結論
PKXは韓国のポスコ・ホールディングスの米国預託証券である。鉄鋼で国内首位級の地位を持ち、LNG、資源貿易、建設、リチウム、電池材料まで抱える。ただし筆者の結論は「やや割高」だ。事業が消えるのではなく、稼ぎを増やすために必要な資金が大きすぎることが最大の理由である。
2025年の売上は486億ドル、営業利益は13億ドルに満たない。鉄鋼の外販売上は全社の過半で、国内の鋼材販売シェアは46.6%と強い。それでも価格を決めるのは顧客の購買力と中国を中心とした供給過剰だ。純有利子負債は148億ドルまで増え、2023~25年はフリー・キャッシュフローが毎年赤字だった。帳簿上の自己資本が約387億ドルあることだけでは、安さの証拠にならない。
好材料も見逃せない。2026年4~6月期は営業利益が前年同期比で約35%増え、アルゼンチンのリチウム設備も黒字化の入り口に立った。10月には電池材料の大型供給契約が公表され、供給網を中国から分散したい顧客の需要を取り込める。一方、同四半期の利益には海外鉄鋼子会社の売却益もあり、回復の全てを継続利益とは見なさない。
10年の中立では鋼材の実質出荷をやや増やし、電池材料の数量を大きく伸ばしても、純利益は27億ドル程度にとどまる。5つの筋書きと正味の還元を資本コストで割り戻した価値は約116億ドルで、基準時価総額155億ドルを約25%下回る。価値を逆転させるには、工場の完成ではなく、投下資本を回収する実績が必要だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、10年後も鋼材、LNG、電池の材料が必要かという問いには迷わず肯定できる。だが必要な商品をつくることと、その会社の株主が十分に豊かになることは別問題だ。ポスコの国内シェアは強く、工場は巨大で、顧客との関係も深い。それでも売値を自由に決められず、原料と設備費が利益の大部分を吸い取るなら、堀は株主にまで届いていない。
見るべき数字は売上の大きさより、維持投資を済ませた後のオーナー利益だ。2021年には純利益58億ドルを稼いだが、その強さは持続しなかった。逆に2025年の利益だけを永続させるのも悲観に傾きすぎる。国内鉄鋼の稼働と天然ガスの収益が落ち着き、リチウム設備が実際に動く姿を前提にしても、余剰資金を厚く生むまでには時間がかかる。
経営の資本配分には光と影がある。資源を早く押さえたことは将来の供給網で有利だが、工場の建設時期が重なり、借金を増やしてまで増産する価値があるかは未証明だ。増分投資の利回りが資本コストを下回るなら、投資を減らして負債返済と還元に回す方が所有者にはよい。
今の株価に対しては、資産の大きさを安全域と取り違えない。建物や製鉄所は帳簿の値段ですぐ売れるわけではなく、処分時には環境対応費もかかる。筆者が長く保有する条件は、リチウムの数量目標ではなく、連結ROICが資本コストへ近づき、配当を払ってなお純負債が減ることだ。
何で稼ぐ会社か
収益の背骨は鋼材である。ポスコは浦項・光陽などの高炉と圧延設備で熱延鋼板、冷延鋼板、厚板、ステンレス、電磁鋼板をつくる。2025年の主要鋼材の外販数量は約2,895万トンで、1トンの売値と原料・エネルギー費の差が利益になる。自動車、造船、家電、建築向けの長期納入関係は強みだが、競合品との価格差には限界がある。
インフラの商社事業はポスコ・インターナショナルが担う。鋼材を年約1,240万トン扱い、鋼材以外では天然ガス田、LNG貯蔵・発電、穀物、パーム油、駆動モーター用部品を取り扱う。天然ガス生産は2025年に215Bcf、穀物輸入は約220万トンだった。鋼材商流の薄い手数料と、上流ガス・発電などの比較的厚い利益が同居するため、両者の採算を分けて見る必要がある。
ポスコE&Cはプラント・住宅・土木を請け負い、進捗に従って売上を計上する。2025年は工事損失と安全問題が重く、利益を大きく失った。物流・設備自動化とポスコDXのITサービスはグループ内の仕事が中心で、連結外販売上は小さい。ITサービスの工数課金部分だけはAIエージェントに置き換えられる可能性がある。
将来の成長源はポスコ・フューチャーMの正極材・負極材と、持株会社が出資するアルゼンチンの塩湖・豪州鉱石由来のリチウムである。2025年の電池材料部門はまだ赤字だったが、2026年には塩湖設備の稼働が進み、LFP正極材の長期契約も増えた。ただし工場能力は販売数量ではなく、投資費用を回収して初めて株主の利益になる。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社が簡単には奪えない優位は、国内製鉄所の規模と高級鋼材の品質保証にある。韓国の鋼材販売シェアは2023年の45.5%から2025年の46.6%に上がった。自動車向け鋼板や高級電磁鋼板では認証と工程変更に時間がかかり、単純な汎用品より顧客をつなぎ留めやすい。世界的な巨大製鉄所、港湾、物流網を一から造るのも容易ではない。
しかし企業全体で見れば堀は弱い。高炉の稼働率は固定費に直結し、鋼材価格は中国の供給過剰、原料高、各国の関税で動く。2021年には全社営業利益率が12%を超えたが、2025年は2.6%だった。10年のROE中央値は3.6%しかなく、直近は1.2%に落ちた。規模が大きくても資本コストを稼げなければ、再投資は価値を生まない。
リチウムは採掘権と一貫供給網を持てる点で潜在的な優位がある。一方、採掘技術の立ち上げ、炭酸リチウムの市況、LFPへの需要移行が同時に変わるため、まだ持続的な値上げ力は実証されていない。2026年の供給契約は販売先を確保する証拠であって、契約期間を超えた高い利益率の保証ではない。
財務にも余裕が乏しくなった。2025年の純負債はEBITDAの約3.5倍で、利払いの借り換え負担と大型投資が重なる。上場子会社を多数持つ構造では、連結利益と持株会社が自由に使える現金も一致しない。少数株主への還元は改善しているが、利益が工場に吸収され続ける限り、経済的な堀は深まらない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の鋼材需要は消えないが、成長は地域によって大きく違う。世界鉄鋼協会の2026年10月予測では、2026年の世界需要は約17.22億トンで横ばい、2027年は1.7%増となる。中国は不動産不況で縮小が続き、インドは2026~27年に年8%前後の成長を見込む。韓国市場の回復は浅く、ポスコが現地需要だけで数量を伸ばすのは難しい。
2025年の世界粗鋼生産は約18.5億トンで、ポスコグループは約3,864万トン、世界の約2.1%を占めた。韓国での鋼材販売シェア46.6%に対し、輸入材は23.0%を持つ。競争相手は国内の現代製鉄に加え、中国宝武、アルセロールミッタル、日本製鉄、インドのJSWスチールだ。米国のニューコアとスチール・ダイナミクスは電炉主体で、ほぼ高炉中心のポスコより脱炭素投資の負担が軽い。
転機はインドや北米での現地生産と、電池の化学組成の変化にある。2026年4月にはJSWとのインド年600万トン級の合弁契約が成立したが、持分は半分であり、全量を連結鋼材売上に上乗せすることはできない。電池については国際エネルギー機関が世界のEV向け電池需要を2025年の約1.2TWhから2035年に約4~5TWhと見込む。成長市場でも中国の寧徳時代や比亜迪、正極材のエコプロBM、リチウムのガンフォンなどとの競争は激しい。
高炉への炭素負担、欧州の炭素国境調整、米国の関税と対中規制は値段の差を広げる。韓国発輸出には米国内電炉メーカーのような関税上の囲い込みがなく、輸出先の壁が数量を削りうる。10年先に必要なのは鋼材そのものより、価格競争に耐える生産拠点と高付加価値品へ投資を移す経営である。
資本政策と M&A
資本配分はこの投資の勝負どころだ。2021年の好況時には大きな利益を出したが、その後は製鉄設備の更新、リチウム精製、電池材料への先行投資で現金が減った。2023~25年のフリー・キャッシュフローは合計で約20億ドルの赤字で、純負債は2021年の61億ドルから2025年の148億ドルへ増えた。リチウム資源を確保する判断には戦略的な意味があるが、実現した増分ROICの証拠はまだ少ない。
2026年7月の会社計画は2026~28年に29.1兆ウォンを投資し、2028年に売上87.9兆ウォン、営業利益6.7兆ウォン、ROIC5.8%を目指す。これは明確な数字の約束だが、ROIC目標自体が今回の株主資本コストに届かない。2031年の海外粗鋼年産能力1,000万トン、2033年のリチウム年産能力17.3万トンも、採算が付いて初めて価値になる。
還元は2026~28年に調整後の親会社株主利益の35~40%を現金配当と新規自社株買いで返す方針へ移った。既に保有していた自己株の2024~26年の6%消却は評価するが、消却自体を新たな現金還元として重複計上しない。上場子会社持分の一部売却を進め、持株会社が直接保有する資源事業と新規買い戻しへ回す計画だ。インドのJSWとの合弁は2026年4月に契約済みだが、共同支配の相手の利益を全額取り込む想定にはしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ポスコは単なる韓国の高炉メーカーから、鉄鋼・戦略資源・エネルギーを一体で供給する企業に変わり始めた。韓国の鋼材販売で46.6%を押さえ、高品位の自動車鋼板や電磁鋼板には顧客認証という障壁がある。世界の鋼材数量は伸び悩んでも、インドでは高成長が続き、2026年に契約したJSWとの合弁は将来の利益源になりうる。関税を避ける現地生産と付加価値品への転換が進めば、高炉の費用負担を補える。
電池材料は2025年が底である可能性がある。2026年10月にアルゼンチン第2塩湖設備の上流工程が完成し、1・2号の能力は合計で約4.8万トンになった。さらにポスコ・フューチャーMはサムスンSDIとの約6兆ウォンのLFP材料契約やSKオン向け契約を獲得した。2033年のリチウム生産能力目標17.3万トンを満たし、北米で中国外供給網の需要が増えれば、電池素材は営業利益を生む事業へ変わる。
LNGの上流権益と受入基地、発電、商社の国際網も底堅い。2025年にガスを215Bcf生産した実績があり、商社の鋼材取扱量は1,240万トンだった。子会社の株式売却で資本を軽くし、増益分の35~40%を株主へ戻す方針が実行されれば、収益力と資本効率の両面が改善する。建設の工事損失が一過性で終わるなら、2035年の全社利益には大きな上振れ余地が残る。
慎重な見方
最大の問題は、高い国内シェアが高い株主利回りに結びついていないことだ。鋼材は市況商品で、2025年の純利益は5億ドル未満だった。2006~08年や2021年の好況で高い利益が出ても、その後に巨額の設備投資が必要になり、長期のROEは低い。2028年の会社自身のROIC目標5.8%でさえ、資本コストには及ばない。利益が回復しても、使った資本の値段が高いままなら、株主の取り分は増えにくい。
高炉には脱炭素の宿題が残る。韓国の粗鋼生産の約97%を転炉で賄い、中国の輸出過剰と欧州の炭素規制に同時にさらされる。ニューコアやスチール・ダイナミクスの電炉は需要が落ちた時の停止と再開が容易だ。現代製鉄や中国宝武が薄利でも量を維持すれば、ポスコの高付加価値品でも値上げ余地は狭まる。インドの合弁は完成まで資金が出ていくが、50%の持ち分しかなく、稼働初期の利益は不確かだ。
電池の数量目標にも落とし穴がある。LFPは中国勢が費用で先行し、正極材や水酸化リチウムには世界的な設備過剰がある。設備能力と販売は別で、リチウム価格の下落が続けば稼働しても赤字になりうる。建設では2025~26年に死亡事故と工事損失が続き、行政対応と安全投資が必要だ。2026年4~6月期の増益の一部は事業売却益であり、そのまま将来へ延ばすべきではない。
どちらに重みを置いたか
持続する数量の裏付けは強気側にあるが、収益の質と投資回収では慎重な見方が勝る。会社の新しい還元方針と電池材料の契約は評価しつつ、純負債と高炉の改修負担を重く見て、楽観側28%、中立33%、悲観側39%とした。小規模なIT受託部分にはAIエージェント代替を数量と長期成長率に反映したが、全社の悲観確率をそれだけで二重に引いていない。確率加重の現在価値は約116億ドルで、約155億ドルの時価総額に対してやや割高という結論になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 76.78 ドル232 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 16.57 ドル50 億ドル)。 今の値に割り戻すと 38.35 ドル116 億ドル、今との差 −22.8%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 10.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 206.82 ドル626 億ドル | 37.03 ドル112 億ドル | +390.9% | +19.6% | 24.38 ドル74 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 127.23 ドル385 億ドル | 26.45 ドル80 億ドル | +209.4% | +13.6% | 27.66 ドル84 億ドル |
| 中立 | 33% | 73.83 ドル223 億ドル | 18.18 ドル55 億ドル | +85.2% | +7.2% | 30.36 ドル92 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 25.55 ドル77 億ドル | 7.27 ドル22 億ドル | −33.9% | −4.5% | 8.53 ドル26 億ドル |
| 悲観 | 13% | 16.86 ドル51 億ドル | 1.65 ドル5 億ドル | −62.7% | −9.7% | 2.41 ドル7 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 76.78 ドル232 億ドル | 16.57 ドル50 億ドル | +87.9% | +7.3% | 93.35 ドル282 億ドル |
今の株価時価総額 49.67 ドル150 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:現地生産とリチウム量産が資本効率を押し上げる 利益 68 億ドル · PER 9.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 206.82 ドル626 億ドル
インドを含む海外事業が育ち、高級電磁鋼板と自動車鋼板の認証を生かして販売を広げる。2035年の直接外販鋼材は3,900万トン、平均価格はトン当たり約1,470ドルになり、鋼材営業利益率は14.5%まで改善する。韓国内のシェアはおおむね47%を保ち、伸びの多くは輸出先と新しい現地拠点が生む。JSWとのインド合弁については50%の経済持ち分に限り、連結出来高へ相手分を丸ごと足さない。
アルゼンチンと豪州のリチウムが計画どおり動き、正負極材とリチウムの合計出荷は40万トンに達する。サムスンSDIとSKオンへのLFP供給で中国外の材料網に地位を築き、材料部門の利益率は18%へ回復する。ガス田とLNGの利益も伸び、建設の事故関連費用は収束する。
全社営業利益は114億ドル、純利益は68億ドルとなる。2026~30年の利益は設備立ち上げでまだ小さく、31~35年の利益拡大が累計285億ドルをつくる。正味還元112億ドルを出しても自己資本は560億ドルに増え、資本効率は資本コストを上回る。ただし成長投資の成果が全てそろう筋書きである。
- 鉄鋼製造・外販:数量 39.0(主要鋼材の直接外販(百万トン))× 価格 15(主要鋼材外販1トン当たりの外販売上換算(億ドル/百万トン。9.078は約908ドル/トン))→ 売上 573 億ドル・営業利益 83 億ドル。高付加価値鋼と海外販売で数量1.35倍
- 資源・商社:鋼材流通:数量 17.0(ポスコ・インターナショナルの鋼材取扱量(百万トン))× 価格 10(連結外販へ帰属させた1トン当たり売上(億ドル/百万トン))→ 売上 170 億ドル・営業利益 7 億ドル。商社鋼材は年1700万トンへ
- 資源・商社:LNG・天然ガス・穀物・産業資材:数量 132(非鉄・エネルギー実質取扱高(2025年価格の億ドル相当。背景数量はガス215Bcf、穀物220万トン等))× 価格 1.52(2025年を1とする混合取引単価指数)→ 売上 201 億ドル・営業利益 21 億ドル。ガス・農産・モーター部品の実質取扱1.43倍
- インフラ:建設・プラント:数量 53.0(工事出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.50(入札請負単価指数(2025年=1))→ 売上 80 億ドル・営業利益 7 億ドル。施工損失が消え案件の選別が進む
- 充電池材料・リチウム:数量 0.4(正極材・負極材・リチウム製品の合算出荷(百万トン、製品換算・推定))× 価格 275(混合出荷1トン当たり売上(億ドル/百万トン。234.4は約2.34万ドル/トン))→ 売上 110 億ドル・営業利益 20 億ドル。LFP・リチウムを合わせ40万トン
- 現場自動化・物流:数量 1.5(現場自動化・物流の実質外販出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.55(設備施工・運用の契約価格指数)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。物理設備の省人化投資が続く
- ITサービス・システム運用:数量 1.0(IT受託工数相当(2025年=1.09億ドルの固定価格出来高))× 価格 1.30(工数当たり契約価格指数(2025年=1))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替下でも高度連携案件が残り工数は0.95倍
- 持株会社・その他:数量 0.4(その他事業の実質外販額(2025年価格の億ドル))× 価格 1.35(その他サービス価格指数)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。一時的な売却益は含まない
倍率:2035年自己資本559.9億ドルへの純利益68億ドルでROE12.15%。k10.5%、弱い堀で超過利回りの1/3が残るためRONIC11.05%、g2.5%、10年目の利益に掛ける正当化PER上限は9.91倍。鋼材とリチウムの市況変動を考えて上限の92.8%の9.20倍。利益は一時売却益を除いた会計純利益。
確率:インド・北米の現地生産、リチウムの高稼働、LFPの契約履行と高級鋼の価格改善がそろう必要がある。高炉中心の企業でここまで重なる確率は1割とした。
やや楽観 18% やや楽観:高級鋼とLNGが定着し、電池の損益が改善 利益 43 億ドル · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 127.23 ドル385 億ドル
鋼材は高級品の比率を上げ、国内で高いシェアを維持する。直接外販は2035年に3,600万トン、売値はトン当たり約1,360ドルへ上がる。韓国市場だけでなく東南アジアの現地生産と一部のインド持分利益が寄与し、鋼材営業利益率は11.2%へ戻る。ニューコアなどの電炉と同じ利益率を当然視せず、高炉の改修費用を含めている。
LNGの貯蔵・発電とガス田の増産が、素材の振れを和らげる。材料の出荷は31.5万トンへ増え、量産初期の赤字がなくなり、建設も事故関連の引当金を通常の施工費へ吸収できる。一方、2026年の一時的な海外子会社の売却益は繰り返さない。
全社営業利益は75億ドル、純利益は43億ドルへ育つ。累計純利益210億ドルのうち80億ドルを正味還元に回し、自己資本は517億ドルになる。ROEはなお株主資本コストより低いが、設備投資を絞るほど改善の余地がある。海外JVからの配当は持分に応じて扱い、全ての現地売上を連結しない。
- 鉄鋼製造・外販:数量 36.0(主要鋼材の直接外販(百万トン))× 価格 14(主要鋼材外販1トン当たりの外販売上換算(億ドル/百万トン。9.078は約908ドル/トン))→ 売上 490 億ドル・営業利益 55 億ドル。高級鋼の混合比率上昇と海外拠点
- 資源・商社:鋼材流通:数量 15.4(ポスコ・インターナショナルの鋼材取扱量(百万トン))× 価格 9.50(連結外販へ帰属させた1トン当たり売上(億ドル/百万トン))→ 売上 146 億ドル・営業利益 5 億ドル。商社取扱鋼材1540万トン
- 資源・商社:LNG・天然ガス・穀物・産業資材:数量 120(非鉄・エネルギー実質取扱高(2025年価格の億ドル相当。背景数量はガス215Bcf、穀物220万トン等))× 価格 1.46(2025年を1とする混合取引単価指数)→ 売上 175 億ドル・営業利益 16 億ドル。LNGと非鉄の実質取扱が3割増
- インフラ:建設・プラント:数量 49.0(工事出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.45(入札請負単価指数(2025年=1))→ 売上 71 億ドル・営業利益 5 億ドル。大きな工事事故を回避
- 充電池材料・リチウム:数量 0.3(正極材・負極材・リチウム製品の合算出荷(百万トン、製品換算・推定))× 価格 260(混合出荷1トン当たり売上(億ドル/百万トン。234.4は約2.34万ドル/トン))→ 売上 82 億ドル・営業利益 12 億ドル。31.5万トンへ増産し粗利回復
- 現場自動化・物流:数量 1.3(現場自動化・物流の実質外販出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.50(設備施工・運用の契約価格指数)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。無人搬送・制御の現場案件
- ITサービス・システム運用:数量 0.9(IT受託工数相当(2025年=1.09億ドルの固定価格出来高))× 価格 1.27(工数当たり契約価格指数(2025年=1))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替で工数0.78倍、単価1.27倍
- 持株会社・その他:数量 0.4(その他事業の実質外販額(2025年価格の億ドル))× 価格 1.40(その他サービス価格指数)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。売却益を構造利益にしない
倍率:自己資本516.9億ドル、純利益43億ドルでROE8.32%。k10.5%、弱い堀の残存率1/3からRONIC9.77%、g2.5%とすると10年目利益用の式の上限は約9.53倍。ただしROEがk以下のため1÷kの9.52倍が上限。利益の質を見て94.0%の8.95倍とする。
確率:2026年の回復と契約済み材料の増産が進む現実的な上側。ただし海外の設備立ち上げと鋼材価格の改善が同時に要るため2割未満。
中立 33% 中立:数量は緩やかに回復、投資回収はなお重い 利益 27 億ドル · PER 8.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 73.83 ドル223 億ドル
韓国の建築需要は大きく伸びないが、世界の鋼材需要は緩やかに増える。ポスコの直接外販は2025年の2,895万トンから3,300万トンに増え、1トンの売値は約1,235ドルになる。名目単価の伸びは物価の1.41倍より少し低い。韓国の販売シェアは46~47%を守る一方、増える鋼材の多くは海外拠点と電磁鋼板などの高級品で稼ぐ。
商社のガス・穀物・産業資材は実質取扱を約17%増やす。建設は事故対応費用をならして小幅な黒字へ戻り、材料部門では正極材・負極材とリチウム合計の出荷が25.5万トンになる。ただし世界の電池需要が伸びても、LFPの低価格競争と資源安で利益率は12%にとどめる。DXのIT工数はAIエージェント代替により35%減り、実質の事業規模は縮む。
全社営業利益は52億ドル、純利益は27.4億ドルとなる。借金の借り換え金利は税前で年約3億ドルの逆風となり、営業利益から親会社利益への転換率は過去の中位から大きく変えない。10年累計純利益143億ドルに対して正味還元55億ドル、期末自己資本475億ドルとなる。工場が完成してもROEは約5.8%にとどまり、ここが価値を抑える。
- 鉄鋼製造・外販:数量 33.0(主要鋼材の直接外販(百万トン))× 価格 12(主要鋼材外販1トン当たりの外販売上換算(億ドル/百万トン。9.078は約908ドル/トン))→ 売上 408 億ドル・営業利益 37 億ドル。市場微増と海外で3300万トン、実質価格ほぼ横ばい
- 資源・商社:鋼材流通:数量 13.7(ポスコ・インターナショナルの鋼材取扱量(百万トン))× 価格 8.70(連結外販へ帰属させた1トン当たり売上(億ドル/百万トン))→ 売上 119 億ドル・営業利益 3 億ドル。流通取扱は1370万トン
- 資源・商社:LNG・天然ガス・穀物・産業資材:数量 108(非鉄・エネルギー実質取扱高(2025年価格の億ドル相当。背景数量はガス215Bcf、穀物220万トン等))× 価格 1.40(2025年を1とする混合取引単価指数)→ 売上 151 億ドル・営業利益 13 億ドル。ガス215Bcfなどの数量は拡大、価格は物価並み
- インフラ:建設・プラント:数量 45.0(工事出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.41(入札請負単価指数(2025年=1))→ 売上 63 億ドル・営業利益 3 億ドル。実質工事出来高を小幅に積み上げ
- 充電池材料・リチウム:数量 0.3(正極材・負極材・リチウム製品の合算出荷(百万トン、製品換算・推定))× 価格 245(混合出荷1トン当たり売上(億ドル/百万トン。234.4は約2.34万ドル/トン))→ 売上 62 億ドル・営業利益 8 億ドル。正負極材・リチウム合計25.5万トン
- 現場自動化・物流:数量 1.3(現場自動化・物流の実質外販出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.41(設備施工・運用の契約価格指数)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。現場施工の数量は1.15倍
- ITサービス・システム運用:数量 0.7(IT受託工数相当(2025年=1.09億ドルの固定価格出来高))× 価格 1.25(工数当たり契約価格指数(2025年=1))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替型で工数0.65倍、価格1.25倍、g=0%
- 持株会社・その他:数量 0.4(その他事業の実質外販額(2025年価格の億ドル))× 価格 1.41(その他サービス価格指数)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。持株会社の一時的な受取を除外
倍率:自己資本474.9億ドル、純利益27.4億ドルからROE5.77%。k10.5%、弱い堀の残存率1/3でRONIC8.92%。鋼材の実質市場横ばい、シェア安定、物価より低い価格と成長するLNG・材料を合算した長期g2.5%で、10年目の利益に掛ける正当化PERは9.22倍。設備投資回収の不確実さを反映し、その88.4%の8.15倍とする。GAAP純利益に償却やSBCの戻しはない。
確率:2026年の鋼材・LNG回復とリチウム立ち上げの実績は反映するが、2028年計画の全面達成には依存しない。低い資本効率が続く筋書きを中心にした。
やや悲観 26% やや悲観:高炉コストと素材競争で利益が低迷 利益 11 億ドル · PER 6.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 25.55 ドル77 億ドル
韓国の鋼材消費が緩やかに縮み、現代製鉄と中国からの輸入に押されてポスコの直接外販は2,850万トンにとどまる。売値は10年で約1.20倍しか上がらず、物価に対して実質で15%程度安くなる。高炉の固定費と脱炭素費用が利益を削り、鋼材営業利益率は6.2%に下がる。インドの合弁は遅れ、株主に届く利益が少ない。
商社の天然ガス・農産・材料の取扱も伸びず、建設の利益は薄い。リチウム製造は動いても設備稼働率が上がらず、電池材料の値下げで利益率は2%に落ちる。IT受託の実質工数はAIエージェント代替で42%減り、賃上げよりも顧客側の自動化効果が強く出る。
全社営業利益は22億ドル、純利益は11.2億ドルで、2026年の回復後も苦しい年が長く続く。累計利益65億ドルのうち22億ドルしか還元できず、自己資本は430億ドルとなる。帳簿は増えても稼ぐ力が弱く、持株会社の割引が解けない展開である。
- 鉄鋼製造・外販:数量 28.5(主要鋼材の直接外販(百万トン))× 価格 11(主要鋼材外販1トン当たりの外販売上換算(億ドル/百万トン。9.078は約908ドル/トン))→ 売上 311 億ドル・営業利益 19 億ドル。鋼材外販は横ばい、価格は物価に大きく負ける
- 資源・商社:鋼材流通:数量 12.0(ポスコ・インターナショナルの鋼材取扱量(百万トン))× 価格 7.80(連結外販へ帰属させた1トン当たり売上(億ドル/百万トン))→ 売上 94 億ドル・営業利益 1 億ドル。鋼材商社は薄利で取扱横ばい
- 資源・商社:LNG・天然ガス・穀物・産業資材:数量 91.0(非鉄・エネルギー実質取扱高(2025年価格の億ドル相当。背景数量はガス215Bcf、穀物220万トン等))× 価格 1.28(2025年を1とする混合取引単価指数)→ 売上 116 億ドル・営業利益 8 億ドル。ガス需要は残るが実質取扱は小幅減
- インフラ:建設・プラント:数量 38.0(工事出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.29(入札請負単価指数(2025年=1))→ 売上 49 億ドル・営業利益 1 億ドル。事故再発を避けても利益は薄い
- 充電池材料・リチウム:数量 0.2(正極材・負極材・リチウム製品の合算出荷(百万トン、製品換算・推定))× 価格 205(混合出荷1トン当たり売上(億ドル/百万トン。234.4は約2.34万ドル/トン))→ 売上 33 億ドル・営業利益 1 億ドル。材料の稼働率・価格とも不十分
- 現場自動化・物流:数量 1.0(現場自動化・物流の実質外販出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.26(設備施工・運用の契約価格指数)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。自動化投資の鈍化
- ITサービス・システム運用:数量 0.6(IT受託工数相当(2025年=1.09億ドルの固定価格出来高))× 価格 1.13(工数当たり契約価格指数(2025年=1))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替で工数0.58倍、価格1.13倍
- 持株会社・その他:数量 0.3(その他事業の実質外販額(2025年価格の億ドル))× 価格 1.25(その他サービス価格指数)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。持株会社の一時益なし
倍率:ROE2.61%はk10.5%を大きく下回るため、利益を留保しても額面どおりの価値にならない。弱い堀、RONIC7.87%、g2.5%で式の上限は約8.74倍。構造的な競争負けと高炉費用を反映して6.90倍で評価し、中立の8.15倍より低くする。
確率:韓国の内需減と中国の安価な輸出、建設の工事損失、電池の価格下落が重なる可能性は低くない。弱い値決め力と借金から中立に次ぐ確率を与えた。
悲観 13% 悲観:高炉とリチウムの投資損失が重なる 利益 8 億ドル · PER 6.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 16.86 ドル51 億ドル
韓国の鋼材市場が縮み、安価な輸入と電炉技術に追われて古い高炉の閉鎖が必要になる。鋼材の直接外販は2,300万トンへ減り、売値も約1,000ドルにとどまる。素材を安く出さざるをえず、鋼材利益率は5.2%しか残らない。量は減っても維持費が消えないため、製鉄所と周辺設備の固定費が重い。
電池材料では中国勢のLFPとリチウム過剰供給に押され、能力はできても売れず、材料事業は再び赤字になる。建設事故の費用負担も残り、事業売却と設備の減損を余儀なくされる。天然ガスと穀物貿易の契約利益だけが全社の赤字転落を防ぐ。IT工数はAIエージェント代替で45%減るが、会社全体に対する影響は小さい。
2035年の営業利益は15億ドル弱、親会社純利益は7.5億ドルである。2026~30年に設備・投資持分の損失と減損約100億ドルが生じ、後半の回復益を差し引いた10年累計純利益はマイナス65億ドルとなる。正味還元は5億ドルに縮み、自己資本は317億ドルとなる。資産価値の床を帳簿額でなく税後回収額で測れば、株主に残る価値は大きく損なわれる。
- 鉄鋼製造・外販:数量 23.0(主要鋼材の直接外販(百万トン))× 価格 10(主要鋼材外販1トン当たりの外販売上換算(億ドル/百万トン。9.078は約908ドル/トン))→ 売上 230 億ドル・営業利益 12 億ドル。老朽高炉撤退と輸入によるシェア低下
- 資源・商社:鋼材流通:数量 10.2(ポスコ・インターナショナルの鋼材取扱量(百万トン))× 価格 7.10(連結外販へ帰属させた1トン当たり売上(億ドル/百万トン))→ 売上 72 億ドル・営業利益 2 億ドル。流通鋼材1020万トンに減少
- 資源・商社:LNG・天然ガス・穀物・産業資材:数量 76.0(非鉄・エネルギー実質取扱高(2025年価格の億ドル相当。背景数量はガス215Bcf、穀物220万トン等))× 価格 1.20(2025年を1とする混合取引単価指数)→ 売上 91 億ドル・営業利益 7 億ドル。LNG・穀物で最低限の取扱を保つ
- インフラ:建設・プラント:数量 27.0(工事出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.16(入札請負単価指数(2025年=1))→ 売上 31 億ドル・営業利益 −1 億ドル。損失契約と安全対応費が継続
- 充電池材料・リチウム:数量 0.1(正極材・負極材・リチウム製品の合算出荷(百万トン、製品換算・推定))× 価格 190(混合出荷1トン当たり売上(億ドル/百万トン。234.4は約2.34万ドル/トン))→ 売上 25 億ドル・営業利益 −2 億ドル。余剰リチウム設備で赤字、減損
- 現場自動化・物流:数量 0.9(現場自動化・物流の実質外販出来高(2025年固定価格の億ドル))× 価格 1.22(設備施工・運用の契約価格指数)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。工場自動化投資も縮小
- ITサービス・システム運用:数量 0.6(IT受託工数相当(2025年=1.09億ドルの固定価格出来高))× 価格 1.00(工数当たり契約価格指数(2025年=1))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替で工数0.55倍、価格据え置き
- 持株会社・その他:数量 0.3(その他事業の実質外販額(2025年価格の億ドル))× 価格 1.20(その他サービス価格指数)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。持株会社の持分売却益なし
倍率:2035年末自己資本316.9億ドルに純利益7.5億ドルでROE2.37%。k10.5%、弱い堀でRONIC7.79%、g2.5%の式の上限は約8.70倍。高炉と材料の投資失敗に伴う再投資の損失を考え、上限の約78%に当たる6.80倍とする。これによる時価総額51.0億ドルは税後売却資産の保守的な床50億ドルを上回る。
確率:中国材と電炉に対するコスト競争に負け、リチウム設備で減損が生じる低確率だが重大な筋書き。現金化できる資産が残るため倒産確率そのものは高く見ない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
鉄鋼製造・外販
韓国内外の高炉・電炉で熱延・冷延・厚板・ステンレス・電磁鋼板を生産し、直接顧客へ売る。貿易子会社経由の販売は別に計上する。
| 数量主要鋼材の直接外販(百万トン) | 価格主要鋼材外販1トン当たりの外販売上換算(億ドル/百万トン。9.078は約908ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 28.9 | 9.08 | 263 | 14 |
| 10 年後 中立 | 33.0 | 12 | 408 | 37 |
取り方:2025年20-Fに主要6品目の直接外販28,949千トン、鋼材外販37285十億ウォンを開示。全社486.2億ドル/開示合計68987十億ウォンの換算比率で外販262.77億ドル。表示価格はその他製品を含むセグメント外販売上÷主要品目数量であり、20-Fが開示する6品目の単純平均価格1159315ウォン/トンそのものではない。韓国内販シェア46.6%、粗鋼グループ生産3864万トン、世界生産約18.5億トンの2.1%。2025年の営業利益は内部取引を含むセグメント営業利益1960十億ウォンを同じ比率でドル換算した概算。
資源・商社:鋼材流通
ポスコ・インターナショナルの鋼材販売・輸出入。直接製鋼部門の外販から除いた社内経由販売と外部調達品を扱い、連結売上を重複計上しない。
| 数量ポスコ・インターナショナルの鋼材取扱量(百万トン) | 価格連結外販へ帰属させた1トン当たり売上(億ドル/百万トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.4 | 6.07 | 75 | 2 |
| 10 年後 中立 | 13.7 | 8.70 | 119 | 3 |
取り方:子会社の2025年説明資料で鋼材取扱12.4百万トン、同社の鋼材部門売上14547十億ウォンを確認。持株会社20-Fの商社外販23744十億ウォンを、子会社の鋼材売上14547/同社連結売上32374の構成比で配賦して約10670十億ウォン=75.22億ドルを推定。単価は内部取引消去後の連結寄与売上に対応する約607ドル/トンであり、顧客への総請求単価ではない。2025年セグメント利益は子会社鋼材利益237/全体1165の比を商社営業利益に適用した概算。
資源・商社:LNG・天然ガス・穀物・産業資材
ガス田・受入基地・発電、穀物、パーム油、車載モーター部品などの混合事業。鋼材取引から独立した数量・価格で判断する。
| 数量非鉄・エネルギー実質取扱高(2025年価格の億ドル相当。背景数量はガス215Bcf、穀物220万トン等) | 価格2025年を1とする混合取引単価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 92.1 | 1.00 | 92 | 6 |
| 10 年後 中立 | 108 | 1.40 | 151 | 13 |
取り方:商社外販167.34億ドルから鋼材75.22億ドルを控除した非鋼材の外販推定。実際の取扱量は2025年にガス215Bcf、穀物2.2百万トン、パーム油0.19百万トン、モーターコア220万個と単位が異なるため、架空の合計トンは作らず2025年固定価格の実質取扱高を数量の代用とした。単価は取扱バスケットの価格指数で、数量の伸びは各市場・契約数量・シェアを加重して推定する。2025年セグメント利益は商社全体の開示と子会社のエネルギー・その他利益構成から配分した概算。
インフラ:建設・プラント
ポスコE&Cが製鉄・エネルギーのプラント、住宅、土木工事を請け負い、工事進捗と受注残を売上にする。
| 数量工事出来高(2025年固定価格の億ドル) | 価格入札請負単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 39.6 | 1.00 | 40 | −4 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 1.41 | 63 | 3 |
取り方:2025年20-Fに外販5615十億ウォン、内部取引込みの建設セグメント営業損失504十億ウォン。工場・住宅・土木を件数で足せないため、外販金額を2025年固定価格の工事出来高とした。工事数量は韓国の建設投資・海外プラント市場とポスコE&Cの受注シェアから動かし、請負単価を別に動かす。競合は現代建設、サムスン物産、GS建設で、2025年の損失は工事事故・追加費用が大きい。
充電池材料・リチウム
ポスコ・フューチャーMの正極材と負極材、持株会社の塩湖・鉱石リチウム精製を含む。初期赤字からの量産立ち上がりが焦点。
| 数量正極材・負極材・リチウム製品の合算出荷(百万トン、製品換算・推定) | 価格混合出荷1トン当たり売上(億ドル/百万トン。234.4は約2.34万ドル/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.1 | 234 | 15 | −3 |
| 10 年後 中立 | 0.3 | 245 | 62 | 8 |
取り方:持株会社20-Fの電池素材外販2096十億ウォンを14.77億ドルに換算。出荷公表が部門合算でないため、2025年正極材約4.2万トンと負極材約2.1万トン(子会社・同業資料の推定)を合わせ0.063百万トンとした。混合単価は内部品種構成を含む売上逆算で、炭酸リチウム単価そのものではない。2026年アルゼンチン上流設備約4.8万トンの能力は実売数量に入れず、2035年の増量も稼働率と電池・鉱石の供給シェアを別に検討する。2025年の内部取引前営業損失441十億ウォンをドル換算。
現場自動化・物流
ポスコDXの製鉄所制御・倉庫自動化と物流の現場工事・運用。実機導入と設備更新はAIだけでは置き換わらない。
| 数量現場自動化・物流の実質外販出来高(2025年固定価格の億ドル) | 価格設備施工・運用の契約価格指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.1 | 1.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.3 | 1.41 | 2 | 0 |
取り方:20-Fの物流・その他外販309十億ウォン=2.18億ドルを、ポスコDXの2025年開示にある自動化49%・ITサービス51%という事業構成を参考に概ね折半した推定。物流会社の売上の多くはグループ内取引で連結消去されるため、子会社総売上約1.08兆ウォンをそのまま使わない。現場制御・施工の実質出来高は設備投資・顧客シェアに連動する。
ITサービス・システム運用
ポスコDXの社内外システム構築・保守・IT受託。人月・工数で売る部分にAIエージェント代替の構造リスクがある。
| 数量IT受託工数相当(2025年=1.09億ドルの固定価格出来高) | 価格工数当たり契約価格指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.1 | 1.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.7 | 1.25 | 1 | 0 |
取り方:20-Fの物流・その他外販2.18億ドルを暫定的にITサービスと設備自動化へ半分ずつ分けた。ポスコDXは2025年にITサービス約51%と開示し、そのうちグループ内の売上は連結消去されるため外販比率は推定。AIエージェント代替に当たる「人月・工数」型で、2035年中立の数量は2025年の0.65倍、価格は1.25倍、2035年以降の名目成長0%を適用する。規制データ基盤などの堀の証拠が2つ揃わず、記録の正本型には分類しない。
持株会社・その他
連結の持株会社と小規模事業の外販売上。持株会社が受ける配当や売却益は社内消去・一時利益と切り分ける。
| 数量その他事業の実質外販額(2025年価格の億ドル) | 価格その他サービス価格指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.3 | 1.00 | 0 | 7 |
| 10 年後 中立 | 0.4 | 1.41 | 0 | 0 |
取り方:2025年20-Fのその他外販45十億ウォンを0.32億ドルへ換算。内部取引込みのその他営業利益972十億ウォンは6.85億ドルだが、持株会社の受取配当や資産取引を多く含む。鋼材などとの内部取引と調整は、2025年の合計営業利益を全社12.6億ドルへ調整する約-9.76億ドルに含まれる。2035年には一時利益を永久化せず、その他の営業利益をほぼゼロで見る。
リスクと懸念
高炉の低収益と脱炭素負担
2025年の韓国製鉄は粗鋼の約97%を高炉・転炉でつくり、電炉中心のニューコアなどより操業停止・再開が重い。欧州の炭素国境調整や顧客の低排出鋼材調達基準に対応するには、HyREXなどの設備更新が必要だ。製鉄所の大型更新が続けば、利益が戻っても自由に配れる現金は増えない。
中国の輸出過剰と韓国内需の鈍化
韓国の鋼材販売シェア46.6%は強いが、輸入材も23.0%を占める。世界鉄鋼協会は2026年の中国鋼材需要が2%縮むと予測し、中国の余剰が輸出へ回れば韓国・東南アジアの価格が下がる。10年の名目鋼材単価が物価に追いつかない事態が続くと、高い稼働率でも売上総利益率を保てない。
リチウム投資と電池技術の不確実性
アルゼンチンの塩湖1・2号は約4.8万トンの上流能力を備えるが、設備能力と出荷・現金回収は別物である。2033年の能力17.3万トンに向けた投資中にリチウム価格が下がり、LFPや別の電池化学へ需要が移れば、正極材の工場が遊ぶ。資源権益の価値は増産計画より、実現原価と長期契約の利益率で測るべきだ。
過剰設備投資と金利
2025年の純負債は148億ドルでEBITDAの約3.5倍、直近3年はフリー・キャッシュフローが赤字だった。2026~28年の投資計画29.1兆ウォンは株式時価総額に匹敵する規模である。借り換え金利を約5.75%とすると税前利益は10年で年約3億ドル削られ、資産売却で補っても新投資の回収が遅ければ株主への還元が細る。
建設の安全規制・工事損失
ポスコE&Cでは2025年に重大な死亡事故が相次ぎ、韓国当局は現場と本社の監督で多数の法令違反を指摘した。2026年にも事故に伴う監督が続き、工事停止や追加安全費用、受注競争力の低下が起こりうる。固定価格の請負工事では費用増を後から価格へ転嫁しにくく、一案件の失敗が建設部門の年間利益を消す。
上場子会社の少数株主と資本移動
持株会社はポスコ・インターナショナル、フューチャーM、ポスコDXなど上場子会社を束ねる。連結の売上と現金は全額が親会社の自由資金ではなく、子会社の少数株主の権利、設備投資計画、規制が先にある。2027年までの保有比率調整は持株会社の割引解消策だが、売却した持分から将来の利益も失うため、調達した現金の使い道が成否を決める。
AIエージェント代替(小規模IT受託)
ポスコDXのITシステム構築・運用は人月・工数を収益にする部分があり、AIエージェントが保守・定型開発・社内画面操作を代替する。中立のIT工数を10年で0.65倍、単価1.25倍、2035年以降の名目成長0%とした。ただしグループ連結外販売上の約0.2%と小さく、製鉄設備やLNG、現場の自動化工事まで同じ縮小率を掛けない。
今後の分かれ目
- 鋼材の主要外販数量が年間3000万トン未満にとどまり、韓国内販シェアが44%を割ったら
- 国内の堀が縮小しているため、鋼材数量の中立を3300万トンから引き下げ、弱気側の確率を増やす。価格改定より取扱数量の減少を重く見る。
- 2030年までに海外製鉄所の実売が伸び、インド合弁から持分利益が継続的に流入したら
- 楽観側を厚くする。合弁の600万トンを全額連結売上には入れず、持分に帰属する継続利益と追加資金負担を追跡する。
- アルゼンチン塩湖の販売数量が実能力の70%を超え、連続4四半期で黒字と営業キャッシュフローが確認できたら
- 材料の中立利益率12%への確信を高める。価格上昇だけの一時益ではなく、原価と回収運転資金が安定したことを条件にする。
- 連結ROICが2年以上8%を超え、投資後も純有利子負債が減少したら
- 単なる景気反発ではなく投下資本の回収が改善したと判断し、中立の利益率と資本効率を上方に見直す。会社目標5.8%との差が肝心だ。
- 新しい大規模建設事故またはリチウム設備減損が重なり、連結FCFの赤字が3年続いたら
- 持株会社の資金調達余地と還元原資を下方修正し、やや悲観・悲観の確率を上げる。帳簿の純資産をそのまま床にはしない。
- 2028年の売上87.9兆ウォン・営業利益6.7兆ウォンを達成してもROICが5.8%近辺のままだったら
- 利益目標の達成をもって割安とは見ない。追加投資のリターンが10.5%の株主資本コストに届かないため、還元・負債削減の方針を優先して判断する。
- IT受託の顧客工数が年率5%以上減り、工数単価も据え置かれたら
- AIエージェント代替が中立想定を上回るため、IT部分のみ数量と利益率を下げる。現場施工や物流の物理設備までは一律に縮小しない。
見ておくもの
- 韓国鋼材の販売数量と国内販売シェア(2025年46.6%)
- 鋼材外販のトン単価、鉄鉱石・石炭価格と高炉稼働率
- インドJSW合弁の建設費・完成時期・持分利益
- アルゼンチン塩湖と豪州鉱石由来リチウムの販売数量・実現原価・稼働率
- LFPのサムスンSDI・SKオン向け供給実績と粗利率
- 商社のガス生産215Bcf、LNG・発電稼働率、穀物取扱量
- 2028年会社計画のROIC5.8%と、実績の株主資本コスト10.5%との差
- 純有利子負債148億ドルの推移、実現設備投資とフリー・キャッシュフロー
- 上場子会社の売却対価と新規自社株買いのキャッシュ支出
- 2026年11月2日予定の第3四半期公表と建設事故の後続費用
- ポスコDXのITサービス工数売上とAIエージェント導入後の契約単価
倍率と資本コストの決め方
2025年の帳簿自己資本387億ドルに対する株価の低さを価値の出発点にはしていない。直接鋼材のトン数、商社の鋼材取扱量、ガス・資材の実質取扱高、工事の実質出来高、電池材料の出荷量を、それぞれ名目単価と掛けて2035年の利益を作った。2025年の開示には内部取引を含む子会社の利益と連結外販の違いがあるため、調整項目で明示して二重計上を避けた。倍率は弱い堀、k10.5%、長期g2.5%、将来の自己資本ROEからRONICを計算して決め、市場のPER・PBRや同業の売買値段から逆算していない。期間中の純利益累計から正味還元を引いた自己資本を各筋書きで検算し、悲観の税後回収資産の床50億ドルも確認した。韓国企業のIFRS会計でリースは既に負債計上され、見かけの現金に二重の値段を付けていない。
資本コスト 10.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本8.0%+quality2.5%=10.5%。韓国の高炉中心で負債も重く、同領域の電炉企業ニューコア・スチールダイナミクスの9.5%より1ポイント高い。存続危機にはないためextraはゼロ。βと市場のPERは不使用。