結論
フリーポート・マクモラン(FCX)は、米国・南米・インドネシアに鉱山を持つ世界最大級の上場銅会社で、2025 年の売上は 251 億ドル(銅 75%・金 15%・モリブデン 8%)、営業利益 58 億ドル、純利益 22 億ドル。2025 年 9 月のグラスバーグ鉱山の泥流事故(死者 7 名)で最大の鉱山が止まり、2026 年の銅販売は 31 億ポンド(2025 年は約 37 億ポンド)に落ちたが、銅の実現価格は 2026 年第 2 四半期で 1 ポンド 6.17 ドルと 2025 年の平均(LME 4.51 ドル)を 4 割上回る。
バリュー投資の観点では、強みは三つある。世界の銅鉱山の約 7% を占める規模、グラスバーグのような品位の高い大鉱床(銅に金が付く)、そして電化・送電網・データセンターという需要の追い風。弱みは、価格を決める力がないこと、利益の約半分を非支配持分(インドネシア政府系の MIND ID が PTFI の 51%、ペルーの Cerro Verde・チリの El Abra の少数株主)に渡すこと、2041 年に PTFI の持ち分が 48.76% から約 37% へ下がること、そして鉱山事故と資源ナショナリズムである。
数量 × 価格で積み上げると、銅が実質の中位(10 年後 1 ポンド 7.0 ドル。ゴールドマンの 2035 年の見方に近い)に落ち着く中立で、純利益は 2035 年 65 億ドル、資本コスト 9.5%(循環 +1.0%・値決め +0.5%)の利益ベースの正当化 PER(堀は弱く、資源を掘り減らすので寿命 20 年の年金で頭を押さえる)の上限の 9 割で、約 8.5 倍。中立の 10 年後の時価総額は約 551 億ドルで、今の 1,004 億ドルを大きく下回る。確率で加重した価値は今の約 38% で、割高と出る。今の値段が正しくなるのは、銅が実質で今の高値(1 トン 13,500 ドル台)のまま 10 年続く楽観に近い筋書きだけで、それには 33% を置いた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。銅は電化で長期の需要が見込め、世界で新規の大型鉱山が出にくい。フリーポートの米国の浸出・モレンシ・セロ・ベルデは寿命の長い資産で、事業は存続し、グラスバーグが全面復旧すれば量は今より大きい。堀は鉱床の質と許認可で、ブランドや価格決定力ではなく「掘れる権利」にある。ただし価格は取引所が決め、利益は銅価格の変化で何倍にも動くので、利益を予測しにくい事業として確信度は低くする。
オーナー利益(再投資を引いた株主のものになる利益)は、純利益より小さい。2026 年の営業キャッシュフロー 83 億ドルから設備投資 43 億ドルを引くと約 40 億ドルで、そこから非支配持分への分配が出る。今の時価総額 1,004 億ドルに対し、2028 年の中立の純利益 52 億ドル(銅が実質の中位に戻った後)でも PER は 19 倍、2035 年の中立 65 億ドルで 15 倍と、式の倍率(14 倍前後)に届かない。
資本配分は堅実だが、PTFI の持ち分が 2041 年に下がる。安全域で見ると、楽観(銅が 1 ポンド 9 ドル)でも 10 年後の時価総額は約 1,367 億ドルで、年率のリターンは 9.5% の資本コストを上回る程度。悲観で今の 2 割以下になる。バリュー投資家なら、この事業を良い会社とは認めても、今の値段では安全域がないと見る。資本コスト 9.5% は、利益の振れの大きさ(循環 +1.0%)と値決めの弱さ(+0.5%)を載せたもの。
何で稼ぐ会社か
銅は売上の約 75%、金が 15%、モリブデンが 8%。2025 年の銅の産出は米国 39%・南米 31%・インドネシア 30%(約 37 億ポンド)、金の 98% はインドネシア。主な鉱山は、米国のモレンシ(持ち分 72%・米国最大の銅鉱山で 2025 年に約 7 億ポンド)、バグダッド・サフォード・シエラ・チノ、南米のセロ・ベルデ(ペルー・約 9 億ポンド。FCX の持ち分 55.66%)と El Abra(チリ・持ち分 51%)、インドネシアのグラスバーグ地区(Block Cave・DMLZ・Big Gossan。銅と金を同時に産し、PT Freeport Indonesia が操業)。モリブデンは主に米国の鉱山(クライマックス・ヘンダーソン)と銅鉱山の副産物。
収益の構造は、費用の大半が固定的なので銅価格の変化が利益を何倍にも増幅する営業レバレッジである。2026 年第 2 四半期は米国の単位純現金コスト 2.94 ドル/ポンド・南米 2.48 に対し実現価格 6.1〜6.25 で、1 ポンドあたり 3 ドル超の差が出た。インドネシアは金の副産物収入で単位コストがマイナス(金の 1 オンス 100 ドルの変化で銅の単位コストが 0.06 ドル/ポンド動く)。2025 年は泥流事故でグラスバーグの Block Cave が止まり、DMLZ と Big Gossan だけが 2025 年 10 月末に再開し、銅の生産が計画より約 1 割減った。
2026 年のガイダンスは銅 31 億ポンド(米国約 14・南米約 10・PTFI 約 7)、金 65 万オンス、モリブデン 9,300 万ポンド、単位コスト 1.90 ドル/ポンド、設備投資 43 億ドル、営業キャッシュフロー 83 億ドル(銅 6.00 ドル・金 4,000 ドルの前提)。グラスバーグ地区は 2026 年下期に満稼働の約 65%、2027 年半ばに約 80%、2027 年末に満稼働に近づく計画で、PT Smelting は稼働率が上限に戻り、PTFI の製錬所は下期に限定再開、保険金 7 億ドルを第 2 四半期に受領した。2030 年ごろには新しい鉱床 Kucing Liar が立ち上がる。成長案件は、米国の浸出の強化(年 3 億ポンドのランレートを 2026 年末に目標)、バグダッド拡張(年 +2.0〜2.5 億ポンド・資本費が 2023 年の見積り 35 億ドルから約 3 割上振れ・誘因価格は 1 ポンド約 4 ドル)、El Abra 拡張(年 +7 億ポンド超・誘因価格 4 ドル未満)。
優良さと弱いところ
堀は三つある。第一は鉱床の質で、グラスバーグは銅と金を同じ坑内で産する世界有数の大鉱床、セロ・ベルデ・モレンシも寿命の長い露天掘りである。新しい鉱床は許認可に 10〜15 年かかり、世界で新規の大型銅鉱山が出にくいので、すでに許可を持つ鉱山の希少性が高い。第二は規模で、世界の銅鉱山生産(約 2,300 万トン)の約 7%、競合のコデルコ(約 6%)・BHP(約 9%)・グレンコア・サザン・カッパー・紫金鉱業と並ぶ。第三は米国内の浸出と南米の資産で、地政学の分散になる。
弱みも大きい。第一に価格を決める力がない(銅は取引所の価格を受け入れる)。第二に利益率が競合に劣る。サザン・カッパー(ペルー・メキシコの低コスト鉱山)の営業利益率は約 50%(推定)で、フリーポートは 2025 年に 23%(2021〜22 年でも 33〜35%)。第三に利益の半分が非支配持分に流れる。2026 年の非支配持分への純利益は約 20 億ドルで、親会社帰属の 9.84 億ドル(第 2 四半期)に比べて大きい。第四に操業の安全で、2025 年の事故は 7 名の死者を出し、売上を約 1 割減らした。第五に資本効率で、2025 年の自己資本利益率は 11.6%、純負債(約 53 億ドル)の 6 割はインドネシアの製錬所関連である。
経営は、純負債 30〜40 億ドル(製錬所関連を除く)を財務の目標に置き、基本配当と変動配当、自社株買いを組み合わせている。2021 年以降、無理な買収で価値を壊した例はなく資本配分は堅実。ただし 2013 年に買った石油・ガス事業(プレインズ・エクスプロレーションとマクモラン・エクスプロレーション)の失敗と 2015 年の資源安で、自己資本が 183 億ドルから 78 億ドルへ半分以下に減った過去があり、資源高の局面で投資を急ぐ癖に注意が要る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
銅は電化(電気自動車・再エネ)、送電網、データセンターの需要で長期に伸びる。世界の銅需要は年 2〜3% 伸び、2035 年に 2,900 万トン前後(2025 年は約 2,300 万トン)と見る。供給側は鉱石の品位低下、新規鉱山の許認可の遅れ、チリ・ペルー・コンゴ・インドネシアの資源ナショナリズムで伸びにくく、2026 年はグラスバーグの事故とカモア・カクラ(コンゴ)の復旧遅れで供給が 35 万トン前後減り、ゴールドマンは 2026〜27 年の LME 銅を 1 トン 13,300〜13,800 ドルと置き、2029〜30 年は 12,000〜12,250、2035 年に約 15,000 が必要と見る。需給の予測は割れ(JP モルガン・TD カウエンは不足、ゴールドマンは米国を除く不足、関税の扱い次第で 2027 年は余りに転ぶ)、2026 年 1 月に LME は 1 トン 13,300 ドルの史上最高値を付けた。
競合との関係では、銅の価格は世界の限界鉱山(費用曲線の上位 10%)のコストが下支えする。誘因価格(新規の拡張が採算に合う価格)はバグダッド・El Abra で 1 ポンド約 4 ドル、新規の大型鉱山で 5 ドル前後(推定)で、中立に置いた実質 5 ドル(1 トン 11,000 ドル)はこの水準に近い。競合のうち BHP(エスコンディダ・オリンピック・ダム・カラハリ)、リオ・ティント(キャニオンの拡張・オユ・トルゴイ・レゾリューション)、コデルコ(老朽化で生産が減る)、紫金鉱業は増産を急ぎ、2030 年前後に供給が一巡すれば価格が緩む。
循環のどこにいるか:銅価格は 2026 年に実質で過去最高圏にあり、グラスバーグの復旧(2027 年末に満稼働)が重なる 2028 年にフリーポートの販売数量が最も増える。この時点の価格が実質の中位(1 トン 11,000 ドル)まで戻るか、今の水準が続くかで利益は 2 倍違う。モリブデンは鉄鋼の需要と連動し、中国の産出と価格が決める副産物(2026 年 28.75 ドル/ポンド)。金は PTFI の副産物で、価格は金の業界ノートの実質横ばいに従う。
資本政策と M&A
資本配分:配当は基本と変動が半々で年 約 8.6 億ドル、自社株買いは 2026 年上期で 2.03 億ドル、累計で 22 億ドル(承認枠は 50 億ドル規模、推定)。ただし設備投資が年 43 億ドルと重く、フリーキャッシュフローは小さい。2025 年の還元は配当約 9 億ドルと自社株買い約 1 億ドルで、純利益 22 億ドルの約 45%。M&A は積極的でなく、2026 年にセロ・ベルデの持ち分を 55.08% から 55.66% へ 1.07 億ドルで引き上げた程度。
資本政策の最大の論点は PTFI の持ち分である。2018 年の合意で MIND ID が 51% を持ち、2026 年 2 月の覚書(6 月に申請)で 2041 年以降の操業権の延長(資源がある限り)と引き換えに、2041 年に PTFI の 12% を政府へ無償で譲渡し(以後の投資は簿価で精算)、FCX の持ち分は 48.76% から約 37% に下がる。この分を 10 年後の倍率の g に入れた。さらにインドネシアは鉱石の輸出から精錬の国内化を求め、PTFI の新しい製錬所(年 170 万トン)の負債 32 億ドルが純負債に含まれる。
TOB・再編の可能性は小さい(時価総額 1,000 億ドル)。ただし 2024 年の BHP によるアングロ・アメリカン買収の提案のように大手資源会社の再編が続いており、フリーポートの米国資産は戦略的に魅力が高い。筋書きでは、買収もプレミアムも置かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
銅は電化の中心にあり、世界で新規の鉱山が出にくいので、価格は今の高値圏(1 トン 13,500 ドル前後)が続く。ゴールドマンは 2026〜27 年の 13,300〜13,800 ドルを予想し、2035 年に 15,000 ドルが要ると見る。グラスバーグは 2027 年末に満稼働し、フリーポートの銅販売は 2026 年の 31 億ポンドから 2028 年に 42 億ポンド前後へ約 4 割増える。同時に金が 4,000 ドル台に乗り、PTFI の金は 1 オンスの差が銅の単位コストを大きく下げる(金 100 ドルで 0.06 ドル/ポンド)。この組み合わせで 2028 年の純利益は 100 億ドルを超え、2035 年も銅が実質 5 ドルを下回らなければ、中立でも 65 億ドル、楽観なら 100 億ドルを超える。
さらに、成長案件が控える。バグダッド(年 +2 億ポンド以上)・El Abra(年 +7 億ポンド)は誘因価格 4 ドル以下で採算が取れ、浸出(3 億ポンド)はほぼ追加投資なしで利益に直結する。2041 年に PTFI の 12% を渡しても、その後の資源を持つ権利が延長される価値はそれ以上に大きい。インドネシア政府との関係は 2018 年以降安定している。この会社の稀少な資産と今の需給からは、今の値段は未来の利益を安く見ていると言える。
慎重な見方
今の銅価格(実質で過去最高圏)は、供給事故と関税の先取りが重なった一時の姿で、世界の限界鉱山の費用(誘因価格 4〜5 ドル/ポンド)まで戻る力が働く。リオ・ティント・BHP・紫金鉱業・グレンコアが増産を急ぎ、中国の需要は不動産と電気自動車の補助金の剥落で鈍る。ゴールドマン自身も 2029〜30 年は 12,000〜12,250 ドルと今の 9 割に置き、関税が外れれば 2027 年は余りに転ぶ。2 年前の 2024 年に実質 4.2 ドルだった銅が 6 ドルを超えている以上、この水準を永続と見るのは危うい。
利益の質も劣る。純利益の約半分が非支配持分に流れ、2026 年は約 20 億ドル。2041 年に PTFI の持ち分が 48.76% から約 37% へ下がるので、グラスバーグが大成功しても親会社の取り分は減る。2025 年の事故のような突発は鉱山会社では常に起き、7 名の死者は経営に対する許認可・信頼のコストを上げた。設備投資は年 43 億ドルと重く、バグダッド拡張は資本費が 3 割上振れ、グラスバーグの復旧も 2028 年にずれる声がある。PER は今 46 倍で、中立の利益でも 19〜20 倍と、資本コスト 9.5% の式(上限 9 倍台)に届かない。
どちらに重みを置いたか
どちらの主張にも一部の強さがある。銅の長期の需給が逼迫することと、グラスバーグの復旧で数量が戻ることは、強気の見方が正しい。しかし今の価格を永続と置くのは、ゴールドマンの 2029〜30 年の予測(12,000〜12,250 ドル)と業界ノートの中立(実質 11,000 ドル)に反するので、中立の価格は実質の中位に戻す。確率は、価格が高いまま続く楽観とやや楽観に 10 年で合計 33% を置いた(グラスバーグ復旧が計画どおりで、新規供給の遅れが続く場合)。
慎重な見方は非支配持分・2041 年の持ち分低下・費用の上昇を突き、これらは式の g と利益に入れた。一方、会社の実績は 2021〜22 年に営業利益率 33〜35% を出しており、慎重側の 5 割の悲観はやりすぎなので、悲観・やや悲観に 10 年で合計 33% に留めた。総合では中立の純利益が高くても今の時価総額が 1,004 億ドルと先を行きすぎており、割高と出る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 41.49 ドル599 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 15.43 ドル223 億ドル)。 今の値に割り戻すと 26.54 ドル383 億ドル、今との差 −58.9%、 期待の年率 −1.3%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 94.75 ドル1,367 億ドル | 27.72 ドル400 億ドル | +89.6% | +6.6% | 14.70 ドル212 億ドル |
| やや楽観 | 21% | 64.57 ドル932 億ドル | 21.48 ドル310 億ドル | +33.2% | +2.9% | 18.07 ドル261 億ドル |
| 中立 | 34% | 38.20 ドル551 億ドル | 16.63 ドル240 億ドル | −15.1% | −1.6% | 18.64 ドル269 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 11.52 ドル166 億ドル | 7.62 ドル110 億ドル | −70.4% | −11.4% | 4.02 ドル58 億ドル |
| 悲観 | 12% | 9.56 ドル138 億ドル | 2.77 ドル40 億ドル | −80.9% | −15.3% | 1.48 ドル21 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 41.49 ドル599 億ドル | 15.43 ドル223 億ドル | −11.9% | −1.3% | 56.91 ドル821 億ドル |
今の株価時価総額 64.59 ドル932 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 12% 楽観:銅は実質 1.3 倍で居座り、成長案件が全部成功 利益 145 億ドル · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 94.75 ドル1,367 億ドル
2035 年の銅は名目 9.07 ドル/ポンド(1 トン 約 20,000 ドル)、金 9,300 ドル、モリブデン 38 ドル。銅の電化需要が供給を上回り続け、新規鉱山の許認可の遅れとコンゴ・チリの政治リスクで供給が伸びない。グラスバーグは Kucing Liar の立ち上がりで PTFI の銅 18.5 億ポンド・金 160 万オンス、米国はバグダッド拡張と浸出で 18 億、南米は El Abra 拡張で 12.5 億ポンド、合計 49 億ポンド(世界の約 7.5%)。営業利益は 360 億ドルで、純利益 145 億ドル(2025 年の約 6.6 倍。物価で 1.41 倍になる分を含む)。2041 年に PTFI の 12% を政府へ渡す前でも ROE は 22% と高い。還元は 10 年で 400 億ドル。ただし実質で見れば 2026 年の銅価格の水準が続くだけで、構造の変化を伴わない価格の上振れである。
- 米国の銅鉱山:数量 18.0(銅の販売量(億ポンド))× 価格 9.07(銅の実現価格(ドル/ポンド。COMEX 連動))→ 売上 163 億ドル・営業利益 73 億ドル。浸出の強化と復旧後の安定
- 南米の銅鉱山:数量 12.5(銅の販売量(億ポンド))× 価格 9.07(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 113 億ドル・営業利益 62 億ドル。セロ・ベルデ中心
- インドネシア(グラスバーグ)の銅:数量 18.5(銅の販売量(億ポンド))× 価格 9.07(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 168 億ドル・営業利益 101 億ドル。グラスバーグの復旧の速さで決まる
- インドネシア(グラスバーグ)の金:数量 1.6(金の販売量(百万オンス))× 価格 9,300(金の実現価格(ドル/オンス))→ 売上 149 億ドル・営業利益 120 億ドル。副産物の金
- モリブデン:数量 100(モリブデンの販売量(百万ポンド))× 価格 38(モリブデンの実現価格(ドル/ポンド))→ 売上 38 億ドル・営業利益 13 億ドル。鉄鋼の需要
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 21.7%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.50%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.6%。長期の g 1.0%(先細りの資源は 1% まで) で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 9.4 倍、寿命 20 年の年金で頭を押さえた値。銅が実質 1.3 倍で居座る山の姿。寿命 20 年の年金の値は終わりのある利益の価値そのものなので、上限に置いた、上限の 10.0 割の 9.4 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:銅の不足が 10 年続き実質 1.3 倍(1 トン 約 20,000 ドル)を保つのは、ゴールドマンが 2035 年に必要と言う 15,000 ドルを 3 割上回る。新規供給が 2030 年代に一巡する圧力も大きいので 12%。
やや楽観 21% やや楽観:銅は実質 1.15 倍、拡張が計画どおり 利益 104 億ドル · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 64.57 ドル932 億ドル
2035 年の銅は名目 8.07 ドル/ポンド(1 トン 約 17,800 ドル)、金 7,330 ドル、モリブデン 33 ドル。需要は年 +2.5% で電化が進み、新規鉱山の遅れで価格は物価を上回る。PTFI の銅 17.5 億ポンド・金 155 万オンス、米国 17.5 億ポンド(バグダッド拡張を含む)、南米 12 億ポンド(El Abra 拡張)で合計 47 億ポンド。営業利益は 263 億ドル、純利益 104 億ドル。ROE は 19%、還元は 10 年で 310 億ドル。競合のサザン・カッパーが営業利益率 50% を保つのに対し、フリーポートは 50% 前後(非支配持分を引く前の営業利益率)まで並ぶ。
- 米国の銅鉱山:数量 17.5(銅の販売量(億ポンド))× 価格 8.07(銅の実現価格(ドル/ポンド。COMEX 連動))→ 売上 141 億ドル・営業利益 54 億ドル。浸出の強化と復旧後の安定
- 南米の銅鉱山:数量 12.0(銅の販売量(億ポンド))× 価格 8.07(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 97 億ドル・営業利益 47 億ドル。セロ・ベルデ中心
- インドネシア(グラスバーグ)の銅:数量 17.5(銅の販売量(億ポンド))× 価格 8.07(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 141 億ドル・営業利益 78 億ドル。グラスバーグの復旧の速さで決まる
- インドネシア(グラスバーグ)の金:数量 1.6(金の販売量(百万オンス))× 価格 7,330(金の実現価格(ドル/オンス))→ 売上 114 億ドル・営業利益 85 億ドル。副産物の金
- モリブデン:数量 98.0(モリブデンの販売量(百万ポンド))× 価格 33(モリブデンの実現価格(ドル/ポンド))→ 売上 32 億ドル・営業利益 8 億ドル。鉄鋼の需要
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 18.8%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.50%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.6%。長期の g 1.0%(先細りの資源は 1% まで) で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 9.4 倍、寿命 20 年の年金で頭を押さえた値。銅が実質 1.15 倍の姿。寿命 20 年の年金の値は終わりのある利益の価値そのものなので、割り引き過ぎず、上限の 9.5 割の 9.0 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:実質 1.15 倍は今の実質高値(1.25 倍)より少し下で、中央銀行ではなく電化需要が支える水準。ゴールドマンの 2035 年の予測 15,000 ドルを 2 割上回る。21%。
中立 34% 中立:銅は実質の中位(1 トン 11,000 ドル)に戻り、ROE は 15% 利益 65 億ドル · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 38.20 ドル551 億ドル
2035 年の銅は名目 7.03 ドル/ポンド(1 トン 約 15,500 ドル)、金 5,400 ドル、モリブデン 29 ドル。需要は年 +2.5% で 2035 年に 2,900 万トン、供給は品位低下と新規の遅れで物価並みの価格を上回れない。グラスバーグは Block Cave の稼働と Kucing Liar の立ち上がりで PTFI の銅 17 億ポンド・金 150 万オンス、米国は浸出とバグダッド拡張で 17 億、南米は 11.5 億ポンド、合計 45.5 億ポンドで世界の約 7%。単位コストは物価で 1.41 倍に品位低下 5% を乗せ、営業利益は 172 億ドル(営業利益率 40%)、純利益 65 億ドル。ROE は 15%。還元は 10 年で 240 億ドル(純利益の合計 480 億ドルの半分)。2041 年に PTFI の 12% を政府へ渡すのは倍率の g に入れた。
- 米国の銅鉱山:数量 17.0(銅の販売量(億ポンド))× 価格 7.03(銅の実現価格(ドル/ポンド。COMEX 連動))→ 売上 120 億ドル・営業利益 33 億ドル。浸出の強化と復旧後の安定
- 南米の銅鉱山:数量 11.5(銅の販売量(億ポンド))× 価格 7.03(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 81 億ドル・営業利益 32 億ドル。セロ・ベルデ中心
- インドネシア(グラスバーグ)の銅:数量 17.0(銅の販売量(億ポンド))× 価格 7.03(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 120 億ドル・営業利益 58 億ドル。グラスバーグの復旧の速さで決まる
- インドネシア(グラスバーグ)の金:数量 1.5(金の販売量(百万オンス))× 価格 5,400(金の実現価格(ドル/オンス))→ 売上 81 億ドル・営業利益 54 億ドル。副産物の金
- モリブデン:数量 95.0(モリブデンの販売量(百万ポンド))× 価格 29(モリブデンの実現価格(ドル/ポンド))→ 売上 28 億ドル・営業利益 4 億ドル。鉄鋼の需要
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 15.2%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.50%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.4%。長期の g 1.0%(先細りの資源は 1% まで) で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 9.4 倍、寿命 20 年の年金で頭を押さえた値。寿命 20 年の年金の値は終わりのある利益の価値そのもので、市況の振れは k の循環で入れてあるので、割り引き過ぎず、上限の 9.0 割の 8.5 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:業界ノートの中立(実質 11,000 ドル、10 年で名目 15,500 ドル)とゴールドマンの 2035 年(約 15,000 ドル)に一致する。確率は最も厚く 34%。
やや悲観 21% やや悲観:銅は実質 0.85 倍、新規供給で緩む 利益 27 億ドル · PBR 0.9 倍 · 株価時価総額 11.52 ドル166 億ドル
2035 年の銅は名目 5.9 ドル/ポンド(1 トン 約 13,000 ドル。実質で中位の 0.85 倍)、金 4,230 ドル、モリブデン 22 ドル。中国の需要が不動産と電気自動車の補助金の剥落で鈍り、新規鉱山が一斉に立ち上がって供給が緩む。グラスバーグは復旧が 2028 年にずれ、Kucing Liar も遅れて PTFI の銅 15.5 億ポンド・金 135 万オンス、米国 16 億、南米 11 億ポンドで合計 42.5 億ポンド。品位低下で単位コストは物価の 1.41 倍に 6% を乗せ、営業利益は 87 億ドル、純利益 27 億ドル(ROE 7%)。k を割る ROE が続くため、バグダッド・El Abra の拡張は見送り、還元は 10 年で 110 億ドル。
- 米国の銅鉱山:数量 16.0(銅の販売量(億ポンド))× 価格 5.90(銅の実現価格(ドル/ポンド。COMEX 連動))→ 売上 94 億ドル・営業利益 12 億ドル。浸出の強化と復旧後の安定
- 南米の銅鉱山:数量 11.0(銅の販売量(億ポンド))× 価格 5.90(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 65 億ドル・営業利益 18 億ドル。セロ・ベルデ中心
- インドネシア(グラスバーグ)の銅:数量 15.5(銅の販売量(億ポンド))× 価格 5.90(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 92 億ドル・営業利益 36 億ドル。グラスバーグの復旧の速さで決まる
- インドネシア(グラスバーグ)の金:数量 1.4(金の販売量(百万オンス))× 価格 4,230(金の実現価格(ドル/オンス))→ 売上 57 億ドル・営業利益 32 億ドル。副産物の金
- モリブデン:数量 92.0(モリブデンの販売量(百万ポンド))× 価格 22(モリブデンの実現価格(ドル/ポンド))→ 売上 20 億ドル・営業利益 −3 億ドル。鉄鋼の需要
倍率:10 年目の純利益 27 億ドルは銅価格が実質で下に張り付いた年の値で、利益に PER を当てると二重に下げるので、床は自己資本で見る。ならした ROE 8.5%(費用曲線の上位の鉱山が閉まり、実質価格が下げ止まる前提)・g 1%(資源を掘り減らす)・k 9.5% の式 (ROE − g)/(k − g) = 0.88 倍を、今の自己資本 189 億ドルに掛ける。ROE が k を割り続ける構造の悲観なので式の値のまま置いた。
確率:リオ・BHP・紫金鉱業・コンゴ・インドネシアの増産が 2030 年前後に一巡し、実質価格が 2024 年(4.2 ドル)の水準に戻る。10 年という長さでは起こりやすいので 21%。
悲観 12% 悲観:実質 0.75 倍に張り付く構造の負け 利益 −1 億ドル · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 9.56 ドル138 億ドル
2035 年の銅は名目 5.26 ドル/ポンド(1 トン 約 11,600 ドル。実質で中位の 0.75 倍)、金 3,720 ドル、モリブデン 17 ドル。新規供給と中国の需要減で価格は誘因価格(4 ドル前後)に近づき、PTFI の復旧は 2028 年以降にずれて銅 13 億ポンド・金 110 万オンス、米国 14.5 億、南米 10 億ポンドで合計 37.5 億ポンドまで落ちる。単位コストは物価の 1.41 倍に品位低下 8% と固定費の割り戻し 3% を乗せ、営業利益は 30 億ドル、純利益はほぼ 0(−1 億ドル)。インドネシアで 2041 年の持ち分譲渡の条件も不利になりうる。減損 40 億ドルで自己資本が減り、配当は基本分のみで、手元の現金と非中核資産の売却で払う。もう優良な銅会社ではなく、費用に追われる資源会社になる。還元は 10 年で 40 億ドル。
- 米国の銅鉱山:数量 14.5(銅の販売量(億ポンド))× 価格 5.26(銅の実現価格(ドル/ポンド。COMEX 連動))→ 売上 76 億ドル・営業利益 −2 億ドル。浸出の強化と復旧後の安定
- 南米の銅鉱山:数量 10.0(銅の販売量(億ポンド))× 価格 5.26(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 53 億ドル・営業利益 8 億ドル。セロ・ベルデ中心
- インドネシア(グラスバーグ)の銅:数量 13.0(銅の販売量(億ポンド))× 価格 5.26(銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動))→ 売上 68 億ドル・営業利益 20 億ドル。グラスバーグの復旧の速さで決まる
- インドネシア(グラスバーグ)の金:数量 1.1(金の販売量(百万オンス))× 価格 3,720(金の実現価格(ドル/オンス))→ 売上 41 億ドル・営業利益 20 億ドル。副産物の金
- モリブデン:数量 85.0(モリブデンの販売量(百万ポンド))× 価格 17(モリブデンの実現価格(ドル/ポンド))→ 売上 15 億ドル・営業利益 −7 億ドル。鉄鋼の需要
倍率:10 年目の純利益 -1 億ドルは銅価格が実質で下に張り付いた年の値で、利益に PER を当てると二重に下げるので、床は自己資本で見る。ならした ROE 7.2%(費用曲線の上位の鉱山が閉まり、実質価格が下げ止まる前提)・g 1%(資源を掘り減らす)・k 9.5% の式 (ROE − g)/(k − g) = 0.73 倍を、今の自己資本 189 億ドルに掛ける。ROE が k を割り続ける構造の悲観なので式の値のまま置いた。
確率:中国の需要減とインドネシア・コンゴ・ペルーの新規鉱山で供給過多になり、実質 0.75 倍(1 トン 11,600 ドル、実質 8,250 ドル)に張り付く。グラスバーグの復旧遅延と許認可の問題も重なる。フリーポートは他社より費用が高い鉱山を持つので 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国の銅鉱山
モレンシ(持ち分 72%)・バグダッド・サフォード・シエラ・チノなど。浸出(山積みの鉱石に酸をかけて抽出)の強化で年 3 億ポンドを上積みする。
| 数量銅の販売量(億ポンド) | 価格銅の実現価格(ドル/ポンド。COMEX 連動) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 15.0 | 5.00 | 75 | 22 |
| 10 年後 中立 | 17.0 | 7.03 | 120 | 33 |
取り方:数量は米国の産出 約 15.1 億ポンド(モレンシ 約 7・サフォード 2.9・シエラ 1.8・チノ 1.5・バグダッド 1.5)。世界の銅鉱山(約 507 億ポンド)の約 3%。価格は 2025 年の LME 平均 4.51・COMEX 平均 4.82 ドルに年末の高値で上がった暫定価格の調整を含めた約 5.0(売上構成 75% から逆算した推定)。競合は米国内にはリオ・ティントのケネコット(年 約 3 億ポンド)くらいで、フリーポートが米国の銅の約 7 割を産する。利益は 1 ポンドあたり価格から総費用 約 3.5(単位純現金コスト 2.9+償却 0.7 の推定)を引いて置いた。
南米の銅鉱山
セロ・ベルデ(ペルー・持ち分 55.66%)と El Abra(チリ・持ち分 51%)。精鉱(75%)とカソード(25%)で売る。
| 数量銅の販売量(億ポンド) | 価格銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.9 | 5.00 | 55 | 24 |
| 10 年後 中立 | 11.5 | 7.03 | 81 | 32 |
取り方:数量はセロ・ベルデ 約 9.0 億ポンドと El Abra 約 2.0 億ポンドの合計 約 11 億ポンド。ペルーの銅の約 2 割、世界の約 2%(推定)。競合はチリのコデルコ・BHP のエスコンディダ(単独で約 24 億ポンド)・アングロ・アメリカン・ペルーのサザン・カッパー。価格は LME 連動で約 5.0(推定)。単位コストは総費用 約 2.85(純現金 2.5+償却 0.4)。ペルーの地域の抗議と鉱山税、チリの鉱区使用料の引き上げが利益の振れ。
インドネシア(グラスバーグ)の銅
グラスバーグ地区の Block Cave・DMLZ・Big Gossan。2025 年 9 月の泥流で Block Cave が止まり、2026 年に段階的に復旧中。
| 数量銅の販売量(億ポンド) | 価格銅の実現価格(ドル/ポンド。LME 連動) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 11.0 | 5.00 | 55 | 4 |
| 10 年後 中立 | 17.0 | 7.03 | 120 | 58 |
取り方:数量は事故前の年 約 17 億ポンドが、2025 年は約 11 億ポンドに落ちた(泥流で Block Cave が止まり、DMLZ・Big Gossan が 2025 年 10 月末に再開)。世界の約 2% で、事故がなければ約 3%。2026 年のガイダンスは約 7 億ポンド、2027 年末に満稼働に近づく。価格は LME 連動で 約 5.0。2025 年は止まった鉱山の固定費が重く、営業利益は 4 億ドル(推定)。利益の 51% は MIND ID(インドネシア政府系)の非支配持分。競合は同じ地区に無く、近い存在は BHP のカラハリ・リオのオユ・トルゴイ(同程度の銅と金)。
インドネシア(グラスバーグ)の金
グラスバーグの銅に付いて産する金。フリーポートの金の 98%。
| 数量金の販売量(百万オンス) | 価格金の実現価格(ドル/オンス) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.1 | 3,400 | 37 | 10 |
| 10 年後 中立 | 1.5 | 5,400 | 81 | 54 |
取り方:数量は金の売上 15%(約 38 億ドル)を実現価格 約 3,400 ドルで割った約 110 万オンス(産出は約 90 万オンスで、販売が在庫を取り崩した分を含む。推定)。世界の産金量(約 3,600 トン)の約 1%。ニューモント(年 約 590 万オンス)の 5 分の 1 の規模。価格は金の業界ノートの実質横ばい(名目で 10 年 1.41 倍が基本)で、中立は 10 年 5,400 ドル(実質で 14% 下の平準化)。費用は銅と共通の坑内のため 1 オンスあたり 約 1,300 ドル(推定)を引いた。
モリブデン
米国のクライマックス・ヘンダーソン(単独の鉱山)と銅鉱山の副産物。鉄鋼の添加剤。
| 数量モリブデンの販売量(百万ポンド) | 価格モリブデンの実現価格(ドル/ポンド) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 93.0 | 22 | 20 | 2 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 29 | 28 | 4 |
取り方:数量は 2025 年の産出の合計 約 9,300 万ポンド(クライマックス 2,400・ヘンダーソン 1,300・副産物 5,600)。世界の産出(約 6.5 億ポンド)の約 14%。競合は中国のモリブデン鉱山と南米の副産物で、鉄鋼の景気で動く。売上 8% を数量で割った価格 約 21.5。2026 年第 2 四半期は 28.75 ドル。単独鉱山の費用は 1 ポンド 19 ドル前後と高く、価格が 20 ドルを割ると赤字。
リスクと懸念
銅価格の実質の下落と関税の撤廃
2026 年の銅は実質で過去最高圏にあり、中立は実質 1 トン 11,000 ドルへ戻す。ゴールドマンは関税が外れれば 2027 年は余りに転ぶと警告し、中国の需要は不動産と補助金の剥落で鈍る。営業レバレッジが大きく、銅 0.10 ドル/ポンドの変化で 2026 年下期の営業キャッシュフローは約 1.5 億ドル動く。
鉱山の事故と復旧の遅れ
2025 年 9 月のグラスバーグの泥流は 7 名の死者を出し、銅の生産を約 1 割減らした。地区の稼働率は 2026 年下期 65%・2027 年半ば 80%・2027 年末に満稼働に近づく計画だが、現地の PTFI 経営者の 9 月の発言は 2028 年に 100% とやや遅く、Block Cave は品位や岩盤の管理が難しい。復旧が 1 年ずれるだけで 2028 年の純利益が約 1 割減る。
インドネシアの政治と PTFI の持ち分
PTFI は MIND ID が 51%、FCX が 48.76%。2026 年の覚書で 2041 年に政府へ 12% を無償譲渡し、FCX は約 37% になる。覚書は拘束力が弱く、輸出関税の引き上げ・精錬の国内化・追加の持ち分要求が続く可能性がある。精錬所(年 170 万トン)の負債 32 億ドルも純負債に含まれる。
非支配持分に利益が流れる
2026 年の非支配持分への純利益は約 20 億ドル(全体の約 4 割)。PTFI の 51%・セロ・ベルデの 44%・El Abra の 49%・モレンシの 28% が少数株主に帰属し、鉱山が儲かっても親会社の取り分は営業利益の 3〜4 割。金・銅が上がるほど少数株主への流出も増える。
設備投資の重さと費用の上昇
2026 年の設備投資は 43 億ドル(大型プロジェクト 30 億)で、営業キャッシュフロー 83 億ドルの約半分。バグダッド拡張は資本費が 2023 年の見積りから約 3 割上振れ、費用は物価と品位低下で上がる。2035 年の中立では単位コストが物価の 1.41 倍にさらに 5% 乗る。
資源ナショナリズムと許認可
ペルー(セロ・ベルデ周辺の抗議と鉱山税)、チリ(銅の鉱区使用料)、インドネシア(輸出関税)、米国(環境許認可)の規制の変更が、拡張案件(El Abra の年 7 億ポンド超)と既存鉱山の利益を変える。税や使用料の引き上げは、銅価格が高いほど政治の標的になりやすい。
今後の分かれ目
- 銅が実質 1 トン 13,000 ドル(名目 5.9 ドル/ポンド)を 2030 年代も保つ
- 楽観〜やや楽観に移る。ただし費用も物価で上がるので、利益の増え方は価格の増え方より小さく、非支配持分に半分近くが流れる。
- グラスバーグが 2027 年末までに満稼働する
- 中立の道筋(2028 年に銅 42.5 億ポンド)が現実になり、2028 年の純利益は 50 億ドル前後。2028 年にずれ込むなら 2028 年の数量が 1 割減り、やや悲観の形に近づく。
- 米国の銅の関税が外れて 2027 年が余りに転ぶ
- 銅は実質 4〜4.5 ドル/ポンドへ下がるやや悲観に移る。米国の鉱山の利幅が薄くなり、拡張案件を見送る。
- バグダッド・El Abra の拡張の最終投資判断が出る
- 2030 年に銅の販売が年 +9 億ポンド以上になる。誘因価格 4 ドル以下で採算が取れるので、中立で ROE を保つが、資本費の上振れで利益の伸びは割り引く。
- インドネシアが 2041 年以降の操業権の条件を厳しくする(持ち分を 37% より下げる・追加の輸出関税)
- PTFI の長期の価値が下がる。10 年後の倍率の g を 3.1% よりさらに下げ、時価総額が 5〜10% 減る。
見ておくもの
- LME 銅の価格と在庫(実質 1 トン 11,000 ドルを下回るか)
- グラスバーグの稼働率(2026 年下期 65%・2027 年半ば 80% の達成。第 3 四半期決算は 2026 年 10 月 22 日の予定)
- 米国の銅の関税(232 条)の扱いと中国の需要
- バグダッド・El Abra の拡張の最終投資判断と資本費
- PTFI の操業権の条件(2041 年の 12% 譲渡)と輸出関税
- 非支配持分への純利益の額(2026 年 約 20 億ドル)と純負債(目標 30〜40 億ドル)
- 競合のサザン・カッパー・BHP・リオ・ティントの銅の増産と利益率
倍率と資本コストの決め方
今の PER 46 倍・時価総額 1,004 億ドル・銅 1 ポンド 6 ドル超は見ずに、5 つのセグメント(米国・南米・インドネシアの銅・インドネシアの金・モリブデン)の数量×価格で積み上げた。価格は 2026 年の実質高値ではなく業界ノートの実質の中位(1 トン 11,000 ドル)に戻し、費用は物価と品位低下で上げた。倍率は k 9.5%・g 1%(資源を掘り減らす)・寿命 20 年の年金の上限の 9 割で置いた(悲観側は ROE から出した式の PBR を今の自己資本に掛けた)。結果は大幅な割高で、今の値段に寄せる調整は一切していない。今の値段に届くのは楽観だけだと確認した上で、確率は楽観側 33%・悲観側 33% に置いた。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 1.25 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.5% = 9.5%。銅価格の振れで営業利益率が大きく動くので循環に +1.0%、価格は市場に決められるので値決めに +0.5%。純負債は時価総額の 6% で借金は 0、鉱床の寿命が長く電化で需要も続くので寿命は 0。鉱山事故・インドネシアの政治などの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率(悲観・やや悲観に 10 年で合計 33%)で表した。上乗せは 0。
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