結論
リオ・ティントは、豪州の鉄鉱石、モンゴルとチリの銅、カナダなどのアルミ、南米のリチウムを持つ世界級の鉱業会社である。筆者の結論は割高だ。鉱山から港まで一体となった低コストの供給網は強いが、鉄も銅も値段を決めるのは世界の商品市場であり、利益を永続する成長企業のようには扱えない。
2025年は売上578億ドル、営業利益138億ドル、純利益100億ドルだった。鉄鉱石価格の下落と大型投資でフリーキャッシュフローは48億ドルに縮み、純負債は141億ドルへ増えた。2026年上期には銅・アルミの好況とオユトルゴイの増産で純利益が前年同期より47%増え、10月の生産報告でも増産計画はおおむね維持された。景気と商品価格の追い風を、今後10年の恒久的な収益力と混同したくない。
10年後も鉄、銅、アルミは送電網、建設、交通に欠かせない。ギニアのシマンドゥ、アルゼンチンのリチウム設備も生産を押し上げる。しかし中国の鉄鋼需要の成熟、新規鉱山の供給、鉱石品位の低下、電力と環境対策への支出が利益を奪う。中立の2035年には銅とリチウムが伸びても純利益は148億ドル程度と見る。
配当を受け取りながら保有できる財務力はある。それでも鉱山の超過利益には期限がある。5つの筋書きで試算した、配当と正味買い戻しを含む現在価値は約854億ドルで、台帳上の時価総額約1366億ドルを約38%下回る。優れた鉱石と港湾を所有することと、そこにいくら払ってよいかは別の問題である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目線では、鉱山の所有権よりも、鉱石を掘り終えるまでに株主に戻せる現金が価値の本体である。リオには、安いコストで鉄鉱石を港まで運び、顧客に売れる優れた資産がある。しかも銅とアルミを合わせた利益の寄与が増え、10年後に一つの商品だけに依存する危険は以前より小さくなる。保有するに値する会社であることは疑わない。
それでも、2025年の営業利益138億ドルがそのまま使える現金ではない。フリーキャッシュフロー48億ドルは、採掘設備と鉱体の更新で現金が出ていく事実を示す。オユトルゴイやリンコンへの増資的な投資は、金を生むまで時間がかかる。投じた新しい資本が9%台半ばの要求利回りを超えるかを確認しなければならない。単に埋蔵量を入れ替える投資は、既存株主の超過利益を伸ばしたとは数えない。
鉄鉱石は中国向けの需要が成熟し、価格も産業の外側で決まる。低コストの堀は利益の谷を浅くするが、価格高騰のたびに市況の山を永続価値へ足し込むべきではない。銅の送電需要、アルミの脱炭素、リチウムの蓄電需要もすべて正しい方向の話である。しかし競争者も設備を造るため、需要増加のすべてがリオの超過利益になるわけではない。
筆者は、10年の間の配当をきちんと数え、期末の利益には有限の鉱山寿命を反映させる。リオに資産の安全性と株主還元の実績があっても、今の値段では悲観の幅を引き受ける対価が足りない。良い会社を安く持つことと、良い会社だから高く買うことは違う。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は西オーストラリアのピルバラ鉄鉱石である。グダイダリなどの鉱山を自社の鉄道と港につなぎ、主としてアジアの製鉄会社へ売る。2025年のピルバラ出荷は3億2620万トンで、会社の鉄鉱石製品群の売上は約290億ドルに達した。カナダの鉄鉱石ペレットとギニアのシマンドゥもこの系列に加わる。販売量は採掘能力と列車・港の能力、単価は鉄鉱石指数と品位差で決まる。
次の柱は銅である。チリのエスコンディーダは持分30%、モンゴルのオユトルゴイは66%、米国のケネコットは全額保有する。銅のほか金とモリブデンも出るため、銅の実現市況だけでは事業売上を割り切れない。オユトルゴイでは地下採掘の増量が進み、2030年前後の収益源として鉄鉱石への依存を下げる。
アルミ系列はボーキサイトの採掘、アルミナ精製、アルミ製錬を縦につなぐ。豪州の鉱石から、カナダの水力電源を使う製錬まで、工程によって採算が異なる。2025年はボーキサイト6240万トン、一次アルミ338万トンを生産した。リチウムは2025年3月のアルカディウム買収で本格参入し、アルゼンチンのフェニックス、サル・デ・ビダ、リンコンを育てる段階にある。
鉄鉱石・銅・アルミ・リチウムは別々の需給に左右されるが、いずれも価格受容者である。酸化チタン原料、ホウ酸塩、ダイヤモンドなどは非中核となり、売却や閉山を含む整理の対象である。連結売上の組み立てでは商品別の実販売額を優先し、持分法のエスコンディーダのセグメント売上などを再度足さないようにした。
優良さと弱いところ
本物の強みは、誰でも買える鉱石ではなく、安く大量に届ける能力にある。ピルバラの鉱山と長距離鉄道、港、顧客との長年の関係を一から再現するには巨額の投資と許認可が必要だ。2026年のピルバラ現金コスト見通しは湿トン当たり23.5~25ドルで、原料価格が弱い時にも操業を続けられる。この物流網はコストの堀であり、銅でもオユトルゴイの地下鉱体の規模が競争力となる。
しかし堀は値上げ権とは違う。鉄鉱石の契約値は指数と品位差で決まり、BHPやヴァーレの同じ品質の鉱石を顧客が買える。アルミも中国の製錬能力が値段を左右し、リチウムでは贛鋒、天斉、SQMや新興鉱山が増産する。顧客が切り替えられないほどの独占でも、長期に値上げを通したブランドでもない。したがって堀の判定は弱い。ただし鉄道・港の複製の難しさは悲観の底を支える。
2025年の自己資本利益率は16.1%で、2015年には赤字、2021年の資源高では41%に跳ねた。過去10年の中央値20.4%を今後も当然のように続けるのは危険だ。2025年の基礎的な使用資本利益率も16%で、アルミ13%、銅14%に対し鉄鉱石が39%と偏る。新たなリチウム工場やシマンドゥで、建設費を回収した後の増分利益率が資本コストを上回るかは未証明である。
2020年のジュウカン峡谷の文化遺産破壊は、許認可と地域社会の信頼こそ鉱山の操業権だと教えた。2026年上期にも作業中の死亡事故が起きた。自動運転やAIは品位予測、保守、物流の効率を改善するが、鉱石そのものを不要にしたり、鉱山会社に値決め権を与えたりしない。外販の人月サービス、席課金ソフト、広告、調査事業はなく、AIエージェント代替の指定事業には該当しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
鉄鉱石の海上貿易は2025年に約16億トンで、リオのピルバラ出荷だけでおよそ2割を占める。競争相手の出荷・生産規模はブラジルのヴァーレ約3億1400万トン(世界海上取引の約20%)、豪州のBHP約2億9000万トン(約18%)、フォーテスキュー約1億9800万トン(約12%)だ。各社の決算期と生産・出荷の定義は異なるため概数のシェアである。中国では不動産向け鉄鋼が成熟する一方、インド、東南アジア、中東の建設が需要を支える。シマンドゥの高品位鉱石はリオの新たな供給源となるが、競合も同じギニアから供給を増やす。2035年に世界需要がやや増えても、実質価格が上昇し続けるとは考えない。
銅の世界鉱山生産は2025年に約2320万トンで、リオの持分換算生産約73万トンは3%強だ。BHPは年約200万トンで世界鉱山生産の9%弱を占め、コデルコやフリーポートもそれぞれ100万トンを超える。グレンコア、紫金鉱業なども競う。データセンター、送電網、電気自動車の配線は10年単位の需要源になる。ただしリサイクル、コンゴやペルーの新鉱山、新しい精錬能力が供給を増やし、高い銅価格には自律的な上限が生じる。
一次アルミの世界生産は2025年に約7400万トンで、リオの338万トンは5%弱にすぎない。中国宏橋は約655万トンで9%弱、ルサールは約392万トンで5%強を占める。中国アルミやアルコアとも競う。リオの水力電源を使うカナダの製錬所には脱炭素の優位があるが、電力契約の更新と米国の関税次第で利益は揺れる。ボーキサイトは世界約4.4億トンのうちリオが約14%を作る大手である。
リチウム需要は電気自動車と定置用蓄電池で増えるが、需要が増えることと生産者が高い利益を得ることは別だ。2025年の世界需要は炭酸リチウム換算で約140万トン。2035年の中立では約400万トンと見ても、リオの市場シェアは4%程度にとどまる。ナトリウムイオン電池による一部代替、中国の過剰供給、資源国の条件変更が長期価格の重しになる。
資本政策と M&A
経営は2025年12月に鉄鉱石、銅、アルミ・リチウムの3事業へ組織を整理し、2030年まで銅換算生産量を年率約3%増やす方針を示した。操業改善による年間18億ドルの生産性効果を2026年末までに達成し、2028年以降の設備投資を年100億ドル未満に抑える構想もある。保有資産やインフラの活用で50~100億ドルを解放する計画を公表し、2026年10月には20億ドル超の案件を発表した。ただし未回収の売却予定額を手元現金として先取りしない。
2025年はアルカディウムを約67億ドルで買収し、リンコンには25億ドルの建設計画がある。シマンドゥとピルバラ鉱山の置き換えでも大きな支出が続く。2025年の純負債は141億ドルとなり、手元の現金は94億ドルあっても余剰純現金ではない。2026年上期の負債は約141億ドルで横ばいだった。財務危機ではないが、増配だけでなく借金の返済と更新投資が株主利益を取り合う。
配当は基礎利益の約50%を普通配当として還元する方針で、2026年上期は34億ドルを宣言した。大きな自社株買いの金額の約束はなく、今後の10年も利益に見合う配当を主役にする。グレンコアとの統合交渉は2026年2月に打ち切られており、成立済みの買収として計上しない。ロンドンと豪州の二重上場会社は一つの経済体で、ADRだけの株数で全社価値を縮めない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
リオは商品市況の単なる寄せ集めではない。鉱山と専用鉄道、港を一体で運営するピルバラのコストは、新しい鉱山を造る会社が簡単には再現できない。既に出荷実績のあるオユトルゴイの地下開発、2026年に初販売したシマンドゥ、建設に入ったリンコンは絵に描いた事業ではなく、工場と線路の形になり始めた案件である。2026年第3四半期にはオユトルゴイの生産が前年を上回り、シマンドゥも年換算1000万トンの操業水準に届いた。
鉄が中国の成長鈍化に苦しんでも、送電網の銅需要と航空機・自動車向けアルミが利益を支える。電力不足の地域では水力アルミ製錬所が有利となり、脱炭素対応品の販売比率を高める余地もある。リチウムは2025年に買収直後の低稼働で、2028年に年20万トン規模の設備能力が実現すれば、稼働率改善の効果が大きい。電池の需要が年率で二桁伸びる期間が続けば、固定費を吸収して現金を生み始める。
財務も純負債は営業現金創出力に対し過大ではない。経営は事業を三つに絞り、設備投資を抑え、使っていない資産の資金化を進める。巨大な統合案件を条件が悪いとして見送った姿勢は、買収による過払いを避ける兆しだ。成長案件を予定どおり動かして配当を続けるなら、長期の株主への現金の戻りは十分大きくなる。
慎重な見方
鉄鉱石の量を増やしても、価格が下がれば株主の取り分は増えない。中国の不動産向け粗鋼はかつてのようには伸びず、ヴァーレ、BHP、フォーテスキューに加えてギニアの高品位鉱石が市場に入る。シマンドゥはリオ自身の供給を増やすと同時に、既存のピルバラ商品の値引きを招く可能性がある。低コストの鉱山を持つことは競争からの免罪符ではない。
オユトルゴイの持分は66%でも、残りを持つモンゴル政府との合意、坑内技術、税制が利益の分配を左右する。チリのエスコンディーダでも水と電力の費用が膨らみ、銅の価格が上がるほど税・ロイヤルティの要求は強まる。リチウムは需要が急増しても中国の増産とナトリウムイオン電池によって価格が下がる。年間20万トンの設備ができても、それが儲かる設備であるとは限らない。
2025年の現金創出は純利益100億ドルに対し自由に使える現金が48億ドルにとどまり、配当62億ドルがそれを上回った。すでに2026年には燃料、関税、製錬電力が採算を揺らしている。事故、文化遺産、鉱山の閉鎖費用は市場予想が好調なときほど軽視される。資源会社の増分資本利益率は景気の頂点でよく見えても、価格が下がれば資本コストを下回る。鉱山の寿命を永続の利益として評価することが最大の誤りだ。
どちらに重みを置いたか
どちらにも事実があるが、評価でより重く扱うのは後者の価格受容性と更新投資の負担である。新鉱山の操業進展は認め、銅とリチウムの数量を中立でも大きく伸ばした。一方、鉄鉱石の実質価格上昇を前提にせず、鉱山が掘り減ることを有限の寿命で表した。好調側に30%、中立に34%、不調側に36%を振り分けたのは、事業が複数の商品に分かれる安心感より、中国と投資費の共通リスクをやや重く見たためだ。割高の結論は現在の株価から逆算したものではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 70.00 ドル1,147 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 41.46 ドル679 億ドル)。 今の値に割り戻すと 54.58 ドル894 億ドル、今との差 −33.3%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 128.43 ドル2,104 億ドル | 73.87 ドル1,210 億ドル | +147.0% | +12.3% | 20.23 ドル331 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 94.75 ドル1,552 億ドル | 58.00 ドル950 億ドル | +86.5% | +8.3% | 30.55 ドル500 億ドル |
| 中立 | 34% | 78.16 ドル1,280 億ドル | 42.74 ドル700 億ドル | +47.6% | +4.9% | 41.10 ドル673 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 39.75 ドル651 億ドル | 27.47 ドル450 億ドル | −17.9% | −2.4% | 16.81 ドル275 億ドル |
| 悲観 | 11% | 15.38 ドル252 億ドル | 9.77 ドル160 億ドル | −69.3% | −13.0% | 2.77 ドル45 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 70.00 ドル1,147 億ドル | 41.46 ドル679 億ドル | +36.1% | +3.9% | 111.46 ドル1,826 億ドル |
今の株価時価総額 81.89 ドル1,341 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:高品位鉄鉱石と銅の不足が長続きし、新鉱山も予定どおり稼働 利益 255 億ドル · PER 8.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 128.43 ドル2,104 億ドル
インドや東南アジアの新製鉄所が中国の減速を補い、世界の海上鉄鉱石取引が2035年に約19億トンへ広がる。リオはシマンドゥの権益生産を取り込み、鉄鉱石の持分数量が3億6000万トンに増える。良質鉱の需要で値引きが小さく、実効単価は145ドルとなる。ピルバラの鉄道・港の操業改善も進み、鉄の営業利益率は38%まで回復する。
世界の銅鉱山需要は約3200万トンとなり、リオの持分生産は112万トンへ伸びる。オユトルゴイとエスコンディーダが増量し、銅と金の実効価格も高い。アルミは水力電源が差別化に働き、リチウムは22万トンが採算よく出荷される。BHPやヴァーレ、中国の製錬会社が追いつかないため、採掘と製錬の利益が拡大する。
アルカディウムとリンコンの設備投資は増収で回収し、新しい巨額買収は行わない。純利益は255億ドルへ増え、10年間の正味還元は1210億ドルとなる。期間純利益の累計は約1775億ドル、留保約565億ドルは銅・リチウムの拡張と鉱山更新に使われる。
- 鉄鉱石(ピルバラ・IOC・シマンドゥ):数量 360(鉄鉱石の持分換算生産(百万トン、実質数量))× 価格 145(鉄鉱石製品バスケットの売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 522 億ドル・営業利益 198 億ドル。鉄鉱石世界取引約19億トン、リオ持分約3億6000万トン。シマンドゥ稼働と高品位品のプレミアム。
- 銅と金・モリブデン等の副産物:数量 1,120(採掘銅のリオ持分換算生産(千トン))× 価格 26,000(金・副産物等を含む銅換算売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 291 億ドル・営業利益 119 億ドル。オユトルゴイ増産、世界銅供給不足と金副産物の回収増。
- 一次アルミニウム:数量 4.1(一次アルミの持分生産(百万トン))× 価格 5,200(製品プレミアムを含む実効単価(米ドル/トン))→ 売上 213 億ドル・営業利益 41 億ドル。低炭素アルミの需要と製品プレミアムが上昇。
- ボーキサイトとアルミナ:数量 76.0(ボーキサイト持分生産(百万トン、アルミナ外販売上を含む換算))× 価格 100(ボーキサイト1トンに対応するアルミナ外販込み実効売上(米ドル))→ 売上 76 億ドル・営業利益 23 億ドル。鉱石の採掘拡張とアルミナ外販価格の上昇。
- リチウム(旧アルカディウム・リンコン):数量 220(買収完了後の帰属LCE生産(千トン))× 価格 28,000(特殊化学品を含むLCE換算の実効売上(米ドル/トン))→ 売上 62 億ドル・営業利益 14 億ドル。世界電池需要の拡大と既存設備の高稼働が両立。
- 酸化チタン原料・ホウ酸塩・ダイヤモンド等:数量 1.7(チタンスラグ+ホウ酸塩の持分生産(百万トン、他商品を換算))× 価格 2,300(ダイヤ等の売上も含む実効単価(米ドル/トン換算))→ 売上 38 億ドル・営業利益 5 億ドル。非中核の資産処分を抑え採算を改善。
倍率:2035年の事業ROEは255÷1186.5=21.5%、k9.5%、堀は弱く超過ROEの残存1/3なのでRONIC13.5%。長期gは名目1%(鉱山の枯渇を更新投資で補うだけ)。(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)は約11.0倍だが、寿命16年の年金上限8.54倍を適用。銅・高品位鉱石の増分利益が実現した質の高い局面につき上限の約97%、8.25倍。純利益は償却・株式報酬・少数持分控除後の会計利益。
確率:電化・送電設備投資が世界各地で長期化し、銅と高品位鉄鉱石の実質価格が上がる。リチウムも設備不足になり、年20万トン能力を超える改善が生まれる。ただし世界供給は競争者も増やすので確率は10%に限定する。
やや楽観 20% やや楽観:銅の伸びと鉄鉱石の安定が両立 利益 194 億ドル · PER 8.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 94.75 ドル1,552 億ドル
世界の鉄鉱石海上需要は約17億5000万トンで、中国の鋼材輸出とインドの内需が支える。リオの持分生産は3億4500万トンへ伸び、シマンドゥの高品位鉱石も採算が合う。鉄の実効単価は130ドルとなり、費用の上昇を吸収して営業利益率36%を保つ。
銅の持分生産は104万トンで、世界需要の約3.4%を占める。送電・データセンター向けの需要に対し、BHPやフリーポートの増産が市場の逼迫を和らげる。アルミは395万トンへ、ボーキサイトは7300万トンへ増えるが、販売価格はおおむね物価を追う。リチウムは19万トンに達するものの、中国勢との競争から収益率の上昇は穏やかとなる。
非中核の鉱物の一部は売却し、売却代金は設備投資と負債管理に使う。2025年から2035年の純利益合計は約1470億ドル、正味還元950億ドル、期末自己資本は約1142億ドルとなる。銅の増分投資は資本コストを上回るが、高収益は鉱床の寿命とともに薄まる。
- 鉄鉱石(ピルバラ・IOC・シマンドゥ):数量 345(鉄鉱石の持分換算生産(百万トン、実質数量))× 価格 130(鉄鉱石製品バスケットの売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 449 億ドル・営業利益 161 億ドル。世界取引約17.5億トン、シマンドゥも採算よく販売。
- 銅と金・モリブデン等の副産物:数量 1,040(採掘銅のリオ持分換算生産(千トン))× 価格 21,800(金・副産物等を含む銅換算売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 227 億ドル・営業利益 84 億ドル。世界銅需要約30.5百万トン、リオのシェア約3.4%。
- 一次アルミニウム:数量 4.0(一次アルミの持分生産(百万トン))× 価格 4,800(製品プレミアムを含む実効単価(米ドル/トン))→ 売上 190 億ドル・営業利益 32 億ドル。電源優位を生かし供給を増やす。
- ボーキサイトとアルミナ:数量 73.0(ボーキサイト持分生産(百万トン、アルミナ外販売上を含む換算))× 価格 94(ボーキサイト1トンに対応するアルミナ外販込み実効売上(米ドル))→ 売上 69 億ドル・営業利益 19 億ドル。バウキサイトとアルミナの需給はおおむね均衡。
- リチウム(旧アルカディウム・リンコン):数量 190(買収完了後の帰属LCE生産(千トン))× 価格 24,000(特殊化学品を含むLCE換算の実効売上(米ドル/トン))→ 売上 46 億ドル・営業利益 8 億ドル。リチウムは世界約4.5百万トン、リオのシェア約4.2%。
- 酸化チタン原料・ホウ酸塩・ダイヤモンド等:数量 1.4(チタンスラグ+ホウ酸塩の持分生産(百万トン、他商品を換算))× 価格 2,150(ダイヤ等の売上も含む実効単価(米ドル/トン換算))→ 売上 30 億ドル・営業利益 2 億ドル。チタン原料・ホウ酸塩の一部を資金化。
倍率:2035年の事業ROEは194÷1141.5=17.0%、k9.5%、堀は弱く超過分の1/3が残るRONIC12.0%、長期g1%。正当化利益倍率約10.9倍より、16年の資源年金8.54倍が先に上限となる。鉄と銅がそろって好調でも更新支出が要るので上限の約94%の8.00倍。
確率:シマンドゥとオユトルゴイの立上げが計画に近く、銅市況も底堅い。ただし鉄鉱石とアルミ価格が長く高値にとどまる保証はないため、楽観より起こりやすい20%とする。
中立 34% 中立:鉄鉱石は実質価格が軟化し、銅とリチウムが増収を担う 利益 148 億ドル · PER 7.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 78.16 ドル1,280 億ドル
鉄鉱石の海上需要は2035年に約17億トンで、リオの持分生産は3億3000万トン、シェアは約19%となる。ピルバラの旧鉱山を更新し、シマンドゥの増産分の一部を中国向けに販売する。ただしヴァーレとBHPも生産を保ち、実効販売単価は120ドルと、2025年に対する物価上昇を十分には転嫁できない。鉄の営業利益率は34%へ落ち着く。
銅は世界市場が約2950万トンへ増え、リオの持分は95万トンとなる。オユトルゴイの拡大がケネコットやエスコンディーダの老朽化を補う。一次アルミは380万トン、ボーキサイトは6900万トン、リチウムは16万5000トンを出す。リチウムは中国の増産で実質単価が下がり、量は大幅に増えても利益はわずかだ。
2035年の全社営業利益は約211億ドル、純利益は148億ドルとなる。2025年からの純利益累計は約1240億ドル、配当中心の正味還元700億ドル、残りの約540億ドルは資源の置換と拡張の元手に回り、期末自己資本は約1162億ドルとなる。会社の操業は続くが、資本コストを大幅に上回る成長事業には変わらない。
- 鉄鉱石(ピルバラ・IOC・シマンドゥ):数量 330(鉄鉱石の持分換算生産(百万トン、実質数量))× 価格 120(鉄鉱石製品バスケットの売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 396 億ドル・営業利益 135 億ドル。海上鉄鉱石需要約17億トン、価格は物価ほど上がらない。
- 銅と金・モリブデン等の副産物:数量 950(採掘銅のリオ持分換算生産(千トン))× 価格 19,000(金・副産物等を含む銅換算売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 181 億ドル・営業利益 61 億ドル。世界銅鉱山29.5百万トン、リオ約3.2%の持分シェア。
- 一次アルミニウム:数量 3.8(一次アルミの持分生産(百万トン))× 価格 4,500(製品プレミアムを含む実効単価(米ドル/トン))→ 売上 171 億ドル・営業利益 25 億ドル。世界アルミ約91百万トンでリオのシェア約4.2%。
- ボーキサイトとアルミナ:数量 69.0(ボーキサイト持分生産(百万トン、アルミナ外販売上を含む換算))× 価格 89(ボーキサイト1トンに対応するアルミナ外販込み実効売上(米ドル))→ 売上 61 億ドル・営業利益 15 億ドル。世界ボーキサイト約5.2億トン、リオのシェア約13%。
- リチウム(旧アルカディウム・リンコン):数量 165(買収完了後の帰属LCE生産(千トン))× 価格 20,500(特殊化学品を含むLCE換算の実効売上(米ドル/トン))→ 売上 34 億ドル・営業利益 4 億ドル。世界LCE市場約400万トン、リオのシェア約4.1%。
- 酸化チタン原料・ホウ酸塩・ダイヤモンド等:数量 1.2(チタンスラグ+ホウ酸塩の持分生産(百万トン、他商品を換算))× 価格 2,070(ダイヤ等の売上も含む実効単価(米ドル/トン換算))→ 売上 24 億ドル・営業利益 1 億ドル。ダイヤの閉山と資産整理で数量が減る。
倍率:2035年のROE=148÷1161.5=12.7%。k9.5%、堀は弱く超過ROEの1/3が残るRONIC約10.6%、長期名目g1%(鉄鉱石の実質需要はほぼ横ばい、銅・リチウム増産は長期に減速、価格も競争で物価を下回る)。正当化PERは約10.8倍だが、鉱床の有限性から16年年金の8.54倍が上限。鉱山更新費と2025年の低いFCFを考え、その約90%の7.65倍とした。
確率:2026年時点で操業確認が進む銅・鉄・リチウムの建設計画を実行できるとする一方、資源価格にはインフレ分をすべて乗せない。もっとも説明力のある中心として34%とする。
やや悲観 25% やや悲観:中国鉄鋼の縮小と電池材料の過剰供給 利益 70 億ドル · PER 6.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 39.75 ドル651 億ドル
中国の鉄鋼消費が縮小し、鉄鉱石の世界海上需要は15億5000万トン程度にとどまる。リオの持分生産は3億1000万トンを維持するが、シマンドゥとヴァーレの高品位鉱石が値引き競争を招く。実効単価は100ドルへ低下し、ピルバラの営業利益率は24%になる。新鉱山が増えても価格決定力は生まれない。
銅は世界の鉱山生産が2700万トンに増えるが、競合のチリ・コンゴ・ペルー開発に押され、リオの持分は84万トンにとどまる。アルミの電力費が上がり、リチウムは年11万5000トンを出しても赤字が続く。2025年に買ったアルカディウムとリンコンへの資本の利回りは要求水準を下回る。
営業利益は約102億ドル、純利益70億ドルへ低下する。前半は配当を維持しても後半は減額し、10年の正味還元は450億ドルに抑える。純利益累計は約850億ドルで自己資本は約1022億ドルになるが、その大部分は十分に稼げない採掘設備に固定される。
- 鉄鉱石(ピルバラ・IOC・シマンドゥ):数量 310(鉄鉱石の持分換算生産(百万トン、実質数量))× 価格 100(鉄鉱石製品バスケットの売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 310 億ドル・営業利益 74 億ドル。供給余剰で鉄鉱石単価が低下。
- 銅と金・モリブデン等の副産物:数量 840(採掘銅のリオ持分換算生産(千トン))× 価格 16,000(金・副産物等を含む銅換算売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 134 億ドル・営業利益 32 億ドル。競争増産とモンゴルの開発費増。
- 一次アルミニウム:数量 3.5(一次アルミの持分生産(百万トン))× 価格 3,900(製品プレミアムを含む実効単価(米ドル/トン))→ 売上 137 億ドル・営業利益 13 億ドル。電力費高騰で利益が縮む。
- ボーキサイトとアルミナ:数量 65.0(ボーキサイト持分生産(百万トン、アルミナ外販売上を含む換算))× 価格 77(ボーキサイト1トンに対応するアルミナ外販込み実効売上(米ドル))→ 売上 50 億ドル・営業利益 8 億ドル。中国のアルミナ増産で実質の値決め力が低下。
- リチウム(旧アルカディウム・リンコン):数量 115(買収完了後の帰属LCE生産(千トン))× 価格 15,000(特殊化学品を含むLCE換算の実効売上(米ドル/トン))→ 売上 17 億ドル・営業利益 −1 億ドル。電池材料の供給過剰で営業赤字が続く。
- 酸化チタン原料・ホウ酸塩・ダイヤモンド等:数量 1.0(チタンスラグ+ホウ酸塩の持分生産(百万トン、他商品を換算))× 価格 1,700(ダイヤ等の売上も含む実効単価(米ドル/トン換算))→ 売上 16 億ドル・営業利益 0 億ドル。資産売却で規模が細り利益も減る。
倍率:2035年ROE=70÷1021.5=6.9%でk9.5%を下回るため、利益の留保価値は額面を割る。永続PER上限1/k=10.5倍より資源年金16年の8.54倍が厳しい。劣化した資本効率、赤字リチウム、更新費を反映して6.50倍とし、中立7.65倍より低い。
確率:シマンドゥの新供給が価格を押し下げ、中国不動産が回復しない場合、量の拡大が利益に結びつかない。原料の相互相関と投資費の固定性から25%とする。
悲観 11% 悲観:中国の鉄鋼構造縮小と投資失敗で鉱体の価値が削れる 利益 42 億ドル · PER 6.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 15.38 ドル252 億ドル
中国の製鉄需要は持続的に縮み、海上鉄鉱石需要は14億5000万トン程度に下がる。リオのシェアも19%を切り、持分鉄鉱石は2億7000万トン、実効単価は82ドルとなる。ピルバラの既存鉱山は品位が落ち、新しいシマンドゥの供給も価格を押し下げる。低コストの港と鉄道は残るが、鉄鉱石の利益率は20%程度に縮む。
銅は新鉱山とリサイクルが電化需要に追いつき、持分生産は71万トンまで減る。アルミは高い電力料金で採算が薄れ、リチウムでは販売単価が下がって工場に赤字が残る。閉山するダイヤモンドなどは少しずつ撤退する。設備を持ち続ける強みより、資本コストを下回る古い資産の重さが勝つ。
2035年の営業利益は約56億ドル、純利益42億ドルとなる。期間前半の操業利益から約480億ドルを稼いでも、リチウムと新規鉱山の投資失敗による累計約180億ドルの減損が生じ、10年間の純利益累計は約300億ドルにとどまる。配当は大幅に削減して正味還元160億ドル、期末自己資本は約762億ドルとなる。主要な港と鉱業権の売却可能価値は残るため、ゼロ評価にはしない。
- 鉄鉱石(ピルバラ・IOC・シマンドゥ):数量 270(鉄鉱石の持分換算生産(百万トン、実質数量))× 価格 82(鉄鉱石製品バスケットの売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 221 億ドル・営業利益 45 億ドル。低品位化と競合の新鉱山で実質単価急落。
- 銅と金・モリブデン等の副産物:数量 710(採掘銅のリオ持分換算生産(千トン))× 価格 12,500(金・副産物等を含む銅換算売上実効単価(米ドル/トン))→ 売上 89 億ドル・営業利益 16 億ドル。新鉱山・リサイクルによる過剰供給。
- 一次アルミニウム:数量 3.1(一次アルミの持分生産(百万トン))× 価格 3,400(製品プレミアムを含む実効単価(米ドル/トン))→ 売上 105 億ドル・営業利益 6 億ドル。電源コストと中国の供給で利幅が消える。
- ボーキサイトとアルミナ:数量 57.0(ボーキサイト持分生産(百万トン、アルミナ外販売上を含む換算))× 価格 65(ボーキサイト1トンに対応するアルミナ外販込み実効売上(米ドル))→ 売上 37 億ドル・営業利益 4 億ドル。需要停滞と製錬所の閉鎖で縮小。
- リチウム(旧アルカディウム・リンコン):数量 78.0(買収完了後の帰属LCE生産(千トン))× 価格 11,500(特殊化学品を含むLCE換算の実効売上(米ドル/トン))→ 売上 9 億ドル・営業利益 −2 億ドル。サル・デ・ビダ等の減損を伴う赤字設備。
- 酸化チタン原料・ホウ酸塩・ダイヤモンド等:数量 0.7(チタンスラグ+ホウ酸塩の持分生産(百万トン、他商品を換算))× 価格 1,350(ダイヤ等の売上も含む実効単価(米ドル/トン換算))→ 売上 9 億ドル・営業利益 −1 億ドル。非中核鉱物の閉山と売却による縮小。
倍率:2035年ROE=42÷762=5.5%でk9.5%未満。永続式の上限1/k=10.5倍、鉱床寿命16年の年金上限8.54倍よりさらに低い6.00倍。既存設備の採算劣化と減損後に残るGAAP純利益を適用し、算定時価総額252億ドルは税後売却資産の推定床235億ドルを上回る。
確率:世界の低成長、南米・アフリカの鉱山増産、電池化学品の技術競争、複数施設の減損が重なる厳しい構造的敗北である。資産と流動性は残るため破綻に近い事態ではなく、確率11%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
鉄鉱石(ピルバラ・IOC・シマンドゥ)
豪州の一体型鉄道・港湾、カナダの高品位ペレット、2026年から本格立上げのギニア高品位鉱石。製鉄所が顧客。
| 数量鉄鉱石の持分換算生産(百万トン、実質数量) | 価格鉄鉱石製品バスケットの売上実効単価(米ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 291 | 98 | 284 | 100 |
| 10 年後 中立 | 330 | 120 | 396 | 135 |
取り方:会社20-Fの2025年商品別連結鉄鉱石売上283.76億ドル、リオ持分生産290.639百万トンから実効単価97.63ドル/トンを求めた。ピルバラ単体出荷326.2百万トン(100%基準)・FOB実現90ドル/乾トンとは、持分・含水率・IOCペレット・売上の認識範囲が違う。2026年シマンドゥは100%基準で年産60百万トン到達を2028年後半に予定し、Rio利益持分53%相当だけ10年の数量に積む。2025年の部門営業利益は非開示なので、EBITDA・減価償却・本社配賦から100億ドルと推定。業界の海上取引約16億トンに対するピルバラ出荷シェア約20%。資料:https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/863064/000162828026009531/rio-20251231.htm 。競合生産・出荷の参照:BHP2025約290百万トン(https://www.bhp.com/news/media-centre/releases/2025/08/bhp-results-for-the-full-year-ended-30-june-2025)、Vale2025出荷314百万トン(https://vale.com/documents/d/guest/2025_annual-report_14042026)、Fortescue2025出荷198百万トン(同社2025年年次報告)。
銅と金・モリブデン等の副産物
チリのエスコンディーダ(持分30%)、モンゴルのオユトルゴイ(66%)、米国ケネコットと金の副産物。送電・機械・電子材料が需要の源泉。
| 数量採掘銅のリオ持分換算生産(千トン) | 価格金・副産物等を含む銅換算売上実効単価(米ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 735 | 14,100 | 104 | 35 |
| 10 年後 中立 | 950 | 19,000 | 181 | 61 |
取り方:2025年の帰属銅生産734.7千トン(連結生産883.1千トンとはエスコンディーダとオユトルゴイの権益調整が違う)。連結商品別の銅66.64億ドル、金19.22億ドル、銀1.58億ドル、モリブデン2.63億ドルの計90.07億ドルに、精錬・その他の残余売上約13.53億ドルを分析上配分し103.60億ドルとした。単価14,100ドルは副産物・配賦込みの実効値で、純銅の会社実現単価4.57ドル/ポンドとは異なる。公表の銅部門セグメント売上137.29億ドルには持分法会社を含み、連結へ無条件加算できない。世界銅鉱山生産23.2百万トンに対する持分シェア約3.2%(https://igmnir.org/en/knowledge/copper/)。部門営業利益35億ドルは推定。BHPは2025年度銅生産2016.7千トンで世界鉱山23.2百万トンの約8.7%(https://www.bhp.com/news/media-centre/releases/2025/08/bhp-results-for-the-full-year-ended-30-june-2025)。
一次アルミニウム
カナダの水力製錬、豪州と太平洋地域の製錬所。LME価格と顧客向けプレミアム、電力コストが差益を決める。
| 数量一次アルミの持分生産(百万トン) | 価格製品プレミアムを含む実効単価(米ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.4 | 3,336 | 113 | 12 |
| 10 年後 中立 | 3.8 | 4,500 | 171 | 25 |
取り方:20-Fの一次アルミ製品連結売上112.75億ドルと持分生産3.380百万トンで売上実効単価約3,336ドル/トンを推計。会社公表の実現価格3,318ドル/トンと0.5%の差は出荷と生産のずれ。LMEに加え品質・米国中西部プレミアムを含む。一次アルミ世界生産約74百万トンの約4.6%で、競争相手は中国宏橋・中国アルミ・ルサール・アルコア。推定営業利益12億ドル。中国宏橋2025年生産655万トン(https://en.hongqiaoholdings.com/)は約8.9%、ルサール391.8万トン(https://rusal.ru/en/about/)は約5.3%。
ボーキサイトとアルミナ
豪州ウィーパ・アムランなどの鉱石を外販し、一部はアルミナへ精製して自社製錬所と外部に供給する。
| 数量ボーキサイト持分生産(百万トン、アルミナ外販売上を含む換算) | 価格ボーキサイト1トンに対応するアルミナ外販込み実効売上(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 62.4 | 66 | 41 | 14 |
| 10 年後 中立 | 69.0 | 89 | 61 | 15 |
取り方:2025年会社開示のボーキサイト持分生産62.4百万トン、アルミナ7.593百万トン。連結外販商品別売上はボーキサイト28.48億ドル+アルミナ12.72億ドル=41.20億ドル。ボーキサイト62.4百万トンで割った66.03ドルはアルミナ外販分を含む換算単価で鉱石の取引価格そのものではない。アルミナの自社内供給を二重計上しない。世界ボーキサイト約440百万トンでリオは約14%、中国のアルミナ余剰が外販単価を抑える。推定営業利益14億ドル。
リチウム(旧アルカディウム・リンコン)
塩湖かん水と硬岩由来の炭酸リチウム・水酸化リチウム、工業用リチウム化合物。EV・定置用蓄電池の材料。
| 数量買収完了後の帰属LCE生産(千トン) | 価格特殊化学品を含むLCE換算の実効売上(米ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 46.0 | 20,522 | 9 | −2 |
| 10 年後 中立 | 165 | 20,500 | 34 | 4 |
取り方:2025年3月6日取得済みアルカディウムを含む帰属LCE46千トンと商品別連結売上9.44億ドルを使用。通年出荷・生産57千トンのうち買収前11千トンはリオの期間利益に含めない。炭酸塩・水酸化物・特殊化合物が混在し、実効20,522ドル/トンは炭酸リチウム指標価格そのものではない。世界リチウム消費は金属換算263千トン≒LCE140万トン(USGS2026、https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-lithium.pdf)、帰属生産シェア約3.3%。EBITDA1.76億ドルに償却・建設負担があり、推定営業利益は△1.5億ドル。
酸化チタン原料・ホウ酸塩・ダイヤモンド等
カナダ・南アフリカのチタン原料、米国のホウ酸塩など。市場売却を検討する非中核資産と閉山予定のダイヤ鉱山を含む。
| 数量チタンスラグ+ホウ酸塩の持分生産(百万トン、他商品を換算) | 価格ダイヤ等の売上も含む実効単価(米ドル/トン換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.5 | 1,829 | 27 | −3 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 2,070 | 24 | 1 |
取り方:2025年のTiO2スラグ975千トン、B2O3換算ホウ酸塩502千トンを合計1.477百万トンとし、連結の鉱物製品売上27.02億ドルを割って実効1,829ドル/トンとした。ダイヤ4.429百万カラットなどは重量では足さず販売額を価格側に含めた便宜的な実効バスケットであり、化学的に同じ1トンではない。チタン原料はイルメナイト/スラグ、ホウ酸塩はガラス・農業用で別市場のため、信頼できる同一分母の会社別シェアは公表されていない。売却・閉山が数量を減らす。部門営業利益△3億ドルは推定。
リスクと懸念
中国の粗鋼需要とシマンドゥの供給圧力
中国の不動産着工が長期に減れば、インドや東南アジアの製鉄増加だけでは補えない。高品位のシマンドゥが本格生産になることでリオ自身も市場の供給を増やす。競合のヴァーレとBHPも増産すれば、鉄鉱石の実質単価が下がりピルバラの低コストという優位を超えて利益が削れる。
銅の坑内採掘、権益国との利益配分
オユトルゴイの地下操業は事故、鉱石の不安定な地盤、通気設備の負担が大きい。モンゴル政府が34%を保有し、法令・税・ロイヤルティ・水の条件によってリオの取り分は変わる。エスコンディーダでもチリの水と電力の費用が上がる。銅価が上がっても増分資本利益率が上がるとは限らない。
リチウムへの大型投資と過剰供給
アルカディウム買収に続くリンコンとサル・デ・ビダの建設費はすでに大きい。年20万トンの名目生産能力ができても、立ち上げの歩留まりと市況が悪ければ赤字設備となる。中国とアフリカの増産やナトリウムイオン電池の一部代替によって、需要増にもかかわらず販売単価が下がる危険を中立から織り込んだ。
電力・燃料・関税・脱炭素コスト
アルミ製錬は電力が収益性を左右する。カナダの水力電源は有利だが、豪州の製錬所には契約更新の負担がある。2026年は関税と燃料費が損益に影響し、ピルバラの燃料単価も上がった。二酸化炭素排出削減のための電源・設備投資は必要であり、現金配当との競合が起こる。
鉱量の枯渇、許認可と先住民の信頼
ピルバラの2025年末の確認・推定鉱石埋蔵量は約22億トンで、現在の権益生産と比べて単純な残年数は10年を下回る。追加鉱体を埋蔵量へ転換するには探鉱と地域承認が必要だ。ジュウカン峡谷の過去の事故が示すように、土地利用や文化遺産の保護が不十分なら安価な鉱石でも採掘できなくなる。
負債増加、配当と設備更新の食い合い
2025年末は純負債が141億ドルで、フリーキャッシュフロー48億ドルより現金配当62億ドルが大きかった。金利が長期5%前後なら借り換えの税前利払いは10年で約2億ドル増えると推定する。増産投資が遅れ、商品価格が弱い時に配当を守ろうとすると、新しい借金がさらに増えかねない。
二重上場・支配持分と売却実行
リオ・ティントplcとLimitedは一つの経済体だが、株主名簿と市場価格は別である。少数株主の現金流入を測るには両社の発行株を足し、エスコンディーダ30%やオユトルゴイ66%の権益も区別する必要がある。資産解放50~100億ドルは案件の発表と現金受領が異なり、売却価格や残る収益力を確認せずに純現金へ加算しない。
今後の分かれ目
- 2030年までにシマンドゥが年6000万トンの操業水準に届き、ピルバラの単位費用も維持される
- 鉄鉱石の持分数量が底上げされる。世界需給が悪化しなければ中立からやや楽観への移行材料となる。
- 中国向け鉄鉱石の実質価格が2025年比で2~3割低下し、競合の増産が続く
- ピルバラの売上が大きく減り、やや悲観へ移る。配当より更新投資を優先せざるを得なくなる。
- オユトルゴイの持分生産が2030年前後に目標どおり増え、銅C1費用も制御される
- 銅の利益の持続性が高まり、鉄鉱石依存が下がる。中立の銅利益と正味還元の見通しを上方修正する。
- リチウムの2028年名目20万トン能力が遅れ、LCE価格も採算割れする
- 設備償却と減損が増え、やや悲観から悲観側の確率を高める。2025年の買収額は回収できない。
- 2026年末までに年間18億ドルの生産性向上が実現し、その後も操業費が数量当たりで下がる
- 営業利益率が支えられ、中立とやや楽観の資本効率が改善する。ただし市況による価格上昇とは区別する。
- 2028年以降の資本支出が年100億ドル未満に収まり、50~100億ドルの資産解放が実際の入金となる
- 純負債の返済と配当に使える資金が増す。二重計上を避け、売却で失う利益との差引きで10年価値を修正する。
- モンゴル、豪州、ギニアで重大事故や社会的許認可の停止が発生する
- 売上数量が落ちるだけでなく、追加の修復・環境費用と減損が必要になり、悲観側の道筋に移る。
見ておくもの
- ピルバラFOB実現鉄鉱石価格と世界海上取引量、BHP・ヴァーレ・フォーテスキューの増産
- シマンドゥの100%基準年6000万トン到達とリオ持分の販売実現量、鉄道・港コスト
- オユトルゴイの地下銅生産、ケネコット操業、エスコンディーダ持分生産、銅C1費用
- リチウムLCE実生産と工場能力の乖離、炭酸リチウム市場価格とリンコン投資残額
- 会社の実現商品価格、2026年上期に高まったアルミの製品プレミアムと電力契約
- 純負債、配当性向、年間資本支出、資産解放案件の現金受領
- 新鉱山の埋蔵量認定、先住民との合意、死亡事故と閉山費用の引当
倍率と資本コストの決め方
出発点の2025年純利益100億ドルと事業別の数量・価格を別々に確認し、2026年第3四半期までの生産情報で将来数量を見直した。株価や同業PERから利益・確率・倍率を逆算していない。要求利回りは9.5%、堀は弱く、2035年以降の名目成長は資源枯渇を反映した1%である。増分利益の超過収益が薄まる正当化PERを求めた後、有限鉱床の年金式と比べて厳しい方を上限とした。台帳は両上場会社の株数をおおむね網羅し、ADRは普通株1株に相当する。2025年末は純負債なので余剰現金を二度足さず、留保利益は鉱山・設備の置き換えに必要とした。2025年の製品別営業利益の推定合計は156.5億ドルで、ここから本社費・持分法等の調整約19億ドルを差し引くと、添付factsの営業利益137.5億ドルになる。副産物の換算単価と細目の配賦は推定であり、IFRSの商品群報告と連結実売上は足し合わせていない。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国共通の基本8.0%に事業の循環1.0%と価格受容0.5%を加えて9.5%。株価βや同業の株価倍率は使わず、商品別の供給過剰と埋蔵量の不確実性は各筋書きと確率へ反映する。