結論
RPMインターナショナルは、建物の防水、工場の防食、住宅の補修に使う特殊塗料や建材を売る会社である。筆者の結論は適正圏だ。10年後も必要とされる事業であり、利益を増やす余地もあるが、現在の時価総額にはその成長がかなり織り込まれている。
強みは、建物や設備を長持ちさせる製品を持っていることだ。トレムコの防水システム、カーボラインの防食塗料、ストンハードの高機能床材は、材料費より施工不良の損失がはるかに大きい現場で選ばれる。消費者向けにもラストオリウム、DAP、ジンサーという長寿命のブランドがある。新築需要が弱くても、既存の建物や設備を直す仕事はなくならない。
ただし、全社が同じ強さを持つわけではない。建設製品は公共施設や商業建築の工事延期に左右され、消費者向けは量販店の棚と価格競争にさらされる。2026年8月終了の四半期では、防食・高機能床材の事業が好調だった一方、建設製品の有機売上は減った。幅広い事業を持つことは強みだが、優良事業だけを切り出したような利益率は期待しにくい。
財務の基準値では売上78.6億ドル、営業利益9.8億ドル、純利益6.6億ドルである。営業利益率は過去10年で改善し、フリーキャッシュフローもおおむね利益に裏付けられている。ただし、自己資本33.1億ドルに対して純有利子負債は26.3億ドルあり、買収に使える資金には限りがある。
中立では、10年後の売上を約130億ドル、純利益を11.8億ドルと見る。配当と買い戻しを含めた確率加重価値は約120億ドルとなり、基準時価総額126億ドルを約5%下回る。事業を長く保有する理由は十分にあるが、予想が外れても報われるほどの安全域はない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、RPMは長く持ち続ける理由がある会社だ。塗料や防水材は技術が進んでも不要にならない。むしろ建物を新築するより長く使う社会では、表面を守り、補修し、寿命を延ばす製品の重要性が増す。10年後にもトレムコの防水材やカーボラインの防食塗料を使う現場は数多く残るはずだ。
ただし、優れた製品を持つことと、すべての再投資が高利回りになることは違う。RPMは買収を通じて事業を広げてきたため、新しい利益を得るには既存設備だけでなく買収資金も必要となる。概算の増分ROICが10%前後である以上、資本コスト8%との差は大きくない。規模を追う買収より、顧客の仕様に入り込む製品と製造効率を高める投資を優先してほしい。
オーナー利益の基準には、調整後利益ではなく株式報酬と買収償却を引いたGAAP利益を使う。直近の純利益6.6億ドルに対し、フリーキャッシュフローは6.8億ドルだった。この水準が続くなら配当を払った後にも投資余力が残る。ただし利益の中には売却益や投資有価証券の評価損益も入りうるため、単年のキャッシュ創出力を永久の実力とは見ない。
安全域の判断では、事業の良さを認めることと高い価格を払うことを分ける。中立の10年後は純利益が約1.8倍になり、配当と買い戻しも積み重なる。それでも割引後の総合価値は現在の時価総額と大きく変わらない。したがって今の値段は極端に高くも安くもないが、予想外の買収失敗や建設不況を吸収できる十分な余白がない。筆者は、優良な事業を持つ普通以上の会社として評価する一方、投資価格には慎重でありたい。
何で稼ぐ会社か
RPMの事業は、建設製品、産業用高機能塗料、消費者向け製品の3本柱で成り立つ。2026年5月期から従来の4区分を3区分に再編した。2026年6月には中南米の一部事業を高機能塗料へ移し、地域ごとの販売体制も整理している。これらは組織の変更であり、全社の売上が増えたわけではない。
建設製品グループは、トレムコ、ユークリッド、ドライビット、フロークレットなどを抱える。商業ビルの屋根、防水膜、外壁、コンクリート補修、断熱システムが主力だ。工事業者に材料を売るだけでなく、仕様設計、施工支援、保証、改修サービスを組み合わせる。顧客は建物の所有者、ゼネコン、公共機関、コンクリートメーカーなどである。
高機能塗料グループは、カーボラインとストンハードが代表的なブランドだ。製油所、橋梁、食品工場、病院、データセンターなどの床や鋼材を守る。腐食や火災に耐える製品は使用環境に合わせた試験と施工が必要で、単なる汎用塗料より価格以外の競争力を持つ。食品用コーティングや特殊樹脂なども含むため、建設景気だけに依存しない。
消費者向けグループは、ラストオリウムの防錆塗料、DAPのシーラント、ジンサーの下地材、バラサンの木部保護材、ザ・ピンク・スタッフの洗浄剤などを扱う。ホームセンターや量販店の棚を通じて、住宅所有者と小規模施工業者に売る。ブランドの認知度と小売店への納品能力が重要だが、販売店の交渉力も強い。
稼ぎの仕組みは、対象市場の実質需要にシェアを掛け、そこに製品価格を掛けた売上から、製造・販売・施工の費用を引く形である。会社は用途ごとの販売ガロン数、施工面積、平均単価を一括して公表していない。そのため、各事業の市場規模と推定シェアを数量の代用とした。市場の定義が異なる競合比較は参考値として扱い、製品別の正確なシェアと混同しない。
優良さと弱いところ
RPMの堀、つまり競争相手が簡単に奪えない強みは、製品の処方だけでなく顧客の施工仕様に入り込んでいることだ。防食塗料や屋根防水では、塗り直しや事故の損失が材料の価格差を大きく上回る。顧客が認証、耐久試験、施工者の訓練をやり直す負担は小さくない。こうした分野では、安価な後発品が現れてもすぐには置き換わらない。
一方、消費者向けの堀はブランドと流通の棚に依存する。ラストオリウムやDAPは信頼されているが、ホームセンターは自社ブランドや競合品を並べられる。シャーウィン・ウィリアムズの直営店舗網ほど顧客を囲い込む仕組みはない。したがって全社を最上位の強い堀とは扱わず、事業によって異なる競争力が残ると考える。
値決め力には実績がある。原材料高が続く環境でも、近年の価格改定とMAP改善計画によって全社の営業利益率は2021年の9%台から直近の12%台へ改善した。ただし改善のすべてが価格によるものではなく、調達統合、工場整理、人件費管理の寄与もある。2026年8月終了四半期の建設製品では、値上げだけで数量減と原料不足を埋め切れなかった。
資本効率は優秀だが、再投資の利回りを過大評価してはいけない。2015年と直近を比べると、自己資本と純負債を合わせた投下資本は約27億ドルから59億ドルへ増えた。増分営業利益の税後額を増分投下資本で割ると、概算の増分ROICは10%前後となる。資本コストは上回るが、買収のすべてが高収益だったといえるほどの差ではない。
長期保有で評価したいのは、事業の入れ替えと改善を続けながら53年連続で増配してきた規律である。ただし買収したブランドののれんと無形資産は約25億ドルあり、失敗の費用も株主が負う。ブランドと仕様採用の堀は残るが、全社の超過収益が永久に続くとは考えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
RPMが属する市場は、建築用塗料だけでは捉えられない。建設用化学品、防水システム、工業用防食塗料、樹脂床材、住宅補修用品が重なり合う。共通する長期需要は、新しい建物を建てることより、既存の建物や設備を長く使うことにある。屋根の漏水、橋の腐食、工場床の劣化は、景気が悪くても最終的には修理を要する。
建設用化学品市場は調査機関の推計で2025年に約880億ドルである。シーカが公表する対象市場は1100億スイスフランで、こちらは工業向けも含む広い定義だ。シーカの公表シェアは約12%で、サンゴバン、マペイ、RPMが続く。RPMの建設製品の売上を880億ドルと比較した見かけの比率は約3.5%だが、分母の範囲が完全には一致しない。シーカの12%と直接比較して順位を決めることはできない。
産業用塗料の世界市場は2025年に約967億ドルと推計され、RPMの高機能塗料売上に対する広い比較対象となる。工業用床材という狭い市場は約61億ドルで、PPGが約10.5%の首位とする調査がある。ここではPPG、シャーウィン、シーカ、RPMなどが競争する。RPMは防食や一体施工の床材で強いが、自動車用から一般工業用まで含めた世界市場全体では小規模な一角を占める。
米国塗料市場の2025年の出荷量は約13.3億ガロン、金額は約341億ドルだった。業界団体の見通しでは2026年の数量増加は小さく、売上増加の中心は価格である。建築用は住宅売買と改装に、工業用は設備投資と公共インフラに左右される。2026年には医療・教育関連工事の延期が建設製品を圧迫する一方、エネルギー・高性能建築向けの防食製品は伸びている。
今後10年は、数量が年1~2%前後増え、価格が物価並みに上がることを成熟市場の基準とする。防食と防水には環境規制や安全基準の強化が新しい需要を生む余地がある。ただしシーカ、サンゴバン、PPGなどの競争相手も買収と技術開発を進めている。RPMだけが市場全体を上回り続ける保証はない。
資本政策と M&A
RPMは、配当、選択的な自社株買い、小規模な専門企業の買収を組み合わせてきた。直近の財務基準では、年間配当約2.7億ドルと買い戻し約0.8億ドルに対し、株式報酬は約0.3億ドルだった。正味の還元は約3.2億ドルで、純利益を全額使い切っていない。2026年10月には53年連続の増配を発表した。
2026年7月には自社株買い枠を7億ドル増額し、8月末の未使用枠は約7.9億ドルとなった。ただし執行額の約束ではない。通期の売上と調整後EBITDAは2027年5月期に一桁台半ばの増加を見込むが、2026年10月時点で10年後の数値目標は公表されていない。次の経営改善計画は11月の投資家説明会で提示する予定である。
買収では、ザ・ピンク・スタッフを持つスター・ブランズを約4.9億ドルで取得したほか、木部保護材のレディ・シール、屋根材のカルジップ、防水材のボルテコを加えた。ボルテコの買収は2026年10月1日に完了している。技術と販路を補完する方向は合理的だが、消費者向けで販売が伸びても買収価格に見合う利益が生まれるかは別問題である。
財務は純負債がEBITDAのおよそ2倍で、直ちに危険な水準ではない。もっとも営業キャッシュフローは設備投資、運転資金、買収、年金への拠出にも使われる。倉庫や施設のオペレーティング・リースにも契約上の支払義務がある。借金を増やして高値で自社株を買うより、既存の優良製品と小規模な補完買収に資本を向ける経営を評価したい。
普通株のほかに発行済み優先株はなく、会社全体を支配する別種類株による持分の希薄化も確認されない。現時点でRPM自身の買収、非公開化、上場廃止に関する合意は確認されない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
RPMの強みは、顧客が建物や設備を使い続ける限り、補修と保護の仕事が繰り返し発生することだ。塗料は消耗品であるだけでなく、施設全体の安全と稼働率を守る材料でもある。防食や屋根防水では、施工不良の損失が大きいため、顧客は信頼できる製品と施工技術を簡単には捨てない。これが毎年の価格改定を支え、景気回復時には数量の伸びも加わる。
高機能塗料グループには、食品工場、データセンター、エネルギー設備、公共インフラという成長先がある。2026年8月終了四半期の有機売上は7.9%伸び、調整後EBITDAも18.2%増えた。新興国向けの共通販売基盤が広がれば、地域ごとに重複していた費用を抑えながら販売量を増やせる。カーボラインとストンハードの技術がより多くの仕様に採用されれば、競争相手からシェアを取る力も強まる。
建設製品も、足元の工事延期が永久に続くわけではない。トレムコの屋根防水、ユークリッドのコンクリート改良、カルジップの金属屋根は、新築と改修の双方で使える。ボルテコの地下防水技術も品ぞろえを補完する。複数の製品を一体のシステムとして販売できれば、単品の価格競争を避けやすくなる。
消費者向けでは、ラストオリウム、DAP、ジンサーのブランドが強い。2026年8月終了四半期には売り場の獲得と新製品が販売増に貢献した。スター・ブランズの洗浄剤も販路を広げる余地がある。これらが成功すれば、消費者向けの利益率は工業用に近づく。
MAP計画で高まった生産効率が維持され、買収も小規模な補完案件に絞られるなら、10年後には売上が現在の2倍程度、純利益が2倍を大きく上回る可能性がある。借金を過度に増やさず、配当と正味の自社株買いを継続できることも長期株主には大きい。
慎重な見方
RPMの最大の問題は、異なる市場を束ねた会社でありながら、全社の資本効率を一つの優良事業のように見せやすいことだ。防食塗料には強い仕様採用があるが、一般建築材や消費者向けの塗料は価格競争が厳しい。シーカやサンゴバンが防水・建設化学品の統合を進めれば、RPMの技術だけで守れる領域は狭くなる。大規模な工事では総合的な供給能力と施工保証が重要になり、規模の差が効きやすい。
2026年8月終了四半期の建設製品は有機売上が1.7%減った。医療・教育施設の工事延期に加え、原材料の供給不足が販売を妨げた。調整後EBITDAも9.7%減り、固定費の負担が利益を圧迫した。補修需要は必要性が高いとはいえ、顧客は実際の支出を数年単位で先延ばしにできる。需要が安定しているという評価には限界がある。
消費者向けでは、ホームセンターの棚を守るための値引き、販売促進費、広告費が増える可能性がある。スター・ブランズを高い値段で買った後にブランド人気が落ちれば、追加利益を得られないばかりか減損も発生する。新興国への進出も、現地の低価格メーカーや競争相手に簡単に勝てるわけではない。
財務面では、純負債が約26億ドルあり、金利が5%前後の世界では借り換えが安くならない。利益率が低下してもリース料、工場の固定費、年金への拠出は残る。大型買収の失敗と景気後退が重なれば、配当を続けるために借金を増やす悪循環に陥りかねない。
また、過去の利益率改善を今後も同じ速度で続けることは難しい。MAPによる調達統合や工場整理は繰り返せる効果に限度がある。利益率を守れなければ、売上が物価で増えても株主の利益は伸びない。10年後には優良な防食事業を持ちながら、全社としては普通の建材メーカーに近い収益性へ戻る可能性がある。
どちらに重みを置いたか
10年後にも事業が必要とされることについては強気の見方が優勢である。防水・防食の仕様採用、消費者ブランド、長期の増配実績には実体がある。一方、再投資の利回りと買収の評価では慎重な見方を重く見る。
確率は楽観側を合計33%、悲観側を32%、中立を35%とした。長期の需要にはやや前向きだが、競争と資本配分の不確実性を無視しない配分である。中立では利益の成長と株主還元が続くものの、現在の時価総額を大幅に超える価値にはならない。総合の差は約マイナス5%で適正圏と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 130.76 ドル167 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 49.04 ドル63 億ドル)。 今の値に割り戻すと 93.94 ドル120 億ドル、今との差 −8.3%、 期待の年率 +6.9%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 233.18 ドル297 億ドル | 62.72 ドル80 億ドル | +188.9% | +13.0% | 29.59 ドル38 億ドル |
| やや楽観 | 23% | 180.38 ドル230 億ドル | 58.80 ドル75 億ドル | +133.5% | +10.5% | 55.01 ドル70 億ドル |
| 中立 | 35% | 145.89 ドル186 億ドル | 54.88 ドル70 億ドル | +96.0% | +8.3% | 70.27 ドル90 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 55.90 ドル71 億ドル | 39.20 ドル50 億ドル | −7.2% | −0.9% | 20.92 ドル27 億ドル |
| 悲観 | 10% | 25.95 ドル33 億ドル | 14.11 ドル18 億ドル | −60.9% | −10.4% | 4.01 ドル5 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 130.76 ドル167 億ドル | 49.04 ドル63 億ドル | +75.5% | +6.9% | 179.80 ドル229 億ドル |
今の株価時価総額 102.44 ドル131 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:防食と防水で採用が広がり、利益率が大きく改善する 利益 16 億ドル · PER 18.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 233.18 ドル297 億ドル
2036年頃、建設製品では老朽建築の補修、省エネルギー改修、公共インフラの更新が拡大する。市場の実質規模は1150億ドルに増え、RPMの推定比率は3.49%から3.85%へ高まる。トレムコの一体型防水システムとカルジップの屋根材が仕様採用を増やし、シーカやサンゴバンから案件を獲得する。売上は65億ドル、事業利益率は18%に届く。
高機能塗料はさらに強い。カーボラインの防食技術、ストンハードの床材がデータセンター、エネルギー、食品施設で採用を広げる。対象市場は1300億ドルとなり、推定比率は2.42%へ上昇する。売上は46億ドル、事業利益率は19%となり、PPGの工業用塗料と十分競争できる収益力を持つ。
消費者向けでは、ラストオリウムの高付加価値製品とザ・ピンク・スタッフの販路拡大が成功する。市場は700億ドル、推定比率は4.68%へ上がり、売上48億ドルを生む。量販店への販売促進費を抑えながら、事業利益率は15.5%へ改善する。
全社の売上は約159億ドル、営業利益は24.7億ドル、純利益は16.2億ドルとなる。利益率改善はMAPの調達・工場改革に加え、販売品目の質が高まることによる。10年間の累計純利益114億ドルから、配当と株式報酬控除後の買い戻し80億ドルを還元し、自己資本は67.1億ドルとなる。大規模な株式発行を伴う買収は想定せず、小規模な補完買収を内部資金で賄う。
- 建設製品グループ(CPG):数量 1,150(世界の建設用化学品・防水・建物保護の対象市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.06(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 65 億ドル・営業利益 12 億ドル。実質市場1150億ドル、推定比率3.85%、価格指数1.47倍。防水と改修システムの普及でシェアが上がる。
- 高機能塗料グループ(PCG):数量 1,300(世界の産業用塗料市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.04(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 46 億ドル・営業利益 9 億ドル。実質市場1300億ドル、推定比率2.42%、価格指数1.47倍。防食・床材で高付加価値案件を獲得する。
- 消費者向けグループ:数量 700(米国・欧州のDIY特殊塗料、住宅補修材、関連洗浄剤の比較対象市場(億ドル、基準年価格での実質規模))× 価格 0.07(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 48 億ドル・営業利益 7 億ドル。実質比較市場700億ドル、推定比率4.68%、価格指数1.45倍。高価格帯と洗浄剤の販売が広がる。
倍率:k8.0%、10年目のROEは16.2÷67.1=24.1%。買収も成長手段であり、のれんを分母から除かない。通常の堀として超過ROEの半分が残り、RONICは16.07%。長期gは4.0%で、建設補修市場の実質成長約1%、高機能塗料の実質成長約2%、シェア維持、価格上昇年3.5%を全社で加重したもの。正当化PERは来年利益基準18.78倍、10年目利益基準19.53倍。品質と価格転嫁が長く続くため上限の94%に相当する18.36倍を採用する。時価総額は16.2×18.36=297.43億ドル。
確率:高機能塗料の技術、施工システム、ブランドが競合から継続的にシェアを奪う展開である。ただし建設製品と消費者向けまで同時に好調になるには複数の条件が必要なため10%とした。
やや楽観 23% やや楽観:補修需要が順調に増え、利益率改善が続く 利益 13 億ドル · PER 17.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 180.38 ドル230 億ドル
2036年頃、建設製品では屋根防水とコンクリート改良が着実に増える。対象市場は1080億ドルとなり、RPMの推定比率は3.70%へ上がる。高い施工品質と製品保証によって、シーカやマペイとの競争でも一定の値決め力を保つ。価格は10年で1.44倍、売上は58億ドルとなる。
高機能塗料はエネルギー設備、橋梁、食品工場の更新から需要を得る。市場は1220億ドル、推定比率は2.31%となり、PPGやシャーウィンから小幅なシェアを奪う。カーボラインとストンハードの事業利益率は18%程度まで高まり、全社の利益成長を主導する。
消費者向けでは、量販店との取引が維持され、スター・ブランズの買収も概ね成功する。市場は660億ドル、推定比率は4.55%となる。広告費や物流費の上昇を価格改定で埋め、事業利益率は14.8%に上がる。
全社売上は141億ドル、営業利益20.6億ドル、純利益13.4億ドルとなる。増えた利益は価格上昇だけでなく、工業用の販売量と製品構成の改善が生む。10年間の累計純利益は約100億ドルで、正味の還元75億ドルを続けても自己資本は58.1億ドルに増える。経営は借金を過度に増やさず、補完買収と配当を両立する。
- 建設製品グループ(CPG):数量 1,080(世界の建設用化学品・防水・建物保護の対象市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.05(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 58 億ドル・営業利益 10 億ドル。実質市場1080億ドル、推定比率3.70%、価格指数1.44倍。建築補修と防水製品が伸びる。
- 高機能塗料グループ(PCG):数量 1,220(世界の産業用塗料市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.03(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 41 億ドル・営業利益 7 億ドル。実質市場1220億ドル、推定比率2.31%、価格指数1.44倍。防食と樹脂床材が伸びる。
- 消費者向けグループ:数量 660(米国・欧州のDIY特殊塗料、住宅補修材、関連洗浄剤の比較対象市場(億ドル、基準年価格での実質規模))× 価格 0.07(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 43 億ドル・営業利益 6 億ドル。実質比較市場660億ドル、推定比率4.55%、価格指数1.43倍。ブランドと販路を維持する。
倍率:k8.0%、ROEは13.4÷58.1=23.1%。通常の堀で残る割合1/2とするとRONICは15.53%。長期gは3.8%で、実質の補修・防食需要約1%と物価に沿う価格上昇、わずかなシェア改善を加重したもの。正当化PERは来年利益基準17.99倍、10年目利益基準18.67倍。買収の成果が順調に残るものの景気敏感性を考え、上限の92%の17.17倍とする。13.4×17.17=230.08億ドル。
確率:建物の維持補修と高機能塗料の成長は長期に続きやすい。ただし競合も強く、全事業で大幅にシェアを増やすほどの確証はないため23%とする。
中立 35% 中立:補修と防食は伸びるが、全社は成熟した複合メーカーの収益性にとどまる 利益 12 億ドル · PER 15.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 145.89 ドル186 億ドル
2036年頃、建設製品の実質市場は880億ドルから1040億ドルへ増える。新築の伸びは限られるが、老朽建物の防水と断熱改修が需要を支える。RPMの推定比率は3.49%から3.55%への微増にとどまり、シーカやサンゴバンも市場成長の利益を得る。価格は物価並みの1.41倍となり、建設製品売上は52億ドル、事業利益率は16.5%になる。
高機能塗料では、工場の防食や食品施設の床材が伸びる。市場は1200億ドルとなり、RPMの推定比率は2.25%に上がる。カーボラインの仕様採用は維持されるが、PPG、ヨトゥン、シャーウィンとの競争は続く。売上は38億ドル、事業利益率は17.5%となる。
消費者向けは成熟市場であり、数量の伸びは小さい。広い比較市場は650億ドルとなるが、推定比率は4.44%から4.40%へわずかに下がる。価格は物価並みの1.41倍まで上げられるものの、量販店への販売促進費も増える。事業利益率は14.4%にとどまり、売上は40億ドルとなる。
全社の売上は130.5億ドル、営業利益18.2億ドル、純利益11.8億ドルとなる。営業利益率は約13.9%で、直近の12.5%から小幅に改善する。借り換え金利は約5.75%を想定し、買収や運転資金の増加を考慮しても、純利益と営業利益の比率は過去の中央値に近い。10年間の累計純利益約92億ドルから正味の還元70億ドルを払い、自己資本は55.1億ドルとなる。
- 建設製品グループ(CPG):数量 1,040(世界の建設用化学品・防水・建物保護の対象市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.05(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 52 億ドル・営業利益 9 億ドル。実質市場1040億ドル、推定比率3.55%、価格指数1.41倍。数量増は年率約1.7%の市場成長が中心。
- 高機能塗料グループ(PCG):数量 1,200(世界の産業用塗料市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.03(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 38 億ドル・営業利益 7 億ドル。実質市場1200億ドル、推定比率2.25%、価格指数1.41倍。防食の市場成長と小幅なシェア増。
- 消費者向けグループ:数量 650(米国・欧州のDIY特殊塗料、住宅補修材、関連洗浄剤の比較対象市場(億ドル、基準年価格での実質規模))× 価格 0.06(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 40 億ドル・営業利益 6 億ドル。実質比較市場650億ドル、推定比率4.40%、価格指数1.41倍。数量は低成長で、価格転嫁が売上増の中心。
倍率:k8.0%、ROEは11.8÷55.1=21.42%。買収も成長に必要なため、過去ののれんは除かず自己資本を分母とする。通常の堀で残る割合1/2、RONICは14.71%。長期gは3.5%で、補修と防食の実質需要成長約1%、シェアのほぼ横ばい、価格上昇年3.5%を全社で加重し、成熟後の数量成長鈍化も反映した。ROEからgを逆算していない。正当化PERは来年利益基準16.93倍、10年目利益基準17.53倍。景気循環と買収の不確実性を考慮して上限の90%である15.77倍とする。時価総額は11.8×15.77=186.09億ドル。
確率:建築補修の必要性と既存ブランドの強みは認めるが、シェア拡大は小幅にとどまると見る。現在の事業構成と競争環境から最も実現しやすい筋書きとして35%を割り当てる。
やや悲観 22% やや悲観:競争でシェアが縮み、物価ほどの値上げが難しくなる 利益 6 億ドル · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 55.90 ドル71 億ドル
2036年頃、米国や欧州で商業建築の投資が弱く、改修支出も抑制される。建設製品の実質市場は970億ドルまでしか増えず、RPMの推定比率は3.20%へ下がる。シーカとサンゴバンが製品と施工サービスを組み合わせ、大型案件で競争優位を広げる。価格は10年で1.32倍にとどまり、建設製品売上は41億ドルとなる。
高機能塗料でもPPGとヨトゥンの攻勢が続き、RPMの推定比率は2.05%に低下する。カーボラインの既存顧客は残るが、新しい案件で十分な価格を取れない。実質市場は1070億ドル、売上は29億ドルとなり、事業利益率は14.5%へ下がる。
消費者向けでは小売店のPBと競合ブランドに棚を取られる。市場は620億ドルにとどまり、推定比率は4.00%へ低下する。値上げは物価の上昇を十分に補えず、広告費も増える。売上は32億ドル、事業利益率は11%になる。
全社売上は102億ドル、営業利益11億ドル、純利益6.4億ドルとなる。売上は名目で増えても、稼ぐ力は現在とほとんど変わらない。10年間の累計純利益65億ドルのうち50億ドルを正味還元に回し、買収を抑えて自己資本を48.1億ドルまで増やす。借金は急増させないものの、利益率の低下と成長力の弱まりにより株主価値は大きく伸びない。
- 建設製品グループ(CPG):数量 970(世界の建設用化学品・防水・建物保護の対象市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.04(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 41 億ドル・営業利益 6 億ドル。実質市場970億ドル、推定比率3.20%、価格指数1.32倍。総合建材メーカーとの競争でシェアを失う。
- 高機能塗料グループ(PCG):数量 1,070(世界の産業用塗料市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.03(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 29 億ドル・営業利益 4 億ドル。実質市場1070億ドル、推定比率2.05%、価格指数1.32倍。防食塗料は残るが新規案件の価格競争が強まる。
- 消費者向けグループ:数量 620(米国・欧州のDIY特殊塗料、住宅補修材、関連洗浄剤の比較対象市場(億ドル、基準年価格での実質規模))× 価格 0.05(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 32 億ドル・営業利益 4 億ドル。実質比較市場620億ドル、推定比率4.00%、価格指数1.29倍。小売店のPBが棚を奪う。
倍率:k8.0%、ROEは6.4÷48.1=13.31%。通常の堀で残る割合1/2、RONICは10.65%。長期gは2.5%で、実質市場の成長が小さく、シェア低下と物価未満の価格改定が続くため中立より低い。正当化PERは来年利益基準13.92倍、10年目利益基準14.26倍。競争による超過利益の縮小と買収機会の減少を反映し、上限の78%の11.12倍とする。時価総額は6.4×11.12=71.17億ドル。
確率:建設製品の足元の需要低迷と消費者向けの量販店依存が長期化する可能性がある。防食事業の強みは残るが、全社の成長が鈍る筋書きとして22%とする。
悲観 10% 悲観:防水・防食で競争力を失い、買収損失が重なる 利益 2 億ドル · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 25.95 ドル33 億ドル
2036年頃、建設製品では競争相手が施工と材料を一体で提供し、大型案件でRPMを上回る。トレムコの採用は減り、推定比率は3.49%から2.50%に下がる。実質市場は880億ドルの横ばいとなり、価格も1.20倍までしか上げられない。建設製品売上は26億ドルへ縮み、事業利益率は9%となる。
高機能塗料でもカーボラインとストンハードの優位が薄れる。競争相手が安価な製品に施工保証を付け、既存顧客の一部を奪う。市場は980億ドルとほぼ横ばいで、RPMの推定比率は1.60%まで低下する。売上は19億ドル、事業利益率は9%となる。
消費者向けでは、量販店PBの拡大とブランド人気の低下が重なる。ザ・ピンク・スタッフなどの買収で期待した利益も実現せず、商標と買収ののれんに減損が生じる。比較市場は570億ドル、推定比率は3.30%となり、売上は22億ドル、事業利益率は7.5%に落ちる。
全社売上は67億ドル、営業利益は3.4億ドル、純利益は1.5億ドルに縮む。期間中の通常利益を単純にならすと約40億ドルだが、のれん・無形資産の減損約21億ドルと再編費用・営業損失約4億ドルが発生し、純利益累計は約15億ドルにとどまる。経営は買収と買い戻しを止め、途中から配当も削減する。正味還元18億ドルを差し引いた自己資本は約30.1億ドルとなる。
この場合、10年後の会社はもはや高収益の複合メーカーではない。ROEは資本コストを下回り、積み上げた自己資本が高い価値を生むとは考えられない。継続企業としての残存価値を現在の帳簿純資産と照合し、極端な利益の谷で評価をゼロにしない。ただし、帳簿の全額を清算で回収できるという保証はない。
- 建設製品グループ(CPG):数量 880(世界の建設用化学品・防水・建物保護の対象市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.03(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 2 億ドル。実質市場880億ドル、推定比率2.50%、価格指数1.20倍。シーカなどに大型防水工事を奪われる。
- 高機能塗料グループ(PCG):数量 980(世界の産業用塗料市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模))× 価格 0.02(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 19 億ドル・営業利益 2 億ドル。実質市場980億ドル、推定比率1.60%、価格指数1.20倍。防食の仕様採用が縮む。
- 消費者向けグループ:数量 570(米国・欧州のDIY特殊塗料、住宅補修材、関連洗浄剤の比較対象市場(億ドル、基準年価格での実質規模))× 価格 0.04(対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1))→ 売上 22 億ドル・営業利益 2 億ドル。実質比較市場570億ドル、推定比率3.30%、価格指数1.16倍。PBと新興ブランドの競争に敗れる。
倍率:10年目のROEは1.5÷30.1=4.98%で、k8.0%を下回る。したがって高成長を前提に利益へ高いPERを掛けない。長期gは1.5%以下と考えるが、利益還元価値だけでは現在の帳簿純資産を大きく下回る。悲観の参照床は期末に積み上げた自己資本30.1億ドルではなく、現在の自己資本33.1億ドルとし、その1.0倍で33.1億ドルとする。これは清算価値を保証するものではなく、事業継続と一部ブランドの売却可能性を前提とした参照床である。のれんの回収不能リスクは残る。
確率:仕様採用による堀が崩れ、買収の減損と長期の建設不況が重なる構造的な失敗である。事業の実需がなくなるわけではないため中心的な筋書きではなく、10%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
建設製品グループ(CPG)
トレムコの防水・屋根改修、ユークリッドのコンクリート化学品、ドライビットの外壁、カルジップの金属屋根などを扱う。建物の保護・補修と施工システムを組み合わせ、工事業者、施設所有者、公共機関に販売する。
| 数量世界の建設用化学品・防水・建物保護の対象市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模) | 価格対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 880 | 0.03 | 31 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,040 | 0.05 | 52 | 9 |
取り方:2026年5月期10-KでCPG売上30.69785億ドル、セグメントEBIT4.50803億ドルを確認。市場880億ドルはPheonix Researchの2025年世界建設用化学品推計であり、屋根・施工サービスを含むRPMの品目とは範囲が完全には一致しない。したがって3.49%は比較用の推定比率であり、厳密な公式シェアではない。シーカ公表の対象市場1100億スイスフラン、シェア約12%はさらに広い定義である。競合はシーカ、サンゴバン、マペイなど。市場の実質成長率と競争による比率変化を分け、価格指数は物価3.5%を基本とする。
高機能塗料グループ(PCG)
カーボラインの防食・耐火塗料、ストンハードの一体施工床材、工業用樹脂、食品・医薬向け特殊コーティングなどを扱う。工場、エネルギー設備、橋梁、病院、食品施設で長期耐久性と施工実績が選定理由になる。
| 数量世界の産業用塗料市場(億ドル、基準年の価格に固定した実質市場規模) | 価格対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 967 | 0.02 | 21 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,200 | 0.03 | 38 | 7 |
取り方:2026年5月期10-KでPCG売上21.31914億ドル、セグメントEBIT3.05869億ドルを確認。世界産業用塗料市場967億ドルはGrand View Researchの2025年推計で、RPMの食品材料など一部製品は範囲外である。約2.20%は広い市場を分母にした比較用の推定比率であり公式シェアではない。工業用床材の狭い市場は約61億ドルで、Global Market InsightsはPPGのシェアを10.5%超、主要5社合計を54.9%とする。競合はPPG、シャーウィン・ウィリアムズ、シーカ、アクゾノーベル、ヨトゥンなど。
消費者向けグループ
ラストオリウムの防錆塗料、DAPのシーラント、ジンサーの下地材、バラサンの木部保護材、ザ・ピンク・スタッフの洗浄剤などを扱う。ホームセンター、量販店、金物店で家庭と施工業者に販売する。
| 数量米国・欧州のDIY特殊塗料、住宅補修材、関連洗浄剤の比較対象市場(億ドル、基準年価格での実質規模) | 価格対象市場での推定売上比率×販売価格指数(基準年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 0.04 | 27 | 4 |
| 10 年後 中立 | 650 | 0.06 | 40 | 6 |
取り方:2026年5月期10-KでConsumer売上26.61723億ドル、セグメントEBIT3.62808億ドルを確認。American Coatings Associationによる2025年の米国塗料市場341億ドルを出発点とするが、RPMは米国外の住宅補修材、シーラント、研磨材、洗浄剤も売る。そこで約600億ドルを広い比較用市場プールとして仮定した。約4.44%は分析上の比率であり、検証された会社シェアではない。競合はシャーウィン、ホーム・デポのベア、PPG、ヘンケル、各量販店のPBなど。価格・数量の個別開示がないため、小売市場の伸びと棚の獲得を分けて推定する。
リスクと懸念
建設改修需要の延期
屋根防水、学校、病院、商業施設の改修は必要性が高くても、支出時期を延期できる。2026年8月終了四半期には建設製品の有機売上が1.7%減り、調整後EBITDAが9.7%減った。案件の遅れは工場の固定費吸収を悪化させる。公共支出の減少や住宅市場の長期低迷が続けば、数量の成長が止まり、利益率も低下する。
シーカやサンゴバンとの競争
防水と建設化学品は技術だけでなく、施工支援、販路、調達規模でも競争する。シーカ、サンゴバン、マペイは豊富な品ぞろえと買収で市場を広げている。RPMが大型案件の仕様採用を失えば、既存ブランドの知名度だけでは守れない。特に建設製品の推定シェアが継続的に低下する場合は、長期の数量と価格の両方を引き下げる必要がある。
原料インフレと価格転嫁の遅れ
樹脂、溶剤、顔料、金属容器、輸送費は石油価格や供給網の混乱に左右される。RPMは価格改定の実績を持つが、値上げの時期が遅れれば利益率が落ちる。建設製品では2026年に原材料不足も発生した。価格を上げ過ぎればシーカやPPGなどに数量を奪われるため、売値の上昇と出荷量を必ず分けて観察する。
買収の失敗とのれん減損
RPMは小規模な買収を積み重ねて事業を広げてきた。スター・ブランズ、レディ・シール、カルジップなどは販路補完の可能性があるが、買収額に見合う利益が必ず生まれるわけではない。約25億ドルののれんとその他無形資産は、将来の需要やブランド評価が下がれば減損対象となる。減損が現金流出を伴わなくても、過去の資本配分が価値を生まなかった証拠になる。
借金、リース、年金の固定負担
直近の純有利子負債は26.3億ドルで、EBITDAのおよそ2.2倍である。借り換え金利が高止まりする環境では、追加買収に借金を使うほど利益の取り分が減る。施設のリース契約や年金への拠出も残るため、景気の谷で費用をすぐに減らせない。純負債がEBITDAの3倍を超える状態が続くなら、配当と買い戻しの持続性を疑う。
小売流通の交渉力とブランドの陳腐化
ラストオリウム、DAP、ジンサーは強いブランドだが、ホームセンターや量販店は他社製品を並べられる。PBの拡大、ネット販売、販売促進費の増加は、消費者向けの利益率を押し下げる。スター・ブランズの洗浄剤も流行に依存する部分があり、人気が落ちれば価格を維持しにくい。棚の獲得と有機売上の成長を買収効果と分けて確認する必要がある。
環境規制、製品責任、代替技術
塗料と化学品は、排出規制、危険物の取り扱い、製品保証、安全基準の変更に対応しなければならない。低VOC製品などの開発は機会にもなるが、既存処方の変更には費用がかかる。防食や防水では施工不良に伴う保証請求も起こりうる。AIエージェントによる業務そのものの代替には該当しないが、新素材や自動施工技術が既存製品の優位を弱める可能性は残る。
今後の分かれ目
- 建設製品の有機売上が2年以上減少し、価格を上げても数量が回復しない場合
- 単なる工事延期ではなく、シェア低下や価格競争を疑う。CPGの中立市場シェア3.55%を3.20%近くへ下げ、やや悲観の確率を高める。
- 高機能塗料の有機成長が年5%以上を継続し、営業利益率も18%を上回る場合
- 仕様採用の強みが広がっていると判断する。PCGの中立シェアと利益率を上方修正し、やや楽観と楽観の確率を増やす。
- 消費者向けの有機売上が3年連続でプラスとなり、販売促進費を増やさず利益率が15%近くに上がる場合
- ブランドの値決め力と買収の成果を確認できる。Consumerの中立利益率を引き上げ、増分ROICも再検証する。
- 買収後ののれん減損が相次ぎ、追加買収をしなければ売上が増えない状態になった場合
- 経営の資本配分が資本コストを超えていない可能性が高まる。買収による数量増を中立から外し、悲観側の確率を厚くする。
- 純負債÷EBITDAが3倍を超え、配当と自社株買いを借金で維持する場合
- 財務の柔軟性が低下したと見る。正味の株主還元を引き下げ、借り換え利息の増加を純利益に反映する。
- 次期MAP計画で明確な削減額と実行期限が公表され、GAAP営業利益率が14%以上で安定した場合
- 事業改善が一過性でないと判断し、中立の営業利益率を引き上げる。ただし調整後指標だけでなく、GAAP利益とフリーキャッシュフローで成果を確かめる。
- 競合のシーカやPPGが防水・防食の主要用途でシェアを伸ばし、RPMの案件採用が減少した場合
- 堀の縮小を重く見る。市場自体が伸びていてもRPMの実質数量を下方修正し、長期gも低くする。
見ておくもの
- CPGの有機売上の数量と価格の内訳、工事延期からの回復
- PCGの有機成長率、カーボラインとストンハードの受注、利益率
- Consumerの棚の獲得、既存ブランドの有機成長、販売促進費
- MAP改善計画のGAAP営業利益率への実際の寄与
- 買収額、買収先の利益、のれん減損、増分ROIC
- フリーキャッシュフローと株式報酬控除後の正味還元
- 純負債÷EBITDA、借り換え利息、リースと年金の支払負担
- シーカ、サンゴバン、PPG、シャーウィンとの製品競争とシェア
- 米国の建設支出、既存住宅取引、公共施設改修、工業設備投資
- 原料価格と価格転嫁、値上げ後の実質出荷数量
- 2026年11月の投資家説明会で公表予定の新しい改善計画と資本配分方針
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額を倍率の出発点にしていない。建設製品、高機能塗料、消費者向けの市場規模をそれぞれ実質で置き、競争による推定シェアの変化と名目価格指数を掛けて売上を組み立てた。会社が物理的な数量・単価を開示していないため、市場規模と推定比率を代用したが、異なる用途を含む分母は厳密な市場シェアとはみなしていない。
倍率はk8.0%、通常の堀でRONICに残る超過ROEの割合1/2、事業から考えた長期gによる利益ベースの式で算出した。中立のROEは21.42%、RONICは14.71%、正当化PERの10年目利益基準の上限は17.53倍で、採用倍率はその90%の15.77倍である。今や過去、同業のPERやPBRには合わせていない。
自己資本は今の33.1億ドルに期間累計純利益を加え、正味還元を引いてつないだ。中立は33.1+92-70=55.1億ドルである。悲観では減損を含む純利益累計を別に置き、現在の自己資本を参照床とした。床は清算回収額を保証しない。リースはASC842で既に計上され、家賃の固定負担は悲観の利益率に含めた。AIエージェント代替の対象となる人月・席課金型事業ではなく、主たる価値は現物製品と施工仕様にある。確率加重した10年価値を最後に現在の時価総額と比較すると約5%低く、適正圏という結論になった。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本資本コスト8.0%に、景気循環+0.5%、値決め力-0.5%、借金0%、寿命0%を加え、kを8.0%とする。βや市場PERは使わない。シャーウィン・ウィリアムズの7.5%より高く、PPGの8.5%より低い。自社店舗網による強い囲い込みはないものの、防食・防水の仕様採用と消費者ブランドがあり、事業の耐久性はPPGの工業用塗料中心の構成よりやや高いと評価した。