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ステムリム 4599

表皮水疱症には前進があるが脳梗塞試験は未達。研究資金と希薄化を差し引けば現時点の安全域は薄い

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)58 円36 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-11-02)134 円84 億円差 −56.7%
10 年後から見ると 割高 価値 58 円36 億円 · 差 −56.7% · 期待の年率 +0.4%
期待の年率リターン(10 年)+0.4%資本コスト比 −8.9 pt
推定の資本コスト9.3%期待の年率と比べる目安

期待の年率は、5つの筋書きから求めた期待CFのIRRです。期間の還元・追加負担を中間時点、終価を期間末に置く仮定で、価値の割引時期とそろえています。実際の配当日を予測した値や、筋書きごとのIRRの平均ではありません。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの終価と還元を確率で加重し、資本コスト 9.3% で今の値に割り戻したものです。

利益と必要資本から、将来の留保余力を見込む場合があります。この推定は、維持更新投資や運転資金、借換後の現金計画を確認した値ではありません。

総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

終価・還元は現在株主全体の取り分です。1株表示は現株数への換算で、還元には配当・自社株買いを含みます。持分・支払時点は簡略化しており、買戻しに売却参加せず同じ株数を持ち続ける場合の将来株価・受取配当とは別です。

結論

ステムリムは、大阪大学発の再生誘導医薬を研究し、大手製薬への導出で稼ぐ創薬企業である。筆者の結論は「割高」だ。表皮水疱症での臨床成果は評価するが、まだ継続的な薬の売上を持たず、資金調達まで含めた10年間の見通しに対して今の時価総額には安全域が乏しい。

最大の転機は2026年9月に来た。塩野義製薬が開発するレダセムチドは、栄養障害型表皮水疱症の追加第Ⅱ相試験で4例中3例の難治性潰瘍が閉鎖した。同じ日に公表された急性期脳梗塞の国際後期第Ⅱ相試験では、主要評価項目に統計的な有意差がなかった。小さな希少疾患で前進し、大きな市場で足踏みしたという事実を、同じ「開発進展」として扱ってはならない。

2026年7月期の事業収益はゼロで、営業損失は約20億円だった。期末の現預金約54億円は有力な防波堤だが、年間の現金支出は約16億円であり、恒久的な余剰資金ではない。2028年までは開発資金を確保したとの会社説明も、2036年まで資金が足りるという意味ではない。

薬の承認と新たな導出が重なれば上振れは大きい。しかし、既存の契約収入は年度による振れが激しく、既存株主は新株予約権の行使や増資による希薄化も負担する。株価の過去の山谷ではなく、上市した薬から継続して受け取れる取り分と、そこへ至るまでに失う現金から価値を判断した。10年の期待現在価値は約37億円となり、参照時価総額約91億円を約59%下回る。

バリュー投資の観点から

長期株主が問うべきなのは、臨床成果がすばらしいかだけではない。『10年後にも競争に勝ち、稼いだお金をより高い利回りで再投資できるか』である。ステムリムは研究機関との協働と特許取得に優れ、ひとつの創薬方法から複数の疾患を開発しようとしている。しかし、薬を長く買ってもらうための承認・製造販売・保険償還は外部の製薬企業が握る。現段階で価格決定力と顧客の切替費用による堀が確立したとは言えない。

オーナー利益は会計上の純利益より慎重に見る必要がある。2020年や2023年の契約収入は開発上の節目に伴うもので、毎年同じ金額が繰り返される性格ではない。他方、人件費、研究設備、大学との研究、特許維持費は毎年発生する。契約一時金を繰り返し掛け算するより、承認後の薬から毎年何人分の収益が残るかを見るほうが事業の長さを正しく映す。

現金を大量に保有することも、その額面をそのまま株主価値に足す理由にはならない。2026年7月末の現金が年間約16億円の支出で減り続ければ、2029~2030年には追加導出・提携・新株発行・研究縮小のいずれかを選ばなくてはならない。大型の増資で生き延びた会社と、2019年以前から保有し続けた株主の利益は同じではない。

強い結論を急がないことも安全域の一部だ。表皮水疱症の承認と、脳梗塞の否定的結果を覆す新しい試験がともに実現すれば、現在の事業より桁違いの価値を生む。ただし、それは今ある利益ではなく条件付きの権利に近い。想定外の上振れを残しつつ、承認前の事業に確かな永続利益があるような値段は払えない。

何で稼ぐ会社か

稼ぎ方は薬を自社で大量生産することではない。大学との研究で見つけた医薬候補を特許で守り、製薬企業に開発・製造・販売を任せる。開発の契約一時金、治験や承認などの達成に応じたマイルストーン、発売後の売上に応じるロイヤリティが株主に帰属する収益源となる。会社の報告上は「再生誘導医薬事業」の単一セグメントである。

最も進んだレダセムチドは、体内の骨髄由来の間葉系幹細胞を損傷組織へ動員し、修復を促すという作用機序を狙う。塩野義製薬とは2014年に全世界の独占的実施許諾契約を結び、2020年には心筋症、慢性肝疾患、変形性膝関節症の臨床研究を進める契約を追加した。2025年の事業計画資料によれば、前者で累計40.46億円、後者で31億円を受領したが、将来受領額とロイヤリティ率の全貌は公表されていない。

薬の市場は二つに分けて考えるべきだ。表皮水疱症は患者数が小さい半面、患者の負担が重く希少疾病用医薬品の制度も使える。脳梗塞は患者が圧倒的に多いが、有効性を示す試験の規模と競争がまったく違う。2026年9月の結果を受け、両適応症をひとまとめの成功確率で評価するのは危険である。

次の柱を目指すのは、栄養障害型表皮水疱症の根本治療を狙う細胞遺伝子治療SR-GT1と、新規ペプチドのTRIM群である。2026年時点ではSR-GT1は製造工程と非臨床開発の段階にあり、TRIM群も導出交渉や動物データの拡充が主である。会社の『臨床開発を開始した5本』はレダセムチドの5疾患であり、独立した5つの新薬が成功目前という意味ではない。

こうした収益の質を理解するため、経済上は表皮水疱症の発売後収入、脳梗塞の発売後収入、その他パイプラインの経常化しうるライセンス収入に分けた。単発の契約金だけで黒字になった年を、そのまま永続的な利益と見なさないことが肝心だ。

優良さと弱いところ

技術上の強みは明確だ。大阪大学との共同研究によって生まれた幹細胞動員という治療概念と、分子の働きを切り分けたペプチド技術を特許で守っている。2026年にもSR-GT1やレダセムチドの適応症について各国で特許登録が続き、塩野義製薬という開発資金と販売網を持つ企業に選ばれた実績もある。単なる構想段階の企業より臨床的な証拠は厚い。

ただし、特許は利益の堀と同じではない。表皮水疱症では4例中3例の潰瘍閉鎖という良好な結果が出たが、対照群のない小規模試験であり、市販後の処方継続率や薬価交渉の成果はまだ分からない。脳梗塞の第Ⅱ相試験が主要評価項目に達しなかったことは、作用機序が臓器をまたいで同じ成功を生むとは限らないと示した。

契約先は塩野義製薬に集中し、薬価、発売時期、次の臨床試験、導出先の取り分についてステムリムの交渉力は弱い。高い値段を維持した実績も、発売薬の解約不能な顧客基盤もないため、現段階では経済的な堀を弱いと判定する。成功時の増分資本利益率は高くなりうるが、過去の営業損失と累積赤字を考えると、再投資が資本コストを超えたという実績はまだない。

AIエージェント代替の対象となる人月受託、席課金ソフト、広告、情報サービスには該当しない。AIが研究の探索を速めても、治験の成否、製薬規制、特許の権利関係と資金需要は消えない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

創薬企業の市場を一つの成長率で論じると実態を見失う。医薬品の需要は疾病の患者数と治療単価で決まり、ステムリムの売上はそこから提携契約で決められた取り分だけになる。量の大きい適応症ほど治験費用も規制上の要求も大きく、成功するまでの資金流出を避けられない。

日本の表皮水疱症患者は難病情報センターによると約500~1,000人で、そのうち栄養障害型は約半数とされる。市場調査会社によれば米欧日7市場の栄養障害型の診断患者は2025年に約1万4300人、治療市場は別の調査で約6.6億ドルと推計される。対象となる重症度や集計範囲の違いがあるため、この数をそのまま投与患者数にはできない。米Krystal Biotechの遺伝子治療薬VYJUVEKは2025年に約3.9億ドルを売り上げた。日本でも同薬が2025年に承認され、競争相手が既に薬価と処方を押さえている。Abeonaの細胞治療など別の作用機序の競争もあるため、レダセムチドが使われても対象患者すべてを得られるわけではない。

急性期虚血性脳卒中の世界の新規発症は年間約780万人と世界脳卒中機構の統計にある。この大きな母数に惑わされてはいけない。血栓溶解薬や血栓回収療法との併用、発症から投与までの時間、重症度、国ごとの病院設備が利用可能な人数を狭める。2026年の主要評価項目未達後は、探索的な重症例での傾向を次の前向き試験で証明することが新たな関門となる。

医薬の価格には日本で年3%の物価上昇をそのまま通せる保証はない。公的保険薬価は政策で決まり、独占薬でも競争薬や費用対効果評価の制約を受ける。将来売上の数量には患者・治療コースの実数または発売済みプログラム数だけを入れ、単価はライセンス先の薬価と未開示のロイヤリティ率を切り分けて考えた。これが試験結果から利益への橋渡しになる。

資本政策と M&A

資本配分の中心は研究開発であり、株主還元ではない。2026年7月期の研究開発費は約15億円、販売費・一般管理費を含めた事業費用は約20億円だった。現金支出は年間約16億円で、現預金は約54億円に減った。翌期の研究開発に係る現金支出の見込みは13~17億円、一般管理費は2.3~3.1億円である。会社は2028年までの開発資金を確保したと説明するが、2036年までの資金調達不要を約束してはいない。

2025年10月公表の『事業計画及び成長可能性に関する事項』と2026年9月決算説明資料には、売上高・営業利益・ROEの達成年度別の数値目標や、配当性向・DOE・総還元性向・自社株買い額についての数字の約束はない。無配が続き、利益配当より研究開発を優先する方針である。2020年と2023年に大型の契約収入が入った際も、その現金を株主還元に振り向けるのではなく次の研究へ投じてきた。

希薄化の履歴は軽視できない。2026年7月末には普通株式606.8万株に相当する既存の新株予約権が残り、同年9月にさらに約79.9万株分を発行した。後者の行使価額は当時の市場水準に基づくため、悲観時には行使されにくいが、成功時には既存株主の取り分が薄くなる。9月25日には最大80万株分の追加付与案も公表されているが、2026年10月24日時点では株主総会承認前のため確定発行とは数えない。

2014年からの塩野義製薬との契約は研究開発費を大手に負担させる合理的な資本配分である一方、単一相手先への依存でもある。同社は大株主でもあるが、TOB・MBO・上場廃止を決めた開示は確認されていない。新しい大型買収や自社株買いを当然のものとして織り込まず、資金不足時の増資と事業縮小を株主価値の中心的なリスクとした。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

再生誘導医薬は、単なる研究テーマではなく製薬企業が費用を負担して国際治験まで進めた技術である。栄養障害型表皮水疱症の追加第Ⅱ相試験で4例中3例が難治性潰瘍の閉鎖を達成した結果は、小規模ながら治療の必要性が高い領域で承認への道を示している。希少疾病用医薬品の指定があり、塩野義製薬の開発力と世界の販売網を利用できるため、発売できれば自前の巨大な製造設備を抱えずに収益化できる。

脳梗塞の試験は主要評価項目未達だったが、重症患者の探索解析には改善の傾向がある。詳細解析で対象者を選別した次の試験が成功すれば、世界で毎年数百万人が発症する巨大市場のごく一部を治療するだけで、希少疾患を大きく上回る収入が生まれうる。さらにSR-GT1とTRIM群の複数候補が別々の企業に導出されれば、契約先の集中も改善する。

既に取得した特許と大阪大学との協働は、医薬品をゼロから探す企業にはない優位だ。研究開発の大部分を提携先に移せば固定費を抑えられ、成功後の追加利益は株主に大きく残る。塩野義製薬が資本参加していることも、適切な条件の事業提携や買収という上振れの出口を広げる。現預金が残る数年間で契約を増やせば、資金枯渇を心配する前に収益構造を変えられる。

慎重な見方

臨床研究で潰瘍が閉鎖した4例のうち3例という結果は、商業化に必要な再現性、長期安全性、投与回数、保険薬価を証明するには小さすぎる。しかも日本では先行してVYJUVEKが承認され、世界ではFilsuvezやZevaskynも市場に存在する。新薬の登場だけで顧客を獲得できる時代ではない。患者数が限られた希少疾患では高い薬価が付いても、ステムリムが受け取るのは提携先との契約で決まった一部分にすぎない。

より深刻なのは脳梗塞の国際後期第Ⅱ相試験が主要評価項目を満たさなかったことだ。探索的な重症例の改善傾向は、検証試験で偶然を排除するまでは有効性の証明ではない。追加試験が行われるかどうかさえ提携先の判断に依存し、規制当局は過去の未達をなかったことにはしない。別適応症も同じレダセムチドの作用機序に依存し、5本の臨床開発を独立した5回の成功確率として足してはいけない。

2026年7月期まで3期続けて売上がゼロで、開発費を年約16億円の現金で払っている。2028年までの資金はあっても、その先の現金調達には薬事と相場の両方が必要になる。既存の新株予約権だけで普通株式数の約1割に相当する。TOBが成立するという希望や、過去に受け取った一時金を恒常利益として資本還元する想像を排せば、現株主が10年間で得る価値は現金消費と希薄化に大きく侵食される。

どちらに重みを置いたか

2026年9月の新しい治験データが決着を左右した。希少疾患では成功の目がある一方、価値を大きく押し上げるはずの脳梗塞は主要評価項目未達で、2028年以後の資金調達も未解決である。したがって上側18%に対して下側54%と慎重に寄せた。低い確率でも大成功の価値は無視しないが、期待値は現時点の時価総額に届かず、現金の厚さをそのまま安全域とは見ない。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)

確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 136 円85 億円(+ 還元の換算額還元の合計 3 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 58 円36 億円、今との差 −56.7%、 期待の年率 +0.4%(資本コスト 9.3%)→ 割高

筋書き確率10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価還元の換算額還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・還元込み年率確率 × (終価+還元)
楽観 6% 1,497 円939 億円 43 円27 億円 +1,049.6% +28.5% 92 円58 億円
やや楽観 12% 335 円210 億円 6 円3 億円 +153.8% +9.9% 41 円26 億円
中立 28% 12 円8 億円 0 円0 億円 −90.8% −21.2% 3 円2 億円
やや悲観 31% 5 円3 億円 0 円0 億円 −96.6% −28.7% 1 円1 億円
悲観 23% 3 円2 億円 0 円0 億円 −97.6% −31.2% 1 円0 億円
加重平均100% 136 円85 億円3 円2 億円 +3.6% +0.4% 139 円87 億円

今の株価時価総額 134 円84 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。

楽観 6% 脳梗塞の復活と複数適応症の上市 利益 93 億円 · PER 11.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,497 円939 億円

塩野義が栄養障害型表皮水疱症で規制当局と合意し、発売後も有効性を確認する。患者数は小さいが各国の専門施設へ浸透し、世界で年間1600人相当の治療が続く。先行するVYJUVEKとの差を明確に示し、全身投与という特徴が重症患者に選ばれる。ロイヤリティは独占権の残存期間に応じて規則的に入る。

脳梗塞では2026年の未達から探索的重症群の仮説を事前規定した検証試験へ進め、塩野義がその追加投資を引き受ける。再度の治験が成功し、血管内再開通療法が適さない患者を中心に世界で年間5万治療コースが使われる。これは世界の虚血性脳卒中新規発症者の1%にも満たず、市場の大きさ自体は障害にならない。ただし臨床試験と保険償還の連続的成功を前提とする。

さらにSR-GT1や新規ペプチドから複数の製品が導出され、年平均で4件の収益化プログラムが稼働する。研究組織への支出を増やしながら営業利益が積み上がり、資金不足による安値増資を避ける。付与済みオプションの行使で株数は増えるが、収益がそれを上回り、上市後に限定的な配当が始まる。技術の堀は複数製品に広がり、初めてオーナー利益が持続する10年になる。

  • レダセムチド・栄養障害型表皮水疱症:数量 1,600(世界で年間に治療を受ける患者相当コース数(人・年))× 価格 0.03(1人の年間治療につきステムリムが得る受取額(億円/人・年))→ 売上 45 億円・営業利益 45 億円。発売後の継続的な患者年数。非開示のロイヤリティ率10%は評価上の仮定。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • レダセムチド・急性期脳梗塞:数量 50,000(全世界で年間に新たに本剤を投与される虚血性脳卒中治療コース数(回・年))× 価格 0.00(1治療コース当たりステムリム受取ロイヤリティ等(億円/回))→ 売上 75 億円・営業利益 75 億円。主要評価項目未達後の再試験で承認された場合のみ。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • 新規導出・その他適応症・SR-GT1/TRIM:数量 4.0(2036年前後に複数年の契約収入・ロイヤリティを生む導出プログラム数(組))× 価格 13(1組から得る平準化した年間受取額(億円/組・年))→ 売上 52 億円・営業利益 52 億円。マイルストーン単発を除いた複数年度平均の導出収入。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。

倍率:添付factsの自己資本約58.6億円を検算上の起点とし、10年間の推定累積純利益約367億円から株主還元30億円を控除して、2036年の自己資本を約396億円とする。成功後の事業ROEは約23.4%、kは9.25%、moat=weakで超過ROEが残る割合は3分の1。RONIC=k+(ROE-k)/3=約14.0%、10年より先の名目成長率g=1%から正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=約11.25倍。利益の質と長期成長力はこの式に反映済みで、さらに恣意的な割引を加えない。継続的な薬のロイヤリティと複数年度でならしたライセンス額だけを利益に含め、余剰現金を別に足さない。

確率:表皮水疱症の製品が国外へ普及するだけでなく、2026年の脳梗塞主要評価項目未達を追加治験で覆し、SR-GT1/TRIMの複数案件も連続成功する必要があるため6%に限定。

やや楽観 12% 希少疾患の定着と選別された脳梗塞の承認 利益 22 億円 · PER 11.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 335 円210 億円

表皮水疱症の追加第Ⅱ相の成果が評価され、日本や主要国で承認される。患者の通院負担、投与回数、先行する遺伝子治療薬との使い分けに制約が残り、世界で年間700人相当の治療にとどまる。それでも継続的なロイヤリティが生まれ、収益が全くない現在の企業から一歩変わる。

脳梗塞では全患者への投与を断念する一方、重症患者や既存治療を受けられない患者に対象を絞った検証試験で有効性を示す。塩野義の開発費負担が続き、世界の一部地域で年間1万5000治療コースが使われる。市場は大きいが、競争する既存治療や投与施設数を考え、発症者の大多数には処方されない。

SR-GT1と新規ペプチドのうち二つが導出先を確保し、複数年の平準化収入を生む。年間研究費の増額と臨床拡大により利益率は楽観ほど伸びないが、恒常的な黒字に転換する。必要な一部増資と既存オプションの行使で既存株主の持分は薄くなる。買収への期待に依存せず、限定的ながら売上を伴う薬の知財収益が企業価値を支える。

  • レダセムチド・栄養障害型表皮水疱症:数量 700(世界で年間に治療を受ける患者相当コース数(人・年))× 価格 0.02(1人の年間治療につきステムリムが得る受取額(億円/人・年))→ 売上 17 億円・営業利益 17 億円。発売後の継続的な患者年数。非開示のロイヤリティ率10%は評価上の仮定。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • レダセムチド・急性期脳梗塞:数量 15,000(全世界で年間に新たに本剤を投与される虚血性脳卒中治療コース数(回・年))× 価格 0.00(1治療コース当たりステムリム受取ロイヤリティ等(億円/回))→ 売上 23 億円・営業利益 23 億円。主要評価項目未達後の再試験で承認された場合のみ。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • 新規導出・その他適応症・SR-GT1/TRIM:数量 2.0(2036年前後に複数年の契約収入・ロイヤリティを生む導出プログラム数(組))× 価格 11(1組から得る平準化した年間受取額(億円/組・年))→ 売上 22 億円・営業利益 22 億円。マイルストーン単発を除いた複数年度平均の導出収入。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。

倍率:会社全体の営業利益29.30億円から通常課税後の純利益21.5億円を見込む。2036年ROE=21.5%、k=9.25%、moat=weakで超過ROEが残る割合は3分の1。RONIC=k+(ROE-k)/3、10年より先の名目g=1%から正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=11.21倍となる。継続的な薬のロイヤリティと複数年度でならしたライセンス額だけを利益に含める。余剰現金を別に足さない。

確率:表皮水疱症の上市に加え、脳梗塞で限定患者集団の有効性が新試験で確認される必要があるが、大成功に比べ対象地域・適応は狭いため12%。

中立 28% 表皮水疱症の一部発売、脳梗塞は撤退 利益 −1 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 12 円8 億円

栄養障害型表皮水疱症では塩野義が追加の当局協議を経て承認を獲得するが、既に普及したVYJUVEKの壁が厚い。年間に世界で350人相当が治療され、ロイヤリティが届く。日本の希少疾病制度は助けとなるものの、全国民規模の市場ではなく、薬価交渉の結果で収入は左右される。

脳梗塞は2026年の主要評価項目未達を決定的と受け止め、追加の本試験への移行は実現しない。慢性肝疾患、関節症、心筋症の研究も続くが、承認薬の販売量に算入するまでの証拠はない。SR-GT1とTRIM群などから二つの新しい導出案件が生まれ、研究費を一部肩代わりしてもらう。ただし、一時金の多い年と収益のない年が交互に訪れるため、2036年前後で平準化した受取額を評価する。

提携先が臨床研究の一部を担うことで、物価上昇を受けた事業費を2026年より実質的に抑える。それでも当期利益は黒字に届かず、2030年前後には20~30億円規模の追加株式資金が必要になる。早期の赤字と調達で普通株主帰属自己資本は薄くなり、既存株主の経済的な持分も縮む。技術は残るが、継続収益と価格決定力が確立していない企業としての10年となる。

  • レダセムチド・栄養障害型表皮水疱症:数量 350(世界で年間に治療を受ける患者相当コース数(人・年))× 価格 0.02(1人の年間治療につきステムリムが得る受取額(億円/人・年))→ 売上 7 億円・営業利益 7 億円。発売後の継続的な患者年数。非開示のロイヤリティ率10%は評価上の仮定。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • レダセムチド・急性期脳梗塞:数量 0.0(全世界で年間に新たに本剤を投与される虚血性脳卒中治療コース数(回・年))× 価格 0.00(1治療コース当たりステムリム受取ロイヤリティ等(億円/回))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。主要評価項目未達後の再試験で承認された場合のみ。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • 新規導出・その他適応症・SR-GT1/TRIM:数量 2.0(2036年前後に複数年の契約収入・ロイヤリティを生む導出プログラム数(組))× 価格 7.00(1組から得る平準化した年間受取額(億円/組・年))→ 売上 14 億円・営業利益 14 億円。マイルストーン単発を除いた複数年度平均の導出収入。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。

倍率:中立でも営業赤字が残るため、一過性の契約一時金にPERを掛けない。研究費を維持するための増資で2036年自己資本17億円が残るとし、その65%の回収価値を認める。資産と承認済み希少疾患の限定的な残存権利を含むが、現金と特許を二重に足さない。

確率:表皮水疱症は4例中3例の潰瘍閉鎖という明るい材料を得たが、投与費用・競合と承認の不確実性が残る。脳梗塞は主要評価項目未達であり、中立では継続承認を期待しない。

やや悲観 31% 希少疾患も普及せず資金調達が続く 利益 −5 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5 円3 億円

レダセムチドは表皮水疱症で限定的な承認または一部地域での販売にたどり着くが、先行する遺伝子治療薬に対して優位を示せない。患者の継続投与は世界で年間100人相当で止まり、契約上のロイヤリティを得ても研究の維持費をまかなえない。脳梗塞の開発は2026年の未達後に進まず、心・肝・関節の別の適応症も当初の期待ほど進まない。

SR-GT1とTRIM群の新規導出は交渉が長期化し、契約一時金が予想どおりに入らない。塩野義製薬との既存の関係は維持しても、相手先が新たな研究費を広く負担する保証はない。会社は開発候補を大幅に絞り込み、給与や試験の固定費を縮小する。通常のインフレに沿って同じ研究規模を維持できる会社ではなくなる。

2028年まで残る現金は減少し、2030年前後に複数回の外部調達へ向かう。調達後の資金で研究と契約の残務を継続するため清算は免れるものの、当初の株主の割合は半分近くまで薄くなる。営業赤字が続き、会社の評価は発売に至らない知財と残存現金を中心とする。配当も自社株買いも期待できず、耐える期間の長さそのものが投資家の損失になる。

  • レダセムチド・栄養障害型表皮水疱症:数量 100(世界で年間に治療を受ける患者相当コース数(人・年))× 価格 0.02(1人の年間治療につきステムリムが得る受取額(億円/人・年))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。発売後の継続的な患者年数。非開示のロイヤリティ率10%は評価上の仮定。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • レダセムチド・急性期脳梗塞:数量 0.0(全世界で年間に新たに本剤を投与される虚血性脳卒中治療コース数(回・年))× 価格 0.00(1治療コース当たりステムリム受取ロイヤリティ等(億円/回))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。主要評価項目未達後の再試験で承認された場合のみ。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • 新規導出・その他適応症・SR-GT1/TRIM:数量 0.0(2036年前後に複数年の契約収入・ロイヤリティを生む導出プログラム数(組))× 価格 5.00(1組から得る平準化した年間受取額(億円/組・年))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。マイルストーン単発を除いた複数年度平均の導出収入。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。

倍率:資金繰りを満たす約30~40億円規模の累次増資と開発縮小の結果、自己資本約8億円が残る。十分な持続利益がないため事業PERを用いず、その65%を使用可能な現金と売却可能な権利の値として回収する。

確率:下に寄せる理由:表皮水疱症の小規模試験だけでは幅広い処方や高薬価を保証できないうえ、2026年の脳梗塞主要評価項目未達が資金調達の交渉力を落とす。追加資金が必要になる公算を大きく見て31%。

悲観 23% 薬効立証に失敗、研究を閉じ資産回収 利益 0 億円 · PBR 0.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3 円2 億円

レダセムチドの表皮水疱症は大規模な試験で再現性や経済性が示せず、規制当局との協議がまとまらない。脳梗塞は2026年の主要評価項目未達から回復せず、塩野義は開発を取りやめる。慢性肝疾患、変形性膝関節症、心筋症の研究も臨床で価値を確立できず、開発を進める契約先が新たに見つからない。

SR-GT1の細胞遺伝子治療は製造・安全性試験に時間がかかり、TRIM群もライセンスにつながらない。会社の経営陣は2028年までの研究を終えた後、残る試験を整理し、事業の大半を閉じる。研究者の再就職支援や契約整理と特許維持に少額の費用が残るが、通常の創薬企業として拡大する理由はなくなる。大手製薬への売却も対象資産の価値に限られ、プレミアム付きTOBが実現する前提は置かない。

資金消費は2027~28年に大きく、そこから支出を段階的に絞る。2036年には現金の大半が使われ、わずかな残高と売却可能な特許・設備を残す。新株予約権は価値を失って行使されず、普通株の希薄化は生じない一方、既存株主はほとんどの投下資金を回収できない。悲観の価値は現在の54億円の現金ではなく、10年間の支出を差し引いた資産の残額に限られる。

  • レダセムチド・栄養障害型表皮水疱症:数量 0.0(世界で年間に治療を受ける患者相当コース数(人・年))× 価格 0.02(1人の年間治療につきステムリムが得る受取額(億円/人・年))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。発売後の継続的な患者年数。非開示のロイヤリティ率10%は評価上の仮定。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • レダセムチド・急性期脳梗塞:数量 0.0(全世界で年間に新たに本剤を投与される虚血性脳卒中治療コース数(回・年))× 価格 0.00(1治療コース当たりステムリム受取ロイヤリティ等(億円/回))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。主要評価項目未達後の再試験で承認された場合のみ。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。
  • 新規導出・その他適応症・SR-GT1/TRIM:数量 0.0(2036年前後に複数年の契約収入・ロイヤリティを生む導出プログラム数(組))× 価格 4.00(1組から得る平準化した年間受取額(億円/組・年))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。マイルストーン単発を除いた複数年度平均の導出収入。セグメント貢献利益には直接原価控除前のライセンス収入を計上し、全社研究開発費・管理費をadjust_okuで控除。

倍率:2036年に現預金約0.37億円、税後で売却可能な知財・設備等約1.63億円の合計2.0億円が残る。添付factsの2025年7月期自己資本58.6億円を悲観の床のPBR計算の分母とし、2.0÷58.6=約0.03413倍とする。悲観では研究費の消費と減損により2036年自己資本が2億円まで縮小する。将来の蓄積利益を床の分母に使わず、今の自己資本を基準としたPBRで残存資産の税後価値を直接表す。

確率:大きな適応症の脳梗塞は2026年に後期第Ⅱ相で未達、表皮水疱症の改善証拠は4例の非対照試験にとどまる。追加提携が成立しないまま現金を使い、研究開発を閉じる筋を23%。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

レダセムチド・栄養障害型表皮水疱症

塩野義に導出済み。承認後に得るロイヤリティ等の継続収入を推計し、患者に投与される年間治療コースを数量とする。

数量世界で年間に治療を受ける患者相当コース数(人・年)価格1人の年間治療につきステムリムが得る受取額(億円/人・年)売上営業利益
今 2026/07 0.0 0.02 0 0
10 年後 中立 350 0.02 7 7

取り方:2026年7月期の実際の事業収益はゼロで発売薬はない。単価0.015億円は観測販売実績ではなく、薬価1500万円/患者年×仮のロイヤリティ10%という感度分析用参照値。2036年の患者数は日本の表皮水疱症500~1000人、その約半数が栄養障害型という難病情報センター・塩野義の資料、米欧日7市場で2025年の診断例約14300人という外部推計を参照し、競合VYJUVEKの普及と投与可能な重症度から今後の獲得患者を推計する。2036年中立350人は7市場診断者数の約2.4%相当だが、世界での獲得であり厳密な地域別シェアではない。塩野義との実際のロイヤリティ率・薬価は非開示。https://www.nanbyou.or.jp/entry/5338 https://www.delveinsight.com/insights/dystrophic-epidermolysis-bullosa-market-analysis

レダセムチド・急性期脳梗塞

2026年9月の世界後期第Ⅱ相主要評価項目は未達。承認に再挑戦する可能性だけを上振れシナリオに残す。

数量全世界で年間に新たに本剤を投与される虚血性脳卒中治療コース数(回・年)価格1治療コース当たりステムリム受取ロイヤリティ等(億円/回)売上営業利益
今 2026/07 0.0 0.00 0 0
10 年後 中立 0.0 0.00 0 0

取り方:現在の売上は0回。参考単価0.0011億円は仮の薬価110万円×ロイヤリティ10%であり契約実績ではない。世界脳卒中機構2025年資料の虚血性脳卒中新規患者約780万人/年から、投与時間・重症度・承認・病院設備を満たす層だけを対象とする。楽観の年5万例は全発症者の約0.64%であり、既存の血栓溶解・回収法との競争を織り込む。2026年9月国際第Ⅱ相の主要評価項目未達を反映し、中立以下では発売患者数を0とする。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11786524/

新規導出・その他適応症・SR-GT1/TRIM

塩野義との他適応症、新規ペプチド、幹細胞遺伝子治療のライセンス収益。成功後に経常化する複数プログラムの年平均受取額とする。

数量2036年前後に複数年の契約収入・ロイヤリティを生む導出プログラム数(組)価格1組から得る平準化した年間受取額(億円/組・年)売上営業利益
今 2026/07 0.0 14 0 0
10 年後 中立 2.0 7.00 14 14

取り方:2026年7月期は契約金・マイルストーン収入ともゼロ。14億円という参照額は過去の2021年14億円、2023年23.5億円の単発収入を参考にした仮置きで、現存する継続契約単価ではない。10年先は承認・導出した複数品目が3~5年の間に稼ぐ受取額を平均化し、一時金が出た年の収益を永続すると誤認しない。SR-GT1は2026年時点で臨床未開始、TRIM群は導出交渉等の初期段階。

リスクと懸念

脳梗塞の主要評価項目未達

2026年9月の塩野義による国際後期第Ⅱ相試験では、投与90日時点のmRSに対照群との差を統計学的に示せなかった。探索的な重症者サブグループでの傾向は仮説にすぎず、再試験の設計・費用・実施主体が定まらなければ、最も大きい市場は収入ゼロのままになる。

現金消費と追加調達

2026年7月期末の現預金は約54億円だが、年間の現金支出は約16億円である。2028年までの資金を確保したという会社説明は、10年間の研究を賄えることを意味しない。提携金が入らない場合には増資、研究縮小、資産売却のいずれかを迫られ、既存株主の持分が薄まる。

希少疾患の薬価・競合

国内の栄養障害型表皮水疱症患者数は数百人規模であり、対象者全員への継続投与を想定できない。2025年に日本で承認されたVYJUVEKをはじめ複数の治療技術が先行する。高薬価が得られたとしても、保険償還の条件と塩野義への分配後に残るステムリムの取り分は未公表だ。

塩野義への集中と契約条件

最大の開発成果と過去の契約収入は塩野義製薬に集中する。開発継続、薬事申請、世界での販売投資、製品別のマイルストーンは相手先の決定に左右される。相手先が一部適応症を断念しても、ステムリムが同じ権利を直ちに別企業へ移せるとは限らない。

新株予約権と新株発行

2026年7月期末の潜在株式は約606.8万株で、普通株式の約9.7%に当たる。翌9月に約79.9万株分の予約権も加わった。行使価額に届かない弱い筋では権利が消えるが、成功時の取り分は希薄化する。資金調達のための公募増資は、赤字下でより強い希薄化を招きうる。

特許の寿命と再投資

SR-GT1の国内外での特許成立やTRIM群の創出は研究力の証拠だが、医薬の承認と販売は別の競争である。特許満了、適応症ごとの独占期間、薬価引き下げが進むと、成功薬の利益もやがて薄れる。研究を止めれば次の薬が育たず、研究を続ければ株主が受け取れる現金が先送りされる。

今後の分かれ目

塩野義が表皮水疱症で承認申請時期と発売後の対象患者数を開示したら
ebの治療患者数と受取単価の不確実性を縮小する。小規模試験の症例数を超える再現性と競争薬との使い分けが確認できれば、中立の権利価値を上げる。
脳梗塞の追加解析後に、事前規定した集団で新たな検証試験が開始されたら
strokeがゼロの中立を見直す余地が生まれる。ただし開始だけで成功とせず、主要評価項目を満たす前向き試験の結果が出るまでは上振れ確率を小さく保つ。
2028年までに新規導出の一時金または研究費の肩代わりが確定したら
将来増資の必要額を下げ、nextの継続収入の見立てを引き上げる。一時金だけなら翌年も同じ売上になるとは扱わず、契約条件とパイプラインの持続を確かめる。
年間現金支出が16億円前後のまま、預金が30億円を下回ったら
研究継続のための追加資金と希薄化を基準の筋書きへ前倒しし、既存株主の取り分を引き下げる。定期預金も合わせて数え、現金同等物のみの残高とは混同しない。
SR-GT1が企業治験を開始し新規ライセンス先が決定したら
単一化合物と塩野義への依存が低下する。複数プログラムが実際に売上を生むことを確認してから、弱い堀の評価と次世代パイプラインの数量を見直す。
発行済株数が現基準から大きく増えたら
会社全体の成功価値が不変でも既存株主の取り分は小さくなる。新株予約権の行使による入金と公募増資の資金使途を別々に追い、holder_shareを更新する。

見ておくもの

  • 塩野義製薬のレダセムチド表皮水疱症に対する承認申請と上市時期
  • 脳梗塞の後期第Ⅱ相の全解析・事前規定集団での有効性・次の治験計画
  • 2027年以降の研究開発費現金支出13~17億円と一般管理現金支出2.3~3.1億円の実績
  • 定期預金を含む現預金残高・新規マイルストーン入金・新規ライセンス契約数
  • SR-GT1の非臨床から臨床への移行とTRIM群の外部導出
  • 希少疾病薬の薬価とKrystal BiotechのVYJUVEK処方患者数
  • 新株予約権の発行・行使・消滅と発行済株式数の推移

倍率と資本コストの決め方

各セグメントはライセンス収入を研究開発費控除前の貢献利益として計上し、共通研究開発費・販管費をadjust_okuで一括控除する。セグメント営業利益率100%は実際の会社開示の事業利益率を意味しない。市場価格を将来の収益の起点には使っていない。2026年7月期の実績は事業収益0、営業損失19.99億円、現預金53.77億円、普通株主帰属自己資本41.62億円である。添付factsの2025年7月期自己資本58.61億円・純現金69.9億円は、その後に最新の2026年7月期決算が公表されたため将来の資金消費の起点として更新した。一方、自己資本フローと悲観の床PBRの機械検算では添付factsの2025年7月期自己資本約59億円を使用する。楽観の2036年自己資本はこの約59億円に推定累積純利益約367億円を加え、還元30億円を引いた約396億円とし、ROEとPERをこれに合わせて再計算した。悲観の床PBRも現在自己資本58.6億円を分母とする約0.03413倍に訂正した。現金同等物21.77億円と定期預金32億円の合算を忘れず、同じ現金を利益倍率と余剰現金に二重計上しない。楽観のPERは長期名目成長率1%・資本コスト9.25%・弱い堀の増分資本利益率から算出し、現在の市場PERや同業PERに合わせなかった。中立以下では継続利益がない場合にPERで一時金を資本化せず、消費後の純資産・売れる資産で測る。PBRは過去の底値から決めていない。AIエージェント代替は契約の稼ぎ方に該当しない。

資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。無リスク金利3%と株式プレミアム4.5%の7.5%を起点に、過去の循環・価格交渉力・純現金による品質調整0.75%、継続赤字による資金繰り調整1.0%を加えた。

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−29.3% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) 割高 エーザイ4523 レンビマの崖をレケンビが埋めるかが価値を決める。資本コストを上げて見ると、研究開発費も物価で増えるため、10 年の価値は今の値段に対し割高 本質価値との差 −30.1% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 中外製薬4519 主力品の特許切れを品目ごとの利益で積むと、10 年の価値は今の値段を大きく下回る。余った現金は戻る会社だが、崖までは埋まらない 本質価値との差 −30.8% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 武田薬品工業4502 10 年後はエンティビオの崖の途中で、利益ベースの本質価値は今の値段に対し割高。借金の重さと償却が効く 本質価値との差 −36.0% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 キャンバス4575 CBP501の可能性は大きいが、未承認の治験と増資に株主価値が左右され、現状の時価総額には安全域が乏しい 本質価値との差 −39.5% · 10 年 割高(年 +3.8%) 割高 Chordia Therapeutics190A 主力抗がん薬には大きな成功余地があるが、承認までの不確実性と度重なる希薄化を考えると割高である 本質価値との差 −40.1% · 10 年 割高(年 +4.1%) 割高 ペプチドリーム4587 特殊ペプチドの創薬基盤は大手に認められたが、収入は契約の当たり外れで大きく振れる。10年の確率加重では今の時価総額をやや下回る 本質価値との差 −41.7% · 10 年 割高(年 +3.7%) 割高 クリングルファーマ4884 脊髄損傷と声帯瘢痕に承認の芽はあるが、販売実績ゼロと継続的な増資を考えると現時点の価値には安全域が乏しい 本質価値との差 −42.5% · 10 年 割高(年 +3.8%) 割高 モダリス4883 遺伝子治療の独自技術には大きな可能性があるが、臨床成功までの距離と増資による希薄化を考えると割高 本質価値との差 −43.0% · 10 年 割高(年 +4.1%) 割高 イノバセル504A ICEF15の治験進展と大きな潜在市場は魅力だが、承認・普及・追加増資を織り込むと安全域は乏しく、現状は割高と見る 本質価値との差 −44.1% · 10 年 割高(年 +3.2%) 割高 大塚ホールディングス4578 レキサルティ・ジンアークの特許切れが相次ぐ中、ポカリスエット等の消費者事業とネクスト8 が谷を埋められるかが価値を左右する。10 年の価値は割高 本質価値との差 −44.5% · 10 年 割高(年 +0.7%) 割高 生化学工業4548 ヒアルロン酸と LAL の会社。資産は厚いが稼ぐ力が低く、事業の価値は今の時価総額を大きく下回ると見る 本質価値との差 −45.1% · 10 年 割高(年 +1.0%) 割高 ケイファーマ4896 神経難病の治療薬には大きな価値が眠るが、承認までの資金負担と希薄化を考えると現状は割高と見る 本質価値との差 −45.2% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 Heartseed219A 心筋再生の技術と臨床成績には価値があるが、商業化と海外展開の不確実性に対して、現在の時価総額には十分な安全域がない 本質価値との差 −46.6% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 小野薬品工業4528 オプジーボの崖のあとは、重い研究開発費が利益を削る。デサイフェラと開発品だけでは今の値段を支えきれず、割高 本質価値との差 −47.0% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 リボミック4591 軟骨無形成症薬に実用化の芽はあるが、承認後の競争と増資の重さを考えると長期の安全域は乏しい 本質価値との差 −51.0% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 栄研化学4549 便潜血の世界首位は本物だが、利益率7%の会社に今の値段は重い。10年の価値は大きく割高 本質価値との差 −51.4% · 10 年 割高(年 −1.0%) 割高 ラクオリア創薬4579 テゴプラザンの世界展開には大きな価値があるが、特許期限と創薬投資の不確実性を考えると現在の評価には安全域が乏しい 本質価値との差 −53.1% · 10 年 割高(年 +0.5%) 割高 ファンペップ4881 創薬技術には大きな可能性があるが、治験の不確実性と増資による希薄化を考えると、長期の本質価値にはまだ安全域がない 本質価値との差 −55.0% · 10 年 割高(年 +0.7%) 割高 メドレックス4586 米国承認済みの貼り薬に価値はあるが、上市の遅れと将来の希薄化を織り込むと安全域は乏しく割高 本質価値との差 −55.6% · 10 年 割高(年 +1.5%) 割高 サイフューズ4892 細胞製神経導管の商業化には大きな可能性があるが、承認までの赤字と将来の株式希薄化を考えると、現在の時価総額には十分な安全域がない 本質価値との差 −56.5% · 10 年 割高(年 +0.6%) 割高 大幸薬品4574 正露丸という一本足の老舗。クレベリン特需の後始末を終えたが、利益の戻りは遅く、値段は割高 本質価値との差 −57.1% · 10 年 割高(年 −0.3%) 割高 科研製薬4521 現金は厚いが、利益より先に減っていく。新薬が当たらなければ 10 年の価値は今の値段を下回る 本質価値との差 −57.5% · 10 年 割高(年 −3.5%) 割高 わかもと製薬4512 眼科とヘルスケアの小さな製薬会社。赤字の医薬事業を黒字化できるかが焦点で、実績は乏しい 本質価値との差 −60.8% · 10 年 割高(年 −2.7%) 割高 中京医薬品4558 赤い箱の配置薬を回る商売は細る。利益率 2% の会社に 10 年後の価値はあまり積み上がらない 本質価値との差 −60.9% · 10 年 割高(年 −3.4%) 割高 ネクセラファーマ4565 国内の製品事業は黒字の入口に立ったが、今の値段は神経薬と睡眠障害薬の提携がほぼ当たる未来まで先に払っている 本質価値との差 −61.3% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 ノイルイミューン・バイオテック4893 固形がんCAR-Tの発明には価値があるが、治験成功の不確実性と追加増資を考えると現状は割高 本質価値との差 −62.4% · 10 年 割高(年 −1.3%) 割高 免疫生物研究所4570 抗体試薬の黒字定着は評価できるが、創薬の夢と足元の利益に対して現在の時価総額は大きく、長期の安全域は乏しい 本質価値との差 −63.3% · 10 年 割高(年 −3.4%) 割高 ヘリオス4593 ARDS治療薬が成功すれば大きく化けるが、承認の不確実性と長年の赤字、株式希薄化を考えると現値に安全域は乏しい 本質価値との差 −65.0% · 10 年 割高(年 −0.9%) 割高 坪田ラボ4890 眼科創薬の特許と提携は魅力だが、主要試験の不達と資金希薄化を考えると、長期価値に対して大幅に割高 本質価値との差 −65.5% · 10 年 割高(年 −1.9%) 割高 Delta-Fly Pharma4598 抗がん剤の開発価値は残るが、第3相試験の失敗と巨額の資金需要が重い。既存株主の取り分まで考えると割高と判断する 本質価値との差 −72.3% · 10 年 割高(年 −2.7%) 割高 ステラファーマ4888 世界初の承認BNCT薬には価値がある。しかし治療の普及と海外展開にはまだ壁が厚く、度重なる増資も考えると現在の評価は割高だ 本質価値との差 −72.8% · 10 年 割高(年 −3.8%) 割高 PRISM BioLab206A 独自の創薬技術には価値があるが、提携収入の不安定さと増資リスクを考えると、現在の時価総額は割高 本質価値との差 −73.1% · 10 年 割高(年 −4.5%) 割高 キッズウェル・バイオ4584 上市済み4製品には実需があるが、主力製品の競争激化と細胞治療への投資・希薄化を踏まえると安全域は乏しい 本質価値との差 −73.7% · 10 年 割高(年 −4.5%) 割高 デ・ウエスタン・セラピテクス研究所4576 眼科創薬の実績と有望な開発品はあるが、特許満了、長い開発期間、大幅な希薄化を考えると割高 本質価値との差 −75.3% · 10 年 割高(年 −5.0%) 割高 ブライトパス・バイオ4594 米国第Ⅰ相に進んだ細胞療法には価値の芽があるが、上市までの不確実性と増資負担を考えると割高である 本質価値との差 −75.6% · 10 年 割高(年 −5.2%) 割高 ジーエヌアイグループ2160 あゆみ製薬の買収で収益の土台はできたが、研究開発の赤字を抱え、今の値段は肝線維化薬F351の大成功まで先取りしている 本質価値との差 −75.6% · 10 年 割高(年 −6.3%) 割高 オンコリスバイオファーマ4588 世界初の食道がん薬は承認までたどり着いたが、国内だけなら売上は年20億円規模で、今の値段は海外と他のがんへの広がりまで先取りしている 本質価値との差 −75.9% · 10 年 割高(年 −6.8%) 割高 Veritas In Silico130A RNA創薬の技術には可能性があるが、巨額の開発費と株式希薄化を考えると、現在の株価は割高と判断する 本質価値との差 −81.4% · 10 年 割高(年 −7.5%) 割高 オンコセラピー・サイエンス4564 遺伝子解析には事業の芽があるが、創薬の成功は遠く、赤字と増資を伴う10年間に今の時価総額は高すぎる 本質価値との差 −81.5% · 10 年 割高(年 −7.9%) 割高 レナサイエンス4889 第Ⅲ相治験が二つ進む技術的可能性はあるが、承認前の希薄化と導出収入の細さに対して現在の評価には大きな安全域不足がある 本質価値との差 −83.3% · 10 年 割高(年 −8.8%) 割高 ペルセウスプロテオミクス4882 抗体創薬に臨床上の芽はあるが、研究費と希薄化が重く、10年先の既存株主価値には大きな安全域が必要 本質価値との差 −85.2% · 10 年 割高(年 −9.2%) 割高 NANOホールディングス4571 創薬から投資会社への転身には可能性があるが、赤字の長期化と増資による希薄化を考えると、既存株主に残る価値は乏しい 本質価値との差 −85.9% · 10 年 割高(年 −10.3%) 割高 カイオム・バイオサイエンス4583 抗体創製技術と黒字の受託事業は魅力だが、創薬赤字と増資による取り分の減少が十年の株主価値を圧迫する 本質価値との差 −89.4% · 10 年 割高(年 −12.8%) 割高 窪田製薬ホールディングス4596 眼科医療の潜在市場は大きいが、臨床的有効性・黒字化・希薄化の壁が厚く、長期の本質価値は現在の時価総額を大きく下回る 本質価値との差 −89.8% · 10 年 割高(年 −12.1%) 割高 ソレイジア・ファーマ4597 中国の販売提携には回復余地があるが、治験失敗と資金調達による希薄化を含めると、現行株価は割高 本質価値との差 −92.2% · 10 年 割高(年 −14.5%)

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読んだ資料

  1. ステムリム 2026年7月期決算短信(2026年9月9日)
  2. ステムリム 2026年7月期決算説明資料(2026年9月11日)
  3. ステムリム 事業計画及び成長可能性に関する事項(2025年10月31日)
  4. 塩野義製薬 レダセムチド追加第Ⅱ相・国際後期第Ⅱ相試験結果(2026年9月9日)

分析日 2026-10-22