結論
ダウは世界最大級のポリエチレン生産者で、米国メキシコ湾岸の安いエタンを原料に、包装・ポリウレタン・シリコーン・塗料原料などを作る。2025 年は売上 400 億ドルに対し営業 EBIT 4 億ドル(利益率 1%)、純利益は赤字で、2023〜25 年は 3 年続けて 6% 未満と、2008〜09 年以来の谷にいる。2025 年 7 月に配当を半分にし、2026 年 1 月から 4,500 人を減らす「Transform to Outperform」(2027 年までに営業 EBITDA を 20 億ドル改善)を進めている。2026 年 4〜6 月期は中東の供給途絶でポリエチレンの価格が 30% 上がり、営業 EBIT が 16.5 億ドルまで戻ったが、数量は 1% 減で、一時の高値を中立に使わない。
バリュー投資の観点では、価格を決める力のない商品事業で、純負債が時価総額の 7 割ある点が最も重い。そこで中立は、業界ノートどおり 10 年後の営業利益率 8〜9%(営業 EBIT は 10 年で 54 億ドル)に置き、悲観とやや悲観の合計を 10 年 45% と厚くした。資本コスト k は基本 8.0% に quality +2.5%(景気の振れ +1.0%・商品で値決めなし +0.5%・借金 +1.0%)を足して 10.5%、倍率は利益ベースの正当化 PER の 9 割(堀は弱い。中立の 10 年後は PER 9.3 倍)。結果は割り引いた価値が今の時価総額を約 34% 下回り、割高と出る。筋書きの時価総額は 10 年で 20〜853 億ドルと広く、利益の見通しの確信は低い。k 10.5% は市場が置く 10% 超の水準に近い。式の結論は「割高で、確信度は低い」である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、商品の価格を決められない事業は、事業の確実さを手放す代わりに安さで報いてもらう場面でしか買えない。ダウは 10 年後に存在し、今と同じ規模であると見てよいが、堀が広がるとは言えない。強みは米国のエタンのコスト優位だけで、利益は景気と中国の新設で決まる。
オーナー利益で見ると、2018〜2025 年の純利益の平均は 20 億ドル未満で、配当(年 15〜20 億ドル)を賄えず、2025 年に半分にした。資本配分は、好況期に自社株買いを進め、谷でカナダ案件を止める順序が逆で、評価は低い。それでも 3.5% の物価が続く世界では、設備を持つ石化は実質で価値が目減りしにくい。
値段は、純負債が時価総額の 7 割あり、利益が小さい今は安全域が薄い。式どおりの本質価値は今の 0.66 倍で、10 年後に中立で 8〜9% の利益率へ戻るという仮定を置いても今の値段に届かない。強い確信は持てないので、確率は悲観側に厚く置いた(10 年 45%)。持つなら小さく、配当の復活と純負債の減少を確認してから、という結論になる。
何で稼ぐ会社か
売上の半分は Packaging & Specialty Plastics(P&SP・2025 年 200 億ドル・EBIT 8 億ドル)で、ポリエチレン(食品包装・フィルム・容器)、特殊エラストマー、エチレンなどの炭化水素の外販からなる。利益は「製品価格 − エタン・ナフサ・天然ガスの原料費」のスプレッドで決まり、米国の安いエタンで世界のコスト曲線の下側にいる。
Industrial Intermediates & Infrastructure(II&I・112 億ドル・EBIT −6 億ドル)は、ポリウレタンの原料(MDI・TDI・ポリオール・プロピレンオキサイド)、グリコール、溶剤、建設化学。2025 年は欧州の需要の弱さと、サウジアラムコとの合弁サダラの持分損で赤字になり、2026 年 4〜6 月期からはサダラの損失計上を止めた。Performance Materials & Coatings(PM&C・81 億ドル・EBIT 3 億ドル)は、シリコーン、塗料・建材向けの原料、消費者向け素材で、中国の過剰供給でシリコーンの値が崩れ、英国バリーの工場の閉鎖が決まった。
顧客は包装・建設・自動車・消費財の大企業で、品質より価格で動く商品が大半を占める。地域は米国・欧州・アジアに分散し、欧州が最も採算が悪い。収益の山は 2021 年(営業利益率 14%)で、そこから 2025 年の 1% まで落ちた。
優良さと弱いところ
強みは 2 つ。第一に原料のコスト優位:米国のエタンは世界で最も安く、サウジの SABIC やエクソンモービル(ExxonMobil)と並んでコスト曲線の下側にあり、価格が崩れても生産を続けられる。第二に規模と統合:エチレンからポリエチレン、ポリウレタン、シリコーンまでつながり、顧客の包装・建設・自動車に広く売る。
弱みははっきりしている。価格を決める力がなく、売値は中国の新設能力(2026 年に 600〜700 万トンのポリエチレン新設)が決める。欧州の工場は電力・ガス代が高く(ベーレンの分解炉・シュコパウのクロルアルカリ・バリーのシロキサンの閉鎖・停止検討)、II&I は 2025 年に赤字だった。2019 年のダウ・デュポンの分離後、2018〜2025 年の純利益の平均は年 20 億ドルに届かず、ROE は 2021 年の 35% から 2025 年の −16% まで振れた。資本効率は景気で決まり、会社の力で上がる部分は小さい。
経営は 2026 年 7 月にカレン・カーター(Karen Carter)が CEO に就き、ジム・フィッターリングは執行会長に回った。経費削減(4,500 人)は筋が通るが、市況の谷で配当を半分にし、巨額のカナダ案件(Path2Zero)を止めた判断は、資本配分で好況期に自社株買いを進めた分だけ割高だった。堀は「コスト曲線の下側にいる」点だけで、広がっていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
汎用化学・石化の需要は GDP 並みで、世界のポリエチレンは年 1.1〜1.2 億トン台。問題は供給で、中国が 2026 年に 600〜700 万トンを増やし、世界の能力は 2026〜2028 年で 2 割超増える(Argus)。世界の稼働率は 2028 年に 78% 前後の底になる見通しで、価格の天井は中国の自給化が決める。業界ノートの中立は、数量が年 +2.5%、価格は 10 年 1.27 倍(実質は 10 年で約 −10%)、営業利益率は 10 年 8〜9%。
2026 年は特異な年で、中東の紛争(ホルムズ海峡の混乱)で中東産の樹脂の輸出が止まり、ポリエチレンの価格が 30% 上がった。ACC は 2026 年の世界の化学生産を +0.5%、2027 年を +3.2% と見る。供給網が戻れば価格は元へ戻るので、高値は中立に入れない。
競合は、ライオンデルバセル(LyondellBasell・売上 302 億ドル・営業利益率 3.2%)、エクソンモービル、シェブロン・フィリップス(Chevron Phillips)、SABIC、シノペック(Sinopec)、INEOS、ボレアリス(Borealis)。ポリウレタンでは万華化学(Wanhua)・BASF・コベストロ(Covestro)・ハンツマン(Huntsman)、シリコーンでは信越化学・ワッカー(Wacker)・エルケム(Elkem)と競う。欧州の閉鎖が先に進めば生き残りに有利で、整理が遅れれば谷が長引く。
資本政策と M&A
配当は 2025 年 7 月に半減し、年 10 億ドル(2025 年実績は 15 億ドル)。2026 年の追加削減は確認できず、自社株買いは 2025 年に止めている。設備投資は 2025 年の 25 億ドル(当初計画は 35 億ドル)から、Path2Zero(カナダ・アルバータのエチレン分解炉と誘導品。総額約 75 億ドル、第 1 期の稼働は 2029 年と報じられた)の建設を一時止めて絞った。2026 年上期は 11 億ドル。
純負債は約 140 億ドル(brief の集計は 153 億ドル)、現金 40 億ドル、総借金 180 億ドル、のれん 79 億ドル。借り換えで利払いは 10 年後に年 3 億ドル重くなる(brief の推定)。Transform to Outperform の一時費用は 11〜15 億ドル(うち退職 6〜8 億)で 2026〜27 年に出る。M&A は、欧州の資産の整理・合弁の見直しが中心で、買う側に回る見込みは小さい。時価総額は 214 億ドル前後なので、純負債を足した企業価値は約 350 億ドルで、再編・事業売却は選択肢に入るが、具体的な話は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ポリエチレンの需給は 2026 年の中東の混乱で一度締まり、その後も欧州・日本・米国の旧設備の閉鎖が進んでいる。中国の新設は稼働率の低さで遅れ、2029 年に世界の稼働率は 88% へ戻りうる。ダウは米国のエタンの低コストに加え、Transform to Outperform の効果(2026 年 +5 億・2027 年 +12 億・2028 年 +3 億ドル)が積み上がり、2026 年 4〜6 月期に営業 EBIT が 16.5 億ドルまで戻ったことは、谷の利益がいかに薄い売上の上に載っているかを示す。値上がりが少しでも定着すれば、売上 400 億ドルに対する利益の感応度は大きい。
サダラの損失計上が止まり、II&I の赤字(2025 年 −6 億ドル)が消え、バリーとベーレンの閉鎖で欧州の固定費が減る。Path2Zero が 2029 年に稼働すれば、低コストのエチレンの能力が増える。10 年後、2021 年に近い 14% の利益率(物価で補正すれば 2021 年の営業 EBIT 79 億ドル相当が 110 億ドル超)が再現され、成熟後の ROE 20% 台なら PER 10 倍超が付き、時価総額は今の約 4 倍になる。
慎重な見方
世界の能力は 2026〜2028 年で 2 割超増え、2028 年の稼働率は 78% に落ちる(Argus)。中国は国内で足りて輸出に回し、価格の天井は上がらない。ダウの営業利益率は 2023〜25 年に 5.6%・4.8%・0.8% と下がり続け、2026 年の価格の跳ね上がりは中東の供給途絶という一時の事情によるもので、数量は 2026 年 4〜6 月期でも 1% 減っている。供給網が戻れば価格も戻る。
純負債は時価総額の 7 割に当たる約 140 億ドルで、借り換えのたびに利払いが重くなる。Path2Zero は市況が悪い時期に約 75 億ドルを使う案件で、回収は 10 年以上先になる。配当はすでに半分にしており、これ以上の失敗は減配と増資につながる。欧州の閉鎖は、費用(一時費用 11〜15 億ドル)を先に払い、効果は市況に埋もれる可能性がある。
ROE は 2018〜2025 年の平均で 1 割に届かず、のれんが 79 億ドルあって、減損が出れば自己資本も減る。ライオンデルバセルが同じ領域で 3% の利益率にとどまることも、構造の弱さを示す。式の倍率は k 10.5%・堀が弱い前提で低く出て、中立の 10 年後も PER 9.3 倍にとどまる。今の値段は、利益が戻る前提をすでに織り込んでいる。
どちらに重みを置いたか
事業の質は慎重な見方が強く、確率は 10 年で悲観側に寄せた(やや悲観と悲観の合計 45%)。一方で、中立の 10 年後の時価総額は今の約 1.4 倍で、利益が中期の水準へ戻れば上振れはあるが、割り引くと今の値段に届かない。その結果は、利益率が 8〜9% へ戻る仮定に強く依存する。総合は割高と出て、時価総額の幅が極端に広く、確信度は低い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 35.66 ドル254 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 11.02 ドル78 億ドル)。 今の値に割り戻すと 19.83 ドル141 億ドル、今との差 −37.7%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 10.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 119.84 ドル853 億ドル | 25.30 ドル180 億ドル | +356.3% | +16.4% | 7.26 ドル52 億ドル |
| やや楽観 | 15% | 73.69 ドル524 億ドル | 17.28 ドル123 億ドル | +186.0% | +11.1% | 13.65 ドル97 億ドル |
| 中立 | 35% | 42.16 ドル300 億ドル | 11.52 ドル82 億ドル | +68.8% | +5.4% | 18.79 ドル134 億ドル |
| やや悲観 | 28% | 12.07 ドル86 億ドル | 7.59 ドル54 億ドル | −38.2% | −4.7% | 5.50 ドル39 億ドル |
| 悲観 | 17% | 2.81 ドル20 億ドル | 5.90 ドル42 億ドル | −72.6% | −12.1% | 1.48 ドル11 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 35.66 ドル254 億ドル | 11.02 ドル78 億ドル | +46.7% | +3.9% | 46.68 ドル332 億ドル |
今の株価時価総額 31.81 ドル226 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:旧設備の閉鎖が進み、価格が 1.6 倍・利益率 14% で 2021 年の山が定着 利益 82 億ドル · PER 10.4 倍 · 株価時価総額 119.84 ドル853 億ドル
2035 年、稼働率が戻り、ポリエチレンは数量が 10 年で 1.4 倍、価格は 1.6 倍(物価の 1.41 倍を上回る)で、ダウは P&SP のシェアを 10.2% に上げる。Path2Zero が 2029〜30 年に立ち上がり、低コストの能力が増える。利益率は P&SP 17%、II&I 10%、PM&C 13%、全社で 13.8%(営業 EBIT 120 億ドル、2021 年の山の物価補正相当)。純利益は 82 億ドル、成熟後の ROE は 22% 台。配当と自社株買いは累計 180 億ドル(希薄化を引いた後)。純負債は設備投資の山を越えたあとに減る。
- Packaging & Specialty Plastics(包装・特殊樹脂):数量 2,800(世界のポリエチレン・特殊樹脂・炭化水素の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 16.3%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 457 億ドル・営業利益 78 億ドル。市場 2800 億ドル × シェア 10.2% × 価格 1.60 倍
- Industrial Intermediates & Infrastructure(ポリウレタン原料・建設化学):数量 1,690(ポリウレタン原料・グリコール・溶剤等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.5%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 211 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場 1690 億ドル × シェア 8.6% × 価格 1.45 倍
- Performance Materials & Coatings(シリコーン・塗料原料):数量 1,305(シリコーン・塗料原料・消費者向け素材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 14.7%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 192 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場 1305 億ドル × シェア 9.5% × 価格 1.55 倍
- 本社・その他:数量 100(本社・その他の売上(億ドル。推定))× 価格 9.9%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 −2 億ドル。本社・その他は物価で増える程度
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 21.6%、k 10.50%(基本 8.0% + quality +2.5%)、残る割合 0.33(弱い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.2%、g 4.0%(ポリエチレン・II&I・PM&C の数量(物価並み〜年 +2.5%)× シェア × 価格(物価に届かない)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.1 倍(来年の利益に対して)。エタンのコスト優位が続き、整理が進む分、上限の 9 割(9.9 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.3 倍。時価総額 = 純利益 82 × 10.3 倍 = 853 億ドル。
確率:世界の稼働率が 88% 前後に戻り、中国の輸出も限られる展開。10 年で名目 1.6 倍の価格と 14% の利益率が揃う確率は 1 割に満たない。
やや楽観 15% やや楽観:能力の整理が進み、価格は物価をやや上回り利益率が 11% 台へ 利益 53 億ドル · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 73.69 ドル524 億ドル
2035 年、世界の稼働率は 85% 近くに戻り、ポリエチレンの数量は 1.33 倍、価格は 1.42 倍(物価並み)。P&SP のシェアは 10.0% を保つ。II&I はポリウレタンの整理が進んで 7.5%、PM&C は塗料・建材の回復で 11%。全社の営業利益率は 11% で、営業 EBIT は 82 億ドル、純利益は 53 億ドル。ROE は 18%、配当・自社株買いは累計 123 億ドル(希薄化を引いた後)。2025 年の谷から見ると利益は 10 年で 10 倍以上だが、これは物価で補正した 2018〜2021 年の平均並みの回復で、Path2Zero の稼働(2029〜30 年)と欧州の整理の効果を含み、新しい需要を前提にしない。
- Packaging & Specialty Plastics(包装・特殊樹脂):数量 2,660(世界のポリエチレン・特殊樹脂・炭化水素の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 14.2%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 378 億ドル・営業利益 53 億ドル。市場 2660 億ドル × シェア 10.0% × 価格 1.42 倍
- Industrial Intermediates & Infrastructure(ポリウレタン原料・建設化学):数量 1,638(ポリウレタン原料・グリコール・溶剤等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 11.3%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 186 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 1638 億ドル × シェア 8.4% × 価格 1.35 倍
- Performance Materials & Coatings(シリコーン・塗料原料):数量 1,260(シリコーン・塗料原料・消費者向け素材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 13.6%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 171 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場 1260 億ドル × シェア 9.3% × 価格 1.46 倍
- 本社・その他:数量 100(本社・その他の売上(億ドル。推定))× 価格 9.9%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 −2 億ドル。本社・その他は物価で増える程度
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 17.5%、k 10.50%(基本 8.0% + quality +2.5%)、残る割合 0.33(弱い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.8%、g 3.8%(ポリエチレン・II&I・PM&C の数量(物価並み〜年 +2.5%)× シェア × 価格(物価に届かない)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 10.5 倍(来年の利益に対して)。エタンのコスト優位が続き、整理が進む分、上限の 9 割(9.5 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 9.8 倍。時価総額 = 純利益 53 × 9.8 倍 = 524 億ドル。
確率:欧州・アジアの旧設備の閉鎖が計画どおり進み、需給が締まる展開。コスト優位と自助努力が効く場合で、起きても不思議はない。
中立 35% 中立:優良ではないが生き残り、年 +2.5% の数量と物価に届かない価格で利益率は 8〜9% 利益 32 億ドル · PER 9.3 倍 · 株価時価総額 42.16 ドル300 億ドル
2035 年、世界の稼働率は 80% 台前半に戻り、能力の整理(欧州・アジアの旧設備の閉鎖)で価格は物価並みに戻るが、10 年を通せば実質で 1 割下がり名目 1.27 倍。数量は 10 年で 1.28 倍、ダウのシェアは P&SP 9.7%・II&I 8.0% に下がる。利益率は P&SP 11%、II&I 6%、PM&C 9%。全社の売上は 636 億ドル、営業 EBIT は 54 億ドル(営業利益率 8.5%)、純利益は 32 億ドル。成熟後の ROE は 14%、配当・自社株買いは累計 82 億ドルで、純負債は借り換え後の金利でも返済が進む。Path2Zero の収益は入れても入れなくても大差ない水準。
- Packaging & Specialty Plastics(包装・特殊樹脂):数量 2,560(世界のポリエチレン・特殊樹脂・炭化水素の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.3%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 315 億ドル・営業利益 35 億ドル。市場 2560 億ドル × シェア 9.7% × 価格 1.27 倍
- Industrial Intermediates & Infrastructure(ポリウレタン原料・建設化学):数量 1,586(ポリウレタン原料・グリコール・溶剤等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.2%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 161 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 1586 億ドル × シェア 8.0% × 価格 1.27 倍
- Performance Materials & Coatings(シリコーン・塗料原料):数量 1,206(シリコーン・塗料原料・消費者向け素材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.4%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 150 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 1206 億ドル × シェア 9.0% × 価格 1.38 倍
- 本社・その他:数量 100(本社・その他の売上(億ドル。推定))× 価格 9.9%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 −2 億ドル。本社・その他は物価で増える程度
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 13.5%、k 10.50%(基本 8.0% + quality +2.5%)、残る割合 0.33(弱い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.5%、g 3.5%(ポリエチレン・II&I・PM&C の数量(物価並み〜年 +2.5%)× シェア × 価格(物価に届かない)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 9.9 倍(来年の利益に対して)。エタンのコスト優位が続き、整理が進む分、上限の 9 割(8.9 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 9.3 倍。時価総額 = 純利益 32 × 9.3 倍 = 300 億ドル。
確率:業界ノートの中立(数量 年 +2.5%、価格は 10 年 1.27 倍、営業利益率 8〜9%)に沿う。2018〜2025 年の純利益の平均(物価で補正して約 30 億ドル)と整合する。議論の落としどころで最大に置いた。
やや悲観 28% やや悲観:中国の輸出と欧州の閉鎖の遅れで価格が 1.15 倍にとどまり、利益率は 5% 前後 利益 11 億ドル · PER 8.1 倍 · 株価時価総額 12.07 ドル86 億ドル
2035 年、中国の輸出が続き、世界の稼働率は 78% 前後のまま。ポリエチレンの価格は 10 年で 1.15 倍(実質で −18%)、数量は 1.22 倍、ダウのシェアは P&SP 9.3%、II&I 7.5% に下がる。利益率は P&SP 7%、II&I 2%、PM&C 6.5%、全社で 4.8%(営業 EBIT 25 億ドル)、純利益は 11 億ドル。ROE は 7% で資本コストの 10.5% に届かず、成熟後の PER は 8.1 倍(1÷k の 8.5 割)にとどまる。配当は年 5〜10 億ドルで、累計 54 億ドル。
- Packaging & Specialty Plastics(包装・特殊樹脂):数量 2,440(世界のポリエチレン・特殊樹脂・炭化水素の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.7%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 261 億ドル・営業利益 18 億ドル。市場 2440 億ドル × シェア 9.3% × 価格 1.15 倍
- Industrial Intermediates & Infrastructure(ポリウレタン原料・建設化学):数量 1,508(ポリウレタン原料・グリコール・溶剤等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.6%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 130 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 1508 億ドル × シェア 7.5% × 価格 1.15 倍
- Performance Materials & Coatings(シリコーン・塗料原料):数量 1,152(シリコーン・塗料原料・消費者向け素材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 11.2%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 129 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 1152 億ドル × シェア 8.6% × 価格 1.30 倍
- 本社・その他:数量 100(本社・その他の売上(億ドル。推定))× 価格 9.9%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 −2 億ドル。本社・その他は物価で増える程度
倍率:事業の ROE 6.5% が k 10.50%(基本 8.0% + quality +2.5%)以下なので、ためた利益は 1 ドル未満の価値。PER は 1 ÷ k = 9.5 倍が上限。中国の輸出と稼働率の低迷が続く分、上限の 8.5 割(8.1 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 8.1 倍。時価総額 = 純利益 11 × 8.1 倍 = 86 億ドル。
確率:能力の整理が進まず、稼働率が 78% 前後に張り付く展開。ライオンデルバセルの現状(営業利益率 3%)に近く、起きても不思議はない。
悲観 17% 悲観:構造的に負け、価格は 1 倍を割って利益率は 3% 台、減損と自己資本の縮小 利益 1 億ドル · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 2.81 ドル20 億ドル
2035 年、世界の稼働率が 75% 以下に張り付き、ポリエチレンの価格は 10 年で 0.95 倍(実質で −33%)、数量は 1.15 倍、ダウのシェアは P&SP 8.8%・II&I 6.8% まで下がる。営業 EBIT は 13 億ドル、純利益は 1 億ドルで、Path2Zero・欧州・のれんの減損 45 億ドルが自己資本を 95 億ドルへ削る。配当は年 5 億ドル(累計 42 億ドル。純利益より多く、現金と資産の売却で払う)。ROE は 1% で式の倍率は使えず、純現金+売れる資産の税後(約 20 億ドル、PBR 0.21 倍)で測る。
- Packaging & Specialty Plastics(包装・特殊樹脂):数量 2,300(世界のポリエチレン・特殊樹脂・炭化水素の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.4%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 192 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 2300 億ドル × シェア 8.8% × 価格 0.95 倍
- Industrial Intermediates & Infrastructure(ポリウレタン原料・建設化学):数量 1,404(ポリウレタン原料・グリコール・溶剤等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.5%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 91 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 1404 億ドル × シェア 6.8% × 価格 0.95 倍
- Performance Materials & Coatings(シリコーン・塗料原料):数量 1,080(シリコーン・塗料原料・消費者向け素材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.8%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 95 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 1080 億ドル × シェア 8.0% × 価格 1.10 倍
- 本社・その他:数量 100(本社・その他の売上(億ドル。推定))× 価格 9.9%(ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 −2 億ドル。本社・その他は物価で増える程度
倍率:ROE 1% は k 10.5% を下回るので、稼ぐ力(10 年目の純利益 0.9 億ドル ÷ k 10.5% = 約 10 億ドル)は小さく、価値は純現金+売れる資産の税後(floor_assets_oku 20 億ドル)で測る。減損後の自己資本 95 億ドルに対し PBR 0.21 倍にあたる。純負債が重い構造的な悲観では、帳簿の PBR(0.9 倍)や過去の谷の床を使わず、売れる資産から負債を引いた残りに置いた。
確率:中国の国産化が輸出に転じて稼働率が 75% 以下に張り付き、プラスチック規制・炭素国境がコストを上げ、Path2Zero の収益が出ない展開。ダウは純負債が重く、構造的な負けに最も弱い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
Packaging & Specialty Plastics(包装・特殊樹脂)
ポリエチレン(食品包装・フィルム・容器向け)、特殊エラストマー、エチレンなど炭化水素の外販。米国メキシコ湾岸のエタンが原料。
| 数量世界のポリエチレン・特殊樹脂・炭化水素の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,000 | 10.0% | 200 | 8 |
| 10 年後 中立 | 2,560 | 12.3% | 315 | 35 |
取り方:世界の市場を約 2,000 億ドル(ポリエチレン約 1,200 億ドルと特殊樹脂・炭化水素。推定)とし、売上 199.7 億ドルからダウのシェア約 10.0% を置いた。利益率は 2025 年 4.1%(EBIT 8.3 億ドル、2021 年は 2 桁後半)。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は中立で 3 年 1.0 倍・10 年 1.27 倍。過剰供給で物価(3.5%)に届かない)。競合と照らすと、ダウはエクソンモービル・SABIC・シノペック・ライオンデルバセルと並ぶ最大級で、ライオンデルバセルの全社の営業利益率 3.2% よりダウの P&SP(4.1%)はやや上。
Industrial Intermediates & Infrastructure(ポリウレタン原料・建設化学)
MDI・TDI・ポリオール・プロピレンオキサイド、グリコール、溶剤、建設化学。サウジアラムコとの合弁サダラの持分損もここに入る。
| 数量ポリウレタン原料・グリコール・溶剤等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,300 | 8.6% | 112 | −6 |
| 10 年後 中立 | 1,586 | 10.2% | 161 | 10 |
取り方:市場を約 1,300 億ドル(推定)とし、売上 111.6 億ドルからシェア約 8.6%。2025 年は EBIT −5.6 億ドル(サダラの持分損・欧州の需要の弱さ・ポリウレタンの値崩れ)。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は 3 年 1.0 倍・10 年 1.27 倍)。ポリウレタンは万華化学が MDI で世界最大、BASF・コベストロ・ハンツマンが続き、ダウは欧州の整理でシェアを減らす想定。
Performance Materials & Coatings(シリコーン・塗料原料)
シリコーン、塗料・建材向けの原料、消費者向け素材。
| 数量シリコーン・塗料原料・消費者向け素材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 900 | 9.0% | 81 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,206 | 12.4% | 150 | 14 |
取り方:市場を約 900 億ドル(シリコーン・塗料原料・消費者向け素材。推定)とし、売上 81.3 億ドルからシェア約 9.0%。2025 年は EBIT 3.1 億ドル(利益率 3.8%)。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は 3 年 1.05 倍・10 年 1.38 倍。シリコーンは中国の過剰で弱く、塗料・消費者向けは物価に近い)。シリコーンは信越化学・ワッカー・エルケムと競い、バリーの工場の閉鎖で能力は減る。
本社・その他
本社費用と、セグメントに入らない外販。
| 数量本社・その他の売上(億ドル。推定) | 価格ダウのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 7.0% | 7 | −2 |
| 10 年後 中立 | 100 | 9.9% | 10 | −2 |
取り方:本社・その他の売上 7.0 億ドル、営業 EBIT −1.5 億ドル(2025 年)。市場は規模の置き方を便宜的に 100 億ドルとして推定。
リスクと懸念
世界の新設で稼働率が 78% の底に
世界のポリエチレンの能力は 2026〜2028 年で 2 割超増え(Argus)、稼働率は 2028 年に 78% 前後の底になる見通し。中国の新設が 2026 年だけで 600〜700 万トン。価格の天井は中国の自給化が決め、ダウは価格を決められない。2026 年の跳ね上がりは中東の供給途絶という一時の事情。
純負債が時価総額の 7 割
純負債は約 140 億ドル(brief の集計は 153 億ドル)で時価総額の 7 割。借り換えで利払いは 10 年で年 3 億ドル重くなり、谷の利益を食う。不況で利益が落ちれば、配当の減額・増資・資産売却が避けられない。
Path2Zero の巨額投資
カナダ・アルバータのエチレン案件は総額約 75 億ドルで、市況の悪い時期に投じる。2029 年稼働と報じられたが、2026 年時点の最新は確認できなかった。完成しても、需給が緩いままなら回収は 10 年以上先で、減損の恐れが残る。
欧州の閉鎖と一時費用
ベーレンの分解炉・シュコパウのクロルアルカリ・バリーのシロキサンの閉鎖・停止で、固定費を減らす代わりに一時費用(Transform to Outperform の 11〜15 億ドル)が先に出る。電力・ガス代の高さと需要の弱さが続けば、効果が市況に埋もれて見えない。
サダラと II&I の赤字
サウジアラムコとの合弁サダラの持分損は 2025 年の II&I の赤字(−6 億ドル)の大きな部分で、2026 年 4〜6 月期から損失計上を止めた。ポリウレタンは万華化学の増設でも値が戻らず、II&I の黒字化が遅れれば全社の利益が回復しない。
資本配分と配当の持続性
ダウは 2025 年 7 月に配当を半分にし、2022 年に自社株買いで 23 億ドルを使っている。谷で配当を払い続けるか、減らすかの判断が株主価値を左右する。GAAP の純利益が赤字の年には、配当 10 億ドルを借金で賄うことになる。
式の倍率の k への感応度
資本コスト 10.5%・g 3.5% では k − g が 7.0% あり、PER は ROE 14% でも式で 10 倍にとどまる。k が 9% に下がれば中立の PER は式で 12 倍前後に上がり、結論は割高からやや割高付近に近づく。k 10.5% は市場が置く 10% 超の水準に近い。
今後の分かれ目
- ポリエチレンのスプレッドが 2027 年以降も 2026 年上期の水準を保ち、中東の供給網が戻っても価格が戻らなかったら
- 中立の価格の伸びを上げ、楽観・やや楽観の確率を 1 割ほど上げる。営業 EBIT が 30 億ドル台に乗るのが早まる。
- 世界の稼働率が 78% を割り、中国の輸出が増え続けたら
- やや悲観の確率を上げ、中立の営業利益率を 1〜2 ポイント下げる。純利益が数年にわたり 5 億ドル以下に落ち、配当の再削減が視野に入る。
- 純負債が 120 億ドルを下回り、配当が回復したら
- 財務の下振れが薄れるので悲観の確率を 5 ポイント下げる。バリュー投資の観点では、買える値段かの再検討の合図になる。
- Path2Zero の建設再開と稼働時期(2029 年)が確定し、総額が 75 億ドルを超えたら
- 総額が増えるほど回収が遠のくので、中立の ROE を下げて見る。超過分が出れば 10 年の悲観の確率を上げる。
- Transform to Outperform の 20 億ドルが 2027 年末までに達成されたら
- 中立の 10 年の営業利益率 8.5% を 9.5% へ上げる。達成が遅れるか、価格に食われたら、やや悲観へ寄せる。
- 時価総額が純利益の中期の水準(30 億ドル台)の 7 倍以下になったら
- 式の倍率と比べて割安の幅が大きく、k への感応度を差し引いてもなお価値があると判断する。ただし減配・増資の確認が先。
見ておくもの
- ポリエチレンとエチレンのスプレッド(1 トンあたり)、世界の稼働率(Argus・ACC)
- Transform to Outperform の達成額(2026 年 +5 億・2027 年 +12 億・2028 年 +3 億ドルの EBITDA)
- 純負債と配当(年 10 億ドル)、格付けの見通し
- 中東の供給網の復旧と、2026 年の価格の跳ね上がりの定着度
- 欧州の閉鎖の進み方(ベーレン・シュコパウ・バリー)とサダラの損益
- Path2Zero の建設再開・稼働時期・総額
- 中国のポリエチレンの新設・輸出量
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 216 億ドル(純利益は赤字)や、2026 年 4〜6 月期の 16.5 億ドルの営業 EBIT を見る前に、セグメントごとに市場 × シェア × 価格で売上を積み、業界ノートの 10 年後の利益率(8〜9%)で営業 EBIT を出した。倍率は k 10.5%(基本 8.0% + quality +2.5%:景気の振れ +1.0%、値決めなし +0.5%、借金 +1.0%)・g 3.5〜4%(数量・価格から出し、ROE からは出していない)・ROE の式(堀は弱い)の 8.5〜9 割に置き、業界ノートの PER 10〜13 倍や過去の PER には寄せていない。中立の 10 年後 PER は 9.3 倍。悲観は ROE が k を下回るので、稼ぐ力と売れる資産の税後(20 億ドル)で測り、過去の PBR の底は使わない。今の株価が低いのに合わせて悲観を薄くせず、純負債・減配・中国の新設を理由に悲観側へ厚く置いた。確信度は低い。
資本コスト 10.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。