結論
ウーバーは、世界の都市で乗車を手配する配車、外食・食料雑貨を届ける配達、トラック貨物を仲介する貨物の 3 事業を、1 つのアプリと運転手・配達員の網で運ぶ仲介業である。2025 年は売上 520 億ドル、営業利益 62 億ドル(営業利益率 11.9%)、取扱高は約 1,930 億ドル。2026 年 4〜6 月期は取扱高 580 億ドル(為替除き +22%、トリップ +18%)、営業利益 19 億ドル(+30%)、直近 12 か月の営業キャッシュからの自由なお金(FCF)は初めて 100 億ドルを超えた。
注意すべきは利益の見かけである。2025 年の純利益 100 億ドルには、オランダの繰延税金資産の評価引当の戻し益 50 億ドルが入っており、実力の純利益は約 50 億ドル。今の PER 14 倍は見かけで、実力で測ると 25 倍を超える。さらに 2026 年 7 月に、持ち分 37% のデリバリーヒーローを 148 億ドルの現金で買い取る合意をした(完了は 2027 年後半)。未成立なので、筋書きの数字には相手の利益も買収の借入も入れず、ウーバー単体(持ち分 36.8% は資産として足す)で測った。
バリュー投資の観点では、強さの代金は自動運転に払う。配車の取り分が 29% から 23% へ、悪くすると 13% まで削られうる。それでも、車両を持たない軽い資本で、取扱高が 10 年で 2 倍強に伸び、物価並みの値上げ(10 年で 1.41 倍)が効く。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限の 9 割で、中立の 10 年後の時価総額は 3,140 億ドルになる。悲観(自動運転に直接つかまれる)に 16% を置くと、今の時価総額 1,433 億ドルに対して本質価値は 1 割ほど上回り、やや割安に出る。ただし、期待値の多くを上の 3 筋書きと、実力の利益が 10 年で 4 倍になる前提が支えており、確信度は低い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るのは「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」と「株主のものになる利益はいくらか」である。ウーバーのオーナー利益は、実力の純利益 約 50 億ドルから、株式報酬(年 20 億ドル前後。株を発行して払う費用)を引いた 30 億ドル前後で、時価総額 1,433 億ドルに対して 2% ほど。今の値段は、利益が今後 10 年で 4〜5 倍になることを前提にしている。
事業としての強さは本物である。車両を持たず、取扱高に取り分を乗せるだけなので、売上が増えても資本はほとんど要らない。配車・配達の会員と広告は、利用が増えるほど強くなる。だが、「予測できる事業」とは言えない。自動運転の普及の速度と、ウェイモ・テスラが自社アプリを選ぶかで、取り分は 29% にも 13% にもなる。わからない部分が大きい事業は、確信度を下げ、安全域を厚く求める。
資本配分は、これまでのところ評価しにくい。赤字を長く出し、黒字化は 2023 年。買収(デリバリーヒーロー)は 148 億ドルで、借入に頼る。バリュー投資家なら、買収が成功して初めて評価する。未成立なので価値の計算には入れず、単体で測った。今の値段は、期待値の計算では本質価値を 1 割ほど下回り(やや割安)、、安全域は「配車の取り分が半分に下がる」ところまでしか見込めない。自動運転が仲介役を飛ばす世界では、買ってはいけない種類の事業になる。
何で稼ぐ会社か
ウーバーの 2025 年の売上の約 55% は配車(290 億ドル)、約 34% が配達(175 億ドル)、約 10% が貨物(52 億ドル)。配車は 70 を超える国の都市で、乗客と運転手をつなぎ、乗車料金のうち約 29%(取り分)を売上に計上する(2026 年は英国の事業モデル変更で、会計上の売上が約 11 億ドル下がり、取り分は 25% 前後に見える。利益には影響しない)。会員制のウーバーワンは配車と配達を重ねて買わせる仕掛けで、利用者は 1 人あたりの回数が増える。
配達はウーバーイーツで、外食に加え食料雑貨・日用品・酒類・小売へ広がり、広告(飲食店が表示順位に払う)が高い利益率で上積みされる。売上は取扱高の約 19% で、2026 年 4〜6 月期は取扱高が +26%、セグメント営業利益は 10.6 億ドル(+38%)。配達は配車より取り分が低いが、注文の回数が多く、同じ運転手・配達員の網を使える。
貨物は、荷主と運送業者をつなぐ仲介で、売上は運賃の総額。営業利益はほぼ 0 で、運賃の底(貨物不況)から抜けるところ。配車と配達の 2 本で稼ぎ、貨物が収益の足を引っ張らないところまで来ている。全社の利益の構造は「セグメントの営業利益(配車 約 72 億ドル・配達 約 31 億ドル)から、本社費・株式報酬・減価償却(約 40 億ドル)を引いて 62 億ドル」である。
優良さと弱いところ
ウーバーの堀は、ネットワーク効果(乗客が多いと運転手が集まり、待ち時間が短く、さらに乗客が増える)と、1 つのアプリで配車・配達・貨物をまたぐ規模にある。配車では米国で約 7 割(情報源によっては 55%)、世界の主要都市で首位。会員(ウーバーワン)が切り替えの費用を高め、広告が取扱高に乗って高い利益率を生む。運転手と車両を持たないので資本が軽く、ROE は高い(実力で 25〜35%)。FCF は 100 億ドル超で、営業利益の 1.6 倍ほど出る(株式報酬を足し戻した値で、実際は株式報酬を差し引いて見る必要がある)。
弱いところは 4 つある。第一に、自動運転で「車両を持つ側」が需要の入口を握れば、仲介の価値が消えうる。第二に、配達は米国でドアダッシュが約 67% に対しウーバーイーツは約 25% で、首位ではない。第三に、損益のよさに、評価益や税の一時益が混じり、利益の質が読みにくい(2025 年の純利益の半分は一時益)。第四に、経営の資本配分が過去は赤字の拡大で、2023 年にようやく黒字に転じたばかり。自社株買いは 2025 年 65 億ドルだが、株式報酬で増える株を打ち消す分が大きい。
総合すると、「強い網に守られた仲介業だが、堀の外側に自動運転という大きな不確かさがある」会社。堀は今は広がっているが、10 年後に広がるか狭まるかが、この会社の価値の分かれ目になる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
配車の世界の市場は、自動車の私的な利用とタクシーから、アプリの乗車への切り替えが続いて伸びる。米国ではウーバーが約 7 割、リフトが約 3 割(情報源で幅がある)。英国・欧州・中南米・インド・中東でもタクシーを取り込み、運賃の上昇が物価に合わせて進む。成長の中心は「まだアプリで乗らない人」と、空港・郊外・夜間の需要である。
最大の変化は自動運転である。ウェイモは 2026 年 3 月に週 約 50 万回の有料乗車(10 都市)、2026 年末に週 100 万回を目標にしている。ウーバーは、ウェイモ(オースティン・アトランタ)、フォルクスワーゲン(ロサンゼルス、2026 年)、ルーシッド(2 万台以上を 6 年で購入)、中国のウィーライド、エヌビディアと組み、AV への投資は累計 100 億ドル超(車両 75 億・出資 25 億)。一方、テスラはウーバーと組まず自社で運営し、ウェイモも自社アプリが中心。つまり、自動運転の時代の勝ち負けは「誰が需要の入口を握るか」で決まる。
配達は、米国でドアダッシュ(約 67%)、ウーバーイーツ(約 25%)、グラブハブ(約 8%)。世界では、ブラジルにディディとメイトゥアンが入り、中東・アジアでデリバリーヒーロー(タラバット、ベーミン)、グラブ、メイトゥアンが競う。食料雑貨・日用品への広がりと、広告・会員が利益率を支える。貨物は、運賃が底を打って回復しつつあり、仲介大手の C.H. ロビンソン、RXO が効率化で先行している。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、2026 年 7 月 16 日に合意したデリバリーヒーローの買収である。1 株 41.5 ユーロの現金で、100% の株式価値は 148 億ドル。ウーバーは既に 36.8% を持ち、第 2 位のプロサス(16.7%)が応募を約束しているため、約 53% が見えている。資金は手元の現金と新しい借入(つなぎ融資 140〜160 億ドル規模と報じられる)。完了は 2027 年後半で、最低 50% 超の応募と、各国の独占禁止の承認が条件。SSW パートナーズが 14 市場(約 16 億ドル)を買い、重なりを減らす。
この買収は、ウーバーイーツと合わせ世界の即時配達の約 3 分の 1 の規模にする一方、デリバリーヒーローは取扱高 約 570 億ドル(2025 年)に対し調整後 EBITDA は 11 億ドル前後(1% 台)と利益率が低く、韓国・中東・北アフリカで競争がきつい。148 億ドルの買収に加え、同社の負債も引き受けるため、純借入は今の 40 億ドルから 160 億ドル前後へ増える見込み。借り換え金利 5.75% で利払いが年 9 億ドル前後増える。ただし未成立なので、筋書きの数字には入れていない(成立した時の得失は、支払う現金 約 94 億ドルと利払いが、利益率 1% 台の相手の利益と入れ替わる形で、確率と文章で扱う)。
株主還元は、2025 年の自社株買い 65 億ドル(配当なし)。2026 年 4〜6 月期は約 5 億ドル。買収の完了まで、還元は抑えられる。株式報酬を打ち消す分を引いた正味の還元は、2025 年で 45 億ドル前後。AV への出資(約 25 億ドル)も続く。買収で価値を壊すリスクと、AV 投資が無駄にならない保証が無いことが、資本配分の評価を難しくしている。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 35.3 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ウーバーは、世界で唯一、配車・配達・貨物を 1 つの網で運ぶ。乗客と運転手の数、会員(ウーバーワン)、広告、決済の仕組みは、自動運転の時代でも失われない。ウェイモは車両の運営に集中し、需要はウーバーの網を使うのが合理的だからだ。ウェイモ自身が、都市ごとにウーバーと組み始めている(オースティン・アトランタ)。テスラが単独でやりたがっても、ロボタクシーは稼働率を上げるために需要の入口を必要とする。ウーバーは車を持たないので、AV の車両の価格が下がり続けるほど、仲介の取り分は守られる。
デリバリーヒーローの買収が成立すれば、配達は世界の標準になる(未成立なので筋書きの数字には入れていない)。中東・アジアの高い成長に加え、ウーバーイーツの広告・会員の仕組みを移植すれば、取扱高比 1% の利益率は 5% に上がる余地がある。取扱高は 2 桁成長が続き、営業利益は 10 年で 4 倍になる。FCF は既に年 100 億ドル超で、買収の借入は 3〜4 年で返せる。資本が軽く、利益の質も高いので、利益ベースの上限に近い倍率が成長の裏づけとして妥当である。
慎重な見方
実力の純利益は 50 億ドルで、時価総額の 2 割を超える価格は、10 年先の成功を前払いしている。2025 年の純利益の半分は税の一時益で、見かけの PER 14 倍は罠だ。さらに、148 億ドルの買収は、取扱高 570 億ドル・利益率 1% 台の会社を、ウーバーの全時価総額の 1 割で買う。借入が 160 億ドル前後に増え、競争当局の承認、統合の費用、韓国・中東の競争が重なる。ブラジルでディディとメイトゥアンが参入して成長が鈍った例もある。
最大の脅威は自動運転である。ウェイモは週 50 万回から 100 万回へ、自社アプリで直接乗客をつかんでいる。テスラはウーバーと組まない。ウーバーは AV 投資に 100 億ドル超を使うが、車両の価値と運営は AV 会社が握る。需要の入口がロボタクシーの自社アプリに移れば、ウーバーは車両供給の 1 つに格下げされ、取り分は 25% から 15% に削られる。10 年後に「今より強い」とは言い切れない。
どちらに重みを置いたか
強気の見方の根拠(網の外部性、車両を持たない軽さ、配達の広がり)は確かだが、自動運転の見通しの不確かさは、確率でも倍率でも消せない。そこで、中立(32%)を軸に、上の 3 筋書きで 64%、下の 2 筋書きで 36%(うち、構造的な負けを 16%)と、悲観側をやや厚くした。実力の利益で、未成立の買収を外した単体で測り、倍率を利益ベースの上限の内側に置くと、期待値は今の時価総額を 1 割ほど上回る。中立では 10 年後に今の 2.1 倍に届くが、それは利益が 10 年で 4 倍になる筋書きによるもので、悲観では 10 年後に今の約 0.3 倍まで下がる。結論はやや割安だが、確信度は中程度以下とする。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 135.14 ドル2,752 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 25.02 ドル510 億ドル)。 今の値に割り戻すと 76.41 ドル1,556 億ドル、今との差 +10.6%、 期待の年率 +8.8%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 256.26 ドル5,219 億ドル | 37.55 ドル765 億ドル | +325.4% | +15.6% | 29.38 ドル598 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 194.71 ドル3,965 億ドル | 33.62 ドル685 億ドル | +230.6% | +12.7% | 50.23 ドル1,023 億ドル |
| 中立 | 32% | 154.40 ドル3,144 億ドル | 28.71 ドル585 億ドル | +165.1% | +10.2% | 58.60 ドル1,193 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 67.46 ドル1,374 億ドル | 16.93 ドル345 億ドル | +22.2% | +2.0% | 16.88 ドル344 億ドル |
| 悲観 | 16% | 23.60 ドル481 億ドル | 8.09 ドル165 億ドル | −54.1% | −7.5% | 5.07 ドル103 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 135.14 ドル2,752 億ドル | 25.02 ドル510 億ドル | +131.9% | +8.8% | 160.16 ドル3,262 億ドル |
今の株価時価総額 69.07 ドル1,407 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:自動運転の時代でも最大の需要の入口として残り、配達も単体で伸びる 利益 338 億ドル · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 256.26 ドル5,219 億ドル
10 年後、配車の取扱高は約 3,160 億ドル(市場 実質 2.2 倍・シェア 42.5%・取り分 25%)。自動運転車が乗車の 3 割を担うが、需要の入口はウーバー、車両は提携先とウーバーが貸し出す形で、取り分が守られる。ウェイモは一部の都市で自社アプリを残すが、他の都市や海外ではウーバーに頼る。配達はウーバーイーツ単体で取扱高 約 3,120 億ドル、広告と会員で利益率が上がる(デリバリーヒーローの買収は未成立として数字に入れない)。貨物は黒字になる。営業利益は 434 億ドル、純利益 338 億ドルで、10 年目でもなお年 1 割の伸びが残る。10 年の純利益の累計は約 2,120 億ドル(2026 年 約 80 億ドル、2027 年 115 億ドル、2028 年 162 億ドルと進み、2035 年の 338 億ドルへ年 1 割強で伸びる道)。還元は 765 億ドルにとどまり、残りは現金として貯まるため、自己資本は 1,590 億ドルまで積み上がる。
- 配車(モビリティ):数量 5,280(世界の都市内の乗車(配車・タクシー・自動運転、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 15.0%(ウーバーのシェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数(2025 年=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 791 億ドル・営業利益 332 億ドル。シェア 42.5%・取り分 25%・物価指数 1.41
- 配達(デリバリー):数量 8,775(世界の即時配達(外食・食料雑貨・即時小売、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 7.1%(シェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数)→ 売上 621 億ドル・営業利益 227 億ドル。シェア 25.2%・取り分 19.9%(ウーバーイーツ単体。未成立のデリバリーヒーローは含めない)・物価指数 1.41
- 貨物(フレイト):数量 2,475(米国のトラック貨物仲介の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 8.5%(シェア × 物価指数(売上が運賃総額で、取り分は 1))→ 売上 209 億ドル・営業利益 21 億ドル。シェア 6.0%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 21.3%(この筋書きの純利益 338.0 ÷ 自己資本 1590 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 14.9%(堀は普通:乗客と運転手の網は強いが、自動運転とドアダッシュの競争で取り分は削られる)。g は 4.0%(配車・配達の取扱高の実質の伸び(市場)× シェアの増減(自動運転で取り分が落ちる)× 価格(物価 3.5%)。上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=16.2 倍に対し、95% の 15.4 倍に置いた(自動運転と共存し取り分が落ちない筋書きなので上限の近く。 ROE は貯まる現金も自己資本に入れた帳簿の値で、現金を除く事業の ROE 35% より低く、上限は控えめに出る。)。時価総額=純利益 338.0 億ドル × 15.4 倍=5219 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:自動運転の時代でも仲介役として取り分を守り、配達も単体で伸びる展開。成功すれば大きいが、条件が多いので 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:配車は自動運転と共存、配達は単体で利益率が上がる 利益 269 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 194.71 ドル3,965 億ドル
配車の取扱高は約 2,880 億ドル(市場 実質 2.1 倍・シェア 40.5%・取り分 24%)。自動運転車は乗車の 2〜3 割に増えるが、ウーバーは複数の自動運転会社の車両を束ねる中立の仲介役として取り分を 24% に保つ。ウェイモとテスラは自社アプリで一定の乗車を取るが、ウーバーの減り方は小さい。配達はウーバーイーツ単体で取扱高 約 2,890 億ドル、広告と会員の上積みで利益率は今の約 2 倍。貨物は市場が運賃の底から戻り、黒字が定着する。営業利益は 343 億ドル、純利益 269 億ドル。10 年の純利益の累計は約 1,785 億ドル(2026 年 約 78 億ドル、2027 年 108 億ドル、2028 年 142 億ドルと進み、2035 年の 269 億ドルへ年 1 割弱で伸びる道)。還元は 685 億ドルにとどまり、残りは現金として貯まるため、自己資本は 1,335 億ドルまで積み上がる。
- 配車(モビリティ):数量 5,040(世界の都市内の乗車(配車・タクシー・自動運転、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 13.7%(ウーバーのシェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数(2025 年=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 691 億ドル・営業利益 282 億ドル。シェア 40.5%・取り分 24%・物価指数 1.41
- 配達(デリバリー):数量 8,325(世界の即時配達(外食・食料雑貨・即時小売、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 6.7%(シェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数)→ 売上 561 億ドル・営業利益 187 億ドル。シェア 24.6%・取り分 19.4%(ウーバーイーツ単体。未成立のデリバリーヒーローは含めない)・物価指数 1.41
- 貨物(フレイト):数量 2,325(米国のトラック貨物仲介の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 7.0%(シェア × 物価指数(売上が運賃総額で、取り分は 1))→ 売上 164 億ドル・営業利益 11 億ドル。シェア 5.0%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 20.1%(この筋書きの純利益 269.0 ÷ 自己資本 1335 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 14.3%(堀は普通:乗客と運転手の網は強いが、自動運転とドアダッシュの競争で取り分は削られる)。g は 4.0%(配車・配達の取扱高の実質の伸び(市場)× シェアの増減(自動運転で取り分が落ちる)× 価格(物価 3.5%)。上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=16.0 倍に対し、92% の 14.7 倍に置いた(配車は共存し配達の利益率が上がる筋書き。 ROE は貯まる現金も自己資本に入れた帳簿の値で、現金を除く事業の ROE 35% より低く、上限は控えめに出る。)。時価総額=純利益 269.0 億ドル × 14.7 倍=3965 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:自動運転と共存し、取り分の低下が小さい展開。2 割強。
中立 32% 中立:優良な仲介業として年 +10%、取り分は 23% に下がり、倍率は成熟した水準 利益 207 億ドル · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 154.40 ドル3,144 億ドル
配車の取扱高は約 2,570 億ドル(市場 実質 2.0 倍=年 +7%、シェア 38%、取り分 23%、価格は物価並みの 1.41 倍)。自動運転車は乗車の 2〜3 割を担い、ウェイモ・テスラが自社アプリで取る分だけシェアは 41.7% から 38% に下がる。ウーバーは車両を持たないので資本が軽く、取り分の低下は営業利益率(取扱高比 9%)でほぼ補われる。配達はウーバーイーツ単体で取扱高 約 2,600 億ドル(シェア 24%・取り分 18%)。デリバリーヒーローの買収は未成立なので数字に入れない。ドアダッシュ(米国で約 7 割)との差は縮まらないが、米国以外の都市で伸びる。貨物は市場 1.5 倍・シェア 4.5% で黒字化。営業利益は 262 億ドル、純利益 207 億ドル。
- 配車(モビリティ):数量 4,800(世界の都市内の乗車(配車・タクシー・自動運転、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 12.3%(ウーバーのシェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数(2025 年=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 592 億ドル・営業利益 231 億ドル。シェア 38.0%・取り分 23%・物価指数 1.41
- 配達(デリバリー):数量 7,650(世界の即時配達(外食・食料雑貨・即時小売、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 6.3%(シェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数)→ 売上 479 億ドル・営業利益 149 億ドル。シェア 24.1%・取り分 18.4%(ウーバーイーツ単体。未成立のデリバリーヒーローは含めない)・物価指数 1.41
- 貨物(フレイト):数量 2,250(米国のトラック貨物仲介の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 6.3%(シェア × 物価指数(売上が運賃総額で、取り分は 1))→ 売上 143 億ドル・営業利益 7 億ドル。シェア 4.5%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 24.8%(この筋書きの純利益 207.0 ÷ 自己資本 835 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 16.6%(堀は普通:乗客と運転手の網は強いが、自動運転とドアダッシュの競争で取り分は削られる)。g は 4.0%(配車・配達の取扱高の実質の伸び(市場)× シェアの増減(自動運転で取り分が落ちる)× 価格(物価 3.5%)。上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=16.9 倍に対し、90% の 15.2 倍に置いた(車両を持たない軽い資本で ROE が高く、取扱高が伸び続ける質を認めて 9 割だが、自動運転の取り分の不確かさから 10 割にはしない。 ROE は貯まる現金も自己資本に入れた帳簿の値で、現金を除く事業の ROE 35% より低く、上限は控えめに出る。)。時価総額=純利益 207.0 億ドル × 15.2 倍=3144 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(取扱高 年 +8%、取り分 25%→23%)に沿う。
やや悲観 20% やや悲観:自動運転の自社アプリが広がり、取り分が 18% に下がる 利益 114 億ドル · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 67.46 ドル1,374 億ドル
ウェイモとテスラが主要都市で自社アプリを中心にし、ウーバーは都市の一部で車両を供給する下請けに近い立場になる。配車のシェアは 34%、取り分は 18% に下がり、運転手の確保より自動運転車のリース・保険・充電の費用を負う分、利益率が下がる。配達はドアダッシュの攻勢で、ウーバーイーツ単体の取扱高は約 2,060 億ドル、取り分 17%。取扱高は 10 年で物価分しか伸びず、実質ではほぼ横ばい。営業利益は 145 億ドル、純利益 114 億ドルと 2025 年の実力の 2.3 倍にとどまる。それでも車両を持たない軽い資本は変わらず、純利益の自己資本に対する比(ROE)は 16% 前後を保つ。
- 配車(モビリティ):数量 4,320(世界の都市内の乗車(配車・タクシー・自動運転、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 8.6%(ウーバーのシェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数(2025 年=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 373 億ドル・営業利益 155 億ドル。シェア 34.0%・取り分 18%・物価指数 1.41
- 配達(デリバリー):数量 6,975(世界の即時配達(外食・食料雑貨・即時小売、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 5.1%(シェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数)→ 売上 358 億ドル・営業利益 96 億ドル。シェア 20.9%・取り分 17.4%(ウーバーイーツ単体。未成立のデリバリーヒーローは含めない)・物価指数 1.41
- 貨物(フレイト):数量 1,950(米国のトラック貨物仲介の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 5.4%(シェア × 物価指数(売上が運賃総額で、取り分は 1))→ 売上 104 億ドル・営業利益 2 億ドル。シェア 3.8%・物価指数 1.41
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 16.3%(この筋書きの純利益 114.0 ÷ 自己資本 699 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 12.4%(堀は普通:乗客と運転手の網は強いが、自動運転とドアダッシュの競争で取り分は削られる)。g は 4.0%(配車・配達の取扱高の実質の伸び(市場)× シェアの増減(自動運転で取り分が落ちる)× 価格(物価 3.5%)。上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=15.1 倍に対し、80% の 12.1 倍に置いた(自動運転に取り分を削られ利益率が下がる筋書きで上限の 8 割。 ROE は貯まる現金も自己資本に入れた帳簿の値で、現金を除く事業の ROE 35% より低く、上限は控えめに出る。)。時価総額=純利益 114.0 億ドル × 12.1 倍=1374 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:自動運転の自社アプリが都市に広がる展開。ウェイモの拡大の速さを見ると 2 割。
悲観 16% 悲観:自動運転が自社アプリで乗客を直接つかみ、ウーバーは供給者の 1 つに格下げされる 利益 43 億ドル · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 23.60 ドル481 億ドル
ウェイモ・テスラ・ズークスが自社アプリで乗客を直接つかみ、運転手の網の価値が消える。ウーバーは自動運転会社の都合で車両を一部取りまとめる程度で、配車のシェアは 28%、取り分は 13%(売上が取扱高に比べて急減)。配達でもドアダッシュ・メイトゥアン・ディディの攻勢に押され、ウーバーイーツの取り分は 15% を割る。デリバリーヒーローの持ち分も値下がりする。成長は年 +3% にとどまり、「優良な成長企業」ではなくなる。営業利益は 55 億ドル、純利益 43 億ドル。旧は純現金と持ち分を足して 810 億ドル)。10 年の純利益の累計は約 513 億ドル。2026 年の約 75 億ドルから、自動運転に乗客を奪われて 2030 年前後に 45 億ドルへ落ち、その後は 43 億ドル前後で横ばいとなる道を置いた。時価総額は今の約 0.3 倍まで落ちる。時価総額は今の約 0.3 倍まで落ちる。
- 配車(モビリティ):数量 3,600(世界の都市内の乗車(配車・タクシー・自動運転、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 5.1%(ウーバーのシェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数(2025 年=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 185 億ドル・営業利益 85 億ドル。シェア 28.0%・取り分 13%・物価指数 1.41
- 配達(デリバリー):数量 5,850(世界の即時配達(外食・食料雑貨・即時小売、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 3.9%(シェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数)→ 売上 226 億ドル・営業利益 55 億ドル。シェア 16.7%・取り分 16.4%(ウーバーイーツ単体。未成立のデリバリーヒーローは含めない)・物価指数 1.41
- 貨物(フレイト):数量 1,650(米国のトラック貨物仲介の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 4.2%(シェア × 物価指数(売上が運賃総額で、取り分は 1))→ 売上 70 億ドル・営業利益 0 億ドル。シェア 3.0%・物価指数 1.41
倍率:事業の ROE 8.1% は k 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%)以下なので、ためた利益は額面を割る価値で、正当化 PER は 1÷k=11.8 倍まで。95% の 11.2 倍に置いた(自動運転に直接つかまれる構造的な負け。ROE が k に近いので上限の 0.95 倍。 ROE は貯まる現金も自己資本に入れた帳簿の値で、現金を除く事業の ROE 35% より低く、上限は控えめに出る。)。時価総額=純利益 43.0 億ドル × 11.2 倍=481 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:最大の論点:ロボタクシーの自社アプリで直接配車され、ウーバーが供給者の 1 つに格下げされる。業界ノートの悲観(取り分 15%、成長 +3%)に沿う。事業の脅威が大きいので 16% と厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
配車(モビリティ)
都市内の乗車の手配(ウーバー、ウーバーワン、タクシー連携、自動運転の車両受け入れ)。
| 数量世界の都市内の乗車(配車・タクシー・自動運転、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質) | 価格ウーバーのシェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数(2025 年=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,400 | 12.1% | 290 | 72 |
| 10 年後 中立 | 4,800 | 12.3% | 592 | 231 |
取り方:市場は世界の配車・タクシーの取扱高を推定で約 2,400 億ドル(2025 年。業界資料の幅が広い)に置いた。ウーバーの 2025 年の配車の取扱高は約 1,000 億ドル(シェア 41.7%)、売上 290 億ドル(取り分 29%)、セグメント営業利益(本社費・株式報酬・減価償却の前)約 72 億ドル。2026 年 4〜6 月期は英国の事業モデル変更で売上が約 11 億ドル下がり取り分が会計上 25% に見えるが、利益には影響しない。競合:米国はリフト(約 3 割)、ウェイモ、テスラ。 2025 年の数量(市場)に、ウーバーのシェア 41.7% × 取り分 29%。
配達(デリバリー)
フードデリバリー・食料雑貨・即時小売(ウーバーイーツ)。広告と会員(ウーバーワン)が上積み。買収で合意したデリバリーヒーローは未成立なので、筋書きでも合算しない(持ち分 36.8% だけを資産として足す)。
| 数量世界の即時配達(外食・食料雑貨・即時小売、中国を除く)の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質) | 価格シェア × 取り分(売上÷取扱高)× 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,500 | 3.9% | 175 | 31 |
| 10 年後 中立 | 7,650 | 6.3% | 479 | 149 |
取り方:市場は推定で約 4,500 億ドル(2025 年)。ウーバーイーツの取扱高は約 900 億ドル(シェア 20%)、売上 175 億ドル(取り分 19.4%)、営業利益 31 億ドル。デリバリーヒーロー(GMV 約 570 億ドル、2025 年)の買収は未成立なので、3 年後・10 年後の筋書きもウーバーイーツ単体で置く。競合:ドアダッシュ(米国約 67%)、グラブハブ、インスタカート、メイトゥアン、ディディ、グラブ。 2025 年のウーバーイーツ(デリバリーヒーローを含まない)。シェア 20% × 取り分 19.4%。
貨物(フレイト)
トラック貨物の荷主と運び手のマッチング(仲介)。売上は荷主からの運賃総額。
| 数量米国のトラック貨物仲介の取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質) | 価格シェア × 物価指数(売上が運賃総額で、取り分は 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 3.5% | 52 | −1 |
| 10 年後 中立 | 2,250 | 6.3% | 143 | 7 |
取り方:米国のトラック貨物の仲介市場を推定で約 1,500 億ドルに置き、2025 年のウーバーフレイトの売上 52 億ドルからシェア 3.5%。営業利益はほぼ 0(小さな赤字)。競合:C.H. ロビンソン、RXO、コヨーテ。貨物は景気の波(運賃の底)が大きい。 2025 年のウーバーフレイト。シェア 3.5%。
リスクと懸念
自動運転が需要の入口を飛ばす
ウェイモは週 約 50 万回(2026 年 3 月)、年末 100 万回を目標にし、自社アプリが中心。テスラはウーバーと組まない。需要の入口がロボタクシーの自社アプリに移ると、ウーバーは車両供給の 1 つに格下げされ、取り分が 25% から 15% 前後に圧縮される。10 年の最大の論点で、悲観の筋書きの中心。AV への 100 億ドル超の投資が無駄になる展開も含む。
デリバリーヒーローの買収の実行
148 億ドルの現金に、負債の引き受けを加え、成立すれば純借入は 160 億ドル前後に増える。デリバリーヒーローは取扱高 約 570 億ドルで利益率が 1% 台と低く、韓国・中東で競争が強い。完了は 2027 年後半で、競争当局が市場の売却を求めうる。未成立なので筋書きの数字には入れず、単体で測った(成立すれば、支払う現金 約 94 億ドルと借入の利払いが、相手の低い利益と入れ替わる)。失敗すれば減損と、借入の利払い(5.75%)の負担だけが残る。
利益の質(一時益・株式報酬)
2025 年の純利益 100 億ドルのうち 50 億ドルは税の一時益、2026 年 4〜6 月期の純利益 24 億ドルにも株式の評価益 16 億ドルが混じる。実力は営業利益から見る必要がある。株式報酬は年 20 億ドル前後で、これを足し戻した FCF は株主のものになる利益より大きく見える。
配達の競争(米国・ブラジル・中東)
米国はドアダッシュ約 67%・ウーバーイーツ約 25%。ブラジルは、ディディとメイトゥアンの参入で成長が鈍った。値引きと補助金の競争が再燃すれば、配達の利益率 5% への道は遠のく。デリバリーヒーローの韓国(ベーミン)と中東・北アフリカでも、現地の競合が価格で攻めている。
運転手・配達員の分類と規制
運転手を従業員として扱う規制(カリフォルニア、EU のプラットフォーム労働指令)が広がると、費用が上がる。ライドシェアの取り分は、この規制が変わると自動運転以外でも削られうる。最低賃金・保険の規制は、都市ごとに進む。
景気の悪化
乗車と注文は景気に敏感ではないが、運転手の確保や外食の減速、貨物の運賃は景気で落ちる。10 年の途中の急な不況では、取扱高が 2 割落ち、純借入が増えた状態で利益が薄くなる展開。2022 年の利上げ局面では株価が 53% 下がった。
今後の分かれ目
- ウェイモ・テスラが主要都市で、乗車の 3 割以上を自社アプリで取り始めたら
- 取り分が 15% 前後に圧縮される悲観側の筋書きに寄る。楽観・やや楽観の確率を下げ、やや悲観・悲観を上げる。
- ウェイモ・フォルクスワーゲン・ルーシッドの自動運転が、ウーバーのアプリ内の乗車の 1 割以上を担い、取り分が 25% を保ったら
- 仲介役として共存できる証拠。楽観・やや楽観を上げ、利益ベースの上限に近い倍率を許容する。
- デリバリーヒーローの買収が、独占禁止の理由で頓挫するか、大きな市場の売却を条件にされたら
- 借入の増加は避けられるが、配達の拡大の筋書きは弱まる。持ち分 37% は評価損益に出る。中立の確率はやや低下。
- 配達の営業利益が取扱高比 4% を超えたら
- 配達の利益率 5% の道が見える。楽観側の確率を上げてよい。デリバリーヒーローが成立すれば、その利益率が 3% を超えるかを別に見る。
- 株式報酬を差し引いた FCF が 70 億ドルを超え、純借入が減り始めたら
- 手元に現金が貯まり、還元に回せる(買収が成立すればまず借入の返済)。純現金は価値に 1 ドルで数えているので、還元に回しても価値は変わらない。
- 取扱高の伸びが 2 年連続で 12% を下回ったら
- 高成長が終わり、上限に近い PER は正当化できない。倍率を 11〜13 倍に下げて見直す。
見ておくもの
- 配車の取扱高とトリップの成長率、ウーバーワンの会員数と取り分(売上÷取扱高)
- 自動運転の乗車がアプリ内の何割か、ウェイモ・テスラの自社アプリの都市数と乗車数
- デリバリーヒーローの公開買付の応募率、独占禁止の承認、完了の時期
- 配達の営業利益率と、ドアダッシュとの取扱高の差
- 株式報酬を差し引いた FCF、純借入、自社株買いの額
倍率と資本コストの決め方
今の PER 14 倍と、見かけの純利益 100 億ドルには寄せていない。先に配車・配達・貨物を(市場 × シェア × 取り分 × 物価指数 1.41)で積み、営業利益率から営業利益を出した。2025 年の実力の純利益は一時益を除いた約 50 億ドルとした。未成立のデリバリーヒーローの買収(現金 148 億ドル)は、配達の数字にも借入にも入れず、ウーバーイーツ単体で書き、持ち分 36.8% だけを資産として足した。倍率は利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 8.5%、g 4%、RONIC=k+1/2×(事業の ROE−k))の上限の内側:10 年後の中立は上限の 9 割(貯まる現金と持ち分を含む実効の倍率)。検査の ROE は貯まる現金込みの帳簿の値で、現金を除く事業の ROE(35%)より低く出るので上限は控えめ。悲観側は ROE が k に近いので上限の 0.95 倍までとし、市場の倍率や簿価には寄せていない。結果は本質価値が今の時価総額を 1 割ほど上回るやや割安で、利益が 10 年で 4 倍になる前提と自動運転の不確かさを抱えるため、確信度は低い。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β 1.21 × 5%。k=基本 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。事業の寿命に自動運転という技術の置き換えの不確かさがあるので少しだけ上げた。ただし自動運転の悲観の深さそのものは筋書きの確率(悲観側に 36%)で表し、k では重ねて見ない。買収の実行・一時益で読みにくい利益などの個別のリスクも k に足していない。事業は傾いておらず、上乗せは置かない。