結論
イーグル・マテリアルズは、道路を支えるセメントと建物の内壁をつくる石膏ボードを、米国各地で生産する会社である。筆者の結論はやや割安だ。ただし、景気が良い時の利益を永久に続くものと見なせないため、安全域は薄い。最大の強みは、セメントの輸送費と工場の許認可、石膏ボードの低コスト工場と紙板の内製化にある。価格競争が起きても、地域の生産拠点そのものは簡単には複製されない。
手元の財務台帳では直近の売上が23.1億ドル、純利益が4.2億ドル、純負債が15億ドルである。利益率の高さは評価できるが、2026年6月までの四半期には変調が出た。セメント数量は前年より8%増えた一方、石膏ボードの運賃控除後単価は10%低下した。売値自体も5%下がり、全社の純利益は17%減った。金利が高止まりし、住宅の改修と新築が弱い時期には、価格支配力を過信できない。次の決算は11月4日公表予定であり、現時点で判明していない数字を織り込まない。
10年後も道路補修と住宅の壁はなくならない。中立の見方では、セメントの能力増強と石膏ボードの新ラインが一定の稼働率を保ち、名目の値上げを通じて利益が増える。もっとも、設備投資の先払いと自社株買いが続くため、報告利益の全部が株主の手元に残るわけではない。悲観では、住宅需要の停滞と輸入セメントの競争により値上げが止まり、過大な生産能力が固定費の重荷になる。確率を織り込んだ10年先の価値を資本コストで割り引くと、2026年10月23日の時価総額約54億ドルを約11%上回る。良い設備を持つ会社だが、経済循環の谷にも耐える余裕が欠かせない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、セメントと石膏ボードは理解しやすい。どちらも道路や建物がある限り使われ、技術革新で一夜にして不要にはならない。新工場の開設には原料、許認可、輸送網が必要で、長く保有する価値がある。だからこそ、毎年の売上成長より、景気が悪い時にも工場を安く動かせるかを重視する。人工知能が受発注や設計の効率を高めても、実物のセメントや石膏ボードの消費そのものを代替するわけではない。
問題はオーナー利益である。財務台帳の直近純利益は約4.2億ドルだが、自由現金は約2億ドルにとどまった。設備の増強期は会計上の利益がそのまま現金で戻らない。ワイオミングとオクラホマの投資が低コスト化につながれば、増えた元手は長く高い利回りで働く。しかし完成後に価格が弱ければ、資本コストを超える増分の稼ぎは生まれない。
株主還元の姿勢はおおむね良いが、株式数を減らすこと自体が価値を生むわけではない。買収をむやみに増やさず、製品価格と稼働率を確かめてから余った資金を返す経営が望ましい。長期の価値は、合計の生産量、実現販売単価、利益率と現金還元で決まり、会計上のROEが高いことを成長の理由にはしない。良い資産を長く持てる魅力はあるものの、住宅循環と設備投資のリスクが残るため、支払う価格には安全域が要る。
何で稼ぐ会社か
商売の中心は二つの製品である。セメントは道路、橋、物流施設、データセンターなどに使われる。石膏ボードは住宅や商業施設の内壁に使われ、建設業者や卸売業者へ販売される。原料はどちらも重く、輸送に費用がかかる。競争は全国一律ではなく、工場から運べる範囲ごとに決まる。セメントは内陸の工場や粉砕施設と輸送拠点を持ち、石膏ボードは製造工場と採掘資源、販売網を一体で運営する。
財務台帳と対応する2026年3月期の社外向け売上は、セメントが約11.4億ドル、石膏ボードが約7.6億ドル、コンクリート・骨材が約2.8億ドル、再生紙板が約1.2億ドルであった。セメントの年間出荷は自社工場分で677万トン、持分合弁を含めると747万トンである。石膏ボードは27.59億平方フィートを販売した。コンクリートは約123万立方ヤード、骨材は約657万トンを出荷する。紙板は約34万トンを出し、その約4割を自社の石膏ボードに使い、残りを外販した。
石膏ボードでは紙板の内製が採算を支える。紙の厚み、接着、燃料使用量、ラインの稼働速度を管理することで、競争相手が値下げした時にも利益を残しやすい。ただし、紙板の内部取引利益を単純に社外向け売上で割ると採算が高く見えるため、全社の営業利益との調整が欠かせない。セメントも合弁利益を営業利益に含むが、その合弁売上は連結売上から外れる点に注意したい。公共工事と住宅市場で需要の山谷が異なるのは分散効果だが、両方とも固定資産が重く、共通して建設循環から逃れられない。人月販売や席課金などのAIエージェント代替の型に当たる事業はない。
優良さと弱いところ
最も堅い参入障壁は立地と許認可である。セメントは焼成設備と原料採石場が要り、環境審査にも時間がかかる。石膏ボードも生産設備と資源、近隣の配送網を新たにそろえるのは容易ではない。会社は原料鉱床の多くに25年以上の操業余地があると説明する。地域の供給者が少ない市場では値上げを通しやすく、過去の長い期間にわたり営業利益率を改善してきた実績がある。
ただし堀は全面的な独占ではない。セメントは輸入品が米国需要の2割強を補い、石膏ボードの大手顧客3社は同部門売上の約64%を占める。大手のクナウフ傘下USG、ナショナル・ジプサム、サンゴバン傘下サーテンティードと、安値を嫌って協調できるわけではない。2026年4〜6月には石膏ボードの売値が5%、運賃控除後単価が10%下がり、値決め力に限界があることが実証された。セメントも単価が下がる一方、数量で補った。
過去10年のROE中央値は26.5%であり、製造業として資本をよく使ってきた。ただし自社株買いで帳簿の自己資本を縮めた効果と、設備更新を先送りできない事情を分けて考える必要がある。収益性を保つには長い間、熱効率、原燃料、人員配置へ繰り返し投資しなければならない。工場の立地は10年後にも残るが、価格競争を排除する強い堀ではなく、質の良い普通の堀と評価する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設資材の需要は、公共インフラと住宅で景色が異なる。米国では老朽化した道路・橋・上下水道の補修が続く一方、高い住宅ローン金利が新築を抑えている。データセンターや電力設備の建設は明るい材料だが、石膏ボードは住宅着工と改装への依存が大きい。米国の2025年のセメント消費は約1億1230万トン、石膏ボード消費は約254億平方フィートである。2005年の需要の山と比べ、前者は約2割、後者は約3割小さい。したがって、需要が毎年力強く伸び続けるという前提は採らない。
供給側の構造が製品ごとに異なる。セメントにはハイデルベルク・マテリアルズ、CRH、セメックス、アムライズなどの大手がいる。イーグルの出荷は持分合弁を含むと米国消費のおよそ6〜7%に当たるが、輸入品との競争も避けられない。石膏ボードはクナウフ、ナショナル・ジプサム、サンゴバンなどの大手が設備を持つ。イーグルの国内数量シェアは約11%と見積もれる。会社の開示では競合大手4社の合計シェアは約85%で、個別比率は非開示である。全米の石膏ボード需要と生産能力の差は大きく、2026年の実勢価格の低下は設備過剰時の危うさを示した。
コンクリートは全米約3.72億立方ヤードの市場に対して同社は約0.3%、骨材は約26億トンの市場に対して約0.25%であり、ヴァルカンやマーチン・マリエッタのような骨材大手とは規模が違う。競争は現地の小規模企業にも広がる。セメント・骨材の業界数量は中立で10年間に約16%伸びるが、これは既存道路の補修と工場投資の下支えを見込んだものだ。石膏ボードは住宅の回復が遅れると出荷が伸びず、設備増強がかえって値下げ競争の種になる。2026年9月に期限を迎えた連邦インフラ法に代わる資金手当ても、数量の大きな分かれ道である。
資本政策と M&A
経営陣の資本配分は、低コストの工場を育てる投資と自社株買いが軸である。過去5事業年度に約9.1億ドルを設備投資へ、約3.9億ドルを買収へ振り向け、配当と自社株買いで約22億ドルを株主に返した。ペンシルベニア州とケンタッキー州の骨材事業の取得は、製品を遠くへ運ばない地域商売に合う。一方、自社株買いが純利益や自由現金を上回る年があり、借金も増えた。安値での買い戻しは有利だが、常に買い得だったとは断定できない。
今はワイオミング州ララミーのセメント設備に約4.3億ドル、オクラホマ州デュークの石膏ボード設備に約3.3億ドルを投じている。前者は能力を約5割、後者は約4分の1増やし、単位当たりコストも下げる計画である。しかし工事中は現金が先に出て、需要が弱ければ増産の利益は遅れる。2026年3月期の設備投資は約4.2億ドル、2027年3月期の会社見込みは約4.9〜5.3億ドルである。
配当は小さく、余剰資金の中心は裁量的な自社株買いである。2026年3月末には既存承認枠が約293万株残ったが、今後10年間の還元総額について数字の約束はない。長期の増益目標にも保証はなく、買収の資本効率が落ちれば買い戻しより財務改善を優先すべきだ。現在、合意済みの非公開化や上場廃止の公表は確認できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
米国の建物や道路を十年後に見渡しても、セメントと内壁材が大量に使われている景色は変わらない。新しい競争相手が同じ場所で低コストの工場を立て、採石権を取り、配送網を築くには長い時間がかかる。イーグルの内陸セメント工場には、輸入品の上陸地点から遠いという立地上の利点がある。道路補修には景気より長く続く需要がある。工場の自動化と燃料効率の改善は、物価が上がる時ほど競争相手との差を広げる。
ワイオミング州の設備更新は能力を5割増やし、製造費を約4分の1削減する計画である。オクラホマ州の石膏ボード設備も能力増強と単位コスト低下を同時に狙う。石膏ボードは国内数量シェアが約11%あり、紙板を内製するため部材費を管理しやすい。稼働率が戻れば、今の値下げを取り返すだけでなく、固定費の吸収が進む余地がある。競合のクナウフやナショナル・ジプサムも利益の薄い工場を無制限に増やすわけではない。
過去5事業年度の配当と自社株買いは約22億ドルに達し、経営陣は株主への現金還元を行動で示してきた。成長投資で利益が増えれば、買収の規模をむやみに大きくせずとも還元を続けられる。住宅回復とインフラ更新が重なるなら、工場の稼働率は高まり、セメントと石膏ボードの両方で販売数量と利益率が改善する。資材の価格を物価より高く改定できる地域も残るはずだ。
慎重な見方
この会社の過去の収益性を、そのまま長期の堀の証明とするのは危うい。セメントも石膏ボードも、供給が増えて注文が減れば販売価格が下がる。実際、2026年4〜6月の石膏ボードの運賃控除後単価は前年を10%下回った。運賃を除いた売値も5%下がっている。大手卸売業者への依存が高く、石膏ボードの主要3顧客が売上の約64%を占める。工場の立地だけでは顧客との交渉を完全に支配できない。輸入セメントも米国内の需要を2割強補っている。
米国全体のセメント消費は2005年の山より約2割小さく、石膏ボードは約3割小さい。人口と経済の成長があるからといって、すべての材料が毎年増えるとは限らない。住宅ローン金利が高止まりすれば、住宅着工だけでなく改修需要も伸び悩む。公共インフラの予算が後継法で十分に補われなければ、セメントの需要にも逆風が吹く。そこで増産設備が相次いで稼働すれば、値下げしても固定費を回収できない工場が生まれる。
現在はララミーとデュークの二つの大規模計画で合計約7.6億ドルを投じている。完成が遅れたり、想定した省エネ効果が出なかったりすれば、増分投資の利回りは資本コストを下回る。自由現金より多くの自社株買いを続けると、借金と金利負担が悪い局面で効いてくる。2009〜11年ごろは営業利益率が一桁前半まで落ちた。十年後の需要がなお弱ければ、収益性の高い設備会社ではなく、安値でしか売れない重資産の会社になる危険がある。
どちらに重みを置いたか
事業が消える危険は小さいが、長く保有する株主にとっては価格競争と設備増強の失敗がより重要だ。実際の四半期で石膏ボードが値下がりし、二つの工場改造が同時に進むため、単純な楽観より慎重な見方を重くした。楽観とやや楽観は合計30%、やや悲観と悲観は35%、中立は35%である。これは建設資材の同業より少し慎重で、住宅向け石膏ボードの集中と2027年にかけての投資負担による差である。加重した将来価値と還元を割り引くと、基準時点の時価総額より約11%高い。結論はやや割安だが、四半期の価格競争が長引けば小さな安全域は消える。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 275.07 ドル85 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 114.75 ドル36 億ドル)。 今の値に割り戻すと 197.97 ドル61 億ドル、今との差 +7.8%、 期待の年率 +9.5%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 592.54 ドル183 億ドル | 181.02 ドル56 億ドル | +321.2% | +18.7% | 61.88 ドル19 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 429.32 ドル133 億ドル | 161.62 ドル50 億ドル | +221.8% | +15.2% | 130.01 ドル40 億ドル |
| 中立 | 35% | 298.13 ドル92 億ドル | 129.30 ドル40 億ドル | +132.8% | +10.9% | 149.60 ドル46 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 100.52 ドル31 億ドル | 71.11 ドル22 億ドル | −6.5% | −0.8% | 39.48 ドル12 億ドル |
| 悲観 | 12% | 47.93 ドル15 億ドル | 25.86 ドル8 億ドル | −59.8% | −10.1% | 8.86 ドル3 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 275.07 ドル85 億ドル | 114.75 ドル36 億ドル | +112.3% | +9.5% | 389.82 ドル121 億ドル |
今の株価時価総額 183.64 ドル57 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:公共投資と住宅が伸び、二つの新工場が原価で優位に立つ 利益 11 億ドル · PER 16.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 592.54 ドル183 億ドル
公共インフラの継続的な更新と住宅の回復が重なり、セメントの全国需要は10年で約3割増える。ララミーの新しい窯は低コストで立ち上がり、周辺の小規模事業を追加取得することで、同社の自社セメント出荷は875万トンに増える。卸売市場の価格改定は原燃料費を上回り、セメントの部門営業利益率は30%へ上がる。ヴァルカンやCRHとの骨材競争でも、買収した近隣採石場が物流費を抑える。
デュークの石膏ボード増強も需要回復に間に合い、年間出荷は38.6億平方フィートへ伸びる。能力の余裕を残しつつ工場を高稼働させ、紙板の内製と熱効率改善で競争相手との原価差を広げる。価格は10年間で約1.6倍となり、石膏ボードの利益率は40%近くに戻る。再生紙板の総出荷は能力380千トンの範囲内に収まり、社外向けは185千トンへ絞って内製ボードを優先する。
買収は地域の資源と工場に限り、借金を拡大しすぎずに増えた自由現金を自社株買いへ回す。資本効率が保たれ、株主の受取額は10年間で大きく積み上がる。ただしセメントと石膏ボードの同時好調が必要であり、持続的な上振れとしては低い確率に限る。
大型工事が終わった後は保守投資を通常水準に戻し、増えた営業現金から株主への還元を厚くする。株式報酬などによる希薄化を差し引いた10年間の正味の配当・買い戻しは56億ドルとなり、還元後の自己資本は34.1億ドルである。
- セメント:数量 8,750(連結自社セメントの出荷、千ショートトン。持分法合弁分は含めず、合弁の利益は部門営業利益に含む。)× 価格 0.00(連結社外売上を自社出荷で割った実現単価、億ドル/千トン(運賃含む))→ 売上 24 億ドル・営業利益 7 億ドル。全米市場約1.3倍、増強と取得資産で自社シェアを維持・拡大。運賃込み単価1.65倍。
- 生コンクリート:数量 1,580(生コン出荷、千立方ヤード)× 価格 0.00(生コンの会社公表ネット単価、億ドル/千立方ヤード)→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。地域需要と小型取得で出荷158万立方ヤード、価格1.60倍。
- 骨材(砕石・砂利):数量 9,000(砕石・骨材の出荷、千ショートトン)× 価格 0.00(外部売上相当額と配送費を含む推計実現単価、億ドル/千トン)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。骨材の出荷900万トン。局地的なシェア増と単価1.75倍。
- 石膏ボード:数量 3,860(石膏ボード販売、百万平方フィート(MMSF))× 価格 0.00(外販売上を出荷数量で割った運賃込み単価、億ドル/MMSF)→ 売上 17 億ドル・営業利益 7 億ドル。出荷3860MMSF、米国市場の成長とシェア増、価格1.63倍。デューク増強後能力4075MMSF内。
- 再生紙板(主に石膏ボード用):数量 185(社外向け再生紙板出荷、千ショートトン。内販約136千トンは別に管理。)× 価格 0.01(連結社外売上と外販数量による単価、億ドル/千トン)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。外販185千トン、内部向けは約190千トン。合計約375千トンで能力380千トン内。部門利益は内販を含む。
倍率:資本コストk=8.5%、10年目のGAAP純利益10.874億ドル、自己資本34.070億ドルから、伸びに要る自己資本のROE=31.9%を算定。買戻しで自己資本が減る効果は成長率には使わない。通常の堀なので超過収益の残存率1/2、RONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=20.21%。g=4.0%:長期の数量需要+1.2%、シェアほぼ横ばい、価格+2.8%の名目合成で4.0%。大型投資の効果は10年目までに織り込み、成熟後は価格上昇率が鈍る。 利益ベースの正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=18.54倍(10年目利益基準)。循環性と設備先行の不確実さを反映し、正当化値の90%に当たる16.683倍を採る。 GAAP純利益に掛けて時価総額181.411億ドル。純現金ではなく純負債15億ドルの会社なので、余剰現金の加算は行わない。
確率:二つの新工場計画が予定どおり低コスト化し、インフラ・住宅・データセンターが同時に好調となる。物価を超える値上げも維持する必要があり、すべてが10年間続く確率は8%に限る。
やや楽観 22% やや楽観:量の回復と省エネ投資が収益を押し上げる 利益 8 億ドル · PER 15.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 429.32 ドル133 億ドル
道路補修とデータセンター向けの工事が続き、住宅着工も少しずつ正常化する。セメント市場の数量増と自社工場の稼働率改善が重なり、自社出荷は830万トンへ増える。ワイオミングの設備が計画どおり能力と燃料効率を改善し、単価改定も原価上昇に追いつく。骨材は買収で増えた採石場を生かし、地場の競合やヴァルカンに大幅なシェアを奪われない。
石膏ボードはデュークの増強後、住宅の緩やかな回復で36億平方フィートを出荷する。販売単価は10年で約1.5倍だが、2026年のような値下げ局面が途中に残るため、営業利益率は36%にとどまる。コンクリートと骨材は配送効率が改善し、石膏ボード用紙板の内製が原価差を生む。大手USGやナショナル・ジプサムが供給を増やすため、利益率の上昇は限定的である。
経営陣は大きな買収に踏み込まず、工場の維持投資と株主への現金還元を両立する。財務面では利益が積み上がっても自己資本を過度に膨らませず、借り換え金利が高い環境での負債拡大を避ける。
工場の更新を終えた後は負債も抑え、営業現金の余剰分を継続的に株主へ返す。株式報酬などによる希薄化を差し引いた10年間の正味の配当・買い戻しは50億ドルとなり、還元後の自己資本は28.1億ドルである。
- セメント:数量 8,300(連結自社セメントの出荷、千ショートトン。持分法合弁分は含めず、合弁の利益は部門営業利益に含む。)× 価格 0.00(連結社外売上を自社出荷で割った実現単価、億ドル/千トン(運賃含む))→ 売上 21 億ドル・営業利益 6 億ドル。米国市場拡大とララミー増強で830万トン、単価1.53倍。
- 生コンクリート:数量 1,450(生コン出荷、千立方ヤード)× 価格 0.00(生コンの会社公表ネット単価、億ドル/千立方ヤード)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。住宅の一部回復で出荷145万立方ヤード、価格1.49倍。
- 骨材(砕石・砂利):数量 8,200(砕石・骨材の出荷、千ショートトン)× 価格 0.00(外部売上相当額と配送費を含む推計実現単価、億ドル/千トン)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。骨材出荷820万トン、地域競争下で価格1.61倍。
- 石膏ボード:数量 3,600(石膏ボード販売、百万平方フィート(MMSF))× 価格 0.00(外販売上を出荷数量で割った運賃込み単価、億ドル/MMSF)→ 売上 15 億ドル・営業利益 5 億ドル。シェアは11%台半ば、出荷3600MMSF、運賃込み価格1.48倍。
- 再生紙板(主に石膏ボード用):数量 190(社外向け再生紙板出荷、千ショートトン。内販約136千トンは別に管理。)× 価格 0.01(連結社外売上と外販数量による単価、億ドル/千トン)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。外販190千トン+内部約178千トンで能力内。利益は内販を含む。
倍率:資本コストk=8.5%、10年目のGAAP純利益8.471億ドル、自己資本28.055億ドルから、伸びに要る自己資本のROE=30.2%を算定。買戻しで自己資本が減る効果は成長率には使わない。通常の堀なので超過収益の残存率1/2、RONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=19.35%。g=3.8%:長期の数量需要+0.6%、シェアほぼ横ばい、価格+3.2%で3.8%。地域の価格力は残るが新しい大型成長市場ではない。 利益ベースの正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=17.75倍(10年目利益基準)。循環性と設備先行の不確実さを反映し、正当化値の88%に当たる15.618倍を採る。 GAAP純利益に掛けて時価総額132.300億ドル。純現金ではなく純負債15億ドルの会社なので、余剰現金の加算は行わない。
確率:道路補修の継続と住宅需要の緩やかな回復、設備更新による原価低下が重なる見方。実現できる余地は大きいが、現在の石膏ボード価格の下落があるため22%。
中立 35% 中立:セメントは着実、石膏ボードの値上げは物価に届かない 利益 6 億ドル · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 298.13 ドル92 億ドル
公共インフラ工事とデータセンター建設が、住宅の回復の遅さを埋める。全米のセメント需要は10年で約16%増えるが、競合のCRH、セメックス、ハイデルベルクも設備を強化するため、同社のシェアは大きくは伸びない。ララミーの増強と一部の購入セメント、小型買収を組み合わせて自社出荷を790万トンへ引き上げる。販売単価は輸送費を含め10年で1.44倍となり、セメントの部門利益率は27%弱を保つ。
石膏ボードはUSGやナショナル・ジプサムとの競争にさらされる。デュークの新ラインを活用しても住宅の大幅増加は望めず、出荷は33億平方フィートにとどまる。実勢価格の回復は緩く、10年で1.34倍と物価の1.41倍を下回る。紙板を社内で作れる利点は残るが、石膏ボードの部門利益率は33%へ落ち着く。
生コンと骨材は地域の需要に応じて増産するものの、全米市場でのシェアは小さいままである。設備更新に必要な資金を払い、残った現金を自社株買いと配当に回す。新しい工場が低コストで動く価値は認めるが、現在の高収益をそのまま先に伸ばすことはしない。
工場改造後も保守投資を続けつつ、利益が現金に変わった範囲で還元を行う。株式報酬などによる希薄化を差し引いた10年間の正味の配当・買い戻しは40億ドルとなり、還元後の自己資本は27.6億ドルである。
- セメント:数量 7,900(連結自社セメントの出荷、千ショートトン。持分法合弁分は含めず、合弁の利益は部門営業利益に含む。)× 価格 0.00(連結社外売上を自社出荷で割った実現単価、億ドル/千トン(運賃含む))→ 売上 19 億ドル・営業利益 5 億ドル。全米市場の10年数量約+16%、設備増強と小型取得で出荷790万トン、価格1.44倍。
- 生コンクリート:数量 1,350(生コン出荷、千立方ヤード)× 価格 0.00(生コンの会社公表ネット単価、億ドル/千立方ヤード)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。全米生コン市場の緩やかな拡大、シェアほぼ横ばい、価格1.41倍。
- 骨材(砕石・砂利):数量 7,550(砕石・骨材の出荷、千ショートトン)× 価格 0.00(外部売上相当額と配送費を含む推計実現単価、億ドル/千トン)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。骨材市場約16%増、シェアほぼ横ばい、価格1.50倍。
- 石膏ボード:数量 3,300(石膏ボード販売、百万平方フィート(MMSF))× 価格 0.00(外販売上を出荷数量で割った運賃込み単価、億ドル/MMSF)→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。全米需要254億→約295億平方フィート、シェア約11.2%。価格1.34倍は物価未満。
- 再生紙板(主に石膏ボード用):数量 210(社外向け再生紙板出荷、千ショートトン。内販約136千トンは別に管理。)× 価格 0.01(連結社外売上と外販数量による単価、億ドル/千トン)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。外販210千トン、内部向け約163千トン、合計373千トンで工場能力内。内販利益を含む。
倍率:資本コストk=8.5%、10年目のGAAP純利益6.373億ドル、自己資本27.565億ドルから、伸びに要る自己資本のROE=23.1%を算定。買戻しで自己資本が減る効果は成長率には使わない。通常の堀なので超過収益の残存率1/2、RONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=15.81%。g=3.5%:長期の市場数量+0.4%、シェア横ばい、名目価格+3.1%を合わせて3.5%。壁材の競争を考え、価格はCPI想定3.5%を少し下回る。 利益ベースの正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=16.12倍(10年目利益基準)。循環性と設備先行の不確実さを反映し、正当化値の87%に当たる14.022倍を採る。 GAAP純利益に掛けて時価総額89.362億ドル。純現金ではなく純負債15億ドルの会社なので、余剰現金の加算は行わない。
確率:公共工事が住宅の弱さを補い、主要工場が稼働するが、新たな独占力は得ない。セメント数量の年率約1.5%増と、石膏ボード価格の物価未満の上昇が共存するため中心を35%。
やや悲観 23% やや悲観:供給過剰で壁材の値決めが弱まり、投資負担が残る 利益 3 億ドル · PER 9.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 100.52 ドル31 億ドル
連邦インフラ投資の後継予算が細り、住宅ローン金利の高さから住宅着工と改装が停滞する。セメントは競合の新しい窯や輸入品に価格を抑えられ、販売数量は645万トンへ縮む。ララミーの増強は固定費の節約を一部実現するが、稼働率が上がらず投じた資金に見合う利益を生まない。コンクリートと骨材も地場の施工業者の減少に影響される。
石膏ボードの大手USGとサーテンティードが供給を増やし、値引き競争が長引く。イーグルの出荷は24.5億平方フィートに落ち、単価は名目で1.2倍しか上がらない。物価が10年で約1.41倍になるため、実質価格は下がる。デュークの投資は操業費を下げても売上の不足を埋め切れず、石膏ボードの営業利益率は22%へ低下する。
経営陣は大きな買収と自社株買いを抑え、返済と保守投資を優先する。過去の高いROEは残らず、自己資本に対する稼ぐ力が資本コストに近づく。建物の内壁と道路の材料はなくならないが、供給余力が大きいため、値決めの堀は狭まる。
操業率の悪化で自由現金が細り、財務を守るため株主還元を小さくする。株式報酬などによる希薄化を差し引いた10年間の正味の配当・買い戻しは22億ドルとなり、還元後の自己資本は26.9億ドルである。
- セメント:数量 6,450(連結自社セメントの出荷、千ショートトン。持分法合弁分は含めず、合弁の利益は部門営業利益に含む。)× 価格 0.00(連結社外売上を自社出荷で割った実現単価、億ドル/千トン(運賃含む))→ 売上 14 億ドル・営業利益 3 億ドル。公共投資停滞と輸入品で自社出荷645万トン、単価1.31倍。
- 生コンクリート:数量 1,150(生コン出荷、千立方ヤード)× 価格 0.00(生コンの会社公表ネット単価、億ドル/千立方ヤード)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。住宅向け不振で115万立方ヤード、価格1.30倍。
- 骨材(砕石・砂利):数量 6,300(砕石・骨材の出荷、千ショートトン)× 価格 0.00(外部売上相当額と配送費を含む推計実現単価、億ドル/千トン)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。地域の競争で出荷630万トン、価格1.32倍。
- 石膏ボード:数量 2,450(石膏ボード販売、百万平方フィート(MMSF))× 価格 0.00(外販売上を出荷数量で割った運賃込み単価、億ドル/MMSF)→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。需要弱含みと顧客交渉力で2450MMSF、価格1.20倍と物価未満。
- 再生紙板(主に石膏ボード用):数量 210(社外向け再生紙板出荷、千ショートトン。内販約136千トンは別に管理。)× 価格 0.01(連結社外売上と外販数量による単価、億ドル/千トン)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。外販210千トン、内部向け約121千トン、低稼働で部門採算悪化。
倍率:資本コストk=8.5%、10年目のGAAP純利益2.641億ドル、自己資本26.905億ドルから、伸びに要る自己資本のROE=9.8%を算定。買戻しで自己資本が減る効果は成長率には使わない。通常の堀なので超過収益の残存率1/2、RONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=9.16%。g=2.5%:数量が横ばい、シェア年率−0.5%、名目価格+3.0%で2.5%。住宅向けの競争で物価超えの値上げはない。 利益ベースの正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=12.42倍(10年目利益基準)。循環性と設備先行の不確実さを反映し、正当化値の76%に当たる9.439倍を採る。 GAAP純利益に掛けて時価総額24.928億ドル。純現金ではなく純負債15億ドルの会社なので、余剰現金の加算は行わない。
確率:2026年時点で確認できる石膏ボードの値下がりと大型設備投資の重さから、需要回復の遅れは無視できない。長期の操業率悪化を23%に見込む。
悲観 12% 悲観:住宅と公共が長期停滞し、重い設備を減損する 利益 1 億ドル · PER 10.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 47.93 ドル15 億ドル
公共投資が実質で大きく縮み、住宅着工の停滞が10年続く。セメントの販売は500万トンに減り、輸入業者とハイデルベルクなど大手との競争で、値上げは物価に追いつかない。固定費の重い窯を十分に動かせず、ララミーの増強分は採算を悪化させる。骨材の出荷も470万トンへ減り、採石場の立地上の利点だけでは全社利益を守れない。
石膏ボードでは住宅向け需要の縮小と過剰な供給能力が同時に起きる。USG、ナショナル・ジプサム、サーテンティードに主要顧客を奪われ、年間出荷は17.5億平方フィートへ落ちる。価格は10年で1.12倍にしか上がらず、名目物価を大幅に下回る。デュークの設備増強は資本の負担となり、石膏ボード部門の利益率は22%に低下する。再生紙板も自社向けの使用量が減り、外販を増やすだけでは補えない。
会社は閉鎖費用と工場・のれんの減損を迫られ、当初の利益が残る時期も含む10年のGAAP累計利益は約21億ドルへ落ちる。これは通常の平準化で得られる約28億ドルから、約7億ドルの減損を引いた姿である。自社株買いは停止に近く、税引き後の売却可能資産と辛うじて残る稼ぐ力が評価の下限になる。
工場整理と負債返済を優先し、配当を細く残す一方、自社株買いはほぼ止める。株式報酬などによる希薄化を差し引いた10年間の正味の配当・買い戻しは8億ドルとなり、還元後の自己資本は27.7億ドルである。
- セメント:数量 5,000(連結自社セメントの出荷、千ショートトン。持分法合弁分は含めず、合弁の利益は部門営業利益に含む。)× 価格 0.00(連結社外売上を自社出荷で割った実現単価、億ドル/千トン(運賃含む))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場縮小とシェア低下で500万トン、単価は10年で1.20倍にとどまる。
- 生コンクリート:数量 850(生コン出荷、千立方ヤード)× 価格 0.00(生コンの会社公表ネット単価、億ドル/千立方ヤード)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。地域の工事減で85万立方ヤード、固定費で赤字。
- 骨材(砕石・砂利):数量 4,700(砕石・骨材の出荷、千ショートトン)× 価格 0.00(外部売上相当額と配送費を含む推計実現単価、億ドル/千トン)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。採石場需要が細り470万トン、価格1.15倍。
- 石膏ボード:数量 1,750(石膏ボード販売、百万平方フィート(MMSF))× 価格 0.00(外販売上を出荷数量で割った運賃込み単価、億ドル/MMSF)→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。全米市場とシェアがともに縮み1750MMSF、価格1.12倍。
- 再生紙板(主に石膏ボード用):数量 170(社外向け再生紙板出荷、千ショートトン。内販約136千トンは別に管理。)× 価格 0.01(連結社外売上と外販数量による単価、億ドル/千トン)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。外販170千トン、内販約86千トン、工場稼働が下がり採算低下。
倍率:資本コストk=8.5%、10年目のGAAP純利益1.399億ドル、自己資本27.700億ドルから、伸びに要る自己資本のROE=5.1%を算定。買戻しで自己資本が減る効果は成長率には使わない。通常の堀なので超過収益の残存率1/2、RONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=6.78%。g=1.0%:需要数量年率−1.0%、シェア−0.5%、名目価格+2.5%で1.0%。石膏ボードの構造的縮小が全体の実質成長を削る。 利益ベースの正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=11.48倍(10年目利益基準)。構造的に成長が壊れROEがkを下回るため、1÷k=11.76倍を上限として、操業リスクと減損を考慮した10.6倍を使う。これは利益の継続性を低く評価したもので、過去の市場PBR・PERを根拠にしない。 GAAP純利益に掛けて時価総額14.829億ドル。純現金ではなく純負債15億ドルの会社なので、余剰現金の加算は行わない。
確率:全米の需要停滞、輸入セメントと壁材大手の競争、工場の減損が同時に必要な厳しい状態。ただし過去に一桁営業利益率を経験した企業であり、構造的悪化を12%とみる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
セメント
公共の道路・橋、民間の非住宅建設に使う粉体材料。原料採石場と窯を地域ごとに保有し、輸送費と工場許認可が参入障壁になる。
| 数量連結自社セメントの出荷、千ショートトン。持分法合弁分は含めず、合弁の利益は部門営業利益に含む。 | 価格連結社外売上を自社出荷で割った実現単価、億ドル/千トン(運賃含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6,770 | 0.00 | 11 | 3 |
| 10 年後 中立 | 7,900 | 0.00 | 19 | 5 |
取り方:2026年3月期10-Kの連結社外売上11.44031億ドル、自社工場出荷677万トンから運賃込み単価約169ドル/トンを逆算。会社公表の平均ネット単価155.18ドル/トンは合弁を含む販売量747.1万トンと運賃控除による別定義。米国消費約11230万トンに対する出荷(合弁込み)シェア約6.7%。競合CRH・ハイデルベルク・セメックス・アムライズ。部門営業利益3.28306億ドルは合弁利益を含む。10年後の数量は米国市場の成長(中立約16%)と自社のシェア、小型買収・ララミー能力増強の合計で置く。
生コンクリート
住宅・工場・公共工事に地場工場から生コンクリートを出荷。輸送時間に制約があり、配送効率で競う。
| 数量生コン出荷、千立方ヤード | 価格生コンの会社公表ネット単価、億ドル/千立方ヤード | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,232 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,350 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:10-Kの生コン123.2万立方ヤード×ネット単価153.18ドル/立方ヤード=約1.88718億ドル。全米の生コン生産約3.72億立方ヤードに対し数量シェア約0.33%(NRMCA、2025年、https://www.naylornetwork.com/nrc-nwl/articles/index-v5.asp?aid=927700&issueID=100475)。地域競争が中心で、CRH・セメックスと地場企業が競争相手。会社は生コンと骨材の営業利益を合計0.12864億ドルしか開示しないため、ここでは生コン0.020億ドルを配賦した分析上の近似とする。
骨材(砕石・砂利)
採石場で採った砕石・砂利を道路やコンクリート向けに出荷。近場の供給力と許認可が強みだが、全米での規模は小さい。
| 数量砕石・骨材の出荷、千ショートトン | 価格外部売上相当額と配送費を含む推計実現単価、億ドル/千トン | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6,567 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7,550 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:10-Kの骨材656.7万トン、会社公表のネット単価14.23ドル/トン(運賃等を除く)を基に、骨材売上を約0.946億ドルと推計し、C&Aの外販売上2.83275億ドルと生コン売上1.88718億ドルの差に整合させた。米国骨材出荷約26億トンに対し数量シェア約0.25%。競合ヴァルカン・マーチン・マリエッタ・CRH。営業利益はC&Aの合計0.12864億ドルから生コン推計分0.020億ドルを引いた分析上の割り振りで、独立開示ではない。
石膏ボード
住宅と商業施設の内壁や天井に使う石膏板。石膏の採掘、紙板の内製、工場稼働率と販売網が利益を左右する。
| 数量石膏ボード販売、百万平方フィート(MMSF) | 価格外販売上を出荷数量で割った運賃込み単価、億ドル/MMSF | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,759 | 0.00 | 8 | 3 |
| 10 年後 中立 | 3,300 | 0.00 | 12 | 4 |
取り方:10-Kの出荷2759MMSF、社外売上7.64493億ドルで約277.10ドル/千平方フィート(運賃込み)。会社発表のネット単価226.08ドル/千平方フィートは運賃を控除した異なる定義。全米年間消費25400MMSFに対して市場シェア約10.9%。競合クナウフ傘下USG、ナショナル・ジプサム、サンゴバン傘下サーテンティード、ジョージア・パシフィック。デューク拡張で年間能力約3775→4075MMSF、予想数量は米国内需要×シェア×稼働率で組む。
再生紙板(主に石膏ボード用)
再生紙から石膏ボード表面の紙板を製造し、内販と外販を行う。外販数量は自社ボード向け内部需要と工場能力で制約される。
| 数量社外向け再生紙板出荷、千ショートトン。内販約136千トンは別に管理。 | 価格連結社外売上と外販数量による単価、億ドル/千トン | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 205 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 210 | 0.01 | 2 | 1 |
取り方:10-Kの再生紙板総出荷約341千トンのうち自社ボード工場向け約136千トンを除いた外販約205千トンで、連結外販売上1.16859億ドルを割り、約570ドル/トンの実現単価を推計。会社のネット平均584.77ドル/トンは内部販売込みの平均で定義が異なる。工場能力380千トン、内部需要約40%。紙板の厳密な全米シェアと競合別シェアは非開示で、全米石膏ボード需要254億平方フィートと当社ボード1平方フィート当たりの内部紙使用量から対象市場約125万トンを粗推計すると生産量シェア約27%だが、この推計は紙品種差を含み不確実。部門利益0.44531億ドルには内部取引分が含まれるため、社外売上比率は実際の取引採算より高く見える。
リスクと懸念
住宅着工と石膏ボードの値下げ
石膏ボードは2026年6月期の四半期に数量が2%、ネット単価が10%落ちた。新築と改装が弱い状態で大手USGやナショナル・ジプサムが供給を増やすと、工場の固定費が重くなる。出荷の回復だけでは値下げを埋めきれず、増強したデューク工場の稼働率が下がる。主要顧客への依存も価格交渉力を弱める。
公共工事の予算とセメント輸入
セメントの販売数量は道路、橋、公共設備と非住宅建設に左右される。インフラ投資法の後継資金が減ると、自社工場の稼働率が下がる。国内向けセメントの輸入比率は2割強であり、港に近い地域では供給能力の増加が単価を抑える。物価上昇に販売単価が追いつかない時は利益率が下がる。
二つの工場改造と投資回収
ララミーのセメント設備とデュークの石膏ボード設備に合計約7.6億ドルを投じている。計画どおりの能力増強と原価低減が実現しても、需要が伴わなければ増分の投下資本利益率は資本コストを超えない。2026年4〜6月にはセメント工場の機器故障が営業利益に約0.06億ドル影響した。
財務の自由度と株主還元
財務台帳では純負債約15億ドル、直近の自由現金は約2億ドルである。2026年3月期の株主還元約4.1億ドルは当該自由現金を上回った。借り換え金利が約5.75%になる環境で、設備投資と買戻しを同時に続けると負債が増え、次の景気後退で資金配分の選択肢が狭くなる。
石膏・紙板の顧客集中と内製の落とし穴
石膏ボードは上位3顧客が売上の約64%を占める。大口流通業者による発注調整や価格引下げ要求の影響は大きい。紙板外販の重要顧客2社との契約は2〜3年前の通知で解約できる。紙板工場はボード用紙を内製して原価を抑えるが、石膏ボードが売れなければ内部需要も細り、紙板の稼働率を下げる。両事業の不振が同時に進むと、分散しているようで利益は連動する。
燃料・物流・環境規制
セメントの焼成には大量の熱エネルギーを要し、石膏ボードも乾燥設備を使う。燃料とディーゼル運賃が上がると実現ネット単価と利益率を押し下げる。セメントの温室効果ガス排出規制が強まれば、代替燃料や排出削減への設備投資が増える。既存窯を使い続ける権利は強みでも、費用のない権利ではない。
地域買収と資本配分の質
骨材の地域買収は物流と顧客網を補完するが、取得価格が上がると高い追加投資収益率を得にくい。事業の質を改善しない買収や、自由現金を超えた自己株式の買い戻しが続けば、自己資本当たり利益だけが良く見えて実際のオーナー利益は増えない。株式報酬の希薄化を差し引いた正味の還元を継続して確認したい。
今後の分かれ目
- 石膏ボードの実現ネット単価が2四半期続けて前年同月比で5%以上低下し、数量も減り続けたら
- 顧客との価格交渉力が弱まったと判断し、中立の石膏ボード利益率と価格上昇の想定を下げ、やや悲観の確率を増やす。
- ララミーの工場更新が稼働し、単位製造コストが計画の約25%削減に近づいたら
- 値下げ局面でもセメントの資本効率が保てる証拠となり、やや楽観の利益率と確率を引き上げる。工期だけでなく採算で確認する。
- デュークの増強後にボード販売が年33億平方フィートを超え、実勢価格も物価並みに回復したら
- 中立より強い数量と価格の両立が見え、石膏ボードの営業利益率は36%台を目指せる。還元の余力も増える。
- 連邦インフラ投資の後継政策が縮小し、セメント出荷が2年続けて減ったら
- 公共工事が中立の数量成長を支えられなくなるため、セメント出荷と稼働率の想定を下げ、やや悲観の重みを増やす。
- 純負債/EBITDAが3倍を超え、なお設備投資を借金で賄う状況になったら
- 負債の耐久性が低下したと判断し、正味の株主還元を抑える筋書きへ移し、財務面の悲観を厚くする。
- 再生紙板の内製比率が高まり、ボードと紙板の合計生産が能力380千トンの範囲で安定したら
- 材料費と燃料費を顧客価格に転嫁できる範囲を検証し、石膏ボードの原価面の堀が残ると判断する。
- 二つの増強工事の費用が計画を2割超過したのに生産コスト低下が実現しなかったら
- 増分ROICが資本コストを下回る疑いが強まる。大型投資の価値創出を取り消し、中立の利益率を下げて資本配分の評価を見直す。
見ておくもの
- 2026年11月4日予定のFY2027第2四半期決算。最新公表済みの業績は2026年7月29日のFY2027第1四半期。
- セメントの出荷数量(自社と持分合弁を区別)・運賃控除後単価・燃料費・設備の停止時間。
- 石膏ボードの百万平方フィート出荷、実現ネット単価、全米の住宅着工、USG等の能力増強。
- ララミーのセメント設備とデュークの石膏ボード設備の完成時期・費用・単位製造原価・稼働率。
- 紙板総出荷に対する社内使用量、外販売上、主要顧客の集中度、製紙設備の稼働率。
- 純負債/EBITDA、設備投資、自由現金、配当+自社株買い−株式報酬の正味還元。
- インフラ投資法の後継予算、米国のセメント消費と石膏ボード消費、供給能力の増減。
倍率と資本コストの決め方
現在の市場PERや同業の取引倍率を使わず、セメント・生コン・骨材・石膏ボード・紙板の実際の出荷数量に、運賃を含む実現単価を掛けた。財務の基準値は添付factsのFY2025/12を採用し、対応する会社の実際の事業年度は2026年3月期と説明した。10年後の営業利益を部門別に見積もり、本社費、利息、税後利益を整えた。倍率はk8.5%、長期g、将来ROEと残る超過利益の比率から出る正当化PERを基にし、10年目利益基準へ調整した。会社の株価・過去の谷のPBR・同業PERは決定に使わない。純現金はなく、株主還元は株式報酬の年約0.2億ドル、10年で約2億ドルの希薄化相当を控除した正味額で、増資の予定はない。米国会計ではリース負債は既に計上されており、未計上の家賃のようには扱わない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本8.0%+事業の質0.5%=8.5%。同領域CRHの8.0%と比べ、住宅向け石膏ボードの価格競争と投資の重さが景気変動を大きくするため0.5ポイント高い。MLMの8.5%とは同水準。事業の存続危機はないので追加上乗せなし。