結論
杏林製薬は、呼吸器・泌尿器・消化器・感染症に強い中堅の製薬会社だ。後発品(ジェネリック)も手がけてきたが、2027 年 4 月にその事業を手放し、新薬に絞る。筆者の結論は、10 年の本質価値は今の時価総額の半分ほどにとどまる、である。
利益が資本コストに届かないことが、最大の理由だ。自己資本は 1,424 億円あるのに、直近の純利益は 34 億円。今期の予想は 15 億円まで下がる。デザレックスが後発品に置き換わり、研究開発費も重いからだ。
新薬の柱は育っている。過活動膀胱薬のベオーバは 258 億円に伸び、抗菌薬のラスビック、結核薬のサチュロが続く。ただ、ベオーバも 10 年のうちに特許の壁に当たる。次の柱が立っていなければ、また同じ崖を下りることになる。
次の柱の候補は睡眠時無呼吸の新薬だ。当たれば大きいが、いまは第 1 相を終えた段階にすぎない。筆者は成功の確率を 1 割台とみて、中立の筋書きには入れていない。
資本の使い方にも不安が残る。導入品の獲得に 300 億円超を使い、足りない分は借金で補う計画だ。経営陣は前の中期計画の課題として、創薬力の不足を認めている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家の目で見ると、問われるのは 2 つだ。この会社は 10 年後も強くなっているか。そして、集めた資本を株主のために増やせているか。
答えは、まだ厳しい。強みは新薬の柱が育ち始めたことと、財務の厚みだ。だが柱はベオーバとラスビックに偏り、特許切れの時期が近い。自己資本 1,424 億円で純利益 34 億円では、資本は稼ぐ道具として働いていない。
見落としやすい点が 1 つある。ROE が資本コストを下回る会社では、ためた利益は額面どおりの価値を持たない。帳簿の資産が厚いことは、安全域の理由にならない。筆者が見るのは、毎年の稼ぐ力と、そこから株主に残る分だ。
経営の資本配分は転換の途上にある。後発品を切り、配当を下げ、導入品に賭ける。うまくいけば ROE は 5% を超えるが、それでも資本コストには届かない。届くのは、睡眠時無呼吸のような大きな当たりが出たときだけだ。そこに賭けるなら、確率を掛けて見る必要がある。
筆者は、この会社に今の値段を払う理由を見つけられなかった。
何で稼ぐ会社か
杏林製薬の売上は 1,263 億円(2026/03 期)。中身は大きく 3 つに分かれる。
1 つ目は国内の新薬で、売上の約 7 割を占める。過活動膀胱薬のベオーバ、抗菌薬のラスビック、アレルギー薬のデザレックス、喘息のフルティフォーム、潰瘍性大腸炎のペンタサが主力だ。医師に薬を説明する営業担当者が、病院と診療所を回って売る。ベオーバは同じ薬をキッセイ薬品とも共同で売っている。
2 つ目は後発品で、売上の約 3 割(385 億円)。子会社のキョーリンリメディオが作る一般の後発品と、自社の先発薬をそのまま後発品として売るオーソライズドジェネリックに分かれる。前者は 2027 年 4 月に、ダイト、Meiji Seika ファルマ、日本政策投資銀行が作る新会社へ移る。工場 2 つも一緒に出る。後者は杏林に残る。
3 つ目は海外で、売上はほぼない。前の期は、ノバルティスに創薬品を導出した契約金で約 89 億円が立った。これは一度きりの収入だった。
稼ぎ方は薬価で決まる。国が価格を毎年下げるので、新しい薬が育たないと売上が細る。杏林は自社の創薬と、他社からの導入を両方で続けている。睡眠時無呼吸の候補薬 KRP-S124 はバイエルから導入し、慢性じんましんなどを狙う KRP-M223 はノバルティスへ出した。結核薬サチュロは、ヤンセンと日本での独占販売契約を結んだ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、厚くない。主力のベオーバが、後発品の来る前に稼ぎ切る時間との勝負だからだ。
いい点から書く。ベオーバは β3 作動薬の市場でシェアを伸ばし、自社販売分は 2022 年の約 15% から 2023 年に約 21% へ上がった。ラスビックは経口ニューキノロン系の売上で 2023 年度に首位と報じられた。自己資本比率は 72.9% と厚く、返済に追われる会社ではない。
悪い点は、稼ぐ効率の低さだ。過去 10 年の ROE の中央値は 4.3%、営業利益率は 2026/03 期で 2.8%。研究開発に年 100 億円を超えて使っても、柱が入れ替わるたびに利益は元の水準まで戻れていない。リメディオも 2 期連続で最終赤字と報じられた。
経営の姿勢は率直だ。社長は前の中期計画の課題として、パイプラインと創薬力の不足を認めた。配当を前期の半分以下に減らし、成長投資を優先する判断も、痛みを先に引き受けるやり方と言える。ただ、その投資が実を結ぶかは、まだ証明されていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の医療用医薬品の市場は、2024 年度に 11 兆 4,874 億円と過去最高だった。高齢化で患者は増える。だが薬価は毎年のように下がり、既存の薬の単価は年に数%ずつ削られる。量が伸びても単価が下がる。この綱引きが、日本の製薬会社の宿命だ。
追い打ちは長期収載品への選定療養だ。後発品のある先発薬を選ぶと、患者が差額の一部を自己負担する。2024 年秋に始まり、杏林のキプレスは 2024/03 期の 70 億円から 22 億円まで落ちた(後発品の浸食も重なった)。デザレックスは今期まで堅調で、来期は後発品参入で大きく減る見込みだ。
過活動膀胱薬では、アステラスのベタニス(ミラベグロン)が先行する。日本での用途特許は 2028 年 11 月に切れるという 2024 年時点の特許情報がある(筆者は原簿で確認していない)。そうなれば、安い後発品が同じ β3 作動薬の価格の基準になる。ベオーバは、薬価の下押しを受けながら選ばれ続けられるかを試される。
睡眠時無呼吸は競争が激しい。米国では肥満症薬のチルゼパチドが適応を取り、アプニメッドも錠剤の開発を進めている。杏林の候補は夜間の気道の筋肉に働く薬で、成功すれば既存の治療とは別の選択肢になる。ただ、第 1 相を終えた段階で、世界に出す体制もこれからだ。
後発品業界は再編の最中にある。供給不安と薬価の下落で、赤字の会社が多い。杏林が後発品を手放すのは、その流れの一部だ。
資本政策と M&A
資本政策は、大きな転換点にある。
まず、後発品の切り離し。2026 年 9 月に最終契約が結ばれ、2027 年 4 月 1 日に、キョーリンリメディオと高岡・井波の 2 工場が新会社の医薬品共創機構(ダイト 49.1%、Meiji Seika ファルマ 36.0%、日本政策投資銀行 14.9%)へ移る。赤字の事業を切り離す意味は大きい。ただ、対価は開示されておらず、工場が持っていた固定費が本社に残るかも見えない。
次に配当。前期の 5 割に満たない水準に減らし、これを下限とした。成長投資を優先する判断だ。
資金は足りない。今後 4 年で、導入品の獲得に 300〜400 億円以上、研究開発に 350〜400 億円を使う見込みで、営業キャッシュフローは約 350 億円と見ている。不足分は借入で補う方針だ。いまの純有利子負債は 115 億円で、これが膨らむ。
政策保有株は 2030 年までに連結純資産の 10% 未満へ減らす。2025 年 12 月末の投資有価証券は約 189 億円で、売却は資金の足しになる。
なお、当サイトの機械推定では、10 年以内の買収・TOB の確率は 20% だ。筆者は価値の計算に入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
杏林は、赤字の後発品を切り、新薬に集中する。そのうえで成長品がそろった。ベオーバは 2 年で売上が 181 億円から 258 億円に伸びた。会社は 2029 年度に 270〜300 億円を見込む。ラスビックは 120 億円以上、サチュロは 200 億円以上を目標に掲げ、3 品で 600 億円を超える。
サチュロは肺 MAC 症の適応が付けば、独占販売の対象が一気に広がる。中期では 300〜500 億円超の可能性もあるという。
さらに、睡眠時無呼吸の KRP-S124 が当たれば別の会社になる。世界で 1,000 億円以上の売上を狙う薬だ。ノバルティスに出した KRP-M223 も、最大 7 億 7,750 万ドルのマイルストーンがある。
足元の利益は、研究開発と導入品の費用を先に払っているために、一時的に低い。研究開発費の前の営業利益は 156 億円ある。投資が実を結べば、会社の目標どおり ROE は 5% から 8% に向かう。
後発品の切り離しで、赤字が消える。推定では利益が 20 億円近く改善する。配当の下限を設けたことは、株主還元の姿勢も示す。
慎重な見方
会社の目標は、実績の裏づけが薄い。研究開発費の前の営業利益 170 億円は、いまの 156 億円からほとんど伸びない。そこから研究開発費を引けば、利益はわずかだ。ROE の目標も 5% 以上にすぎず、資本コストの 8% に届かない。
デザレックスの後発品参入で、売上は一気に 79 億円ほど消える。ベオーバも 10 年のうちに後発品が来る。ベタニスの後発品が先に出れば、同じ β3 作動薬の価格が下がる。
サチュロは、2018 年の発売時に中医協が見込んだピークが 9,000 万円という小さな薬だ。肺 MAC 症への拡大は第 2/3 相の最中で、承認は保証されない。
睡眠時無呼吸は、チルゼパチドという大きな競合が先に走る。第 1 相を終えただけの薬が世界で 1,000 億円を売る確率は、1 割台だ。
資金も細い。導入品に 300〜400 億円を使い、研究開発にも 350〜400 億円。営業キャッシュフローは 350 億円しかなく、借金で埋める。導入品の当たり外れで負債だけが残れば、金利が利益を食う。
経営陣自身が、前の中期計画で創薬力が足りなかったと認めている。同じ手法が次はうまくいくという証拠は、まだ示されていない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。成長品の勢いは本物だが、10 年で見れば特許切れが先に来る。利益は資本コストを下回り続け、当たりが出たときにだけ倍率が戻る。確率は、楽観 7%、やや楽観 18% にとどめ、やや悲観 27%、悲観 15% に厚く置いた。中立は、柱の入れ替えがおおむねできて、ROE が 3% 台にとどまる姿だ。後発品の切り離しと配当の下限は評価するが、確率までは動かさない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,452 円834 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 276 円158 億円)。 今の値に割り戻すと 860 円494 億円、今との差 −23.9%、 期待の年率 +4.3%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 5,019 円2,883 億円 | 731 円420 億円 | +408.4% | +17.7% | 403 円231 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,425 円1,393 億円 | 435 円250 億円 | +152.9% | +9.7% | 515 円296 億円 |
| 中立 | 33% | 1,611 円925 億円 | 261 円150 億円 | +65.5% | +5.2% | 618 円355 億円 |
| やや悲観 | 27% | 347 円199 億円 | 174 円100 億円 | −53.9% | −7.5% | 141 円81 億円 |
| 悲観 | 15% | 260 円150 億円 | 87 円50 億円 | −69.3% | −11.1% | 52 円30 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,452 円834 億円 | 276 円158 億円 | +52.8% | +4.3% | 1,728 円993 億円 |
今の株価時価総額 1,131 円650 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 睡眠時無呼吸の新薬が当たり、ベオーバも長持ちする 利益 200 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 5,019 円2,883 億円
10 年後、杏林は売上 1,800 億円規模の会社になっている。睡眠時無呼吸の KRP-S124 が世界で承認され、既存の治療を補う薬として広がった。パートナーと組んで海外を開き、自社の取り分は大きい。ベオーバは特許の延長と新しい用途で 10 年後も 270 億円台を保ち、ラスビックは耐性菌対策の使い分けで伸びる。サチュロは肺 MAC 症の適応を取り、独占販売の売上が 250 億円を超える。後発品は切り離し済みで、残る固定費もなく、利益率は上がる。導入品 10 件のうち数件が当たり、研究開発の費用を吸収して営業利益は 260 億円台になる。ROE は 9% を超え、資本コストを上回る。配当と自社株買いも厚くなる。
- ベオーバ(過活動膀胱薬):数量 44.0(処方患者数(万人・年間の延べ換算。推定))× 価格 6.30(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 277 億円・営業利益 94 億円。特許の延長と新用途
- ラスビック(経口抗菌薬):数量 600(処方件数(万件・年間。推定))× 価格 0.27(1 件あたり薬剤費(万円・名目))→ 売上 162 億円・営業利益 55 億円
- サチュロ(抗結核薬):数量 8,000(処方患者数(人・年間の延べ換算。推定))× 価格 320(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 256 億円・営業利益 64 億円。肺 MAC 症の適応を取得
- 既存の国内新薬(デザレックス・フルティフォーム・ペンタサ・ムコダインほか):数量 160(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 2.55(1 人あたり年間薬剤費の平均(万円・名目。推定))→ 売上 408 億円・営業利益 57 億円
- 後発品のうちオーソライズドジェネリック(キプレス・ナゾネックス):数量 120(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.97(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 116 億円・営業利益 12 億円
- 後発品(承継対象。キョーリンリメディオと 2 工場):数量 0.0(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.65(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
- 導入品・開発品・導出の収入:数量 420(売上の換算(百万ドル。1 ドル 150 円))× 価格 0.97(価格の指数(2026 年=1、名目))→ 売上 611 億円・営業利益 134 億円。KRP-S124 が当たる
倍率:事業の純利益 200 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.6% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍。全体の PER 13.67 倍、時価総額 2,734 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:KRP-S124 は第 1 相を終えた段階で、承認までたどる確率は 1 割台。そこにベオーバの延命とサチュロの拡大が重なる必要があり、7% に置いた。
やや楽観 18% ベオーバが延命し、サチュロが育って利益が戻る 利益 86 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,425 円1,393 億円
10 年後の売上は 1,300 億円台。ベオーバの後発品参入は 2030 年代半ばまでずれ込み、売上は 200 億円超を保つ。ラスビックは 120 億円超まで伸び、サチュロは肺 MAC 症の一部で承認を取って 190 億円ほど稼ぐ。デザレックスの崖は新製品で埋まる。導入品のうち数件が育ち、ドル換算の収入は 2 億ドルを超える。ただし睡眠時無呼吸の新薬は外れ、世界展開はしない。研究開発費は営業利益を抑え続け、営業利益は 120 億円前後、ROE は 5% 止まりになる。会社目標は達するが、資本コストには届かない。
- ベオーバ(過活動膀胱薬):数量 36.0(処方患者数(万人・年間の延べ換算。推定))× 価格 6.00(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 216 億円・営業利益 69 億円。後発品は 2030 年代半ば
- ラスビック(経口抗菌薬):数量 470(処方件数(万件・年間。推定))× 価格 0.27(1 件あたり薬剤費(万円・名目))→ 売上 125 億円・営業利益 40 億円
- サチュロ(抗結核薬):数量 6,000(処方患者数(人・年間の延べ換算。推定))× 価格 316(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 190 億円・営業利益 47 億円。一部の適応で承認
- 既存の国内新薬(デザレックス・フルティフォーム・ペンタサ・ムコダインほか):数量 145(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 2.45(1 人あたり年間薬剤費の平均(万円・名目。推定))→ 売上 355 億円・営業利益 46 億円
- 後発品のうちオーソライズドジェネリック(キプレス・ナゾネックス):数量 115(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.95(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 109 億円・営業利益 10 億円
- 後発品(承継対象。キョーリンリメディオと 2 工場):数量 0.0(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.65(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
- 導入品・開発品・導出の収入:数量 220(売上の換算(百万ドル。1 ドル 150 円))× 価格 0.96(価格の指数(2026 年=1、名目))→ 売上 317 億円・営業利益 38 億円。導入品が数件育つ
倍率:事業の純利益 86 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 1,075 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社目標(2029 年度の売上 1,200 億円以上、研究開発費前営業利益 170 億円以上)をほぼ達成し、その後も大きく崩れない筋書き。実績の裏づけが薄いので 18%。
中立 33% 柱は入れ替わるが、利益は資本コストに届かない 利益 51 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,611 円925 億円
10 年後の売上は 1,000 億円強。後発品の切り離しとデザレックスの崖で、いまより 2 割ほど縮む。ベオーバは 2030 年代前半に特許の壁へ当たり、患者数は 30 万人まで減って売上は 170 億円ほどになる。ラスビックは 110 億円、サチュロは 125 億円。既存の国内新薬は薬価の下落で 4 割ほど細る。導入品は 10 件以上のうち数件が小さく当たり、ドル換算で 1.4 億ドルほどの売上を作る。睡眠時無呼吸は外れる前提だ。研究開発費は年 120 億円前後を使い続け、営業利益は 70 億円、純利益は 51 億円。ROE は 3% 台で、資本コストの半分以下にとどまる。借入が増える分、金利負担も重い。
- ベオーバ(過活動膀胱薬):数量 30.0(処方患者数(万人・年間の延べ換算。推定))× 価格 5.60(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 168 億円・営業利益 47 億円。2030 年代前半に後発品
- ラスビック(経口抗菌薬):数量 420(処方件数(万件・年間。推定))× 価格 0.26(1 件あたり薬剤費(万円・名目))→ 売上 109 億円・営業利益 35 億円
- サチュロ(抗結核薬):数量 4,000(処方患者数(人・年間の延べ換算。推定))× 価格 313(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 125 億円・営業利益 31 億円。承認はするが小さい
- 既存の国内新薬(デザレックス・フルティフォーム・ペンタサ・ムコダインほか):数量 130(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 2.40(1 人あたり年間薬剤費の平均(万円・名目。推定))→ 売上 312 億円・営業利益 41 億円。薬価と選定療養で細る
- 後発品のうちオーソライズドジェネリック(キプレス・ナゾネックス):数量 105(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.93(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 98 億円・営業利益 9 億円
- 後発品(承継対象。キョーリンリメディオと 2 工場):数量 0.0(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.65(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
- 導入品・開発品・導出の収入:数量 150(売上の換算(百万ドル。1 ドル 150 円))× 価格 0.95(価格の指数(2026 年=1、名目))→ 売上 214 億円・営業利益 28 億円。導入品が小さく当たる
倍率:事業の純利益 51 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 638 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ベオーバは 10 年のうちに後発品の影響を受け、ラスビックとサチュロが穴を埋めきれない中心の筋書き。ROE の中央値が 4.3% という実績とも合い、最も厚く置く。
やや悲観 27% ベオーバの特許切れが早く、次の柱が立たない 利益 −6 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 347 円199 億円
10 年後の売上は 660 億円ほど。ベオーバの後発品が 2030 年代の初めに入り、患者数は 22 万人まで減る。ベタニスの後発品による値下がりも重なる。サチュロは肺 MAC 症の承認が遅れ、売上は 60 億円どまり。導入品は期待を下回り、睡眠時無呼吸の新薬も外れる。研究開発費を絞っても、営業利益はほぼゼロになる。借入が増えて金利が重く、純利益は赤字に沈む。配当は減り、自己資本も減損で減る。配当は維持できず、残る還元は借入と資産の売却で賄う。それでも事業と資産は残るため、価値は稼ぐ力ではなく、売れる資産で測る水準に近づく。株主が受け取る額は、いまの時価総額を大きく下回る。
- ベオーバ(過活動膀胱薬):数量 22.0(処方患者数(万人・年間の延べ換算。推定))× 価格 5.30(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 117 億円・営業利益 26 億円。後発品が早く入る
- ラスビック(経口抗菌薬):数量 330(処方件数(万件・年間。推定))× 価格 0.25(1 件あたり薬剤費(万円・名目))→ 売上 83 億円・営業利益 23 億円
- サチュロ(抗結核薬):数量 2,000(処方患者数(人・年間の延べ換算。推定))× 価格 310(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 62 億円・営業利益 12 億円。承認が遅れる
- 既存の国内新薬(デザレックス・フルティフォーム・ペンタサ・ムコダインほか):数量 105(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 2.20(1 人あたり年間薬剤費の平均(万円・名目。推定))→ 売上 231 億円・営業利益 21 億円
- 後発品のうちオーソライズドジェネリック(キプレス・ナゾネックス):数量 90.0(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.80(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 72 億円・営業利益 5 億円
- 後発品(承継対象。キョーリンリメディオと 2 工場):数量 0.0(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.65(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
- 導入品・開発品・導出の収入:数量 70.0(売上の換算(百万ドル。1 ドル 150 円))× 価格 0.92(価格の指数(2026 年=1、名目))→ 売上 97 億円・営業利益 2 億円。導入品は期待を下回る
倍率:純利益が赤字で、稼ぐ力では値が付かない。売れる資産の税後 200 億円(事業資産が主)を基準に、今の自己資本に対する PBR 0.14 倍として置いた。市場の値付けは使っていない。赤字同然なので EV ÷ 営業利益は意味が薄く、借入を含めても売れる資産の額で測った。PBR は低いが、ROE が k に届かない会社の帳簿は価値の上限にならない。
確率:10 年のうちに柱の特許切れが重なり、導入品が当たらない筋書き。デザレックスの崖は確実で、経営陣も創薬力の不足を認めているため、中立より薄いが厚めの 27%。
悲観 15% 主力が崩れ、導入品も外れて縮む会社になる 利益 −45 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 260 円150 億円
10 年後の売上は 400 億円まで縮む。ベオーバは後発品との価格競争で患者が 15 万人まで減り、サチュロは承認を得られない。ラスビックは耐性菌対策の使い分けが進まず伸びない。導入品は小さな当たりすらなく、買った権利は減損になる。睡眠時無呼吸の新薬は、大きな競合に押されて開発を止める。研究開発費を削っても営業損益は赤字が続き、借入の金利が追い打ちをかける。配当は下限を守れず、大きく減る。残る還元も資産の売却と借入で賄う。もはや優良な新薬会社とは言えず、事業と資産を売って価値を取り戻す局面になる。株主の取り分は、いまの時価総額のごく一部にとどまる。
- ベオーバ(過活動膀胱薬):数量 15.0(処方患者数(万人・年間の延べ換算。推定))× 価格 5.00(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 75 億円・営業利益 11 億円。価格競争で縮む
- ラスビック(経口抗菌薬):数量 250(処方件数(万件・年間。推定))× 価格 0.23(1 件あたり薬剤費(万円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 12 億円
- サチュロ(抗結核薬):数量 0.0(処方患者数(人・年間の延べ換算。推定))× 価格 300(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。承認を得られない
- 既存の国内新薬(デザレックス・フルティフォーム・ペンタサ・ムコダインほか):数量 85.0(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 2.00(1 人あたり年間薬剤費の平均(万円・名目。推定))→ 売上 170 億円・営業利益 9 億円
- 後発品のうちオーソライズドジェネリック(キプレス・ナゾネックス):数量 80.0(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.75(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 60 億円・営業利益 2 億円
- 後発品(承継対象。キョーリンリメディオと 2 工場):数量 0.0(処方患者数の換算(万人年。推定))× 価格 0.65(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
- 導入品・開発品・導出の収入:数量 30.0(売上の換算(百万ドル。1 ドル 150 円))× 価格 0.90(価格の指数(2026 年=1、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 −4 億円。ほぼ失敗
倍率:赤字が続き、稼ぐ力では値が付かない。売れる資産の税後 150 億円を基準に、今の自己資本に対する PBR 0.105 倍として置いた。市場の値付けは使っていない。減損と赤字で自己資本が縮む筋書きなので、帳簿の厚みは価値の根拠にしない。
確率:構造的に負ける筋書き。導入品の連続失敗、創薬力の不足、主力の特許切れの早まりが重なる。会社が前の計画の課題に自ら触れていることと、導入に 300 億円超を投じて借入が増えることから 15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ベオーバ(過活動膀胱薬)
β3 作動薬の過活動膀胱薬。キッセイ薬品と共同で販売する。杏林の成長の主役。
| 数量処方患者数(万人・年間の延べ換算。推定) | 価格1 人あたり年間薬剤費(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 37.0 | 6.97 | 258 | 77 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 5.60 | 168 | 47 |
取り方:売上 258 億円(2026/03 期、公式の製品別開示)を、1 日 1 錠・年間薬剤費約 7 万円と置いて割り戻した患者数が約 37 万人。年間薬剤費と患者数は筆者の推定で、薬価の実額は未確認。2023 年の自社分シェアは β3 作動薬市場で約 2 割(会社資料)から伸びている。薬価は国が毎年下げるため、価格は物価並みには上がらず、中立で 10 年 0.9 倍に置く。営業利益は研究開発費の前の概算。
ラスビック(経口抗菌薬)
ニューキノロン系の経口抗菌薬。2020 年発売で、肺炎・気管支炎などに使う。
| 数量処方件数(万件・年間。推定) | 価格1 件あたり薬剤費(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 250 | 0.29 | 73 | 18 |
| 10 年後 中立 | 420 | 0.26 | 109 | 35 |
取り方:売上 73 億円を、1 日 1 錠で 1 コース約 3 千円台(推定)と置き、約 250 万件に割り戻した。薬価の実額は未確認。経口ニューキノロン系の売上シェアは 2023 年度に 1 位と報じられた。薬価は毎年下がるので価格は中立で 10 年 0.89 倍。数量は耐性菌対策の使い分けと、ガイドライン掲載で伸びる余地がある。
サチュロ(抗結核薬)
多剤耐性肺結核の薬(ベダキリン)。2026 年 6 月から杏林が単独で販売し、肺 MAC 症の適応が付けば独占販売する。
| 数量処方患者数(人・年間の延べ換算。推定) | 価格1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 330 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4,000 | 313 | 125 | 31 |
取り方:2026/03 期はヤンセンの販売で、杏林の売上はない(独占販売契約は 2026 年 3 月 25 日)。会社は 200 億円以上を掲げ、中期では 300〜500 億円超の可能性にも触れた。患者数と薬剤費は筆者の推定(未確認)。肺 MAC 症の適応追加は第 2/3 相の最中で、承認が前提。薬価は国が決め、新薬でも改定で下がるため、価格は中立で 10 年 0.95 倍(物価並みには上がらない)。
既存の国内新薬(デザレックス・フルティフォーム・ペンタサ・ムコダインほか)
発売から年数がたった国内の処方薬の束。デザレックスは 2026 年度に後発品参入で急減する。
| 数量処方患者数の換算(万人年。推定) | 価格1 人あたり年間薬剤費の平均(万円・名目。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 180 | 3.00 | 540 | 65 |
| 10 年後 中立 | 130 | 2.40 | 312 | 41 |
取り方:国内の新医薬品等の売上 871 億円から、ベオーバ・ラスビックを除いた約 540 億円。内訳はフルティフォーム 128、ペンタサ 123、デザレックス 102、ムコダイン 37 などと、公式の製品別開示にない分。薬剤費の平均は筆者の推定。薬価は毎年下がり、長期収載品は選定療養で後発品へ流れるため、価格は中立で 10 年 0.8 倍。
後発品のうちオーソライズドジェネリック(キプレス・ナゾネックス)
自社の先発薬の後発品版。承継の対象外で、杏林に残る。
| 数量処方患者数の換算(万人年。推定) | 価格1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 150 | 1.09 | 164 | 16 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.93 | 98 | 9 |
取り方:後発医薬品の売上 385 億円のうち AG が 164 億円(報道の図表)。モンテルカスト「KM」114 億円、モメタゾン点鼻液 45 億円などがここ。単価は安い薬なので 1 人あたり約 1 万円(推定)。薬価の引き下げで価格は中立で 10 年 0.85 倍。
後発品(承継対象。キョーリンリメディオと 2 工場)
AG 以外の後発品。2027 年 4 月に医薬品共創機構へ承継され、杏林の売上から消える。
| 数量処方患者数の換算(万人年。推定) | 価格1 人あたり年間薬剤費(万円・名目。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 340 | 0.65 | 221 | −18 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.65 | 0 | 0 |
取り方:AG 以外の後発品が約 221 億円。リメディオは 2 期連続の最終赤字と報じられた(赤字の額は未確認)ので、営業利益は研究開発費の前でマイナス 18 億円と推定する。2027 年 4 月以降は 0。承継の対価と、承継後に残る固定費の大きさは未開示で、筋書きには入れていない。
導入品・開発品・導出の収入
睡眠時無呼吸の新薬、導入する新薬、ノバルティスへ導出した薬のロイヤリティなど。
| 数量売上の換算(百万ドル。1 ドル 150 円) | 価格価格の指数(2026 年=1、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.6 | 1.00 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 150 | 0.95 | 214 | 28 |
取り方:2026/03 期の海外売上は約 7 億円(前期は導出一時金で約 89 億円、その反動)。いまは小さい。これから 10 年で、導入品 10 件以上と、睡眠時無呼吸の KRP-S124 が売上を作るかどうかが勝負になる。ドル建てで測るのは、後者が世界で売る前提のため。価格は 2026 年を 1 とした指数で、中立は 0.95。
リスクと懸念
デザレックスの崖
売上 102 億円が 2026 年度に 23 億円へ落ちる見込みで、約 79 億円が消える。いま減益の大きな理由であり、ベオーバなどの伸びを打ち消す。次の薬が間に合わなければ、減益が長引く。
ベオーバの特許切れ
売上の約 2 割を占める主力。特許の満了日は開示で確認できていないが、2018 年発売の低分子薬で、10 年のうちに後発品が入ると筆者は見る。アステラスのベタニスの後発品が先に出れば、同じ系統の価格の基準も下がる。
導入品の外れ
4 年で 10 件以上の導入に 300〜400 億円以上を使う計画。導入品は当たり外れが大きく、第 3 相の失敗も珍しくない。外れが続けば、買った権利の減損と借金だけが残る。
借入の増加と金利
営業キャッシュフローは 4 年で約 350 億円と低く、不足は借入で補う。いまの純有利子負債は 115 億円だが、数百億円規模に増えうる。借り換えの金利は 3.5% 前後で、利益が薄い今は負担が重い。
後発品の承継条件と残る固定費
対価は未開示。事業と工場が出ても、本社の間接費や販売網の費用が残れば、赤字は消えきらない。承継は 2027 年 4 月の予定で、遅れれば工場の稼働率も落ちる。
サチュロの適応拡大の遅れ
会社は 200 億円以上を掲げるが、肺 MAC 症の適応追加は第 2/3 相の最中で、承認は保証されない。独占販売の準備で運転資本が約 100 億円先に出る。2018 年の発売時に中医協が見込んだピークが小さかった点にも注意がいる。
薬価と選定療養
薬価の毎年の引き下げと長期収載品の選定療養で、既存の薬の単価と数量が同時に削られる。ムコダインは想定を下回り、キプレスも 70 億円から 22 億円まで落ちた。
今後の分かれ目
- ベオーバの後発品の参入時期が 2030 年より前と確定する
- 中立から、やや悲観の筋書きに近づく。次の柱が間に合わず、売上と利益が早く縮む。
- 睡眠時無呼吸の KRP-S124 が第 2 相で有効性を示す
- 楽観の確率が上がる。導出や提携で費用を分担できれば、借入の負担も軽くなる。
- サチュロに肺 MAC 症の適応が付く
- やや楽観の筋書きに近づく。独占販売の売上が 200 億円を超え、先に出た運転資本の負担も報われる。
- 導入品が 2 年で 3 件以上、第 3 相に進む
- 導入戦略が機能している証拠になり、中立より上へ確率が寄る。
- 後発品の承継の対価が大きく、工場の固定費も本社に残らない
- 赤字が消える分だけ利益が戻り、やや楽観に寄る。
- 借入が 300 億円を超えたうえで、導入品が外れる
- 利益が金利に削られ、やや悲観から悲観に近づく。
見ておくもの
- デザレックスの 2026 年度の売上(会社予想 23 億円に対する実績)
- ベオーバの売上と β3 作動薬の市場シェア
- KRP-S124 の第 2a 相の開始と中間結果
- サチュロの肺 MAC 症の第 2/3 相の結果と承認
- 導入品の件数と、契約金・マイルストーンの総額
- 純有利子負債と、後発品承継の対価・時期
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。ROE が資本コストを下回る会社として、正当化 PER の上限に対し、楽観 93%、やや楽観 8 割、中立 85% とし、やや悲観・悲観は稼ぐ力ではなく売れる資産の床(PBR 0.14・0.105 倍。今の自己資本に掛けた)から出した。今の株価・PER・PBR、同業の倍率は使っていない。今の PER は純利益が一時的に低いため高く見えるが、価値の計算とは関係させていない。リース(新会計基準、2028/03 期から)の影響は小さく、10 年後は今と同じ形でそろえた。セグメントの患者数や薬剤費は推定で、公式の製品別売上から割り戻した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.6→13.67 倍・やや楽観 PER 7.7→12.5 倍・中立 PER 6.8→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を足して 8.0%。