結論
エコラボは、食品工場・ホテル・病院・発電所・半導体工場などの顧客先に自社の担当者が定期的に通い、洗浄剤・殺菌剤・水処理薬品とそれを使う機器・遠隔監視を一体で売るサービス会社である。2025 年は売上 161 億ドル、営業利益率 18.0%、純利益約 21 億ドル。構成はグローバル・ウォーター(産業水処理・食品飲料・ハイテク)が約 50%、機関・特殊(ホテル・外食・医療・洗濯の衛生)が約 38%、害虫駆除が約 8%、ライフサイエンスが約 5%。2026 年 4〜6 月期は有機成長 +5%(価格 +4%・数量 +1%)で、有機の営業利益率は 18.8%(+0.4 ポイント)と堅調だった。
2026 年は大型買収が続く。電子向け超純水のオビボ(Ovivo)の事業を約 18 億ドルで取り込み、7 月にはデータセンターの液冷機器メーカーのクールイット(CoolIT)を約 47.5 億ドルで完了した。ハイテク事業は 2021 年の約 1.5 億ドルから年換算 15 億ドル近くまで育ち、会社は 2030 年に 40 億ドル・営業利益率 25% を掲げる。代わりに純負債は 80 億ドルから約 128 億ドルへ増え、時価総額の 16%、EBITDA の約 3 倍になった。
バリュー投資の観点では、事業の質は米国の素材でも上位にある。問題は値段で、時価総額 824 億ドルは純利益の約 40 倍。利益ベースの正当化 PER(k 7.5%・g 4%・強い堀で ROE の超過分の 3 分の 2 が残る)の 9 割で、成熟後の PER は 10 年目の利益の 20.5 倍にとどまる。中立の筋書き(有機 年 6%・利益率 18% から 21% 弱)は、10 年後の時価総額が今の約 1.1 倍。割り引くと今の値段を約 28% 下回り、やや割高に出る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。答えは「はい」に近い。洗浄・殺菌・水処理は顧客が止められない必需品で、巡回網と薬品・機器・遠隔監視の組み合わせは、新規参入者が簡単には崩せない。堀は、水の希少性・食品安全・半導体の純度の規制が厳しくなるほど広がる。
オーナー利益は、純利益約 21 億ドルから、成長に要る設備投資(減価償却を超える分)と株式報酬を引いたもので、おおむね純利益の 80〜90%。ROE が 20% を超え、借金は EBITDA の 2〜3 倍と過大ではない。ただしその ROE は、のれんを含めた自己資本で測ったもので、買収で伸びる会社なのでのれんを除かずに式へ入れた。
問題は 2 つ。1 つは値段で、PER 約 40 倍は、利益が毎年 12〜15% 伸び続けても、成熟後の式の PER(20 倍前後)まで 10 年かけて縮む計算になり、その間の利益成長が値段の縮みで相殺される。もう 1 つは、AI データセンターへの賭けで、予測できる事業ではない。「優れた会社を、まあまあの値段で買う」ことはできても、安全域を持って買うことはできない。筋書きの確率は、事業が崩れる側よりも、買収が思ったほど稼げない側に寄せた。
何で稼ぐ会社か
エコラボの売上は 4 つのセグメントに分かれる。①グローバル・ウォーター(2025 年 約 80 億ドル、営業利益率 約 15%):発電・化学・製紙・鉄鋼などの工場の冷却水・ボイラー水・排水処理、食品・飲料・乳製品工場の洗浄と殺菌、石油・ガスの薬品、そして半導体工場の超純水とデータセンターの冷却水(ハイテク)。薬品を売るだけでなく、ナルコ(Nalco)の遠隔監視装置「3D TRASAR」で水質を常時見て最適量を入れる。②グローバル機関・特殊(約 61 億ドル、利益率 約 23〜24%):ホテル・外食・病院・介護施設・洗濯工場に洗浄剤・食器洗い機・消毒剤・衛生管理を供給。事業の中で利益率が高く、資金の源泉になっている。③害虫駆除(約 12.5 億ドル、約 19〜20%):店舗・工場・病院の定期巡回。④ライフサイエンス(約 7.5 億ドル、約 22〜27%):バイオ医薬品の工場の洗浄と、ピュロライト(Purolite)の精製用樹脂。
売上は「顧客の拠点数と利用量(数量)× 契約単価(価格)」で決まる。契約は 1〜数年の更新型で、薬品・機器・巡回サービスをまとめて払うため、顧客は景気が悪くても衛生と水処理は止められない。価格は原料と人件費の上昇を転嫁して年 3〜4% 上げてきた。2026 年 4〜6 月は価格 +4%・数量 +1%。数量の伸びが弱いのは、ホテル・外食の客足が弱く、中東の混乱で一部の地域が止まったため。
稼いだ利益は設備投資(売上の約 5%)と配当・自社株買い・買収に回る。2025 年の営業キャッシュフローは約 29.5 億ドル、フリー・キャッシュフローは約 19 億ドル。配当は約 7.6 億ドルと自社株買い約 7.8 億ドルで、純利益の約 74% を株主に返した。買収はナルコ(2011 年 約 54 億ドル)、ピュロライト(2021 年 約 37 億ドル)、オビボ(2025 年 約 18 億ドル)、クールイット(2026 年 約 47.5 億ドル)と大型が続く。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 は巡回網の密度。顧客先に通う現場担当が薬品・機器・遠隔監視・衛生管理の記録をまとめて握り、顧客は「止めたら食中毒・設備の故障・監査の指摘が出る」ので乗り換えを嫌う。会社は 300 万を超える顧客拠点を持つと説明し、競合のディバーシー(Diversey、ソレニスが買収)やケミラ、ベオリアの水処理部門は、全世界の食品・ホテル・工場をまとめて回る力で劣る。第 2 は規模のコスト。調達・物流・研究開発・営業が同じ網で使える。第 3 は専門性で、食品の殺菌・病院の感染対策・半導体の超純水などは、規制と品質の事故が重く、価格より信頼で選ばれる。
価格を決める力も強い。2022 年のインフレ時は一時的に利益率が 11.3% まで落ちたが(原料転嫁の遅れ)、その後は価格改定と効率化で 2025 年に 18.0% と過去最高まで回復した。2008 年でも営業利益率は 12% を保っており、景気の谷でも薬品の消費が止まらない。資本効率は ROE 約 21% で、自己資本比率も 40% 近くある。
弱点は、第 1 に数量の伸びが低いこと(既存事業の数量は年 1% 前後)。成長の多くは価格と買収に頼っている。第 2 に、買収で積み上げたのれんが大きく、ハイテクの大型買収(クールイット 47.5 億ドル)は AI 設備投資の山の高い時期に高い値段で買った可能性がある。第 3 に、純利益は GAAP と「調整後」の差が毎年 2 億ドル前後あり、リストラ費用が常態化している。経営陣は長期の目標(有機 +5〜7%・営業利益率 20% 超・EPS +12〜15%)を掲げ、過去は概ね達成してきたが、2022 年のように外れた年もある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
エコラボの市場は 4 つの別々の需要でできている。産業水処理・食品飲料の衛生は成熟しており、数量は GDP 並み(年 1〜2%)、価格は物価並み(年 3.5%)で、世界全体の市場は年 4〜5% 程度で伸びる。競合はベオリア(Veolia)・ケミラ(Kemira)・ソレニス(Solenis)・栗田工業・バックマン(Buckman)・ディバーシーと多いが、拠点網の広さは個別の領域で勝てても全体では匹敵する者がいない。機関向けの衛生は景気と人流(ホテル・外食・病院の稼働)に連動し、米国の外食の客数が弱い 2026 年は数量が抑えられている。
成長の源泉はハイテクである。半導体工場の超純水(オビボ)と、AI データセンターの液冷(クールイット)は、会社が言う市場の大きさ(機会)で 2026 年に約 100 億ドルに倍増し、2030 年に向けて年 25% 超の成長を会社は見込む。一方で、この市場の競合はエコラボの従来の競合とまるで違う。液冷ではバーティブ(Vertiv)、シュナイダーエレクトリックのモティバ(Motivair)、エヌベント(nVent)、イートンが買ったボイド(Boyd)などの熱管理の大手が並び、設計はエヌビディアの標準に左右される。
害虫駆除は、ロリンズ(Rollins、オーキン)・レントキル(Rentokil Terminix)が大手で、エコラボは第 3 グループ。ライフサイエンスは、ダナハー(Cytiva)・サーモフィッシャー・メルク KGaA・レプリジェン(Repligen)がいる精製・洗浄の市場で、バイオ医薬品の設備投資が戻れば年 8〜10% 伸びる。
景気の位置は中間。2026 年の中東の混乱で数量が 1 ポイント近く削られたが、価格 +4% で埋まっている。原料(石油系)の上昇は後から転嫁される。2027 年にはナルコの償却が終わり、利益が約 5% 押し上げられる。
資本政策と M&A
資本配分は規律がある。配当は 30 年以上連続で増やし、2025 年に約 7.6 億ドル、自社株買いを約 7.8 億ドル(2026 年上期は約 6.7 億ドルと推定)。株数は年 0.2〜0.4% 減り、株式報酬による増加を打ち消す程度で、正味の還元は純利益の約 68%。残りは設備投資と買収に使う。
買収の歴史は成果が分かれる。ナルコは約 54 億ドルで買い、水処理の事業を築いたが、償却が 2027 年まで続く。ピュロライトはバイオ医薬の追い風で 2025 年にようやく利益が出た(営業利益 +30%)。オビボは約 18 億ドルで売上 約 5 億ドル(売上の 3.6 倍)、クールイットは約 47.5 億ドルで今後 12 か月の売上 約 5.5 億ドル(約 8.6 倍)と、いずれも高い値段で買っており、利益の貢献は 2028 年ごろから。クールイットの買収は新規の借入で賄い、純負債/EBITDA は一時 3 倍、2 年で 2 倍へ戻す計画で、その間は自社株買いが細る。
ガバナンスは安定しており、創業家支配や複数議決権はない。CEO のクリストフ・ベック(Christophe Beck)は 2020 年から指揮を執る。買収が当たるかどうかが、今後 10 年の価値のいちばん大きな分かれ目になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
エコラボの強さは、価格を上げても顧客が離れないことにある。2026 年 4〜6 月も価格 +4% を取り、有機の営業利益率は +0.4 ポイント改善した。2027 年にナルコの償却が終わり、利益が約 5% 底上げされ、経営陣の言う EPS +12〜15% が戻る。ハイテクは 2021 年の約 1.5 億ドルから 2026 年に 15 億ドル近くまで育ち、会社は 2030 年に 40 億ドル・営業利益率 25% を見込む。この事業は売上を毎年 2 ポイント以上押し上げ、機関・特殊(利益率 24%)より高い収益になる。
さらに、ライフサイエンスは営業利益率 26.5% まで上がり、長期目標の 30% に近い。害虫駆除は有機 +7%、機関・特殊は +4% で、全社の 3 本柱がそろって伸びている。クールイットは今年 100% 超の成長で、会社の言う市場は 2 倍になった。借金は 2 年で EBITDA の 2 倍に戻り、自社株買いが再開する。10 年後には売上 2 倍を超え・営業利益率 22% を超え、PER は成熟後でも 23 倍をつける優良会社になる。景気後退でも衛生と水処理は止まらず、利益の谷が浅い。
慎重な見方
PER 40 倍は、成長が年 12〜15% 続く前提を先に払っている。既存事業の数量は年 1% 前後で、成長の大半は価格と買収である。k 7.5%・g 4%・ROE 22% の式の 9 割で出る成熟後の PER は 20.5 倍にすぎず、利益が 10 年で 2 倍になっても、倍率の縮みで時価総額は今の 1.1 倍にとどまる。
買収の値段も重い。クールイットは今後 12 か月の売上の約 8.6 倍、オビボは約 3.6 倍。AI 設備投資の勢いが鈍れば、売上の伸びが止まり、のれんの減損と借金の重さ(純負債/EBITDA 約 3 倍)が一度に出る。液冷はバーティブ・シュナイダー・イートンなど資金力のある大手が競い、設計はエヌビディアの標準で一晩で変わる。ハイテクの利益率 25% は、そこでは守れない可能性がある。
さらに、2026 年の下期は買収の償却と金融費用で EPS の伸びが 4〜5% に鈍る。2022 年のようなインフレで転嫁が遅れる年が再び来れば、営業利益率は 11% 台まで下がる。調整後と GAAP の差が毎年 2 億ドル前後あり、「調整後の利益」は実際より良く見える。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気の言い分が強く、確率は 10 年で中立と楽観側に厚く置いた(楽観とやや楽観の合計 37%)。一方、値段は慎重な言い分が圧倒的に強い。成熟後の利益ベースの PER は 20.5 倍で、10 年後の時価総額の中立は今の 1.1 倍、割り引くと今の値段を約 28% 下回る。悲観は 10 年で 10%(巡回網の優位が崩れ、ハイテクが失敗する)に置いた。結論は「優れた事業だが、今の値段では安全域がない」で、買収の成否が上下を分ける。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 319.71 ドル912 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 74.45 ドル212 億ドル)。 今の値に割り戻すと 206.98 ドル590 億ドル、今との差 −29.2%、 期待の年率 +3.0%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 474.02 ドル1,352 億ドル | 89.76 ドル256 億ドル | +92.9% | +6.8% | 67.65 ドル193 億ドル |
| やや楽観 | 25% | 396.84 ドル1,132 億ドル | 83.10 ドル237 億ドル | +64.2% | +5.1% | 119.99 ドル342 億ドル |
| 中立 | 33% | 327.21 ドル933 億ドル | 74.33 ドル212 億ドル | +37.4% | +3.2% | 132.51 ドル378 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 224.51 ドル640 億ドル | 63.46 ドル181 億ドル | −1.5% | −0.1% | 57.59 ドル164 億ドル |
| 悲観 | 10% | 107.36 ドル306 億ドル | 56.80 ドル162 億ドル | −43.8% | −5.6% | 16.42 ドル47 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 319.71 ドル912 億ドル | 74.45 ドル212 億ドル | +34.8% | +3.0% | 394.16 ドル1,124 億ドル |
今の株価時価総額 292.30 ドル834 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 12% 楽観:ハイテク 70 億ドル超、営業利益率 22% 超の優良会社 利益 59 億ドル · PER 22.8 倍 · 株価時価総額 474.02 ドル1,352 億ドル
売上は 358 億ドル(コア水処理 130・ハイテク 72・機関・特殊 106・害虫 26・ライフサイエンス 23)、営業利益 81 億ドル(利益率 22.5%)、純利益 59 億ドル(今の約 21 億から年 11.1%)。10 年かけて、価格が物価並み(1.41 倍)、数量が市場を上回り、ハイテクが 2035 年に 72 億ドルまで育つ(会社の 2030 年目標 40 億ドルを超える)。液冷の標準をクールイットが握り、超純水でもオビボが地位を築く。営業利益率はナルコの償却の終了・ライフサイエンス 30%・ハイテク 26% で 22.5% まで上がる。借金は返済され、自社株買いが再開し、10 年で純利益が約 2.9 倍。その時点でも年 8% 台の成長を保つが、最後の 10 年目の成長は 10% を下回るので 1 段の式でよい。
- コア水処理・食品飲料の衛生:数量 1,760(産業水処理・食品飲料の衛生サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 7.4%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 130 億ドル・営業利益 24 億ドル。市場 1760 億ドル × シェア 5.25% × 価格指数 1.41
- ハイテク(半導体の超純水・データセンター冷却):数量 420(ハイテク向け水・冷却の市場=会社の言う機会(億ドル。2026 年に約 100 億ドルへ倍増))× 価格 17.3%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1。機器と超純水の単価は物価ほど上がらない))→ 売上 72 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場 420 億ドル × シェア 15.00% × 価格指数 1.15
- 機関・特殊の衛生(ホテル・外食・医療・洗濯):数量 1,060(機関・特殊向け衛生・洗浄サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 10.0%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 106 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 1060 億ドル × シェア 7.10% × 価格指数 1.41
- 害虫駆除:数量 370(事業用害虫駆除の世界市場(億ドル。推定))× 価格 7.1%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 370 億ドル × シェア 5.05% × 価格指数 1.41
- ライフサイエンス:数量 250(バイオプロセスの精製資材・洗浄の市場のうち、エコラボが取れる部分(億ドル。推定))× 価格 9.2%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 23 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 250 億ドル × シェア 6.50% × 価格指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 27.2%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 20.7%、g 4.0%(4 つの事業の市場(数量)× シェア × 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 23.0 倍(来年の利益に対して)。巡回網の堀が続き、ハイテクが育つ分、上限の 9.5 割(21.9 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 22.8 倍。時価総額 = 純利益 59 × 22.8 倍 = 1352 億ドル。
確率:経営陣の目標(EPS 年 12〜15%)に近い道を 10 年続ける。ハイテクが会社の言う 2030 年の 40 億ドルを超えて育ち、買収の償却が終わった後の利益率が上がる。10 年の確信は低いので 12%。
やや楽観 25% やや楽観:巡回網の優位が保たれ、ハイテクが目標の 8 割 利益 52 億ドル · PER 21.6 倍 · 株価時価総額 396.84 ドル1,132 億ドル
売上は 328 億ドル(コア水処理 124・ハイテク 56・機関・特殊 102・害虫 25・ライフサイエンス 21)、営業利益 72 億ドル(利益率 21.8%)、純利益 52 億ドル(今の約 21 億から年 9.7%)。ハイテクが 2035 年に 56 億ドル(会社目標の 2030 年 40 億ドルへ届き、その後は鈍る)、ライフサイエンスが 20% 超の利益率成長、害虫駆除と機関・特殊は有機 +5% 台。営業利益率は 21.8%。シェアは機関・特殊で 6.8% から 7.0% に上がり、巡回網の優位が顧客の乗り換えを防ぐ。価格は物価並みで取れ、純利益は 10 年で約 2.5 倍。
- コア水処理・食品飲料の衛生:数量 1,725(産業水処理・食品飲料の衛生サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 7.2%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 125 億ドル・営業利益 22 億ドル。市場 1725 億ドル × シェア 5.12% × 価格指数 1.41
- ハイテク(半導体の超純水・データセンター冷却):数量 360(ハイテク向け水・冷却の市場=会社の言う機会(億ドル。2026 年に約 100 億ドルへ倍増))× 価格 15.7%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1。機器と超純水の単価は物価ほど上がらない))→ 売上 56 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 360 億ドル × シェア 14.00% × 価格指数 1.12
- 機関・特殊の衛生(ホテル・外食・医療・洗濯):数量 1,035(機関・特殊向け衛生・洗浄サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 9.8%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 102 億ドル・営業利益 27 億ドル。市場 1035 億ドル × シェア 6.98% × 価格指数 1.41
- 害虫駆除:数量 360(事業用害虫駆除の世界市場(億ドル。推定))× 価格 6.8%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 25 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 360 億ドル × シェア 4.85% × 価格指数 1.41
- ライフサイエンス:数量 235(バイオプロセスの精製資材・洗浄の市場のうち、エコラボが取れる部分(億ドル。推定))× 価格 8.8%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 21 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 235 億ドル × シェア 6.25% × 価格指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 25.0%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.2%、g 4.0%(4 つの事業の市場(数量)× シェア × 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.6 倍(来年の利益に対して)。巡回網の堀が続き、ハイテクが育つ分、上限の 9.2 割(20.8 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 21.6 倍。時価総額 = 純利益 52 × 21.6 倍 = 1132 億ドル。
確率:価格と数量の両方が取れ、ハイテクが年 15% 前後で伸びる。営業利益率は 21.8% まで上がる。25%。
中立 33% 中立:有機 年 6%・営業利益率 20.8%・成熟した優良会社として評価 利益 46 億ドル · PER 20.5 倍 · 株価時価総額 327.21 ドル933 億ドル
売上は 301 億ドル(コア水処理 118・ハイテク 43・機関・特殊 99・害虫 23・ライフサイエンス 19)、営業利益 63 億ドル(利益率 20.8%)、純利益 45 億ドル(今の約 21 億から年 8.1%)。価格は 10 年で 1.41 倍、数量(市場)は年 1.2% と、シェアの微増(コア水処理 5.0%、機関・特殊 6.8% から 6.9%)。ハイテクは 2035 年に 43 億ドル(会社の 2030 年目標 40 億ドルより遅い歩みと置く)、ライフサイエンスは 19 億ドルで利益率 28%、害虫駆除は 23 億ドル。営業利益率は 20.8% で、会社の「20% 超」を保つが、毎年 1〜1.5 ポイント上げる計画の半分にとどまる。純負債は返済と買収の繰り返しで 88 億ドルまで減る。10 年で売上が 1.9 倍、純利益が 2.2 倍。評価は、のれんを含む自己資本の ROE 22%・g 4%・k 7.5% の式の 9 割(PER 20.5 倍)。
- コア水処理・食品飲料の衛生:数量 1,690(産業水処理・食品飲料の衛生サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 7.0%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 118 億ドル・営業利益 20 億ドル。市場 1690 億ドル × シェア 4.95% × 価格指数 1.41
- ハイテク(半導体の超純水・データセンター冷却):数量 300(ハイテク向け水・冷却の市場=会社の言う機会(億ドル。2026 年に約 100 億ドルへ倍増))× 価格 14.3%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1。機器と超純水の単価は物価ほど上がらない))→ 売上 43 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 300 億ドル × シェア 13.00% × 価格指数 1.10
- 機関・特殊の衛生(ホテル・外食・医療・洗濯):数量 1,014(機関・特殊向け衛生・洗浄サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 9.7%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 99 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場 1014 億ドル × シェア 6.90% × 価格指数 1.41
- 害虫駆除:数量 348(事業用害虫駆除の世界市場(億ドル。推定))× 価格 6.6%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 23 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 348 億ドル × シェア 4.65% × 価格指数 1.41
- ライフサイエンス:数量 222(バイオプロセスの精製資材・洗浄の市場のうち、エコラボが取れる部分(億ドル。推定))× 価格 8.5%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 19 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 222 億ドル × シェア 6.00% × 価格指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 22.0%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.2%、g 4.0%(4 つの事業の市場(数量)× シェア × 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 21.9 倍(来年の利益に対して)。巡回網の堀が続き、ハイテクが育つ分、上限の 9 割(19.7 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 20.5 倍。時価総額 = 純利益 46 × 20.5 倍 = 933 億ドル。
確率:数量は市場並みの年 1.2% とシェアの微増、価格は物価並み(10 年 1.41 倍)、ハイテクは 2035 年に 43 億ドル。営業利益率は 18.0% から 20.8% へ(ナルコの償却の終了・効率化・ハイテクとライフサイエンスの構成比)。33%。
やや悲観 20% やや悲観:伸びが鈍り、ハイテクが期待を下回る 利益 36 億ドル · PER 17.6 倍 · 株価時価総額 224.51 ドル640 億ドル
売上は 265 億ドル(コア水処理 112・ハイテク 22・機関・特殊 94・害虫 21・ライフサイエンス 16)、営業利益 51 億ドル(利益率 19.1%)、純利益 36 億ドル(今の約 21 億から年 5.7%)。コア水処理・機関・特殊のシェアがわずかに落ち(ソレニスやベオリアとの競り合い)、数量は年 0.9% 程度。ハイテクは液冷の競争で価格が下がり、2035 年に 22 億ドル止まり。のれんの減損が出て、営業利益率は 19.1% に。買収で借金が膨らみ続け、自社株買いは細る。純利益は 10 年で約 1.7 倍、ROE は 18% へ下がり、成熟した評価も g 4%・ROE 18% の式で下がる。
- コア水処理・食品飲料の衛生:数量 1,650(産業水処理・食品飲料の衛生サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 6.8%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 112 億ドル・営業利益 18 億ドル。市場 1650 億ドル × シェア 4.80% × 価格指数 1.41
- ハイテク(半導体の超純水・データセンター冷却):数量 220(ハイテク向け水・冷却の市場=会社の言う機会(億ドル。2026 年に約 100 億ドルへ倍増))× 価格 10.0%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1。機器と超純水の単価は物価ほど上がらない))→ 売上 22 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 220 億ドル × シェア 10.00% × 価格指数 1.00
- 機関・特殊の衛生(ホテル・外食・医療・洗濯):数量 985(機関・特殊向け衛生・洗浄サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 9.5%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 94 億ドル・営業利益 23 億ドル。市場 985 億ドル × シェア 6.75% × 価格指数 1.41
- 害虫駆除:数量 334(事業用害虫駆除の世界市場(億ドル。推定))× 価格 6.3%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 21 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 334 億ドル × シェア 4.50% × 価格指数 1.41
- ライフサイエンス:数量 205(バイオプロセスの精製資材・洗浄の市場のうち、エコラボが取れる部分(億ドル。推定))× 価格 7.8%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 16 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 205 億ドル × シェア 5.50% × 価格指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 18.1%、k 7.50%(基本 8.0% + quality -0.5%)、残る割合 0.67(強い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.6%、g 3.8%(4 つの事業の市場(数量)× シェア × 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 20.0 倍(来年の利益に対して)。ハイテクの失敗と値引き圧力の分、上限の 8.5 割(17.0 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.6 倍。時価総額 = 純利益 36 × 17.6 倍 = 640 億ドル。
確率:数量とシェアが横ばいで、ハイテクが失速。買収の償却と借金で ROE が下がり、倍率が縮む。確率は 20%。
悲観 10% 悲観:巡回網の優位が崩れ、ハイテクの買収が失敗する 利益 19 億ドル · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 107.36 ドル306 億ドル
売上は 196 億ドル(コア水処理 87・ハイテク 6・機関・特殊 74・害虫 16・ライフサイエンス 12)、営業利益 31 億ドル(利益率 16.0%)、純利益 19 億ドル(今の約 21 億から年 -0.9%)。巡回網の優位が薄れる。大口顧客(食品・ホテルのチェーン)が入札で価格を下げさせ、内製や競合へ流れ、シェアが落ちる。価格改定は物価の 7 割にとどまる(10 年 1.28 倍)。ハイテクは AI 設備投資の調整とエヌビディアの設計の変更でクールイットが陳腐化し、のれんを大きく減損、2035 年に 6 億ドル止まり。営業利益率は 16%、純利益は今とほぼ同じ 19 億ドルで、もう優良な会社ではない。式では g 4%・ROE 14%・k 7.5% の 8.3 割で、倍率は 16 倍に下がる。
- コア水処理・食品飲料の衛生:数量 1,550(産業水処理・食品飲料の衛生サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 5.6%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 87 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 1550 億ドル × シェア 4.40% × 価格指数 1.28
- ハイテク(半導体の超純水・データセンター冷却):数量 100(ハイテク向け水・冷却の市場=会社の言う機会(億ドル。2026 年に約 100 億ドルへ倍増))× 価格 6.3%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1。機器と超純水の単価は物価ほど上がらない))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 100 億ドル × シェア 7.00% × 価格指数 0.90
- 機関・特殊の衛生(ホテル・外食・医療・洗濯):数量 900(機関・特殊向け衛生・洗浄サービスの世界市場(億ドル。推定))× 価格 8.3%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 74 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 900 億ドル × シェア 6.45% × 価格指数 1.28
- 害虫駆除:数量 300(事業用害虫駆除の世界市場(億ドル。推定))× 価格 5.4%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 16 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 300 億ドル × シェア 4.25% × 価格指数 1.28
- ライフサイエンス:数量 185(バイオプロセスの精製資材・洗浄の市場のうち、エコラボが取れる部分(億ドル。推定))× 価格 6.4%(エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 12 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 185 億ドル × シェア 5.00% × 価格指数 1.28
倍率:利益ベースの正当化 PER(2026-10-18 の決まりで引き直し):事業の ROE 13.8%(純利益 ÷ 自己資本)、k 7.55%、堀は強い(残る割合 0.67)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.7%。g 3.5%(前の置き方の市場・シェア・価格の内訳)で (1 − g/RONIC)/(k − g) = 17.3 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.9 倍。上限(g 4.5% の正当化 PER 20.2 倍)に対し、強い堀で利益の振れが小さいので上限の 9 割の 16.1 倍に置いた。前は ROE を薄めずに入れた式の値(実効 19.0 倍)。純利益は GAAP。
確率:競合の価格攻勢と大口顧客の内製化で数量が伸びず、価格改定が物価の 7 割に鈍る。ハイテクはのれんを減損し、営業利益率 16%、ROE 14%。もう優良ではなくなった会社を、倍率は式の通り下げて評価する。10%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
コア水処理・食品飲料の衛生
工場の冷却水・ボイラー水・排水、食品・飲料・乳製品工場の洗浄と殺菌、石油・ガスの薬品。遠隔監視(3D TRASAR)で最適量を入れる。グローバル・ウォーターのうちハイテクを除く部分。
| 数量産業水処理・食品飲料の衛生サービスの世界市場(億ドル。推定) | 価格エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 5.0% | 75 | 11 |
| 10 年後 中立 | 1,690 | 7.0% | 118 | 20 |
取り方:グローバル・ウォーター 2025 年約 80 億ドルのうち、ハイテク約 5 億ドルを除いた 74.8 億ドルをコアとした。世界市場は推定 1,500 億ドル(水処理薬品・食品飲料の衛生・関連サービス)、シェア 5.0%。営業利益率はグローバル・ウォーター全体の 2026 年上期 15.2%・4〜6 月の有機 15.9% から逆算して 15%。数量 = 市場、価格 = シェア × 価格指数。競合はベオリア・ケミラ・ソレニス・栗田工業・バックマンなどで、エコラボは巡回網の広さで個別領域より全体で優位。
ハイテク(半導体の超純水・データセンター冷却)
半導体工場の超純水(オビボ)とデータセンターの冷却水・液冷(クールイット)。グローバル・ウォーターに含まれるが、成長と利益率が別なので切り出す。
| 数量ハイテク向け水・冷却の市場=会社の言う機会(億ドル。2026 年に約 100 億ドルへ倍増) | 価格エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1。機器と超純水の単価は物価ほど上がらない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 5.0% | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 300 | 14.3% | 43 | 10 |
取り方:2025 年はオビボ(12 月完了)とクールイット(2026 年 7 月完了)をまだ含まず、ナルコのハイテク向け事業の約 5 億ドル(2021 年約 1.5 億ドルから年 25% 超で成長した値からの推定)。市場は買収後の会社の見立て 100 億ドル、シェア 5%。営業利益率 20%(会社の 2030 年目標 25%・機関・特殊 24% 超より低いと置いた推定)。買収で入る売上は将来の筋書きで、シェアの上昇として置く。
機関・特殊の衛生(ホテル・外食・医療・洗濯)
ホテル・外食・病院・介護施設・洗濯工場への洗浄剤・食器洗い機・消毒剤と衛生管理。
| 数量機関・特殊向け衛生・洗浄サービスの世界市場(億ドル。推定) | 価格エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 900 | 6.8% | 61 | 14 |
| 10 年後 中立 | 1,014 | 9.7% | 99 | 25 |
取り方:2025 年の売上 約 61.1 億ドル(10-K)。世界市場は推定 900 億ドル、シェア 6.8%。営業利益率 23.5%(2026 年 4〜6 月 24.1%・有機 +4%)。競合はディバーシー(ソレニス)・ケミラ・各国の地場。
害虫駆除
店舗・工場・病院・食品施設の定期的な害虫駆除。
| 数量事業用害虫駆除の世界市場(億ドル。推定) | 価格エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 280 | 4.5% | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 348 | 6.6% | 23 | 5 |
取り方:2025 年の売上 約 12.5 億ドル(10-K)。市場は推定 280 億ドル(事業用が中心)、シェア 4.5%。営業利益率 19.5%(2026 年 4〜6 月 20.1%)。競合はロリンズ(オーキン)・レントキル。有機成長 +7%。
ライフサイエンス
バイオ医薬品・製薬工場の洗浄・殺菌と、ピュロライトの精製用樹脂。
| 数量バイオプロセスの精製資材・洗浄の市場のうち、エコラボが取れる部分(億ドル。推定) | 価格エコラボのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 140 | 5.4% | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 222 | 8.5% | 19 | 5 |
取り方:2025 年の売上 約 7.5 億ドル(10-K)。市場は推定 140 億ドル、シェア 5.4%。営業利益率 22%(2025 年の営業利益 +30%、2026 年 4〜6 月 26.5%・有機 +15%、長期の目標 30%)。競合はダナハー(Cytiva)・サーモフィッシャー・メルク KGaA・レプリジェン。
リスクと懸念
AI データセンター投資の調整
クールイット(47.5 億ドル)とオビボ(18 億ドル)は、AI と半導体の設備投資の高さを前提に買った。投資が一服すると、ハイテクの成長(年 25% 超)が止まり、のれんの減損と借金の負担が同時に出る。ハイテクが 2030 年に 40 億ドルへ届かない場合、全社の売上成長は約 2 ポイント下がる。
買収後の借金
純負債は約 128 億ドル(EBITDA の約 3 倍)まで増えた。金利が高止まりすれば利払いが利益を削り、2 年で 2 倍に戻す計画のために自社株買いが細る。借り換えは 5.75% 前後の新しい金利になり、償却と金融費用で 2026 年下期の EPS 成長は 4〜5% に鈍る。
ホテル・外食・病院など需要の弱さ
機関・特殊は人流と外食の客数に連動する。2026 年は数量が +1% と低く、中東の混乱で一部の地域が止まった。景気後退で稼働が落ちれば、利益率の高い事業から先に減る。2020 年は売上が −7%、純利益が赤字(減損)になった。
原料高と転嫁の遅れ
薬品の原料は石油系・化学品が多く、2022 年のように急に上がると転嫁が数四半期遅れ、営業利益率は 11.3% まで落ちた。2026 年も中東の紛争で石油系が上がっており、転嫁の遅れが再び利益を削る。
液冷・超純水の新しい競合
ハイテクの競合は、バーティブ・シュナイダー・イートン・エヌベントなど、データセンターの熱管理に強い大手。設計の標準(エヌビディアの液冷仕様)が変わると、買収した製品が古くなる。価格競争になれば営業利益率 25% は守れない。
調整後の利益と GAAP の差・のれん
営業利益の調整(特別費用)は毎年 2 億ドル前後、2026 年 4〜6 月は 0.5 億ドル。ナルコの償却は 2027 年に終わるが、新しい買収の償却が上乗せされる。のれんの減損が出れば自己資本と ROE が一度に崩れる。
今後の分かれ目
- ハイテクの売上が 2027 年までに年 25% で伸び続け、営業利益率が 22% を超える
- 楽観の確率を上げる。2030 年の 40 億ドルが現実味を帯び、全社の営業利益率が 21% を超える経路に入る。ただし倍率は成熟後の式に収れんするため、時価総額への効きは利益の伸びの分だけ。
- AI 設備投資が 1〜2 年停滞し、クールイットの成長が 30% 以下に落ちる
- ハイテクの売上を 10 年で 20 億ドル台前半に下げ、のれんの減損を見込む。やや悲観の確率を 20% から 30% へ上げ、純負債/EBITDA 3 倍の長期化も織り込む。
- 機関・特殊の数量が 2 四半期続けてマイナスになる
- 外食・ホテルの需要の弱さが深いと見て、10 年のやや悲観の確率を上げる。機関・特殊の営業利益率 24% が 22% 台へ下がる可能性がある。
- 純負債/EBITDA が 2027 年末までに 2.3 倍以下に下がる
- 借金の重さが解消に向かうと見て、自社株買いの再開を織り込み、正味の還元を年 +2 億ドル上げる。k は変えない。
- 原料が急騰し、価格改定が 2 四半期遅れて営業利益率が 1 ポイント以上下がる
- 2022 年型の再来として、やや悲観を厚くする。ただし過去は半年〜1 年で戻っており、悲観には入れない。
- ソレニス・ベオリアなどの競合が食品・ホテルの大口顧客を、価格を下げて奪い始める
- 巡回網の優位が薄れた兆しとして、10 年の悲観(確率 10%)を 15% へ上げる。
見ておくもの
- ハイテクの売上(年換算 15 億ドル)の伸びと営業利益率の開示(22〜25%)
- 有機成長の内訳(価格 +4%・数量 +1%)の数量の戻り
- 純負債/EBITDA(3 倍から 2 倍へ戻る時期)と自社株買いの再開
- 機関・特殊とグローバル・ウォーターの営業利益率(24% と 15.7%)
- 2027 年のナルコ償却終了後の調整後 EPS の伸び(12〜15% が戻るか)
- 調整後と GAAP の差(特別費用)の大きさ
- 液冷の競合(バーティブ・シュナイダー・イートン)の受注とエヌビディアの設計の変更
倍率と資本コストの決め方
今の PER 約 40 倍には寄せていない。4 つの事業ごとに市場の大きさ × シェア × 価格を積み上げて営業利益を出し、金利と税から純利益を出した。倍率は k 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%:必需品で景気に強い分)・g 4%(市場・シェア・価格から出し、ROE からは出していない)・ROE(のれんを含む自己資本)14〜27% の式(堀は強い)の 8.3〜9.5 割に置き、10 年目の利益には ×(1+g) を掛けた。10 年の中立は 20.5 倍。今の PER(約 40 倍)や過去の中央値(約 30 倍)には寄せていない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。