結論
SQMはチリのアタカマ塩湖のリチウム、アタカマ砂漠のヨウ素、硝酸カリウム系肥料を世界に売る資源化学会社である。筆者の結論は割高だ。資源の質だけでなく、2031年以降に誰がその利益を受け取るかを考えると、現在の時価総額163億ドルには十分な安全域がない。
2025年の売上46億ドルの半分はリチウムで、残りの大きな柱がヨウ素と植物栄養剤だ。リチウムは2022年の高騰から急落し、2024年に赤字、2025年に回復した。ところが2026年上期は売上42億ドル、親会社株主帰属利益10億ドルへ急伸した。半年の好調は確かだが、リチウム価格の再上昇を恒久的な収益力と取り違えてはいけない。
決定的なのは国営銅公社コデルコとの合弁である。2025年末に設立されたノバ・アンディノ・リティオは2030年までSQMが運営し、2031年からコデルコが支配する。以後、チリの生産量が増えてもSQMの連結売上には載らず、約半分の持分による利益だけが残る。しかも塩湖の賃借料、税、地域還元が先に引かれる。
ヨウ素は世界販売量の約37%を握り、医療造影剤が需要を支える本物の強みだ。一方、リチウムの世界シェアは供給能力の制約で縮む可能性が高い。2035年の中立ではリチウム合弁からの持分法利益を含めて純利益10億ドル、時価総額86億ドルと見る。資本コスト9.5%で還元も割り引いた期待価値は約68億ドルで、現値を約59%下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず十年後に必要な物かを問う。電池を作るリチウム、病院の造影剤に使うヨウ素、農業用硝酸カリウムはいずれも消えない。ただし、必要な商品と魅力的な株主利益は別物だ。リチウムは不足すれば値が跳ね、設備が増えれば値が崩れる。顧客が値上げを喜んで受け入れる企業とは性格が違う。
この会社で長く持ちたいのはヨウ素の資産だ。世界供給の三分の一超を占め、医療分野では品質と供給の履歴が意味を持つ。追加の設備投資が十分な税後利益を生めば、持続的に現金を生み出せる。他方、リチウムの2026年上期の利益増を十年先まで延ばすことはできない。海外鉱山の立ち上げ、チリ政府への地代、自然環境を守る投資を引くと、オーナーの取り分は額面の利益より薄い。
特に2031年の経営権移転は、経営者の才覚では取り戻せない契約上の変化だ。連結売上が消えても持分法利益は残るが、再投資や配当時期を決める力が弱くなる。米国ADRの議決権が制約される以上、その配分を少数株主が修正する余地も限られる。20年ほどの採掘利益を年金のように考え、将来の鉱山更新を無償としないことが肝心だ。
筆者は、競合より低い生産費とヨウ素の集中度には価値を認める。しかしそれが資本コストを大幅に超える増分収益を保証する証拠はない。景気の山でも谷でも残る現金を数え、事業が良いことを理由に支払い額を甘くしない。中立だけでなく悪い道筋を通しても余裕が残る価格を待つべき性質の会社である。
何で稼ぐ会社か
SQMの稼ぎは、チリ北部の鉱床から取り出した原料を精製し、世界の電池、医療、農業へ届けることで生まれる。2025年に塩湖から生まれたリチウムの売上は21.4億ドル、販売量は炭酸リチウム換算で23.3万トンだった。豪州のマウント・ホランドとクウィナナ製錬所の持分相当はさらに2.48万トン、売上1.5億ドルを加える。2026年上期にはチリだけで13.8万トンを売り、価格上昇と合わせて収益が大きく増えた。
ヨウ素はチリのカリチェという鉱石から取り出す。2025年は1.45万トンを約10.4億ドルで売った。X線造影剤、液晶の偏光板、医薬品、防腐剤などが用途であり、医療向けは景気に左右されにくい。海水導水管と複数の生産拠点によって拡張余地を確保している。医療の需要を満たすには品質の安定と納入継続が必要で、単純な汎用品とは性格が違う。
特殊植物栄養剤は、硝酸カリウムや配合肥料を果樹、野菜、花卉、温室栽培向けに売る。2025年は約101万トン、売上9.8億ドルだった。塩素を含まない肥料は高付加価値作物や点滴かんがいに向き、イスラエルのハイファなどと競う。通常のカリ肥料は販売量を意図的に減らして塩湖のリチウムを優先しており、工業用硝酸塩と合わせても収益への寄与は小さい。
2031年にはチリのリチウム合弁が連結から外れ、持分法投資となる見込みである。そのため2035年のセグメント表ではチリの連結販売量と売上をゼロと記し、各筋書きの注記に合弁自体の実際の生産量、単価、SQM帰属利益を別記した。操業停止を意味しない。リチウムの連結売上が消える一方、利益計算には配当可能な持分法利益が残ることが、この会社の理解を難しくしている。
優良さと弱いところ
最大の資産は鉱石と塩水の質である。アタカマ塩湖はリチウム濃度が高く、乾燥した気候を利用できる。SQMは精製技術、販売網、長年の設備を持ち、赤字になった競合より長く操業を続けられる余地がある。しかしリチウムの値段は市場指数と需給で決まり、顧客がSQMの名を理由に大幅な割増料金を払うわけではない。低コストという堀はあるが、価格決定力という堀ではない。
ヨウ素では事情が異なる。2025年に世界シェアは約37%で、チリの他の生産者全体の24%を上回った。大型カリチェ鉱山、精製能力と医療向け品質の実績が、安定供給を求める顧客をつなぎとめる。2025年の平均販売価格は前年より上がり、2026年4〜6月も過去最高の水準となった。ただし世界のヨウ素には日本の天然ガスかん水や再生品もあり、独占ではない。
2025年の自己資本57億ドルに対し純利益は6億ドル弱だった。ROEは10.3%にとどまり、過去10年の中央値15.9%を下回る。2022年の異常なROE80%を恒常的な再投資利回りとしては扱えない。2025年の税後営業利益を自己資本と純負債の合計で割ると概算ROICは10%程度で、資本コストを少し超えるだけだ。チリ新設備の増分利益率がこれを大幅に上回る確証は乏しい。
経営はリチウムの増産とヨウ素の拡張を実行したが、2023年には大規模投資と運転資金で現金創出が追いつかなかった。国との合弁で2060年まで操業の道が開けた反面、2031年からは現場の支配権を失う。強いヨウ素事業だけを全社に当てはめるのも、リチウムの鉱石優位だけで長期の高ROEを保証するのも危うい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
リチウム市場の数量は伸びる。SQMの会社推計では世界需要は2026年に炭酸リチウム換算210万トン超となる。国際エネルギー機関の2026年見通しも2035年に向けた電気自動車用電池の大幅増を予想し、定置用蓄電池の伸びも強い。中立では世界需要を2035年に約400万トンとみるが、その全量を今の生産者が取れるわけではない。中国、豪州、アルゼンチン、アフリカの増産と電池のリサイクルが価格を抑える。
SQMの2025年のリチウム化学品シェアは約14%だった。同社推計ではアルベマール12%、ガンフォン6%、天斉リチウム5%、リオ・ティント4%が主要競合である。2031年以降のチリ合弁は年28万〜30万トン程度を目指すため、成長する市場の中でSQM関連施設の数量シェアは下がりやすい。価格は2025年のチリ実現値で約9千ドル、2026年4〜6月には約2万2千ドルと激しく振れた。中立ではこの価格回復を一時の需給改善とみて平準化する。
ヨウ素の市場は2026年に約4万トンと会社が予想する。2025年のSQMの1.45万トンは約37%にあたり、日本の生産者が世界の22%、チリのSQM以外が24%、米国が約5%を供給する。医療造影剤は需要の約38%で、画像診断の普及が長期の数量を支える。一方、再生ヨウ素は供給の約16%に達し、新規設備の稼働は価格上昇を抑えうる。中立では世界を2035年に約4.9万トン、SQMを1.8万トンとする。
特殊植物栄養剤では2025年にSQMが農業用硝酸カリウムの世界販売の約39%を占め、ハイファ約19%、ヨルダンのケマプコ約14%と競った。高付加価値作物と節水栽培は追い風だが、肥料相場が上がりすぎれば農家は他の資材に代える。塩湖からのカリ販売を縮める方針は合理的でも、収益の一本足を強める。ナトリウムイオン電池やリチウム再生技術が普及すれば、電池需要の成長ほど鉱山の販売量は増えない。
資本政策と M&A
資本配分の最重要事項はコデルコとの再編である。SQM本体が買収される案件ではない。2025年12月に子会社を合併してノバ・アンディノ・リティオを発足させ、2026年1月に法的条件が解消した。チリ政府側が株式の過半を保有するが、2030年まではSQMが経営を支配する。2031年からコデルコが経営と連結の支配を担い、SQMは持分約50%の投資家になる。チリ政府への税金と賃借料に加え、株主利益の分配が不可避である。
会社は2026〜28年の設備投資を合計約30億ドルと見込み、約6割をチリ合弁、各2割をヨウ素・栄養剤と海外リチウムに振り向ける。2031年以降の操業へ向けたサラール・フトゥーロ計画は、許認可後約7年で約30億ドルを要する構想だ。両計画には重なる事業があるため単純に合算しない。豪州では2026年7月に増産を決定し、SQM持分の投資は2026〜29年に4.5億〜5億ドルを見込む。
還元の柱は現金配当だ。チリ法上は原則利益の30%が最低水準で、2025年分は50%の最終配当を提案した。2026年8月には約4.1億ドル相当の中間配当を決議した。利益が振れるため恒常的な大規模自社株買い枠の数字の約束はない。2021年の増資後、株数はおおむね一定である。A種とB種では議決権の効き方が違い、米国ADRのB種株主が取締役選任に与える影響は小さい。大株主パムパ・グループと天斉の利害にも目を向けたい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
リチウムは電気自動車だけに依存しなくなった。2026年の需要を押し上げたのは蓄電設備であり、世界が再生可能電源を増やす限り、日中の余剰電力を蓄える設備は必要だ。2026年上期のSQMは販売量と実現価格が同時に上がった。中国の増産が一時的に鈍っただけでなく、低コストの塩湖から安定供給する能力が見直されれば、価格が再び極端に低迷する期間は短くなる。国際エネルギー機関も長期のリチウム需給に供給不足の可能性を見ている。
チリ政府との合弁は権利の没収ではない。2060年まで塩湖の操業を継続する枠組みを確保し、2031年からは利益配分が透明になる。サラール・フトゥーロでは回収率を上げ、陸水の使用をなくす技術を進める。環境許可が出れば、国家と利益を分ける代わりに長期間の操業が安定する。豪州マウント・ホランドの精鉱増産とクウィナナの精製が順調なら、チリの支配権を失っても利益の出口は二つ残る。
ヨウ素は世界シェア37%を持ち、2026年4〜6月の販売価格も最高を更新した。画像診断だけでなく偏光板や特殊電子材料へ広がる需要を、海水導水管の能力増強で取り込める。硝酸カリウムでは高級果樹と温室栽培が増え、ハイファやケマプコに対する販路優位を守る。こうした条件が重なるなら、十年後も20億ドル近い純利益を稼ぎ、配当を厚く続けられる。
慎重な見方
2026年の好況を新しい常態と呼ぶには早い。チリのリチウム実現価格は2025年に約9千ドルへ落ち、2026年4〜6月に約2万2千ドルへ跳ねた。これは価格を決める力ではなく、需給の揺れそのものだ。アルベマール、ガンフォン、天斉、リオ・ティントの増産に加え、アフリカの鉱山やリサイクルが供給を増やす。ナトリウムイオン電池が定置用と小型車で広がれば、電池市場の成長の一部はリチウムを必要としない。
2031年の変化は単なる会計上の表示替えではない。コデルコが経営を握り、SQMは塩湖の採掘や投資額、配当の時期を単独で決められなくなる。国が賃借料、税、持分利益を合わせて高い取り分を得る構造は、リチウム価格が上がったときほど株主の取り分が思ったほど増えないことを意味する。しかも2030年末で現行の環境許可は切れる。新たな許可が遅れれば鉱山は操業できず、2031年以降の持分法利益は失われる。
ヨウ素の37%という世界シェアにも隙がある。日本のかん水系生産と再生品が供給を増やし、医療需要が伸びても価格は調整される。2025年の高値を基準に一律の物価転嫁を仮定すると、いまの超過利潤を永久に残すことになる。豪州の製錬所は建設費と試運転の負担が大きく、長期投資は自由現金を食う。A種に偏った取締役選任権のため、米国ADR保有者が資本配分を変える手段も弱い。
どちらに重みを置いたか
需要の寿命とヨウ素の寡占では強い見方が勝る。しかし株主に帰属するリチウムの利益は、国との契約と資本支出に強く制約される。2026年の上振れは事実として認めつつ、十年の価格をそこに固定しない。世界需要が伸びてもSQMの生産上限があるため、数量シェアは下がる見通しだ。
確率は楽観側27%、中立30%、悲観側43%と慎重な側に傾けた。単なる景気後退ではなく、2031年の支配権移転と環境許可、海外投資の成否が同時に影響するからである。現在の時価総額との差を埋めるには、強気の条件が相当長く続き、配当として現金が実際に戻る必要がある。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 32.47 ドル93 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 19.12 ドル55 億ドル)。 今の値に割り戻すと 25.25 ドル72 億ドル、今との差 −53.8%、 期待の年率 −0.7%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 65.82 ドル188 億ドル | 43.76 ドル125 億ドル | +100.5% | +9.4% | 9.86 ドル28 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 47.81 ドル137 億ドル | 32.21 ドル92 億ドル | +46.4% | +5.0% | 14.40 ドル41 億ドル |
| 中立 | 30% | 35.50 ドル101 億ドル | 21.71 ドル62 億ドル | +4.7% | +0.6% | 17.16 ドル49 億ドル |
| やや悲観 | 28% | 19.62 ドル56 億ドル | 8.75 ドル25 億ドル | −48.1% | −7.3% | 7.94 ドル23 億ドル |
| 悲観 | 15% | 11.97 ドル34 億ドル | 2.80 ドル8 億ドル | −73.0% | −13.1% | 2.22 ドル6 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 32.47 ドル93 億ドル | 19.12 ドル55 億ドル | −5.6% | −0.7% | 51.59 ドル147 億ドル |
今の株価時価総額 54.65 ドル156 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:ヨウ素拡張とリチウムの高採算が両立 利益 20 億ドル · PER 9.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 65.82 ドル188 億ドル
2035年、世界のリチウム需要は約430万トンへ増え、チリ合弁は環境許可と新回収技術で年34万トンを売る。実現価格は2万4千ドルで、合弁の総売上は約82億ドルとなる。コデルコへの配分、税、地代を除いたSQMへの持分法利益は約9.5億ドルに達する。2031年からの会計上の非連結化を経ても、塩湖の実体的な現金が着実に入る。
豪州ではウェスファーマーズとの拡張と精製歩留まりが改善し、持分相当6万トンを売る。ヨウ素の世界市場は約5.4万トンへ増え、SQMがシェアを42%近くまで広げて2.25万トンを販売する。日本勢やチリ他社の増産を超える販売力があれば、ヨウ素の営業利益は約9.9億ドルとなる。特殊栄養剤もハイファとの競争を制し、営業利益率21%まで高まる。
全社の連結営業利益は約16.3億ドル、SQMに帰属する純利益は20億ドルへ伸びる。2026〜30年に99億ドル、2031〜35年に96億ドルの利益を積み、設備投資の原資を確保しながら125億ドルを株主へ戻す。2025年の自己資本57億ドルから127億ドルまで増える。資源の寿命は有限だが、堀がまだ稼げる最良の道筋である。
- チリの塩湖リチウム(ノバ・アンディノ):数量 0.0(連結販売量(千トンLCE))× 価格 24(平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2031年からコデルコが支配するためSQM連結計上は0。合弁実物は年340千t LCE×単価24千ドル/t=参考売上81.60億ドル。SQMの税・地代後の持分法利益約9.5億ドルは営業利益でなく最終純利益に含める。
- 豪州のリチウム・精鉱と製錬:数量 60.0(SQM持分相当の販売数量(千トンLCE))× 価格 15(精鉱・水酸化物をLCE換算した平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 9 億ドル・営業利益 2 億ドル。豪州の持分相当LCE販売量。精鉱の原料をクウィナナ精製売上に二重計上しない。
- ヨウ素・誘導品:数量 22.5(製品販売量(千トン))× 価格 105(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 24 億ドル・営業利益 10 億ドル。世界ヨウ素需要と競合供給に応じた出荷量22.5千トン、価格105千ドル/トン。
- 特殊植物栄養剤:数量 1,400(肥料・配合品販売量(千トン))× 価格 1.65(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 23 億ドル・営業利益 5 億ドル。高付加価値作物と点滴かんがい向けの実物販売量。硝酸カリウム市場シェアは主要競合と比較。
- カリ肥料:数量 210(販売量(千トン))× 価格 0.80(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。リチウム優先のためカリ肥料の数量を構造的に圧縮。
- 工業用硝酸塩・化学品:数量 65.0(工業用硝酸塩販売量(千トン))× 価格 2.25(全工業化学品売上からの換算単価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。工業用硝酸塩の出荷量と品種混合を含む平均単価。
- その他の製品・サービス:数量 1.3(2025年の取扱額を1とした実質活動指数)× 価格 0.50(活動指数あたりの売上額(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。物理数量非開示のため2025年=1の活動指数で近似。
倍率:資本コストk=9.5%。2025年の母体自己資本57億ドルに、2026〜35年の実際の損益想定累計195億ドルから正味還元125億ドルを引いた2035年自己資本127億ドルに対し、純利益20億ドルでROE=15.7%。弱い堀として超過ROE残存率1/3、RONIC=11.6%。長期g=1.0%は採掘資源の有限性と市場数量・シェア・実質価格から決め、ROEから作っていない。通常の正当化PERは10年目利益基準で10.86倍だが、カリチェ埋蔵量と2060年契約を考えたN=20年の資源年金上限は9.43倍。(1-((1+g)/(1+k))^20)/(k-g)で計算し、価格と投資の不確実性を考慮して9.4倍を適用。現在・過去・同業の市場PERを参照しない。
確率:塩湖の操業認可、年34万トンへの超過達成、リチウム高値、ヨウ素の世界シェア拡大が同時に起きる必要がある。過去の値動きは大きいが永続しにくいため9%。
やや楽観 18% やや楽観:供給力と高付加価値品で収益拡大 利益 15 億ドル · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 47.81 ドル137 億ドル
2035年、電気自動車と蓄電池によってリチウム市場は約410万トンとなる。チリの合弁は年32万トン、実現価格2万ドルを維持し、参考総売上は64億ドルとなる。国への支払いと約半分の持分を反映したSQMの純利益寄与は約6.6億ドルだ。環境許可は予定どおり得られ、コデルコへの経営権移転は円滑に進む。
豪州では持分相当5.5万トンまで出荷量が増え、クウィナナの低稼働率問題も解消する。ヨウ素は世界需要約5.2万トンのうち2万トンを取り、供給シェアを約38%に保つ。販売価格は2025年を上回るが、競合の増産による調整も受ける。特殊肥料は130万トンを売り、ハイファやケマプコの供給を押さえて利益率19%に上がる。
本体の連結営業利益は11.8億ドル、持分法利益を含む親会社純利益は14.5億ドルとなる。2026〜30年に86億ドル、2031〜35年に69億ドルの利益を積み、正味92億ドルを配当中心に還元する。自己資本は120億ドルへ厚くなる。好調でも採掘の期限があるため将来価値を際限なく膨らませない。
- チリの塩湖リチウム(ノバ・アンディノ):数量 0.0(連結販売量(千トンLCE))× 価格 20(平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2031年からコデルコが支配するためSQM連結計上は0。合弁実物は年320千t LCE×単価20千ドル/t=参考売上64.00億ドル。SQMの税・地代後の持分法利益約6.6億ドルは営業利益でなく最終純利益に含める。
- 豪州のリチウム・精鉱と製錬:数量 55.0(SQM持分相当の販売数量(千トンLCE))× 価格 13(精鉱・水酸化物をLCE換算した平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。豪州の持分相当LCE販売量。精鉱の原料をクウィナナ精製売上に二重計上しない。
- ヨウ素・誘導品:数量 20.0(製品販売量(千トン))× 価格 92(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 18 億ドル・営業利益 7 億ドル。世界ヨウ素需要と競合供給に応じた出荷量20千トン、価格92千ドル/トン。
- 特殊植物栄養剤:数量 1,300(肥料・配合品販売量(千トン))× 価格 1.50(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 20 億ドル・営業利益 4 億ドル。高付加価値作物と点滴かんがい向けの実物販売量。硝酸カリウム市場シェアは主要競合と比較。
- カリ肥料:数量 190(販売量(千トン))× 価格 0.73(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。リチウム優先のためカリ肥料の数量を構造的に圧縮。
- 工業用硝酸塩・化学品:数量 62.0(工業用硝酸塩販売量(千トン))× 価格 2.12(全工業化学品売上からの換算単価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。工業用硝酸塩の出荷量と品種混合を含む平均単価。
- その他の製品・サービス:数量 1.2(2025年の取扱額を1とした実質活動指数)× 価格 0.46(活動指数あたりの売上額(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。物理数量非開示のため2025年=1の活動指数で近似。
倍率:資本コストk=9.5%。2025年の母体自己資本57億ドルに、2026〜35年の実際の損益想定累計155億ドルから正味還元92億ドルを引いた2035年自己資本120億ドルに対し、純利益14.5億ドルでROE=12.1%。弱い堀として超過ROE残存率1/3、RONIC=10.4%。長期g=1.0%は採掘資源の有限性と市場数量・シェア・実質価格から決め、ROEから作っていない。通常の正当化PERは10年目利益基準で10.74倍だが、カリチェ埋蔵量と2060年契約を考えたN=20年の資源年金上限は9.43倍。(1-((1+g)/(1+k))^20)/(k-g)で計算し、価格と投資の不確実性を考慮して9倍を適用。現在・過去・同業の市場PERを参照しない。
確率:リチウム市場の成長、2026年の投資進捗とヨウ素の寡占から実現可能。ただし価格2万ドルの維持とチリの制度対応は容易でないため18%。
中立 30% 中立:市場は伸びるが、資源の持分利益は限られる 利益 10 億ドル · PER 8.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 35.50 ドル101 億ドル
2035年、世界のリチウム需要は約400万トンに拡大する。チリ合弁の販売量は会社が長期構想で示す年30万トン、平準化した実現価格は1万6500ドルである。合弁全体の参考売上は49.5億ドルだが、2031年にコデルコの支配下へ移るためSQMの連結売上には載らない。税、塩湖の賃借料、国への持分利益を払った後のSQM帰属持分法利益は年約4.5億ドルとなる。
豪州は年5万トンを持分相当で売り、精鉱の供給増を精製所の稼働と両立させる。ヨウ素は世界の約4.9万トン市場で1.8万トンを供給し、シェアはおおむね37%を保つ。新規生産とリサイクルが増すため、販売価格は2025年から物価ほど上がらない。特殊肥料は122万トンで、農業用硝酸カリウムでは首位を維持する。
SQM本体の連結売上は約40.2億ドル、営業利益は約8.4億ドルに見えるが、これは非連結化による表示の変化だ。持分法利益を足した株主帰属純利益は10億ドルとなる。2026〜30年に71億ドル、2031〜35年に42億ドルを稼ぎ、正味62億ドルを還元する。自己資本は108億ドルへ増え、ROEは9.3%程度となる。
- チリの塩湖リチウム(ノバ・アンディノ):数量 0.0(連結販売量(千トンLCE))× 価格 17(平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2031年からコデルコが支配するためSQM連結計上は0。合弁実物は年300千t LCE×単価16.5千ドル/t=参考売上49.50億ドル。SQMの税・地代後の持分法利益約4.5億ドルは営業利益でなく最終純利益に含める。
- 豪州のリチウム・精鉱と製錬:数量 50.0(SQM持分相当の販売数量(千トンLCE))× 価格 12(精鉱・水酸化物をLCE換算した平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。豪州の持分相当LCE販売量。精鉱の原料をクウィナナ精製売上に二重計上しない。
- ヨウ素・誘導品:数量 18.0(製品販売量(千トン))× 価格 83(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 15 億ドル・営業利益 5 億ドル。世界ヨウ素需要と競合供給に応じた出荷量18千トン、価格83千ドル/トン。
- 特殊植物栄養剤:数量 1,220(肥料・配合品販売量(千トン))× 価格 1.36(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 17 億ドル・営業利益 3 億ドル。高付加価値作物と点滴かんがい向けの実物販売量。硝酸カリウム市場シェアは主要競合と比較。
- カリ肥料:数量 175(販売量(千トン))× 価格 0.67(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。リチウム優先のためカリ肥料の数量を構造的に圧縮。
- 工業用硝酸塩・化学品:数量 60.0(工業用硝酸塩販売量(千トン))× 価格 2.09(全工業化学品売上からの換算単価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。工業用硝酸塩の出荷量と品種混合を含む平均単価。
- その他の製品・サービス:数量 1.1(2025年の取扱額を1とした実質活動指数)× 価格 0.44(活動指数あたりの売上額(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。物理数量非開示のため2025年=1の活動指数で近似。
倍率:資本コストk=9.5%。2025年の母体自己資本57億ドルに、2026〜35年の実際の損益想定累計113億ドルから正味還元62億ドルを引いた2035年自己資本108億ドルに対し、純利益10億ドルでROE=9.3%。弱い堀として超過ROE残存率1/3、RONIC=9.4%。長期g=1.0%は採掘資源の有限性と市場数量・シェア・実質価格から決め、ROEから作っていない。通常の正当化PERは10年目利益基準で10.62倍だが、カリチェ埋蔵量と2060年契約を考えたN=20年の資源年金上限は9.43倍。(1-((1+g)/(1+k))^20)/(k-g)で計算し、価格と投資の不確実性を考慮して8.6倍を適用。現在・過去・同業の市場PERを参照しない。
確率:需要の拡大と塩湖の継続は会社計画・IEA見通しに支えられる。一方、供給力と国家の取り分が利益の上限を決める。複数の条件が釣り合う中心を30%。
やや悲観 28% やや悲観:リチウムの供給過剰とヨウ素の値崩れ 利益 5 億ドル · PER 7.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 19.62 ドル56 億ドル
2035年、リチウム需要は伸びるが中国やアフリカの増産が先行する。チリの合弁は環境許可を得たものの、投資の遅れで販売量が年26.5万トンにとどまる。実現価格は1万2000ドルで、合弁の参考売上は31.8億ドルとなる。地代と税の負担が重く、SQMの持分法利益は約2億ドルしか残らない。コデルコが運営権を持つため、SQMだけで減産や投資を選べない。
豪州は製錬所の立ち上げが遅れ、持分相当4.2万トンの出荷にとどまる。ヨウ素は日本のかん水やチリ他社の新設備に押され、世界市場の約34%にあたる1.55万トンを売る。価格は2025年より低く、営業利益率は28%へ落ちる。特殊肥料でもハイファやケマプコとの競争が強まり、利益率13%に下がる。
連結営業利益は約4.5億ドル、親会社純利益は4.8億ドルに縮む。2026〜30年には46億ドルを稼ぐが、2031〜35年は19億ドルにとどまる。25億ドルの正味配当を続けても自己資本は97億ドルに増え、稼ぐ力に比べて資本が重くなる。価格を決められない企業の弱さが表面化する筋書きだ。
- チリの塩湖リチウム(ノバ・アンディノ):数量 0.0(連結販売量(千トンLCE))× 価格 12(平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2031年からコデルコが支配するためSQM連結計上は0。合弁実物は年265千t LCE×単価12千ドル/t=参考売上31.80億ドル。SQMの税・地代後の持分法利益約2億ドルは営業利益でなく最終純利益に含める。
- 豪州のリチウム・精鉱と製錬:数量 42.0(SQM持分相当の販売数量(千トンLCE))× 価格 9.00(精鉱・水酸化物をLCE換算した平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。豪州の持分相当LCE販売量。精鉱の原料をクウィナナ精製売上に二重計上しない。
- ヨウ素・誘導品:数量 15.5(製品販売量(千トン))× 価格 67(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 10 億ドル・営業利益 3 億ドル。世界ヨウ素需要と競合供給に応じた出荷量15.5千トン、価格67千ドル/トン。
- 特殊植物栄養剤:数量 1,100(肥料・配合品販売量(千トン))× 価格 1.24(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 14 億ドル・営業利益 2 億ドル。高付加価値作物と点滴かんがい向けの実物販売量。硝酸カリウム市場シェアは主要競合と比較。
- カリ肥料:数量 160(販売量(千トン))× 価格 0.55(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。リチウム優先のためカリ肥料の数量を構造的に圧縮。
- 工業用硝酸塩・化学品:数量 52.0(工業用硝酸塩販売量(千トン))× 価格 1.80(全工業化学品売上からの換算単価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。工業用硝酸塩の出荷量と品種混合を含む平均単価。
- その他の製品・サービス:数量 1.0(2025年の取扱額を1とした実質活動指数)× 価格 0.40(活動指数あたりの売上額(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。物理数量非開示のため2025年=1の活動指数で近似。
倍率:資本コストk=9.5%。2025年の母体自己資本57億ドルに、2026〜35年の実際の損益想定累計65億ドルから正味還元25億ドルを引いた2035年自己資本97億ドルに対し、純利益4.8億ドルでROE=4.9%。弱い堀として超過ROE残存率1/3、RONIC=8.0%。長期g=0.5%は採掘資源の有限性と市場数量・シェア・実質価格から決め、ROEから作っていない。通常の正当化PERは10年目利益基準で10.47倍だが、カリチェ埋蔵量と2060年契約を考えたN=20年の資源年金上限は9.11倍。(1-((1+g)/(1+k))^20)/(k-g)で計算し、価格と投資の不確実性を考慮して7.7倍を適用。現在・過去・同業の市場PERを参照しない。
確率:世界需要が増しても中国の供給拡大で価格が下がり、ヨウ素も高値から正常化しうる。2031年の経営権喪失という確定した変化があるため28%。
悲観 15% 悲観:塩湖の許可が途切れ、売れる資産が価値の中心 利益 1 億ドル · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11.97 ドル34 億ドル
2031年に必要な環境認可を得られず、アタカマ塩湖からの新たな採掘が停止する。コデルコとの合弁は法的には残っても利益を配れず、SQMの持分法収益はゼロとなる。リチウム価格自体も過剰供給で低迷し、豪州は持分相当3.2万トンの販売に縮む。精鉱の実現価格と製錬の採算は悪く、海外リチウム事業は赤字だ。
ヨウ素でも日本の再生・かん水勢とチリの競合に取引を奪われ、世界販売シェアは27%程度へ下がる。1.2万トンを低価格で売り、営業利益率は18%へ縮む。特殊肥料は92万トンに減り、農家が安価な代替肥料へ移るため利益率は8%だ。収益の柱が同時に弱まり、既存設備と環境対策の維持費だけが残る。
2026〜30年の累計利益32億ドルがあっても、2031〜35年に減損と赤字が計20億ドル発生し、十年間の累計純利益は12億ドルとなる。正味還元は早期に実施した8億ドルにとどまり、自己資本は61億ドルへ。2035年の純利益は0.8億ドルにすぎず、株式価値は稼ぐ力より税後で売れるヨウ素・豪州・残存投資の価値が支える。
- チリの塩湖リチウム(ノバ・アンディノ):数量 0.0(連結販売量(千トンLCE))× 価格 0.00(平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2031年からコデルコが支配するためSQM連結計上は0。合弁実物は年0千t LCE×単価0千ドル/t=参考売上0.00億ドル。SQMの税・地代後の持分法利益約0億ドルは営業利益でなく最終純利益に含める。
- 豪州のリチウム・精鉱と製錬:数量 32.0(SQM持分相当の販売数量(千トンLCE))× 価格 6.50(精鉱・水酸化物をLCE換算した平均売価(千ドル/トンLCE))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。豪州の持分相当LCE販売量。精鉱の原料をクウィナナ精製売上に二重計上しない。
- ヨウ素・誘導品:数量 12.0(製品販売量(千トン))× 価格 50(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。世界ヨウ素需要と競合供給に応じた出荷量12千トン、価格50千ドル/トン。
- 特殊植物栄養剤:数量 920(肥料・配合品販売量(千トン))× 価格 1.06(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 10 億ドル・営業利益 1 億ドル。高付加価値作物と点滴かんがい向けの実物販売量。硝酸カリウム市場シェアは主要競合と比較。
- カリ肥料:数量 130(販売量(千トン))× 価格 0.44(平均売価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。リチウム優先のためカリ肥料の数量を構造的に圧縮。
- 工業用硝酸塩・化学品:数量 45.0(工業用硝酸塩販売量(千トン))× 価格 1.55(全工業化学品売上からの換算単価(千ドル/トン))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。工業用硝酸塩の出荷量と品種混合を含む平均単価。
- その他の製品・サービス:数量 0.9(2025年の取扱額を1とした実質活動指数)× 価格 0.35(活動指数あたりの売上額(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。物理数量非開示のため2025年=1の活動指数で近似。
倍率:2031年の環境認可不成立で主力リチウム権益の採算が失われるため、継続利益0.8億ドルのPERはほとんど意味を持たない。現在の親会社帰属自己資本57億ドルを分母に、売却可能な現金回収資産の税後残余約34億ドルを下値の目安とする。過去の谷のPBRは根拠にせず、57億ドル×0.60倍=34.2億ドル。2035年自己資本61億ドルに0.60倍を掛けない。
確率:2031年の新規環境許可に不確実性が残り、価格と技術の逆風が重なる場合。国家が長期操業を望むため最頻ではないが、契約上の打撃が深く15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
チリの塩湖リチウム(ノバ・アンディノ)
アタカマ塩湖の高濃度かん水を精製し炭酸リチウム・水酸化リチウムを電池企業へ売る。2030年まではSQMが合弁を連結。
| 数量連結販売量(千トンLCE) | 価格平均売価(千ドル/トンLCE) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 233 | 9.17 | 21 | 5 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 17 | 0 | 0 |
取り方:2025年決算発表のノバ・アンディノ売上2138.7百万ドル、数量233.1千トンから実現単価9174.7ドル/トンを得た。数量×価格×0.01で億ドルに換算。営業利益4.8億ドルは全社営業利益11.3億ドルと製品別の粗利益寄与から配賦した推計で、会社開示の部門営業利益ではない。2026年4〜6月は75.8千トン、約21790ドル/トン。2031年から非連結となるため将来の連結数量0、ただし各筋書きの注記に実操業量と持分法利益を開示する。
豪州のリチウム・精鉱と製錬
ウェスファーマーズとの豪州50対50の共同事業。マウント・ホランドの精鉱とクウィナナの水酸化リチウムを売る。
| 数量SQM持分相当の販売数量(千トンLCE) | 価格精鉱・水酸化物をLCE換算した平均売価(千ドル/トンLCE) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 24.8 | 6.03 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 50.0 | 12 | 6 | 1 |
取り方:2025年会社開示の海外リチウム売上149.5百万ドル。精鉱156.4千トンをLCE係数6.74で割った約23.2千トンと水酸化物1.6千トンを合わせて24.8千トン。単価は売上÷LCEの平均で、精鉱と製錬製品の品種混合を反映する。営業損益は設備立ち上げの費用を勘案した推計。2026年7月にSQM帰属精鉱能力を年35万トンへ倍増することを決定したが、水酸化物の原料も同じ精鉱なので二重に足していない。
ヨウ素・誘導品
カリチェ鉱石由来のヨウ素をX線造影剤、医薬品、液晶偏光板などへ販売する。世界最大級の製造網を持つ。
| 数量製品販売量(千トン) | 価格平均売価(千ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14.5 | 72 | 10 | 5 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 83 | 15 | 5 |
取り方:2025年ヨウ素販売量14.5千トン、売上1042.8百万ドルから71.92千ドル/トン。世界シェア約37%、市場約39千トンは会社推計。2026年4〜6月は4.1千トン、平均73.4ドル/キログラム。営業利益は会社が開示する粗利益寄与42%を基に販管費を配賦した推計。日本のかん水メーカーとチリ他社、リサイクル品の供給を反映し、2035年中立単価は2025年から物価ほど上げない。
特殊植物栄養剤
硝酸カリウム、特殊配合肥料、硝酸ナトリウムを温室、点滴かんがい、高付加価値作物へ販売する。
| 数量肥料・配合品販売量(千トン) | 価格平均売価(千ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,013 | 0.97 | 10 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,220 | 1.36 | 17 | 3 |
取り方:2025年特殊栄養剤売上982.4百万ドル、販売量1012.9千トンから平均970ドル/トン。内訳は硝酸カリウム類517.5千トン、配合品301.6千トン、ほか。2025年農業用硝酸カリウムで世界シェア約39%、ハイファ19%、ケマプコ14%は会社推計。営業利益は2025年の部門粗利益寄与11%を販管費配分して推定。
カリ肥料
アタカマ塩湖由来の塩化カリウムや硫酸カリウムを販売する。リチウム優先で塩化カリウムの生産を絞る。
| 数量販売量(千トン) | 価格平均売価(千ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 328 | 0.47 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 175 | 0.67 | 1 | 0 |
取り方:2025年売上155.5百万ドル、販売数量327.6千トンから475ドル/トンを算出。前年から数量53%減は鉱石不足でなくリチウムを優先する会社方針。2026年にも約20%の数量減を想定。世界のカリ肥料は大型競合ニュートリエン、モザイク、ウラルカリなどが支配し、SQMの存在感は小さい。営業利益は粗利益寄与約1%からの推計。
工業用硝酸塩・化学品
工業用硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、蓄熱材料などを工業顧客に供給する。
| 数量工業用硝酸塩販売量(千トン) | 価格全工業化学品売上からの換算単価(千ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 51.0 | 1.48 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 2.09 | 1 | 0 |
取り方:2025年工業化学品売上75.4百万ドル、工業用硝酸塩出荷51.0千トンから換算平均1478ドル/トン。売上には硝酸塩以外も含まれるため単価は品種混合の代理変数。会社推計で工業用硝酸ナトリウム世界シェア21%、工業用硝酸カリウム13%。営業利益は製品別粗利益からの推計。
その他の製品・サービス
小規模な汎用肥料の販売や付随サービス。独立した販売トン数は会社が示さない。
| 数量2025年の取扱額を1とした実質活動指数 | 価格活動指数あたりの売上額(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 0.32 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.1 | 0.44 | 0 | 0 |
取り方:2025年会社開示のその他売上31.9百万ドル。物理数量は非開示のため2025年の活動指数を1として扱い、2026年以降は受託販売量を代理指数として考える。この小部門を他の事業へ不自然に割り振らない。営業利益は会社全体の開示値との調整を前提にした推定。
リスクと懸念
2031年の塩湖の経営権と環境許可
ノバ・アンディノ・リティオは2031年からコデルコが支配し、SQMは連結を外して持分法で利益を受け取る。操業のための新しい環境認可は2030年末の現行認可とは別に必要である。許可遅延や先住民との合意の行き違いは、新設備だけでなく塩湖での採掘継続を脅かす。
リチウム価格と供給過剰
2025年のチリ実現価格は約9千ドルだったが、2026年4〜6月には約2万2千ドルへ戻った。2022年の高値を見ても、市場価格の激しい揺れは明らかだ。ガンフォンやアルベマール、リオ・ティントに加え、アフリカや中国の新規設備が増えると、増販しても利益が失われる。
ヨウ素の価格正常化と再生供給
ヨウ素は高い集中度が強みだが、2025年の販売価格はすでに高かった。世界供給の約16%を再生品が占め、日本のかん水生産やチリの競合も増産しうる。医療造影剤の需要が伸びても、供給が先行すれば販売価格は物価ほど上がらず、全社の現金創出を支える柱が細る。
サラール・フトゥーロと豪州増産の投資負担
2026〜28年の投資予算は約30億ドルで、塩湖の新計画にも大きな資金が要る。豪州は2026年に増産を決めたが、精鉱と水酸化リチウムの歩留まり、設備稼働率、商品価格が揃わなければ投下資本を回収しにくい。過去にリチウムの好況が終わった後の現金創出が弱まったことを忘れられない。
国家への収益配分とADR株主の弱い議決権
2031年以降、チリ政府は税・賃借料・合弁利益を通じて高い割合の収益を受け取る。SQM本体ではパムパ・グループと天斉の合計が議決権の強いA種の大半を持ち、米国上場ADRはB種で取締役選任が制限される。合弁投資や高値での資産取得が少数株主に不利でも修正しにくい。
電池化学の変化とリチウムのシェア低下
ナトリウムイオン電池はまだエネルギー密度に限界があるが、定置用蓄電池や小型車で採用が進む可能性がある。電池リサイクルも2030年代に伸びる。世界のリチウム需要が増えても、2031年以降のチリ合弁には年28万〜30万トンという生産構想があるため、SQMが現在の世界シェアを維持できるとは限らない。
今後の分かれ目
- サラール・フトゥーロの環境認可が2030年より十分前に確定し、2031年から年30万トンの操業が確認できたら
- 塩湖からの持分法利益の消失リスクを下げ、悲観の確率を減らす。認可だけで国家への利益配分は変わらないので、チリ事業を再連結したようには扱わない。
- チリのリチウム実現価格が年平均で2万ドルを超え、供給過剰も収まったら
- 合弁が年30万トンを売る場合、売上の参考額は60億ドルを超える。維持費と国への支払いを差し引いたSQM持分法利益を検証し、やや楽観以上の確率を増やす。
- チリのリチウム価格が再び1万ドルを下回る状態が2年続いたら
- 設備投資の増分利回りが資本コストを下回る可能性が高まる。2035年の合弁持分法利益をゼロ近くへ下げ、やや悲観側を中心に見直す。
- ヨウ素の販売量が年1万8千トンへ伸びても実現価格が60ドル/キログラムを下回ったら
- 新規供給の影響が強いとみて中立のヨウ素売上と営業利益を引き下げる。価格による堀を弱く評価し、全社の下振れ確率を高める。
- 豪州の精鉱能力が2030年にSQM持分年35万トンへ達し、クウィナナ精製所の黒字が定着したら
- 豪州の2035年数量を中立の炭酸リチウム換算5万トンから上に修正する。ただし精鉱を精製に回した分を二重に販売量へ加えない。
- 純負債がEBITDAの3倍を超えるのに大規模配当や増資が続いたら
- 配当の安全性を下げ、利益の累計に比べて株主還元を減額する。高金利の借り換えと希薄化を株主の正味還元から控除し、悲観側の比重を増やす。
見ておくもの
- 2031年以降の塩湖の環境認可RCA、先住民協議、サラール・フトゥーロの投資実行
- ノバ・アンディノ・リティオの四半期販売量、実現価格、コデルコへ渡る収益とSQM持分法利益
- 2026年8月時点で示されたチリ年28万〜29万トン生産と2027年末30万トン超能力の進み具合
- ヨウ素の年間出荷量1.45万トンからの伸び、世界シェア約37%、実現価格と再生品供給
- 特殊植物栄養剤の販売量と硝酸カリウム市場シェア約39%、ハイファとの競争
- 豪州マウント・ホランド拡張の予算・納期とクウィナナ製錬所の採算
- 設備投資・運転資金を引いた自由現金、純負債/EBITDA、配当の原資とA種/B種の支配構造
- 2026年11月に予定される7〜9月期決算による上期の高値の持続性
倍率と資本コストの決め方
基準日の株価や取引倍率は、将来の収益力を作る際には用いなかった。2025年の販売トン数と実現価格を出発点に、リチウムの実物生産、ヨウ素の市場とシェア、硝酸系肥料の数量を独立に積み上げた。2031年からチリ合弁が非連結になるため、合弁の仮想売上をSQMの連結売上や営業利益に足さず、税・賃借料後のSQM帰属分だけを純利益に含めた。
資本コスト9.5%、採掘の期限とカリチェの埋蔵量から20年で収束する資源年金、長期成長率1%を用いて倍率の上限を9.43倍とした。市場の過去の倍率で高くも低くもしていない。悲観は帳簿自己資本をそのまま床とせず、売却可能な資産の税後残余を見積もった。結論が割高でも逆算で数量や確率を動かさない。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株基準8.0%に品質調整+1.5%を加える。財務が危機にあるわけではないため倒産上乗せなし。チリの政治と少数株主の不利益はシナリオと確率へ。