円1,404 億円 +85.0% +6.3% 352 円590 億円
やや楽観 22% 2,835 円4,756 億円 744 円1,248 億円 +50.6% +4.2% 787 円1,321 億円
中立 36% 2,242 円3,761 億円 663 円1,113 億円 +22.3% +2.0% 1,046 円1,755 億円
やや悲観 22% 1,069 円1,794 億円 569 円955 億円 −31.0% −3.6% 360 円605 億円
悲観 12% 474 円795 億円 518 円869 億円 −58.2% −8.4% 119 円200 億円
加重平均100% 2,007 円3,368 億円657 円1,102 億円 +12.2% +1.2% 2,664 円4,470 億円

今の株価時価総額 2,376 円3,986 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。

楽観 8% 物流と商流を握る総合物流として、利益率 5% 超えに到達 利益 431 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 3,559 円5,971 億円

10 年かけて 3PL の保管面積と冷凍冷蔵の拠点を増やし、買収の相乗効果が出る。

10 年で売上は 1 兆 5,000 億円を超える。3PL と冷凍冷蔵、重量物の海外展開で物流の利益率が 6% 台後半に乗り、商事の利益率も 2% 台に上がる。買収は規律を保ち、のれんの減損は出ない。ライフサポートは高齢化で利用者が 4 割増え、利益率も 5% 近くまで改善する。会社の目標だった ROE10% を超え、物価を含めた名目で利益が毎年 8% 超伸びる。強い筋書きだが、薄い利益率の会社がここまで届くには、運賃を荷主に通し続ける必要がある。

  • 物流(3PL・輸送・倉庫):数量 50.0(取扱貨物量(百万トン換算の推定))× 価格 2.10(1 トンあたり収入(万円))→ 売上 10,483 億円・営業利益 713 億円。数量 1.25 倍・価格 1.46 倍(名目)・営業利益率 6.8%
  • 商事・貿易:数量 1,150(販売の取扱量(万トン換算の推定))× 価格 2.66(1 トンあたり売上(万円))→ 売上 3,063 億円・営業利益 74 億円。数量 1.15 倍・価格 1.38 倍(名目)・営業利益率 2.4%
  • ライフサポート:数量 63.0(年間の利用者・会員の延べ数(万人、推定))× 価格 20(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,285 億円・営業利益 62 億円。数量 1.40 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 4.8%
  • ビジネスサポート・プロダクト:数量 31.5(従事人員(百人、推定))× 価格 2,831(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 892 億円・営業利益 54 億円。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 6.0%

倍率:事業の純利益 431 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍。全体の PER 13.65 倍、時価総額 5,883 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:10 年続けて買収を成功させ、運賃を荷主に通し続けるには条件が多い。一方で値上げが通る環境は続くので 1 割弱は残す。

やや楽観 22% 買収が定着し、利益率が 4% 台後半で安定する 利益 361 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,835 円4,756 億円

大きな買収で失敗せず、規模の効果が少しずつ出る。

物流の利益率は 6% 台前半まで上がり、買収した会社の統合が済む。商事とライフサポートは緩やかに改善する。売上は 1 兆 4,000 億円台で、名目の営業利益は今の 1.9 倍になる。借金は抑えられる。ROE は 9% 台半ばで、資本コスト 8.25% を 1 ポイントほど超える。評価される優良企業になるが、物流の利益率の天井は見えている。丸運や冷凍冷蔵の拠点は重複を整理して効率が上がり、豪州の重量物輸送も安定した利益を出す。介護は高齢化で利用者が増え続ける。配当は純利益の 4 割台を保ち、増配が続く。

  • 物流(3PL・輸送・倉庫):数量 47.2(取扱貨物量(百万トン換算の推定))× 価格 2.05(1 トンあたり収入(万円))→ 売上 9,692 億円・営業利益 620 億円。数量 1.18 倍・価格 1.43 倍(名目)・営業利益率 6.4%
  • 商事・貿易:数量 1,100(販売の取扱量(万トン換算の推定))× 価格 2.62(1 トンあたり売上(万円))→ 売上 2,887 億円・営業利益 64 億円。数量 1.10 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 2.2%
  • ライフサポート:数量 60.8(年間の利用者・会員の延べ数(万人、推定))× 価格 20(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,221 億円・営業利益 52 億円。数量 1.35 倍・価格 1.32 倍(名目)・営業利益率 4.3%
  • ビジネスサポート・プロダクト:数量 30.9(従事人員(百人、推定))× 価格 2,831(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 875 億円・営業利益 50 億円。数量 1.03 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 5.7%

倍率:事業の純利益 361 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.93 倍、時価総額 4,668 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:買収の統合が済み、規模の効果が少しずつ出る道筋。業界団体の上位レンジに近い。

中立 36% 中立:規模は大きくなるが、利益率は 4% 台前半にとどまる 利益 302 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 2,242 円3,761 億円

2024 年問題の値上げが物価並みに落ち着き、買収は続くが利益率は今と変わらない、中心の道筋。

10 年後、売上は 1 兆 4,000 億円弱、営業利益は 600 億円ほどになる。国内の荷動きは人口で細るが、3PL と冷凍冷蔵、買収で数量は 1 割強増える。運賃は物価を少し上回って上がる。自動運転と省力化が進み、運転手不足が和らぐと、運賃の上がり方は物価並みに近づく。物流の利益率は 6% 前後を保つ。利息の増加が利益を削り、ROE は 8% 台前半だ。資本コストにほぼ並ぶ、普通の優良企業として落ち着く 10 年になる。

  • 物流(3PL・輸送・倉庫):数量 44.8(取扱貨物量(百万トン換算の推定))× 価格 2.01(1 トンあたり収入(万円))→ 売上 9,007 億円・営業利益 540 億円。数量 1.12 倍・価格 1.40 倍(名目)・営業利益率 6.0%
  • 商事・貿易:数量 1,060(販売の取扱量(万トン換算の推定))× 価格 2.59(1 トンあたり売上(万円))→ 売上 2,741 億円・営業利益 55 億円。数量 1.06 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 2.0%
  • ライフサポート:数量 58.5(年間の利用者・会員の延べ数(万人、推定))× 価格 20(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,158 億円・営業利益 44 億円。数量 1.30 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 3.8%
  • ビジネスサポート・プロダクト:数量 30.0(従事人員(百人、推定))× 価格 2,831(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 850 億円・営業利益 46 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 5.4%

倍率:事業の純利益 302 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.16 倍、時価総額 3,672 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:数量は M&A と 3PL で伸び、価格は物価をやや上回る、業界の中立見通しに沿った中心。

やや悲観 22% 運賃が頭打ちになり、買収も重荷になる 利益 189 億円 · PER 8.9 倍 · 株価時価総額 1,069 円1,794 億円

運転手不足が和らいで値上げが止まり、買収した会社の収益が期待を下回る。

運転手の賃金が上がる一方、荷主の抵抗で運賃は物価を下回って上がる。物流の利益率は 5% 台前半に下がる。丸運などの買収でのれんの減損が一部で出て、利益を押し下げる。商事は石油の需要減で小さくなり、ライフサポートも介護報酬の改定に苦しむ。借金は減らず、利息の負担が続く。ROE は 6% 弱と資本コストを割り込み、市場は低い倍率を付ける。優良さが少しずつ失われる 10 年だ。海外の買収も思うように育たず、豪州やインドでの重量物・通関の展開は小さな利益にとどまる。

  • 物流(3PL・輸送・倉庫):数量 40.0(取扱貨物量(百万トン換算の推定))× 価格 1.92(1 トンあたり収入(万円))→ 売上 7,697 億円・営業利益 400 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 5.2%
  • 商事・貿易:数量 980(販売の取扱量(万トン換算の推定))× 価格 2.47(1 トンあたり売上(万円))→ 売上 2,421 億円・営業利益 41 億円。数量 0.98 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 1.7%
  • ライフサポート:数量 51.8(年間の利用者・会員の延べ数(万人、推定))× 価格 19(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 985 億円・営業利益 28 億円。数量 1.15 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 2.8%
  • ビジネスサポート・プロダクト:数量 28.5(従事人員(百人、推定))× 価格 2,705(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 771 億円・営業利益 37 億円。数量 0.95 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 4.8%

倍率:ROE 5.9% は k 8.25% 以下。ためた利益の価値は 1 を下回るので PER の上限は 1÷k = 11.8 倍。買収の統合が遅れ、荷動きの落ち込みで利益率が戻らない筋書きなので、上限の 7.6 割の 8.9 倍に置いた。純有利子負債 2,435 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 9.8 倍。

確率:運賃の頭打ちと買収の重荷は、10 年のあいだに起きやすい。やや厚めに置いた。

悲観 12% 構造的に負け、荷主を失い、買収も裏目に出る 利益 55 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 474 円795 億円

もう優良とはいえない会社になっている、構造的な悪化のシナリオ。

大手荷主が物流を内製し、EC 事業者も自前の配送網を持ち、3PL の契約が減る。自動運転で運賃が下がり、運転手を抱える会社の強みが薄れる。物流の利益率は 4% 以下に落ち、買収した会社ののれんは大きく減損する。借金の返済が先になり、配当は最低限に絞る。ROE は 2% 台まで低下し、自己資本の厚みを基準に評価される。買収で規模を買った会社が、規模の重さに沈む 10 年だ。丸運の少数株主との関係や、海外の重量物輸送の採算も見込みを下回り、事業の入れ替えを迫られる。

  • 物流(3PL・輸送・倉庫):数量 35.2(取扱貨物量(百万トン換算の推定))× 価格 1.72(1 トンあたり収入(万円))→ 売上 6,066 億円・営業利益 230 億円。数量 0.88 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 3.8%
  • 商事・貿易:数量 850(販売の取扱量(万トン換算の推定))× 価格 2.22(1 トンあたり売上(万円))→ 売上 1,887 億円・営業利益 19 億円。数量 0.85 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 1.0%
  • ライフサポート:数量 45.0(年間の利用者・会員の延べ数(万人、推定))× 価格 18(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 788 億円・営業利益 14 億円。数量 1.00 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 1.8%
  • ビジネスサポート・プロダクト:数量 25.5(従事人員(百人、推定))× 価格 2,430(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 620 億円・営業利益 22 億円。数量 0.85 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 3.5%

倍率:稼ぐ力(事業の純利益 55 ÷ k 8.25% = 647 億円)より資産の床のほうが大きいので、売れる資産の税後 800 億円(floor_assets_oku)を上限とし、やや悲観より低い 795 億円(床の 9.9 割)に置いた。今の自己資本 2,272 億円に対する PBR は 0.35 倍。規模の競争に負け、借金の利払いで利益がほぼ消える筋書き。純有利子負債 2,435 億円を今の値で足した EV ÷ 営業利益は 16.2 倍。

確率:10 年で構造的に負ける確率は 1 割強。荷主の内製化や自動運転で、規模の重さに沈む筋書きの起きやすさを見た。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

物流(3PL・輸送・倉庫)

国内外のトラック輸送、倉庫・物流センターの運営、庫内作業を荷主から一括で受ける中核事業。冷凍冷蔵、住宅物流、重量物、海陸一貫輸送を含む。

数量取扱貨物量(百万トン換算の推定)価格1 トンあたり収入(万円)売上営業利益
今 2026/03 40.0 1.44 5,744 341
10 年後 中立 44.8 2.01 9,007 540

取り方:物流事業の売上 5,744 億円を、輸送・保管・庫内作業を重さに引き直した取扱貨物量 4,000 万トン(推定)で割った 1 トンあたり収入。数量は M&A と 3PL の取り込みで増え、国内の荷動きは人口とともに細る。価格は運転手不足で物価より速く上がる局面にある。

商事・貿易

石油製品、食品、資材、宝飾品(ベリテ)などを売る商流の事業。物流と一体で荷主との取引を深める。

数量販売の取扱量(万トン換算の推定)価格1 トンあたり売上(万円)売上営業利益
今 2026/03 1,000 1.93 1,930 37
10 年後 中立 1,060 2.59 2,741 55

取り方:商事・貿易の売上 1,930 億円を、石油・食品・資材などを重さに引き直した取扱量 1,000 万トン(推定)で割った単価。石油は価格転嫁の度合いで振れ、宝飾品の加入で単価の水準が上がった。利益率は 2% 弱と薄い。

ライフサポート

介護施設・フィットネスクラブなど、生活に近い事業。介護報酬は公定価格で、物価に完全には追いつかない。

数量年間の利用者・会員の延べ数(万人、推定)価格1 人あたり年間売上(万円)売上営業利益
今 2026/03 45.0 15 685 19
10 年後 中立 58.5 20 1,158 44

取り方:ライフサポートの売上 685 億円を、介護の利用者とフィットネス会員の年間延べ人数 45 万人(推定)で割った 1 人あたりの売上。高齢化で利用者は増えるが、介護報酬は物価並みには上がらない。

ビジネスサポート・プロダクト

人材・保険・IT などのサービス(ビジネスサポート)と、包装容器などの製造(プロダクト)をあわせたもの。

数量従事人員(百人、推定)価格1 人あたり年間売上(万円)売上営業利益
今 2026/03 30.0 2,113 634 34
10 年後 中立 30.0 2,831 850 46

取り方:ビジネスサポートとプロダクトの売上合計 634 億円を、従事人員 3,000 人(推定)で割った 1 人あたりの売上。数量は人員でほぼ横ばい、価格は人件費・資材の物価並みに上がる。

リスクと懸念

金利上昇と借金の重さ

純有利子負債は 2,400 億円を超え、自己資本を上回る。借り換えで金利が 3.5% 前後になると、利息は 10 年で 60 億円ほど増える見込みだ。買収を続けるほど借金も増えるので、利益の伸びが利息に追いつかなくなる危険がある。配当を守る余力も、金利と借金の水準しだいで狭まる。

買収の統合と減損

丸運、ベリテ、Umiosロジなど、買収が続く。買った価格に比べて利益が出なければ、のれんの減損が起きる。のれんは 224 億円で今は軽いが、買収額が膨らむほど減損の影響は大きくなる。欧州で大きな減損を出した同業の例もあり、買う値段の規律が問われる。

薄い利益率と人件費

営業利益率は 4% 台で、人件費や燃料の上昇を運賃で取り戻せないと、利益はすぐに減る。2024 年問題のあとも賃上げは続き、運転手の確保にかかる費用は増える傾向にある。値上げの交渉は荷主ごとに時間がかかり、取り戻しが遅れる年は利益が目減りする。

荷主の内製化と競争

大手荷主や EC 事業者が自前の物流を持てば、3PL の取引は減る。ロジスティードや日本通運、山九などとの価格競争も激しい。契約の更新で値下げを求められる場面が増える可能性がある。物流センターの運営は一度受けると続きやすいが、更新時の交渉力は荷主のほうが強い。

低収益の事業の重荷

商事・貿易とライフサポートは営業利益率が 2% 前後で、全体の足を引く。石油販売は原油価格と価格転嫁の遅れで振れる。次の中期計画でポートフォリオの見直しに触れているが、整理が進まなければ重荷が続き、全体の利益率の改善を邪魔する。

景気後退と固定費

車両、人員、借りている倉庫の家賃は、荷物が減っても減らない。リーマン級の不況では営業利益率が 2% 台前半まで落ちる。借金が重いので、谷の年は利益が薄いうえに利息が残る。新リース会計で家賃が借金と同じ形で BS に載っても、払う約束は変わらない。

今後の分かれ目

2027 年 3 月期の営業利益が 430 億円を超え、売上が 1 兆円を超えたら
中立から やや楽観へ確率を寄せる。買収の効果が利益に出ている証拠で、ROE の改善が続くかを併せて確かめる。
営業利益率が 4.5% を超えて定着したら
利益率の前提を上方修正する。薄い利益率という最大の弱点が解けるので、倍率も上のほうに置ける。
買収した会社でのれんの減損が出たら
やや悲観・悲観の確率を上げる。買う値段の規律が崩れている兆しとして、次の大型買収の中身を厳しく見る。
純有利子負債が自己資本の 1.3 倍を超えたら
財務の余裕が薄れたとみて、悲観側の確率を上げる。金利の上昇と重なれば、配当にも影響しうる。
次の中期計画で低収益事業を売却・整理すると明記されたら
資本効率が上がるとみて、やや楽観の確率を上げる。ただし売却益は一時のもので、継続的な利益と分けて見る。
運転手の賃上げが運賃に通らない状況が 2 年以上続いたら
物流の利益率の前提を下げ、やや悲観の確率を上げる。

見ておくもの

  • 四半期ごとの物流事業の営業利益率と、商事・ライフサポートの利益率
  • 純有利子負債と自己資本の比率、金利の上昇に伴う利払いの動き
  • 丸運・Umiosロジ・豪州の重量物会社の統合進捗と、のれんの減損の有無
  • 次の中期経営計画の目標(ROE・利益率・低収益事業の扱い)

倍率と資本コストの決め方

倍率は式で置いた。今の PER(20 倍近い)には寄せていない。中立は ROE 8.3% が k 8.25% に届かないので PER の上限は 1÷k = 11.8 倍で、借金が重く利益率が薄いため上限の 8.8 割(10.4 倍)に置いた。楽観は ROE が k を超えるので正当化 PER(RONIC は k を超える ROE の 1/2 が残る値、g 4%)の 9 割、やや楽観は 8.5 割にした。SG より控えめなのは、借金と利益率の差による。k は基本 7.5% に quality +1.0%(循環 +0.25・値決め力 +0.25・借金 +0.5・寿命 0)で、確率は quality を理由に動かしていない。悲観は稼ぐ力でなく売れる資産(推定 約 800 億円)を床にした。EV÷営業利益は中立で 9 倍前後。倉庫・物流センターは賃借が多いとみられるが、賃借額は未確認で、家賃は営業費用に入った今の形でそろえた。新リース会計(2028/03 期からの BS 計上)で営業利益は増え、純負債は増えるので、数字の形が変わる点は注意。悲観では家賃を固定費として利益率に入れた。含み益と余った現金は確かめられず、足していない。結果の割高(約 −50%)は計算どおり。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。

資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +1.0%(循環 +0.25・値決め力 +0.25・借金 +0.5・寿命 0)= 8.5%。荷主に価格を決められやすく、借金も重めな分を上乗せした。事業は黒字で傾いておらず上乗せ(extra)はない。買収の実行リスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.25%。

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割安 SEMITEC6626 温度センサーのニッチ首位級で、時価総額の4割弱は現金。利益の質を割り引いても、今の値段は低い 本質価値との差 +101.7% · 10 年 割安(年 +13.9%) 割安 カンダホールディングス9059 トラックと国際物流で稼ぐ堅実な会社。純現金は時価総額の4分の1、大株主が議決権の3分の1を押さえる。10年で測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +58.9% · 10 年 割安(年 +11.1%) 割安 ビーイングホールディングス9145 北陸発の生活物資専門 3PL。自己資本利益率は高いが顧客が偏る。それでも今の値段は割安とみる 本質価値との差 +56.5% · 10 年 割安(年 +12.5%) 割安 株式会社ゼロ9028 新車を運ぶキャリアカーの最大手級。日産依存と新車需要の細りを織り込んでも、純現金込みの今の値段には安全域がある 本質価値との差 +52.5% · 10 年 割安(年 +11.6%) やや割安 ロジネットジャパン9027 札幌通運を核に鉄道とトラックを組み合わせる中堅の物流会社。運び手不足で値上げは通るが、人件費に食われて利益率は伸びにくい 本質価値との差 +29.9% · 10 年 やや割安(年 +9.2%) やや割安 九州旅客鉄道9142 九州の人口減は重いが、運賃改定と駅の不動産が利益を押し上げる。利払い増(年約100億円)と資本コスト 8.0% を引くと、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +28.4% · 10 年 やや割安(年 +9.6%) やや割安 遠州トラック9057 東名の真ん中に拠点を構える堅実な物流会社だが、利益の伸びが資本コストに届かず、今の値段はやや高い 本質価値との差 +28.3% · 10 年 やや割安(年 +9.3%) やや割安 ヒガシホールディングス9029 大手EC向け物流で稼ぎが倍増したが、1社への依存と過去最高の利益率が10年続く保証はない 本質価値との差 +27.2% · 10 年 やや割安(年 +9.7%) やや割安 山九9065 製鉄所の構内で根を張る機工事業は堅いが、薄利の物流が ROE を押さえる。期待リターンは資本コストを少し上回る程度で、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +22.5% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) やや割安 岡山県貨物運送9063 中国地方の路線便「オカケン」。帳簿の資産は厚いが、稼ぐ力は資本コストに遠く届かず、PBR0.3倍でも割安とは言えない 本質価値との差 +21.9% · 10 年 やや割安(年 +9.2%) やや割安 東急9005 渋谷という再現できない土地と、まだ人口が増える沿線を持つ民鉄。ただ重い借金の利払い増と資本コスト 7.75% を引くと、本質価値は今の値段を 3 割近く下回る 本質価値との差 +15.9% · 10 年 やや割安(年 +8.2%) やや割安 京福電気鉄道9049 嵐電のイメージで売るが、稼ぎは京都と関西の賃貸が柱。親会社が 43% を握り、配当は薄い 本質価値との差 +15.1% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 ハマキョウレックス9037 3PL の堅実な増益は本物だが、ROE が 9% 前後へ薄まる成長に安全域はない。名目で測ると今の値段はやや割高から適正の境目 本質価値との差 +14.6% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) やや割安 セイノーホールディングス9076 路線トラックの値上げは定着し利益も伸びるが、ROE が資本コストをわずかに超える程度で、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +13.2% · 10 年 やや割安(年 +7.2%) やや割安 SGホールディングス9143 2024年問題で宅配の運賃が物価より速く上がり、ROE 10% が続く。ただし資本コスト 7.75% を超える幅は小さく、今の値段はやや割高 本質価値との差 +13.1% · 10 年 やや割安(年 +7.4%) やや割安 鴻池運輸9025 請負の安定と堅い財務が強みだが、10 年後の ROE は資本コストにほぼ並ぶ。今の値段はおおむね妥当と筆者は見る 本質価値との差 +13.0% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) やや割安 アサガミ9311 大阪の倉庫・港湾物流と不動産賃貸。親会社が 5 割超を握り、還元は薄い。資産は厚いが、株主に届きにくい 本質価値との差 +11.1% · 10 年 やや割安(年 +8.8%) やや割安 AZ-COM丸和ホールディングス9090 アマゾン向けが売上の3分の1を占める薄利の成長株。成長は本物だが、顧客の偏りと薄い利益率を割り引くと今の値段は割安とは言えない 本質価値との差 +10.6% · 10 年 やや割安(年 +7.8%) 適正 神姫バス9083 地方バスの黒字は万博が押し上げた山で、資本効率が資本コストに届かない以上、今の値段は少し高い 本質価値との差 +8.3% · 10 年 適正(年 +7.5%) 適正 日本ロジテム9060 首都圏の倉庫とトラックとアマゾンのセンターで稼ぐ中堅の物流会社。薄い利益と重い借金を、持っている土地が支える。今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +7.8% · 10 年 適正(年 +8.7%) 適正 丸全昭和運輸9068 化学品・危険物の倉庫と 3PL で同業の倍の利益率を稼ぐ物流会社。厚い自己資本が ROE を押さえ、10 年の価値は今の時価総額をやや上回る 本質価値との差 +7.4% · 10 年 適正(年 +6.5%) 適正 西日本鉄道9031 福岡の再開発と国際物流で利益は名目で伸びるが、借金は増え金利も上がる。ROE は資本コスト 8.0% に届かず、値段はほぼ適正に出る 本質価値との差 +7.1% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 東海旅客鉄道9022 東海道新幹線の独占は強い堀だが、リニアの負担と利払いの増加、資本コスト 7.0% を引くと、今の値段はほぼ適正に出る 本質価値との差 +5.2% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 京阪ホールディングス9045 京都と大阪を結ぶ沿線と不動産の含み益は本物だが、利益は万博と用地分譲で膨らんだピーク。利払いが増え、ROE は資本コストに届かず、やや割高 本質価値との差 +4.8% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 南総通運9034 千葉の倉庫と運送の会社。倉庫が利益の半分強を稼ぐが、ROE が資本コストに届かず、10 年の価値はやや割高に出る。 本質価値との差 +2.8% · 10 年 適正(年 +6.0%) 適正 北海道中央バス9085 時価総額の9割近い純現金を抱えるが、現金は株主に戻りにくく稼ぐ力も低いので、今の値段は高い 本質価値との差 −1.9% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 阪急阪神ホールディングス9042 梅田の再開発と運賃改定で利益は名目で伸びるが、借り換えの利払いで ROE は資本コスト 7.5% に届かない。今の値段は 3 割弱のやや割高に出る 本質価値との差 −3.4% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 SBSホールディングス2384 不動産の売却益が営業利益の 4 割を占め、本業の物流は薄利のまま。利益の質を割り引くと、買収で伸びても今の値段は割高 本質価値との差 −9.4% · 10 年 適正(年 +5.3%) やや割高 日本石油輸送9074 現金と保有株は厚いが、リースと一社依存が重い。石油の細りと人件費が稼ぎを削る 本質価値との差 −12.4% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 ヤマトホールディングス9064 宅急便の値上げは効くが稼ぐ力はまだ薄い。再建が中立どおり進んでも、資本コスト 8.5% で測ると今の値段はやや割高で、安全域はない 本質価値との差 −12.8% · 10 年 やや割高(年 +5.5%) やや割高 サカイ引越センター9039 引越は件数が頭打ちで、人の確保が利益を削る。純現金は厚いが、ROEが資本コストを上回れず、やや割高と見る 本質価値との差 −12.9% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 東武鉄道9001 スカイツリーとホテルが運輸の減益を補うが、借り換えの利払いと資本コスト 8.0% を引くと、本質価値は今の値段を 3 割弱下回る 本質価値との差 −13.0% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 京王電鉄9008 新宿を軸に営業利益は物価並みに伸びるが、借り換えの利払いが純利益を押さえる。k 7.5% で測ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −14.7% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 相鉄ホールディングス9003 ホテルの万博特需と新横浜線の直通で利益は過去最高だが、借金が営業利益の 10 倍と重い。利払い増で ROE は資本コストに届かず、今の値段は 4 割弱ほど割高に出る 本質価値との差 −15.2% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 株式会社NANKAI9044 空港線とインバウンドは強いが、重い借金と大型投資で資本コストに届かない。値段は 3 割ほど割高に出る 本質価値との差 −18.7% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 西日本旅客鉄道9021 山陽新幹線と近畿の独占に運賃改定とうめきたの床が乗るが、借入を増やす計画の利払いと資本コスト 7.75% を引くと、本質価値は今の値段を 3 割ほど下回る 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +4.9%) やや割高 東日本旅客鉄道9020 新幹線と首都圏の独占は強いが、4.9 兆円の借金の利払い増と資本コスト 7.5% を引くと、本質価値は今の値段を 4 割近く下回る 本質価値との差 −23.0% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 京成電鉄9009 京成電鉄は成田空港の増強とオリエンタルランド持分が核だが、借金が膨らむ局面と資本コスト 7.75% を踏まえると、今の値付けは割高と見る 本質価値との差 −29.6% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) 割高 東京地下鉄(東京メトロ)9023 鉄道だけで稼ぐ日本最大級の地下鉄。国・都の保有株売却と新線建設が焦点で、資本コスト 7.25% を ROE が下回り、今の値段は 4 割ほど割高に出る 本質価値との差 −33.9% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 センコン物流9051 宮城の倉庫が稼ぎ頭、売上の半分は埼玉のホンダ販売店。借入が時価総額に迫り、ROE は資本コストに届かないので、今の値段は高い 本質価値との差 −34.3% · 10 年 割高(年 +2.7%) 割高 近鉄グループホールディングス9041 営業利益は名目で伸びるが、借り換えの利払いが利益を削り、株主の取り分は増えない。資本コスト 8.5% を踏まえると、今の値段は割高 本質価値との差 −35.3% · 10 年 割高(年 +2.5%) 割高 大宝運輸9040 地場の堅い運送会社だが、薄い稼ぎに対して積み上がった資本が重く、今の値段は安全域に乏しい 本質価値との差 −36.2% · 10 年 割高(年 +2.5%) 割高 山陽電気鉄道9052 姫路駅前の不動産が利益を支えるが、運賃は上限に達し、借り換えの利払いで ROE は資本コストを大きく下回る。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −36.2% · 10 年 割高(年 +1.6%) 割高 第一交通産業9035 タクシーは赤字、稼ぎ頭は不動産。借金が重く、金利が上がるほど株主の取り分が細る 本質価値との差 −38.9% · 10 年 割高(年 +2.4%) 割高 東部ネットワーク9036 横浜の飲料・セメント・産業ガスの運送会社。資産は厚いが、運送の稼ぎは細く、ROE 2% では帳簿の価値を株主に届けられない 本質価値との差 −39.6% · 10 年 割高(年 +2.0%) 割高 神奈川中央交通9081 運賃は上がるが、運転士の賃金と借り換えの利払いが先に増え、ROE は資本コスト 9.0% に届かない。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −40.8% · 10 年 割高(年 +2.3%) 割高 新潟交通9017 新潟のバスと万代シテイを営む地域の顔。不動産が稼ぐが、重い借金の利払いが金利の上昇で利益を削る 本質価値との差 −42.6% · 10 年 割高(年 +3.0%) 割高 ニッコンホールディングス9072 ホンダ系の完成車輸送と倉庫・梱包で堅実に稼ぐが、利益に対して値段が先走り、10年で測っても大幅な割高 本質価値との差 −43.3% · 10 年 割高(年 −0.1%) 割高 小田急電鉄9007 新宿西口の大型開発は実るが、借金の利息が利益を削る。資本コスト 8.25% を ROE が下回り、今の値段は 3 割半ば割高に出る 本質価値との差 −43.8% · 10 年 割高(年 +0.2%) 割高 富士急行9010 富士山麓の鉄道とハイランドで過去最高益を稼ぐが、10 年後の利益に見合う値段は今の半分以下に出る 本質価値との差 −45.1% · 10 年 割高(年 +0.5%) 割高 タカセ9087 アニメ商品の通販物流に活路を得た老舗の倉庫会社。利幅は細く、資本コストに届かないので値段は割高 本質価値との差 −45.3% · 10 年 割高(年 +1.2%) 割高 秩父鉄道9012 石灰石の貨物と長瀞の観光で黒字に戻したが、更新投資と借金の利払いが利益を食い、株主に残る価値は今の時価総額に届かない 本質価値との差 −45.6% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 福山通運9075 特積みの老舗。利益は戻り始めたが、資本効率が低く、10 年の積み上げでは今の値段は大きく割高 本質価値との差 −46.0% · 10 年 割高(年 0.0%) 割高 広島電鉄9033 電車とバスは補助金を足してやっと収支が合い、利益を支えるのは広島の不動産。借り換えで利払いが3倍に増え、ROE は資本コストに届かない。今の値段は割高に出る 本質価値との差 −46.3% · 10 年 割高(年 +1.5%) 割高 名古屋鉄道9048 名駅の再開発が止まり、運送は赤字、借金は重い。利益は名目で戻っても、金利が資本コストへの到達を阻む。今の値段は 4 割ほど割高に出る 本質価値との差 −50.4% · 10 年 割高(年 −0.5%) 割高 京浜急行電鉄9006 品川・高輪の再開発で名目の利益は伸びるが、重い借金と投資負担で ROE は資本コスト 8.25% に届かない。値段は織り込み過ぎと見る 本質価値との差 −51.1% · 10 年 割高(年 −0.7%) 割高 NIPPON EXPRESSホールディングス9147 国内の運賃上げは追い風だが、海外フォワーディングの薄い利益率では ROE は資本コスト 8.5% を下回る。名目で測り直しても今の値段は割高 本質価値との差 −54.7% · 10 年 割高(年 −1.2%) 割高 西武ホールディングス9024 運営だけの稼ぐ力は資本コスト 8.5% に届かず、資産を売る経営に移っても、今の値段は 7 割近い割高に出る 本質価値との差 −63.0% · 10 年 割高(年 −2.9%) 割高 京極運輸商事9073 ENEOS が 35% を持つタンクローリーとドラム缶の会社。石油の量は細り、利益率は 2% に届かない 本質価値との差 −65.0% · 10 年 割高(年 −3.2%) 割高 神戸電鉄9046 借金が EBITDA の 11 倍と重く、借り換えで利払いが倍に膨らむ。運賃改定で営業利益が増えても株主に残る利益は細り、計算では大きな割高になる 本質価値との差 −65.8% · 10 年 割高(年 −3.5%) 割高 大和自動車交通9082 都内の土地と銀座の再開発は魅力だが、タクシーの稼ぎは薄く借金も重い。今の値段は資産の期待を先取りしている 本質価値との差 −69.9% · 10 年 割高(年 −3.7%)

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分析日 2026-10-16