株譜
AI 銘柄分析 · 素材 · 試作

ライオンデルバセル・インダストリーズ LYB

北米の安いエタンに支えられた汎用化学の谷にいる大型株。欧州の赤字拠点を手放し配当も半減済み。利益ベースの倍率で測るとやや割高。利益の幅が極端に広く確信は低い

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)48.71 ドル157 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)65.4 ドル210 億ドル差 −25.5%
10 年後から見ると やや割高 価値 48.71 ドル157 億ドル · 差 −25.5% · 期待の年率 +4.9%
期待の年率リターン(10 年)+4.9%資本コスト比 −5.1 pt
推定の資本コスト10.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 10.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

ライオンデルバセルは世界最大級のポリオレフィン(ポリエチレン・ポリプロピレン)の生産者で、北米のエタンを原料にした分解炉から、欧州・アジア・中東のポリオレフィン、PO(酸化プロピレン)と誘導品・酸素燃料、自動車向けコンパウンド、重合技術のライセンスまで持つ。2025 年は売上 302 億ドル、特別項目を除いた EBITDA が 25 億ドル(2024 年は 35 億ドル)、減損を含めた純損失は 7.4 億ドルで、2008〜09 年以来の谷にいる。2026 年は、2 月に四半期配当を半分に減らし、5 月に欧州 4 拠点を売却(売却損 7.3 億ドル)し、2025 年 2 月に止めたヒューストンの製油所は非継続事業に回った。一方、中東の紛争で同地域の約 600 万トンのポリエチレン設備が傷つき、2026 年 4〜6 月期の EBITDA(特別項目を除く)は 21 億ドルまで戻ったが、これは一時の事情で中立に使わない。

バリュー投資の観点では、価格を決める力のない商品事業が、純負債(112 億ドル、時価総額の 54%)を抱えて谷にいる点が重い。反面、ダウと違って投資適格を守り、赤字の欧州を切り離し、配当をすでに減らしている。そこで中立は、業界ノートどおり 10 年後の営業利益率 8.7%(営業 EBIT は 10 年で 37 億ドル)に置き、やや悲観と悲観の合計を 10 年 40% と厚くした。資本コスト k は基本 8.0% に quality +2.0%(景気の振れ +1.0%・商品で値決めなし +0.5%・借金 +0.5%)を足して 10%、倍率は利益ベースの正当化 PER の 9 割(堀は弱い)で中立の 10 年後 PER は 10.3 倍。結果は割り引いた価値が今の時価総額を約 24% 下回り、筋書きの時価総額は 10 年で 12〜740 億ドルと広い。結論は「式ではやや割高、確信度は低い」である。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、商品の価格を決められない事業は、確実さの代わりに安さで報いてもらう場面でしか買えない。ライオンデルバセルは 10 年後も存在し、今と同じ規模を保つと見てよいが、堀が広がるとは言えない。強みは北米のエタンのコスト優位だけで、利益は景気と中国の新設で決まる。

オーナー利益で見ると、2018〜2025 年の純利益の平均は年 27 億ドルで、2025 年は特別項目を除いても 5.6 億ドル。配当(年 18 億ドル)は 2025 年に賄えず、2026 年に半分にした。資本配分は、好況期に配当を増やし谷で減らす順序が逆だった。ただし投資適格を最優先にし、赤字の欧州を売却して削減計画を進める今の経営は、ダウよりも筋が通る。物価が 3.5% で続く世界では、設備を持つ石化は実質で価値が目減りしにくい。

値段は、純負債が時価総額の 5 割で、利益が谷にある今は安全域が薄い。式どおりの本質価値は今の 0.76 倍で、10 年後に中立で営業利益率 8.7% へ戻るという仮定を置いても今の値段に届かない。k が 9% なら結論は適正に近づく。強い確信は持てないので、確率は悲観側に厚く置いた(10 年 40%)。持つなら小さく、配当の維持と純負債の減少を確認してから、という結論になる。

何で稼ぐ会社か

2025 年の外部売上(302 億ドル)の 3 割は O&P-Americas(77 億ドル)で、米国メキシコ湾岸と中西部の分解炉でエタン(約 7 割)から作るエチレンと、ポリエチレン・ポリプロピレンを売る。利益は「樹脂の価格 − エタン・NGL の原料費」のスプレッドで決まり、世界のコスト曲線の下側にいる。O&P-EAI(96 億ドル)は欧州・アジア・中東のポリオレフィンと合弁の持ち分利益で、2026 年 5 月に欧州の 4 拠点(フランスのベール、ドイツのミュンヒスミュンスター、英国のキャリントン、スペインのタラゴナ)を投資会社のエクイタ(AEQUITA。新会社名はヴェロジー)へ売却し、残るのはドイツ・イタリア・合弁が中心。

Intermediates & Derivatives(I&D・90 億ドル)は PO と誘導品、酸素燃料(MTBE・ETBE)、メタノール、酢酸、スチレンで、ガソリンの需要と PO の需給に連動する。Advanced Polymer Solutions(APS・35 億ドル)は自動車・家電向けのコンパウンドで、2018 年のシュルマン買収が土台、2025 年に大きな減損を出した。Technology(5 億ドル)は重合技術のライセンスと触媒。

顧客は包装・自動車・建設・消費財の大企業で、品質より価格で動く汎用品が大半を占める。収益の山は 2015〜17 年(営業利益率 16〜19%)と 2021 年(16%)で、そこから 2025 年の 3% まで落ちた。ヒューストンの製油所は 2025 年 2 月に停止し、フランスのベールの製油所も解体費用を非継続事業に入れている。

優良さと弱いところ

強みは 2 つ。第一に北米のエタン原料のコスト優位:サウジの SABIC やエクソンモービルと並んでコスト曲線の下側にあり、価格が崩れても生産を続けられる(2026 年 4〜6 月期の北米の分解炉の稼働率は約 95%)。第二に技術と規模:スフェリポールなどのポリオレフィン技術を自社で持ち、Technology でライセンスも売る。財務は投資適格を最優先とし、配当を半分にしてでもそれを守る姿勢は、ダウ(2025 年に配当を減らし純負債が時価総額の 7 割)と比べて堅い。

弱みははっきりしている。価格を決める力がなく、売値は中国の新設(2026 年だけでポリエチレンが 600〜700 万トン)が決める。欧州の工場は電力・ガス代が高く、2025 年の O&P-EAI は営業損失 6.8 億ドル、APS は営業損失 7.4 億ドル。2018〜2025 年の純利益の平均は年 27 億ドルで、ROE は 2015 年の 68%(自社株買いによる見かけ)から 2025 年の −7% まで振れた。堀は「米国のエタン」だけで、広がっていない。

経営はペーター・ファナッカー(Peter Vanacker)CEO のもとで、好況期の 2022 年に配当を増やし自社株買いも進めたあと、谷で配当を半分にし欧州を切り離した。順序は逆だったが、2025 年に 8 億ドルの現金を削減計画で生み、2026 年末までに 13 億ドルへ目標を上げた点は評価できる。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

汎用化学・石化の需要は GDP 並みで、世界のポリエチレンは年 1.1〜1.2 億トン台。問題は供給で、中国が 2026 年に 600〜700 万トンを増やし、世界の能力は 2026〜2028 年で 2 割超増える(Argus)。世界の稼働率は 2028 年に 78% 前後の底になる見通しで、価格の天井は中国の自給化が決める。業界ノートの中立は、数量が年 +2.5%、価格は 10 年 1.27 倍(実質は 10 年で約 −10%)、営業利益率は 10 年 8〜9%。

2026 年は特異な年で、中東の紛争で同地域の約 600 万トンのポリエチレン設備(域内の 2〜2.5 割)が傷つき、2027 年まで戻らない(会社)。北米の PE の国内の数量は 4〜6 月期に 3.5% 増え、利益幅が改善した。供給網が戻れば価格は元に戻るので、高値は中立に入れない。会社の 2026 年 7〜9 月期の稼働率の見通しは、北米 85%・欧州 70%・I&D 85%。

競合は、ダウ(売上 400 億ドル・営業利益率 1% 台)、エクソンモービル、シェブロン・フィリップス(Chevron Phillips)、SABIC、シノペック(Sinopec)、INEOS、ボレアリス(Borealis)、ブラスケム(Braskem)。PO・ポリウレタン原料では万華化学(Wanhua)・コベストロ(Covestro)・ハンツマン(Huntsman)と競う。欧州の閉鎖と売却が先に進んだ会社が谷を越えやすく、ライオンデルバセルは赤字の 4 拠点を先に外に出した点でダウより一歩先にいる。

資本政策と M&A

配当は 2026 年 2 月に四半期ごとの額を半分にし、年約 9 億ドル(2025 年は約 18 億ドル)。2025 年に株主へ約 20 億ドルを返したが、投資適格の維持と維持の設備投資を配当より先に置く、と CFO のアグスティン・イスキエルド(Agustin Izquierdo)は述べている。中期の目標は「フリー CF の 7 割を還元」。自社株買いは 2025 年に 2 億ドルと小さく、株数は 3.23 億株でほぼ横ばい。設備投資は 2026 年に約 12 億ドル(成長 4・維持 8)へ絞り、循環型プラスチックの MoReTec-1 は 2027 年の稼働予定。

純負債は 112 億ドル(2025 年末。6 月末の総借金 129 億ドル・現金 26 億ドル)、自己資本 107 億ドル、のれん 7 億ドル。借り換えで利払いは 10 年後に年 2 億ドル重くなる(brief の推定)。M&A は売る側が中心で、2026 年 5 月に欧州の 4 拠点を売却し、ブリンディジ(イタリア)の PP も閉鎖の方向。買う側に回る見込みは小さい。時価総額は 205 億ドル前後、企業価値は約 320 億ドルで、事業売却や再編は選択肢に入るが、具体的な話は確認できなかった。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

世界の旧設備の閉鎖は欧州・日本・米国で続き、中国の新設は稼働率の低さで遅れている。中東では約 600 万トンの設備が傷つき、2027 年まで戻らない。ライオンデルバセルは 2026 年 4〜6 月期の EBITDA(特別項目を除く)が 21 億ドルと、谷の薄い売上の上に大きな利益が載る体質を示した。北米の分解炉は稼働率が 95% で、エタンのコスト優位は動かない。赤字の欧州 4 拠点は 5 月に切り離され、残る O&P-EAI は合弁の利益が柱になる。

Cash Improvement Plan(2026 年末までに 13 億ドル)と Value Enhancement Program(2025 年に年 11 億ドル、2028 年に 15 億ドルの EBITDA)が積み上がり、設備投資も 12 億ドルに絞った。配当は年 9 億ドルで、純利益が中立の水準に戻れば余剰が生まれる。10 年後に 2015〜17 年の山に近い 14% の利益率が戻れば、ROE 35% で PER は 12 倍超が付き、時価総額は今の約 3.6 倍になる。

慎重な見方

世界の能力は 2026〜2028 年で 2 割超増え、2028 年の稼働率は 78% の底になる(Argus)。中国は国内で足りて輸出に回り、価格の天井は上がらない。2026 年 4〜6 月期の利益は中東の供給途絶という一時の事情で、第 3 四半期には定期修理(北米と I&D)の影響が出ると会社自身が言う。供給網が戻れば価格も戻り、ライオンデルバセルの営業利益率は 2023〜25 年の 8.5%・8.1%・3.2% の下り坂に戻る。

純負債は 112 億ドルで、6 月末の総借金は 129 億ドル。借り換えで利払いは年 1〜2 億ドル重くなり、2026 年 9 月に満期の社債が来る。配当を半分にした後も純利益に対する余裕は薄い。APS は 2025 年に 7.4 億ドルの営業損失を出し、のれんと資産の減損がまだ残るおそれがある。式の倍率は k 10%・堀が弱い前提で低く出て、中立の 10 年後も PER 10.3 倍にとどまる。今の値段は、利益が戻る前提をすでに織り込んでいる。

どちらに重みを置いたか

事業の質は慎重な見方が強く、確率は 10 年で悲観側に寄せた(やや悲観と悲観の合計 40%)。ダウよりは財務が堅く(投資適格・欧州の売却済み)、その分だけ悲観の確率はダウ(45%)より薄くしたが、中立でも中国の新設で営業利益率は 8.7%(10 年)にとどめた。中立の 10 年後の時価総額は今の約 1.2 倍で、割り引くと今の値段に届かない。その結果は、利益率が 8.7% へ戻る仮定に強く依存する。総合はやや割高と出て、確信度は低い。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 71.57 ドル230 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 34.00 ドル109 億ドル)。 今の値に割り戻すと 48.71 ドル157 億ドル、今との差 −25.5%、 期待の年率 +4.9%(資本コスト 10.0%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 6% 229.78 ドル740 億ドル 78.88 ドル254 億ドル +372.2% +16.8% 18.52 ドル60 億ドル
やや楽観 17% 135.53 ドル436 億ドル 51.86 ドル167 億ドル +186.7% +11.1% 31.86 ドル103 億ドル
中立 37% 76.37 ドル246 億ドル 34.78 ドル112 億ドル +70.0% +5.5% 41.13 ドル132 億ドル
やや悲観 26% 22.95 ドル74 億ドル 20.81 ドル67 億ドル −33.1% −3.9% 11.38 ドル37 億ドル
悲観 14% 3.73 ドル12 億ドル 15.53 ドル50 億ドル −70.5% −11.5% 2.70 ドル9 億ドル
加重平均100% 71.57 ドル230 億ドル34.00 ドル109 億ドル +61.5% +4.9% 105.57 ドル340 億ドル

今の株価時価総額 65.37 ドル210 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。

楽観 6% 楽観:北米の利益幅が 2015〜17 年の山に近い水準で定着し、営業 EBIT が 85 億ドルへ 利益 61 億ドル · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 229.78 ドル740 億ドル

2035 年、世界の稼働率が戻り、北米の PE・PP は数量が 10 年で 1.45 倍、価格は物価(1.41 倍)を上回る 1.55 倍。ライオンデルバセルはシェアを 8.8% に上げ、O&P-Americas の利益率は 21%。EAI は売却後の資産と合弁で 11%、I&D は 11%、APS は 11%、Technology は 30%。全社の売上は 601 億ドル、営業 EBIT は 85 億ドル(営業利益率 14%。2021 年の 73 億ドル、2015〜17 年の 50〜61 億ドルを物価で補正した水準に近い)、純利益は 61 億ドル。投資適格を守り、配当と自社株買いは累計で 254 億ドル。ROE は 35% で 40% を超えない。

  • O&P-Americas(北米のオレフィン・ポリオレフィン):数量 1,305(北米のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 13.6%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 178 億ドル・営業利益 37 億ドル。市場 1305 億ドル × シェア 8.8% × 価格 1.55 倍
  • O&P-EAI(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィン):数量 2,610(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.4%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 141 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 2610 億ドル × シェア 3.6% × 価格 1.50 倍
  • Intermediates & Derivatives(PO・誘導品・酸素燃料):数量 1,595(PO 誘導品・酸素燃料・メタノール・酢酸等の外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.2%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 194 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場 1595 億ドル × シェア 8.4% × 価格 1.45 倍
  • Advanced Polymer Solutions(高機能コンパウンド):数量 945(高機能コンパウンド・複合材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.8%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 74 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 945 億ドル × シェア 5.2% × 価格 1.50 倍
  • Technology(プロセス技術・触媒):数量 68.0(重合プロセスのライセンス・触媒・技術サービスの市場(億ドル。推定))× 価格 20.0%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 14 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 68 億ドル × シェア 12.5% × 価格 1.60 倍

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 33.3%、k 10.00%(基本 8.0% + quality +2.0%)、残る割合 0.33(弱い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.8%、g 4.0%(北米の PE・PP の数量(年 +2.5%)× シェア × 価格(物価に届かない)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.9 倍(来年の利益に対して)。北米のエタンのコスト優位が続き、整理が進む分、上限の 9 割(11.6 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.1 倍。時価総額 = 純利益 61 × 12.1 倍 = 740 億ドル。

確率:北米のエタン(コスト優位)が続き、中東・欧州・アジアの旧設備の整理で世界の稼働率が 88% 前後に戻る展開。10 年で価格が物価の 1.41 倍を超え、利益率 14% が定着する確率は 1 割に満たない。

やや楽観 17% やや楽観:能力の整理が進み、価格は物価をやや下回り利益率が 11% 台へ 利益 39 億ドル · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 135.53 ドル436 億ドル

2035 年、世界の稼働率は 85% 近くに戻り、北米の数量は 1.36 倍、価格は 1.40 倍(物価並み)。O&P-Americas の利益率は 16%、EAI は 9%、I&D は 9%、APS は 9%。全社の売上は 506 億ドル、営業 EBIT は 57 億ドル(営業利益率 11%)、純利益は 39 億ドル。配当・自社株買いは累計 167 億ドル。2025 年の谷から見ると利益は大きく増えるが、2018〜2021 年の平均並みの回復で、MoReTec(循環型)など新しい需要は前提にしない。

  • O&P-Americas(北米のオレフィン・ポリオレフィン):数量 1,224(北米のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.0%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 147 億ドル・営業利益 24 億ドル。市場 1224 億ドル × シェア 8.6% × 価格 1.40 倍
  • O&P-EAI(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィン):数量 2,448(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 4.7%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 116 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 2448 億ドル × シェア 3.5% × 価格 1.35 倍
  • Intermediates & Derivatives(PO・誘導品・酸素燃料):数量 1,496(PO 誘導品・酸素燃料・メタノール・酢酸等の外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 11.1%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 166 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 1496 億ドル × シェア 8.2% × 価格 1.35 倍
  • Advanced Polymer Solutions(高機能コンパウンド):数量 910(高機能コンパウンド・複合材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.2%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 66 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 910 億ドル × シェア 5.0% × 価格 1.45 倍
  • Technology(プロセス技術・触媒):数量 62.0(重合プロセスのライセンス・触媒・技術サービスの市場(億ドル。推定))× 価格 18.0%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 62 億ドル × シェア 12.0% × 価格 1.50 倍

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 24.0%、k 10.00%(基本 8.0% + quality +2.0%)、残る割合 0.33(弱い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.7%、g 3.8%(北米の PE・PP の数量(年 +2.5%)× シェア × 価格(物価に届かない)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.9 倍(来年の利益に対して)。北米のエタンのコスト優位が続き、整理が進む分、上限の 9 割(10.8 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.2 倍。時価総額 = 純利益 39 × 11.2 倍 = 436 億ドル。

確率:欧州・アジアの旧設備の閉鎖が進み、需給が締まる展開。コスト優位と削減計画が効く場合で、起きても不思議はない。

中立 37% 中立:優良ではないが生き残り、年 2.5% の数量と物価に届かない価格で利益率は 8〜9% 利益 24 億ドル · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 76.37 ドル246 億ドル

2035 年、世界の稼働率は 80% 台前半に戻り、能力の整理で価格は物価並みに戻るが、10 年を通せば実質で 1 割下がり名目 1.27 倍。数量は 10 年で 1.28 倍、シェアは北米で 8.2%、EAI は売却後で 3.3%。利益率は O&P-Americas 12%、EAI 7%、I&D 7.5%、APS 7%、Technology 28%。全社の売上は 428 億ドル、営業 EBIT は 37 億ドル(営業利益率 8.7%)、純利益は 24 億ドル。配当・自社株買いは累計 112 億ドルで、投資適格を守りながら純負債は減る。

  • O&P-Americas(北米のオレフィン・ポリオレフィン):数量 1,152(北米のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.4%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 120 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 1152 億ドル × シェア 8.2% × 価格 1.27 倍
  • O&P-EAI(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィン):数量 2,304(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 4.2%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 97 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 2304 億ドル × シェア 3.3% × 価格 1.27 倍
  • Intermediates & Derivatives(PO・誘導品・酸素燃料):数量 1,408(PO 誘導品・酸素燃料・メタノール・酢酸等の外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.3%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 145 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 1408 億ドル × シェア 8.1% × 価格 1.27 倍
  • Advanced Polymer Solutions(高機能コンパウンド):数量 854(高機能コンパウンド・複合材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.8%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 58 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 854 億ドル × シェア 4.9% × 価格 1.38 倍
  • Technology(プロセス技術・触媒):数量 56.0(重合プロセスのライセンス・触媒・技術サービスの市場(億ドル。推定))× 価格 16.1%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 9 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 56 億ドル × シェア 11.5% × 価格 1.40 倍

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 17.2%、k 10.00%(基本 8.0% + quality +2.0%)、残る割合 0.33(弱い堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.4%、g 3.5%(北米の PE・PP の数量(年 +2.5%)× シェア × 価格(物価に届かない)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.0 倍(来年の利益に対して)。北米のエタンのコスト優位が続き、整理が進む分、上限の 9 割(9.9 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 10.3 倍。時価総額 = 純利益 24 × 10.3 倍 = 246 億ドル。

確率:業界ノートの中立(数量 年 +2.5%・価格は 10 年 1.27 倍・営業利益率 8〜9%)に沿う。2018〜25 年の純利益の平均(27 億ドル)を物価で補正した水準と整合し、議論の落としどころで最大に置いた。

やや悲観 26% やや悲観:中国の輸出と欧州の閉鎖の遅れで価格が 1.1 倍台にとどまり、利益率は 5% 前後 利益 9 億ドル · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 22.95 ドル74 億ドル

2035 年、中国の輸出が続き、世界の稼働率は 78% 前後のまま。北米の価格は 10 年で 1.12 倍(実質で −20%)、数量は 1.20 倍、シェアは 8.0%。利益率は O&P-Americas 7%、EAI 3%、I&D 5.5%、APS 4%。全社の売上は 340 億ドル、営業 EBIT は 18 億ドル(営業利益率 5.2%)、純利益は 9 億ドル。ROE は 10% で k 10% と同じ水準なので、PER は 1÷k の 8.5 割の 8.5 倍にとどまる。配当は年 6 億ドル前後で、累計 67 億ドル。APS の追加の減損 5 億ドルを見込む。

  • O&P-Americas(北米のオレフィン・ポリオレフィン):数量 1,080(北米のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.0%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 97 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 1080 億ドル × シェア 8.0% × 価格 1.12 倍
  • O&P-EAI(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィン):数量 2,160(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 3.4%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 74 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 2160 億ドル × シェア 3.1% × 価格 1.10 倍
  • Intermediates & Derivatives(PO・誘導品・酸素燃料):数量 1,320(PO 誘導品・酸素燃料・メタノール・酢酸等の外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.7%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 115 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 1320 億ドル × シェア 7.8% × 価格 1.12 倍
  • Advanced Polymer Solutions(高機能コンパウンド):数量 805(高機能コンパウンド・複合材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.9%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 47 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 805 億ドル × シェア 4.7% × 価格 1.25 倍
  • Technology(プロセス技術・触媒):数量 51.0(重合プロセスのライセンス・触媒・技術サービスの市場(億ドル。推定))× 価格 13.8%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 51 億ドル × シェア 11.0% × 価格 1.25 倍

倍率:事業の ROE 9.8% が k 10.00%(基本 8.0% + quality +2.0%)以下なので、ためた利益は 1 ドル未満の価値。PER は 1 ÷ k = 10.0 倍が上限。中国の輸出と稼働率の低迷が続く分、上限の 8.5 割(8.5 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 8.5 倍。時価総額 = 純利益 9 × 8.5 倍 = 74 億ドル。

確率:能力の整理が進まず、稼働率が 78% 前後に張り付く展開。ダウ・ライオンデルバセルとも営業利益率 3% 前後の今の延長で、起きても不思議はない。

悲観 14% 悲観:構造的に負け、価格は物価の半分も上がらず利益率は 3% 前後、減損と配当の削減 利益 0 億ドル · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 3.73 ドル12 億ドル

2035 年、世界の稼働率が 75% 以下に張り付き、北米の価格は 10 年で 0.98 倍(実質で −30%)、数量は 1.12 倍、シェアは 7.5%(EAI は 2.7%)まで下がる。利益率は O&P-Americas 5%、EAI 0%、I&D 3.5%、APS 2%。全社の営業 EBIT は 7 億ドル、純利益は 0.4 億ドル。減損 25 億ドルで自己資本は 57 億ドルへ縮み、配当は年 4 億ドル弱(累計 50 億ドル。純利益より多く、手元の現金と資産の売却で払う)。ROE は 1% で式の倍率は使えず、純現金+売れる資産の税後(約 12 億ドル、PBR 0.21 倍)で測る。

  • O&P-Americas(北米のオレフィン・ポリオレフィン):数量 1,008(北米のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.4%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 74 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 1008 億ドル × シェア 7.5% × 価格 0.98 倍
  • O&P-EAI(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィン):数量 2,016(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 2.6%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 52 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 2016 億ドル × シェア 2.7% × 価格 0.95 倍
  • Intermediates & Derivatives(PO・誘導品・酸素燃料):数量 1,232(PO 誘導品・酸素燃料・メタノール・酢酸等の外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.2%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 89 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 1232 億ドル × シェア 7.2% × 価格 1.00 倍
  • Advanced Polymer Solutions(高機能コンパウンド):数量 756(高機能コンパウンド・複合材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 4.8%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 37 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 756 億ドル × シェア 4.2% × 価格 1.15 倍
  • Technology(プロセス技術・触媒):数量 46.0(重合プロセスのライセンス・触媒・技術サービスの市場(億ドル。推定))× 価格 11.0%(ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 46 億ドル × シェア 10.0% × 価格 1.10 倍

倍率:ROE 0.7% は k 10% を下回るので、稼ぐ力(10 年目の純利益 0.4 億ドル ÷ k 10% = 約 4 億ドル)は小さく、価値は純現金+売れる資産の税後(floor_assets_oku 12 億ドル)で測る。減損後の自己資本 57 億ドルに対し PBR 0.21 倍にあたる。純負債が重い構造的な悲観では、帳簿の PBR(1.0 倍)や過去の谷の床を使わず、売れる資産から負債を引いた残りに置いた。

確率:中国の国産化が輸出に転じて稼働率が 75% 以下に張り付き、プラスチック規制・炭素国境がコストを上げ、循環型(MoReTec)の収益が出ない展開。ライオンデルバセルは重い純負債と固定費に弱い。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

O&P-Americas(北米のオレフィン・ポリオレフィン)

北米のエチレン・ポリエチレン・ポリプロピレンの外販。主にエタン(約 7 割)を原料にした米国メキシコ湾岸・中西部の分解炉と樹脂工場。

数量北米のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質)価格ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 900 8.5% 77 4
10 年後 中立 1,152 10.4% 120 14

取り方:北米の PE・PP・エチレン等の外販市場を約 900 億ドル(推定)とし、2025 年の外部売上 76.7 億ドルからシェア約 8.5%。2025 年の営業利益は 4.4 億ドル(2024 年は 18.1 億ドル)で、北米のポリオレフィンの利益幅は 10 年以上で最低(会社)。価格指数は中立で 3 年 1.0 倍・10 年 1.27 倍(過剰供給で物価の 1.41 倍に届かない)。競合はダウ・エクソンモービル・シェブロン・フィリップス・ウェストレイク・ブラスケム。ダウの P&SP(利益率 4.1%)と同じ谷にいる。

O&P-EAI(欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィン)

欧州・アジア・中東のエチレン・PE・PP と合弁(サウジ等)の持ち分利益。2026 年 5 月に欧州 4 拠点を売却した後は、ドイツ・イタリア・合弁が中心になる。

数量欧州・アジア・中東のオレフィン・ポリオレフィンの外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質)価格ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 1,800 5.3% 96 −7
10 年後 中立 2,304 4.2% 97 7

取り方:市場を約 1,800 億ドル(推定)とし、2025 年の外部売上 96.1 億ドルからシェア約 5.3%。2025 年の営業利益は −6.8 億ドル(減損・閉鎖費用を含む。2024 年は −10.1 億ドル)。売却した 4 拠点(ベール・ミュンヒスミュンスター・キャリントン・タラゴナ)の売上は非開示で、推定 35 億ドル前後(売上の約 36%)。各筋書きでは売却後のシェアを 2.7〜3.7% に置き、市場 × シェア × 価格で積んだ。欧州の電力・ガス代が高く、中国の増設が価格を決める。競合は SABIC・シノペック・INEOS・ボレアリス・エクソンモービル。

Intermediates & Derivatives(PO・誘導品・酸素燃料)

酸化プロピレン(PO)と誘導品(プロピレングリコール・ポリオール原料など)、酸素燃料(MTBE・ETBE)、メタノール、酢酸、スチレン。

数量PO 誘導品・酸素燃料・メタノール・酢酸等の外販市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質)価格ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 1,100 8.1% 90 4
10 年後 中立 1,408 10.3% 145 11

取り方:市場を約 1,100 億ドル(推定)とし、2025 年の外部売上 89.5 億ドルからシェア約 8.1%。2025 年の営業利益は 4.3 億ドル(2024 年は 9.5 億ドル)。2025 年は EO&D 事業の売却(数量減)とオランダのマースフラクテの PO・スチレン設備の閉鎖があり、2026 年は米ベイポートの PO・TBA 設備が停止して 6 月に再開した。価格指数は中立で 3 年 1.0 倍・10 年 1.27 倍(PO は過剰、酸素燃料はガソリンの需要に連動して物価並みに届かない)。競合はダウ・コベストロ・ハンツマン・万華化学・シノペック。

Advanced Polymer Solutions(高機能コンパウンド)

自動車・家電・包装向けのコンパウンド・エンジニアリング樹脂・ポリプロピレン複合材。2018 年のシュルマン買収が土台。

数量高機能コンパウンド・複合材の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質)価格ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 700 4.9% 35 −7
10 年後 中立 854 6.8% 58 4

取り方:市場を約 700 億ドル(推定)とし、2025 年の外部売上 34.6 億ドルからシェア約 4.9%。2025 年の営業利益は −7.4 億ドル(のれん・資産の減損を含む。特別項目を除いた EBITDA は 2025 年上期 0.9 億ドル、2026 年上期 1.4 億ドル)。自動車の需要が弱く数量は 2026 年上期に減っている。価格指数は中立で 3 年 1.04 倍・10 年 1.38 倍(原料の樹脂の値を転嫁しやすい加工品なので物価に近い)。競合はアヴィエント・セラニーズ・SABIC・ボレアリス。

Technology(プロセス技術・触媒)

ポリオレフィンの製造技術(スフェリポール・スフェリゾーン・ホスタレンなど)のライセンスと触媒・技術サービス。

数量重合プロセスのライセンス・触媒・技術サービスの市場(億ドル。推定)価格ライオンデルバセルのシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 40.0 11.5% 5 1
10 年後 中立 56.0 16.1% 9 3

取り方:市場を約 40 億ドル(推定)とし、2025 年の外部売上 4.6 億ドルからシェア約 11.5%。2025 年の営業利益は 1.4 億ドル(利益率 3 割)。新設の樹脂工場の数に連動し、中国・中東の増設で収入が増えるが、能力過剰で新設が減れば細る。競合はユニベーション(ダウ系)・INEOS・三井化学・WR グレース。固定費が小さく利益率は高い。

リスクと懸念

世界の新設で稼働率が 78% の底に

世界のポリエチレンの能力は 2026〜2028 年で 2 割超増え(Argus)、稼働率は 2028 年に 78% 前後の底になる見通し。中国の新設が 2026 年だけで 600〜700 万トン。価格の天井は中国の自給化が決め、ライオンデルバセルは価格を決められない。2026 年の跳ね上がりは中東の供給途絶という一時の事情で、供給網が戻れば消える。

純負債と借り換え

純負債は 112 億ドル(2025 年末)で時価総額の 54%、6 月末の総借金は 129 億ドル。借り換えで利払いは 10 年で年 2 億ドル重くなり、谷の利益を食う。2026 年 9 月に満期の社債があり、投資適格を守るには配当・設備投資・現金の釣り合いが要る。格付けが下がれば資金調達費用が一段上がる。

APS の減損と自動車向けの弱さ

APS は 2025 年に営業損失 7.4 億ドルで、2026 年上期も数量が減っている。2018 年のシュルマン買収ののれんと資産がなお残り、自動車の需要が戻らなければ追加の減損が出る。減損は自己資本を直接削る(悲観の筋書きで 15〜25 億ドルを置いた)。

欧州の残りと売却後の穴

2026 年 5 月に 4 拠点を売却したが、売却損は 7.3 億ドル、売却に伴う現金拠出も 3.1 億ドル。ブリンディジ(イタリア)の PP は閉鎖の方向で、残る EAI(ドイツ・イタリア・合弁)の採算は電力・ガス代と中国の輸出に左右される。会社が 4〜6 月期の EAI に排出枠の売却益約 0.5 億ドルを含めた点からも、実力は見かけより弱い。

中東の合弁と供給の戻り

EAI の利益の柱は中東・アジアの合弁だが、中東の紛争で同地域の設備が傷ついており、合弁の稼働と持ち分利益の見通しは不確か。中東の約 600 万トンが 2027 年以降に戻れば、2026 年に付いた価格は崩れ、2027〜28 年の利益が急に薄くなる。

配当の持続性と資本配分

配当は 2026 年に半分にして年約 9 億ドル。2028 年の中立の純利益(約 9 億ドル)とほぼ同額で余剰が薄く、谷が長引けば再度の減額が現実になる。フリー CF の 7 割を還元する目標は、純利益が薄い間は機能しない。

式の倍率の k への感応度

資本コスト 10%・g 3.5% では k − g が 6.5% あり、PER は ROE 18% でも式で 11 倍にとどまる。k が 9% に下がれば中立の PER は式で 12 倍前後に上がり、結論は割高から適正付近に近づく。k 10% は市場が置く 9% 超の水準に近い。

今後の分かれ目

中東のポリエチレン設備の復旧が 2027 年を過ぎても遅れ、2028 年まで利益幅が保たれたら
中立の価格の伸びを上げ、楽観・やや楽観の確率を 1 割ほど上げる。営業 EBIT が 25 億ドル台に乗るのが早まる。
世界の稼働率が 78% を割り、中国の輸出が増え続けたら
やや悲観の確率を上げ、中立の営業利益率を 1〜2 ポイント下げる。純利益が数年にわたり 5 億ドル以下に落ち、配当の再削減が視野に入る。
純負債が 90 億ドルを下回り、Cash Improvement Plan の 13 億ドルが 2026 年末までに達成されたら
財務の下振れが薄れるので悲観の確率を 5 ポイント下げる。バリュー投資の観点では、買える値段かの再検討の合図になる。
APS が追加の減損を出すか、2027 年も営業損失が続いたら
のれんの縮小で自己資本が減るので、中立の営業利益率を下げ、APS を売却・縮小の対象として見る。
MoReTec-1 が 2027 年に稼働し、循環型の需要で採算が出たら
新しい需要の可能性として、10 年の楽観の確率を少し上げる。ただし今の筋書きには入れていない。
配当を年 9 億ドルから再び減らしたら
投資適格の維持を優先する意思の表れで、財務のリスクは下がるが、谷が想定より深いことの合図でもある。確率を悲観側へ寄せる。

見ておくもの

  • ポリエチレンとエチレンのスプレッド(1 トンあたり)、世界の稼働率(Argus・ACC)
  • 中東の設備の復旧時期と 2026 年に付いた価格の定着度(2026 年 10 月 30 日の決算)
  • Cash Improvement Plan(13 億ドル)と Value Enhancement Program(2028 年に 15 億ドルの EBITDA)の進み
  • 純負債・格付けの見通し・配当(年約 9 億ドル)
  • O&P-EAI の損益(欧州の売却後の実力。排出枠の売却益を除く)とブリンディジの閉鎖
  • APS の数量・営業損益と追加の減損
  • 中国のポリエチレンの新設・輸出量、MoReTec-1 の稼働

倍率と資本コストの決め方

今の時価総額 205 億ドルや、2026 年 4〜6 月期の EBITDA 21 億ドル(特別項目を除く)を見る前に、セグメントごとに市場 × シェア × 価格で売上を積み、業界ノートの 10 年の利益率(8〜9%)の範囲で営業 EBIT を出した(中立は 8.7%)。倍率は k 10%(基本 8.0% + quality +2.0%:景気の振れ +1.0%、値決めなし +0.5%、借金 +0.5%)・g 3.5〜4%(数量・価格から出し、ROE からは出していない)・ROE の式(堀は弱い)の 8.5〜9 割に置き、業界ノートの PER 10〜13 倍や過去の PER には寄せていない。中立の 10 年後 PER は 10.3 倍。悲観は ROE が k を下回るので、稼ぐ力と売れる資産の税後(12 億ドル)で測り、過去の PBR の底は使わない。2026 年上期の利益の戻りは中立に使わず、今の株価が低いのに合わせて悲観を薄くしていない。ダウとは債務の重さ(投資適格を守る)の差で quality が違う。確信度は低い。

資本コスト 10.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。

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やや割安 エイブリィ・デニソンAVY ラベル素材で世界首位級の堀と RFID の伸びしろを持つが、借金で膨らんだ ROE と式の高い倍率は割り引いて読む 本質価値との差 +27.8% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 モザイクMOS リン酸・カリ・ブラジル流通の三本足。2026 年は硫黄高で赤字。価格の中立を限界費用に置き k 10% で割ると、本質価値は今の時価総額とほぼ同じ 本質価値との差 +18.7% · 10 年 やや割安(年 +10.0%) やや割安 ボール・コーポレーションBALL 世界最大級の飲料缶。物価を転嫁できる堅い事業だが、借金が重く、式どおりの倍率は高く出る 本質価値との差 +12.8% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) 適正 PPGインダストリーズPPG 工業・補修・海外建築の塗料に厚みがあり、利益は 10 年で伸び、PER 15 倍台は利益ベースの正当化 PER(10 年の中立 14.7 倍)とほぼ同じで、利益の伸びの分だけやや割安 本質価値との差 +4.1% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 CRHCRH 北米最大の骨材・舗装の会社で、利益率は過去最高圏。利益ベースの倍率で測ると PER 15 倍は適正 本質価値との差 +3.2% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 スマーフィット・ウェストロックSW 原紙の値上げと能力閉鎖で利益は回復途上。借金は重く、利益ベースの倍率で測ると今の時価総額とほぼ同じ 本質価値との差 +2.6% · 10 年 適正(年 +8.0%) 適正 コルテバCTVA 2026 年 10 月に種子を切り離した作物保護(農薬)の専業。売上 76 億ドル、時価総額の 2 割が純現金。後発品の圧力が続く中で、計算では今の値段はほぼ適正に出る 本質価値との差 −4.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 アムコアAMCR ベリー統合で世界最大の包装会社になったが数量は減り続け、のれんと借金が重い。シナジーと借金返済で利益は伸びるが、価値は数量が戻るかで大きく割れる 本質価値との差 −8.6% · 10 年 適正(年 +6.4%) やや割高 CFインダストリーズ・ホールディングスCF 北米最大の窒素肥料メーカー。安い天然ガスで利益率が高く、中東紛争で今は山。山を外したならし利益で測っても、資本コスト 9.5% の下で今の値段はやや割高 本質価値との差 −10.9% · 10 年 やや割高(年 +5.7%) やや割高 インターナショナル・ペーパーIP 北米は費用削減で利益率を戻す途上、欧州は分離待ちで償却が重い。借金が重く、式どおりの倍率でも安全域は薄い 本質価値との差 −13.3% · 10 年 やや割高(年 +6.2%) やや割高 マーチン・マリエッタ・マテリアルズMLM 骨材と石灰を持つ 2 本柱へ。堀は本物だが、LNA 買収で純負債が EBITDA の約 4 倍に増え、式で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −14.1% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 リンデLIN 世界最大の産業ガス会社で堀は最上級。利益ベースの倍率で測ると PER 34 倍はやや割高 本質価値との差 −15.0% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 デュポン・ドゥ・ヌムールDD 分離で身軽になった DuPont は水・医療が伸び利益率が上がる途中。株式報酬と償却を費用にした GAAP で、利益ベースの倍率で測るとやや割高の側 本質価値との差 −15.8% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 シャーウィン・ウィリアムズSHW 塗料の最強の小売り網と価格を決める力を持つが、PER 33 倍は利益ベースの成熟後の倍率 22.6 倍より高く、中立でも安全域がない 本質価値との差 −21.5% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 エコラボECL 水処理と衛生を顧客先で回す巡回サービスの堀は厚いが、PER 40 倍と買収後の借金が重く、中立でも今の値段には安全域がない 本質価値との差 −29.2% · 10 年 やや割高(年 +3.0%) 割高 ヴァルカン・マテリアルズVMC 米国最大の骨材会社。地域の独占と値上げの力は本物だが、利益ベースの倍率で測ると割り引いた価値は今の時価総額の約 7 割でやや割高 本質価値との差 −31.6% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 パッケージング・コーポレーション・オブ・アメリカPKG 北米の段ボール原紙の寡占の中で、利益率が最も高く借金も軽い。商品事業の波と式どおりの倍率の高さが論点 本質価値との差 −32.4% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 エアープロダクツ・アンド・ケミカルズAPD 産業ガス世界 3 位。水素の大型案件を捨てて本業に戻る途中で、純負債は重いが、利益ベースの倍率では割高 本質価値との差 −33.1% · 10 年 割高(年 +3.0%) 割高 アルベマールALB リチウムの価格は限界費用の水準を中立に置く。価格が実質で今の高値圏に居座る楽観が株価の上振れを作り、谷の年は赤字になる、振れの大きい会社 本質価値との差 −33.3% · 10 年 割高(年 +4.0%) 割高 ニューモントNEM 世界最大の金鉱山会社。金価格の平準化を置き、寿命 20 年の年金の倍率と積み上がる純現金で見ても、資本コスト 9.5% の下では今の値段は割高。価格を決められず、下は深い 本質価値との差 −34.4% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 ダウ・インクDOW 汎用化学の谷にいる大型株。コスト削減と 3.5% の物価で、利益ベースの倍率で測ると割高。利益の幅が極端に広く確信は低い 本質価値との差 −37.7% · 10 年 割高(年 +3.9%) 割高 インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランスIFF 食品素材を売って香料・風味・酵素の 3 事業に絞る途中。利益率の改善を織り込んでも割り引いた価値は今の時価総額の約 6 割で、割高 本質価値との差 −40.2% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 スチール・ダイナミクスSTLD 電炉で米国第 2 位級の鋼材メーカー。今は関税と値上がりの山で純利益が 2 倍超、アルミ新工場の成否も加わるが、ならした利益で測ると割高 本質価値との差 −50.6% · 10 年 割高(年 +0.5%) 割高 ニューコアNUE 電炉で米国最大の鋼材メーカー。今の純利益は景気と関税の追い風で山の近くにあり、ならした利益で測ると割高 本質価値との差 −50.9% · 10 年 割高(年 +0.3%) 割高 フリーポート・マクモランFCX 世界最大級の上場銅会社。銅価格を実質の中位に戻すと、資本コスト 9.5% の式どおりの倍率では今の時価総額は先を行き過ぎている。グラスバーグ復旧と銅高が全部続く楽観だけが今の値段に届く 本質価値との差 −58.9% · 10 年 割高(年 −1.3%)

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読んだ資料

  1. LyondellBasell 2026 年 4〜6 月期決算(Form 8-K 添付 99.1・SEC)
  2. LyondellBasell 2026 年 4〜6 月期の事業別の結果(Form 8-K 添付 99.2・SEC)
  3. LyondellBasell Form 10-Q(2026 年 6 月 30 日)
  4. LyondellBasell Form 10-K(2025 年度)
  5. LyondellBasell が配当を半減(Bloomberg)
  6. LyondellBasell が欧州の 4 拠点の売却を完了(Hydrocarbon Processing)
  7. LyondellBasell の 2025 年決算と現金改善計画(Indian Chemical News)
  8. LyondellBasell 2026 年 4〜6 月期の決算説明(文字起こし)

分析日 2026-10-16