株譜
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スチール・ダイナミクス STLD

電炉で米国第 2 位級の鋼材メーカー。今は関税と値上がりの山で純利益が 2 倍超、アルミ新工場の成否も加わるが、ならした利益で測ると割高

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)118.57 ドル176 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)239.9 ドル356 億ドル差 −50.6%
10 年後から見ると 割高 価値 118.57 ドル176 億ドル · 差 −50.6% · 期待の年率 +0.5%
期待の年率リターン(10 年)+0.5%資本コスト比 −9.0 pt
推定の資本コスト9.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 9.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

スチール・ダイナミクスは電炉(スクラップを溶かす製鋼)の鋼材メーカーで、製鋼(薄板・形鋼・棒鋼・レール)、鋼材加工(建築の床・屋根の鋼材)、金属リサイクル、そしてミシシッピ州コロンバスで立ち上げ中のアルミ圧延(新事業)が柱。2022 年に稼働したテキサス州シントンの薄板工場も加わった。2025 年は売上 182 億ドル、営業利益 16 億ドル(利益率 8.5%)、純利益 12 億ドルと、2021〜22 年の山(純利益 32〜39 億ドル)から落ちた谷に近い年だった。ところが 2026 年は 232 条の 50% 関税で輸入が減り、4〜6 月期は出荷 374 万トンの過去最高、製鋼所の稼働率は 90%(業界は推定 81%)、純利益 5.3 億ドル。上半期は 9.4 億ドル、7〜9 月期は会社の見通し(1 株利益の範囲から換算)で約 7.7 億ドルと一段上がり、2026 年の純利益は 25 億ドル前後になる。

強みは、電炉の軽い固定費、薄板(めっき・塗装品まで)から形鋼・レールまで揃う品ぞろえ、投資適格の財務。弱みは、鋼材が商品で価格を決める力がないこと、利益が売値とスクラップのスプレッドでほぼ決まること、2027〜28 年に同業の新設が重なること、アルミが 50 億ドル超の成長投資の回収をこれから証明する段階にあること。

バリュー投資の観点では、今の山の利益をそのまま続くものとは見ない。製鋼の営業利益は外販 1 トンあたり 2026 年の約 230 ドルから、10 年後は名目で約 210 ドル(実質で約 150 ドル)に戻ると置き、アルミは会社が言う通常時の力の 6〜7 割にとどまる中立を置いた。すると 10 年後の純利益は 28 億ドル。利益ベースの正当化 PER(堀は弱い・k 9.5%・g 4%)の上限の 9 割、約 10.3 倍を掛けた時価総額は約 286 億ドル。今の約 357 億ドルは 2026 年の山の利益の 14 倍にあたり、割り引いた本質価値は今より 50% ほど低い。事業は 10 年後も存在し堀も保たれるが、景気の山でつかむ値段ではない、という結論である。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、まず「10 年後も存在するか」を問う。答えは、存在する。米国の建築・インフラ・機械の鋼材需要は残り、電炉は高炉を置き換えている。堀は「費用の位置と品ぞろえ・立地の厚み」で、ニューコアと同程度の相対優位だが価格を決める力はない。10 年後にいま以上に強いかは、シントンの稼ぎ、鋼材加工の受注、アルミの立ち上がりが示すことで、確信は持てない。

オーナー利益で見ると、2026 年の純利益 25 億ドル前後は、設備投資(今年 5.6〜6.1 億ドル、維持だけなら 2.5〜3 億ドル)と配当・自社株買いを引いても厚いが、5 年平均は 24 億ドル(2021〜25 年は 32・39・24・15・12 億ドル。山の 2 年を除く 3 年は 17 億ドル)で、ならした利益は 18〜22 億ドル。今の時価総額約 350 億ドルはならした利益の 16〜19 倍で、鋼材の過去の PER の中央値 13 倍より高い。アルミの成功を半分以上織り込む値段でもある。

資本配分は良い方で、山で自社株を安く買い、投資適格を守った。反面、アルミは初めての事業で投下額が大きく、失敗した時の損が大きい。安全域は、ならした利益の 12〜13 倍(時価総額 230〜280 億ドル)、または PBR 1.6 倍前後(自己資本 90 億ドル強に対して 150 億ドル弱)まで下がった局面にあると考える。今の値段は山の利益をなお先取りしており、確信度は中程度である。

何で稼ぐ会社か

売上の大半は製鋼。薄板(バトラー、コロンバス、シントンの 3 つの薄板工場と加工ライン。自動車・建築・家電向け)、構造用形鋼とレール(インディアナ州コロンビア・シティの工場)、特殊棒鋼、ローノーク棒鋼、ウェストバージニア製鋼所が出荷を担う。2026 年 4〜6 月期の出荷は 374 万トン(外販 309 万、社内向け 66 万)、外販の平均売値は 1 トン 1,298 ドル、原料のスクラップは 1 トン 412 ドル。利益はこの売値とスクラップ・電力・人件費のスプレッドと稼働率で決まる。薄板の約 8 割は 2 か月ほど遅れて値が動く契約で、値上がりが利益に出るのに時間差がある。

鋼材加工(ニュー・ミレニアム・ビルディング・システムズなど)は建築の床・屋根のデッキとジョイストが中心で、4〜6 月期の出荷 16 万トン、1 トンの売値は 2,442 ドルと製鋼の約 2 倍。非住宅の建築が最大の用途で、受注残は前年より約 45% 多く 2027 年 1 月期まで埋まっている。製鋼の出口にもなる一方、鋼の値上がりを製品に転嫁するのに時間がかかる。

金属リサイクルは鉄・非鉄スクラップの収集・加工・販売で、自社の電炉に原料を回す役割(4〜6 月期の鉄スクラップ出荷 167 万トンのうち外販は 59 万トン)。メキシコでもスクラップ事業を持ち、コロンバスとシントンの原料を強くしている。

アルミ(アルミニウム・ダイナミクス)は 2026 年の最大の変数。コロンバスに年 65 万メトリックトンの圧延工場を建て、缶用板と自動車用板を作る。4〜6 月期の出荷は 5.3 万トンまで増え、営業損失は 0.33 億ドル(前期比 48% 改善)。冷間圧延機は 3 台のうち 2 台が稼働し、3 台目が 7〜8 月、2 つ目の鋳造棟が 10〜12 月期、自動車向けの販売は年内開始の予定。会社は通常時の利益力(EBITDA)を年 6.5〜7 億ドルと言うが、実績はまだ赤字で、これは未確認の目標である。

優良さと弱いところ

優良さは「鋼材の中では高いが、優良企業の水準には届かない」。堀は 3 つ。1 つ目は費用の位置:電炉はスクラップで作るため高炉より設備投資と排出が少なく、需要が落ちても減産して黒字を保てる(2009 年も黒字は薄いが維持)。2 つ目は品ぞろえと立地:薄板のめっき・塗装品、形鋼、レール、棒鋼、加工まで内製し、地域ごとに工場とスクラップ網を持つ。めっきと熱延コイルのスプレッドは年初の 100 ドル弱から 220 ドル超に開き、付加価値品が効いている。3 つ目は財務と配分:投資適格で、現金 5.7 億ドル・有利子負債 41.8 億ドル、流動性 20 億ドル。配当を増やし、自社株買いを利益の山で続けてきた。

弱いのは価格を決める力。鋼材は商品で、営業利益率は 2021 年 23.5% から 2025 年 8.5% まで落ち、最悪は 2009 年 2.8%、2015 年 4.5%。帳簿の ROE も 2021 年 51% から 2025 年 13% へ大きく振れ、自社株買いで自己資本を絞った分だけ高く見える。さらに今は 5 年で 50 億ドル超を成長に投じた直後で、アルミとシントンが減価償却と立ち上げ損を抱える局面にある。

経営は資本配分が上手な方で、安値で自社株を買い(2021〜22 年に 11 億・18 億ドル)、山でも借金を増やしすぎなかった。ただしアルミは同社にとって初めての事業で、缶・自動車メーカーとの認定と価格が競合のノベリス(Novelis)などに左右される。ニューコア(Nucor)も同じ電炉で費用の優位は同じ水準にあり、優位は絶対ではなく相対的である。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

米国の鋼材市場は年 9,000 万トン台(推定)で、電炉が約 7 割。電炉の主役はニューコア、スチール・ダイナミクス、コマーシャル・メタルズ(CMC)で、高炉側は USスチール(日本製鉄が 2025 年に買収)とクリーブランド・クリフス。需要は非住宅建築、インフラ、エネルギー、自動車、機械で、2026 年は輸入の減少が国内出荷を押し上げた。

2026 年の値段と数量は 232 条の関税が支えている。鉄鋼・アルミへの 50% 関税で薄板の輸入が減り、熱延コイルは 3 月の約 1,018 ドルから 6 月の約 1,105 ドルへ、業界の稼働率は 77% から 81% へ上がった。スチール・ダイナミクスの外販の売値は前年比 +14%、稼働率は 90%。ただし分かれ目は 3 つ。(1) 232 条は政策なので、緩和・例外(USMCA の見直し、設備・農機向けなど)で薄まりうる。(2) 2 年で 400 万トン超の新設(ニューコアのウェストバージニアなど)が完工する。(3) 日本製鉄・現代ポスコの DRI 増設やアジア 3 か国の輸出急増に見るように、世界の過剰能力は残り、米国への圧力は関税が剥がれれば戻る。

アルミ板は別の市場で、米国は缶用・自動車用の板の供給が足りない(会社の推計で 140 万メトリックトン超)。ただし最大手のノベリスが米国で新工場を建てており、輸入には 50% 関税がかかるものの、供給が埋まれば価格のプレミアムは縮む。見ておく指標は、熱延コイルとスクラップのスプレッド、稼働率が 80% を超え続けるか、新設の立ち上がり、アルミの稼働と自動車の認定である。10 年では、米国の鋼が電炉化し高炉を置き換える構造変化が続くかが焦点で、物価 3.5% の世界でも鋼材の価格は長期で物価並みにしか上がってこなかった事実は変わらない。

資本政策と M&A

還元は配当と自社株買いで、2026 年上半期は配当 1.5 億ドル、自社株買い 3.2 億ドル(承認残 4.9 億ドル)。配当は上半期に増額した。2021〜22 年の山では純利益の 3〜5 割を自社株買いに回し、PER 4〜5 倍で買ったのが効いた。一方で 2026 年 1〜3 月期は運転資本のため自社株買いを止めており、還元は現金次第で増減する。

設備投資は 2026 年上半期 2.6 億ドル、下半期 3〜3.5 億ドル、2027 年は新規の大型案件がなければ 5〜6 億ドルまで、維持投資は年 2.5〜3 億ドル。5 年で 50 億ドル超を投じたシントン、アルミ、メキシコのスクラップが完成に近く、会社は 3 件で通しの年間 EBITDA 能力を 14 億ドル超と言う(シントン単独の数字は無い)。

M&A:2026 年 1 月に SGH と組んで豪州のブルースコープ(BlueScope)に現金の非拘束提案(1 株 30 豪ドル、のち 32.35 豪ドルに引き上げ)を出し、SGH が全体を買ってスチール・ダイナミクスが北米事業(ノース・スター製鋼所)を引き取る構図だった。ブルースコープの取締役会は拒否し、その後の結末は確認できなかったため、未成立として今の会社だけで書いた。買う側になる場合は価格が高すぎれば価値を壊す点が論点で、バリュー投資の観点では、割高な買収より自社株買いと投資適格の維持を優先してほしい。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 3.2 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

今の利益は山ではなく、構造が変わった結果の新しい水準に近い。232 条の 50% 関税は米国が鉄鋼を安全保障の産業と位置づけた政策で、輸入が減ったまま、稼働率 90%・受注残は鋼材加工で前年比 45% 増、薄板の約 8 割が 2 か月遅れで値上げが乗るため 7〜9 月期の純利益は会社見通しで前期の 5.3 億ドルから約 7.7 億ドルへ伸びる。めっきと熱延コイルのスプレッドは 100 ドル弱から 220 ドル超に開き、付加価値の高い品ほど厚い。

しかも 2021〜25 年に積んだ 50 億ドル超の設備はこれから稼ぐ。シントンの薄板工場は立ち上がり、コロンバスのアルミは 4〜6 月期の赤字が 48% 縮み、3 台目の冷間圧延機と 2 つ目の鋳造棟が加わる 2027 年には年 65 万トンの全能力で動く。会社は通常時の EBITDA を 6.5〜7 億ドルと言い、足元のスプレッドはその前提より大きいと明かした。米国の缶・自動車用アルミ板は 140 万トン超の供給不足で、輸入には 50% の関税がかかる。

10 年で見れば、物価 3.5% の世界で鋼材の売値は名目で 1.4 倍以上、電炉が高炉の鋼を置き換えてシェアが上がり、アルミが利益の柱を増やし、純利益は 10 年後に 40 億ドル超、時価総額は 600 億ドルを超える。

慎重な見方

今の純利益は、関税と同業の新設が来る前という 2 つの偶然が重なった山の値で、年 25 億ドルをならした利益と見てはいけない。232 条は政策で、貿易交渉・USMCA の見直し・設備や農機の例外のたびに削られ、輸入が戻れば薄板の価格は数百ドル動く。2021〜22 年の山のあとで、2024〜25 年の純利益は 15 億・12 億ドル、営業利益率は 8〜11% まで戻った。3 年で 3 分の 1 になりうる事業を、山の年で評価してはならない。

2027〜28 年には米国で 400 万トン超の新設が立ち上がり、稼働率が 80% を割れば値が崩れる。鋼材加工は鋼の値上がりを転嫁しきれず、リサイクルは 7〜9 月期に減益の見通しだ。アルミは 4〜6 月期でも営業損失があり、会社の言う年 6.5〜7 億ドルの EBITDA は目標であって実績ではない。最大手のノベリスが米国で新工場を建て、缶のメーカーも自動車メーカーも価格に厳しく、認定には時間がかかる。減価償却と金利が重い新設備で稼働が上がらなければ、純利益を押し下げる。

今の時価総額約 350 億ドルは 2026 年の山の利益の 14 倍、ならした利益の 16〜19 倍で、鋼材の過去の中央値 13 倍を上回る。

どちらに重みを置いたか

2026 年の山は関税と値上がりの短期の追い風が大半で、同業の新設とアルミの立ち上がりという 2 つの不確かさが重なる点は、慎重な見方が強い。一方で、シントンの稼ぎ、鋼材加工の受注残、アルミの赤字縮小は強気の見方に実績で裏づけがあり、10 年後の中立の純利益 28 億ドルは 2026 年の約 25 億ドルとほぼ同じ名目額ながら、実質では下げた値に置いた。確率は 10 年が楽観・やや楽観 34%、やや悲観・悲観 36% で、悲観側をやや厚くした(悲観は関税の撤廃と過剰能力で稼働 75% 以下が続く構造的な負け)。資本コストは循環と値決めの弱さを載せて 9.5% で、確率で加重した価値は今より約 50% 低く、割高と出る。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 177.27 ドル263 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 74.05 ドル110 億ドル)。 今の値に割り戻すと 118.57 ドル176 億ドル、今との差 −50.6%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 9.5%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 12% 304.03 ドル451 億ドル 98.92 ドル147 億ドル +68.0% +5.3% 48.35 ドル72 億ドル
やや楽観 22% 245.48 ドル364 億ドル 88.81 ドル132 億ドル +39.3% +3.4% 73.54 ドル109 億ドル
中立 30% 192.52 ドル286 億ドル 78.70 ドル117 億ドル +13.1% +1.2% 81.37 ドル121 億ドル
やや悲観 24% 98.25 ドル146 億ドル 65.23 ドル97 億ドル −31.9% −3.8% 39.23 ドル58 億ドル
悲観 12% 45.42 ドル67 億ドル 28.17 ドル42 億ドル −69.3% −11.1% 8.83 ドル13 億ドル
加重平均100% 177.27 ドル263 億ドル74.05 ドル110 億ドル +4.8% +0.5% 251.33 ドル373 億ドル

今の株価時価総額 239.90 ドル356 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。

楽観 12% 楽観:関税が続き電炉化が進み、アルミが認定を取り、純利益は 3.4 倍 利益 41 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 304.03 ドル451 億ドル

2035 年、関税が維持され国産の鋼材への安全保障の囲いが続き、米国の鋼は電炉に置き換わってスチール・ダイナミクスはシェアを 14.4% に上げる(市場は年 +1.5% で 1 億 450 万トン、外販 1,500 万トン)。売値は名目で 1,750 ドル(2025 年の 1.52 倍、物価 1.41 倍を実質で 8% 上回る)、外販 1 トンあたりの営業利益は約 270 ドル(実質で約 190 ドル)。鋼材加工は 100 万トン、リサイクルは 380 万トン換算で、アルミは缶と自動車の認定を取り、能力 65 万トンの 98% 近くで稼働し営業利益率 18%(EBITDA で会社の通常時の目標を上回る)。純利益は約 41 億ドル(2025 年の 3.4 倍、実質で 2.4 倍)。シェアの上昇は市場の伸びと立地・品ぞろえで取る。

  • 製鋼(薄板・形鋼・棒鋼・レール):数量 15.0(外販出荷(百万トン)=米国の鋼材出荷(約 9,000 万トン)× シェア)× 価格 18(外販の平均売値(百ドル/トン。11.5 = 1,150 ドル/トン))→ 売上 263 億ドル・営業利益 41 億ドル。外販 15.0 百万トン × 1750 ドル/トン、営業利益は外販 1 トンあたり約 271 ドル
  • 鋼材加工(デッキ・ジョイスト):数量 1.0(出荷(百万トン))× 価格 38(平均売値(百ドル/トン。25.4 = 2,540 ドル/トン))→ 売上 38 億ドル・営業利益 8 億ドル。出荷 1.0 百万トン × 3,750 ドル/トン、利益率 22%
  • 金属リサイクル:数量 3.8(外販量(百万トン換算。鉄スクラップと非鉄の合計))× 価格 14(1 トンあたりの外販売値(百ドル。9.2 = 920 ドル))→ 売上 53 億ドル・営業利益 3 億ドル。外販 3.8 百万トン換算 × 1400 ドル/トン、利益率 5.0%
  • アルミ圧延(コロンバス):数量 0.6(出荷(百万トン。板・熱延・スラブなどの合計))× 価格 70(1 トンの平均売値(百ドル。46 = 4,600 ドル。地金とプレミアムを含む))→ 売上 45 億ドル・営業利益 8 億ドル。出荷 640 千トン × 7,000 ドル/トン、営業利益率 18%(能力 65 万トンの稼働 98%)

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 14.8%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.50%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.3%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 11.7 倍。電炉化・関税・アルミの 3 つがそろう姿でも、市況で利益が振れるので、上限の 9.5 割の 11.1 倍に置いた。純利益は GAAP。

確率:関税が続き、電炉化が進み、アルミが認定を取るという 3 つの条件が 10 年そろう確率は低く 12%(5% 以上、アルミの成否が分かれ目で、確信は持てない)。

やや楽観 22% やや楽観:電炉化が続き価格は物価をやや上回り、アルミは小ぶりに成功 利益 35 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 245.48 ドル364 億ドル

2035 年、関税は一部緩むが国内の電炉化が続き、シェアは 14.2%(市場 年 +1.3% で 1 億 200 万トン、外販 1,450 万トン)。売値は 1,690 ドル(2025 年の 1.47 倍、物価の 1.41 倍をやや上回る)、外販 1 トンあたりの営業利益は約 245 ドル(実質で約 175 ドル)。アルミは立ち上げに 1 年遅れつつも稼働 98% に達するが、ノベリスなどとの競争でプレミアムは縮み、営業利益率 16%。鋼材加工は 95 万トン、リサイクルは 370 万トン換算。純利益は約 35 億ドル(2025 年の 2.9 倍、実質で 2.0 倍)。競合ではニューコアと並ぶ同じ電炉の優位に収まる。

  • 製鋼(薄板・形鋼・棒鋼・レール):数量 14.5(外販出荷(百万トン)=米国の鋼材出荷(約 9,000 万トン)× シェア)× 価格 17(外販の平均売値(百ドル/トン。11.5 = 1,150 ドル/トン))→ 売上 245 億ドル・営業利益 36 億ドル。外販 14.5 百万トン × 1690 ドル/トン、営業利益は外販 1 トンあたり約 245 ドル
  • 鋼材加工(デッキ・ジョイスト):数量 1.0(出荷(百万トン))× 価格 37(平均売値(百ドル/トン。25.4 = 2,540 ドル/トン))→ 売上 35 億ドル・営業利益 7 億ドル。出荷 0.95 百万トン × 3,650 ドル/トン、利益率 21%
  • 金属リサイクル:数量 3.7(外販量(百万トン換算。鉄スクラップと非鉄の合計))× 価格 14(1 トンあたりの外販売値(百ドル。9.2 = 920 ドル))→ 売上 50 億ドル・営業利益 2 億ドル。外販 3.7 百万トン換算 × 1350 ドル/トン、利益率 4.5%
  • アルミ圧延(コロンバス):数量 0.6(出荷(百万トン。板・熱延・スラブなどの合計))× 価格 68(1 トンの平均売値(百ドル。46 = 4,600 ドル。地金とプレミアムを含む))→ 売上 44 億ドル・営業利益 7 億ドル。出荷 640 千トン × 6,800 ドル/トン、営業利益率 16%(能力 65 万トンの稼働 98%)

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 14.7%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.50%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.2%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 11.7 倍。電炉化が続きアルミが小ぶりに成功する姿でも、市況で利益が振れるので、上限の 9.0 割の 10.5 倍に置いた。純利益は GAAP。

確率:電炉化が続き、アルミが小ぶりに成功し、価格が物価をやや上回る筋書き。2021〜25 年の積み上げた設備が実際に稼ぐ前提で 22%。

中立 30% 中立:数量は年 +1%・価格は物価並み・アルミは目標の 6 割、純利益は 2.3 倍 利益 28 億ドル · PER 10.4 倍 · 株価時価総額 192.52 ドル286 億ドル

2035 年、市場は年 +1%(10 年で 1.10 倍。製造業の回帰・送電網・非住宅)、シェアは新設分で 13.4% から 14.0% に上がり、外販は 1,390 万トン。売値は 1,595 ドル(2025 年の 1.39 倍、物価 1.41 倍にほぼ並ぶ。2025 年を中位の年と見る)、外販 1 トンあたりの営業利益は約 207 ドル(実質で約 147 ドル。2025 年の約 125 ドルと 2026 年の約 210 ドルの間)。鋼材加工は 90 万トン、リサイクルは 350 万トン換算。アルミは稼働 95%、営業利益率 14% で、会社の通常時の目標(EBITDA 6.5〜7 億ドル)の 6 割ほど。純利益は約 28 億ドル(2025 年の 2.3 倍、実質で 1.6 倍)。競合ではニューコアと並び、価格は物価並み、シェアは緩やかに上がる。

  • 製鋼(薄板・形鋼・棒鋼・レール):数量 13.9(外販出荷(百万トン)=米国の鋼材出荷(約 9,000 万トン)× シェア)× 価格 16(外販の平均売値(百ドル/トン。11.5 = 1,150 ドル/トン))→ 売上 222 億ドル・営業利益 29 億ドル。外販 13.9 百万トン × 1595 ドル/トン、営業利益は外販 1 トンあたり約 207 ドル
  • 鋼材加工(デッキ・ジョイスト):数量 0.9(出荷(百万トン))× 価格 36(平均売値(百ドル/トン。25.4 = 2,540 ドル/トン))→ 売上 32 億ドル・営業利益 6 億ドル。出荷 0.9 百万トン × 3,580 ドル/トン、利益率 20%
  • 金属リサイクル:数量 3.5(外販量(百万トン換算。鉄スクラップと非鉄の合計))× 価格 13(1 トンあたりの外販売値(百ドル。9.2 = 920 ドル))→ 売上 46 億ドル・営業利益 2 億ドル。外販 3.5 百万トン換算 × 1300 ドル/トン、利益率 4.0%
  • アルミ圧延(コロンバス):数量 0.6(出荷(百万トン。板・熱延・スラブなどの合計))× 価格 65(1 トンの平均売値(百ドル。46 = 4,600 ドル。地金とプレミアムを含む))→ 売上 40 億ドル・営業利益 6 億ドル。出荷 620 千トン × 6,500 ドル/トン、営業利益率 14%(能力 65 万トンの稼働 95%)

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 13.7%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.50%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.9%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 11.5 倍。1 トンあたり利益を山から下げた利益で、市況で利益が振れるので、上限の 9.0 割の 10.3 倍に置いた。純利益は GAAP。

確率:価格は物価並み、数量は市場並み、アルミは目標の 6 割という落としどころ。議論の中心なので 30%。

やや悲観 24% やや悲観:関税が薄まり稼働が低めで、価格と利益率で競合に譲る 利益 16 億ドル · PER 8.9 倍 · 株価時価総額 98.25 ドル146 億ドル

2035 年、232 条は薄まり、世界の過剰能力と国内の新設で稼働率は 78〜80% の低めが続く。市場は年 +0.5% で 9,500 万トン、シェアは 13.9% で外販は 1,320 万トン。売値は 1,480 ドル(2025 年の 1.29 倍で、物価 1.41 倍より実質 9% 安)、外販 1 トンあたりの営業利益は約 141 ドル(実質で約 100 ドル)。鋼材加工は鋼価の低下で利益率 17% に縮み、アルミはノベリスの増強と缶用板の値下がりで営業利益率 8% の低めの稼ぎ。純利益は約 16 億ドル(2025 年の 1.4 倍、実質ではほぼ横ばい)。シェアは守るが、価格と利益率で競合に譲る。

  • 製鋼(薄板・形鋼・棒鋼・レール):数量 13.2(外販出荷(百万トン)=米国の鋼材出荷(約 9,000 万トン)× シェア)× 価格 15(外販の平均売値(百ドル/トン。11.5 = 1,150 ドル/トン))→ 売上 195 億ドル・営業利益 19 億ドル。外販 13.2 百万トン × 1480 ドル/トン、営業利益は外販 1 トンあたり約 141 ドル
  • 鋼材加工(デッキ・ジョイスト):数量 0.9(出荷(百万トン))× 価格 33(平均売値(百ドル/トン。25.4 = 2,540 ドル/トン))→ 売上 28 億ドル・営業利益 5 億ドル。出荷 0.85 百万トン × 3,250 ドル/トン、利益率 17%
  • 金属リサイクル:数量 3.2(外販量(百万トン換算。鉄スクラップと非鉄の合計))× 価格 13(1 トンあたりの外販売値(百ドル。9.2 = 920 ドル))→ 売上 40 億ドル・営業利益 1 億ドル。外販 3.2 百万トン換算 × 1250 ドル/トン、利益率 3.0%
  • アルミ圧延(コロンバス):数量 0.6(出荷(百万トン。板・熱延・スラブなどの合計))× 価格 60(1 トンの平均売値(百ドル。46 = 4,600 ドル。地金とプレミアムを含む))→ 売上 35 億ドル・営業利益 3 億ドル。出荷 580 千トン × 6,000 ドル/トン、営業利益率 8%(能力 65 万トンの稼働 89%)

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 11.9%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.50%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.3%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 11.1 倍。ROE が k に近く、稼働が低めで競合に譲る姿なので、上限の 8.0 割の 8.9 倍に置いた。純利益は GAAP。

確率:鋼材は商品で、長期は物価並みにしか上がらなかった事実と、世界の過剰能力・関税の薄まりを踏まえ、慎重な見方が強いため 24%。

悲観 12% 悲観:関税の撤廃と過剰供給で稼働 75% 以下、アルミも負け、構造的な負け 利益 6 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 45.42 ドル67 億ドル

2035 年、関税が撤廃され、アジアと欧州の過剰供給が米国に向かい、国内の新設も重なって稼働率は 75% 以下で推移する。市場は年 0%(9,000 万トン)、シェアは 12.2% に下がり、外販は 1,100 万トン。売値は 1,250 ドル(2025 年の 1.09 倍で、物価より実質 23% 安)、外販 1 トンあたりの営業利益は約 95 ドル。アルミは缶・自動車の価格競争で地金の上乗せが縮み利益が出ず、新工場の償却が重くのしかかる。純利益は約 6 億ドル(2025 年の半分)で、10 年後もなお ROE は 6% 前後。シェアと価格を競合に譲り、もはや優良とは言えない構造的な負けの筋書き。

  • 製鋼(薄板・形鋼・棒鋼・レール):数量 11.0(外販出荷(百万トン)=米国の鋼材出荷(約 9,000 万トン)× シェア)× 価格 13(外販の平均売値(百ドル/トン。11.5 = 1,150 ドル/トン))→ 売上 138 億ドル・営業利益 10 億ドル。外販 11.0 百万トン × 1250 ドル/トン、営業利益は外販 1 トンあたり約 94 ドル
  • 鋼材加工(デッキ・ジョイスト):数量 0.7(出荷(百万トン))× 価格 28(平均売値(百ドル/トン。25.4 = 2,540 ドル/トン))→ 売上 20 億ドル・営業利益 3 億ドル。出荷 0.7 百万トン × 2,800 ドル/トン、利益率 14%
  • 金属リサイクル:数量 2.7(外販量(百万トン換算。鉄スクラップと非鉄の合計))× 価格 11(1 トンあたりの外販売値(百ドル。9.2 = 920 ドル))→ 売上 30 億ドル・営業利益 0 億ドル。外販 2.7 百万トン換算 × 1100 ドル/トン、利益率 1.0%
  • アルミ圧延(コロンバス):数量 0.5(出荷(百万トン。板・熱延・スラブなどの合計))× 価格 52(1 トンの平均売値(百ドル。46 = 4,600 ドル。地金とプレミアムを含む))→ 売上 26 億ドル・営業利益 0 億ドル。出荷 500 千トン × 5,200 ドル/トン、営業利益率 0%(能力 65 万トンの稼働 77%)

倍率:事業の ROE 5.9% が k 9.50% 以下なので、ためた利益の価値は額面未満で PER は 1÷k = 10.5 倍まで。構造的に負けた筋書きで、稼ぐ力(純利益 ÷ k)まで、上限の 10.0 割の 10.5 倍に置いた。純利益は GAAP。

確率:関税の撤廃と過剰供給で稼働 75% 以下が続き、アルミも価格競争に負ける構造的な負け。10 年は不確かさが大きく、悲観を 12% と厚くした。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

製鋼(薄板・形鋼・棒鋼・レール)

電炉で薄板(めっき・塗装品含む)・構造用形鋼・レール・棒鋼を作り、外部の顧客へ売る。社内向けは加工とアルミに回る。

数量外販出荷(百万トン)=米国の鋼材出荷(約 9,000 万トン)× シェア価格外販の平均売値(百ドル/トン。11.5 = 1,150 ドル/トン)売上営業利益
今 2025/12 12.1 12 139 15
10 年後 中立 13.9 16 222 29

取り方:2025 年の外販は約 1,210 万トン(上半期 596 万トンと下半期の推定)、平均売値は上半期 1,064 ドル・4〜6 月期 1,134 ドルから約 1,150 ドルとした推定(kabufu にセグメントが無いため)。市場は米国の出荷 約 9,000 万トン(推定)で外販シェア 13.4%。営業利益は外販 1 トンあたり約 125 ドル(社内向け出荷を除く)で、2026 年上半期の約 210 ドルの半分強、2021〜22 年の山は 400 ドル超。

鋼材加工(デッキ・ジョイスト)

鋼材を加工して建築の床・屋根のデッキとジョイストなどにして非住宅の建築へ売る。

数量出荷(百万トン)価格平均売値(百ドル/トン。25.4 = 2,540 ドル/トン)売上営業利益
今 2025/12 0.6 25 15 4
10 年後 中立 0.9 36 32 6

取り方:2025 年上半期の出荷 30 万トン・売値 2,558 ドルから、年約 60 万トン × 2,540 ドルと推定。営業利益は上半期 2.1 億ドルの倍弱で約 3.7 億ドル(利益率 24%)。2026 年は受注残が前年比 +45%(量が主)。

金属リサイクル

鉄・非鉄スクラップの収集・加工・販売。社内の電炉に原料を回し、余りを外販する。

数量外販量(百万トン換算。鉄スクラップと非鉄の合計)価格1 トンあたりの外販売値(百ドル。9.2 = 920 ドル)売上営業利益
今 2025/12 2.7 9.20 25 1
10 年後 中立 3.5 13 46 2

取り方:外販の鉄スクラップ年約 230 万トン(上半期 114 万・今年は 4〜6 月期 59 万トン)に非鉄(年約 8 億ポンド超)をトン換算した約 40 万トンを足し、非鉄が高いので平均を 920 ドルと置いた推定。売上は全社の売上 182 億ドルから製鋼・加工・アルミを引いた残りに合わせた。営業利益は 2025 年約 1.0 億ドル、2026 年上半期は 0.95 億ドルと倍増。

アルミ圧延(コロンバス)

ミシシッピ州コロンバスの年 65 万メトリックトンの圧延工場。缶用・自動車用・建材用のアルミ板をスクラップ・地金から作る。新事業で立ち上げ中。

数量出荷(百万トン。板・熱延・スラブなどの合計)価格1 トンの平均売値(百ドル。46 = 4,600 ドル。地金とプレミアムを含む)売上営業利益
今 2025/12 0.1 46 4 −2
10 年後 中立 0.6 65 40 6

取り方:2025 年の外販売上は上半期が約 1.2 億ドル程度、年約 3.7 億ドル(2026 年 4〜6 月期は 5.0 億ドル・出荷 5.3 万トン)。1 トン約 4,600 ドルで 8 万トンと推定。営業損失は上半期 0.69 億ドルから年約 1.5 億ドル(2026 年上半期は 0.98 億ドル)。2026 年 4〜6 月期の稼働は能力の約 5 割、6 月は約 6 割。

リスクと懸念

232 条関税の緩和・例外

2026 年の利益の山は、鉄鋼・アルミへの 50% 関税が輸入を減らしたことに大きく依存する。関税は政策で、USMCA の見直し・貿易交渉・設備や農機向けの例外で薄まりうる。輸入が戻れば、薄板の売値は 1 トン数百ドル動き、外販 1 トンあたりの営業利益は 100 ドル以上変わる。

2027〜28 年の新設の重なり

2 年で 400 万トン超の電炉・薄板の新設が完工し、ニューコアのウェストバージニアなどが立ち上がる。需要が追いつかなければ稼働率は 80% を割り、値が崩れる。会社は稼働率 90% と業界の推定 81% の差を保っているが、これは新設前の話である。

アルミの立ち上がりの失敗

コロンバスは 4〜6 月期でも営業損失 0.33 億ドルで、稼働は能力の約 5〜6 割。会社の言う通常時の EBITDA 年 6.5〜7 億ドルは目標で、缶・自動車の認定、ノベリスなど既存の競合、地金とプレミアムの変動に左右される。立ち上がりが 1〜2 年遅れれば、減価償却と金利が利益を削る。

景気と利益の振れ

営業利益率は 2021 年 23.5%、2025 年 8.5%、最悪は 2009 年 2.8%・2015 年 4.5%。純利益は 3 年で 3 分の 1 になりうる。電炉は固定費が軽く減産で黒字を保つが、リーマン級の不況では株価も −79% 落ちた事実がある。

買収で価値を壊す危険

2026 年 1 月にブルースコープへ SGH と共同で提案し、北米事業の取得を狙った。結末は未確認だが、同社は大型 M&A にも関心があり、高値づかみや統合の失敗は、鋼材の景気の山で起こりやすい。成長投資が重なる 2027 年は設備投資だけで 5〜6 億ドルに増える。

スクラップ・電力のコストと原料

電炉の費用のうちスクラップ(1 トン 412 ドル)と電力が大半を占める。スクラップ価格の上昇や、データセンターなどで地域の電力が逼迫して値上がりしても、売値に転嫁できない局面は利益が縮む。ブラジル産銑鉄を除く 301 条の方針は緩和の材料だが不確実。

今後の分かれ目

232 条の 50% 関税が緩和され、薄板の輸入が前年比プラスに戻る
熱延コイルの値が数週間で下がり、外販 1 トンあたりの営業利益は 150 ドル台へ縮む。純利益は 8〜10 億ドル下がり、やや悲観・悲観の確率を上げる。10 年の価値は 1〜2 割下がる。
アルミの出荷が年内に月 8 万トン以上へ、稼働 90% を超え、自動車向けの販売が始まる
営業赤字が黒字へ転じ、会社の言う通常時の利益力(EBITDA 年 6.5〜7 億ドル)に近づく。アルミの営業利益率を中立の 12〜14% から 18% へ上げ、楽観・やや楽観の確率を上げる。
2027〜28 年の新設の立ち上がりが遅れる、または業界の稼働率が 85% を超える
薄板の売値が下がらず、中立の外販 1 トンあたりの営業利益(10 年後 約 207 ドル)を 20〜30 ドル引き上げる。純利益は約 4 億ドル増え、やや楽観の確率を上げる。
外販の売値が 1 トン 1,200 ドルを割り、スクラップとのスプレッドが 2 四半期連続で縮む
山の終わりを示す。純利益は 2026 年の 25 億ドルから 15 億ドル前後(2025 年の 12 億ドルに近い)に戻り、やや悲観の確率を上げる。
時価総額がならした利益(18〜22 億ドル)の 12 倍前後(230〜280 億ドル)まで下がる
本質価値(中立の約 286 億ドル)に近い安全域が出る。鋼材の過去の PER の中央値 13 倍に並ぶ水準で、山の利益の先取りが消える。
ブルースコープの取得や別の大型買収に動く
成立すれば筋書きに足す(今は未成立で除く)。価格が高ければ自社株買い・投資適格の財務を損なう点が論点で、鋼材の山での買収は価値を壊しやすいと見て確率を悲観寄りに動かす。

見ておくもの

  • 熱延コイルの値と、スクラップ・電力のスプレッド(外販の売値 1 トン 1,298 ドルの持続)
  • 232 条の関税の維持と、USMCA・301 条の結果
  • 業界の稼働率(80% 超が続くか)と、同社の稼働率 90%
  • ニューコアのウェストバージニアなど 2027〜28 年の新設の立ち上がり
  • アルミの出荷・稼働率・営業損益と、自動車板の認定(年内の販売開始)
  • 鋼材加工の受注残(前年比 +45%)と、出荷への転換
  • 設備投資(2027 年 5〜6 億ドル)、自社株買い、配当と純負債の推移
  • ブルースコープなど M&A の動き

倍率と資本コストの決め方

今の PER 30 倍(2025 年の谷に近い利益で割った値)も、2026 年の山の利益での 14 倍も見ず、セグメントごとに「外販出荷 × 1 トンの売値」「出荷 × 売値」で 10 年後の売上と利益を積み、外販 1 トンあたりの営業利益(製鋼は 10 年後 約 207 ドル=実質で約 147 ドル)から純利益を出した。倍率は k 9.5%・g 4%・ROE の式の上限の 8〜9.5 割(中立は 10.3 倍、10 年目の利益に掛ける)で、今の株価や業界ノートの目安に寄せていない。1 トンあたり利益 207 ドルは 2025 年の約 125 ドルの 1.7 倍、2026 年の山の約 210 ドルとほぼ同じ名目額で、中立が悲観に偏っていないかを、2023〜24 年の実績(純利益 24・15 億ドル)と比べて点検した。アルミは会社の目標を 6〜7 割にとどめ、実績のない新事業に目標を満額で置くのは避けた。ニューコアと同じ k に揃えた結果で、数字合わせではない。

資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 1.31 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.5% = 9.5%。鋼材は景気と関税で 1 トンあたり利益が大きく振れるので循環に +1.0%、輸入材と競う価格は市場に決められるので値決めに +0.5%。純負債は時価総額の約 1 割で借金は 0、寿命は 0。上乗せ 0(投資適格で存続の疑いはない)。アルミの立ち上がり・関税の変更・新設の重なり・買収の実行は k に足さず、筋書きと確率で表した。ニューコアと同じ k 9.5% に揃えた。

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やや割安 エイブリィ・デニソンAVY ラベル素材で世界首位級の堀と RFID の伸びしろを持つが、借金で膨らんだ ROE と式の高い倍率は割り引いて読む 本質価値との差 +27.8% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 モザイクMOS リン酸・カリ・ブラジル流通の三本足。2026 年は硫黄高で赤字。価格の中立を限界費用に置き k 10% で割ると、本質価値は今の時価総額とほぼ同じ 本質価値との差 +18.7% · 10 年 やや割安(年 +10.0%) やや割安 ボール・コーポレーションBALL 世界最大級の飲料缶。物価を転嫁できる堅い事業だが、借金が重く、式どおりの倍率は高く出る 本質価値との差 +12.8% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) 適正 PPGインダストリーズPPG 工業・補修・海外建築の塗料に厚みがあり、利益は 10 年で伸び、PER 15 倍台は利益ベースの正当化 PER(10 年の中立 14.7 倍)とほぼ同じで、利益の伸びの分だけやや割安 本質価値との差 +4.1% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 CRHCRH 北米最大の骨材・舗装の会社で、利益率は過去最高圏。利益ベースの倍率で測ると PER 15 倍は適正 本質価値との差 +3.2% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 スマーフィット・ウェストロックSW 原紙の値上げと能力閉鎖で利益は回復途上。借金は重く、利益ベースの倍率で測ると今の時価総額とほぼ同じ 本質価値との差 +2.6% · 10 年 適正(年 +8.0%) 適正 コルテバCTVA 2026 年 10 月に種子を切り離した作物保護(農薬)の専業。売上 76 億ドル、時価総額の 2 割が純現金。後発品の圧力が続く中で、計算では今の値段はほぼ適正に出る 本質価値との差 −4.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 アムコアAMCR ベリー統合で世界最大の包装会社になったが数量は減り続け、のれんと借金が重い。シナジーと借金返済で利益は伸びるが、価値は数量が戻るかで大きく割れる 本質価値との差 −8.6% · 10 年 適正(年 +6.4%) やや割高 CFインダストリーズ・ホールディングスCF 北米最大の窒素肥料メーカー。安い天然ガスで利益率が高く、中東紛争で今は山。山を外したならし利益で測っても、資本コスト 9.5% の下で今の値段はやや割高 本質価値との差 −10.9% · 10 年 やや割高(年 +5.7%) やや割高 インターナショナル・ペーパーIP 北米は費用削減で利益率を戻す途上、欧州は分離待ちで償却が重い。借金が重く、式どおりの倍率でも安全域は薄い 本質価値との差 −13.3% · 10 年 やや割高(年 +6.2%) やや割高 マーチン・マリエッタ・マテリアルズMLM 骨材と石灰を持つ 2 本柱へ。堀は本物だが、LNA 買収で純負債が EBITDA の約 4 倍に増え、式で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −14.1% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 リンデLIN 世界最大の産業ガス会社で堀は最上級。利益ベースの倍率で測ると PER 34 倍はやや割高 本質価値との差 −15.0% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 デュポン・ドゥ・ヌムールDD 分離で身軽になった DuPont は水・医療が伸び利益率が上がる途中。株式報酬と償却を費用にした GAAP で、利益ベースの倍率で測るとやや割高の側 本質価値との差 −15.8% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 シャーウィン・ウィリアムズSHW 塗料の最強の小売り網と価格を決める力を持つが、PER 33 倍は利益ベースの成熟後の倍率 22.6 倍より高く、中立でも安全域がない 本質価値との差 −21.5% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 ライオンデルバセル・インダストリーズLYB 北米の安いエタンに支えられた汎用化学の谷にいる大型株。欧州の赤字拠点を手放し配当も半減済み。利益ベースの倍率で測るとやや割高。利益の幅が極端に広く確信は低い 本質価値との差 −25.5% · 10 年 やや割高(年 +4.9%) やや割高 エコラボECL 水処理と衛生を顧客先で回す巡回サービスの堀は厚いが、PER 40 倍と買収後の借金が重く、中立でも今の値段には安全域がない 本質価値との差 −29.2% · 10 年 やや割高(年 +3.0%) 割高 ヴァルカン・マテリアルズVMC 米国最大の骨材会社。地域の独占と値上げの力は本物だが、利益ベースの倍率で測ると割り引いた価値は今の時価総額の約 7 割でやや割高 本質価値との差 −31.6% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 パッケージング・コーポレーション・オブ・アメリカPKG 北米の段ボール原紙の寡占の中で、利益率が最も高く借金も軽い。商品事業の波と式どおりの倍率の高さが論点 本質価値との差 −32.4% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 エアープロダクツ・アンド・ケミカルズAPD 産業ガス世界 3 位。水素の大型案件を捨てて本業に戻る途中で、純負債は重いが、利益ベースの倍率では割高 本質価値との差 −33.1% · 10 年 割高(年 +3.0%) 割高 アルベマールALB リチウムの価格は限界費用の水準を中立に置く。価格が実質で今の高値圏に居座る楽観が株価の上振れを作り、谷の年は赤字になる、振れの大きい会社 本質価値との差 −33.3% · 10 年 割高(年 +4.0%) 割高 ニューモントNEM 世界最大の金鉱山会社。金価格の平準化を置き、寿命 20 年の年金の倍率と積み上がる純現金で見ても、資本コスト 9.5% の下では今の値段は割高。価格を決められず、下は深い 本質価値との差 −34.4% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 ダウ・インクDOW 汎用化学の谷にいる大型株。コスト削減と 3.5% の物価で、利益ベースの倍率で測ると割高。利益の幅が極端に広く確信は低い 本質価値との差 −37.7% · 10 年 割高(年 +3.9%) 割高 インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランスIFF 食品素材を売って香料・風味・酵素の 3 事業に絞る途中。利益率の改善を織り込んでも割り引いた価値は今の時価総額の約 6 割で、割高 本質価値との差 −40.2% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 ニューコアNUE 電炉で米国最大の鋼材メーカー。今の純利益は景気と関税の追い風で山の近くにあり、ならした利益で測ると割高 本質価値との差 −50.9% · 10 年 割高(年 +0.3%) 割高 フリーポート・マクモランFCX 世界最大級の上場銅会社。銅価格を実質の中位に戻すと、資本コスト 9.5% の式どおりの倍率では今の時価総額は先を行き過ぎている。グラスバーグ復旧と銅高が全部続く楽観だけが今の値段に届く 本質価値との差 −58.9% · 10 年 割高(年 −1.3%)

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