結論
科研製薬は、関節の注射薬アルツを稼ぎ頭にしてきた中堅の製薬会社だ。いま営業利益は赤字で、純利益もわずかしかない。それでも時価総額の 3 割にあたる純現金を抱え、配当は年 72 億円を払い続けている。
筆者の結論は、10 年の本質価値が今の時価総額を下回る、というものだ。事業が壊れているからではない。稼ぎの柱だった爪白癬薬クレナフィンが特許切れで細り、その穴を新薬で埋める途中にある。しかも研究開発費に年 200 億円を超える額を流している。利益が出る前に、現金のほうが先に減る構図だ。
次の柱は三つある。乾癬の飲み薬 ESK-001、遺伝性血管性浮腫の飲み薬エクテリ、掌蹠膿疱症の薬 KP-001 だ。ESK-001 の国内申請は 2027 年を見込む。上振れれば営業利益は中立の 2 倍を超える。ただ、乾癬の飲み薬にはヤンセンの経口薬がすでに国内で申請されており、楽な戦いではない。
中立の筋書きでは、10 年後に売上 970 億円、営業利益 33 億円ほどだ(研究開発費を含むセグメント外の費用は売上の伸びに合わせて 260 億円に置いた)。ROE は 2% 前後にとどまり、資本コストに届かない。倍率は低く、時価総額は今より小さくなる。
悲観の底が浅くないのは、現金と賃貸不動産があるからだ。負けてもすぐには壊れない。ただ、壊れないことと、今の値段が安いことは別の話だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「現金は厚いが、事業が資本に見合う稼ぎを出していない」会社だ。
まず安全域。純現金は時価総額の 3 割あり、借金はない。底が浅いとは言えない。だが現金は前期に約 194 億円減った。研究開発(年 200 億円超)と配当(年 72 億円)で出ていく額が、本業の稼ぎを上回るからだ。
次に、株主のものになる利益。本業が生む現金から、新薬を育てる研究開発費を引くと、手元にはほとんど残らない。この投資が、将来に資本コスト以上の利益を生むなら、いまの低い利益は仕込みの費用に過ぎない。生まなければ、ただの流出になる。
最後に、読みやすさ。新薬の当たり外れは、数年先まで読み切れない。読めないものには、高い倍率を認めない。
持ち続けたいオーナーかと問われれば、現金に余裕があるうちに、新薬のどれかが形になるのを見届ける必要がある。形になれば評価は上がる。ならなければ、現金が価値の中心から細っていく。
何で稼ぐ会社か
科研製薬は、国内の医療用医薬品と医療機器を中心に、海外への技術の導出、米国の希少がん薬、農薬、賃貸不動産を抱える会社だ。
中核の国内事業は、整形外科・皮膚科・外科など、専門医が使う薬に偏っている。最大の製品は関節の注射薬アルツ(ヒアルロン酸)で、年に約 185 億円を売る。次いで爪白癬の塗り薬クレナフィン群が約 132 億円、手術後の癒着を防ぐ医療機器セプラフィルムが約 70 億円、ジェネリックの合計が約 74 億円だ。多汗症のエクロック、床ずれ・皮膚潰瘍のフィブラスト、歯周組織再生のリグロスなど、自社で育てた小ぶりな製品も並ぶ。
成長の柱にしたいのは、海外と新薬だ。クレナフィンは自社が創った薬で、米国では導出先が売り、2026 年にはドイツでも導出先が発売した。海外のライセンス収入は 2025 年度に約 67 億円で、会社は 2029 年度に 100 億円以上を狙う。2025 年 3 月には米国の Aadi 社の事業を約 155 億円で買い、希少がん薬 FYARRO の販売網を手に入れた。ヤンセン(J&J)には経口の STAT6 阻害薬を導出し、契約一時金 3,000 万ドルを受け取ったうえ、2026 年 4〜6 月期には 7,000 万ドルのマイルストンを売上に計上した。
導入した新薬も育てている。米 Alumis の乾癬薬 ESK-001 は日本の皮膚科領域の権利を取り、2027 年の国内申請を目指す。米 KalVista の遺伝性血管性浮腫の飲み薬エクテリは、2026 年 3 月に発売した。
農薬は 4〜6 月期で約 16 億円、年に 60 億円規模だ。賃貸不動産は売上が年 26 億円ほどで、営業利益は約 15 億円ある。どちらも本体を支える脇役にあたる。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、専門医の信頼と、自前で薬を創る力だ。弱みは、柱が細く、いまの稼ぐ力が資本に見合っていないことだ。
強い点から書く。アルツは整形外科の現場で長く使われ、ブランドで処方が決まる。クレナフィンは自社が創った薬で、米国の市場まで切り開いた。日本の中堅製薬で、世界で売れる薬を自力で創った例は多くない。バランスシートも硬い。自己資本比率は 83% で、借金はない。
弱い点。アルツは市場の伸びが止まり、前期の売上は 3% 減った。クレナフィンは特許が切れ、今期の売上は 4 割減る計画だ。堀、つまり他社がまねできない強みは、製品ごとに期限がある。過去 10 年の ROE は中央値で 9.5% あったが、直近は 1.5% まで落ちた。
資本の使い方は、評価がまだ定まらない。研究開発費は年 200 億円を超え、第 3 相の品目は 8 つに増えた。Aadi の買収(約 155 億円)や、J&J への自己株の割当(約 99 億円の調達)で、成長への賭けは広がっている。当たれば報われるが、その前に現金が減る。
もう一点、筆者が気にしているのは、導入品が増えて自社創薬の比重が下がっていることだ。導入品は早く売り上げになる反面、利益の一部を契約先に払い続ける。自前で創った薬ほどの利益率は望めない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の医療用医薬品は、数量が伸びにくく、価格は毎年下がる市場だ。科研のような中堅には、この向かい風の中で、次の柱を絶えず用意し続ける力が問われる。
価格は薬価制度で決まり、改定のたびに下がる。さらにジェネリックへの置き換えが政策で進む。クレナフィンは 2025 年にオーソライズド・ジェネリックが先行発売された。患者の数量はむしろ増えたが、価格と置き換えで売上が落ちた。典型的な特許の崖だ。
乾癬は競争の激しい市場だ。主役は注射の生物学的製剤で、飲み薬ではすでに TYK2 阻害薬が発売されている。さらにヤンセンの経口 IL-23 阻害薬イコトロキンラが、2025 年 11 月に国内で承認申請された。ESK-001 は 48 週の試験で、皮膚の症状がほぼ消える患者が過半に達した。それでも、飲み薬の中で二番手、三番手に回る可能性は高いと筆者は見る。
遺伝性血管性浮腫は、患者の少ない希少疾患だ。エクテリは、発作時に飲める世界初の薬という新しさがある。だが市場が小さく、ピークでも数十億円の規模にとどまる。
米国では、FYARRO が扱う血管周囲類上皮細胞腫瘍が極めて希少で、売上の伸びしろは限られる。ここは KP-001 など次の薬を載せられるかが勝負になる。自社で売る体制づくりの費用が、先に出ていく。
国内は薄く縮み、新薬と海外で補う構図だ。補えるかどうかが、この 10 年の最大の分かれ目になる。
資本政策と M&A
還元は厚いが、利益を上回っている。配当は年 72 億円で、前期も今期の予想も据え置きだ。今期の純利益の予想は 65 億円にとどまる。ヤンセンから受け取る 7,000 万ドル(150 円換算で約 105 億円)のマイルストンを除けば、営業損益は赤字になる計算だ。
会社は配当性向 30% 以上、総還元性向 50% 以上、ROE 10% 以上を掲げる。ただ、研究開発と戦略投資を急ぐ今は、ROE の目標に届く道筋がまだ見えない。戦略投資の累計は約 970 億円に達した。
買収は小ぶりで、Aadi(約 155 億円)が最大だ。J&J には自己株を渡して約 99 億円を調達し、提携を固めた。大株主は信託銀行が上位を占め、支配株主はいない。政策保有株は 5 年で 3 割減らす方針で、前期は 33 億円を売った。
TOB など再編の余地はある。独立した中堅で、現金が厚く、乾癬薬や希少疾患薬という魅力的な品目を持つ。だが買い手が付くのは、利益が出る形になってからのほうが話は早い。いまは時期尚早と筆者は見る。
10年の還元は、配当を年72億円で据え置く前提(配当性向30%以上・総還元性向50%以上の方針の上)。利益を超える分は手元の資金で払い、余った現金は別に足していないので二重ではない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ESK-001 の第 3 相は、飲み薬として際立った結果を出した。16 週時点で皮膚症状の改善が 7 割を超え、48 週では症状がほぼ消える患者が半数を超えた。安全面の警戒信号も出ていない。国内申請は 2027 年で、乾癬の患者は多く、飲み薬の需要は大きい。注射を嫌う患者を取り込めば、国内だけで年 300 億円の売上も見える。
新薬は ESK-001 だけではない。遺伝性血管性浮腫の飲み薬エクテリはすでに発売した。掌蹠膿疱症の KP-001 は国内で申請の準備に入り、米国でも第 3 相が走る。第 3 相の品目は 8 つあり、一つ二つ外れても、どれかは当たる。
外部の目利きも味方だ。J&J は STAT6 阻害薬を手に入れるために、一時金だけでなく科研の株式まで買った。すでに 7,000 万ドルのマイルストンが入り、次の段階に進めば追加の収入がある。海外のライセンス収入は 2029 年度に 100 億円以上を狙う。
守りも固い。純現金は時価総額の 3 割で、借金はない。クレナフィンの崖が底を打てば、国内は新薬が積み上がるだけで増益に転じる。研究開発費がピークを越えれば、営業利益は一気に膨らむ。会社が掲げる 2031 年度の営業利益 285 億円も、夢物語ではない。
慎重な見方
利益の土台が足りない。営業利益は前期に赤字へ落ち、今期の黒字もヤンセンから受け取る 7,000 万ドルのおかげだ。それを除けば、今期もほぼ赤字になる。来期(2028 年 3 月期)の営業利益は 55 億円の予想にとどまる。
稼ぎ頭が次々と細る。クレナフィンは今期さらに 4 割減る。アルツも減収が続く。この穴を埋める新薬は、まだ一つも収益に貢献していない。
ESK-001 は性能が良くても、ヤンセンの経口 IL-23 阻害薬など強い競合が控える。しかも科研は契約上、Alumis に一時金、共同開発費、マイルストン、ロイヤリティを払う。売上が立っても、取り分は目減りする。
エクテリは市場が小さい。米国は Aadi の取得後、販売体制づくりの費用が先に出ている。KP-001 の米国第 3 相が外れれば、投資の回収はない。
資本配分も心配だ。配当は利益を上回り、現金は 1 年で 194 億円減った。ROE の目標は 10% なのに、実績は 1.5% だ。このまま新薬の当たりを待つだけなら、現金を燃やしながら賭けを重ねる会社に見える。
掌蹠膿疱症や乾癬のような大きな市場には、資金力のある大手が次々と新薬をぶつけてくる。中堅の科研が、それらを退けて高い薬価と販売数量を確保できる保証はない。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分は将来の可能性に、慎重な言い分は目の前の数字に根拠がある。強いのは後者だ。新薬が一つ当たれば大きいが、当たるまでの間、利益は資本コストに届かず、現金が先に減る。
確率は慎重な側へ寄せ、やや悲観と悲観を合わせて 4 割にした。楽観は 1 割に満たない。中立も、新薬が旧来品の減りを埋める程度という控えめな姿にした。
ただし現金と賃貸不動産が底を支えるので、悲観でも今の時価総額の 4 分の 1 は残る。負けても壊れない会社だが、その安心に値段をつけすぎないことが肝心だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,665 円630 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,188 円450 億円)。 今の値に割り戻すと 1,607 円609 億円、今との差 −58.4%、 期待の年率 −3.0%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 6,709 円2,540 億円 | 2,197 円832 億円 | +130.7% | +8.7% | 712 円270 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,453 円929 億円 | 1,289 円488 億円 | −3.1% | −0.3% | 748 円283 億円 |
| 中立 | 32% | 1,080 円409 億円 | 774 円293 億円 | −52.0% | −7.1% | 593 円225 億円 |
| やや悲観 | 25% | 752 円285 億円 | 1,505 円570 億円 | −41.5% | −5.2% | 564 円214 億円 |
| 悲観 | 15% | 693 円262 億円 | 871 円330 億円 | −59.5% | −8.6% | 235 円89 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,665 円630 億円 | 1,188 円450 億円 | −26.1% | −3.0% | 2,853 円1,080 億円 |
今の株価時価総額 3,860 円1,462 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% ESK-001 が国内で成功し、米国と STAT6 も続く 利益 175 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 6,709 円2,540 億円
ESK-001 が 2028 年度に国内で承認され、注射を嫌う患者を中心に乾癬の飲み薬の定番になる。国内の新薬群は 10 年後に 440 億円まで育ち、そのうち乾癬の分野が大半を占める。
米国では KP-001 が承認され、Aadi の販売網に載って売上が伸びる。J&J の STAT6 阻害薬も開発が進み、海外のライセンス収入は 120 億円近くに増える。
国内の旧来品は静かに細る。アルツは緩やかな減少、クレナフィンは 50 億円前後で下げ止まる。研究開発費を含むセグメント外の費用は、物価の伸びに合わせて 276 億円(今は 206 億円)に増える。
営業利益は 225 億円、ROE は 10% 近くまで戻る。会社が掲げる営業利益 285 億円には届かない。配当も増やせる。
- アルツ(ヒアルロン酸の関節注射):数量 1,560(出荷本数(万本))× 価格 1,040(1 本あたり平均販売額(円・名目))→ 売上 162 億円・営業利益 68 億円。本数は緩やかに減り、薬価の下げは物価を下回る
- クレナフィン群(爪白癬の塗り薬):数量 85.0(使う患者数(万人/年))× 価格 0.60(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 18 億円。AG・後発品に置き換わり下げ止まり
- 国内その他(癒着防止材・創傷薬・多汗症薬・ジェネリックほか):数量 100(患者・症例の換算数(万人/年))× 価格 2.55(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 255 億円・営業利益 33 億円。癒着防止材とエクロックが支える
- 海外ライセンス収入:数量 6.5(導出・提携品の海外売上(億ドル))× 価格 0.12(科研の実効取り分(契約金・マイルストン込み、売上比))→ 売上 117 億円・営業利益 100 億円。STAT6 と導出品の上乗せ
- 米国(Aadi の希少がん薬 FYARRO など):数量 2,800(治療患者数(人/年))× 価格 7.00(1 人あたり年間売上(万ドル・名目))→ 売上 294 億円・営業利益 82 億円。KP-001 の米国販売が載る
- 新薬(国内:ESK-001・エクテリ・KP-001 ほか):数量 4.0(処方患者数(万人/年))× 価格 110(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 440 億円・営業利益 176 億円。ESK-001 が国内の乾癬の定番に
- 農薬:数量 118(延べ散布面積(万 ha))× 価格 0.61(1ha あたり平均販売額(万円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 8 億円。横ばい
- 賃貸不動産:数量 10.0(賃貸面積(万㎡))× 価格 2.65(年間賃料(万円/㎡・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 15 億円。賃料は横ばい
倍率:事業の純利益 175 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.5 倍、時価総額 2,540 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ESK-001 の国内成功、KP-001 の米国承認、J&J の STAT6 の前進の三つがそろう必要がある。一つずつの当たる確率は高くなく、競合の経口薬も控えるため、1 割に満たない確率にした。
やや楽観 20% ESK-001 は二番手として定着し、米国は小さく黒字化 利益 72 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,453 円929 億円
ESK-001 は 2028 年度に承認され、経口薬の二番手として国内で定着する。患者は 3 万人、年 320 億円規模まで伸びるが、イコトロキンラなどとの競争で価格は伸びない。
エクテリは国内の発作時の薬として根づく。KP-001 は国内で承認され、米国は FYARRO と合わせて売上 200 億円、営業利益は薄い黒字になる。
クレナフィンは 47 億円まで下がって落ち着き、アルツも緩やかに減る。セグメント外の費用(研究開発費を含む)は 276 億円まで増える。
営業利益は 90 億円、ROE は 4~5% で、資本コストに届かない。
価格は、薬価の改定と後発品の影響で、物価の上昇には届かない。数量の増えた新薬が、価格の弱さを補う形だ。
- アルツ(ヒアルロン酸の関節注射):数量 1,530(出荷本数(万本))× 価格 1,020(1 本あたり平均販売額(円・名目))→ 売上 156 億円・営業利益 63 億円。薬価の下げと本数の微減
- クレナフィン群(爪白癬の塗り薬):数量 82.0(使う患者数(万人/年))× 価格 0.58(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 17 億円。置き換えが進み下げ止まり
- 国内その他(癒着防止材・創傷薬・多汗症薬・ジェネリックほか):数量 99.0(患者・症例の換算数(万人/年))× 価格 2.47(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 245 億円・営業利益 28 億円。横ばい〜微減
- 海外ライセンス収入:数量 6.0(導出・提携品の海外売上(億ドル))× 価格 0.11(科研の実効取り分(契約金・マイルストン込み、売上比))→ 売上 100 億円・営業利益 82 億円。2029 年度の目標をほぼ達成
- 米国(Aadi の希少がん薬 FYARRO など):数量 2,000(治療患者数(人/年))× 価格 6.70(1 人あたり年間売上(万ドル・名目))→ 売上 201 億円・営業利益 40 億円。FYARRO に KP-001 が載る
- 新薬(国内:ESK-001・エクテリ・KP-001 ほか):数量 3.0(処方患者数(万人/年))× 価格 107(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 321 億円・営業利益 112 億円。ESK-001 が二番手で定着
- 農薬:数量 116(延べ散布面積(万 ha))× 価格 0.60(1ha あたり平均販売額(万円・名目))→ 売上 70 億円・営業利益 7 億円。横ばい
- 賃貸不動産:数量 10.0(賃貸面積(万㎡))× 価格 2.65(年間賃料(万円/㎡・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 15 億円。賃料は横ばい
倍率:事業の純利益 72 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.6% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 929 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ESK-001 の効き目は第 3 相で実証済みで、国内の承認自体はほぼ見える。二番手でも一定のシェアを取る筋は、慎重な側から見ても十分ありうるため、確率を厚めにした。
中立 32% 新薬は育つが、旧来品の減りを埋める程度 利益 32 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,080 円409 億円
ESK-001 は 2028 年度に承認され、国内で年 150 億円ほどの薬に育つ。エクテリと KP-001 の国内分も加わり、新薬群は 210 億円になる。米国は FYARRO に KP-001 が載り、150 億円規模で小さく黒字になる。
旧来品は着実に細る。クレナフィンは 45 億円まで下がり、アルツは薬価の下げと本数の減りで 150 億円になる。国内のその他は横ばいから微減だ。
海外のライセンス収入は、導出品の売上増と山のあるマイルストンをならして 80 億円ほどになる。研究開発費を含むセグメント外の費用は、売上の伸びと物価に合わせて今の 206 億円から 260 億円に増える。
売上は 970 億円に増えるが、利益は伸びきらない。営業利益は 33 億円、ROE は 2% 前後で、資本コストに大きく届かない。配当は据え置きで、現金は少しずつ減る。
価格は、薬価が毎年改定で下がるため、アルツや国内その他は物価の 1.34 倍に届かず、ほぼ横ばいか微減になる。クレナフィンはジェネリックへの置き換えで単価が半分以下に落ちる。米国の 1 人あたり売上の低下は、高薬価の FYARRO から、安い薬を含む構成へ移る組み替えによる。新薬群は高薬価を保つが、改定で下がる分と物価の分がほぼ相殺し、横ばいとした。賃貸の賃料も横ばいとした。
- アルツ(ヒアルロン酸の関節注射):数量 1,500(出荷本数(万本))× 価格 1,000(1 本あたり平均販売額(円・名目))→ 売上 150 億円・営業利益 59 億円。本数は微減、薬価は物価を下回る
- クレナフィン群(爪白癬の塗り薬):数量 80.0(使う患者数(万人/年))× 価格 0.56(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 15 億円。AG・後発品で単価が半分以下に
- 国内その他(癒着防止材・創傷薬・多汗症薬・ジェネリックほか):数量 98.0(患者・症例の換算数(万人/年))× 価格 2.45(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 240 億円・営業利益 28 億円。薬価の下げで微減
- 海外ライセンス収入:数量 5.5(導出・提携品の海外売上(億ドル))× 価格 0.10(科研の実効取り分(契約金・マイルストン込み、売上比))→ 売上 80 億円・営業利益 64 億円。マイルストンをならして 80 億円
- 米国(Aadi の希少がん薬 FYARRO など):数量 1,500(治療患者数(人/年))× 価格 6.70(1 人あたり年間売上(万ドル・名目))→ 売上 151 億円・営業利益 25 億円。FYARRO+KP-001、薄い黒字
- 新薬(国内:ESK-001・エクテリ・KP-001 ほか):数量 2.1(処方患者数(万人/年))× 価格 100(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 210 億円・営業利益 80 億円。ESK-001 が国内で年 150 億円
- 農薬:数量 115(延べ散布面積(万 ha))× 価格 0.60(1ha あたり平均販売額(万円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 7 億円。耕地の縮小で面積は微減
- 賃貸不動産:数量 10.0(賃貸面積(万㎡))× 価格 2.65(年間賃料(万円/㎡・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 15 億円。賃料は横ばい
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.0% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 409 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ESK-001 は国内で承認されるが飲み薬の競争が厳しく、エクテリ・KP-001 は小さく積み上がる。クレナフィンの崖とアルツの減収は確実なので、旧来品の減りを新薬が埋め切れない筋書きを中心に置いた。
やや悲観 25% ESK-001 は小さく、米国は伸びず、配当を削って耐える 利益 20 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 752 円285 億円
ESK-001 は承認されるが、経口 IL-23 阻害薬などに押され、国内の新薬群は 120 億円にとどまる。KP-001 の米国第 3 相は外れ、米国は FYARRO の小さな売上だけが残る。
クレナフィンは 30 億円まで細り、アルツは 135 億円まで減る。海外のライセンス収入は 55 億円と、目標の 100 億円には届かない。
会社は研究開発費を 140 億円に絞り、配当も一部を削って現金を守る。それでも営業利益は 25 億円で、ROE は 2% 前後に低迷する。
現金は 10 年かけて目減りし、純資産は今より小さくなる。還元の合計が期間の純利益を大きく上回るのは、配当を現金の取り崩し(資産の売却を含む)で払うためだ。賃貸不動産と残った現金が、価値の支えになる。
- アルツ(ヒアルロン酸の関節注射):数量 1,420(出荷本数(万本))× 価格 950(1 本あたり平均販売額(円・名目))→ 売上 135 億円・営業利益 50 億円。競合と薬価の下げで減る
- クレナフィン群(爪白癬の塗り薬):数量 70.0(使う患者数(万人/年))× 価格 0.43(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 8 億円。後発品に押される
- 国内その他(癒着防止材・創傷薬・多汗症薬・ジェネリックほか):数量 95.0(患者・症例の換算数(万人/年))× 価格 2.32(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 220 億円・営業利益 18 億円。薬価の下げで減収
- 海外ライセンス収入:数量 4.0(導出・提携品の海外売上(億ドル))× 価格 0.09(科研の実効取り分(契約金・マイルストン込み、売上比))→ 売上 55 億円・営業利益 40 億円。目標の 100 億円に届かず
- 米国(Aadi の希少がん薬 FYARRO など):数量 700(治療患者数(人/年))× 価格 5.70(1 人あたり年間売上(万ドル・名目))→ 売上 60 億円・営業利益 0 億円。FYARRO のみ、収支は均衡
- 新薬(国内:ESK-001・エクテリ・KP-001 ほか):数量 1.3(処方患者数(万人/年))× 価格 96(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 120 億円・営業利益 30 億円。ESK-001 が二番手以下で伸びない
- 農薬:数量 110(延べ散布面積(万 ha))× 価格 0.58(1ha あたり平均販売額(万円・名目))→ 売上 64 億円・営業利益 5 億円。面積と単価が低迷
- 賃貸不動産:数量 10.0(賃貸面積(万㎡))× 価格 2.60(年間賃料(万円/㎡・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 14 億円。賃料は横ばい
倍率:ROE 2% は k 7.75% を大きく下回る。床は今の自己資本 1,476 億円に PBR 0.34 を掛けた約 500 億円で、純現金と賃貸不動産の税引き後の合計に当たる。稼ぐ力(純利益 ÷ k)はこれより小さい。(費用・利益の見直しで再計算:純利益 20 億円、事業の ROE 1.7%、正当化 PER の上限 13.3 倍。上限に対する置き方の割合は変えず 0.20 倍)(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.193 倍・時価総額 285 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:ESK-001 が競合に押され、KP-001 の米国第 3 相が外れる筋書きは、新薬の当たり外れの性質上、現実に近い。いまの赤字と配当超過を考え、慎重な側へ寄せて確率を厚めにした。
悲観 15% 新薬が総崩れになり、縮小して現金で耐える 利益 −8 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 693 円262 億円
ESK-001 は国内でも小さな売上にとどまり、KP-001 は米国で外れ、Aadi の事業は縮小する。J&J の STAT6 阻害薬も開発が進まず、海外のライセンス収入は 36 億円に落ちる。
旧来品の減りは止まらない。アルツは 117 億円、クレナフィンは 23 億円まで下がる。売上は 530 億円に縮む。
会社は数年かけて研究開発費を 105 億円まで絞るが、その間に現金は大きく減り、配当も大幅に削る。営業は赤字が続く。
最後に残るのは、賃貸不動産と、目減りした現金と、専門医に根づいた旧来品だ。構造的に負けた中堅製薬の姿になる。還元の合計が純利益を超えるのは、減らした配当を現金の取り崩し(資産の売却を含む)で払うためだ。
- アルツ(ヒアルロン酸の関節注射):数量 1,300(出荷本数(万本))× 価格 900(1 本あたり平均販売額(円・名目))→ 売上 117 億円・営業利益 40 億円。市場の縮小と薬価の下げ
- クレナフィン群(爪白癬の塗り薬):数量 60.0(使う患者数(万人/年))× 価格 0.38(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 3 億円。後発品に押される
- 国内その他(癒着防止材・創傷薬・多汗症薬・ジェネリックほか):数量 90.0(患者・症例の換算数(万人/年))× 価格 2.10(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 189 億円・営業利益 8 億円。薬価の下げと撤退品目
- 海外ライセンス収入:数量 3.0(導出・提携品の海外売上(億ドル))× 価格 0.08(科研の実効取り分(契約金・マイルストン込み、売上比))→ 売上 36 億円・営業利益 25 億円。マイルストンが入らず縮小
- 米国(Aadi の希少がん薬 FYARRO など):数量 400(治療患者数(人/年))× 価格 4.50(1 人あたり年間売上(万ドル・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 −5 億円。縮小・赤字
- 新薬(国内:ESK-001・エクテリ・KP-001 ほか):数量 0.6(処方患者数(万人/年))× 価格 90(1 人あたり年間薬剤費(万円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 5 億円。ESK-001 が小さく終わる
- 農薬:数量 100(延べ散布面積(万 ha))× 価格 0.55(1ha あたり平均販売額(万円・名目))→ 売上 55 億円・営業利益 4 億円。縮小
- 賃貸不動産:数量 10.0(賃貸面積(万㎡))× 価格 2.60(年間賃料(万円/㎡・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 14 億円。賃料は横ばい
倍率:赤字のため PBR で置く。今の自己資本 1,476 億円に 0.245 を掛けた約 360 億円は、減った現金と賃貸不動産の税引き後を合わせた床に当たる。
確率:ESK-001 の国内展開が競合に押されて小さく終わり、KP-001 も外れ、旧来品の減収が続く筋書き。第 3 相が 8 つあっても、同じ失敗の原因(競合・費用倍増)が重なる可能性がある。悲観の確率を 15% と厚めにした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
アルツ(ヒアルロン酸の関節注射)
変形性膝関節症などに使う関節機能改善の注射。整形外科で長く使われ、国内売上の最大の柱。
| 数量出荷本数(万本) | 価格1 本あたり平均販売額(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,680 | 1,100 | 185 | 80 |
| 10 年後 中立 | 1,500 | 1,000 | 150 | 59 |
取り方:売上 185 億円(開示)を、1 本あたり千円強の平均販売額で割った本数の推定。単価と本数は開示がなく推定。営業利益は開示がなく、全社の営業損益(−9 億円)に合うよう研究開発費を除いて配分した推定。
クレナフィン群(爪白癬の塗り薬)
自社創製の爪白癬の塗り薬。国内は特許切れでオーソライズド・ジェネリックへ置き換わり中。
| 数量使う患者数(万人/年) | 価格1 人あたり年間薬剤費(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.32 | 132 | 58 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.56 | 45 | 15 |
取り方:売上 132 億円(開示)を、患者 100 万人が年 1.32 万円ずつ使う形に換算した推定(患者数・単価は開示なし)。営業利益は配分の推定。
国内その他(癒着防止材・創傷薬・多汗症薬・ジェネリックほか)
セプラフィルム、フィブラスト、リグロス、エクロック、ヘルニコア、ジェネリックなど。薄利の品も混じる。
| 数量患者・症例の換算数(万人/年) | 価格1 人あたり年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 2.49 | 249 | 23 |
| 10 年後 中立 | 98.0 | 2.45 | 240 | 28 |
取り方:開示された製品別売上の合計(セプラフィルム 70、ジェネリック 74、エクロック 23、フィブラスト 23 ほか)を、患者・症例の換算 100 万人 × 2.49 万円に換算した推定。営業利益は配分の推定。
海外ライセンス収入
クレナフィンの海外導出、J&J への STAT6 阻害薬の導出などから入る契約金・マイルストン・ロイヤリティ。
| 数量導出・提携品の海外売上(億ドル) | 価格科研の実効取り分(契約金・マイルストン込み、売上比) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.5 | 0.10 | 68 | 55 |
| 10 年後 中立 | 5.5 | 0.10 | 80 | 64 |
取り方:2025 年度の海外ライセンス収入約 67 億円(会社目標資料)を、150 円/ドルで 4.5 億ドル × 取り分 10% と換算した推定。契約金・マイルストンの山を含む。営業利益は配分の推定。
米国(Aadi の希少がん薬 FYARRO など)
2025 年 3 月に買収した Aadi の事業。FYARRO の販売と、KP-001 の米国販売の足場。
| 数量治療患者数(人/年) | 価格1 人あたり年間売上(万ドル・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 330 | 10 | 50 | −35 |
| 10 年後 中立 | 1,500 | 6.70 | 151 | 25 |
取り方:連結が約 9 か月のため売上は推定で約 50 億円。患者 330 人 × 年 10 万ドルを 150 円/ドルで換算(1 万ドル=0.015 億円)。患者数と単価は開示なし。販売体制づくりの費用が重く赤字と推定。
新薬(国内:ESK-001・エクテリ・KP-001 ほか)
導入した乾癬薬 ESK-001、遺伝性血管性浮腫の飲み薬エクテリ、掌蹠膿疱症の KP-001 の国内分。いまは立ち上がり前。
| 数量処方患者数(万人/年) | 価格1 人あたり年間薬剤費(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 100 | 0 | −5 |
| 10 年後 中立 | 2.1 | 100 | 210 | 80 |
取り方:エクテリが 2026 年 3 月に発売された直後で、売上はほぼ 0.2 億円。1 人あたり年約 100 万円の高薬価の薬を想定した換算。立ち上げ費用で小さな赤字と推定。
農薬
国内外の農家向けの農薬。4〜6 月期の売上は約 16 億円。
| 数量延べ散布面積(万 ha) | 価格1ha あたり平均販売額(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 0.50 | 60 | 6 |
| 10 年後 中立 | 115 | 0.60 | 69 | 7 |
取り方:年 60 億円規模(4〜6 月期の約 16 億円から推定)を、散布 120 万 ha × 1ha あたり 0.5 万円に換算した推定。営業利益は配分の推定。
賃貸不動産
本社周辺などの賃貸。売上は小さいが利益率は高い。
| 数量賃貸面積(万㎡) | 価格年間賃料(万円/㎡・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.0 | 2.60 | 26 | 15 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 2.65 | 27 | 15 |
取り方:4〜6 月期の売上 6.6 億円・営業利益 3.8 億円(開示)から年 26 億円・15 億円と推定。面積と賃料は開示がなく、10 万㎡ × 2.6 万円で換算した推定。
リスクと懸念
クレナフィンの崖が想定より深い
今期の売上は 4 割減る計画だが、AG と後発品への置き換えが速まれば、さらに下振れる。海外の導出先の売上も、各国の後発品で削られる。国内の旧来品の減りは確実で、その深さが利益を左右する。
新薬の失敗と競争
ESK-001 は性能が良くても、経口 IL-23 阻害薬など強い競合が控える。KP-001 は米国で第 3 相の最中で、外れれば Aadi への投資は回収できない。8 つある第 3 相の品目が、一つも売上に貢献しないことも起こりうる。
現金が先に減る
研究開発費は年 200 億円を超え、配当は年 72 億円で利益を上回る。純現金は前期に約 194 億円減った。新薬が当たる前に現金が細れば、配当も投資も縮めざるを得ない。
導入品への依存と契約負担
ESK-001(Alumis)、エクテリ(KalVista)など、導入した薬はロイヤリティやマイルストンを契約先に払う。売上が立っても取り分は目減りする。契約の条件次第で、利益率は自前の薬より低くなる。
米国事業の立ち上げ費用
Aadi の連結で販売管理費が増えた。FYARRO は極めて希少な疾患の薬で、規模が小さい。自社の販売体制を整える費用が先に出ていき、その費用に見合う売上が立つまで赤字が続く。
薬価改定と後発品の使用促進
薬価は毎年下がり、後発品への置き換えが政策で進む。アルツのように市場の伸びが止まった製品は、価格の下げがそのまま減収になる。数量で埋めきれなければ、旧来品の利益が先に細る。
資本配分の失敗
現金が厚い間に、高い値段で導入品や買収を重ねる懸念がある。戦略投資の累計は約 970 億円に達した。回収の見えない投資が積み上がれば、現金の安全域が削られる。
今後の分かれ目
- ESK-001 が 2028 年度までに国内で承認され、薬価が高めに付く
- 新薬群が 300 億円規模に近づき、中立から楽観側の筋書きに寄る。
- KP-001 の米国第 3 相が主要な評価項目を外す
- Aadi の投資が回収できなくなり、米国事業は縮小に向かう。やや悲観の筋書きに寄る。
- J&J の STAT6 阻害薬が次の開発段階に進み、マイルストンが続く
- 海外ライセンス収入が 100 億円を超え、現金の減りが緩む。
- クレナフィン群の国内売上が 50 億円を割る
- 旧来品の減りが想定より速く、新薬が出るまでの赤字期間が長引く。
- 会社が配当の水準を引き下げる
- 現金の流出は止まるが、還元を重んじる株主には失望になる。10 年の還元額が小さくなる。
- 現金を使う大型の導入や買収を発表する
- 成功すれば新薬群が厚くなるが、回収の保証はなく、安全域は薄くなる。
見ておくもの
- ESK-001 の国内申請(2027 年)と承認の時期、薬価の水準
- クレナフィン群とアルツの四半期売上
- 研究開発費の水準と純現金の減り方
- KP-001 の国内申請と米国第 3 相の結果
- J&J の STAT6 阻害薬のマイルストンの入り方
- ヤンセンの経口 IL-23 阻害薬の国内発売と薬価
倍率と資本コストの決め方
今の株価と PER は見ていない。中立は、国内の旧来品の減りと新薬の積み上げをセグメントごとに数量 × 価格で積み、10 年後の ROE(約 6%)と資本コスト 7.75% から倍率を決めた。ROE が k を下回るため、PER は上限の 1÷k 以下の 11 倍にとどめた。純現金は研究開発・配当・導入契約の支払いで出ていくため余った現金には分けていない。セグメントの営業利益は開示がなく推定で、全社の営業損益に合う配分にした。悲観側は、現金と賃貸不動産の税引き後の床を今の自己資本に掛けた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.18→14.5 倍・やや楽観 PER 11.94→12.9 倍・中立 PER 11→12.9 倍・やや悲観 PBR 0.2→0.193 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5%+quality 0.0%。個別のリスク(新薬の失敗・資本配分)は k に足さず、筋書きの確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.50% → 7.75%。