結論
ジーエヌアイグループは、日本・米国・中国にまたがる創薬会社だ。中国で売る肺線維症薬アイスーリュイが稼ぎ頭で、2026年7月には解熱鎮痛薬カロナールのあゆみ製薬を買い、日本にも販売網を持った。筆者の結論は割高である。肝線維化薬F351の大成功まで、今の値段が織り込んでいると見る。
足元の実力は強くない。2025年12月期の営業損益は35億円の赤字だった。2026年の上期は、未払利息の取崩益を除けば赤字が続く。あゆみの営業利益62億円を足しても、研究開発費を払えば連結の利益はゼロ近くになる。赤字の開発会社が、黒字の土台を持つ会社に変わる途中だ。しかも中国の稼ぎは子会社の持ち株を通すため、株主の手元に残るのは4割ほどにすぎない。
分かれ目はF351だ。中国で承認が通り、公的保険の対象に入れば、会社の姿は変わる。ただし承認は条件付きの見込みで、確認の試験が別に要る。筆者は、大きく当たる筋は半分に届かないと見る。当たれば大きいが、外れた時に残る価値は小さい。
買収の支払いで株が約18%増え、200億円の借入も加わった。借入には赤字を出さないという約束が付く。確率を掛けて割り引くと、10年後の価値は今の時価総額の2割に届かない。楽観の筋でも、年あたりの利回りは資本コストに届かない。値段に安全域はなく、この会社を持つ理由を、筆者は価格の側から見つけにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「利益を出す会社」ではなく「利益を出すかもしれない会社」だ。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、今はマイナスだ。研究開発費が、あゆみとアイスーリュイの稼ぎを上回る。この状態が何年続くかが、値打ちを決める。
筆者が評価するのは、あゆみ製薬の部分だ。国内で8割超のシェアを持つ薬は、地味だが長く稼ぐ。ただ、買収の代金は借入と新株で払った。割高な値段で買っていないかは、まだ確かめられない。
もう一つの柱は、F351という賭けだ。当たれば大きいが、外れれば開発費が残る。筆者は、わからない部分が大きい事業には確信を下げる。
安全域は、払う値段と、外れた時に残る価値の差だ。外れた時に残るのは、あゆみの事業と中国の既存薬の価値から借入を引いた分で、今の時価総額の1割ほどにすぎない。今の値段には、その差がほとんどない。
持ち続けたい会社の条件は、利益が見通せることだ。この会社は、あゆみが加わって見通せる部分が増えた。それでも、全体の利益はまだ予測の外にある。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は四つある。中国の肺線維症薬、日本の鎮痛・リウマチ薬、米国の生体材料、そして開発中の薬の提携収入だ。
中国では、子会社の米ジャイア・セラピューティクスが、傘下の北京コンチネントを通じてアイスーリュイ(ピルフェニドン)を売る。2025年の売上は約106百万ドルで、中国の患者約16万人のうち、治療を受けるのは3割に届かない見当だ。特発性肺線維症の薬だ。2026年4〜6月の売上は2,800万ドルで、前の年から2割ほど伸びた。ただし同じ会社の別の2製品は、中国の集中購買で値が下がった。通期の売上見通しは、1億ドル前後だ。
日本では、あゆみ製薬が柱になる。主力のカロナールは、国内のアセトアミノフェン市場で8割超のシェアを持つと会社は言う。2026年3月期の売上は385億円、営業利益は62億円だ。整形外科とリウマチの製品も持つ。2026年7月に完全子会社になり、連結は下半期から入る。
開発の本命はF351(ヒドロニドン)だ。B型肝炎に伴う肝臓の線維化を治す薬で、中国での承認申請が2026年5月に受理され、優先審査の扱いになった。米国では脂肪肝由来の線維化への展開を計画している。米国では、2023年に譲り受けた生体材料の事業がある。整形外科の手術で使う骨再建用の材料で、2025年の売上は77億円、利益は5億円と薄い。ほかに、米Cullgenから来た分解薬の研究がある。ジャイアは2026年5月にCullgenを吸収した。
会社は自社の位置づけを「第二の創業期」と呼ぶ。中国と米国で開発し、日本で売る仕組みを作る狙いだ。
収益の構成は大きく変わる。2025年は売上の大半が中国だった。あゆみが入る2026年の通期予想は、前の年の約1.8倍の473億円だ。ただし会社は、利益の予想を出していない。
優良さと弱いところ
筆者は、この会社の堀(他社がまねできない強み)を「部分的に強いが、全体では薄い」と見る。
強い部分はカロナールだ。国内で8割超のシェアを持ち、医師にも患者にも名前が通る。ただし薬の値段は国が決める。毎年の薬価改定で、古い薬の値は下がる。値段を自分で動かせない点は、強みを削る。
中国のアイスーリュイは、先行して市場を作った。しかし中国では、集中購買で落札すれば値が大幅に下がる。同じ会社のコンティバとエトレルは、すでにその影響を受けた。後発の薬が増えれば、アイスーリュイも同じ道をたどりうる。
F351は、成功すれば堀になる。初めての肝線維化の標準薬になりうるからだ。だが根拠は中国の試験だけで、長期の効果を示す確認試験はこれからだ。
資本効率はまだ低い。過去10年の自己資本利益率の中央値は1.8%だ。赤字の期も多く、過去20年で6期、株が増えた。今回も買収の支払いで株が2割近く増えた。堀の強さと、資本の使い方の確かさは、別の問題だ。経営は買収で収益を広げる方向に動いたが、その代金を借入と新株で払った点には、慎重に見る必要がある。経営の力量は、買収後に利益と借入の返済が両立するかで確かめられる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この会社が戦う市場は三つある。それぞれ、景気より制度で動く。
日本の処方薬は、人口が減る中で数量が伸びにくい。国は毎年のように薬価を下げ、古い薬ほど削られる。一方で高齢化により、痛みと関節の病気の患者は増える。鎮痛・リウマチ領域は、数量は横ばい、値段は下がるのが基本だ。競合は先発の大手と、後発薬の会社だ。アセトアミノフェンの後発薬が増えれば、カロナールの占有は薄まる。
中国の肺線維症薬は、診断が進めば患者数は伸びる。だが公的保険に入れるたびに値が下がり、集中購買が来れば更に下がる。競合は、同じ成分の後発薬と、別の成分の薬だ。数量は伸びても、売上は伸びにくい。
中国の肝臓の病気は、市場が大きい。B型肝炎のウイルスを持つ人は約7,500万人とされる。ウイルスは抑えられても、線維化を直す薬はまだ標準になっていない。F351が承認されれば、この空白を埋める最初の薬になる。ただし後発の線維化薬、脂肪肝向けの米欧の薬も、いずれ競争相手になる。
創薬ベンチャーの共通点は、収益が治験の成否に左右され、資金調達の環境に弱いことだ。日本のバイオ資金は米国の100分の1に満たない。この会社は日米中の三つの市場から資金を集められるぶん、並のベンチャーより強い。それでも、赤字の開発費を自力で賄うには、まだ売上が足りない。
米国では、脂肪肝由来の線維化の薬が大手の競争の的だ。F351が米国で戦うには、大規模で長い試験が要る。その費用を誰が負担するかが、事業の形を決める。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、成長のための調達と買収だ。株主への還元はない。配当は出しておらず、当面も出せない。
2026年の買収が転機になった。あゆみ製薬の取得額は448億円で、180億円を現金、268億円を新株で払った。売り手は米ブラックストーン系ファンド、東邦ホールディングス、久光製薬だ。新株は約1,000万株で、株数は約18%増えた。現金の支払いには、みずほ銀行などからの200億円の借入を充てた。
借入には約束が付く。2026年12月期以降、自己資本を総資産の75%以上に保ち、営業利益か当期利益を赤字にしないことだ。担保はジャイアの株だ。赤字の開発費を抱える会社には、重い約束だ。守れなければ、ジャイア株の売却や増資に追い込まれうる。
M&Aの履歴は、買い手として積極的だ。ジャイアによるCullgenの吸収も、同じ流れにある。外部の推計では、10年以内にこの会社自体がTOBを受ける確率は1割台半ばだ。ただし中国の子会社群と米国上場の子会社を持つ構造は複雑で、買う側には重い。
持ち株の構造も、株主の取り分を小さくする。ジーエヌアイはジャイアの株の約6割を持ち、ジャイアは北京コンチネントの7割を持つ。中国の利益のうち、ジーエヌアイの株主に残るのは約4割だ。
株主から見て悩ましいのは、希薄化と借入が同時に来たことだ。成長の代金を払う方法として、これは高くつく。
点検済み(割高の見落とし点検 2026-10-19):株数は台帳の二重足しを除いた 65,836,850 株、借入 237 億円と少数株主の取り分を引き、中国の利益は持ち分約 4 割で数えた。起点の営業利益は未払利息の取崩益を含むので使っていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
F351は、中国で数百万人に届きうる薬だ。B型肝炎のウイルスを抑える薬はあるが、線維化を直す薬はまだない。試験は主要な目標を達成し、優先審査が決まった。承認が通れば、保険に入る交渉が次の山で、薬の値段は下がっても、患者の数が補う。ピーク時の売上は、会社の見立てで数百億円から千億円を超えうる。
あゆみの買収は、収益の土台を作った。カロナールは国内で8割超のシェアを持ち、毎年安定して利益を出す。販売網を得たことで、米中の自社品や海外のバイオ後続薬を日本に持ち込める。これまで会社が持てなかった道だ。
さらに、ジャイアは米国で脂肪肝由来の線維化に進む。ここに提携先がつけば、ライセンス収入が入る。Cullgenの分解薬も、痛みの薬と血液のがんの両方で人での試験を進めている。三つの芽のうち、二つが当たれば、10年後の利益は今の10倍を超える。会社は赤字を許される成長の段階にある。今の値段は、その成長の入口で払う価格として妥当だと言える。
慎重な見方
赤字の実力と借入が、今の値段と合っていない。上期の営業利益は黒字に見えるが、未払利息の取崩益66億円を除けば、約60億円の赤字だ。あゆみの利益を足しても、連結ではほぼゼロになる。その上で200億円を借り、赤字を出さないという約束を負った。
F351の承認は条件付きの見込みで、確認の試験が別に要る。その結果が悪ければ、承認が取り消される例もある。保険に入る交渉では、値段が大きく下がる。中国は、集中購買と価格交渉で、薬の値段を下げ続けてきた。
アイスーリュイも安全ではない。同じ会社のコンティバとエトレルは、集中購買で落ちた。後発の追随が進めば、主力も同じ道をたどる。米国の脂肪肝向けの薬は、まだ試験を始める前の段階だ。
買収で株が2割近く増え、持ち分は薄まった。今後も研究費の資金を出すために、増資や子会社株の売却が続きうる。今の値段は、三つの芽がそろって当たる前提だ。そうなる確率は低い。外れた時の下値は、あゆみと中国の既存薬だけだ。
どちらに重みを置いたか
F351の可能性という点では、強気の見方に分がある。成功すれば会社の姿は変わる。ただし、足元の利益は薄く、借入の約束も重い。筆者は、確率を慎重な側に寄せた。
中立でも利益は小さく、やや悲観と悲観を合わせて4割を超える。楽観とやや楽観の合計は、2割台半ばにとどめた。F351が当たる筋は、この会社でいちばん大きい上振れだが、承認の後に保険と確認試験の山が残る。あゆみの買収で下値が少し固くなった点は評価し、悲観の確率は15%にとどめた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,244 円819 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 59 円39 億円)。 今の値に割り戻すと 603 円397 億円、今との差 −77.5%、 期待の年率 −7.0%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,489 円4,931 億円 | 456 円300 億円 | +195.9% | +11.5% | 556 円366 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,600 円1,712 億円 | 152 円100 億円 | +2.5% | +0.2% | 495 円326 億円 |
| 中立 | 32% | 516 円339 億円 | 0 円0 億円 | −80.8% | −15.2% | 165 円109 億円 |
| やや悲観 | 28% | 298 円196 億円 | 0 円0 億円 | −88.9% | −19.7% | 83 円55 億円 |
| 悲観 | 15% | 23 円15 億円 | 0 円0 億円 | −99.2% | −37.9% | 3 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,244 円819 億円 | 59 円39 億円 | −51.5% | −7.0% | 1,303 円858 億円 |
今の株価時価総額 2,685 円1,768 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:F351が大きく当たり、米国と日本にも広がる 利益 299 億円 · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 7,489 円4,931 億円
F351は中国で承認され、公的保険にも入る。治療を受ける人は年に40万人に届く。アイスーリュイも、患者は3.8万人年まで増える。値段は下がるが、会社の取り分は1人あたり約30万円を保つ。米国の脂肪肝由来の線維化で提携先がつき、一時金とロイヤリティが入る。
あゆみには、米中と海外の導入品が次々と加わる。日本で売る薬は8品目になり、米国の生体材料も手術の増加で伸び、会社は国内の販売網を活かして新薬を送り出す会社になる。アイスーリュイは後発の追随を受けながらも、数量を保つ。
10年後、連結の営業利益は700億円を超える。借入は返し終え、配当を出せる。会社は日米中をつなぐ創薬企業として、国際的な評価を得る。研究開発費は大きく増えるが、売上がそれを上回る。
- 国内の鎮痛・リウマチ薬(あゆみ製薬):数量 440(国内の鎮痛・リウマチ領域の処方薬市場(実質・今の薬価で約1兆円と推定)× シェア(億円相当))× 価格 1.00(薬価の指数(今=1。名目))→ 売上 440 億円・営業利益 79 億円。国内は市場の4.4%・薬価据え置き。営業利益率18%
- 日本へ導入する薬(バイオ後続薬・自社品):数量 8.0(導入して売る品目の数)× 価格 30(1品目あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 240 億円・営業利益 67 億円。導入品が8品目×年30億円。営業利益率28%
- 中国の肺線維症薬アイスーリュイ(ピルフェニドン):数量 3.8(年間の投与患者数(万人年))× 価格 70(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 266 億円・営業利益 88 億円。年3.8万人年×70億円(1人年約70万円)。営業利益率33%
- 中国の新薬コンティバ(アバトロンボパグ)・エトレル(ニンテダニブ):数量 1.0(年間の投与患者数(万人年))× 価格 40(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 8 億円。年1万人年×40億円。営業利益率20%
- 中国の肝線維化薬F351(ヒドロニドン):数量 40.0(年間の投与患者数(万人))× 価格 30(1万人あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 1,200 億円・営業利益 540 億円。年40万人×1万人あたり30億円。営業利益率45%
- 米国の生体材料(整形外科・骨再建用):数量 4.5(年間の手術件数(万件))× 価格 42(1万件あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 189 億円・営業利益 23 億円。年4.5万件×1万件あたり42億円。営業利益率12%
- 提携収入・日本の既存事業ほか:数量 1.0(収入の束(1))× 価格 300(年間の収入(億円・名目))→ 売上 300 億円・営業利益 120 億円。米国の脂肪肝向けの提携収入などで年300億円。営業利益率40%
倍率:事業の純利益 299 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.5 倍。全体の PER 16.49 倍、時価総額 4,930 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:F351が中国で大きく広がり、米国の提携と日本の導入品も当たる筋書き。承認の後に保険と確認試験の山が残るため、三つ同時に当たる確率は1割に届かない7%に置いた。
やや楽観 18% やや楽観:F351が中国で定着し、日本の導入品が育つ 利益 117 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 2,600 円1,712 億円
F351は中国で承認され、年に20万人が使う。保険に入る交渉で値段は下がり、会社の取り分は1人あたり約28万円になる。アイスーリュイは集中購買で値が下がるが、数量が増えて売上は保つ。
あゆみでは、カロナールの薬価は少し下がるが、導入品が6品目に増える。米国の線維化は試験の途中で、提携先は決まらない。
10年後、会社は黒字が定着し、営業利益は270億円ほどになる。借入の約束は守り、配当を出し始める。米国の試験は続き、費用の重さは残る。ジャイアの少数株主への取り分も大きくなる。会社は、あゆみの販売網で導入品を増やし、日本事業を第二の柱に育てる。借入は、返済の計画どおりに減る。
- 国内の鎮痛・リウマチ薬(あゆみ製薬):数量 420(国内の鎮痛・リウマチ領域の処方薬市場(実質・今の薬価で約1兆円と推定)× シェア(億円相当))× 価格 0.95(薬価の指数(今=1。名目))→ 売上 399 億円・営業利益 66 億円。国内は市場の4.2%・薬価は少し下がる。営業利益率16.5%
- 日本へ導入する薬(バイオ後続薬・自社品):数量 6.0(導入して売る品目の数)× 価格 22(1品目あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 132 億円・営業利益 32 億円。導入品が6品目×年22億円。営業利益率24%
- 中国の肺線維症薬アイスーリュイ(ピルフェニドン):数量 3.3(年間の投与患者数(万人年))× 価格 64(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 211 億円・営業利益 63 億円。年3.3万人年×64億円。営業利益率30%
- 中国の新薬コンティバ(アバトロンボパグ)・エトレル(ニンテダニブ):数量 0.8(年間の投与患者数(万人年))× 価格 30(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 4 億円。年0.8万人年×30億円。営業利益率15%
- 中国の肝線維化薬F351(ヒドロニドン):数量 20.0(年間の投与患者数(万人))× 価格 28(1万人あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 560 億円・営業利益 224 億円。年20万人×1万人あたり28億円。営業利益率40%
- 米国の生体材料(整形外科・骨再建用):数量 3.8(年間の手術件数(万件))× 価格 38(1万件あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 144 億円・営業利益 14 億円。年3.8万件×1万件あたり38億円。営業利益率10%
- 提携収入・日本の既存事業ほか:数量 1.0(収入の束(1))× 価格 150(年間の収入(億円・名目))→ 売上 150 億円・営業利益 30 億円。提携などで年150億円。営業利益率20%
倍率:事業の純利益 117 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.9% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍。全体の PER 14.63 倍、時価総額 1,712 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:F351が中国で承認され保険にも入るが、米国の提携は小さくとどまる筋書き。承認前の最大の山を越える確率として、楽観よりずっと厚い18%に置いた。
中立 32% 中立:あゆみが支え、F351は小さく立ち上がる 利益 28 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 516 円339 億円
F351は中国で条件付きの承認を得て、保険にも入るが、普及はゆっくりだ。10年目の使用者は年8万人にとどまり、会社の取り分は1人あたり約25万円になる。確認試験の結果待ちが、拡大を縛る。
あゆみは、カロナールの薬価が毎年少しずつ下がり、売上は今より小さくなる。導入品は4品目に増え、小さな利益を出す。アイスーリュイは、集中購買で1人あたりの売上が下がり、患者数が2.8万人年に増えても売上は伸びない。
連結の営業利益は70億円ほどで、ジーエヌアイの株主に届く純利益は30億円足らずだ。研究開発費を大きく払う会社のままだ。借入は少しずつ返す。米国の線維化の試験は、資金の都合で小さな規模にとどまる。配当は出さず、利益は開発に回る。
- 国内の鎮痛・リウマチ薬(あゆみ製薬):数量 400(国内の鎮痛・リウマチ領域の処方薬市場(実質・今の薬価で約1兆円と推定)× シェア(億円相当))× 価格 0.90(薬価の指数(今=1。名目))→ 売上 360 億円・営業利益 50 億円。国内は市場の4.0%・薬価は10年で1割下がる。営業利益率14%
- 日本へ導入する薬(バイオ後続薬・自社品):数量 4.0(導入して売る品目の数)× 価格 18(1品目あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 14 億円。導入品が4品目×年18億円。営業利益率20%
- 中国の肺線維症薬アイスーリュイ(ピルフェニドン):数量 2.8(年間の投与患者数(万人年))× 価格 52(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 146 億円・営業利益 39 億円。年2.8万人年×52億円。集中購買で1人年の売上は今の約0.87倍(物価が上がっても下がる)。営業利益率27%
- 中国の新薬コンティバ(アバトロンボパグ)・エトレル(ニンテダニブ):数量 0.6(年間の投与患者数(万人年))× 価格 22(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。年0.6万人年×22億円。集中購買で値が今の約0.73倍。営業利益率10%
- 中国の肝線維化薬F351(ヒドロニドン):数量 8.0(年間の投与患者数(万人))× 価格 25(1万人あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 200 億円・営業利益 70 億円。年8万人×1万人あたり25億円。営業利益率35%
- 米国の生体材料(整形外科・骨再建用):数量 3.3(年間の手術件数(万件))× 価格 34(1万件あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 112 億円・営業利益 9 億円。年3.3万件×1万件あたり34億円。営業利益率8%
- 提携収入・日本の既存事業ほか:数量 1.0(収入の束(1))× 価格 25(年間の収入(億円・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 5 億円。提携と日本の既存事業で年25億円。営業利益率20%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.0% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 339 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:F351が中国で条件付きの承認を得て、小さく広がる筋書き。あゆみの利益がほぼ維持され、アイスーリュイは横ばいになる。承認の確率は半分前後とみて、最大の山の32%に置いた。
やや悲観 28% やや悲観:F351は遅れ、薬価の下げが利益を削る 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 298 円196 億円
F351は、承認が遅れたか、保険に入る値段が低く、年に3万人しか使われない。確認試験の費用も重い。アイスーリュイは、後発の追随と集中購買で数量と値段の両方が下がる。
あゆみは、薬価の引き下げと後発薬の増加で、国内の利益が今の半分近くまで減る。導入品は2品目にとどまる。
連結は、研究開発費を絞ってようやく収支が合う。ジャイアの利益の6割は少数株主に回る。借入の約束を守るため、研究費を抑え、子会社株の一部を売る。それでも、のれんの一部を減らす必要が出て、自己資本は伸びない。成長の道は閉ざされないが、細い。F351は市場に出ているが、期待した広がりはない。経営は、買収の効果で国内の利益を守ることに力を注ぐ。
- 国内の鎮痛・リウマチ薬(あゆみ製薬):数量 370(国内の鎮痛・リウマチ領域の処方薬市場(実質・今の薬価で約1兆円と推定)× シェア(億円相当))× 価格 0.85(薬価の指数(今=1。名目))→ 売上 315 億円・営業利益 35 億円。国内は市場の3.7%・薬価は大きく下がる。営業利益率11%
- 日本へ導入する薬(バイオ後続薬・自社品):数量 2.0(導入して売る品目の数)× 価格 12(1品目あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。導入品が2品目×年12億円。営業利益率10%
- 中国の肺線維症薬アイスーリュイ(ピルフェニドン):数量 2.4(年間の投与患者数(万人年))× 価格 50(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 120 億円・営業利益 26 億円。年2.4万人年×50億円。営業利益率22%
- 中国の新薬コンティバ(アバトロンボパグ)・エトレル(ニンテダニブ):数量 0.4(年間の投与患者数(万人年))× 価格 22(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。年0.4万人年×22億円。営業利益率0%
- 中国の肝線維化薬F351(ヒドロニドン):数量 3.0(年間の投与患者数(万人))× 価格 20(1万人あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 60 億円・営業利益 12 億円。年3万人×1万人あたり20億円。営業利益率20%
- 米国の生体材料(整形外科・骨再建用):数量 3.0(年間の手術件数(万件))× 価格 30(1万件あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 90 億円・営業利益 5 億円。年3万件×1万件あたり30億円。営業利益率6%
- 提携収入・日本の既存事業ほか:数量 1.0(収入の束(1))× 価格 60(年間の収入(億円・名目))→ 売上 60 億円・営業利益 0 億円。提携が細り年60億円。営業利益率0%
倍率:稼ぐ力はほぼなく、価値は売れる資産の税後から借入を引いた床(floor_assets_oku)で置いた。床の倍率は今の自己資本に掛けた(積み上げた利益には掛けない)。市場の倍率からは置いていない。
確率:F351の承認が遅れるか、保険の値段が低く、研究開発の赤字を抱え続ける筋書き。借入の約束と、集中購買の圧力を重く見て、28%に置いた。
悲観 15% 悲観:F351が失敗し、借入の約束を守れず事業を縮める 利益 −21 億円 · PBR 0.0 倍 · 株価時価総額 23 円15 億円
F351は承認に至らないか、取り消される。ジャイアは中国で縮み、アイスーリュイも後発に押される。研究開発費が重く、借入の約束を守れない。
あゆみは薬価の下げと後発薬の増加で、利益が急に細る。買収ののれんの減損が出て、自己資本が大きく減る。会社はジャイア株を売り、増資に追い込まれる。導入品は1品目にとどまる。
連結は赤字のままで、開発を大きく絞る。国内では、あゆみの事業を売る選択肢も出る。会社は、買収の前に近い小さな開発会社に戻る。株主の取り分は、希薄化と減損でほとんど残らない。中国の子会社も、持ち分を下げざるをえない。
- 国内の鎮痛・リウマチ薬(あゆみ製薬):数量 320(国内の鎮痛・リウマチ領域の処方薬市場(実質・今の薬価で約1兆円と推定)× シェア(億円相当))× 価格 0.75(薬価の指数(今=1。名目))→ 売上 240 億円・営業利益 12 億円。国内は市場の3.2%・薬価が大きく下がる。営業利益率5%
- 日本へ導入する薬(バイオ後続薬・自社品):数量 1.0(導入して売る品目の数)× 価格 6.00(1品目あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。導入品は1品目×年6億円。営業利益率5%
- 中国の肺線維症薬アイスーリュイ(ピルフェニドン):数量 1.8(年間の投与患者数(万人年))× 価格 40(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 9 億円。年1.8万人年×40億円。営業利益率12%
- 中国の新薬コンティバ(アバトロンボパグ)・エトレル(ニンテダニブ):数量 0.1(年間の投与患者数(万人年))× 価格 22(1万人年あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。年0.1万人年×22億円。営業利益率−20%
- 中国の肝線維化薬F351(ヒドロニドン):数量 0.5(年間の投与患者数(万人))× 価格 18(1万人あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。年0.5万人×1万人あたり18億円。営業利益率0%
- 米国の生体材料(整形外科・骨再建用):数量 2.5(年間の手術件数(万件))× 価格 27(1万件あたりの会社の売上(億円・名目))→ 売上 68 億円・営業利益 1 億円。年2.5万件×1万件あたり27億円。営業利益率2%
- 提携収入・日本の既存事業ほか:数量 1.0(収入の束(1))× 価格 20(年間の収入(億円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 −2 億円。提携の終了で年20億円。営業利益率−10%
倍率:稼ぐ力はなく、売れる資産を売っても借入を返しきれない。株主に残るのは僅かな残りだけとみて、今の自己資本にごく小さな倍率を掛けた。のれんの減損で自己資本は150億円まで減るとみた。市場の倍率からは置いていない。
確率:F351の確認試験が失敗するか承認されず、研究開発の赤字が続く筋書き。三つの柱のうち二つが傷つく構造的な負けだが、あゆみの安定した利益があるため、15%に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内の鎮痛・リウマチ薬(あゆみ製薬)
解熱鎮痛薬カロナールを主力に、整形外科とリウマチの製品を国内で売る。2026年7月から連結。
| 数量国内の鎮痛・リウマチ領域の処方薬市場(実質・今の薬価で約1兆円と推定)× シェア(億円相当) | 価格薬価の指数(今=1。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 385 | 1.00 | 385 | 62 |
| 10 年後 中立 | 400 | 0.90 | 360 | 50 |
取り方:あゆみHDの2026年3月期の売上385億円・営業利益62億円を年換算で置いた(2025年12月期の連結には入っていない)。対象市場の約1兆円は、開示が無いため筆者の推定で、シェアは約3.9%。
日本へ導入する薬(バイオ後続薬・自社品)
あゆみの販売網で、海外のバイオ後続薬やジャイアなどの自社品を日本で売る。会社が買収の狙いに挙げた。
| 数量導入して売る品目の数 | 価格1品目あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 14 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 18 | 72 | 14 |
取り方:今は導入品の売上は無い。10年先は品目数×1品目の売上で置く。1品目の売上は、日本の後続薬や中堅の新薬の売上規模からの筆者の推定で、今の13.5億円が物価で約1.3倍になる。
中国の肺線維症薬アイスーリュイ(ピルフェニドン)
ジャイアの中国子会社(北京コンチネント)が売る特発性肺線維症の薬。2011年に中国で承認され、公的保険に入っている。
| 数量年間の投与患者数(万人年) | 価格1万人年あたりの会社の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.7 | 60 | 159 | 43 |
| 10 年後 中立 | 2.8 | 52 | 146 | 39 |
取り方:2025年の売上は1億610万ドル(ジャイアの10-K)で、1ドル150円なら約159億円。患者数は開示が無い。中国の患者数は2024年で約16.1万人(フロスト&サリバン)で、その16%にあたる約2.65万人年が治療を受け、1人年の会社の売上は約60万円と置いた(推定)。営業利益率は約27%。
中国の新薬コンティバ(アバトロンボパグ)・エトレル(ニンテダニブ)
2025年に中国で売り出した血小板を増やす薬と肺線維症の薬。集中購買の影響で、2026年は売上が細っている。
| 数量年間の投与患者数(万人年) | 価格1万人年あたりの会社の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.5 | 30 | 15 | −3 |
| 10 年後 中立 | 0.6 | 22 | 13 | 1 |
取り方:2025年の売上はコンティバ552万ドル・エトレル462万ドルの計約1,010万ドル(約15億円)。患者数は開示が無く、約0.5万人年・1人年約30万円と置いた(推定)。立ち上げの費用が重く、営業利益は小さな赤字とみた。
中国の肝線維化薬F351(ヒドロニドン)
B型肝炎に伴う肝臓の線維化を治す薬。2026年5月に中国で承認申請が受理され、優先審査に入った。
| 数量年間の投与患者数(万人) | 価格1万人あたりの会社の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 19 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 25 | 200 | 70 |
取り方:未承認で売上は0。中国のB型肝炎に伴う線維化の患者は約6,000万人台(ジャイアの10-K)だが、線維化が進み治療の対象になる人は一部で、実際に処方を受ける人数を10年目に置く。1人年の会社の売上は今の水準で約19万円(保険で下がる分を見込んだ推定。中立では物価で約25万円)。会社は値段を開示していない。
米国の生体材料(整形外科・骨再建用)
2023年にエルティア社から譲り受けた米国の生体材料の事業。会社の決算では「医療機器事業」にあたる。
| 数量年間の手術件数(万件) | 価格1万件あたりの会社の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.0 | 26 | 77 | 5 |
| 10 年後 中立 | 3.3 | 34 | 112 | 9 |
取り方:2025年12月期の医療機器事業の売上は76.8億円・セグメント利益5.3億円(有価証券報告書。利益率6.9%)。件数は開示が無く、約3万件・1万件あたり25.6億円(1件約26万円)と置いた(推定)。
提携収入・日本の既存事業ほか
共同開発の収入、日本の医薬品の売上、その他の束。アステラスとの共同研究は2026年3月に終わった。
| 数量収入の束(1) | 価格年間の収入(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 18 | 18 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 25 | 25 | 5 |
取り方:2025年12月期の連結売上268.4億円から、アイスーリュイ159億円・コンティバ/エトレル15億円・生体材料76.8億円を引いた約17.6億円。共同開発収益は終わりに向かう。営業利益は約5億円と推定。
リスクと懸念
F351の承認が条件付きにとどまる
会社は中国当局と、既存の試験で条件付きの承認を申請できると確認した。ただし条件付きは、確認試験の結果で取り消されうる。確認試験は数年かかり、費用も重い。悪い結果が出れば、売上の見立てが崩れる。
集中購買と薬価の引き下げ
中国では、集中購買に落札すれば量は取れるが、値段は大きく下がる。コンティバとエトレルはすでに影響を受けた。主力のアイスーリュイにも同じ圧力が来れば、中国の売上と利益が同時に削られる。
借入の約束を守れない
200億円の借入には、総資産に対する自己資本の比率75%以上と、営業利益か当期利益を赤字にしないという約束がある。担保はジャイアの株だ。研究開発費が重いまま利益が出なければ、約束を破りうる。そうなれば、子会社株の売却や増資を迫られる。
買収の代金と、のれんの重さ
あゆみの取得額は448億円で、既存の借入やのれんの額は開示されていない。カロナールの薬価が下がり、後発薬が進めば、買った時の利益水準を保てない。のれんの減損が出れば、自己資本が大きく削られる。
複雑な持ち株構造
中国の子会社、米国上場のジャイアとその少数株主、日本の本体が重なる。ジーエヌアイはジャイアの約6割、ジャイアは北京コンチネントの7割を持つので、中国の利益のうち株主に届くのは約4割だ。連結の営業利益より、親会社の株主に残る取り分はずっと小さい。外から読みにくく、ジャイアの株価や増資の動きが親会社の資金繰りにも響く。
株の増加が続く
過去20年で6期、株が増えた。今回の買収でも約18%増えた。研究費の資金を出すために、今後も増資が出れば、1株あたりの価値は薄まる。
今後の分かれ目
- 中国当局がF351を2027年までに承認し、公的保険の対象に入る
- 中立の確率を厚くし、やや楽観に寄せる。ただし値段交渉で下がる額と、確認試験の結果を見るまでは、大きくは動かさない。
- F351の確認試験で主要な目標を達成できない、または承認が条件付きのまま止まる
- 売上の見立てが崩れ、やや悲観と悲観の確率を上げる。借入の約束にも響く。
- アイスーリュイが集中購買で落札し、値が大きく下がる
- 数量は取れても利益は減る。中国の既存事業の利益率を下げ、やや悲観の確率を上げる。
- あゆみ製薬の下半期の連結で、営業利益が年換算60億円を維持している
- 国内の土台は確かだと判断できる。中立の確率を厚くする。
- 米国で脂肪肝由来の線維化の試験を始め、提携先がつく
- ライセンス収入の道が開き、楽観側の確率を上げる。
- 借入の約束を守れず、ジャイア株の売却か増資が出る
- 株の希薄化か、中国事業の持ち分の低下につながる。悲観側の確率を上げる。
見ておくもの
- F351の中国での承認の時期と条件、保険に入る交渉の結果
- あゆみ製薬の下半期の売上・営業利益と、のれん・既存借入の開示
- アイスーリュイの四半期売上と、集中購買・値下げの有無
- 借入の約束(自己資本比率75%、赤字なし)の達成状況と、増資の有無
倍率と資本コストの決め方
今の株価と時価総額は見ず、事業ごとの数量と値段から10年後の利益を積んだ。あゆみは国内市場の規模とシェア、中国の肺線維症薬は患者数と1人あたりの値段、F351は治療を受ける人数と値段で置いた。倍率は、事業の自己資本利益率と資本コストから式で決めた。今の時価総額は、いちばん強気の筋書きでも資本コストに届かない水準で、これは数字を寄せた結果ではない。純利益は、中国の利益にジーエヌアイの実質の持ち分(約4割)を掛け、国内と米国の利益は全額を入れて置いた。品目ごとに、患者数または件数と1人あたりの売上で積んでいる。悲観側の床は、売れる資産の税後から借入を引いて置いた。連結の数字は、家賃を費用に入れた今の形で置いた。2028年3月期から始まる新しいリース会計の基準で見え方は変わるが、この会社の店舗の賃借は小さく、価値は動かない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→16.49 倍・やや楽観 PER 10.5→14.63 倍・中立 PER 10.5→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。