結論
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所は、眼科領域を中心に新薬を開発し、製薬会社への技術供与で稼ぐ創薬企業である。筆者の結論は「割高」だ。既存製品の特許満了で収益基盤が細る一方、新薬開発の成果が利益になるまでには長い時間と多額の資金が必要だからである。
この会社を単なる研究だけの企業として片付けるべきではない。興和が販売する緑内障治療薬や、DORCが販売する眼科手術補助剤には上市実績がある。H-1337では米国後期第Ⅱ相試験で良好な結果を得ており、K-321もグローバル第Ⅲ相試験の観察期間を終えた。医薬品を患者に届けた経験と複数の開発機会には確かな意味がある。
しかし、過去の成功は将来の株主利益を保証しない。2025年の売上の約84%を占めたDORC向け収益は、米国外の特許満了で既に大きな転換点を迎えた。H-1337は日本での第Ⅲ相開始が2029年以降の計画であり、承認も上市も未確定である。K-321やBondlidoがその間の収益の谷をどこまで埋めるかが問われる。
さらに見逃せないのは株式の希薄化だ。2026年10月に発行された第14回新株予約権は、全行使なら3900万株の追加発行につながる。今の株主に残る会社全体の持分は約59.6%まで下がり得る。現金が会社に入る利点と、利益を受け取る株主が増える不利益を同時に考える必要がある。
5つの筋書きから求めた現在の本質価値は約8.4億円で、基準時点の時価総額約37.4億円を約78%下回る。開発が順調に進んだ場合の上振れは大きいが、その可能性に対して現在の株主が負担する資金調達と開発失敗のリスクも大きい。長期保有に必要な安全域は乏しいと判断する。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に問うべきなのは、10年後に何を所有しているかである。この会社の場合、現在の主要な売上を支えた特許は満了に向かっている。したがって今あるロイヤリティだけを所有するのではなく、まだ承認されていない薬の開発権と、その開発を完遂するための資金調達能力を所有することになる。
本当に優れた企業なら、稼いだ利益を再投資するほど利益の総額も増え、株主の持分も厚くなる。デ・ウエスタンでは順序が逆である。研究開発費を先に支払い、成果が出なければさらに外部資本を集める。利益の成長と資本の希薄化を別々に見ず、今の株主に帰属する最終的な利益を考えなければならない。
H-1337には大きな可能性がある。良好な第Ⅱ相結果、独自の作用機序、千寿製薬との関係は、その可能性を支える事実だ。一方、日本の第Ⅲ相試験がこれからである以上、承認された薬と同じ確実さで評価することはできない。仮に成功しても、提携先への取り分、後続の競合薬、価格引下げ、特許の残存期間によって株主の実際の収益は変わる。
K-321はむしろ現在の不確実性を減らす重要な候補だ。第Ⅲ相試験の観察が終わり、興和が開発費を負担しているため、同社が追加で支払う資金はH-1337より小さい。承認と商業化が確認されれば、短期の収益の谷を埋め、将来の増資負担も軽くする。このように開発品を承認確度、商業化までの時間、当社の資金負担で分けて考えることが大切だ。
筆者は、会社の研究能力を否定するつもりはない。しかし、保有期間が10年あっても治験の成功と資本配分を予測し切ることは難しい。特許で守られた利益が複数年続き、研究投資を自力で賄い、新株発行に頼らなくなった時に初めて、長期保有にふさわしい経済的な堀が広がったと評価できる。
何で稼ぐ会社か
収益の仕組みは、医薬品そのものを大量生産して販売する一般的な製薬会社とは異なる。自社で薬の候補物質を見つけ、研究や臨床開発を進め、興和、DORC、ロート製薬などの提携先に権利を許諾する。契約一時金、治験や承認の節目に受け取る収入、上市後の販売実績に応じたロイヤリティが売上になる。正式な報告セグメントは創薬事業の一つだけだが、経済性を判断するには製品と契約ごとに分ける必要がある。
2025年の販売先別売上は、DORC向けが3.27224億円、興和向けが0.60051億円だった。DORC向けは眼科手術で膜を染色するDW-1002系製品の権利収入である。欧州などでは特許が2025年12月に満了した。米国のTissueBlue関連は特許保護が残るものの、2026年上期には契約延長の交渉のため米国分の収益認識も滞っていた。すなわち、2025年までの売上をそのまま10年後へ伸ばすことはできない。
興和向けの中心は緑内障治療薬グラアルファである。興和が開発、製造、販売を担うため、同社の負担は比較的小さい。日本に加えてアジアで販売地域が広がっている。ただし、興和が販売する医薬品全体の売上が、そのままデ・ウエスタンの売上になるわけではない。会社が示すグラアルファの国内ピーク売上高81億円は、販売元の製品売上に関する見通しである。
次の候補はK-321とH-1337だ。K-321はフックス角膜内皮変性症の患者に手術後の点眼治療を提供する開発品であり、興和がグローバル第Ⅲ相試験を担う。H-1337は複数のキナーゼを標的にする緑内障治療薬で、米国後期第Ⅱ相試験を終えたが、商業化前の投資負担が大きい。千寿製薬との提携を経て日本での開発を優先する方針に転じた。
このほか、メドレックスと共同開発したリドカインテープ剤Bondlidoは米国承認を取得済みで、販売開始後の成果分配が期待される。DWR-2206、H-1129、DW-1002の新たな適応や配合剤も候補となる。もっとも、各案件の収入時期と金額は大きく異なり、すべてが予定どおり会社の利益に結び付くと考えるべきではない。
優良さと弱いところ
この会社には創薬の能力を裏付ける実績がある。リパスジル由来の上市薬が生まれ、眼科手術補助剤の権利を取得して海外販売につなげた。独自の化合物ライブラリーと標的タンパク質の探索技術も持つ。薬の候補を発見するだけでなく、製薬会社と組んで製品化まで進める経験を積んだことは、同じ規模の研究段階の企業との違いである。
ただし、長期保有で重視したい堀、つまり競争相手に簡単には奪われない利益の源泉は、会社全体ではまだ弱い。医薬品の特許は保護期間中こそ強いが、満了すればロイヤリティが終わり得る。DW-1002の欧州などで既にその問題が表面化した。H-1337の有望な臨床結果も、承認と販売を経て初めて持続的な稼ぐ力の証拠になる。
値決めの力も限定的だ。薬価は規制や償還制度に左右され、提携契約の取り分は大手製薬との交渉で決まる。DORCや興和から継続収入が入る点は魅力だが、主要顧客が少ないため、一つの特許や契約の変更が会社全体に直結する。値上げを毎年通しながら数量を増やしてきたという、強い企業に見られる実績も確認できない。
資本効率は厳しい。2019年を除いて近年は赤字が続き、2025年の自己資本利益率も大幅なマイナスだった。研究開発から回収できた利益の累計が、外部から集めた資本に見合っているとは言い難い。2020年から2025年にかけて株式数が大きく増えたことも、既存株主にとって重い。
一方で、研究設備を大量に持つ事業ではなく、外部の開発機関や提携先を使うため、開発の優先順位を変えて費用を抑える余地はある。2024年から2025年に研究開発費が減少した実績もある。今後は研究の成果そのもの以上に、どの案件に資本を集中し、どの段階で提携先に負担を移すかが企業の質を決める。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
眼科治療の需要は10年後も消えない。高齢化は緑内障や角膜疾患の患者を増やし、新しい治療法が必要な領域も残る。米疾病対策センターの推計では、2022年の米国の緑内障患者は約422万人である。会社資料は米国の緑内障薬市場を約30億ドルと紹介している。世界的な市場が存在することと、デ・ウエスタンがその市場から利益を得ることは別の問題である。
緑内障治療では、プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、既存のROCK阻害薬など多くの選択肢がある。Alcon系のnetarsudilなども競合となる。グラアルファとH-1337は、既存薬で十分に眼圧を下げられない患者や併用治療で活路を探すことになる。数量の上限は患者総数ではなく、適応があり、医師が実際に処方し、一定期間使い続ける患者数で決まる。
K-321の対象となるフックス角膜内皮変性症について、会社は米国約600万人、欧州約1600万人という患者数の推計を示す。ただし、この人数すべてが手術後にK-321を使うわけではない。症状の重さ、手術の適応、術式の普及、治験結果が市場を絞る。競争相手には角膜移植、デスメ膜剥離手術の改善、他の薬剤や細胞治療がある。市場規模の大きさを、そのまま販売数量に置き換えないことが肝心だ。
DW-1002の眼科手術補助剤は、DORCが複数地域で販売してきた製品であり、累積の使用実績がある。しかし、競合する染色剤を含む市場の共通した数量統計と各社シェアは十分に開示されていない。したがって独占的地位を数字で断定せず、特許満了後は契約更新や新製品の採用を確認する。Bondlidoも、既存のリドカイン貼付薬や後発品が競争相手である。
創薬業界では、試験が良好でも、その次の大規模試験で失敗することがある。公表された臨床開発統計には、眼科領域で第Ⅱ相から承認まで進む確率が約34%という集計がある。これはH-1337固有の確率ではないが、良好な第Ⅱ相結果と承認を同一視してはならないことを教える。PMDAやFDAの要求、製造品質、薬価や保険償還が10年間の収益を左右する。
さらに資金市場の条件が業界の淘汰を決める。開発会社は利益が出る前に現金を使うため、株価低迷時の増資は大幅な希薄化を招く。東証グロース市場では2030年から時価総額100億円の上場維持基準が導入される。猶予制度はあるが、現在の時価総額がこの水準を大きく下回る同社にとって、事業の進捗だけでなく上場形態の維持も重要な問題になる。
資本政策と M&A
過去10年間の資本配分を評価すると、株主への還元よりも研究開発の継続を優先してきた。利益を安定して生み出せず、増資や新株予約権を通じて開発資金を補っている。上場後に上市実績を作ったことは評価できるが、増分の投下資本利益率が資本コストを上回ったとは判断できない。株式数の増加も続き、既存株主の持分価値は薄まっている。
2017年にはDW-1002関連事業を取得し、後にDORC向けロイヤリティが売上の主力となった。これは外部技術の導入から収入を作った例である。ただし、取得対価を含めた累積の投資収益率は確認できず、特許満了後の持続性も弱い。2020年のメドレックスとの共同開発、2022年のアクチュアライズとの共同開発、2026年の千寿製薬との提携は、開発リスクと資金負担を分かち合う意味を持つ。
2026年9月には第13回新株予約権を取得・消却し、第14回新株予約権390000個を新たに発行した。対象株式数は最大3900万株、当初行使価額は79円、下限は44円である。10月1日に権利自体の払込みが完了したが、株式の全行使と資金の全額調達が完了したわけではない。下限で全行使した場合の株式払込額は約17.16億円となる。併せて5億円の無担保社債を発行しており、これは株主資本ではなく返済義務を伴う資金である。
会社の事業計画には、2026年12月期の売上高3億円、営業損失7.8億円、純損失8億円という具体的な見通しがある。一方、2030年や2035年の売上高、営業利益、ROEについて確約された定量目標はない。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの金額についても数字の約束なしである。
実際の配当実績と自己株買いの乏しさから、10年間の配当・自社株買いは全筋書きでゼロとする。余剰資金の株主への戻り方は0.75と判断したが、これは将来の配当を予想した数字ではない。会社に残る資金は、まず開発と借入返済に使われる可能性が高い。M&Aによる売却や大手製薬による買収も出口にはなり得るが、現時点で具体的な公開買付けがあるものとして価値に加えていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社を評価するうえで最も強い証拠は、研究成果を実際の医薬品に変えてきた経験だ。グラナテック、グラアルファ、DW-1002関連製品を通じて、提携先との開発、承認、販売、ロイヤリティ受領の一連の流れを実現している。研究段階で止まっている創薬会社とは異なる。
H-1337の米国後期第Ⅱ相試験では有効性と安全性に関する良好な結果を得た。複数のキナーゼに作用する薬として、従来薬では十分な眼圧下降が得られない患者への選択肢になる可能性がある。日本の開発を優先する判断も、千寿製薬の国内での販売や開発の知見を利用できるなら合理的だ。
K-321はさらに開発段階が進み、二つのグローバル第Ⅲ相試験の観察期間を終えた。興和が研究開発を担っているため、上市した際のロイヤリティは当社の利益に結び付きやすい。Bondlidoは既に米国承認を得ており、DWR-2206やDW-1002の新製品も収益源の分散に貢献し得る。
創薬の成功が重なれば、売上が大きく増えても自社で大工場を建てる必要はない。将来のロイヤリティ収入の大部分が研究開発と本社費を超えて利益に残る構造は魅力的だ。第14回新株予約権の行使による資金調達を進められれば、目先の開発資金不足も緩和される。現在の小さな売上からは想像しにくい利益水準に到達する余地がある。
慎重な見方
過去の上市実績を高く評価しても、今の主要収益は特許の満了によって縮小している。2025年のDORC向け売上が全体の約84%を占めた事実は、収益源の集中を示す。2026年上期には米国分の契約更新交渉による収益認識の遅れも起きており、既存事業が安定した土台であるとは言いにくい。
H-1337は良好な第Ⅱ相結果を持つが、第Ⅲ相での再現性、必要症例数、対照薬との比較、長期安全性、薬価の決定を経なければならない。日本での第Ⅲ相開始は2029年以降の計画であり、米国の開発開始時期も改めて検討する方針だ。患者数が多いというだけでは開発費の回収を約束できない。
K-321にも不確実性が残る。治験の観察期間終了は有効性の統計的な達成や規制当局の承認とは異なる。対象患者が多くても、実際に薬を必要とする術後患者は限られる。Bondlidoでは後発リドカイン製剤との競争があり、販売提携の条件と売上次第で受け取る成果分配も変わる。
最大の弱点は資本の調達方法だ。2026年に発行された新株予約権が全行使されれば、現在の株主の持分は大きく薄まる。行使されなければ今度は開発資金が不足する。赤字が続けば、その次の増資も必要になり得る。2030年からのグロース市場の上場維持基準も、事業が計画どおり進まない場合の再編圧力になる。会社の創薬技術が残っても、現在の株主に利益が十分残らない場合がある。
どちらに重みを置いたか
薬の候補物質と臨床開発の実績については前向きな材料が多い。一方、既存ロイヤリティの満了、H-1337の商業化までの長さ、資金調達に伴う希薄化は、既に起きているか日程が明らかな事実である。第Ⅱ相から承認までの眼科領域の統計も踏まえ、H-1337が2035年までに十分な商業収入を生む上側の確率を32%とした。
中立の28%は、K-321やBondlidoなどが収益を生む一方、H-1337の本格上市が間に合わない筋書きである。下側は40%と上側より厚くした。これは一般的な創薬リスクを機械的に重ねたためではない。売上の集中と特許満了が重なり、開発期間中に追加資金調達が必要になるという会社固有の事情による。利益の上振れよりも、今の株主に残る取り分の不確かさを重く見た結論である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 35 円20 億円(+ 還元の換算額還元の合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 15 円8 億円、今との差 −75.3%、 期待の年率 −5.0%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 190 円109 億円 | 0 円0 億円 | +222.9% | +12.4% | 19 円11 億円 |
| やや楽観 | 22% | 62 円35 億円 | 0 円0 億円 | +4.5% | +0.4% | 14 円8 億円 |
| 中立 | 28% | 6 円4 億円 | 0 円0 億円 | −89.7% | −20.3% | 2 円1 億円 |
| やや悲観 | 25% | 3 円2 億円 | 0 円0 億円 | −94.1% | −24.6% | 1 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 1 円0 億円 | 0 円0 億円 | −98.7% | −35.4% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 35 円20 億円 | 0 円0 億円 | −40.2% | −5.0% | 35 円20 億円 |
今の株価時価総額 59 円34 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% H-1337の日米上市と複数の新製品が成功 利益 17 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 190 円109 億円
H-1337の日本での第Ⅲ相試験が順調に進み、千寿製薬との協力によって承認と上市に至る。日本で得た安全性と有効性のデータを使い、米国でも提携先を得て2035年までに販売が始まる。既存薬で十分に眼圧が下がらない患者に処方が広がり、日米で年間16万人相当の継続治療患者を獲得する。
K-321も興和の開発が成功し、米国と欧州でフックス角膜内皮変性症の術後治療として普及する。グラアルファはアジア展開が進み、Bondlido、DWR-2206、新しいDW-1002製品などから複数の収入が立つ。既存DW-1002の旧特許が失効しても、新製品の収益がそれを大きく超える。
研究開発費は増えるが、販売や製造の大半を提携先が担うため利益率は高まる。第14回新株予約権の行使により開発資金を確保し、追加の大規模増資には頼らずに済む。2035年の売上高は約44億円、純利益は17億円となり、その後も新しい化合物を生み続ける企業へ移行する。
- 興和向けリパスジル関連ロイヤリティ:数量 150,000(年間の処方患者年換算数(人年、推定))× 価格 1,200(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。アジアを含め処方患者年15万人相当。規制薬価のため名目の受取単価はほぼ横ばい。
- DORC向け既存DW-1002ロイヤリティ:数量 0.0(年間の眼科手術用染色剤使用件数(件、推定))× 価格 3,600(1使用件数当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。既存特許による旧製品の収入は終了。新製品分はその他収益に区分。
- K-321フックス角膜内皮変性症治療:数量 75,000(年間の適応手術後の投与患者数(人、推定))× 価格 4,600(1治療コース当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 3 億円。日米欧への拡大を見込み、年間7.5万人の適応患者に使用。
- H-1337緑内障治療薬:数量 160,000(年間の継続投与患者数(人年、推定))× 価格 18,000(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 25 億円。日米で年16万人の継続患者を獲得。企業に帰属する受取額で計上。
- Bondlido・新規DW-1002・DWR-2206等のその他収益:数量 4.0(年間収益を生む案件数(件、推定))× 価格 2.50(案件1件当たり年間収益(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 9 億円。Bondlidoなど四つの独立した案件から年間各2.5億円の収益。
倍率:ROEは17億円÷76億円で約22.4%となり、k9.25%を上回る。堀は弱いとして超過収益の残存率を3分の1にすると、増分ROICは約13.6%である。ただし2035年以降の名目成長率g_longは0%とし、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷9.25%=10.81倍を採用する。市場の過去のPERを根拠としない。
確率:H-1337の日本と米国の開発がともに成功し、K-321や他の開発品も収益化する複合的な成功を想定する。第Ⅱ相以降の承認確率、開発の長さ、米国開発を後回しにした現行方針を踏まえると、大きな上振れだが実現確率は限定的である。
やや楽観 22% H-1337が日本で成功し、収益の柱になる 利益 6 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 62 円35 億円
H-1337は日本での用量確認と第Ⅲ相試験を順調に終え、承認を取得する。日本市場で既存治療薬の追加選択肢として評価され、年間8万人相当の継続患者を獲得する。一方、米国では提携条件や追加試験の調整が続き、2035年の売上には本格的な販売収入を織り込まない。
K-321は興和の開発努力が実り、米国での販売から欧州にも広がる。グラアルファは日本とアジアで着実に伸び、Bondlidoや新DW-1002製品も小さいながら継続収入をもたらす。開発品の収益が複数に分かれ、DORCの旧特許への依存から脱する。
売上高は約22億円まで伸びるが、H-1337の次の適応や新薬探索には引き続き研究費が必要となる。純利益は5.5億円まで改善する。事業そのものは黒字化し、外部資金調達の頻度は下がるが、2026年に設定された新株予約権の潜在的な希薄化は現在株主の取り分に残る。
- 興和向けリパスジル関連ロイヤリティ:数量 135,000(年間の処方患者年換算数(人年、推定))× 価格 1,200(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。アジア拡大で数量を伸ばすが薬価引下げで受取単価は横ばい。
- DORC向け既存DW-1002ロイヤリティ:数量 0.0(年間の眼科手術用染色剤使用件数(件、推定))× 価格 3,600(1使用件数当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。旧特許の終了を反映。
- K-321フックス角膜内皮変性症治療:数量 50,000(年間の適応手術後の投与患者数(人、推定))× 価格 4,300(1治療コース当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。承認後、適応手術を受ける患者の一部を獲得。
- H-1337緑内障治療薬:数量 80,000(年間の継続投与患者数(人年、推定))× 価格 16,000(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 11 億円。日本市場が中心。米国上市収入は算入しない。
- Bondlido・新規DW-1002・DWR-2206等のその他収益:数量 3.0(年間収益を生む案件数(件、推定))× 価格 1.80(案件1件当たり年間収益(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 5 億円。三つの製品・契約から年間各1.8億円の収益。
倍率:ROEは5.5億円÷30.8億円で約17.9%と資本コスト9.25%を上回る。弱い堀を前提とする増分ROICは約12.1%である。特許期間を超えて名目成長が続くとは仮定せずg_long=0%を採用するため、正当化PERは1÷9.25%=10.81倍となる。
確率:米国後期第Ⅱ相の良好な結果と千寿製薬との提携を評価する一方、2035年までに米国での商業化が本格化するとは限らない。日本での承認とK-321の販売開始が重なる上側の筋書きとして22%とした。
中立 28% K-321などは収益化するがH-1337の本格上市は間に合わない 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6 円4 億円
K-321は興和による開発を経て販売が始まるが、適応となる手術患者が限られ、売上の立ち上がりは緩やかになる。Bondlidoも米国で販売され、会社には成果分配金が入る。グラアルファはアジアで販売地域が広がり、2025年より多い患者に使われるようになる。
一方、H-1337は日本での第Ⅲ相試験が長引くか、承認後の販売開始が2035年より後になる。候補物質としての価値は残るものの、2035年の売上には計上しない。米国外で特許が満了したDW-1002旧製品からの収益は減り、米国の旧特許による収入も終了する。
会社は研究の一部を絞り込み、外部委託や提携先の負担を増やして固定費を削減する。それでも売上約5.8億円では十分な利益を生み出せず、2035年に小幅な赤字が残る。2026年の新株予約権の行使だけでは途中の開発費を賄い切れず、追加の株式調達を要する。持分が薄まるため、医薬品開発が続いても現在株主の価値は低くとどまる。
- 興和向けリパスジル関連ロイヤリティ:数量 115,000(年間の処方患者年換算数(人年、推定))× 価格 1,200(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。処方患者年は2025年推定の2.3倍。価格は薬価改定で物価並みには上げない。
- DORC向け既存DW-1002ロイヤリティ:数量 0.0(年間の眼科手術用染色剤使用件数(件、推定))× 価格 3,600(1使用件数当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。旧製品の特許によるロイヤリティは2035年には終了。
- K-321フックス角膜内皮変性症治療:数量 35,000(年間の適応手術後の投与患者数(人、推定))× 価格 4,000(1治療コース当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。会社推計の米国有病者約600万人のうち、実際に適応手術を受ける一部の患者を対象とする。
- H-1337緑内障治療薬:数量 0.0(年間の継続投与患者数(人年、推定))× 価格 16,000(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。開発価値は残るが2035年時点で継続的な上市売上なし。
- Bondlido・新規DW-1002・DWR-2206等のその他収益:数量 2.0(年間収益を生む案件数(件、推定))× 価格 1.50(案件1件当たり年間収益(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 3 億円。Bondlido等の二つの案件からそれぞれ年間1.5億円の収益。
倍率:2035年にもROEが約マイナス7.1%で、資本コスト9.25%を大きく下回る。赤字のためPERでは評価せず、開発費を削った後の換金可能な純資産と事業継続能力を合わせて評価する。新株予約権による17.16億円と追加資金調達約15億円を仮定し、期間損失累計約32.5億円を控除すると自己資本は約14億円となる。その半分が株主価値として残るとみる。過去の市場PBRは使わない。
確率:H-1337の後期第Ⅱ相結果は良好だが、日本の第Ⅲ相開始計画は2029年以降であり、2035年までに相当な継続販売収入を得るとは限らない。進んだ開発段階にあるK-321と承認済みBondlidoを一定程度評価しつつ、H-1337の大成功を中立の既定値にしない。
やや悲観 25% 開発の遅延と増資が続き、研究を大幅縮小 利益 −2 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3 円2 億円
H-1337は第Ⅲ相試験への移行が遅れるか、試験条件の変更を求められ、2035年までに上市できない。K-321も申請の遅れや有効性の評価が事業化の障害となり、目立ったロイヤリティ収入を生まない。Bondlidoなど一部の承認済み製品からは収入が続くが、会社全体の研究開発費を賄う水準にはならない。
DW-1002の旧製品は特許満了によって収益がなくなる。グラアルファは存続するものの、競合薬や薬価改定によって処方数量の伸びが止まる。大手製薬に新しい開発品を導出しようとしても、希望する契約金を得られず交渉が長引く。
会社は研究テーマを大幅に減らし、外部の研究機関への支払いも削る。費用を削っても営業赤字が残るため、保有現金を消費しながら再度の株式調達を進める。未承認パイプラインには清算時の確実な売却価値を認めず、2035年に残る純現金を株主価値の床として評価する。現在株主の持分は約40%まで低下する。
- 興和向けリパスジル関連ロイヤリティ:数量 50,000(年間の処方患者年換算数(人年、推定))× 価格 1,200(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量は2025年の推定水準にとどまり、名目単価も据え置き。
- DORC向け既存DW-1002ロイヤリティ:数量 0.0(年間の眼科手術用染色剤使用件数(件、推定))× 価格 3,600(1使用件数当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。旧製品の特許収益は終了。
- K-321フックス角膜内皮変性症治療:数量 0.0(年間の適応手術後の投与患者数(人、推定))× 価格 4,000(1治療コース当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。開発遅延又は採用難により販売収益なし。
- H-1337緑内障治療薬:数量 0.0(年間の継続投与患者数(人年、推定))× 価格 16,000(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。未上市のまま。
- Bondlido・新規DW-1002・DWR-2206等のその他収益:数量 1.0(年間収益を生む案件数(件、推定))× 価格 0.60(案件1件当たり年間収益(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。小規模な成果分配のみが継続。
倍率:赤字でROEがk9.25%を下回るため、将来の大きな自己資本に倍率を掛けない。評価用の分母は2025年の自己資本14.3億円で固定する。事業の継続利益に正の価値を認めず、2035年に残る純現金5.005億円を床とする。PBR0.35倍はその資産価値を現在の自己資本で表したもので、過去の市場倍率ではない。
確率:H-1337の追加試験が遅れ、K-321の事業化も限定的となる筋書き。2026年上期の継続赤字、既存特許の満了、追加資金需要という会社固有のリスクを踏まえ、十分にあり得る下側の展開として25%とした。
悲観 15% 主力開発が失敗し、事業の大半が縮小 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1 円0 億円
H-1337は臨床試験で十分な有効性を再現できず、主要な開発を中止する。K-321も承認に至らないか、商業化が難しいと判断される。Bondlidoと新しいDW-1002製品も期待した収入を生まず、既存DW-1002の特許満了で主力売上が消える。
グラアルファだけは一部の処方で残るが、後続薬や薬価改定に押されて収入は小さくなる。大学や提携先との共同研究を大幅に縮小し、研究開発部門の維持も難しくなる。製薬会社によるパイプラインの一部買収や会社全体の再編が現実的な選択肢となる。
現金の流出を止めるため、研究費と本社費を切り詰めるが、小幅な赤字は続く。株式の追加発行を重ねても、既存株主への帰属割合は約30%にとどまる。2030年以降の上場維持基準にも適合できず、事業再編や上場市場の変更、最終的な上場廃止に至る可能性がある。価値をゼロとはせず、最後に残る純現金だけを評価する。
- 興和向けリパスジル関連ロイヤリティ:数量 20,000(年間の処方患者年換算数(人年、推定))× 価格 1,000(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。既存処方の一部だけが残る。薬価引下げで単価も縮小。
- DORC向け既存DW-1002ロイヤリティ:数量 0.0(年間の眼科手術用染色剤使用件数(件、推定))× 価格 3,600(1使用件数当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。旧ライセンス収益は終了。
- K-321フックス角膜内皮変性症治療:数量 0.0(年間の適応手術後の投与患者数(人、推定))× 価格 4,000(1治療コース当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。承認又は商業化に失敗。
- H-1337緑内障治療薬:数量 0.0(年間の継続投与患者数(人年、推定))× 価格 16,000(患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。主力開発の中止により売上なし。
- Bondlido・新規DW-1002・DWR-2206等のその他収益:数量 0.0(年間収益を生む案件数(件、推定))× 価格 1.00(案件1件当たり年間収益(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新規の契約収入を得られない。
倍率:赤字継続のため事業純利益からの価値はゼロ以下となる。PBRは現在の自己資本14.3億円を固定分母として用い、2035年の想定残余純現金1.43億円を表現する。会社が存続しても未承認パイプラインの価値を確実なものとは認めず、正の小さい価値だけを残す。
確率:H-1337とK-321の両方が収益化せず、資金調達条件も悪化する複合的な失敗を想定する。臨床試験が長く、既存ロイヤリティの満了が確定的であるため、低頻度ではあるが15%を見込む。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
興和向けリパスジル関連ロイヤリティ
グラアルファを中心とした緑内障・高眼圧症治療薬の実施料。販売と開発の主な負担は興和が持つ。
| 数量年間の処方患者年換算数(人年、推定) | 価格患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 50,000 | 1,201 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 115,000 | 1,200 | 1 | 1 |
取り方:2025年有価証券報告書の興和向け売上60051千円を確定値とする。販売患者数と契約上のロイヤリティ率は非開示のため、国内とアジアの処方患者を年間50000人年相当と仮定し、60051000円をこの数量で除して患者年単価1201.02円を逆算した。これは開示された処方数量ではない。2024年にグラナテック国内ロイヤリティが満了したため、将来はグラアルファの普及を中心に見積もる。セグメント営業利益は公式には非開示で、原価負担が比較的小さいライセンス収入の貢献額を推定した。
DORC向け既存DW-1002ロイヤリティ
ILM-Blue、TissueBlue、MembraneBlue-Dualなど眼科手術用染色剤の既存ライセンス収入。
| 数量年間の眼科手術用染色剤使用件数(件、推定) | 価格1使用件数当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120,000 | 2,727 | 3 | 3 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 3,600 | 0 | 0 |
取り方:2025年有価証券報告書のDORC向け売上327224千円を確定値とする。DORCは複数の眼科手術用染色剤を販売しているが、会社側は製品別の件数、薬剤販売単価、実施料率を開示していない。年120000件を規模感を表すための仮定とし、327224000円を除した2726.87円を1件当たり受取額とした。累積手術実績などはこの仮定の参考にすぎず、数量は実測値ではない。米国外の特許は2025年末に満了し、米国特許も2031年3月までとされるため、旧製品の権利収入を2035年まで永久には延ばさない。
K-321フックス角膜内皮変性症治療
興和が開発する手術後のリパスジル点眼薬。第Ⅲ相試験の観察期間は終了したが、承認と販売は未確定。
| 数量年間の適応手術後の投与患者数(人、推定) | 価格1治療コース当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 3,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 35,000 | 4,000 | 1 | 1 |
取り方:2025年末時点では未上市のため販売患者数も売上もゼロ。3000円は将来の単価を比較するための仮定であって、会社が開示した契約単価ではない。会社資料の米国約600万人、欧州約1600万人という有病者推計から、実際に適応手術を受ける患者はごく一部と考える。2035年の数量は手術患者のうちK-321が選ばれる人数として別途推計する。
H-1337緑内障治療薬
米国後期第Ⅱ相試験で良好な結果を得た自社開発品。日本の開発を優先し、2029年以降の第Ⅲ相開始を計画する。
| 数量年間の継続投与患者数(人年、推定) | 価格患者1人年当たりDWTI帰属ロイヤリティ(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 12,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 16,000 | 0 | 0 |
取り方:未上市なので2025年の数量と売上はゼロ。12000円は将来のライセンス収益を換算するための仮定で、締結済み販売契約の実施料率ではない。米国の緑内障患者422万人という公的推計と会社資料の薬剤市場約30億ドルを需要の上限として参照する。例えば2035年に継続患者8万人、受取額16000円なら年間売上12.8億円となるが、これは医薬品メーカーの総販売額ではなくDWTIに帰属すると仮定した取り分である。
Bondlido・新規DW-1002・DWR-2206等のその他収益
Bondlidoの成果分配、既存特許に依存しない新DW-1002製品、DWR-2206、H-1129、その他の新規提携に関する収益。
| 数量年間収益を生む案件数(件、推定) | 価格案件1件当たり年間収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 1.50 | 3 | 3 |
取り方:2025年売上総額387620千円から主要顧客DORC327224千円と興和60051千円を差し引くと345千円となる。これをその他収入の残差として計上した。案件数1件は表示上の換算単位であり、開示された契約件数ではない。将来のBondlido等は製品ごとの販売件数と当社取り分が未開示のため、各製品から実際に受け取る年間収益を一つの案件と数える。新DW-1002製品の収入は既存DORCロイヤリティと重複させない。
リスクと懸念
H-1337の承認失敗と上市の遅延
米国後期第Ⅱ相試験で良好な結果が出ても、大規模な第Ⅲ相試験で同じ効果が再現されるとは限らない。日本での第Ⅲ相開始は2029年以降の計画であり、米国の開発時期も再検討されている。試験が遅れれば費用が増えるだけでなく、2035年までに収益を得られる期間も短くなる。
DW-1002の特許満了とDORCとの契約更新
2025年の売上の約84%がDORC向けだった。米国外の特許は2025年12月に満了し、米国分も2031年までの特許期間に制約される。2026年には米国向けロイヤリティの契約延長交渉による収益認識の遅れも発生した。旧製品の売上が縮む前に新製品収益を作れなければ、開発資金の不足が加速する。
K-321の臨床結果と適応患者の狭さ
K-321は第Ⅲ相試験の観察期間を終えているが、結果の分析、申請、承認、医師の採用という段階が残る。有病者数が多くても、実際に適応手術を受ける患者は限られる。興和が開発費を負担することは利点だが、想定した治療対象が広がらなければ、DWTIのロイヤリティは小さいままになる。
新株予約権の行使と追加増資による希薄化
2026年に発行した第14回新株予約権は最大3900万株に相当し、すべて行使されれば現在株主の持分は約59.6%になる。株価が低迷すれば予定額の資金調達が難しくなり、開発を続けるためにさらに不利な条件で株式を発行する可能性がある。資金調達の成功を事業価値に加える一方、取り分の縮小も必ず同時に数える必要がある。
2030年からの東証グロース上場維持基準
2030年から時価総額100億円の新たな上場維持基準が導入される。追加の適合計画による猶予はあるが、現在の時価総額との差は大きい。H-1337やK-321の成果が予定より遅れた場合、資本提携、買収、他市場への移行、上場廃止などを検討せざるを得なくなる可能性がある。現時点で上場廃止が決定しているという意味ではない。
薬価規制、競合製品、提携先への依存
緑内障薬には既存薬と新薬の競争があり、K-321には他の手術法や細胞治療という代替選択肢がある。Bondlidoはリドカイン系の既存品や後発品と競争する。医薬品の価格と適応範囲は規制当局や保険制度に左右されるうえ、販売の実行力は提携先に依存する。患者数の増加が自社のロイヤリティ増加につながるとは限らない。
今後の分かれ目
- K-321のグローバル第Ⅲ相の結果が主要評価項目を満たし、規制当局が申請を受理したら
- 中立の数量前提を上方修正し、H-1337に依存しない収益の確度を高める。ただし、有病者全員を市場規模に使わず、対象手術件数と承認された適応範囲を確認する。
- H-1337の日本での用量確認試験が順調に終わり、2029年以降に第Ⅲ相が実際に始まったら
- 開発遅延のリスクを少し下げる。治験開始だけで上市を確定扱いせず、主要評価項目、症例数、試験費用、千寿製薬との経済条件を更新する。
- H-1337の第Ⅲ相試験で主要評価項目を達成し、承認申請に進んだら
- 楽観とやや楽観の確率を引き上げる。予定する患者数だけでなく、実際の薬価とライセンス実施料率、米国での開発再開の有無を確認して利益を計算し直す。
- DORCとの米国ロイヤリティ契約が更新され、2026年以降の未認識分が収益計上されたら
- 短期の資金繰りと収入の谷は改善する。ただし米国特許の残存期間を確認し、旧製品の契約更新を2035年以降の恒久収益とは扱わない。
- 第14回新株予約権の行使が進まず、追加資金調達が必要になったら
- 研究開発計画を縮小するか、より大きい株式希薄化を想定する。発行株数、実際の払込額、残存する現金と借入金を確認し、現在株主の取り分を下方修正する。
- 2030年の上場維持基準に向けて、時価総額100億円を満たす具体的な収益計画や再編方針が示されたら
- 事業の収益見通しと資本政策を別々に検証する。単に株価目標を掲げるだけなら本質価値は上げず、提携金や継続利益の実績が確認できた場合だけ上方修正する。
見ておくもの
- H-1337の日本用量確認試験と第Ⅲ相開始日、主要評価項目、試験費用
- 千寿製薬とのオプション行使、ライセンス契約条件、開発費の負担割合
- K-321のグローバル第Ⅲ相結果、申請、承認、実際の対象患者数
- DW-1002のDORC米国契約更新と米国ロイヤリティの認識額
- Bondlidoの正式販売契約、上市後売上、DWTIへの成果分配金
- 第14回新株予約権の行使株数、払込総額、未行使残高、追加増資
- 現金及び現金同等物、拘束性預金、借入金、研究開発費、営業キャッシュ・フロー
- 2030年の東証グロース市場の上場維持基準への適合状況
倍率と資本コストの決め方
価値の出発点は2025年の売上先別実績、主要特許の満了日、各開発品の段階、2035年の患者数と契約収入である。DORCの旧製品は2035年の売上をゼロとし、H-1337は上側の筋書きでのみ継続販売を認めた。利益率には物価3%の環境で上昇する研究開発費と本社費を含め、研究縮小による節約は中立以下の筋書きで明示した。
資本コストは9.25%、2035年以降の名目成長率は0%とし、黒字の二つの筋書きは正当化PER10.81倍とした。赤字の筋書きは資産と稼ぐ力から評価し、やや悲観と悲観のPBRは現在の自己資本14.3億円を固定分母とする。追加増資の資金は将来の資金繰りと自己資本に反映し、同じ新株による希薄化を会社の時価総額に二重に掛けない。
第14回新株予約権は発行済みでも全行使済みではないため、最大行使を基本筋書きの条件付き想定とした。株式の持分係数は会社全体の価値を算出した後に一度だけ掛ける。全筋書きの還元合計はゼロである。
現在時価総額は65円と57472112株による37.3568728億円であり、5筋書きの将来時価総額と株主持分を資本コスト9.25%で10年割り引いた確率加重価値は約8.37億円となる。差は約マイナス77.6%で「割高」。現在の株価や過去のPER・PBRに倍率を合わせておらず、価値の結論と本文の判断は一致する。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。基本7.5%に事業の質による0.75%と継続赤字による1.0%を加え、株主資本コストを9.25%とする。市場ベータや小型株の規模プレミアムは使用しない。
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読んだ資料
- 2025年12月期有価証券報告書・金融庁EDINET原資料の公開テキスト(顧客別売上、特許、開発品、財務)
- 2026年12月期第2四半期決算短信(重要事象等、継続企業の前提の注記、現金、開発進捗)
- デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 2026年2月13日 事業計画及び成長可能性に関する事項
- デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 2026年9月3日 事業計画更新(H-1337国内開発計画)
- デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 2026年10月1日 第14回新株予約権と無担保社債の払込完了
- 米国疾病対策センター 米国の緑内障有病者推計
- JAMA 医薬品の臨床開発成功率に関する研究(眼科領域の参考確率)
- 日本取引所グループ 東証グロース市場の上場維持基準