結論
中京医薬品は、家庭に常備薬の箱を置いて使った分だけ代金をもらう配置薬の会社だ。愛知の半田を拠点に、ミネラルウォーターの売水も手がける。筆者は、今の値段を割高と見る。稼ぐ力に比べて高く、10 年後に積み上がる価値は今の半分以下にとどまるとみている。
理由は利益率の低さにある。売上は 66 億円あるが、営業利益は 1 億円強で、利益率は 2% 足らずだ。配置先は人口減と高齢化で細り、訪問を担う営業担当も減る。減る数を値上げで埋める構図は、物価が 3% の世界でも変わらない。
救いは 2 つある。売水が 10% 近い利益率で、会社の利益の半分を稼ぐ。配当は年 0.5 億円ほどで安定して続いており、純利益の 6 割を株主に返している。ただ、自己資本利益率は 3% で、資本コストを大きく下回る。ためた利益が価値になりにくい会社だ。減る数を物価の上昇が埋めるうちは売上は保てるが、利益の中身は変わらない。売水と保有株を除くと、配置薬の稼ぐ力は細い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、中京医薬品は持ち続けたい会社にならない。事業に独自の堀はあるが、利益が薄く、増やせる見通しも乏しい。
売上の約 6 割を占める配置販売は、顧客との関係が強みだ。しかし人が減れば売上も減る。利益率は 2% 足らずで、物価が上がっても人件費と営業所の経費が同じだけ増える。稼いだ利益を再投資しても、資本コストを超える利益が出るあてが見えない。
売水は 10% 近い利益率で、これだけなら悪くない。ただ、会社全体の利益の半分にとどまる。株主への配当は純利益の 6 割で、残りは蓄積されるが、ROE が 3% では蓄積が価値を生みにくい。
払う値段に安全域があるかを問えば、ない。今の時価総額は稼ぐ力の 20 倍を超える。保有株や不動産などの資産で下支えされる額も小さい。つまり、持ち続けて育つ会社ではなく、値段が合うときだけ検討する会社だ。
何で稼ぐ会社か
中京医薬品は、売上の約 6 割を配置販売の小売部門で稼ぐ。家庭や事業所を定期的に訪ね、救急箱の中身を補充し、使った分を精算する商売だ。取扱品は医薬品に加えて健康食品、日用雑貨、ドリンク、保険商品まで 300 種類を超える。社長のインタビューでは、お客さまは約 35 万件とされる。営業所を増やしながら、1 軒ずつ回る草の根の営業を続けている。
3 割弱が卸売部門だ。フランチャイズ加盟店など同業の配置業者に商品を卸している。売上は伸びているが、利益は赤字だ。薄利の取引が多く、取引先の入れ替わりも激しいとみられる。
残りは売水事業で、売上の 1 割強、営業利益の約半分を稼ぐ。ミネラルウォーターを製造し、家庭や事業所に届ける。利益率は 10% 近く、会社の中で最も稼げる部門だ。売上総利益率は 56% と高いが、営業所の人件費と訪問の経費で大半が消え、営業利益率は 1.9% にとどまる。
会社の損益は、配置薬と売水の二本足で支えられている。配置薬は顧客との関係が資産で、売水は設備が資産だ。どちらも大きく伸ばせる事業ではないが、景気に左右されにくい。
優良さと弱いところ
優良さは低い。配置販売には、顧客と顔を合わせて関係を築けるという強みがある。常備薬を預けられた家庭は、薬局やネットに簡単には乗り換えない。ただし、その堀は人の手で維持されている。訪問を担う営業担当が高齢化し、採用も難しい。顧客を抱える営業所が減れば、そのまま売上が減る。
過去 10 年の営業利益率は多くの年で 1〜2% にとどまり、自己資本利益率の中央値は 1% 台だ。売上は 50 億円台から 66 億円まで戻したが、利益は増えていない。値決めは医薬品の自由価格に近いのに、利益率が上がらないのは、店頭と競う力が弱いからと筆者は見る。
財務は穏やかだ。自己資本比率は約 49%、純有利子負債は 5 億円。借金で行き詰まる心配は小さい。経営は創業家系の資産管理会社が約 14% を持つ。株主還元は安定配当を基本とし、自社株買いの実績は薄い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
配置販売は、江戸時代の富山の薬売りに源流を持つ古い業態だ。配置販売業者の数は長く減っており、たとえば奈良県では 2011 年の 170 業者が 2018 年に 105 業者まで減った。従事者の高齢化と、訪問先の核家族化・共働き化が背景にある。
競争相手は、同業の配置業者だけではない。ドラッグストアは店舗数を増やし、ネット通販は家庭の買い物を取り込んだ。一方で、見守りや健康相談を兼ねた訪問は、地方の高齢世帯に根強い需要がある。この領域に特化した上場会社は少なく、中京医薬品は全国のフランチャイズ網を持つ数少ない会社だ。
医療用の薬と違って、一般用医薬品や健康食品の値段は自由に決められる。物価が上がれば値上げもできる。ただ、数量は人口で決まる。配置先は人口とともに細り、スイッチ OTC の拡大やセルフメディケーション税制の追い風も、店頭でのドラッグストアが先に受ける。売水は、災害備蓄と健康志向で需要が底堅いが、競合が多く値決めは弱い。
業界の統計は乏しい。中京医薬品のような規模の会社が、人手不足の中で営業所を維持できるかが、10 年の数量を決める。
資本政策と M&A
配当は年 0.5 億円ほどで、年 2 回支払う。純利益の約 6 割を配る安定配当が基本方針だ。自社株買いの実績は薄く、自己株は従業員持株会向けの処分に使われてきた。
成長投資として、本社屋と半田のウォーターショップの建替を挙げている。時期と額は開示されていない。数値目標を置いた中期計画も見当たらない。政策保有株は上場分で約 5 億円あり、含み益の売却方針は示されていない。
M&A の観点では、時価総額が 20 億円ほどの小さな会社で、創業家系の資産管理会社が約 14% を持つ。外部の買い手が現れる余地はあるが、公開買付けや非公開化の報道は確認できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
配置薬は消える商売ではない。災害のたびに常備薬の価値が見直され、高齢世帯の見守りという役割も重くなっている。取扱品を健康食品や日用品に広げ、1 軒あたりの売上を伸ばす力は実績がある。直近の売上と利益は 5 年で最高だ。
卸売は取引先の整理で赤字を止められる。売水は半田の施設を建て替えれば製造能力が増え、利益率 10% の事業が伸びる。営業利益率が過去の山の 3% 台に戻れば、利益は今の 2 倍近くになる。
財務は穏やかで、配当は安定している。自己資本が 26 億円あり、保有株と合わせて下値は固い。時価総額が自己資本を下回っていることを考えれば、悲観に寄りすぎた評価は直るはずだ。
配置薬の訪問先には、地方の高齢世帯という固い需要がある。他社が撤退すれば、残った会社のシェアが上がる局面もありうる。
売水の黒字と配置薬の黒字を足せば、営業キャッシュフローは悪くない。配当を続けながら、建替の投資をまかなえる体力がある。
慎重な見方
利益の質を見れば、割高は明らかだ。営業利益率は 2% 足らずで、過去 10 年で自己資本利益率が 5% を超えた年はほとんどない。売上が増えても利益は増えない構造が続いている。
配置先は人口減で細り、営業担当も高齢化している。訪問型の営業は人件費の比率が高く、物価が上がるほど固定費が重くなる。卸売は赤字で、売水の利益に頼る形だ。
時価総額が自己資本を下回るのは、帳簿の自己資本が稼ぐ力を反映していないからだ。ROE が資本コストを下回る会社の価値は、純利益を k で割った額が上限になる。それを大きく上回る今の値段には、根拠が見つからない。
採用難で訪問担当が減れば、売上の減少は避けにくい。営業所は固定費で、縮小のスピードに合わせて削れない。
配当を続けても、自己資本の利益率は 3% 台にとどまる。株主が受け取る価値は、事業の利益ではなく、値上がりの期待に頼る形になる。
ドラッグストアの店舗網とネット通販は、利便性と価格で配置薬の顧客を奪い続ける。守りに入った営業所が、物価上昇に見合う値上げを通せる保証はない。
どちらに重みを置いたか
稼ぐ力の議論では慎重な見方が強い。利益率と ROE の低さは数字で確かめられるが、強気の見方には改善の実績が乏しい。確率は中立より悲観に寄せ、やや悲観に 25%、悲観に 10% を置いた。強気の側にも、卸売の黒字化と売水の伸びという具体的な材料があるため、楽観とやや楽観に合わせて 25% を残した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 96 円10 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 53 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 78 円8 億円、今との差 −60.7%、 期待の年率 −2.8%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 189 円20 億円 | 94 円10 億円 | +42.7% | +3.6% | 20 円2 億円 |
| やや楽観 | 18% | 145 円16 億円 | 70 円8 億円 | +8.7% | +0.8% | 39 円4 億円 |
| 中立 | 40% | 106 円11 億円 | 56 円6 億円 | −18.3% | −2.0% | 65 円7 億円 |
| やや悲観 | 25% | 43 円5 億円 | 37 円4 億円 | −59.4% | −8.6% | 20 円2 億円 |
| 悲観 | 10% | 33 円4 億円 | 23 円3 億円 | −71.7% | −11.8% | 6 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 96 円10 億円 | 53 円6 億円 | −24.8% | −2.8% | 149 円16 億円 |
今の株価時価総額 198 円21 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 値上げと売水の伸びで利益率が 3% 台 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 189 円20 億円
配置薬の訪問先は細るが、1 軒あたりの取引額が物価以上に育つ。健康食品、日用品、保険の取り扱いが増え、営業所の人員が扱う商品の幅で稼ぐ形が定着する。卸売は加盟店の入れ替えが進んで赤字が消え、売水は半田の施設を建て替えて製造能力が増える。営業利益率は過去の山に近い 3% 台まで上がる。それでも自己資本の利益率は資本コストに届かず、会社は成長株にはならない。配当は物価に合わせて少しずつ増える。株主還元は物価に合わせて増える。会社の自己資本は積み上がるが、事業の収益性が低いため、積み上がった利益は倍率に十分には反映されない。
- 小売部門(配置販売):数量 31.4(配置先(万軒))× 価格 1.65(1 軒あたりの年間売上(万円))→ 売上 52 億円・営業利益 2 億円
- 卸売部門:数量 200(取引先(先))× 価格 0.14(1 先あたりの年間売上(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円
- 売水事業:数量 149(販売量(万箱、12 リットル換算))× 価格 0.09(1 箱あたりの売上(億円 ÷ 万箱))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 20 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:配置先の減少を値上げと取扱品の拡充で埋め切る筋は、小さな会社が 10 年続けるには条件が厳しい。7% にとどめた。
やや楽観 18% やや楽観:赤字の卸売が収支均衡、利益率 2% 台後半 利益 1 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 145 円16 億円
配置先は年 1.5% ほどのペースで細り、10 年で 1 割減る。一方で単価は物価に近い伸びを保ち、取扱品の入れ替えで粗利が守られる。卸売は不採算の取引先を整理して赤字が止まる。売水は需要が堅く、値上げも通る。営業利益は 2 億円台前半まで増えるが、売上が伸びるほど営業所の人件費も物価で増えるため、利益率の上昇は小幅にとどまる。売水の製造能力の増強は半田の建替にかかるが、資金は借入で賄えば利払いが増える。物価と建築費の上昇で、償却よりも更新投資が重い期が続く。配置先の減少は止まらないが、粗利率の高い健康食品と日用品が取扱品の中で比率を上げ、営業担当 1 人あたりの稼ぎが保たれる。
- 小売部門(配置販売):数量 29.7(配置先(万軒))× 価格 1.62(1 軒あたりの年間売上(万円))→ 売上 48 億円・営業利益 1 億円
- 卸売部門:数量 190(取引先(先))× 価格 0.14(1 先あたりの年間売上(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円
- 売水事業:数量 137(販売量(万箱、12 リットル換算))× 価格 0.09(1 箱あたりの売上(億円 ÷ 万箱))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 16 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:卸売の黒字化と売水の底堅さが重なる筋は十分ありうる。中立より少し軽く 18%。
中立 40% 中立:配置先は細るが値上げで売上を保ち、利益率は 2% 台前半 利益 1 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 106 円11 億円
配置薬という商売は、10 年たっても姿を変えない。家庭を回って薬を預け、使った分だけ代金をもらう。配置先は高齢化と人口減で年 1.5% ほど減り、10 年で 1 割台半ばの減少になる。減る数を、物価に沿った単価の上昇と取扱品の拡充が埋める。売上は 80 億円前後で、利益率は会社予想の延長で 2% 台前半に落ち着く。卸売は収支が均衡する程度、売水は 10% 近い利益率を保つ。自己資本は少しずつ積み上がるが、利益率が低いままなので ROE は 3% 台にとどまる。建替投資の資金は、利益の一部と借入で賄う。減価償却は取得時の値段のままなので、会計上の利益は見かけ上厚くなるが、更新の投資で現金は細る。配当は純利益の 6 割ほどを保つ。
- 小売部門(配置販売):数量 28.4(配置先(万軒))× 価格 1.58(1 軒あたりの年間売上(万円))→ 売上 45 億円・営業利益 1 億円
- 卸売部門:数量 181(取引先(先))× 価格 0.13(1 先あたりの年間売上(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円
- 売水事業:数量 131(販売量(万箱、12 リットル換算))× 価格 0.09(1 箱あたりの売上(億円 ÷ 万箱))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 11 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社予想も営業利益率 2.3% 前後を見込む。構造は変わらないとして最も厚い 40%。
やや悲観 25% やや悲観:配置先の減少が加速し、営業所の固定費が重くなる 利益 1 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 43 円5 億円
配置先が 10 年で 2 割以上減り、訪問する営業担当も採用難で減る。顧客あたりの売上は上がるものの、物価ほどには届かない。ドラッグストアやネット通販に取扱品の需要が流れ、粗利率が下がる。営業所の家賃と人件費は固定で、売上が減っても減らない。卸売は加盟店の離脱で赤字が続く。営業利益率は 1% 前後まで下がる。自己資本は減らないが、利益は薄く、株主への還元も維持が苦しくなる。配当は維持を目指すが、利益が薄いため余裕がなく、自己資本の積み上がりも遅い。保有株の売却で穴を埋める可能性もある。人手不足で営業所の統廃合が進み、売上と利益が同時に縮む。値上げは通るが、顧客の離脱も増える。
- 小売部門(配置販売):数量 25.7(配置先(万軒))× 価格 1.53(1 軒あたりの年間売上(万円))→ 売上 39 億円・営業利益 0 億円
- 卸売部門:数量 162(取引先(先))× 価格 0.13(1 先あたりの年間売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円
- 売水事業:数量 119(販売量(万箱、12 リットル換算))× 価格 0.08(1 箱あたりの売上(億円 ÷ 万箱))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円
倍率:稼ぐ力が資本コストを大きく下回る構造の負けに入りつつある筋。PER は上限の約 6 割で置いた。
確率:配置先の減少と人手不足は既に進行中で、起こりやすい。25% と厚めに置いた。
悲観 10% 悲観:配置販売が成り立たなくなり、売水と保有株の価値だけが残る 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 33 円4 億円
配置先が 4 割減り、1 軒あたりの売上も物価に追いつかない。営業所を畳み、取扱品を絞るが、固定費の削減は売上の減少に遅れる。卸売は縮小して赤字が続く。売水だけが細々と黒字を保つ。配置薬の事業は価値をほとんど生まなくなり、会社の価値は売水の利益と保有している上場株式、換金できる資産で測るしかなくなる。創業家系の大株主が株を持ち続けるため、清算や買収で価値が顕在化する保証もない。営業所の固定費は売上の減少に遅れて削られ、赤字が数年続く。配当は半分近くに減る。会社は売水と保有株を柱に縮小均衡へ向かう。
- 小売部門(配置販売):数量 19.8(配置先(万軒))× 価格 1.48(1 軒あたりの年間売上(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円
- 卸売部門:数量 133(取引先(先))× 価格 0.13(1 先あたりの年間売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円
- 売水事業:数量 101(販売量(万箱、12 リットル換算))× 価格 0.08(1 箱あたりの売上(億円 ÷ 万箱))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円
倍率:床の資産(保有株の税後、約 3.5 億円)で値を付けた(営業利益が薄く EV÷営業利益は意味を持たない)。今の自己資本 25.8 億円に掛ける形で、PBR は 0.14 倍になる。事業の稼ぐ力から出る額(純利益 ÷ k)より床の方が大きい。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.136 倍・時価総額 4 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:構造的な負けの筋。10% は、配置業者の廃業が続く業界の実態から見て低すぎない水準。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
小売部門(配置販売)
家庭・事業所を訪ねて常備薬と日用品を預け、使った分を精算する中核事業。
| 数量配置先(万軒) | 価格1 軒あたりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 33.0 | 1.18 | 39 | 1 |
| 10 年後 中立 | 28.4 | 1.58 | 45 | 1 |
取り方:小売の売上 38.9 億円を、社長インタビューの約 35 万件を踏まえた配置先 33 万軒で割った推定。1 軒あたり約 1.18 万円。開示は無く、売上からの推定。営業利益は有報のセグメント値。
卸売部門
フランチャイズ加盟店など同業の配置業者と一般流通に商品を卸す。
| 数量取引先(先) | 価格1 先あたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 190 | 0.10 | 19 | 0 |
| 10 年後 中立 | 181 | 0.13 | 24 | 0 |
取り方:卸売の売上 19.1 億円を、取引先 190 先と仮置きして割った推定(先数は開示が無い)。営業損失は有報のセグメント値。
売水事業
ミネラルウォーターの製造・販売。家庭と事業所に届ける。
| 数量販売量(万箱、12 リットル換算) | 価格1 箱あたりの売上(億円 ÷ 万箱) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 119 | 0.06 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 131 | 0.09 | 11 | 1 |
取り方:売水の売上 7.6 億円を、1 箱あたり約 0.064 万円(12 リットル換算の推定)で割った推定の 119 万箱。1 万箱あたり 0.064 億円。営業利益は有報のセグメント値。
リスクと懸念
配置先の減少と営業担当の高齢化
配置先は人口減で細り、訪問する営業担当も高齢化している。採用が難しければ、売上は担当者の数に比例して縮む。物価上昇に営業所の経費がついていく。
卸売部門の赤字
卸売は売上が伸びても赤字だ。加盟店の離脱や取引条件の悪化が続けば、売水の利益を食う。取引先との関係は開示が乏しい。
薬の販売チャネルの競争
ドラッグストアとネット通販が、家庭の薬の買い物を取り込む。配置薬の強みである見守りの価値が、値段に見合うかが問われる。
人件費の上昇と固定費
営業所の人件費と家賃は固定で、物価と賃金に連動して増える。売上が落ちる局面で利益が急減する。過去にも赤字の年が 3 回あった。
売水の競合と設備投資
ミネラルウォーターは競合が多く、値上げが通らなければ利益率は下がる。半田の施設の建替は額も時期も不明で、資金の出方が読めない。
小型株の流動性と株主構成
時価総額が 20 億円ほどで、売買は薄い。創業家系の資産管理会社が約 14% を持ち、少数株主の意見が通りにくい構造だ。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 3% を超えて 2 期続く
- やや楽観の確率を上げる。卸売の黒字化か売水の拡張が効いた可能性が高い。
- 配置先の減少が年 3% を超える
- やや悲観と悲観の確率を上げる。営業所の固定費が重くなり、赤字の年が増える。
- 卸売部門が 2 期続けて黒字になる
- 利益率の下振れを小さく見る。赤字の元を断てた証拠になる。
- 本社屋・ウォーターショップの建替額が開示される
- 資金の出所(借入か自己資本)を見て、利払いと還元への影響を中立に織り込む。
- 公開買付けや非公開化の発表がある
- 筋書きの前提が変わるので、分析を作り直す。
見ておくもの
- 小売部門の売上と営業利益率
- 卸売部門の損益
- 売水事業の利益率
- 配置先・営業所の数
- 配当と自己株の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k を下回る事業の上限 1÷k から、利益の質に応じて置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。数量は配置先・取引先・販売量の推定で、売上から割り戻した。新リース会計基準で営業所の家賃が BS に載ると純負債の形が変わるが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→11.76 倍・やや楽観 PER 9→11.76 倍・中立 PER 9.5→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。